フィリピン投資環境レポート:
ルソン島北部編 パート 2:クラーク、スービック、バターン
平成 29 年(2017 年)4 月 3 日
https://www.bk.mufg.jp/report/aseantopics/ARS471.pdf



























フィリピン投資環境レポート:
ルソン島北部編 パート 2:クラーク、スービック、バターン
平成 29 年(2017 年)4 月 3 日
https://www.bk.mufg.jp/report/aseantopics/ARS471.pdf



























マルコス大統領、経済特区新設を拒否 税源確保優先
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0436Q0U2A700C2000000/
『【マニラ=志賀優一】フィリピンのマルコス新大統領が、北部で計画されている経済特区の新設法案に対して「拒否権」を発動した。企業の税制優遇を抑制し、公約であったインフラ投資の財源確保と過去最高水準の債務削減を狙う。
新政権のアンヘレス報道長官は4日、マルコス氏による拒否権行使について「経済特区が地域のためでなく国全体に対して利益をもたらすのか示す必要がある」と説明した。
マニラ首都圏の北に位置するブラカン州では現地財閥大手サンミゲルが主導し、空港とともに税制面などで優遇がある経済特区を新設する計画が進んでいる。マルコス氏は2026年ごろの運用が見込まれる空港新設には賛同する一方、特区新設の法案について議会に対し再検討を要求した。
フィリピンの大統領は法案を認めず修正を求める拒否権を持つ。新政権の発足時には前政権の政策を軌道修正するケースがあり、ドゥテルテ前大統領も就任直後の16年7月に人事制度などに関して拒否権を行使した。
マルコス氏が拒否権を使ったのは初めてとされる。背景にあるのが税収の確保だ。
フィリピンではドゥテルテ前政権から大型インフラ整備計画「ビルド(造れ)・ビルド・ビルド」を打ち出し国内総生産(GDP)の5%前後をインフラ投資に充ててきた。雇用創出につながる同計画はマルコス氏も踏襲すると表明している。
だがインフラ整備のための多額の支出により政府債務残高は5月末時点で前年同月比13%増の約12兆5000億ペソ(約30兆円)と、過去最高水準に達している。ビルド計画継続には安定的な歳入の確保が必須なため、マルコス氏は税優遇を受ける企業の増加を警戒する。
マルコス氏は声明で特区新設の法案について「課税対象を狭めている。国のインフラを維持する十分な税収が確保できなければ、増税や新たな借り入れにより財源を確保せざるを得ない」と指摘した。
さらに法案は「低税率と幅広い課税対象を備えた税制を作る政府の目的に反する」うえ、隣接するパンパンガ州にすでにクラーク経済特区があり「戦略的場所に特区を創設する方針にも反する」としている。既存の法律でも企業は優遇を受けることは可能と指摘し、同国の監査委員会の監査などを通じて法案を精査すべきだとしている。
サンミゲルのラモン・アン社長は4日、政府の決定を尊重するとしつつも経済特区の新設による経済効果は大きいと声明を出した。』
「権力しがみつき失脚」 欧米紙、ジョンソン氏に厳しく
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07DXH0X00C22A7000000/

『【ニューヨーク=大島有美子】ジョンソン英首相が7日に辞意を表明したことを欧米紙はトップ級の扱いで報じた。「必死に権力にしがみついたが、米トランプ前大統領と同様にしがみつくほど失脚していった」(英エコノミスト誌)。ジョンソン氏に対して手厳しい論評が目立った。後任に求められることとしてブレグジット(英国の欧州連合離脱)からの軌道修正やウクライナ支援継続などが挙がった。
【関連記事】
・ジョンソン英首相が辞任表明 不祥事相次ぎ閣僚離反
・「分断」深めた剛腕の3年 ジョンソン英首相辞任へ
「英国が再出発する機会だ」。米紙ワシントン・ポストの論説委員会は見出しでこうつづった。ジョンソン氏がジャーナリストとして活動していた頃から「真実を覆い隠す習性があった」と指摘。政権の不祥事が相次ぎ「彼を降ろそうとする党内の動きにあらがいきれなかった」とした。後任が抱える課題として「ブレグジットの軌道修正と英経済の活性化」を挙げた。
独フランクフルター・アルゲマイネ紙は「ジョンソンのようなポピュリストにとって、彼の人気が無くなるとは最後まで考えられなかった」と指摘。相次いだ不祥事や二転三転した釈明が辞任につながったことで「自分の性格で失敗した」と評した。
英エコノミスト誌は「ジョンソン氏は直ちに立ち去るべきだ」と批判した。インフレと低成長、高齢化と問題が山積するなか、指導者の交代だけでは英国の軌道修正は難しいと強調。「問題は1人の人間より根深い。与党が事実を直視する勇気を持たなければ、英国の社会的・経済的困難は悪化する」と警鐘を鳴らした。
2月のロシアによるウクライナ侵攻後、ジョンソン氏は主要7カ国(G7)首脳で初めてウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪ねるなど、積極的な支援で指導力を発揮していた。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によるとウクライナのゼレンスキー大統領は7日にジョンソン氏と電話会談し「悲しみをもって(辞意の報を)聞いた。援助に感謝している」と述べた。
仏紙リベラシオンは「(ジョンソン氏は)ここ数カ月は国内問題を打ち消そうと、ウクライナに大きな軍事支援をしてきた」と分析する。もっともウクライナに関しては積極的な支援方針が継続されるとの見方が強い。FTは「英国のウクライナへの強い支持は、次の首相が誰になろうと超党派で強く一致したものだ」とつづった。
ウクライナ支援に積極的だったジョンソン氏に対し、ロシアメディアは「彼は我々を好きではないが、我々も彼を好きではない」と述べたペスコフ大統領報道官のコメントを紹介した。ロイター通信はロシアの政権幹部が「道化師が去っていく」と述べたことを報じた。』
