イエメン情勢の中東諸国に対する石油・LNG供給への影響
2015年4月23日 調査部 濱田 秀明
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/res/projects/default_project/_project/pdf/5/5913/1504_b02_hamada_ye.pdf




















イエメン情勢の中東諸国に対する石油・LNG供給への影響
2015年4月23日 調査部 濱田 秀明
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/res/projects/default_project/_project/pdf/5/5913/1504_b02_hamada_ye.pdf




















イエメン内戦、きょう停戦合意期限 国連は再延長を模索
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR289RI0Y2A720C2000000/








『【ドバイ=福冨隼太郎】中東イエメンの内戦で、サウジアラビアが率いるアラブ有志連合とイスラム教シーア派武装勢力フーシ派による停戦が2日で4カ月の期限を迎える。両者を仲介する国連は停戦合意のさらなる延長を模索する。
国連が7月21日に発表した停戦に関する声明で、ハンス・グランドバーグ担当特使は「停戦が完全に実施され、更新され、強化されることを望む」とした。ロイター通信などは7月中旬、国連が有志連合とフーシ派の双方に6カ月間の停戦延長に合意するよう働きかけていると報じた。
両勢力は4月に2カ月間の最初の停戦合意を結び、6月にさらに2カ月間延長で合意した。6カ月間の停戦延長が実現すれば、2015年に内戦が始まってから和平に向けた最大の前進となる。
停戦合意の発効後、フーシ派の支配下にあるイエメンの首都サヌアの空港からヨルダンの首都アンマンなどへの航空便が再開した。西部ホデイダでも合意に基づいて燃料運搬船の入港が始まった。国連によると合意が発効した4月2日から7月21日までに26隻が入港した。
サウジ側は長期化した内戦から手を引きたい意向とされる。停戦前にはフーシ派によるとみられるサウジの石油施設などへの越境攻撃が相次いだ。攻撃は石油の安定供給への打撃となりかねない。7月中旬にバイデン米大統領がサウジを訪問した際、バイデン氏とサウジのムハンマド皇太子はイエメン問題の外交解決で一致した。
しかし停戦が本格的な和平につながるかは不透明だ。フーシ派の時間稼ぎとの見方もある。米中東研究所のジェラルド・ファイアスタイン氏は「フーシ派が停戦で内戦終結の道筋をつけようとしたのか、兵力の再編成の時間を得ようとしたのか、大きな疑問だ」と指摘。「4カ月間の停戦は全体として成功だったといえるが状況は安定していない。国連は内戦終結へのプロセスを立ち上げられていない」と話す。
アラブメディアは7月下旬に南西部タイズでフーシ派による攻撃があったと報じた。国連によると攻撃で少年1人が死亡し、10歳未満の子ども11人が負傷した。フーシ派はタイズへ通じる道路も封鎖しており、サウジが支援する暫定政権側は批判を強めている。
イエメン内戦は15年、フーシ派によるクーデターで逃亡した当時のハディ暫定大統領をサウジが支援、軍事介入したことで本格化した。サウジと対立するイランはフーシ派の後ろ盾となっており、内戦はサウジ、イラン両国による代理戦争の様相を呈した。内戦は7年以上に及び、37万人以上が犠牲になったとされる。』
EU加盟、条件厳しく トルコは交渉17年続く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB016QE0R00C22A8000000/
『欧州連合(EU)への加盟を目指す国々は多いものの、加盟条件は厳しい。実現するケースはそう多くないのが実情だ。「最若手」のメンバーはクロアチアで、加盟したのは2013年と10年近く前にまで遡る。

