日経平均大引け 大幅続伸、609円高 30年半ぶり高値 企業業績の回復に期待感

https://www.nikkei.com/article/DGXZAS3LTSEC1_Y1A200C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ ふーん…。大陽線、立ったな…。これも、久々で見た…。

 ※ 2万9千円台に、乗せたか…。

 ※ 出来高も、けっこう高い水準だ…。

 ※ 製造業の銘柄は、好決算だったものが多かったのが貢献したか…。

 ※ ここのところの、業種別ヒートマップも、貼っておく…。

https://nikkei225jp.com/nikkei/gyoushu.php

※ 一口に「機械」と言っても、「精密機器」はずっと「下落」だったようだ…。

※ それが、このところ「持ち直して」来ている…。

※ 最初は、自動車→製造用の機械→精密機械…、と波及してきたようだ…。

※ 運送関係も、海運→陸運→空運…、と持ち直してきたようだ…。倉庫運輸も、まあまあだな…。

※ みんな、「ワクチン接種」が普及して、「コロナ収束」を折り込んでいるんだろう…。

※ 問題は、前々から言っているが、「どこで、逃げるのか」だ…。

※ まあ、みんな、そうだろう…。

※ だんだん、「チキンレース」になってきたな…。

『8日の東京株式市場で日経平均株価は大幅続伸し、前週末比609円31銭(2.12%)高の2万9388円50銭で終えた。1990年8月3日(2万9515円)以来、約30年半ぶりの高値を更新した。米追加経済対策の早期成立に対する期待感が高まり、投資家心理が上向いた。企業業績の回復が進んでいるとの見方が強まったことや、8日のアジア株が堅調に推移したことも追い風になった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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ブラジル、ロシア製ワクチン輸入へ 確保優先で方針転換

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN05ET40V00C21A2000000/

『【サンパウロ=外山尚之】ブラジル政府は5日、ロシア製の新型コロナウイルスのワクチン「スプートニクV」について、1000万回分を輸入する意向を明らかにした。1月に「条件を満たしていない」として緊急利用の申請を却下したばかりだったが、接種の遅れが社会問題となる中、基準を緩和してワクチンの確保を優先する。

保健省が声明で、スプートニクVについて「納得できる価格」であることを条件に、輸入を認めるとした。薬事当局である国家衛生監督庁(ANVISA)はこれまでブラジルでの臨床試験(治験)が必要だとしていたが、ワクチンの確保を優先させるため、海外で実施したフェーズ3(第3相)のデータを元に承認する方針に転換しており、近く承認するとみられている。

親米のボルソナロ大統領はこれまで欧米のワクチンを優先していたが、十分な量を確保できない状況が続く。ワクチン接種の遅れでボルソナロ氏を非難する声が強まる中、現在は1月に緊急承認した中国製ワクチンが主力となっている。中南米ではアルゼンチンなどでロシア製ワクチンが利用されている。

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国際社会、足並みにずれ 対ミャンマー 米は制裁示唆

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM070270X00C21A2000000/

『【ジャカルタ=地曳航也】ミャンマー国軍によるクーデターから1週間がたち、国際社会の足並みのずれが目立ち始めた。米欧は民主主義の回復を求めて制裁を辞さない構えを見せる一方、中国は静観している。地政学上の要衝であるミャンマーをめぐるパワーバランスが絡み、一致した対応を難しくさせている。

バイデン米大統領は4日の初の外交演説で民主主義を守るためリーダーシップを発揮することを強調した。ミャンマーのクーデターに触れ「国軍は権力を放棄し、拘束している活動家や政府高官を解放すべきだ」と述べた。「民主主義と法の支配の回復を支援するため、パートナーと協力していく」と制裁も示唆した。

欧州も米国と歩調を合わせる。欧州連合(EU)のミシェル大統領は1日、「クーデターを強く非難する。違法に拘束された人を全て解放することを軍に求める」と訴えた。フォンデアライエン欧州委員長もツイッターで「憲法と(2020年)11月の選挙に従って、正統な文民政権を回復しなければならない」と強調した。

ミャンマーへの影響力が大きい中国は静観する。ブリンケン米国務長官は5日、中国外交トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員と電話し、ミャンマーをめぐり国際社会の非難の輪に加わるよう求めた。楊氏は「国際社会は適切な解決のため良好な環境を整えるべきだ」と国軍への非難を避けた。

国際社会が対ミャンマーで足並みのずれを露呈させたのが国連安全保障理事会の声明だ。4日に発表した報道声明では「深い懸念を表明する」とし、国軍を直接非難する文言を盛り込まなかった。

ミャンマーは中国南部の内陸からインド洋に抜ける地政学上、重要な国で、日本が米豪印などと進める「自由で開かれたインド太平洋」を実現するうえでも、協力は欠かせない。中国にとってもミャンマーは広域経済圏構想「一帯一路」の要衝だ。

政府開発援助(ODA)でミャンマーを支援してきた日本は米欧の強硬一辺倒の姿勢とは一線を画し、国軍との対話ルートを確保する方針だ。国軍を追い込み、国際的に孤立させると、中国の影響力が一層強まると警戒する。ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャへの迫害問題をめぐっても独自外交を展開してきた。