プーチン氏「欧米は既に敗北」 世界秩序の変化強調
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGV080270Y2A700C2000000/
『ロシアのプーチン大統領は7日、ウクライナでの軍事作戦開始により「米国中心の世界秩序は根本的に壊れ、欧米は既に敗北した」と述べ、勝利に自信を示した。モスクワのクレムリンで行われた下院各会派代表らとの会合で語った。
「戦場でロシアに勝ちたければ試してみたらいい」とも述べ、ロシア軍を撤退させてから停戦交渉に応じるとしているウクライナのゼレンスキー政権と、軍事支援する欧米を強くけん制。交渉は拒否しないが「戦闘が長引くほど和平合意は困難になる」と警告した。
また「ロシアが戦争を始めたと言われているが違っている。2014年にウクライナのクーデターを支持した欧米が始めたのだ」と主張。同年の政変で親ロ派政権が倒れた後に独立を主張しウクライナ政府軍と戦ってきた東部ドンバス地域のロシア系住民保護を理由にした侵攻を正当化した。
対ロ制裁を科す欧米を「ロシアという国の存在が必要ないのでテロリストや分離主義者、内部の裏切り者を支援している」と非難。「自由主義に名を借りた全体主義的モデルを世界に押しつけようとしているが、多くの国はそのような世界を望んでいない」と述べた。
軍事作戦の見通しについて「『ウクライナ人の最後の1人まで戦う』と言われているが、ウクライナにとって悲劇だ」と指摘。「われわれはまだウクライナで本腰を入れていない」とも強調して攻撃強化の可能性を示唆した。(共同)
多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
渡部恒雄のアバター
渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察
プーチン大統領が指摘する米国中心の世界秩序が変化していることは間違ってはいないと思います。ただ、新しい秩序について、彼のビジョンとロシアの責任を発言していないところが、世界の理解を得るために決定的に弱い部分です。プーチン氏が語るように多くの国は「全体主義モデル」は望んでいないと思いますので、彼が世界の支持と共感を得たければ、彼が考える新しい秩序モデルを発信すべきでしょう。それが見えないので、彼の発言は単なる「反米プロパガンダ」による「自己正当化」にしか聞こえません。「反米」に共感する独裁的な指導者は支持するかもしれませんが、それらの国に住む多くの人々はそうではないでしょう。
2022年7月8日 7:55
慎泰俊のアバター
慎泰俊
五常・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役
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分析・考察
ロシア圏で働いている人たちの話を聞いていますが、経済制裁は当初の2ヶ月程度は効果があったものの、もうほとんど効果がないようです。あと半年もすれば、ロシアの資源についての新しいサプライチェーン(買い手は西側諸国以外)が完成することでしょう。
そうなるともう戦争は長期化せざるを得ず、途上国を深刻な食糧危機が襲うでしょう。戦争よりもはるかに多くの人が亡くなると思います。
2022年7月8日 9:19
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説
プーチン大統領の強気姿勢がここにきて目立つ。ウクライナとこれを支援する米欧が戦場でロシアを倒したいなら「試してみたらいい」という発言は、自信の表れか、それとも一種のブラフなのか。客観的事実として、米欧などによる対ロシア経済制裁はロシアの軍事行動を止めたり、ロシア経済をマヒさせたりするような効果は発揮していない。物的・人的な損害は大きいものの、資源価格上昇によりロシアの戦費は十分確保された状態。ロシアは資源を武器に、ドイツや日本に揺さぶりをかけている。米欧にはウクライナ支援疲れが見えており、英国では対ロ強硬姿勢が際立つジョンソン首相が辞意を表明した。国際政治の世界では、正義が勝つとは限らない。
2022年7月8日 7:42
柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説
経済制裁を実施して、プーチンを停戦に追い込めていないという意味では、制裁は成功していないといえる。それに対して、ウクライナを攻略できず、たくさんの兵士の命を失ったプーチンロシアは国際社会で孤立してしまい、もっと深刻なダメージを受けている。これからどうなるのか。向こう10年のロシア情勢を展望すれば、国際社会でいっそう孤立し、困難な状況に直面するだろう
2022年7月8日 7:40 』
ウクライナ最新戦況マップ7.7 大規模作戦を一時休止
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCA080FP0Y2A700C2000000/

『米シンクタンクの戦争研究所によると、ロシア国防省の報道官は7日、地上部隊の戦力回復のためにウクライナ東部での大規模な作戦を一時休止していると述べた。局所的な作戦は続けており、ドネツク州のスラビャンスクやバフムートの周辺を攻撃した。』
ベトナム、インドと防衛協定 基地を相互利用 対中警戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB06AGJ0W2A700C2000000/

『【ニューデリー=キラン・シャルマ】南シナ海の領有権を中国と争うベトナムが、インドとの防衛協力を強化する。両国は6月、兵器を含む軍の装備品の補修や補給で軍事基地を相互に利用する協定を結んだ。インド国防省によると、ベトナムが外国とこうした協定を結ぶのは初めて。インドも中国とは係争地を巡り対立する。対中国で利害が一致するベトナムとインドの接近が目立つ。
