













アルメニア対アゼルバイジャンとイランの国境情勢…。
https://st2019.site/?p=20478
『複数のニュースを編合して、アルメニア対アゼルバイジャンとイランの国境情勢を整理しておく。誰も気にしてなさそうなので。
イランはコーカサス山地において、アゼルバイジャンならびにアルメニアと国境を接している。1991年から94年にかけての「第一次ナゴルノカラバフ戦争」の直後、「アルメニア軍占領区」とイランの国境線は138kmあった。しかし2020年の「第二次ナゴルノカラバフ戦争」でアゼルバイジャン軍が係争領土を奪い返した結果、イランとアルメニアの国境はわずか40kmにまで縮小した。
陸封国であるアルメニアにとって、イランとの接壌国境がまったくゼロになることは、経済的な悪夢だ。というのは宿敵アゼルバイジャンはトルコの兄弟国のようなものなので。
イランも、第二次カラバフ戦争より後は、アルメニア国境を気にかけざるをえない。石油を密輸出したいイランにとっては、アルメニア→ジョージアというルートで黒海の港までアクセスができるオプションは、捨てられない(トルコ領経由は問題外)。
アルメニアは人口たったの300万。面積でもアゼルの三分の一でしかない。トルコとの国境には、アララト山がある。しかしアルメニア人はその山を通ってトルコに入ることは許されない。
2020の停戦いらい、ロシア軍が平和維持軍として「ラチン回廊」に駐留してきた。
アルメニア本国と、飛び地のナゴルノカラバフを連絡する道路である。
2020の第二次ナゴルノカラバフ戦争では、ロシアはイラン領空を経由してアルメニアに武器弾薬を援助した。
しかし第二次カラバフ戦争の結果、アゼルは「ザンゲズル回廊」を設定しようと欲するようになっている。すなわち40kmの国境帯を支配して、東西打通してしまおうというのだ。露軍が抽出されて手薄になったので、これが実現しそうだった。
2020年のカラバフ停戦協定の第9条で、アゼルバイジャンにはナヒチュヴァン(アルメニア領内にある飛び地の自治区)への連絡通交が許容された。イランはそれに文句を言ってない。
過去30年、バクーを首都とするアゼル本国と、ナヒチュヴァンのあいだの、人や商品の行き来は、国境南側のイラン領を経由するしか、なかった。
アゼルは、トルコの支持を受けて、この回廊を直結させたい。しかしそれは、アルメニアからイラン接壌帯を奪うということになる。
イランは、それを許容するつもりはない。ハメネイはエルドアンに7月に面談してそれを伝えてある。
回廊がアゼルのものになると、トルコが直接にコーカサスにアクセスできることになる。トルコはNATOメンバーである。これはイランやロシアにとって、とんでもないことだ。
ザンゲズール回廊はトルコとアゼルバイジャンを最短で結ぶ交通路。従来、トルコが中央アジアにアクセスするためには、トラックは、イラン領を通る必要があった。イランはそのトラックから通行税を徴収していた。
2022-9に、またアゼルとアルメニアは戦闘再開した。双方で300人近く死んだらしい。イランはこのときアルメニア国境にイラン軍およびIRGC(イラン革命防衛隊)を5万人展開した。露軍の不在を、イラン軍が補った形だ。イランはロシアに恩を売った。
さらにイラン軍の参謀総長は9月22日、「イラン対イラク戦争」記念日の軍事式典に臨んで演説し、もしアゼルが回廊打通に乗り出せばイランは参戦すると宣言して、交渉による解決を促した。
イランは、アゼル経由ロシアというルートも持っている。どちらの交易路も保持するのがイランの国益だ。ただしアゼルは、イランの宿敵のイスラエルと結託している。
もうひとつ。「アラス川水資源問題」がある。この川はアゼルとイランの国境線を成しているが、源頭がトルコにある。アゼルが回廊を支配すると、上流と中流でアゼルが水を消費してしまえるようになる。
イランの農民は近年、水不足で苦しめられている。それが改善されずに悪化するなら、どんどん反政府的になってしまうだろう。
10月6日に、プラハで会談がセットされた。フランス、トルコが立会い、アルメニアとアゼルバイジャンの再燃戦争を沈静化させることになった。マクロンとEUが主導している。
ロシアが面倒みてくれなくなった小国のアルメニアが、ロシア抜きの多国間合意に入った。イランは会議には出ていないが、アゼルとトルコを軍事力で牽制した。ロシアの影響力だけが縮小している。』