ミャンマーが加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)内でも意見が分かれる。インドネシアやシンガポールなどが懸念を示す一方、タイやカンボジアはASEANの内政不干渉の立場から静観する。まとまりに欠けば、組織の弱体化にもつながりかねず、インドネシアのジョコ大統領とマレーシアのムヒディン首相は5日の首脳会談でASEAN特別外相会議の開催を提唱した。

米国は事態の打開にはASEANの協力が不可欠とみて働きかけを強める。サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は3日、ASEAN加盟国の駐米大使に電話し「ミャンマーの民主主義の早期回復には地域の支援が重要だ」と訴えた。米国がASEANへの関与を強める立場も伝えた。

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[FT]南ア、英アストラゼネカ製ワクチンの接種停止へ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM081LP0Y1A200C2000000/

『南アフリカは英オックスフォード大学と英製薬大手アストラゼネカが開発した新型コロナウイルスのワクチンの接種を中止する方向で動いている。小規模な予備研究により、南アで発見された変異ウイルスが引き起こす軽症や中等症に対して限定的な効果しか確認されなかったことが明らかになったのを受けての措置だ。

南アのムキゼ保健相は7日、重症者などについてさらに詳しく効果を調べるために、2月中に開始される予定だったアスト…

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南アフリカは英オックスフォード大学と英製薬大手アストラゼネカが開発した新型コロナウイルスのワクチンの接種を中止する方向で動いている。小規模な予備研究により、南アで発見された変異ウイルスが引き起こす軽症や中等症に対して限定的な効果しか確認されなかったことが明らかになったのを受けての措置だ。

南アフリカ政府は今月、医療従事者へのアストラゼネカのワクチン接種を開始する計画だった=AP
南アのムキゼ保健相は7日、重症者などについてさらに詳しく効果を調べるために、2月中に開始される予定だったアストラゼネカ製ワクチンの接種を「科学者から必要な対応について明確な指示があるまで」停止すると表明した。

フィナンシャル・タイムズ(FT)が6日の第一報で伝えた研究結果によると、オックスフォード大と南アのウィッツ大学などが実施した小規模な臨床試験(治験)で、アストラゼネカ製ワクチンは南アの変異ウイルスに感染した軽症者について低い効果しかなかったことが示された。この論文はまだ専門家の検証を受けておらず、同社製ワクチンの重症化を防ぐ効果については検証していない。

南ア政府はインドのワクチン生産大手、セラム・インスティチュート・オブ・インディアが生産したアストラゼネカ製ワクチン150万回分を使い、最前線の医療従事者への接種に乗り出す計画を進めていた。今後はすでに発注している他社製ワクチンの供給を加速する。

南ア政府の新型コロナに関する諮問委員会のサリム・アブドル・カリム委員長は「(アストラゼネカ製ワクチンの供給を)引き続き進めるが、段階的なやり方で賢明に進めなくてはならない」と語った。

変異ウイルスによるワクチンへの影響把握を急ぐ
製薬メーカーや研究者は南ア型が一部ワクチンの効果をどれほど低下させるのかを把握しようと急いでいる。南ア型は同国内でまん延し、世界の他の地域でも同様の変異ウイルスが確認されているからだ。

米バイオ製薬ノババックスと米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)がそれぞれ開発したワクチンの最近の治験では、南ア型は他の型よりも予防効果が低くなることが示された。もっとも、重症者については全ての変異ウイルスで予防効果が確認された。

J&Jの南アでの治験を取り仕切っているグレンダ・グレイ氏は、同社の1回接種のワクチンは南ア型の重症者について強力な予防効果があることが示されたため、南ア政府は同社製ワクチンの医療従事者への接種を加速する計画だと明らかにした。

南ア政府はこれまでにJ&J製ワクチンを900万回分、米製薬大手ファイザー製を2000万回分確保している。ムキゼ氏は「今後数週間は両社のワクチンを医療従事者に接種する」と語った。

南アの予備研究を率いたシャビル・マディ氏は、J&J製ワクチンはアストラゼネカ製と構造が似ているため、アストラゼネカ製にも重症化を防ぐ効果があるとの期待が高まっていると話した。

南アでは限られたサンプル数
アストラゼネカは6日、南アの研究の主な対象者は若く健康な成人でサンプル数も少ないため、これは限定的なものにすぎないと強調した。この研究では死者や入院者は記録されておらず、対象者は2000人強で年齢の中央値は31歳だった。

アストラゼネカは自社製ワクチンには南ア型の重症化を防ぐ効果があると確信していると強調した。南ア型には「E484K」という変異が含まれており、これが抗体を無力化しているとみられる。この変異はブラジルや英国の変異ウイルスの一部でも確認されている。

同社はさらに、T細胞など他の免疫反応がこの変異ウイルスが引き起こす重症化を防いでいる可能性があるとの考えも示した。南アの研究はこの反応を測定するのが目的ではなく、データもなかった。だがアストラゼネカによると、初期データではこうした反応が南ア型に有効であることが示された。

オックスフォード大とアストラゼネカは必要なら今年秋の利用を視野に入れ、ワクチンの改良に乗り出す方針を明らかにした。南ア政府のワクチン供給中止の判断について7日にオックスフォード大とアストラゼネカにコメントを求めたが、まだ回答を受け取っていない。