ベトナムとインドは包括的戦略パートナーシップを締結済み。2030年までに防衛協力を拡大する共同声明にも署名した。インドが提唱する「インド太平洋海洋イニシアチブ」とベトナムが加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)が採択した「インド太平洋に関するASEANアウトルック」に沿った関係拡大にも取り組んでいく。
ベトナムとインドは共通の安全保障上の「脅威」だとみなす中国を警戒する。ベトナムは南シナ海を巡り、同国と対中国で共通の利害を持つ国々が集まる必要があると考えているようだ。
インドはヒマラヤの山岳地帯で中国との係争地を抱える。南シナ海ではインド国営の石油天然ガス公社(ONGC)が関連会社を通じて資源採掘を進め、中国の抗議をしばしば受けてきた。中国は南シナ海のほぼ全域で、事実上の主権である「管轄権」の保有を主張している。
インドのシン国防相は6月上旬、ベトナムを訪問した。その際、インドの融資で製造された12隻の高速巡視船を引き渡した。インドはベトナムの防衛力強化のため新たに5億ドル(約680億円)の融資枠を提供すると発表した。
シン氏はベトナムのファン・バン・ザン国防相と会談後、「両国の防衛・安保に関する密接な協力はインド太平洋地域の安定に欠かせない」とツイートした。
ベトナム国防省の声明によると、同国とインドはシン氏の訪問中、南シナ海における海上や上空飛行の安全確保などが重要だとの認識で一致した。さらに国連海洋法条約を含む国際法に基づく紛争の解決を支持した。
インドとベトナムが6月に結んだ後方支援の協定が発効すれば、双方の軍事基地への艦船、航空機、人員の手配が容易になる。食料、燃料、兵器の補給やメンテナンスも可能になる。インドは同様の協定を日本、米国などとも締結済みだ。
実際にインドが南シナ海の領有権問題に介入するかどうかは不透明だ。シンガポールのシンクタンクの専門家は「インドが南シナ海の安保の一端を担うことになるのか、この海域をどれほど重視しているのかはわからない」と説明した。
インドはモディ首相が就任した14年から、東南アジア諸国への関与に力を入れてきた。インドの大学の専門家によれば、ASEANに加盟するシンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピンと軍事演習を実施してきた。この事実はASEAN諸国にとっても、中国に対抗するうえで重要だが「それだけでは十分でない」と、この専門家は話す。
この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Indo-Pacific/India-Vietnam-defense-ties-on-upswing-as-both-eye-China/?n_cid=DSBNNAR 』
中韓外相が初会談 「積極的な対話」で一致
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM07DUW0X00C22A7000000/
『【ソウル=甲原潤之介】韓国外務省は7日、朴振(パク・ジン)外相が訪問先のインドネシア・バリ島で中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相と50分間会談したと発表した。中韓外相の会談は5月の韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後、初めて。外相間や外務次官級の対話を積極化すると合意した。
朴氏は6月の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議への出席などを念頭に、韓国が「自由と平和のための国際社会の連帯」に参加したと説明した。「韓中関係も普遍的価値と規範に基づき発展することを期待する」と伝えた。北朝鮮の核問題で中国に役割を発揮するよう求めた。
韓国側によると、王氏は韓国を「切り離せない重要な隣国」だと述べ、両国間の意思疎通の強化に意欲を示した。
両氏は、朴氏の早期訪中と王氏の2022年後半の訪韓に向け協力すると申し合わせた。
韓国は中国を明記する戦略概念を定めた6月のNATO首脳会議に、日本などと同様にパートナー国として参加した。対中姿勢を強める米欧と足並みをそろえる一方、北朝鮮対応などを踏まえ中国とも対話を継続する考えだ。
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https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGM07DUW0X00C22A7000000&n_cid=DSPRM1AR08 』
「分断」深めた剛腕の3年 ジョンソン英首相辞任へ
欧州総局長 赤川省吾
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR07BEZ0X00C22A7000000/
『ジョンソン英首相が7日、辞任を表明した。3年間の在任中、英国は半世紀ぶりに欧州統合の枠組みから抜け、対ロシア・対中国で強硬路線に転じた。一方、英北部スコットランドでは独立運動に火が付いた。英国と欧州の分断を深めた政権として戦後英国史に刻まれることになるだろう。
6月の主要7カ国(G7)首脳会議で、ジョンソン氏の発言が波紋を呼んだ。「いま問題を解決しようとすれば状況はさらに不安定になる」。こう言って、ロシアとウクライナの仲介に意欲をみせるフランスのマクロン大統領をたしなめたという。
対ロシアで団結すべき舞台で、あえてフランスとの溝をみせたジョンソン氏。G7を主導していると演じ、足元の不祥事から有権者の視線をそらしたい――。なりふり構わぬやり方に、欧州各国の高官は眉をひそめた。
分断で求心力を高める「剛腕」がジョンソン氏の十八番(おはこ)だった。最大の「功績」はなんといっても欧州連合(EU)からの離脱だ。欧州から抜け、世界に羽ばたこうとする「グローバル・ブリテン」構想に英保守層は拍手喝采した。
英国は古い社会構造が温存され、階級、所得、地域の格差が大きい。くすぶる不満の矛先をEUなどの「仮想敵」に向ける手法は、米国のトランプ前大統領に似る。
副作用は大きい。民主主義陣営が結束すべき局面で2つの分断を残した。