露軍は重爆撃機を何機もっているのか。
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『ストラテジーペイジの2022-10-19記事。
露軍は重爆撃機を何機もっているのか。
275トンの「ツポレフ160」×15機。これが「B-1スキー」だ。
126トンの「ツポレフ22M3」×66機。バックファイアーである。
188トンのターボプロップ重爆「ツポレフ95MS」×42機 ……というところ。
※ロシアとイランのさいきんの関係を整理しよう。
イランとロシアは22年9月3日に合意した。イランは65機以上の「スホイ35」戦闘機を受領する。その代価は物品(イラン製の各種無人機や地対地ミサイル)によって支払われる。バーターである。
「スホイ35」は基本的に「スホイ27」の各部改善型。単価は2倍以上する。「スホイ35」の引渡し時期は、見当がつかない。
露空軍ではこの型の戦闘機を100機前後しか有していない。新規製造しようとしても、西側製の電装品が手に入らないので、ロシア国内では完成品にできないはずである。
「スホイ35」はエジプト国内でも組み立てられている(そのカネはサウジが出してやっている)が、エジプトとイランは敵対陣営に属するゆえ、エジプトからの融通など無理。
イランは「スホイ35」をサウジ&UAEを脅迫する道具としたい。イスラエル空軍のF-35とでは勝負にもならないことはよくわかっている。
イスラエルは自爆無人機の「シャヘド136」をレバノン国境にてことごとく撃墜できている。ウクライナとは防空能力が違う。
イランは「スホイ35」の代わりに、すでに保有している旧式各種軍用機用の「正規スペアパーツの代用となるパーツ」をロシアから入手できるかもしれない。
シャヘド136の弾頭炸薬は36kg=80ポンドらしい。北部イランに近いイラク内の基地にて10-1に米軍が、「モハジェル6」無人機を撃墜している。ペイロード100kgというが基本的に偵察機。
イラク内のイラン系民兵には2021から手渡されている。
シリア東部では、シリア政府軍に徴兵されたくないシリア兵が数十名、レバノンのヒズボラに加わっていたが、ヒズボラは9月10日にこれらをシリア側へ追い払った。そうしないとイランとシリアの関係が悪くなるからである。
ヒズボラのスポンサーはイラン。イランはシーア派の多いイラクを政治的に完全属国化しようと努力中だが、同じシーア派ながらも若い世代の支持を得ている反腐敗派のサドル一味と、プロ・イラン政権との、武力衝突に発展しつつあり。
つまりイランでもイラクでも、1979ホメイニ革命当時のじじい世代が、若い世代から反抗されてタジタジとなっているところである。』
『ワシントンポスト』が調べ上げた。
https://st2019.site/?p=20478
『Craig Whitlock and Nate Jones 記者による2022-10-18記事「Retired US generals, admirals take top jobs with Saudi crown prince, other foreign governments」。
『ワシントンポスト』が調べ上げた。
2015年いらい、退役米軍人が500人以上、他国の政府に雇われて働いている。階級は、元将軍や提督らを含む。再就職先には、サウジアラビアのような、人権憲法がおこなわれていない問題ある諸地域が含まれている。
サウジの場合、元准将以上の者×15名を、同国国防省の顧問にしている。2016以来。
ボスである国防大臣は、2018のカショギ記者暗殺事件の黒幕王子ビンサルマンだ。
ビンサルマンの下で働いている大物としては、オバマ政権で国家安全保障補佐官だった海兵隊のジョーンズ大将、オバマ政権とその前のブッシュ政権でNSA(盗聴機関)を率いていたアレグザンダー陸軍大将。
こうした再雇用の実態を知るために、WP紙では2年前から、陸軍、空軍、海軍、海兵隊ならびにDoDに対して訴訟を起こし、「情報自由法」にもとづく開示を迫ってきた。
米軍の規定では、四ツ星将官の基本給は、年俸20万3698ドルである。再雇用された将官の中には、7桁の報酬を得ている者もいる。
めずらしいところでは、アゼルバイジャンに日給5000ドルで誘われた元空軍将官がいる。
将校でなくとも、稼ぎになる。シールズの元下士官は、サウジの特殊作戦のアドバイザーとして再雇用され、年額25万8000ドルを受け取っている。
