危機が迫る大転換 2025年の金融や産業、働き方はhttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO67198910Q0A211C2970M00
『Technology──技術
「バーティカル」に価値 予定の取材時間を超えていたが、ソフトバンクグループの孫正義社長は上機嫌だった。米シリコンバレーの社屋でテクノロジーの未来を語り、身長が2メートルを超す大男を部屋に招き入れる。「山賊みたいな見た目だが、素晴らしい男なんだ」。買収を決めた米携帯電話販売大手、ブライトスターのマルセロ・クラウレ最高経営責任者(CEO)だった。
それから7年、クラウレ氏の役割は変転した。孫氏が手中に収めた米携帯大手スプリントのCEOを経てソフトバンクグループ幹部に。今は米シェアオフィス大手ウィーワークの会長も務める。これは40年近く投資家として勝ち残ってきた孫氏の関心の変化を映す。
パソコン、インターネット、そして携帯電話へと投資先を移してきた孫氏は語る。「ソフトバンクグループは人工知能(AI)革命への投資会社になった」。ウィーワークへの投資では一敗地にまみれたが、それでもAIとの融合を見込むモビリティーや不動産、医療といった分野で投資を重ねる。
個別の産業を指すバーティカル(垂直)という言葉を聞く機会が増えた。米グーグルも強く意識する一社だ。スンダー・ピチャイCEOは主力の広告を上回る成長を続けるクラウド事業について「金融や小売りといった注力分野への集中が奏功した」と説明する。
「ソフトが世界を食い尽くす」。米著名投資家のマーク・アンドリーセン氏がIT(情報技術)革命の幅広い波及を予想してから間もなく10年。予言は現実になりつつある。孫氏の言葉を借りれば「これまでに置き換わったのは広告業界で、世界の国内総生産(GDP)の1%」。残り99%の大転換を控え、バーティカルの価値が今ほど高まっているときはない。
(シリコンバレー=奥平和行)
新たな企業の寡占化も
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)でデジタルサービスの利用が一気に拡大した流れは、2025年も続いているだろう。感染拡大を機にデジタル界では様々な新しい「王者」が誕生した。この動きも続く。驚くかもしれないが、25年にはその結果、今の巨大テック各社の力が弱まっている可能性がある。
もし米アマゾン・ドット・コムと米グーグルがクラウドコンピューティング事業を自主的に分社化すれば、新世代の法人向けテック企業が登場する余地が生まれる。米ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を含むいくつかの企業は急成長したが、様々なコミュニケーションやコラボレーションを提供できるプラットフォームとして存在感を強めているだろう。
個人向けインターネットサービスの世界では、これまで一部の巨大テック企業が新興企業を買収して競争を排除してきたが、当局が阻止するようになっているかもしれない。そうなれば幅広い企業がこの分野に参入するようになる。
デジタルサービスを利用して成長してきた若い世代は常に新しさを渇望しており、ゲームの中でのコミュニティーであれ、生活の様々な面を共有できる対話アプリであれ、新たな体験への旺盛な需要は続く。巨大テック企業を辞めていくエンジニアたちが、こうした需要に拍車をかけるだろう。
25年にはデジタル業界がさらに多様化している可能性もある。ただ「勝者総取り」ではないものの、一部が「大半を取る」構図はほとんどの市場で続く。つまり、新たなオンラインサービスでも各分野の勝者は1、2社に限定され、一部の新たなデジタル企業による寡占化が進むだろう。
(FT米ウエストコースト・エディター リチャード・ウォーターズ)
様々な企業や地域が激しい競争を繰り広げているだろう=AP
Finance──金融
新陳代謝の大競争に
企業の新陳代謝を巡る世界の競争が激化し、株式市場がその勝敗を映し出すだろう。危機はイノベーションを生む。コロナを経て次の「GAFA」が生まれるかは国の競争力を決める。