【関連記事】ウクライナ副首相、EU加盟「10年以内」 汚職撲滅急ぐ
EUは6月にウクライナを「加盟候補国」に認定したが、加盟実現にはまだ相当な時間がかかることが予測される。今後は交渉開始条件を満たしているか、全加盟国の合意を得ることが必要だ。
さらに交渉の開始以降は、法や自由、環境、金融サービス、人の移動など35分野でEU基準に合わせる改革が必要となる。
これらの改革のメドが立った後、全加盟国が加盟条約に署名・批准することでようやく加盟が実現する。申請から加盟までは10年前後かかるのが一般的だ。
加盟手続きがより長期に及ぶことも珍しくない。北マケドニアとアルバニアはそれぞれ2004年、09年に加盟を申請し、20年にようやく加盟交渉の開始が決まった。トルコも1987年に申請した後、2005年に交渉が開始したが、交渉が完了している分野はまだわずかだ。
ウクライナも加盟に向けたハードルは多い。最大の障害の一つは、ウクライナでなお深刻な公職者の汚職だ。ショルツ独首相が6月、「民主主義や法の支配」などでウクライナ側に課題があると指摘するなど、欧州各国では厳しい目が向けられている。
東欧などの国々の新規加盟を認めれば難民や移民が欧州の西側に押し寄せるリスクがあるとして、加盟済みの国々の中にはEU拡大に慎重な国も少なくない。フランスも慎重な国の一つだ。マクロン大統領は5月、EUより簡素な手続きで加盟できるなど、より緩やかな組織「欧州政治共同体」の設立を提唱した。』
ウクライナから穀物船出航 輸出再開第1号、レバノンへ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR014JL0R00C22A8000000/


『【イスタンブール=木寺もも子】ウクライナ産穀物を積んだ貨物船が1日、南部オデッサの港から出航した。ウクライナとトルコがそれぞれ明らかにした。ロシアによる侵攻で輸送が止まった黒海への回廊設置で関係国が合意してから初めての輸出再開となる。
【関連記事】米国、ウクライナに720億円追加支援 ロケット弾など
第1号の船はシエラレオネ船籍の貨物船で、トウモロコシ2万6千トンを積みレバノンのトリポリ港に向かうという。2日に黒海の出入り口にあたるトルコのイスタンブールに到着後、新たに設置した共同管理センターが積み荷などを検査する。
ウクライナのクブラコフ・インフラ相はフェイスブックへの投稿で、さらに16隻が出航待機中だと明らかにした。輸出再開で少なくとも10億ドル(約1300億円)の外貨収入が見込めるという。
国連のグテレス事務総長は声明を出し「合意に基づき多くの商船が動き出す最初(の事例)となり、世界の食糧安全保障に求められていた安定と救済をもたらすことを希望する」などと述べた。
穀物輸出再開に向けて準備が進む港を訪れたゼレンスキー大統領(左から3人目。7月29日、ウクライナ南部オデッサ)=ロイター
ロシアのウクライナ侵攻で世界的に穀物価格が上昇したが、国際指標となる米シカゴ商品取引所の小麦先物はこのところ軟調な展開が目立つ。侵攻前比で1割弱安い。小麦の世界輸出量の1割程度を占めるウクライナから、供給が本格的に再開するとの観測が上値を抑えている。
ウクライナ国内に滞留する穀物は2000万トン超にのぼる。ただロシアは回廊設置の合意翌日の7月23日にオデッサ港を攻撃した。船会社などが輸送を引き受けるかや保険料が高騰しないかといった懸念はくすぶり、本格再開の時期は不透明だ。
【関連記事】
・[FT]「作付けのお金がない」 困窮するウクライナの農家
・ウクライナ大統領「侵攻で今年の穀物収穫半減の恐れ」
・[FT]ウクライナ農相「22年後半の小麦作付け3分の1に」
多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察