UAEは、元米軍のヘリコプターパイロットを年額20万ドル、地上整備員を12万ドルで雇っている。
インドネシアの国有鉱山では、元米海兵隊の輸送係曹長を、日俸500ドル+生活費で雇用中。
闇が深そうなのはSAMI(サウジアラビア軍工廠)である。そこに就職した米国人について、米海軍では情報をオープンに出せるといっているのに、米国務省はそれを拒む。
SAMIは2017に、サウジ軍用の兵器の国産率を高める目的で創設された。その株式のすべては、ビンサルマンの支配する公共投資法人が保有している。その法人からは昨年、20億ドルが、ジャレド・クシュナーの投資会社へ投資されていることを『NYT』がつきとめている。クシュナーの岳父はトランプだ。
元ノースロップグラマン社の大幹部だったティモシー・カーターは、2019-9以降、SAMIに固定年俸51万4000ドル+生活費+可変ボーナス最大33万ドルで雇われている(副社長)。
『WP』の認識ではこの「転職」はカーター個人が勝手に決めて可いことではない。米政府による正式の公認が必要なはずだ。カーターはその手続きをすっとばしている。』
インドネシアの憂鬱 G20、大国対立で機能不全
きしむ世界、揺らぐ新興国(4)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM074MU0X01C22A0000000/
『「20カ国・地域(G20)には橋をかけなければならない大きな溝がある」。12~13日に米ワシントンで開いたG20財務相・中央銀行総裁会議の閉幕記者会見。議長のインドネシア財務相、スリ・ムルヤニは共同声明を採択できなかったことに無念さをにじませた。
G20財務相会議で共同声明の採択を見送ったのは、4月、7月に続いて3回連続。G20はロシアのウクライナ侵攻をめぐって分断が進む世界の縮図となり、日米欧とロシアが非難の応酬をする光景がお決まりだ。世界の国内総生産(GDP)の約8割を占める「国際経済協調の第一のフォーラム」としての役割はもはや期待できない。
対立に追い打ちをかけるのが、急ピッチの米利上げを背景に加速するドル高だ。スリは世界経済について「危険な状態」と強い危機感を示したが、ドル高に端を発する市場の波乱を防ぐ政策協調は見えない。
米大統領のジョー・バイデンは「ドルの強さを懸念していない」と発言。「問題は他国の経済成長や健全な政策の欠如だ」と突き放し、自国のインフレ退治を優先する姿勢を鮮明にした。金利上昇とドル高で外貨建て債務が膨らみ、デフォルト(債務不履行)の危機に直面する新興国との溝は広がる。
G20首脳会議(サミット)は2008年のリーマン・ショック後の金融危機時に、新興国を含む主要国の首脳が集まったことを契機に定期開催されるようになった。各国が足並みをそろえて危機を回避した成功体験を持つ。だが世界が分断される今回の危機で利害はぶつかり、肝心な時に機能不全に陥る。
議長国インドネシアの大統領、ジョコ・ウィドドは11月に開くG20サミットに向け、空中分解を食い止めようと奔走する。「喜んで対話のかけ橋になる」。6日には、G20の関連会議でこう強調した。インドネシアは世界最大のイスラム教徒人口を持ち、G20の構成国として世界での発言力を高める外交戦略を掲げる。
6月下旬にはロシアのウクライナ侵攻後、アジアのリーダーとして初めてロシアとウクライナを訪問。両国の大統領、プーチン、ゼレンスキーと会談し、橋渡し役を買ってでた。大国に翻弄されながらも、国際枠組みを維持しようとするジョコの憂鬱が続く。(敬称略)
清水孝輔、木寺もも子、久門武史、地曳航也、志賀優一、宮本英威が担当しました。
【ルポ迫真「きしむ世界、揺れる新興国」記事一覧】
・「我々は米国の裏庭ではない」 中南米に左派政権相次ぐ
・トルコは曲芸師か 綱渡りの利下げ強行、通貨安打撃も
・「フランスは出て行け」 アフリカでかすむ旧宗主国
ニューズレター
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高橋徹
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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ひとこと解説
東南アジアでは11月半ばに米中や日本、ロシアなど域外大国も参加する重要な首脳会議が「惑星直列」のように連なります。