まずEUとの対立。離脱後の英国が合意済みの通商ルールを一方的に変更しようとするなどの挑発を繰り返した結果、信頼関係が根底から損なわれた。
次は国内の亀裂。強引なEU離脱の反動で親欧派が多いスコットランドで独立機運に再び火がつき、国家解体のリスクが忍び寄る。
こうした分断は次期政権に持ち越され、内政を揺さぶり続ける。EU離脱に伴う人手不足と物流混乱などが庶民生活を直撃し、皮肉にも政権批判となって返ってきている。
G7を見渡せば仏与党は下院選で敗北し、秋の中間選挙を控えた米政権には逆風が吹く。イタリアは来年の議会選で極右政党が第1党になる勢いだ。民主主義陣営の内向き志向はロシアを利する。強権国家との我慢比べは、まだ始まったばかりだ。来年、G7議長国の日本が果たすべき役割は大きい。
【関連記事】
・ジョンソン英首相が辞任表明 不祥事相次ぎ閣僚離反
・ジョンソン英首相辞意、対ロシア結束に影響も
・[FT]ジョンソン英首相の後釜を狙う新財務相、ザハウィ氏
多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
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ひとこと解説
不満の矛先を「仮想的」に向ける手法は、ロシアのプーチン大統領とも通じる。ロシアによるウクライナ侵攻で社会の空気が変わり、嘘をものともしないジョンソン首相の個性が許容されなくなった。
英国の深刻なインフレ、人手不足はEU離脱とも関わりがあるが、離脱を推進し、成果を強調したいジョンソン首相は負の側面を認めることができなかった。高技能人材重視の移民政策で、社会を支える単純労働力の不足を放置するなど、問題への対処が遅れた。
日本にとっては、インド太平洋重視を加速し、強調したジョンソン首相は心強い存在だったが、国内の不満、隣接するEUとの関係悪化を放置する政権の行き詰まりは時間の問題だった。
2022年7月8日 7:25 (2022年7月8日 7:54更新)
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説
EU加盟で発言力が低下し、大英帝国の「埋没」に不満を募らせる英国民は、意外に多かったのだろう。そこに登場して英国のEU離脱(ブレグジット)を達成した個性ある政治家がジョンソン氏だったのではないか。とはいえ、その政治スタイル、続出する不祥事と説明の拙さは、アンチを増やすことにもつながった。そして、長年の盟友も含めて閣僚らが次々と辞表を提出してきた末の退陣表明という、屈辱的な流れである。振り返ってみると、ブレグジットが成就した時点で勇退していれば、ジョンソン氏にとってベストだったのかもしれない。新型コロナウイルス感染拡大への初期対応の失敗も印象的。最後はウクライナ訪問時にしか喝さいを浴びなかった。
2022年7月8日 7:56 』
ロシア産ガス禁輸、調整急ぐ欧州 「日本外し」の現実味
ウクライナ侵攻が裂く世界㊥ 欧州総局長 赤川省吾
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0606D0W2A700C2000000/
『欧州連合(EU)、主要7カ国(G7)、北大西洋条約機構(NATO)と続いた6月下旬の3つの首脳会議で、焦点のロシア産ガスの輸入禁止は見送られた。だが「実現するはずがない」とみるのは早計だ。欧州では水面下で「脱ロシア」の準備が進む。日本がロシア産ガスにこだわり続ければ「抵抗勢力」とみなされ、議論から取り残される恐れがある。
広がる禁輸容認論
ガス禁輸に踏み込むべきか。首脳会議の直前、英首相官邸関係者に質問をぶつけると即答した。「もちろんだ。ロシアの戦意をくじく」。それでも結論は出なかった。エネルギーをロシアに依存する欧州が及び腰――。日本ではそんな見方が広がる。
確かに表向き欧州勢は「時期尚早」との立場をとる。だが実際にはロシア産ガスの依存度が5割に達するドイツですら、じわじわ禁輸容認論が広がる。
ドイツ与党・社会民主党(SPD)もこれまでのロシア融和策を転換した(写真はベルリン市内の党本部)
「過渡期が終わればドイツも欧州もロシアからガスを買うつもりはない。ロシアは石油・石炭・ガスで収入を得ている。それに歯止めをかける」。じっくり話を聞こうと国会の議員食堂で記者とテーブルを囲んだ与党・ドイツ社会民主党(SPD)の外交担当、シュミート議員は断言した。あまりの率直さに、発言内容を再確認しても臆するところはない。それだけ決意は固い。
変化した潮目
シュミート氏は「ロシア依存度が高いからガスはやっかい」と認める。脱ロシアには「時間がかかる」とも説明を加えた。それでも潮目が変わったのは明らかだ。SPDは戦後ドイツの対ロシア融和策をけん引したが、いまはロシアとの断絶を覚悟する。
もともと対ロシア強硬派で連立与党の一角を占める自由民主党はさらに手厳しい。「長年にわたってロシアにだまされた。過ちを認め、少しずつ関係を断ち切っていく」(外交担当のレヒテ議員)。ドイツ政界は、もはや禁輸の是非ではなく、「いつ禁輸するか」を念頭に置く。ベルリンで取材を重ねると、そんな印象を受ける。
ほかの国も似たり寄ったりだ。ガス禁輸に踏み切らなくても、ロシアのほうが供給を止めるかもしれない。「脱ロシアを見越して政策を考える」。オーストリア政界の重鎮は、政治家が集うウィーンの老舗カフェ・ラントマンでご当地コーヒー「メランジュ」をかきまぜながら語った。
ロシア産ガスが途絶すれば物価急騰は避けられない。低所得者向け補助金(社会保障政策)、企業向け減税(財政政策)、インフレ対策(金融政策)などを組み合わせるポリシーミックスの検討に入るという。
イタリアのドラギ首相(中央)はG7サミットでガス価格の統制を訴えた=ロイター
ドイツで開かれたG7サミットでもガス禁輸を意識した議論があった。サミットは石油価格の抑制策で合意したが、イタリアのドラギ首相はガス価格も統制すべきだと訴えた。物価高騰は極右勢力の追い風となる。来年の議会選をにらみ、先手を打とうとした。
サミット会場で取材した欧州の複数の政府高官によると、事務レベルで突っ込んだ話し合いがあったという。例えばロシア産ガスを運ぶ船舶を制裁したり、保険の対象から外したりすることを検討した。来年の20カ国・地域(G20)議長国インドにも根回しし、「反対しない」ことを確認した。