7~9月の米国の起業件数に驚いた市場関係は多い。157万件と4~6月から一気に77%も増えた。コロナで職を失った人や、時代の変化を嗅ぎ取った人が続々と会社を起こしている。5年後には企業価値が10億ドル(1000億円強)を超えるユニコーンがこのなかから生まれ、IPO(新規株式公開)しているかもしれない。
2008年のリーマン危機とともに創業した民泊のエアビーアンドビーは今月IPOにこぎ着けた。翌09年創業の配車サービス、ウーバーテクノロジーズは昨年株を公開。900億ドルを超えた時価総額は米上位100社に入る。
米CBインサイツによると、先月のユニコーン数は米国の242、中国119、英国やインドが24と「若い大企業」が育っている。
日本は4社にとどまり、経済の老化が鮮明だ。ある「日米逆転」も、遠からず話題をさらうだろう。日本の上場企業数が米国を上回る。米国は1996年から半減して今は4000社。日本は3000社から3800社に増えた。
米国では不振の上場企業が市場の圧力で再編に追い込まれたが、企業改革の圧力が弱い日本では延命されてきた。時価総額が帳簿価格を下回る「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ銘柄」が、日本は全銘柄の半分と米国の2倍に及ぶ。「日本株式会社」が新陳代謝を怠ってきたからだ。
日本が目指す金融ハブの座も、マネーを引き付ける「生きのいい会社」が増えてこそ。成否が分かるまでに5年もかかるまい。
(本社コメンテーター 梶原誠)
せめぎ合うAIと規制
市場は上下に動く。金融各社もまた浮沈を繰り返す。だが一つ確かなことがある。2025年には人工知能(AI)が金融をつくり替え、様々な企業や地域が新しい世界の支配権を握ろうと激しい競争を繰り広げているだろう。
中国が主導的立場の国の一つとなるのはほぼ間違いない。アント・グループなどの中国企業は国が保有する膨大なデータベースもあり、AIを活用した金融の世界でいち早く先頭を走っている。
日本と米国の銀行も25年までに中国企業に追いつこうと必死になる。米アマゾン・ドット・コムなどの企業もAIを使った金融サービスに乗り出すだろう。フィンテックを巡る激烈な戦いは、金融機関とテック企業の間でも繰り広げられることになる。
勝者を決めるもう一つの要因は規制の動向だ。当局は25年にはAIの思考経路が不透明だとして、「ブラックボックス化」していく問題にさらに目を光らせ、警鐘を鳴らすようになるだろう。
理屈上、フィンテックは効率化やスピード化、顧客別の対応、借り入れコストの低減など極めて大きな恩恵をもたらす。だが実際には寡占化を促し、人種差別などの社会的な偏見がプログラムに埋め込まれる恐れもある。
何より最大の懸念は、AIが常にデータを収集し、学習し続けるフィードバックループだ。アルゴリズムが判断を下すまでの過程が不透明であることを考えると、当局がこのループを監督するのは容易ではないことは明らかだ。
規制当局はAIの不透明性と付随するリスクへの懸念を一層募らせているだろう。25年には、それらが次の金融危機を招く火種になっている可能性は十分にある。
(FT米国版エディター・アット・ラージ ジリアン・テット)
消費者の意識に変化が生じている=AP
Industry&Retail──産業・小売り
「無形資産」経営、主流に
企業経営では特許や商標、ソフトウエアに象徴される無形資産を重視した動きが活発になる。
ソニーを見てみよう。この5年で工場など有形資産の圧縮が進み、2020年3月期は資産の有形・無形比率が1対1になった。営業利益でもゲーム、映画など無形資産由来が半分を超え、今後もさらにハードウエア分野から遠ざかっていく方向性が見える。
中国や韓国との過当競争を避ける狙いもある。だが、多くの産業をデジタル化が覆い、米「GAFA」のように収穫逓増型で企業価値を追う経営が世界の潮流になったことが大きい。GAFAの価値の源泉が知財やソフトだ。
日本全体で見れば、有形資産への投資が無形資産をなお上回る。米英では拮抗し、中国は無形向けが厚いが、今後は日本でも無形資産投資が増えるだろう。待ち構える要素が2つあるからだ。
1つは電気自動車だ。ネットやソフトとの相性がよく、世界的な環境規制強化に合わせて普及が進めば自動車産業のデジタル化、ソフト化も加速する。ハードでなくソフトで車の性能を高める技術で注目の米テスラの躍進が象徴的である一方、トヨタ自動車も最近、ソフト重視の経営を掲げた。