カンボジアでの東アジアサミット、インドネシアのG20、そしてタイでのAPECです。
中でも重みがあるのはG20。ジョコ大統領は6月にアジアの首脳として初めてロシアとウクライナを訪問しましたが、その後にシャトル外交などの動きは伝えられていません。
単にG20への出席を呼びかけただけに終わっており、「橋渡し役」とはとても呼べない状況です。ジョコ氏は2014年の就任時から「外交は苦手」と漏らしてきましたが、残り任期があと2年に迫るなか、議長国としての手綱さばきが注目されます。
2022年10月20日 7:25 』
英内相が辞任、政権にまた打撃 トラス首相への批判示唆
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR19EI10Z11C22A0000000/
『【ロンドン=中島裕介】英国のブレーバーマン内相は19日、職務上の技術的なミスを理由に辞任を表明した。トラス首相への辞任の書簡では、表向きの理由とは別に「政府の仕事は間違いの責任を受け入れることで成り立っている」と記した。英政界では経済失政で市場を混乱させたトラス氏にも退陣を促す辞任だとみられている。
英紙タイムズなど一部のメディアは、トラス氏との移民政策の違いによる事実上の解任との見方を示した。トラス氏は大規模減税策による市場の混乱の引責として、14日にクワーテング財務相を更迭したばかり。短期間での相次ぐ重要閣僚の交代は、求心力が下がっているトラス政権にさらなる打撃となる。トラス氏は後任にシャップス前運輸相を起用した。
ブレーバーマン氏はトラス氏への書簡で、発表前の移民政策に関する情報を一部の与党・保守党の議員に電子メールで共有したと説明した。これが「規則の技術的な違反」にあたるため、辞任すると表明した。
ただ同じ書簡で「この政府の方向性に懸念を持っている」と政権への批判もにじませた。さらに「間違いが起きていないふりをして、魔法のようにやり過ごせることを期待するのは真剣な政治ではない。私は間違ったので、責任をとって辞任する」と書きつづった。
英BBCはブレーバーマン氏の書簡は「トラス氏に激怒していることを示している」と分析した。トラス氏は政権の経済失政について「過ちに責任を負い、謝罪する」としつつも、首相続投の意思を示している。
後任の内相のシャップス氏は、トラス氏を首相に選んだ党首選で対抗馬のスナク元財務相を支持していた。新財務相に起用されたハント氏もスナク支持派からの起用だった。トラス氏は自身の求心力回復のために党内の幅広い人材の登用に傾いているとみられる。
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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
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ひとこと解説
トラス政権は、党首選でスナク氏を支持した議員を閣僚に登用せず、主要4閣僚に非白人男性を登用しました。
財務相に続く、内相の交替。ともに後任はスナク氏を支持した白人男性。
トラス首相は、閣僚人事の面でも、譲歩を余儀なくされています。
ブレーバーマン氏の書簡の文言は、「過ちを認め、過ちに対処することが誠実な政治家」と述べて、就任から2ヶ月足らずで、混乱を引き起こし、公約の大半を撤回に追い込まれながら、首相の座を降りようとしない、トラス氏への痛烈な批判とも読めます。
2022年10月20日 7:31』
経済安保、食料さえも武器に 友好国と調達再構築
分断・供給網(下)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC059NL0V01C22A0000000/

『カイロ市民から今夏、「パンの色がくすんだ」との声が上がり始めた。エジプト政府が小麦の製粉時に取り除く外皮の比率を減らしたのが原因とみられている。低所得者向けのパンには国が補助金を出し20枚で約7円に抑えている。同国は輸入小麦の8割をロシアとウクライナに頼る。小麦の国際価格はこの1年で4割上がった。食用部分を多く確保する苦肉の策だ。
【「分断・供給網」記事一覧】
・ゼロチャイナなら国内生産53兆円消失 中国分離の代償
・ジャストインタイムの終わり インテル、50年目の転換