ただ議長国ドイツは法整備の難しさに尻込みした。船舶制裁を科せば海運国ギリシャが反発し、EU内の亀裂が深まりかねない。それゆえ「ガス価格統制」を首脳宣言に盛り込むのは見送られたが、実現可能性がなくなったわけではない。
「日本が最も強く反対した」
気になるのは「日本が最も強く反対した」と複数の欧州政府筋が記者団に漏らしたことだ。
日本は欧米ほど物価高騰への切迫感がないにもかかわらず、脱ロシアの機運に乏しい。ロシアが極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で揺さぶりをかけると、萩生田光一経済産業相は「引き続き(エネルギーの)安定供給が守られるよう官民一体で対応したい」と述べた。
初めてNATO首脳会議に参加し、開催国スペインのサンチェス首相(左)と握手する岸田首相(マドリード)=共同
それでも欧州で表立った日本批判がないのは、足元の対立構図を「ロシアVS欧米先進国」に矮小(わいしょう)化したくないとの意識があるからだ。このためG7では日本に配慮し、NATOでは日韓などを招いた。「日本はアジアにおける民主主義の守り手」。6月、ショルツ独首相の側近は番記者との懇談で日本を持ち上げた。
米国が11月の中間選挙後も内向きにならずにロシア強硬路線を貫けば、それに欧州も同調し、さらに脱ロシアの議論が加速する。欧州流の妥協を重ねながらEUはなんとか域内をまとめようとするだろう。
来年、G7議長国となる日本は「蚊帳の外」になりかねない状況を自覚すべきだろう。ロシア産エネルギーにこだわり続ければ抵抗勢力と見なされる恐れすらある。将来起こりうる極東の有事もにらみ、強権国家に毅然と対峙すべきだ。民主主義陣営を支える柱としての日本の存在感を示すチャンスである。
Nikkei Views
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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
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分析・考察
ロシアから天然ガスを武器とする揺さぶりをかけられるEUの苦境を先例として、日本で、経済安全保障を含めた国家安全保障体制全体の見直しが加速することを強く願うようになった。
いったん対立関係になれば、相手方は、最も効果的なタイミングで、脆弱なポイントを攻撃して、行動を変えさせようとする。
日本は、防衛だけでなく、エネルギー、食料自給率、財政事情などの面でも欧州主要国より脆弱だ。欧州のように価値を共有する単一市場での相互融通もできない。
ウクライナ侵攻から「力による現状変更は経済的な利益に見合わないことが立証され、リスクは低下した」といった安易な結論を引き出し、脆弱さを放置すべきではない。
2022年7月8日 7:53 』
『アレグザンダー・ボリス・ド・フェファル・ジョンソン Hon FRIBA(英語: Alexander Boris de Pfeffel Johnson[注釈 1]、1964年6月19日 – )は、イギリスの政治家。同国第77代首相(在任: 2019年7月24日 – )。庶民院議員(2期)を務めている。外務・英連邦大臣、ロンドン市長(2期)、保守党党首を歴任した。
来歴
生い立ち
1964年6月19日、ニューヨーク市マンハッタンのアッパーイーストサイドで、コロンビア大学の学生だったスタンレー・ジョンソン(作家、欧州議会議員)と最初の妻である画家のシャーロット・フォーセット(英語版)の長男として誕生した[2]。後に家族と共にイギリスに戻った。オックスフォード大学に通う母親とともにオックスフォード郊外の高級住宅地サマータウンに住みはじめ、妹が生まれてロンドン北部のクラウチ・エンドに転居、その後父親の世界銀行勤務のため再び米国に渡り弟が誕生、1969年に英国に戻り、サマセット州にある自然に囲まれた父方の別荘で暮らしたのち、ロンドン指折りの高級住宅街プリムローズ・ヒルに落ち着き、地元の小学校に通う。幼いころは難聴で、幾度か手術をした。イートン校、オックスフォード大学ベリオール・カレッジを卒業[3]。専攻は古典(ラテン語と古代ギリシャ語)[4]。大学では選抜されたごく少人数のみ入会できるエリートクラブで特権意識と暴力的騒ぎで悪名高いブリンドン・クラブに所属[5][6]。1979年に両親が離婚(妻はのちに夫のDVを告白した)。
先祖
オスマン帝国末期の内務大臣だったアリ・ケマルの子孫である(父方の祖父であるオスマン・ケマルは、第一次世界大戦中にイギリス国籍を取得し、自らの母親の旧姓であるジョンソンを姓に定めた)。父方の先祖にはイギリス王ジョージ2世がいる。ジョージ2世の玄孫であるヴュルテンベルク王子パウルが女優兼オペラ歌手であるドイツ人の愛人のフリーデリケ・ヴォースとの間にもうけた庶出の娘が、ジョンソンの高祖母にあたる(ド・プフェッフェル(de Pfeffel)は高祖母の嫁いだ男爵家の家名である)。ただし庶子を通じての血筋を引くに過ぎないため、英国王位継承資格は認められない。父方曽祖父にジョージ・ウィリアムズ (YMCA)。母方の曾祖父にはロシア帝国出身のリトアニア系ユダヤ人で、アメリカで古文書学者となったイライアス・ロウ(英語版)がいる[7]。彼は多国籍に渡る先祖(キリスト教徒、ユダヤ教徒、ムスリムからなる)について触れ、自らを『ひとり人種るつぼ』(one-man melting pot)と称している[8]。
欧州懐疑派のジャーナリスト
1987年9月にアレグラ・モスティン=オーウェンと最初の結婚を果たし、1993年4月に離婚した。同年、L.E.K.コンサルティングに就職するが、退屈のあまり1週間で退職した[9]。家族のコネで保守系紙『タイムズ』で働き始めるが、エドワード2世の宮殿を巡る歴史考古学関係の記事で学者の発言をでっち上げたため、すぐ解雇されている[10]。続いてやはり保守系紙の『デイリー・テレグラフ』記者となり[3]、1989年から1994年まで同紙のEC特派員となった。ブリュッセルに駐在していたジョンソンは反EC色の強い記事を書き続け、特に欧州統合の強力な推進者であったジャック・ドロールを厳しく批判し、ECの首都たるブリュッセルの地にあって、数少ない欧州懐疑主義のジャーナリストとして知られるようになっていった[11]が、当時の彼を知る記者たちの多くは、彼の記事はECの信用を傷つけるために虚偽の事実や誇張を交えていたと批判的に振り返っている[12]。