世界保健機関(WHO)はFTの取材に対し、南アの治験はサンプル数が少なく、参加者の重症化リスクも低いため、軽症者と重症者の予防効果を見極めることが重要だと語った。

WHOは「こうした結果から学べることは、新型コロナウイルスや既存ワクチンの効果を弱める変異ウイルスのまん延を抑えて遅らせるために、できることは何でもする必要があるという点だ」と強調した。「製薬メーカーがウイルスの進化に対応し、今後の2度目の接種では最新の変異ウイルスを考慮する必要があることも明らかになりつつあるようだ」と指摘した。

By Joseph Cotterill and Donato Paolo Mancini

(2021年2月8日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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[FT]ユダヤ人差別問題が軽視される理由

[FT]ユダヤ人差別問題が軽視される理由
2冊の新刊書に反ユダヤ思想が横行する背景をひもとく
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM080TU0Y1A200C2000000/

『ユダヤ人を指す「yid(イード)」という言葉には明らかに軽蔑のニュアンスがあるのになぜ、禁句扱いされないのだろうか。英BBCが最近、T・S・エリオットの詩の朗読を放送した時、なぜ「ベデカーを携えたバーバンク」のなかの有名な驚くべき人種差別的なくだりを読み上げたのか。他のマイノリティーに対しては、たとえ芸術の名の下においても、そんな侮蔑を繰り返すことは考えられないのに。

ユダヤ人はなぜ、ダイバーシテ…

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ユダヤ人はなぜ、ダイバーシティー(多様性)やマイノリティーの問題に注目する人たちの監視の対象にならないのだろうか。ユダヤ人は宗教で分類されているが、だからといって無神論者のユダヤ人を迫害から免除すべきだと考える反ユダヤ主義者はいまだかつていない。ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)が今も現代人の記憶に残っているにもかかわらず、左派の多くの人はなぜ、歴史上最も迫害された人種に属する人たちの恐怖を一蹴し、ユダヤ人に対する差別思想を他の偏見ほど重視せず、いわば第2級の差別と見なすのか――。

こうした疑問には、非常にシンプルなポイントと、深い傷が通底する。反ユダヤ主義が高まっているが、政治的な進歩派、つまり日ごろマイノリティーの体験に耳を傾ける必要性を強調し、本来は味方になるはずの人たちが、ことユダヤ人の問題となるとそうしたルールを保留しているようにみえる。それはどういうわけか。作家兼コメディアンのデービッド・バディール氏は短編の著書「Jews Don’t Count(ユダヤ人は考慮されない)」で問いかけている。

Jews Don’t Count (デービッド・バディール著)

この本は、確信的な反ユダヤ主義者や、そうした差別に無関心な人向けに書かれたものではない。進歩派を自認しながら、なにげない(また、そうでない)ユダヤ人差別に死角があるような人に向けられている。一見読みやすいが実は奥が深く、個人的な体験談と随所にきらめくバディール氏のウイットによって深刻さが和らげられている。

同氏の著書は、現代のユダヤ人差別について書かれた短編の新著2作の1つだ。フランス人ラビ(ユダヤ教指導者)のデルフィーネ・オルビルール氏もこの問題を取り上げ、ユダヤ人差別が英国以上に悪質で極端な形で出た国の視点から論じている。オルビルール氏の熟考は興味深いが、あまりにもラビ的で、説教じみている。だが、1つ、重要な金言がある。同氏は新著「Anti-Semitism Revisited(反ユダヤ主義再考)」で、この偏見の根底には「ユダヤ人は、あまりに同じで、あまりに違う」という点があるという。とがりすぎていて溶け込めず、十分に同化しないというのだ。

ジェレミー・コービン前党首の下の英労働党内の反ユダヤ主義をめぐる論争に特に苦しめられたユダヤ系英国人は、バディール氏の著書を共感と絶望が入り混じった気持ちで読むだろう。労働党の問題が持ち上がって以来、人々のユダヤ人差別に対する関心は高まった。だが、暴言や暴力が増えているなかで、ユダヤ人がこの問題への対処をどれほど声高に大声で叫ぶ必要があったか、いかに多くの人が問題を前にただ肩をすくめてきたか、ということを考えると愕然(がくぜん)とさせられる。

なぜ善良な人が気に掛けないのか

Anti-Semitism Revisited (デルフィーネ・オルビルール著)

バディール氏が問うのは、なぜユダヤ人差別が存在するかということよりも、なぜ善良な人が気にかけないのかという点だ。ここでバディール氏はオルビルール氏に通じる領域に入る。疑問を解くカギは、ユダヤ人は社会的・経済的に不遇であるとか、疎外されているとはみられていないことだ。ユダヤ人は典型的には金持ちの資本主義者と描かれる。また人権活動家が扱うには「(肌の色が)白すぎる」。これはユダヤ人が社会正義を唱える活動家の興味の範疇(はんちゅう)に入らないことを意味する。こうした活動家は人種差別を階級の概念としてとらえ、擁護するには経済的または社会的に不利な状況に置かれている必要があると考えるからだ。

こうした進歩派にとっては、「被害者の経験を擁護することで手に入れられる勝利が存在せず、それがさりげない――それも無意識の――除外につながる」とバディール氏は書いている。人種差別と戦う使命は、差別の被害者のニーズではなく、活動家の政治的大義に合う形にすり替えられてしまう。