食料は武器
世界で食料の価格が上がっている。国連食糧農業機関の指数は9月に136と歴史的な高水準にある。「食料は武器。静かだが強力だ」。ロシアのメドベージェフ前大統領は言う。
日本も多くの食料を輸入に頼る。農林水産省によると日本の食品消費額は約15兆円。輸入品が3割を占め、中国(約5000億円)が米国に次ぐ輸入先だ。国連貿易開発会議によれば2021年に日本が輸入した野菜の53%、加工魚の52%が中国産だ。中国産食品は安全問題が注目されたが輸入が途絶すれば食卓は一変する。
全量中国依存の肥料も
深刻なのが農業に欠かせない肥料だ。肥料の輸出量はロシアと中国が首位と2位で全体の3割を占める。9月の国際価格は中ロが輸出を絞った影響で前年同月比7割上昇した。日本ではコメなどに使う化学肥料のリン酸アンモニウムのほぼ全量を中国に依存する。
中国にとって食料や肥料は他国をけん制する戦略カードだ。だが自国の食料の供給網も盤石ではない。
中国の21年の食品輸入額(飲料除く)は5年前の2.5倍の約18兆円まで増えた。特に米国産が輸入の3割を占める大豆は食用だけでなく家畜の飼料にも使われ、輸入できなくなった場合の影響は計り知れない。
中国は自給率を高めるため自国内での穀物の大幅増産を打ち出す。アフリカに対しても農業への投資を拡大。10カ国超の関税をゼロにするなど対中輸出を増やす動きを強めている。
偏在リスクも
日本の脱中国の動きは鈍い。政府は6月の報告書で食料供給網の混乱のリスクを取り上げた。企業もニチレイが冷凍食品の一部の生産を中国などから国内に移すことを決めた。だがこうした動きは一部に限られる。価格の安い中国産を減らすのは容易ではない。
供給網のブロック化が進む新たな経済秩序では重要物資の偏在リスク、特に中国の影響を世界は注視する必要がある。
液化天然ガス(LNG)は欧州で冬期の供給不安が懸念されたが、経済減速で1~8月の中国の輸入量が前年同期比2割減るととたんに在庫が増えた。価格も下がり、欧州の10月の天然ガス価格は100万BTU(英国熱量単位)あたり40ドル台と8月に比べて6割ほど割安になっている。食料も中国次第で世界の需給が大きく左右される。
解の一つが友好国と供給網を再構築する「フレンドショアリング」だ。米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」では食料の供給網整備が主要議題の一つとなった。食料を安定的に確保する体制をつくるには数年以上の時間がかかる。分断の損失を埋める新たな枠組み作りが急務になる。
「分断・供給網」は京塚環、江口良輔、赤間建哉、川上梓、田辺静、湯沢維久、カイロ=久門武史が担当しました。
【関連記事】
・供給網のゼロチャイナ、どう対応 識者に聞く
・「供給網、有事備え設計変更も」 識者に聞く
・「安定供給、消費者も負担必要に」 識者に聞く
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田中道昭
立教大学ビジネススクール 教授
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ひとこと解説
もっと暑くなる(気候変動問題)×もっと足りなくなる(資源問題)でもっと深刻になるのが食料問題。食料問題に対峙する有力な手段が農業DX。農機メーカーだった米ディア社はDXを駆使してテクノロジー企業に変貌、ビルゲイツ氏も主要株主となっています。日本でもクボタが顧客である農家とデジタルでつながり、農業におけるプラットフォーム構造を構築して農業の生産性を高めています。食料輸入国である日本ができることはテクノロジーで食料問題に対峙すること。そして、食料がもっと足りなくなるからこそ求められているのが国家間のつながりを強めていくこと。分断の最大の代償は食料問題。人と人のつながりが鍵になると信じたいものです。
2022年10月20日 7:05 (2022年10月20日 7:36更新)
福井健策のアバター
福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
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分析・考察