こうした記事によって、彼は欧州懐疑派の代表的な人物として知られるようになる[13]。また以前は左派によって主張されることが多かった欧州懐疑主義を、右派にとって魅力的なものに変貌させるのに大きく貢献した。その影響は現実政治の世界にも及び、1990年代前半のイギリス独立党の出現に一役買ったとされている上[14]、保守党内における親欧州派、懐疑派の軋轢を刺激することにもつながったという[15]。首相としてはヨーロッパと距離を置きがちであったマーガレット・サッチャーもジョンソンの記事の愛読者であったとされるが、マーストリヒト条約の締結に尽力するなどヨーロッパとの関係修復に尽力した後任首相のジョン・メージャーにとっては、ジョンソンは煙たい存在であり、当時の外務・英連邦省ではジョンソンの記事に対応する特別チームが設けられるほどであった[16]。1997年5月の総選挙における保守党大敗と政権転落の大きな原因の一つは党内における欧州懐疑派の台頭に伴う混乱とされているが[17]、ジョンソンの記事はそうした混乱の一因と見なされたため、その後しばらく保守党の政治家たちの不興を買うことになった[18]。
1993年5月に幼馴染のマリーナ・ホイーラーと結婚し、4子をもうけた。その後2020年11月に離婚した。
1994年にロンドンに戻ると政治コラムニストとなり、ユニークなスタイルで評価を得る一方、黒人・ゲイへの差別的な記事や植民地支配を賞賛する記事で物議を醸した。『スペクテイター(英語版)』誌の政治コラムニストを経て、1999年7月から同誌の編集者となり、政界入り後は2005年12月に影の内閣の高等教育大臣に任命されるまで務めた。
庶民院議員
2001年6月からは庶民院議員を2期務めた。2004年にはタブロイド紙によって、2000年以来『スペクテイター』の記者と恋愛関係にあり、2度妊娠(1度は流産、1度は中絶)[19]させていたことを暴露された。ジョンソンは当初否定していたが、事実と判明した後、党の役職を解かれた[20]。
ロンドン市長
2008年5月にロンドン市長に就任した。市長就任後、ジョンソンは『デイリー・テレグラフ』紙においてウィークリー・コラムを再開することを発表した。『ガーディアン』紙は、彼がコラム執筆を年俸25万ポンドで同意したと報じている(年俸のうち2万5千ポンドずつ、ジャーナリズムを学ぶ学生の奨学金、古典学を学ぶ学生の奨学金に寄付している)[21]。同年8月の中華人民共和国での2008年北京オリンピックの閉会式で五輪旗を引き継ぎ[22]、2012年ロンドンオリンピックの準備を行った。
2009年に芸術コンサルタントのヘレン・マッキンタイアとの間に女児をもうけていたことが後に暴露された[23]。
2012年5月3日に投票が行われたロンドン市長選挙においてケン・リヴィングストンを破り、再選を果たした[24]。2期目在任中の2015年5月7日、再び庶民院議員に当選した。市長は2016年5月9日まで務めた。
2014年11月に「イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドは同じ国家元首を共有している」としてこれらの国とシェンゲン協定のようなものを結ぶ構想(俗にCANZUK(英語版)、アングロスフィア(英語版)と呼ばれるもの)を提唱して物議を醸した[25]。
EU離脱を主導
議員としても、かねてから「欧州連合(EU)の規制で経済的関係が強い中国とのFTAが結べない」と発言[26][27]するなどEUに批判的な言動で注目を浴びており、2016年6月23日に実施されるEUからの離脱の是非を問う国民投票においてどのような立場に立つか、注目を集めていたが、2月21日に「ずいぶん頭を悩ませたが、他の余地はない」として離脱を支持することを表明、以後はブレグジット(Brexit)推進派で離脱の旗振り役として積極的に活動した[28]。アメリカのバラク・オバマ大統領がイギリスのEU残留を求めた際には、「オバマにはケニア人の血が入っており、反英感情がある」と発言し、人種差別的であるとして物議を醸した[29]。
外務・英連邦大臣
その国民投票にて離脱派が勝利したことによって、デーヴィッド・キャメロン首相が首相及び保守党党首を辞任することを発表した際にはポスト・キャメロンに期待されたが、ジョンソンは2016年イギリス保守党党首選挙には名乗りを挙げなかった[30]。その後、保守党党首に選出されたテリーザ・メイが新首相に任命されて、新内閣(第1次メイ内閣)を組閣するに当たり、ジョンソンが外務・英連邦大臣に起用された[31][32]。ジョンソンの外務・英連邦大臣就任を記者会見中に知らされたアメリカのマーク・トナー国務省報道官は失笑した[33]。初の対外公務となったフランス大使館でのレセプションでは招待客からブーイングで迎えられ、さらにフランスのジャン=マルク・エロー外相からは「嘘つき」だと名指しで批判された[34]。2018年7月9日、メイ首相の穏健なEU離脱方針に反発したため外務・英連邦大臣を辞任した(第2次メイ内閣)。後任には、ジェレミー・ハントが就いた[35]。
保守党党首及び首相就任
2019年6月7日、テリーザ・メイが党首辞任を表明したことを受けた保守党党首選挙に出馬し、5回の議員投票では一貫して1位を保ち、ジェレミー・ハント外相との決選投票に進出[36]。党員投票の結果、9万2153票を獲得し、4万6656票のハントを下し、7月23日に新党首に選出された[37]。翌7月24日、バッキンガム宮殿でエリザベス2世女王に謁見し組閣の大命(首相の任命)を受け、正式にイギリスの首相となった。