オデーサから穀物輸出の船が出たというのは何よりの朗報。もちろん、ロシアが今後態度を変える可能性もあり、リスクがないわけではないが、まずはこの状態が維持されることを期待したい。最初の輸出先がレバノンと言うことの意味も大きい。レバノンは数年前の穀物サイロの爆発があり、穀物の備蓄が出来ない状況で、コロナ禍での経済混乱による貧困の問題が深刻。こんな中で穀物価格が上昇するのは危険な状況だっただけに、ウクライナの穀物がレバノンに届けば、あらゆる面で危機が緩和する。
2022年8月2日 1:32 』
[FT]ドイツ銀、内規に反して顧客への不正な税還付を支援
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB021EH0S2A800C2000000/
『ドイツ最大の金融機関であるドイツ銀行で起きた、欧州史上まれに見る大規模な税金詐欺に関する内部調査で、従業員が法令や内部規定に反して顧客への不正な税還付を手助けしていたことが明らかになった。
ドイツ銀の元・現従業員70人以上が、ケルン検察当局による捜査の対象となっている=ロイター
ドイツ銀の元・現従業員70人以上が、ケルン検察当局による捜査の対象となっている。複数の当局が目下、「Cum-Ex取引」と呼ばれる巨額詐欺の真相究明に大々的に乗り出しており、ドイツ銀が深入りしていた実態が明るみに出た。
英バークレイズや豪マッコーリー、伊ウニクレディト傘下の独ヒポ・フェラインス銀行といった主要金融機関も関係しているCum-Ex取引は、国庫に本来納められるべき税金を長期間にわたって不正に環流させてきた仕組みで、計1500人がケルン検察当局の取り調べを受けている。
配当権利落ち日前後の株式取引を悪用
この問題を巡っては何年も前から捜査が実施されてきたが、7月にフランクフルト検察当局の要請の下、オランダのフォルティス銀行幹部がスペインのマヨルカ島で身柄を拘束されたことで、追及の手が強まった。
2015年から英法律事務所フレッシュフィールズが実施してきたドイツ銀の内部調査結果が、検察当局と共有された。事情を知る複数の関係者の話では、同行従業員の刑事責任を追及していくうえで鍵となる資料だ。
Cum-Ex取引は、配当権利落ち日前後の株式取引を通じて、はなから納めてもいない税金の還付を受けられるようにだます手口で、欧州大陸の国々から多額の歳入を奪ってきた。「Cum」と「Ex」はラテン語でそれぞれ「(権利)付き」「(権利)落ち」を意味する。
内部調査によると、ドイツ銀の税務部門は当初、行員から直接的な実行の許可を求められたCum-Ex取引と距離を置こうとした。同行の税務専門家は、税還付を受けられる仕組みの存在を当時認識しつつも、不正の要素が拭えず、大きく評判を落とす羽目になると主張していた。
それにもかかわらず、同行ロンドン支店の投資銀行員が間接的な方法でCum-Ex取引に関与したことが、内部調査で暴かれた。フレッシュフィールズは「いくつもの法令・内規違反を突き止めた」と明かした。
独財務省は、01~11年に国内で少なくとも39億ユーロ(約5300億円)の税金が不正に還付されたと発表している。
Cum-Ex取引への取引関与認める
フレッシュフィールズの報告書は、Cum-Ex取引に特化した顧客であると知りながらも投資銀行サービスを提供することで、ドイツ銀が何百万ユーロもの手数料を稼いでいたと説明した。同行は、法の抜け穴をかいくぐる違法性が既に指摘されているデリバティブ(金融派生商品)取引もしていた。
ドイツ銀は08~11年に、Cum-Ex取引専門の投資ファンドを有するルクセンブルク・フィナンシャル・グループ・ホールディングの株式を5%保有していた。フレッシュフィールズが13年に取りまとめ、フィナンシャル・タイムズ(FT)が入手した過去の報告書でも、この投資ファンドは投資銀行部門の問題顧客の1つに挙げられていた。
ドイツ銀はFTに対し、「自社会計上ではCum-Ex取引に従事したことはない」とコメントしつつ、「顧客によるCum-Ex取引には関与した」と認めた。Cum-Ex取引の資金繰り支援などの金融サービスを提供したという。
同行は「今日ではこうした資金提供に極めて批判的な見方をしており、この件で当局の捜査に協力している」と説明した。