この点について、バディール氏は「シュレーディンガーの白人」なる概念を持ち出す。ユダヤ人は白人であり、白人でない。大半のユダヤ人は白色人種として通り、「金持ち」であるため、白人の特権を享受する。この洞察を誰かが白人至上主義者に忘れずにシェアしてくれたらよかったのだが。

人種差別の被害者の大半は劣った人たちとして見下される。だが、ユダヤ人は見下されると同時に、裕福で、力を持った邪悪な勢力、つまり内なる敵として描かれる。アウシュビッツを生んだレトリックに通じる。この偏見が、進歩派の死角をあらわにする。ユダヤ人は力を持っている、だからあえて守る必要はない、というわけだ。極左の一部がユダヤ人による陰謀論に加担することすらある。

地位に関係ないユダヤ人差別
これこそが反ユダヤ主義問題の最も鈍感なところだ。反ユダヤ主義は、地位がほとんどものを言わないという奇妙な特質を持つのだ。ユダヤ人差別に対する現代の恐怖の基準点となるホロコーストについて、ユダヤ人自身、多くのユダヤ系ドイツ人の成功や、社会への溶け込み、尊敬される地位は彼らを救う役には立たず、逆に攻撃材料にされたと見ている。

フランスで反ユダヤ主義に抗議するデモ参加者。「我々は、反ユダヤ主義、イスラム嫌悪、人種差別を名乗らない」と書いたプラカードを掲げている=ロイター
ここには、もちろん、左派の看板大義であるイスラエルに対する怒りが包含されている。だが、この点については、イスラエル支持者ではないバディール氏は明快に切り返す。パレスチナ問題は英国におけるユダヤ人差別を正当化する理由にはならず、立派な大義は人種差別を正当化しない、というのだ。

バディール氏の議論はすべてが首尾良く着地しているわけではない。同氏は、トランスジェンダーの役にトランスジェンダーの俳優をキャスティングしない(もしくは、黒人やアジア人が演じる役に白人を起用しない)映画に文句を言う多くの人が、なぜ、漫画風のステレオタイプとして描かれるユダヤ人の役を非ユダヤ人が演じることを何とも思わないのか、と問うている。

バディール氏も、ユダヤ人は必ずユダヤ人によって描かれなければならないとは思っていないと認める。だが、けんかをする時はけんかを選ばなければならない。映画やドラマへの出演では、ほかのマイノリティーの方が大変な思いをしている。バディール氏はここでダブルスタンダード(二重規範)に陥っている。T・S・エリオットの詩に関する議論と同様、文学を検閲することは議論されしかるべきだが、公平な競争の舞台を願うのはもっともなことだ。

その人たちの懸念が無視されているとは到底言えないコミュニティーが特別な要求をしているという批判もありえる。また、緊急性に序列をつけることは、人種差別に序列をつけることを意味しないということも可能だ。世の中にはユダヤ人差別よりも差し迫った問題がある。筆者は英ロンドンで暮らしてきた過去50年間で、理由なく警官に呼び止められたことは1度しかないが、平均的な黒人は異なった体験をしている。

だが、バディール氏はこの点を認識している。「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)」運動の焦点を支持すると同時に、歴史のなかでは、折々に一部の闘いが前面に出るのは当然であり、実際に前面に出ると指摘している。同氏が訴えているのは、ひとえに平等なアウェアネス(認知・気づき)だ。

筆者自身、中立とは言えない立場だが、この簡潔で皮肉が効いた本の読者は、世間で受け入れられている反人種差別の対策が、歴史上最も迫害された人種・民族の1つであるユダヤ人に関しては、あっさり捨てられていることに憤りを感じるはずだ。

ひとつ心配があるとすれば、本著が主にユダヤ人に読まれ、本来読むべき人に読まれないことだ。これは進歩派、自称人種差別反対論者、そしてダイバーシティーやアウェアネスについて教える人たちの必読書であるべきだ。これらの人の座右の書になったなら、バディール氏は素晴らしい貢献を果たしたことになる。そうならなければ、自説の正しさが証明された暗い満足を得る結果になるだろう。

「Jews Don’t Count」(デービッド・バディール著、ウィリアム・コリンズ出版、希望小売価格9.99ポンド、全144ページ)

「Anti-Semitism Revisited: How the Rabbis Made Sense of Hatred」(デルフィーネ・オルビルール著、デービッド・ベロス訳、マックルホース・プレス出版、希望小売価格12.99ポンド、全140ページ)

By Robert Shrimsley

(2021年2月4日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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ロバート・シュリムズリー
Robert Shrimsley 英政治について毎週火曜日と週末に出るFT weekend magazineに論評を執筆。以前は、英政治担当の筆頭記者、ニュース担当デスク、FT電子版編集長を務めていた。

[FT]ユダヤ人差別問題が軽視される理由(16:05)
[FT]英国に分裂の不安再び 首相、強硬離脱のツケ重く

英半導体ダイアログ、ルネサスに会社売却協議 6220億円

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR080GR0Y1A200C2000000/

 ※ 様々な「ASIC」を、設計・製造・販売している会社のようだ…。

ASIC
https://ja.wikipedia.org/wiki/ASIC

https://www.dialog-semiconductor.com/ja

『【ロンドン=佐竹実】米アップルなどを顧客に持つ英半導体大手ダイアログ・セミコンダクターは7日、同業大手のルネサスエレクトロニクスへの会社売却について協議していると発表した。ルネサスが提示した買収額は約49億ユーロ(約6220億円)にのぼる見込み。ダイアログは交渉の進捗について「必要に応じて公表する」としている。