2つ目がデジタルツイン(電子の双子)の普及だ。仮想空間上に現実世界のヒト、車、インフラなどの「双子」を構築し、そこでビッグデータ処理、商品開発、サービス提供、課金など多くの経済活動を実現する技術だ。
米国のアマゾン・ドット・コムやグーグルが流通企業の買収などで有形資産を増やす意外な行動に出ているが、それもツインを使い現実世界をより仮想空間に取り込むためと考えれば説明がつく。まさに無形資産の時代なのである。
(本社コメンテーター 中山淳史)
消費者、より注意深く
新型コロナウイルスの感染拡大前、小売業界は変革のさなかにあった。消費者は実店舗で買い物をする頻度が減り、インターネットを利用した買い物の回数は増えていた。生活において思い切って高級品を買うケースがある一方で、必要ないと判断すれば低価格品ですませ、中間に位置するような買い物は減る傾向にあった。そして倫理的に問題のない消費を心がけるようにもなりつつあった。
2025年になってもこの変化は続いているだけでなく、むしろ傾向は強まっているだろう。コロナ禍によりネットで注文したり、店内に入らずに商品を受け取ったりすることを迫られた消費者は、賢い買い物の仕方を学んだのだ。
リモートでの買い物は25年には今にも増して簡単になって便利になっているだろう。20年の時点で電子商取引が小売業に占める割合は10%台半ばだが、5年後には25%程度にまで拡大すると予想される。
日本のドン・キホーテや米ウォルマートなど、安さを売りにしたディスカウントストアは厳しい環境に置かれる。消費者は狭い店に行くよりも、ネット上でいろいろな商品を比べながら選ぶようになるからだ。外出は楽しむ目的のためにするものであり、頻度も減るだろう。
米国で1990年代半ば以降に生まれた「ジェネレーションZ」は浪費を忌み嫌い、買い物をあまりせず、ネット上で服を交換している。25年には彼らは大人になっている。従ってファストファッションは商品の回転速度を緩め、低価格という経済的価値だけでなく、地球環境への価値を高めなければならない。25年の消費者はみな、注意深くなっているだろう。
(FTビジネス・コラムニスト ジョン・ギャッパー)
主要国が一斉に脱炭素へかじを切った=ロイター
Energy──エネルギー
脱炭素技術が競争左右
新型コロナウイルスの感染拡大は私たちの生活を変えた。在宅勤務やオンライン会議が定着すれば危機が去っても移動に要するエネルギー需要は危機前のようには増えないかもしれない。加えて脱炭素のうねりがエネルギーの需給だけでなく、国際政治やビジネスに変化を迫る。主導権を誰が握るのか。これからの5年が左右する。
欧州連合(EU)や日本は2050年に温暖化ガスの排出をゼロにする目標を掲げる。米国の次期大統領就任が確実なバイデン氏も50年の排出ゼロが公約だ。世界最大の温暖化ガス排出国である中国は60年ゼロを表明した。
しかし実現には飛躍的な技術革新と経済・社会の構造転換が欠かせない。国際エネルギー機関(IEA)によれば、今後10年で電気自動車(EV)の販売台数は現在の20倍に、水素の供給量は100倍に増やす必要がある。再生可能エネルギー中心の電力システムにつくり替えるには、30年までに足元の4倍となる1兆6000億ドル(166兆円)の投資が要る。
脱炭素時代に国家や企業の競争力を左右するのは、石油や石炭など地下資源の多寡でなく、こうした技術の支配力である。20世紀が「石油の時代」だとすれば、そのエネルギー秩序を主導してきた米国に挑戦するのは中国だ。
太陽光発電パネルや風力発電機、EVとその車載電池など、温暖化対策を支える技術や製品について、国家主導の導入推進策や産業振興策を追い風に世界市場で圧倒的シェアを握りつつある。
エネルギーは技術覇権をめぐる米中摩擦の最前線だ。そのはざまで脱炭素の技術や素材をどう安定確保するのか。エネルギー転換が迫る新しい資源安全保障が、国家や企業の課題になるだろう。
(編集委員 松尾博文)
原油産業、不確かな未来
石油産業は1世紀以上にわたって好況、不況の波を繰り返し経験してきた。原油価格が下落しても、過小投資と消費の増加が最終的には価格を押し上げてきた。