ドイツ連邦裁判所は21年、Cum-Ex取引が常に不正行為であったという画期的な判決を下し、フレッシュフィールズを含むさまざまな法律事務所からの反対意見を退けた。
フレッシュフィールズが報告書で挙げたドイツ銀の問題点の中には、行員による内規の順守をチェックする内部統制の不備が含まれる。
Cum-Ex取引に関わる部署が「自らの業務を律する」のではなく、「承認条件の範囲内で担当部署が取引するようなシステムを整えておくべきだった」というのが、フレッシュフィールズの見解だ。
フレッシュフィールズは、明らかにCum-Ex取引を専門とし、その資金繰りに多額を借り入れる顧客を容認していたドイツ銀を批判した。ドイツ銀はまた、Cum-Ex取引に使われる株式を提供したり、株価の急変動リスクをヘッジする商品を販売したりしていた。
報告書は「上級管理職がCum-Ex取引の潜在的な買い手への融資に絡む評判上の問題を議論した」うえで「そのリスクを許容可能だと判断した」と指摘した。これらの上級管理職が「Cum-Ex取引の性質を完全に理解し、(一部の顧客が)間接的にCum-Ex取引に関与する可能性を認識していた」と記している。
さらに報告書で、ドイツ銀がCum-Ex取引関連の顧客に対する手数料設定を適切に書面で記録していなかったことが判明した。
内部文書に「今ここにある好機」
フレッシュフィールズの調査によると、ドイツ銀は自ら、法律の抜け穴を使ったデリバティブ取引に手を染めていた。FTが入手した07年の内部文書には「今ここにある好機」と表現されていた。
フレッシュフィールズが調べた複数の内部文書からは、ドイツ銀が配当権利落ち日前後のデリバティブ取引で年間5000万ユーロ稼げると見込んでいたことが分かった。「われわれが株式を物理的に購入するわけではなく、われわれが(税還付の)申請人になるわけでもない」と強調していた。
フレッシュフィールズは、このような取引が内規の「精神と目的」に違反するとの見方を示し、Cum-Ex取引への関与を制するという内規の本来的な意図がほとんど顧みられなかったと結論付けた。
By Olaf Storbeck
(2022年8月1日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』
ウクライナ最新戦況マップ8.1 ロシア軍、南部に援軍へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCA020HM0S2A800C2000000/

『米シンクタンクの戦争研究所によると、ロシア軍は実効支配するウクライナ南部の防衛のため、東部ドネツク州から援軍を派遣しているもようだ。スラビャンスク周辺での攻撃を一時中断した可能性がある。バフムート周辺では、1日も地上作戦を継続したが、失敗に終わった。』
6月の独小売売上高、8.8%低下 物価高で落ち込み最大
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR01C3R0R00C22A8000000/
『【ベルリン=南毅郎】ドイツ連邦統計庁が1日発表した6月の小売売上高指数は実質ベースで前年同月比8.8%低下した。統計で遡れる1994年以降で最大の落ち込みになった。ロシアのウクライナ侵攻に伴う供給不安でエネルギーや食料品など幅広い品目が値上がりし、個人消費が冷え込みつつある。
前月比では1.6%の低下だった。値上がりが続く食料品のほか、衣類や家具・家電製品などが振るわなかった。インターネット通販も不調だった。
ドイツでは今春にかけて新型コロナウイルス対応の行動規制が段階的に緩和された。個人消費が上向くと期待されていたものの、ウクライナ危機に伴うインフレの加速で急ブレーキがかかっている。欧州連合(EU)統計局がまとめた7月のドイツの消費者物価指数は前年同月比で8.5%上昇した。
ドイツ政府は6月からガソリンの高騰抑制などインフレ対策を導入しており、延長の是非が焦点になる。足元ではロシア国営ガスプロムが欧州向けのガス供給を大幅に削減したことで天然ガスの価格が高騰しており、光熱費などの負担は年末にかけて増える見通しだ。節約志向が強まり、個人消費が一段と冷え込む恐れがある。』