脱依存ということを、何度か書いて来ました。もちろん、個人も企業も国家も、私たちは他者とのつながり無しには生存することはできません。ただ、つながりと依存の違いは、依存とは特定の他者に存在のいずれかの要件を頼り切ってしまい、それを失った時の代替策がないことを言います。対義語は、自立でしょう。
混迷の時代に流されないために、食糧であれエネルギーであれ他の安全保障であれ、自助できる部分と協力先を増やし、各要素の一国への依存を出来るだけ減らすこと。(例えば20%以下に。)
それは私たちにある程度の我慢と覚悟を強いるでしょうが、自立した本当のパートナーシップのためにも、その努力が必要な時だと感じます。
2022年10月20日 7:45
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説
以前、工場を見学したことがある。スペイン沖で取れたアジは中国に運ばれ、中国の工場で開いてから日本に輸出されている。そして、焼き鳥は、タイの飼料メーカーは中国の工場で人海戦術で串さしてからコールドチェーンで大連まで運んで日本に輸出。まさにグローバルなサプライチェーンである。中国自身は食糧を輸出するほど食糧が余っていない。どちらかというと、中国は世界から集まった材料を加工する基地である。新たなサプライチェーンと食糧安全保障を計画するならば、新たな加工基地と物流システムを整備する必要がある
2022年10月20日 7:37』
「併合」地域の戒厳令は無効 ウクライナ、強制動員警戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR19EMI0Z11C22A0000000/
『【イスタンブール=木寺もも子】ロシアが一方的に併合したウクライナの4州で戒厳令を敷くことに対し、ウクライナ側は19日、ロシア側の決定は「無効」だと反発した。戒厳令によって、ロシア軍が占領地域に残るウクライナ人を強制的に動員しかねないとの懸念も強まっている。
【関連記事】
・プーチン大統領、ウクライナ「併合」4州に戒厳令
・プーチン氏、危機感あらわ ロシア全土にも警戒態勢
プーチン大統領による表明に続き、ロシア議会は19日、戒厳令を正式に承認した。予定通りなら20日から、ウクライナのドネツク、ルガンスク、ザポロジエ、ヘルソンの各州で導入が始まる。
ウクライナ外務省は19日の声明で、ウクライナ領における「『戒厳令』とされるもの」は「無効だ」と断じた。そのうえで、被占領地の住民の財産を奪ったり、住民を強制移住させたりするための口実に使われる可能性を指摘した。
ロシアのタス通信によると、ウクライナが奪還を目指すヘルソン州の親ロシア派は19日、住民の強制移住を開始した。約1週間で5万~6万人を退避させるとしている。
戒厳令では戦時体制の下、兵士の動員が可能になる。住民の移動を制限したり外出を禁止したりすることもできる。ただ、予備役を対象とした部分的な動員令は既にロシア全土で始まっており、戒厳令の施行で対象が拡大するかは定かでない。
ロイター通信によると、南部ミコライウ州のキム知事は、戒厳令の目的は「占領地に残っている我が国の人々を(ロシア軍兵士として)動員するため」ではないかとの見方を示した。
米国務省のパテル副報道官は、ロシアが4州を支配するため「必死の戦術に頼っている」とし、ウクライナの4州に対していかなる法律を施行する管轄権もないと強調した。
一方、ウクライナは20日から全土で電力供給の制限を始める。大統領府高官がSNS(交流サイト)で明らかにし、午前7時から午後11時までの間、電力の使用を最小限にするよう呼びかけた。使用量が増えると停電する可能性があるという。街灯も減らす。
ロシアは10日以降、首都キーウ(キエフ)を含むウクライナ各地にミサイル攻撃などを加えている。ゼレンスキー大統領によると、国内の発電所の3割が破壊された。気温の下がる冬に向けてエネルギー供給に不安が生じている。』
プーチン大統領、ウクライナ「併合」4州に戒厳令
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR19CR20Z11C22A0000000/
『ロシアのプーチン大統領は19日、一方的に併合したウクライナ東・南部4州に戒厳令を導入する大統領令に署名した。同日の安全保障会議でプーチン氏が表明した。居住者の移動の自由などを制限し、ロシア軍による統治体制を強化する。ウクライナの攻撃激化に伴い、戦時体制への備えを進める狙いとみられる。
【関連記事】