ダイアログはロンドン郊外に本社を置き、独フランクフルト証券取引所に上場している。発表によると、ルネサスは現金による買収を提示した。1株当たり67.5ユーロで、5日の終値を約2割上回る水準だ。

ルネサスは8日、ダイアログの買収について「協議している」との声明を発表した。買収金額についても認めた。

ブルームバーグ通信が7日、ダイアログがルネサスから49億ユーロで買収提案を受けていると報じ、ダイアログは協議が進展していることを認めた。複数の買い手候補と交渉しており、スイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクスとも協議していたという。

ルネサスはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」やデータセンターなど成長分野を強化し、主力の車載事業への依存度を減らしている。2019年12月期の非車載事業の売上高比率は46%まで高まった。

ダイアログは足元で高速通信規格「5G」向けスマートフォンやタブレット向けの需要が好調だ。ルネサスは5Gの電波の送受信の技術開発も進めており、ダイアログの買収には5Gの基幹技術を取得する狙いもありそうだ。

一方、大型買収を懸念する見方もある。8日の東京株式市場でルネサス株は一時、前営業日比86円(7%)安の1162円まで下げた。

ルネサスは17~19年にかけて累計1兆円規模の買収を実施し、財務が悪化した経緯がある。「財務負担リスクを懸念する投資家もいるのだろう」(楽天証券経済研究所の今中能夫氏)との指摘があった。

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メルケル後 日独に吹く風 風見鶏

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR03E6Y0T00C21A2000000/

『「欧州の女王」として君臨してきたメルケル独首相が2021年秋に4期16年の任期を終えて退く。ポスト・メルケルで対日政策にはどんな風が吹くのか。

1月、保守系与党キリスト教民主同盟(CDU)は党内リベラル派の重鎮ラシェット氏を新党首に選んだ。9月に議会選。足元の世論調査で第1党の勢いだから次期ドイツ首相の有力候補だ。

日本では無名のラシェット氏。実は対日外交に強い関心を示したことがある。

「日本との…

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「日本との経済関係を深めたい」。そんな思いが募った20年初め、訪日計画の策定に動いた。自らが州首相を務める独西部ノルトライン・ウェストファーレン州への投資を日本で呼びかけようとした。

同州はオランダなどと国境を接し、近隣外交はお手の物。遠い日本に足をのばせば外交の裾野が一気に広がり、独首相を目指すうえでアピール材料となる。

しかも州都は欧州有数の日本人街があるデュッセルドルフ市。州経済を担う日本は大切だし、あわよくば欧州統合に背を向けた英国から日本企業を奪いたいとの思惑もあった。その後のコロナ禍で外遊は立ち消えになったが、意外なところに日独の政治の絆はある。

日本ではなお中国偏重という印象のあるドイツ。政界での風向きは少し前から変わっている。

アルトマイヤー経済相は18年、アジアの初訪問先として東京を選んだ。ジルバーホルン国防政務次官も取材に語気を強める。「ここには日韓豪やシンガポールなど価値観を共にする国がある」。いま独海軍の太平洋派遣を検討中だ。

欧州の政治情勢の変化が日本への歩み寄りを促す。

債務・難民危機や英国の欧州連合(EU)離脱といった欧州内の懸案にめどがつき、外に目を向ける余裕ができた。伝統的な関心領域の米ロ・中東は体制が充実しているから、自然と「手薄なアジアを強化しよう」という流れになる。

一方で欧州に触手を伸ばす中国への警戒感は強まった。倫理観で世界をリードしたい欧州。強権ぶりが目立つ中国に沈黙したままでは示しがつかない――。そんな機運が広がる。

人権外交は次期政権でさらに活発になりそうだ。選挙で人権を重んじる緑の党が躍進し、CDUなどと組んで与党入りするとの見方がある。香港やウイグル、南シナ海。緑の党は辛辣だ。主要閣僚を握れば一気に対中強硬に傾くだろう。

日本は喜んでばかりもいられない。緑の党は返す刀で日本に注文をつけるかもしれない。原発や死刑制度を廃止せよと迫り、旧態依然の政財界に冷たい視線を注ぐ。従軍慰安婦問題などの歴史認識では、ドイツ政界で最も日本に手厳しい。

追い風のなかに時折、向かい風が吹きそうな気配だが、ほかのリスクもある。

合理主義のドイツは無駄を避ける。主張が曖昧で回転ドアのように政権が入れ替わるなら力を入れる必要がないと考える。メルケル首相は08年の訪日後、15年まで足が遠のいた。

「閣僚はすぐ代わるし、自分の言葉で話そうとしない。訪日する意味がない」。当時、独与党幹部からこんな発言を聞いた。

緑の党と連立を組む中道左派のシュレーダー独首相㊨(当時)とベルリンで会談する小泉純一郎首相㊧(2003年、ロイター)
傲慢な半面、裏表がないのがドイツ流。意見が異なっても信頼できれば損得抜きでつきあう。嫌米のシュレーダー前首相は親米の小泉純一郎元首相とオペラ鑑賞などで親交を深めた。