対中制裁「対ロシアよりハードル高い」 帝京大・露口氏
大中国の時代・次なる危機 識者に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC25BKK0V20C22A7000000/
『米欧日によるロシアへの経済制裁は中国にとっても衝撃となった。外貨準備高の凍結、銀行の国際銀行間通信協会(SWIFT)からの排除にロシアは困窮し、改めて基軸通貨である米ドルの優位性を見せつけたからだ。有事に備え、中国はドル依存の緩和を急ぐ。日本銀行の初代北京事務所長を務めた露口洋介・帝京大教授に展望を聞いた。
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――中国は対ロ制裁をどう受け止めたでしょうか。
「ロシアによるウクライナ侵攻を受け、人民元の国際化に拍車をかけようと試みるだろう。関係が近い国と脱ドルに動き、自分たちにとって安全な通貨としての元の利用を増やす。中国は自国が関わる貿易の取引通貨を元に置き換えていけば、米国から金融制裁を受けた際の効果を減らせる」
「中国は安全保障の観点からも、他国との2国間取引ではドルの使用比率を引き下げようとしてきた。ただこれは元が世界で広く使われる通貨になることを意味しない。ドルには通貨同士の交換を媒介する『通貨の通貨』の役割がある。資本取引が規制された元は多くの国にとって使いづらく、世界中でドルの代わりにはなり得ない」
――対中制裁は何が焦点になりますか。
「中国に対して金融制裁を科すには、金融センターである香港を対象にしないと効果がないだろう。中国の貿易決済はいまだにドルに依存するが、すでに資本取引は約9割が元建てで、その約半分が香港を介する。中国にとって香港は対外投資や海外からのマネー受け入れの拠点だ。中国と香港間の取引は多くが元建てなので、SWIFTを使う必要もない」
「制裁が効果を生むには、ドルやユーロ、日本円が香港に流れるのを止めなくてはならない。香港はHSBCやスタンダードチャータード銀行など英系銀行が根を張り、英ロンドンや米ニューヨークに次ぐ国際金融都市でもある。世界の金融に混乱が及ぶ恐れを考えると、制裁の実行は対ロ制裁よりもハードルが高い」
――将来、元がドルに取って代わることは考えられますか。
「現時点では中国の戦略はドルのような覇権通貨を目指すものではなく、自国防衛の目的が強いとみている。米国の影響力を減らしたいが、逆に米国への影響力を強めたいとまでは考えていない。英ポンドからドルに覇権が移った際は、米国が興隆しただけでなく英国が没落した。米国の急速な衰退がない限り、基軸通貨の交代は起きない」
「ただ元の国際化が進むと、アジアなど限られた地域では、取引の2~3割が元建てに代わるようなこともありうる。元がアジアの地域的な媒介通貨になる可能性は考慮すべきだ。20~30年後には日本が中国から金融制裁を受ける事態も想定される。日本も円建ての貿易取引を増やすなど、円の国際化を進めておくことが安全保障につながる」
(聞き手は山田遼太郎)
[FT]再選目指すブラジル大統領、3男がトランプ氏に接近
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0143V0R00C22A8000000/
『トランプ前米大統領の側近だった元首席戦略官・上級顧問のスティーブン・バノン氏が2022年のブラジル大統領選を「中南米史上で最も重要な選挙」だと持ち上げた際、隣にいたのはブラジルの極右ボルソナロ大統領に最も近い人物であるブラジル下院議員で息子のエドゥアルド・ボルソナロ氏だった。
エドゥアルド氏(中央)は21年1月6日のトランプ氏支持者による米議会襲撃の際、ワシントンに滞在していた=ロイター
21年に米サウスダコタ州で開かれた会議でバノン氏から「『熱帯のトランプ』の三男」と紹介されたエドゥアルド氏は、父親から全幅の信頼を受けた海外特使兼、父の政治信条を訴える人物として、トランプ一族など海外の保守派と緊密な関係を築いている。