・「併合」地域の戒厳令は無効 ウクライナ、強制動員警戒
・プーチン氏、危機感あらわ ロシア全土にも警戒態勢
戒厳令は20日からウクライナのドネツク、ルガンスク、ザポロジエ、ヘルソンの4州で導入する。タス通信によると、1991年のソ連崩壊後、ロシアが支配を主張する地域で戒厳令が導入されるのは初めて。
侵略などの外敵脅威を理由に戒厳令が発令された地域では、市民の移動や政治活動を制限できるようになる。破壊された施設やインフラの復旧に市民を動員することも可能になる。
プーチン氏は戒厳令を導入する理由について「ウクライナ側が交渉に応じず、ロシア領土への攻撃を続けている」と述べた。
ロシアが併合を宣言した南部ヘルソン州ではロシア軍の劣勢が続いている。同州の親ロ派の行政府トップは19日、ウクライナ軍の攻撃の激化に伴い、州都ヘルソンの行政機能をドニエプル川対岸の東岸地域に移す方針を明らかにした。
プーチン氏は同日、ウクライナと国境を接するロシアの各州に社会・軍事インフラの防衛強化などの「中レベル」の対応を導入する大統領令にも署名した。南部連邦管区とモスクワなどを含む中央連邦管区には警備や交通の制限などを含む「高度準備体制」を導入する。ウクライナ侵攻の継続に向けて、各自治体の行政権限を強化する。
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ニューズレター
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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
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菅野幹雄
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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ひとこと解説
プーチン大統領の倒錯した論理を象徴する動きです。ロシアが強引に実施した住民投票を盾に、4州への「侵略などの外敵脅威を理由に戒厳令を発令」というのですが、侵略はそもそも、どちらの仕業でしょうか。
劣勢を隠すためにキーウにミサイルを打ち込んで無辜のウクライナ市民の命を奪い、ウクライナの「侵略」というこじつけで被害者の顔をする。極めて卑劣ですが、蓋然性が高まる核使用を含め、これからどんなことが起こるかますます見えなくなってきました。
人類の歴史でも例のない蛮行が繰り返され、起きようとしている厳しい現実に日本も向き合う必要があります。国会審議では目先の問題より、こうした深刻な事態を議論すべきです。
2022年10月19日 23:24 』
米国、台湾と武器共同生産へ協議 中国抑止へ提供前倒し
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1600L0W2A011C2000000/
『【この記事のポイント】
・携行型の防空システムや弾薬を念頭に
・ウクライナへの武器供与で在庫乏しく
・関係国にも武器支援を働きかけへ
【ワシントン=中村亮】バイデン米政権が米国製の武器を台湾と共同生産する案を検討していることが分かった。関係者3人が日本経済新聞の取材で明らかにした。携行型の防空システムや弾薬を念頭に置く。台湾有事に備えて協力して生産能力を高める。武器提供を早めて中国抑止を急ぐ。
ブリンケン米国務長官は17日、西部カリフォルニア州で開いたイベントで「中国は以前に比べてかなり早い時間軸で(台湾との)再統一を目指すと決意した」と指摘した。22日まで開く第20回共産党大会で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は異例の3期目を決めるとみられ、台湾への軍事的圧力をさらに強める可能性がある。
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米台の共同生産をめぐって、関係者の一人は初期段階の協議が始まったと認めた。米国の防衛企業が技術供与をして台湾で武器を製造したり、台湾でつくった部品を使って米国で生産したりする案がある。別の関係者は「2023年を通して詳細を詰めることになるだろう」と語った。