幸いチャンスはある。交流の舞台を日独が自ら用意する。来年はドイツが主要7カ国(G7)の議長国。翌23年は日本が続く。日独で溝が生じるようなら民主主義陣営の結束はおぼつかない。(欧州総局編集委員 赤川省吾)

ミャンマー軍政「後見役」の中国、愛憎と打算の関係史

ミャンマー軍政「後見役」の中国、愛憎と打算の関係史
アジア総局長 高橋徹
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK080GT0Y1A200C2000000/

『2160キロメートルもの国境を接する国で起きた政変を、さすがに手放しで歓迎はできなかったのだろう。1日にミャンマーで起きたクーデターについて、中国は「友好的な隣国」と述べるにとどめ、静観を決め込んた。

政府の公式見解より、御用メディアの報道の方がわかりやすい。国営通信の新華社はミャンマー国軍による政権転覆を「大規模な内閣改造」と表現した。共産党系の環球時報は「選挙での敗北を認めず、首都での暴動を扇…

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政府の公式見解より、御用メディアの報道の方がわかりやすい。国営通信の新華社はミャンマー国軍による政権転覆を「大規模な内閣改造」と表現した。共産党系の環球時報は「選挙での敗北を認めず、首都での暴動を扇動したとされるトランプ前大統領が、ミャンマー国軍を触発したのではないか」と米国に当てこすった。

深まる米中対立はいまや「民主主義vs強権主義」という国家体制の違いを巡る対立に発展した。後者の優位性を盛んに宣伝する中国が、民主主義における最大の犯罪行為であるクーデターを非難しないことは、首謀者のミン・アウン・フライン総司令官も計算ずくだったはずだ。

クーデターを首謀したミン・アウン・フライン国軍総司令官(3日、国営放送)=ロイター

米欧が今後、経済制裁を発動すれば、ミャンマーはますます中国に傾く。「このままだと中国の属国になりかねない」といった悲観論も聞かれる。本当にそうか。ミャンマー、とりわけ国軍と中国との過去の複雑な関係をたどれば、話はそれほど単純ではないように思える。

ミャンマーが英国から独立したのは1948年、中国共産党が国民党を放逐して中華人民共和国を建国したのは49年だ。国家としての成立が同時期の両国は、翌50年に早くも国交を樹立し、60年には国境条約を結んだ。インドとの間でいまも国境紛争が続く中国が、国境問題を円満に解決した最初の相手がミャンマーだった。

良好だった関係が一変したのは60年代に入ってからだ。62年、ミャンマーではネ・ウィン将軍率いる国軍がクーデターで文民政権を倒し、その後半世紀に及ぶ軍事政権の幕が開いた。一方、中国で66年に文化大革命が始まると、共産主義革命の輸出を外交政策の柱に据えるようになった。

当時最大の反政府武装勢力「ビルマ共産党」に対し、資金や武器を供与する中国とミャンマー軍政の関係は冷え込んだ。67年、まだ首都だったヤンゴンで大規模な反中国暴動が起き、死傷者が出ると、大使の召還合戦に発展した。

76年に中国で文革が終わると、3度目の復権を果たした鄧小平氏は、78年に改革開放や善隣外交を新政策に掲げた。鄧氏は最初の外遊でミャンマーを訪れ、ビルマ共産党への支援を縮小するなど、隣国との関係修復を進めた。

1989年、民主化運動の指導者としてヤンゴンで演説するスー・チー氏。当時のミャンマー軍政を、国際社会で真っ先に承認したのが中国だった=ロイター

そして88年、ミャンマーで大規模な民主化運動が起き、病気の母親を看病するため英国から帰国中だったアウン・サン・スー・チー氏が請われて政治の表舞台に登場する。ネ・ウィン政権がデモ隊を弾圧、数千人の死者が出ると、国軍は事態収拾のため同政権を転覆する「自家クーデター」を決行し、衣替えして軍政を継続した。

その際、ミャンマー軍政を世界で真っ先に承認したのが中国だ。中国自身も翌89年、民主化要求を戦車で蹂躙(じゅうりん)した天安門事件で、米欧から激しい非難を浴びた。東南アジアへ接近した中国にとり、置かれた立場の似通うミャンマーとの関係緊密化は、戦略的な意味合いを伴っていた。

自宅軟禁したスー・チー氏への弾圧を批判し、97年以降に米欧がミャンマーへの経済制裁を強めると、経済大国として台頭してきた中国は投資の担い手、商品の買い手として支えた。米欧の制裁下でも軍政が生き延びたのは、中国の存在があってこそだった。

その軍政が2003年に自ら民主化ロードマップを策定し、民政移管へ段階的に準備を進めたのは、過度の中国依存の危うさと、米欧との関係改善の重要性を分かっていたからだ。例えば中国の支援で開発する発電所は、電力の9割を中国向けに供給する条件を課すなど、停電頻発に苦しむミャンマー国民からの評判は最悪だった。

だからこそ軍政は、徐々にではあるが「脱・中国」の試みを進めた。

民政移管に向けた10年の総選挙の直前には、北部の商都マンダレーに氾濫していた漢字の看板の撤去を命じた。安価な中国製二輪車が市場を独占し、特産のヒスイやルビーの買い付けに中国人が大挙して押し寄せる街なのに、だ。