ダウニング街10番地の首相官邸前で就任演説を行ったジョンソンは、「この国をもっと良くしたい」と宣言した。また、10月31日に欧州連合(EU)離脱を実現する予定については、「『たられば』はなしだ」と強調し、「決定権は私にある」と表明した。その上で、期日までのブレグジット(イギリスのEU離脱)について「疑う人、悲観的な人、悲しみに暮れている人」は間違っていると述べた[38]。
ジョンソン内閣
第2次メイ内閣の後継政権として成立したジョンソン内閣の主要ポストにはブレグジット(イギリスのEU離脱)強硬派を置く新内閣を発表し、7月25日朝に初閣議を開いた[39]。「モダン英国内閣」と呼ばれるこの内閣は、33閣僚のうち8名もの女性閣僚、BAME (黒人―Black,、アジア人―Asian、少数民族―Minority Ethnicの頭文字をとったもの)のルーツをもつ非白人閣僚4名が起用されており、ガーディアン紙は「民族的には多様だが、思想的には均質」と評している[40]。いっぽうでこの組閣に際して、11名もの閣僚を解任し、他の6名の辞任を受けた。ジョンソンの同盟者であるナイジェル・エヴァンスは「夏の大虐殺に値するほどの改造ではない」とした[41]。
親中内閣
香港Phoenix TVとのインタビューで、ジョンソン内閣は非常に「親中内閣」になると述べた。 ジョンソンは中国の習近平国家主席のインフラの投資努力・一帯一路への「熱狂的な支持」を表明し、イギリスを中国の投資のため「ヨーロッパでもっとも開かれた経済」を維持することを約束した[42]。
議会閉鎖処置
2019年8月28日、ジョンソンは9月12日から10月13日までの間に(14日に再開)イギリス議会を閉鎖する要請をエリザベス女王に提出し、承認された。これにより新法可決もしくは不信任投票を行うことで強硬離脱防止を狙う反対派は議論の時間がより制限されたものとなった。庶民院議長のジョン・バーコウはこの決定を「憲法違反」だと述べ、強く非難した。また労働党のジェレミー・コービン党首は、「議会を中断することは容認できず、それは不可能だ。首相がやっていることは、民主主義を強引につかんで合意なしへと引きずり込むことだ」と述べた。ウェストミンスターに集まったデモ隊は反離脱のプラカードとEU旗を携え、「クーデターは止めろ!」と連呼した[43]。
相次ぐ議員追放・辞任と最高裁判決
2019年9月3日、さらなる離脱期限の延期なら「ノタレ死“DEAD IN A DITCH”のほうがマシ」と述べるジョンソン[44]は元閣僚(フィリップ・ハモンド)、チャーチルの孫、最年長の現職議員らをふくむ21名を強行離脱を避けるために政府に反抗したとして保守党から解任した。彼らは、内閣初の重要な投票でジョンソンを敗北させ、政府だけが新しい法律を提案できるとする庶民院の規定を無効とした。また、野党とともにEU離脱期限(デッドライン)を既定の10月31日から2020年1月31日まで延期するよう求めるとした。つづく5日には閣外大臣を務める自身の弟ジョー・ジョンソンもツィッタ―上で辞意を表明[45]、庶民院議長バーコウも10月中の退任を発表した[46]。21名もの追放処分は前例のない処置とされ、その動機に関してエリザベス女王を誤解させたことも併せてメディアに非難された[47][48][49]。ジョンソンの強行路線は逆に反対派の抵抗を強める結果となった。
9月24日、イギリス最高裁判所は先のスコットランド高裁での判決同様、議会閉鎖は「違憲」で「無効」である旨の判決を下し、議長ジョン・バーコウは25日の議会再開を宣言した。これにより強行離脱も辞さないとしたジョンソンの目する10月末までの離脱はより見通しづらい状況となった[50]。しかし12月の総選挙で保守党は圧勝し、2020年1月31日をもってイギリスはEUからの離脱を果たした[51]。
「イギリスの欧州連合離脱」も参照
新型コロナウイルスの流行への対応
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のイギリスでの流行拡大にかかる危機が、首相に就任して一年足らずのジョンソン首相にのしかかることとなった[52]。当初、イギリスは集団免疫の獲得を目的とした独自の対応策を採用していたが、最終的に数十万人が死亡する予測だったことから批判を浴び、方針転換を余儀なくされた[53]。
2020年3月27日、新型コロナウイルス感染症の検査を行ったところ、陽性反応であったことを明かした[54]。その後は自宅に自主隔離を行い[55]、会議にはテレビを通じて参加。高熱などの症状が続き、4月5日には念のため検査入院したが[56]、翌6日、意識はあるものの容態が悪化し、人工呼吸器が必要になった場合に備えて集中治療室に入った[57][58]。その後持ち直し、9日夕方に集中治療室から出て一般病棟に移った。12日、退院した[59][60]。27日、公務に復帰した[61]。
2020年12月、ファイザーとビオンテックが共同開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を表明した。
新型コロナウイルス対策で自粛が求められている中で、2020年以降、首相官邸を含む政府機関で複数のパーティー(首相のバースデーパーティーを含む[62])が開かれていたことが明らかになり、2022年1月26日の下院議会では、野党党首らが問題として取り上げ首相に辞任を迫る一幕があった。これに対しジョンソンは辞任を否定し、引き続き首相として仕事を続ける意思を示した[63]。4月12日には、自身に警察当局から新型コロナウイルス対策の規則違反の罰金の通知が来たことを明らかにし、謝罪した[64][65]。しかしこの問題はパーティーゲート事件と呼ばれ国民の批判を浴び[66]、5月5日に投開票された地方選挙で保守党が大敗した一因になったとされる[67]。このため党内からもジョンソンの資質に疑問の声が上がり始め、6月6日に党首信任投票を実施[68]。同日夜の投票では投票した下院議員359人のうち211人(58.8%)が賛成、148人(41.2%)が反対し、反対票が不信任に必要な過半数に届かなかったためジョンソンはひとまず続投となった[69]。
保守党党首辞任へ