米大手防衛企業が加盟する米国・台湾ビジネス評議会は「米国の弾薬や(戦闘機や艦船などの)プラットフォームについて米国と台湾が共同生産したことはない」とコメントした。米国の歴代政権は機密情報が漏れるリスクを懸念し、米国製武器の共同生産に慎重だったとみられる。
バイデン政権が共同生産を検討するのは、引き渡しを早めるためだ。一般的に米政府が武器売却を承認してから引き渡しが完了するまで数年から10年程度を要するケースが多い。一方で米軍は中国が27年までに台湾侵攻能力を取得すると分析しており、台湾の自衛力向上に残された時間は限られる。
ウクライナ向けの武器供与が急増し、米国だけで世界の武器需要を満たすのが難しくなった事情もある。米戦略国際問題研究所(CSIS)のマーク・カンシアン上級顧問は9月中旬のリポートで、携行型の防空システム「スティンガー」や高機動ロケット砲システム「ハイマース」の米国の在庫について「乏しい」と指摘した。
スティンガーは米防衛大手レイセオン・テクノロジーズ、ハイマースは同ロッキード・マーチンがそれぞれ製造している。
台湾の国防部(国防省)は5月、スティンガーについて26年3月までに順次受け取る計画だったが納入ペースが遅れる可能性があると明らかにした。自走りゅう弾砲は納入の遅れを理由に別の兵器に調達を切り替える構えだ。ハイマースの受け取り完了は27年、対艦ミサイルシステム「ハープーン」は28年ごろとみられている。
日経が入手した22年春の米議会の資料によると、米政府が19年7月以降に売却を承認した案件では少なくとも10件の武器の引き渡しが完了しておらず、規模は米政府の見積もりで130億㌦(約1兆9000億円)を超える。
台湾の国防部は日経の取材に「米国に台湾への武器納入を急ぐよう要請していく」と述べた。
バイデン政権は台湾の自衛力強化を加速させるため関係国にも台湾への武器支援を働きかける構えだ。台湾向けの武器や関連部品の提供について意向調査に着手した。
主要7カ国(G7)は台湾海峡の平和と安定を維持する立場で一致し、武器支援に前向きな意見が出てきた。英国のトラス首相は9月、CNNテレビのインタビューで「台湾が自らを防衛できるように同盟国と協力する決意だ」と強調した。フランスはフリゲート艦や戦闘機について台湾との取引実績がある。
英国の国際戦略研究所(IISS)によると、台湾の武器輸入元は16~20年に全て米国だった。台湾と国交を持たない欧州やアジア諸国による武器支援に中国が激しく反発する公算が大きく、各国は難しい判断を迫られる。
ウクライナをめぐっては米国が武器支援に関する会合を主催し、50カ国程度が参加している。月1回程度の会合を通じ、ウクライナの要望を聞き取って効率的な支援に役立てる。最近は10月12日に開き、ロシアによる大規模なミサイル攻撃を踏まえて防空システムの供与を加速させる方針を確認した。
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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Taiwan-tensions/U.S.-in-talks-with-Taiwan-to-co-produce-American-weapons-sources?n_cid=DSBNNAR
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益尾知佐子
九州大学大学院比較社会文化研究院 教授
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分析・考察
かなりインパクトのある記事です。現状を踏まえればさもありなんですが。
現在、どの国も相手の腹の探り合いです。習近平氏は台湾の武力統一の可能性を捨てていませんが、逆に必ずやると言っているわけでもありません。ただ、こういうニュースが大きく出ると、習氏の性格上、必ず強く対抗措置を打ち出します。
問題は、米国の台湾へのコミットメントがどの程度、断固たるものかではないでしょうか。
先日の米国家安全保障戦略は、中国とはそんなに対抗したくないんだけどと言っているように私には読めました。米国が中国と緊張を高めたあとに梯子を外すなら、台湾も・そして隣の日本もたまりません。米国の内政の不安定さが大きな懸念要因です。
2022年10月19日 20:35 (2022年10月19日 20:37更新) 』