11年に軍政を承継したテイン・セイン政権は同年、イラワジ川上流で中国と共同で建設していた「ミッソンダム」の工事凍結を突如として表明した。流域の環境や住民に与える影響が大きいとかねて批判が強く、軍出身の大統領が「国民の意思に反する」と説明した。14年には中国・雲南省からミャンマー西部のチャオピューまで共同建設に合意していた鉄道計画を、これも国内の反対を理由に白紙撤回した。子飼いと思っていた隣国の〝反乱〟に中国が不快感を示したのは言うまでもない。

16年に政権を握ったスー・チー氏は中国に接近した(20年1月、習近平国家主席=左=との会談)=ロイター

両国の距離を再び縮めたのは、むしろ16年に発足したスー・チー氏率いる文民政権の方だ。中国とは「水と油」と思われたスー・チー氏だが、イスラム系少数民族ロヒンギャの迫害問題で自身が国際社会の非難を浴びると、ミャンマーに肩入れする中国に傾いた。

広域経済圏構想「一帯一路」を受け入れて「中国・ミャンマー経済回廊」の整備に合意。チャオピューでの大型港湾開発のほか、政変が起きる3週間前には、旧軍政が葬ったはずの鉄道の事業化再調査の覚書まで締結していた。

クーデターによって政治権力を奪い返したミャンマー国軍も、当面は中国の支援をあてにしているのは間違いない。ただし、そもそも中国一辺倒のリスクをかねて認識していたのは国軍自身である。

「国軍」と「中国」が、ミャンマー国民の反感を呼び起こす二大キーワードであることや、制裁再発動をちらつかせる米欧が自国をこのまま中国の側に追いやるのをためらっていることを、ミン・アウン・フライン氏は十分に理解しているだろう。1年間の非常事態宣言の解除後、再選挙実施を公言している同氏は、民意をこれ以上敵に回さないよう、中国との間合いを慎重にはかる可能性が高い。

曲折を経たミャンマーと中国の隣国同士の関係史に、米中対立下での国際政治の打算が複雑に絡み合うのが、いまのミャンマーを取り巻く状況だ。世界を揺るがせたクーデター後の駆け引きは、決して一筋縄ではいきそうにない。

=随時掲載

高橋徹(たかはし・とおる) 1992年日本経済新聞社入社。自動車や通信、ゼネコン・不動産、エネルギー、商社、電機などの産業取材を担当した後、2010年から5年間、バンコク支局長を務めた。アジア・エディターを経て、19年4月からアジア総局長として再びバンコクに駐在。論説委員を兼務している。著書「タイ 混迷からの脱出」で16年度の大平正芳記念特別賞受賞。

スルメイカ不漁の裏に中国漁船、日本の4倍を乱獲か

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC071MO0X00C21A2000000/

 ※ イカも、だんだん、食えんようになるのか…。

『北海道のスルメイカ(マイカ)漁獲量(速報値)は前年比44%減の約6000㌧と、スルメイカのみの集計を始めた1985年以降で最少だった。全国的に続く記録的な不漁の一因は中国漁船による日本海での乱獲。日本全体の4倍近い量を乱獲しているという推計もある。

イカ研究の第一人者である函館頭足類科学研究所の桜井泰憲所長(北海道大学名誉教授)によると、海水温や海流の変化によるイカの増減は過去にもあり、回復も期待…

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イカ研究の第一人者である函館頭足類科学研究所の桜井泰憲所長(北海道大学名誉教授)によると、海水温や海流の変化によるイカの増減は過去にもあり、回復も期待できる。より深刻なのは、資源保護に配慮しない中国漁船による乱獲だ。

スルメイカの寿命は1年。東シナ海や日本海西部で産まれて日本海と太平洋を北上し、再び南下する。全国の漁獲量も10年代前半から減っており、20年も低水準が続いたもようだ。

スルメイカの回遊ルートである日本海に入り込む中国漁船が日本全体の4倍近い年15万㌧を乱獲していると推計され、資源減少を招いている。

中国漁船は21世紀に入り、北朝鮮からの漁業権取得や日韓の排他的経済水域(EEZ)での違法操業により日本海へ本格進出した。国立研究開発法人水産研究・教育機構(横浜市)は漁船の人工衛星データ分析などから、19年の日本海のスルメイカ資源量は約54万㌧、中国による漁獲量は年15万㌧とする推計を20年10月に公表した。

中国は日本のEEZ内で1000㌧級の大型船から網を下ろし、産卵前を含むイカや魚類を根こそぎ狙う。日本の漁船は魚介類を横取りされたうえ、危険を避けるため出漁を見合わせることもある。全国漁業協同組合連合会と日本海側各県の漁協は20年10月、外国船違法漁船取り締まりを政府に要請した。水産庁の担当者は「取り締まりと、中国や韓国、ロシアを交えた資源管理を並行して進めたい」と話すが、中国が協力するかは不透明だ。

「イカの街」北海道函館市では最近、新鮮なイカ刺しの入荷がない飲食店も目立つ。漁獲量の急減に加え、新型コロナウイルスの感染拡大も追い打ちをかけ、かつて100億円を超えていた北海道の漁獲金額も38億円へ激減している。