そのため、原油価格は2020年、1バレルほぼ45ドル(約4600円)付近で推移し、6年前の半分以下の水準に低迷してきた。いずれ市況が回復して、25年ごろまでには大幅に上昇していると予想するのは自然なことに思える。
しかし、そうした予測はもはや確実ではない。世界のエネルギーシステムが100年に1度の大転換期を今、迎えつつあるからだ。
各国政府が温暖化ガス削減に向けて野心的な目標を掲げ、電気自動車(EV)が普及していくのに伴い、石油の需要は早ければ10年以内にピークを迎えるとみられる。果てしなく成長し続けることに慣れきってきた産業にとっては実に大きな不安材料だ。
もしエネルギー関連企業が設備投資をやめたとしたら、消費が落ち込んでも供給不足に陥るだろうか。あるいは主要産油諸国は原油を抱えていても価値を生まない「座礁資産」になることを恐れ、できるだけ多くの原油を急いで採掘するだろうか。サウジアラビアとロシアの間で今春、価格戦争が短い間起きた時、世界はそんな未来の一端を垣間見た。
誰にも確かなことはわからない。しかし、需要のピークが近づき、長年の確信がひっくり返る恐れがある。エネルギーの転換が加速し、各国政府が化石燃料の使用を減らす政策を一層積極的に後押ししていくのに伴い、石油産業に長年染み込んできた考え方は通用しなくなる。恐らく石油サイクルに関連する発想も見直しを余儀なくされる。
(FTエネルギー・エディター デイビッド・シェパード)
パンデミックが日本型雇用を突き崩す原動力となっている
Work style──働き方
脱・日本型雇用へ号砲
毎朝定時に出勤し、上司や同僚と時間・空間を共有して働く。不変と信じた働き方を新型コロナウイルスは壊した。今やワーク・フロム・ホームは世界の潮流だ。特に日本ではパンデミックが図らずも日本型雇用を突き崩す原動力となっている。
キリンホールディングスは10月にグループ主要4社4千人の通勤費支給をやめた。代わって月3千円の在宅勤務手当を支給する。テレワークを前提とした働き方に改める。社員の創造性をどう高めるか。ここ数年の経営課題だった。新型コロナで強いられたテレワークにヒントがあった。「自律的に働けると社員のやる気が高まった」(人事総務部)
欧米では主流のジョブ型雇用へ。日立製作所や資生堂、損害保険ジャパンなど移行表明はやまない。職務や目標、求められる能力や経験を事前に決め、社員に示す。やるべきことが明確なのでテレワークとの親和性が高い。適所適材に道を開き、年功序列に基づく順送り人事に終止符も打てる。
日本型雇用の下、社員は定年までの安定雇用と引き換えに、残業や配置転換、転勤をいとわず、会社の意のままに働いてきた。経済成長期には人員を成長部門に効率的に割り振るのに有効なシステムだった。前提は消えたのに日本型雇用の仕組みだけは残っていた。
2020年の日本の生産年齢人口(15~64歳)は推計約7400万人。20~25年に236万人も減り、その後も減少は加速する。30~39年は898万人も減る。英国ロンドン市の人口に匹敵する働き手がわずか10年間で日本から消える。少数精鋭でも世界と対等に戦える組織をどうつくるか。日本型雇用に代わる雇用システム構築へ残された時間は意外と少ない。
(編集委員 石塚由紀夫)
弱者がさらに不利に 2025年の労働環境は一部の労働者にとって、より柔軟かつ幅広い選択肢が与えられる。他の労働者は今にも増して短期的な仕事ばかりが増え、容赦なく不安定になるだろう。
新型コロナウイルスによる危機が発生する前にすでに労働市場での地位を確立していた高度な人材は、25年には「ハイブリッド」な働き方の成果を享受しているだろう。つまり、多くは自宅で週1~2日だけ仕事をする。毎日出社して自分の存在感をアピールする「プレゼンティズム」はもはや昇進の必須条件ではなくなる。
働く女性は子供を持つようになっても、自分のキャリアの追求と両立しやすくなるだろう。企業における男女間の格差問題も改善し始める。在宅勤務などリモートワークが当たり前になり、発展途上国の才能ある人材が先進国の企業で働く機会が増えることにもつながっていくだろう。
しかし、強力な政策を実施していかなければ、25年の労働環境は多くの人にとって今より悪化する。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後も高失業率は数年続くとみられ、若者や低熟練労働者など、もともと雇用者との力関係が弱い人々はさらに不利な立場に追い込まれる。