1922年委員会での不信任投票は乗り越えたものの、上記の「パーティーゲート事件」に加え、痴漢行為をしたと報じられた議員を保守党の要職に任命していたことに閣内からも反発が生じ、7月5日にはリシ・スーナク財務大臣をはじめ40人にのぼる政府関係者が辞任する事態となった。7月7日、ジョンソンが保守党党首の辞任を表明した。新たな党首が選ばれるまでは引き続き首相としての職務を行うという[70][71][72]。
人物
イギリスにおいてもっとも人気のある政治家の一人である。通常イギリスのマスメディアにおいて政治家は姓で呼ばれるが、ジョンソンのみは親しみを込めて「ボリス」のファーストネームのみが用いられる。2008年のロンドン市長選挙時にイギリス労働党のテッサ・ジョウェル(英語版)はジョンソンの親しみやすさが彼への好感度につながるのを危惧し、自分の陣営の選挙スタッフがジョンソンについて「ボリス」と言ったら罰金を払うとしていた[73]。ジョウェル自身はこれを否定している。
シンクタンクの調査では回答者の約半数がジョンソンの発言を信用しているという[74]。ジョンソンはしばしば政治風刺の的にされている。隔週で発行される時事雑誌『プライベート・アイ(英語版)』はジョンソンを4回表紙に選んでいる。
2016年3月下旬の世論調査によれば、ジョンソンはポスト・キャメロンの保守党の次期党首の筆頭候補であった[75]。ORBの調査では回答者の約4割がジョンソンが保守党の次期党首になることを望んでいる。YouGovの調査でも約4割がジョンソンの党首就任を支持しており、ジョージ・オズボーン(22パーセント)やその他の議員を大きく引き離していた[75]。
一方でジョンソンは人種差別、同性愛差別(ホモフォビア)、排外主義的なコメントを繰り返してきた。2016年5月には、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相がヤギと性行為を行う詩を「most offensive Erdoğan poem」賞に投稿した。これはドイツの裁判所において、コメディアンのエルドアン批判スキャットを差し止める法的決定が下されたことに抗議して雑誌が主催したもので、ジョンソンは優勝し1000ポンドを手に入れた。
ジョンソンはサイクリング好きで知られ、自ら自転車通勤している。数回自転車盗難にあっており、『イズリントン中におとりの自転車を配置し、窃盗犯にはネイビー・シールズを送り込んでほしい』と希望を表明している[76]。2010年7月、ヴェリブをモデルとした自転車共有システムをロンドンに導入した[77]。
フランスの新聞ル・フィガロ紙は「ボリス・ジョンソンはしばしばドナルド・トランプと比較される。また、マキャベリストからそれほど遠くない」と評している[78]。
第二次世界大戦時のウィンストン・チャーチル首相を尊敬していることでも知られる[79]。
二重国籍
1964年6月にアメリカのニューヨークで出生してから外務・英連邦大臣に就任した2016年7月までの52年間に渡り、この間に庶民院議員に3回、ロンドン市長に2回それぞれ当選し、また、イギリスのEU離脱を主張するブレグジット・キャンペーンのリーダーでもあったが、その間ずっとアメリカとの二重国籍であった。
2017年2月になってアメリカ財務省により、2016年にアメリカ国籍を離脱した人物のリストに掲載されたことから、アメリカ国籍の離脱が明らかになったが、このリストはあくまでも「離脱した」という事実を事後的に明らかにするだけのものであるため、外務・英連邦大臣に就任した時点で、まだ二重国籍だったのか、既にアメリカ国籍を離脱していたのかについては、明らかになっていない。
コカイン・大麻使用歴
2007年、GQ誌上のインタビューの中で、ジョンソンはコカインと大麻の使用歴を認めている。インタビューによれば、大学在学中にコカインを試したものの「くしゃみ」をしてしまい、なんの効果もあらわれなかったという。大麻は大学入学前に試し、とても「楽しく素敵だった」が、子供たちにはドラッグは試させたくはないと述べている[80]。
2008年、マリー・クレール誌とのインタビューにおいて、再びジョンソンはコカイン摂取を尋ねられ、以下のように答えた。「まあ、それはわたしが19歳のときでした。時には何も言わない方が良いでしょう。わたしは完全に薬物に反対します。子供に薬を飲ませたくはありません」。2005年、BBC関連の番組に出演したジョンソンは「実際、わたしは粉砂糖をやっていたのかもしれない」とも語っている[81]。
家族
妹のレイチェルはジャーナリスト、長弟のジョーは国会議員、次弟のレオは起業家である。ジョーは何度か閣僚の経験があり、2019年発足のジョンソン政権では大学・科学担当の閣外相を務めていたが、兄のボリスのEU離脱強行の姿勢に反発して辞任している[82]。
1993年5月に幼少時代から家族ぐるみの付き合いがあったマリナ・ホイーラー(法廷弁護士。父はBBC特派員チャールズ・ホイーラー)と結婚し、4子がある[83][84]。2018年9月にマリナとの離婚の手続きを開始し[85]、2020年11月に正式に離婚した。
2020年11月のマリナとの離婚成立前から元保守党の広報担当キャリー・サイモンズ(『インディペンデント』紙の共同創業者、マシュー・サイモンズの娘)と交際していたが[86]、2020年2月29日に婚約を発表した[87]。4月29日朝にキャリーが2人にとって第1子となる男の子を出産し[88]、2021年5月29日にキャリーと結婚式を挙げた[89]。首相が在任中に結婚したのは1822年のロバート・ジェンキンソン首相以来で、史上2人目である[90]。
マリナとの間に4子、キャリーとの間に2人、このほか婚外子が1人(娘)おり、ジョンソンは合計で7子がいることになるが[91]、婚外子については長年公式には認めず、その存在について報道しないよう裁判所に申し立て却下されたこともある。2021年9月になってその存在を公式に認めた[92]。
著作(日本語訳)
『世界同時中継! 朝まで生テロリスト?』 高月園子訳、扶桑社ミステリー、2006年10月。スラップスティック作品
『チャーチル・ファクター たった一人で歴史と世界を変える力』 石塚雅彦・小林恭子訳、プレジデント社、2016年4月 』