函館市水産物地方卸売市場で20年6月~21年1月に取引されたスルメイカの1㌔㌘単価は生鮮が前年同期より16円安い836円、冷凍は143円安い731円。生鮮・冷凍ともに1㌔㌘200~300円台だった2010年代前半に比べ高騰していたところに、外食や土産物の需要減が直撃した。

不漁は、東北地方や日本海側も同様だ。農林水産省の全国統計によると、19年のスルメイカ漁獲量は17%減の3万9587㌧で、6年連続で減少。平成以降で豊漁だった1996年の約44万4000㌧の1割以下にすぎない。水産庁の月次集計によると、20年4~11月の漁獲量は合計2万3000㌧で、16~17年の半分程度にとどまる。

北海道では輸入品やアカイカなど他のイカを使う水産加工会社も増えた。函館市はスルメイカ以外の魚介類・農産物加工に進出する企業を助成しているが、こうしたリスク分散も緒に就いたばかり。漁師や飲食店を含めたスルメイカ経済圏の復調には時間がかかりそうだ。

(伊藤政光)

失脚した薄熙来氏がすごした場所 北京ダイアリー

失脚した薄熙来氏がすごした場所 北京ダイアリー
中国総局長 高橋哲史
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM082H10Y1A200C2000000/

 ※ 王立軍・薄熙来事件から、もう9年も経つんだな…。

 ※ 時の米国政権は、オバマ政権の1期目の終わり頃(2期目は、2013年から)だ…。バイデン氏は、副大統領だった…。当然、事件のいきさつも、副大統領の職務の範囲内では、情報を得ていることだろう…。

 ※ 谷開来、薄瓜瓜は、どうしているんだろう…。

 ※ 某国の権力闘争は、「首」がかかり、「敗北」ともなれば、「一族郎党、総失脚」だから、桁が違う…。

『中国共産党を揺るがしたあの事件から、9年がたった。

2012年2月6日、重慶市のトップだった薄熙来氏の側近、王立軍副市長が四川省成都の米総領事館に駆け込んだ。薄氏の失脚につながる異様な事件の始まりである。

重慶市の公安局長を務めた王氏は、米側に薄氏の妻による英国人実業家の殺害を明らかにし、米国への亡命を求めた。ほかにも薄氏に関する大量の機密情報を米側に持ち込んだとされる。

国家副主席だった習近平(…

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薄熙来の妻・谷開来に執行猶予付き死刑判決
http://china.hix05.com/now-4/now403.kukairai.html

ハーバードから姿を消した
薄熙来の息子はどこへ?
習近平の娘も在籍中
天正高夫
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/1879

国家副主席だった習近平(シー・ジンピン)氏が訪米する直前だった。事件の7日後、秋に開く党大会での総書記就任を確実にしていた習氏は米国に渡り、オバマ政権で副大統領の職にあったバイデン氏と長時間にわたって会談した。

その際にバイデン氏から、薄氏が習氏の総書記就任を阻もうとしているとの情報がもたらされたのではないか。そんな臆測がくすぶる。

真相はもちろん定かでない。ただ、習氏の帰国後に、薄氏が権力の座から転げ落ちていったのは事実だ。最高指導部入りがささやかれていた薄氏は、3月に重慶市トップの党書記を解任され、4月には「重大な規律違反」で党政治局員の職も解かれた。

薄氏が収監されたのは、北京の中心部から北に50キロほど離れた「秦城監獄」だった。

中国でその名を知らない人はいない。文化大革命を主導した毛沢東の妻、江青ら「四人組」をはじめ、一級の政治犯だけが留め置かれてきた特別な監獄だからだ。

6日午前、その近くまで行ってみた。高い塀に囲まれ、中のようすはうかがい知れない。時折、一般の乗用車が出入りするのが見える。収監されている人物の親族が面会に訪れたのだろうか。

薄氏の後ろ盾だった元政治局常務委員の周永康氏や、胡錦濤(フー・ジンタオ)前国家主席の側近だった令計画氏もここにいるはずだ。いずれも権力の中枢からすべり落ちた人たちで、死ぬまで塀の外に出られないかもしれない。

もっとも、薄氏はすでにこの監獄にいないという説がある。重い病を患って出所が認められ、国内のどこかで療養している、とのうわさが絶えない。

もしやと思い、公開されている裁判資料にあった薄氏の住所を訪ねてみた。

北京の中心部にあるその家屋は廃虚と化し、いまはとても人が住めそうにない。近所の人が「昔はとても立派な家だった。薄熙来がここで暮らした期間は短かったんじゃないだろうか」と教えてくれた。

薄氏の失脚から半年後に最高指導者の地位に上り詰めた習氏は、来年秋の党大会で3期目をうかがう。4日には貴州省の空軍基地を視察し、まもなく春節(旧正月)を迎える兵士らをねぎらった。

1月に就任したバイデン大統領との電話協議はまだ実現していない。ふたりの間にはどんな貸し借りがあるのか。中国の苛烈な権力闘争は、米中関係とも複雑に絡む。

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高橋哲史 (たかはし・てつし)
1993年日本経済新聞社入社。返還直前の香港での2年間の駐在を含め、中華圏での取材は10年に及ぶ。2017年から2度目の北京駐在で、現在は中国総局長として変わりゆく中国の姿の取材を続けている。