企業は中核となる重要な人材は雇用し続け、高額な報酬を払う。それ以外はブルーカラーでもホワイトカラーでも、派遣社員やフリーランスで済ませることが多くなるだろう。
若者は頻繁に職がない時期を迎え、それが普通のこととなる。職業訓練や昇進、年金を提供してくれる雇い主を探すのは、今にも増して困難になる。25年には若者は強い怒りを抱いているだろう。
(FTエンプロイメント・コラムニスト サラ・オコナー)
習氏(右)は強権的な一党支配の強みを生かす=ロイター
China──中国
勢いづく強権の中国
新型コロナウイルスの脅威にさらされたにもかかわらず、権力基盤を固めた唯一の指導者ではないだろうか。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席である。強権的な一党支配の強みを生かし、5年後も最高指導者の地位にとどまり続けている可能性が高い。
11月1日発売の共産党理論誌「求是」に、習氏が4月上旬の会議で発言した内容が唐突に載った。「国際的なサプライチェーン(供給網)のわが国に対する依存度を高め、供給を断とうとする外国への強力な反撃と威嚇の能力を形成しなければならない」
新型コロナへの対応をめぐり、トランプ米政権との対立が激しさを増していたさなかの発言だ。「外国」が、中国とのデカップリング(分断)を仕掛ける米国を指すのはまちがいない。
10月下旬の第19期5中全会で打ち出した「双循環」という名の戦略こそ、2035年までをにらんだ中国経済の青写真だ。
外需への依存を減らし、中国が世界に頼るのでなく、むしろ世界が中国抜きでは立ちゆかないようにする。21年から始まる次の5カ年計画はその第一歩となる。
双循環の実現に向け、習氏は着々と動く。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定に続き、環太平洋経済連携協定(TPP11)への参加にも意欲を示す。
22年の次期党大会に向けた準備も余念がない。10月には党の新条例で、習氏を別格の指導者である「核心」と改めて位置づけた。建国の父、毛沢東氏が死ぬまで手放さなかった「党主席」の復活に向けた布石との臆測が広がる。
選挙の洗礼を受けずに大胆な政策を即断即決する一党支配の強みは新型コロナへの対応で存分に発揮された。自信を深めた習指導部が強硬姿勢を弱める気配はない。
5年後も強権の中国は大きく変わっていないだろう。民主主義陣営の苦悩は続く。
(中国総局長 高橋哲史)』
テクノロジーと中国が占う5年先の世界 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67202300Q0A211C2970M00?n_cid=DSREA001
不平等・債務… 混迷の時代をよむ5つの視点 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67202330Q0A211C2970M00?n_cid=DSREA001
危機克服の処方箋、世界の英知から https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67202340Q0A211C2970M00?n_cid=DSREA001
コロナに学び、世界の行方を読む指針に https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67202370Q0A211C2970M00?n_cid=DSREA001
データが映す世界 民主主義に不満、自然災害急増 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67199000Q0A211C2970M00?n_cid=DSREA001
アジアや若者、技術革新に期待 3メディア読者調査 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67199030Q0A211C2970M00?n_cid=DSREA001