ブラジルでは10月に大統領選が実施される。中年米最大の民主主義国であるブラジルにとって正念場と目されるこの選挙で、2期目をめざす現職のボルソナロ氏は苦戦を強いられている。エドゥアルド氏は父親とともに、ブラジルの電子投票制度に疑問を呈し、最高裁判所を攻撃している。
2期務めた左派ルラ元大統領がほぼすべての世論調査で大きくリードしているが、エドゥアルド氏は「接戦」だと信じて疑わない。
同氏は首都ブラジリアにある手狭な議員事務所で珍しくインタビューに応じ「世論調査は信じない」と言い切った。
最高裁に攻撃の矛先
エドゥアルド氏には上院議員のフラビオ氏とリオ市議のカルロス氏という2人の兄がおり、父親からは「03」と呼ばれている。当初は政界を避けて連邦警察に勤めていたが、14年に30歳でサンパウロ市議になった。
エドゥアルド氏は「約1万ドルを費やして当選した。本当に運が良かった」と振り返った。4年後に下院議員に立候補し、最多の184万票を獲得して当選した。
エドゥアルド氏は親しみやすく礼儀正しいが、発言は寛容とは限らない。父親のライバル候補を厳しく批判するのと同様に、最高裁にも攻撃の矛先を向けている。
最高裁判事は「常に」ルラ氏に有利になるよう介入し、父親に「対抗」していると訴えた。
ブラジル最高裁の権限は他の多くの国よりも大きく、判事が告発して自ら調査に着手できる。国民の多くからは民主主義のとりでとみなされているが、ボルソナロ氏や息子たち、国内の右派にとっては、大統領の保守主義に抵抗する左派のエスタブリッシュメント(支配層)だ。
エドゥアルド氏は「最高裁は独裁体制を敷いてメディアを廃業に追い込み、ジャーナリストを投獄し、市民を国外追放し、政党の党首や政治家を逮捕している」と主張する。「これらはいずれもブラジルで実際に起きた。だがボルソナロ大統領ではなく、最高裁によるものだ」
実例として、軍警察出身のボルソナロ派議員、ダニエル・シルベイラ氏の事件を挙げた。最高裁は4月、最高裁のモラエス判事らを動画で脅迫したとして、シルベイラ氏に懲役9年近くに及ぶ実刑判決を言い渡した。シルベイラ氏は動画で「国民は最高裁に行き、モラエス氏の首根っこをつかんでそのインテリぶった頭をごみ箱に投げ捨てるべきだ」とけしかけた。
エドゥアルド氏はシルベイラ氏を非難するのではなく、最高裁の行為を「最低」だと糾弾した。「(モラエス氏は)自分を被害者だとして自ら告発し、判決を下した。こんな制度はブラジルにしかない」と指摘した。ボルソナロ氏はその後、シルベイラ氏に恩赦を与えた。
海外の支持者の橋渡し役
エドゥアルド氏は研修で米国に滞在した経験があるため英語を流ちょうに話す。さらに本人の政治信条もあり、ボルソナロ氏と海外の支持者の橋渡し役を担っている。ボルソナロ氏は19年、エドゥアルド氏を駐米大使に任命しようとしたが、議会の反対を受けて断念した。
エドゥアルド氏はトランプ氏を「大いに尊敬」していると話す。トランプ氏もそう思っているようだ。エドゥアルド氏の事務所にはトランプ氏の「エドゥアルド氏は偉大な人物だ。素晴らしい父親に関する朗報が間もなく舞い込むだろう。幸運を祈る。ドナルドより」とのメッセージが書き添えられたエドゥアルド氏のウィキペディアのページが額に入れて飾られている。
米在住の資本家でボルソナロ一族に近いジェラルド・ブラント氏は「エドゥアルド氏は米国の保守派の運動をブラジル流にして伝えるたぐいまれなる才能を持つ」とたたえる。「父親の実績を次世代につなげていくだろう」
エドゥアルド氏は21年1月6日のトランプ氏支持者による米議会襲撃の際、ワシントンに滞在していた。だが、この事件は米国の「国内問題」だとしてコメントを控えた。同氏はその後も、バノン氏が登壇した21年8月のサウスダコタの会議などでトランプ一族や側近と会っている。
中南米情勢に詳しいシャノン元米国務次官は、エドゥアルド氏は「米議会襲撃の失敗の原因を詳細に調べていた」との見解を示した。
さらに「エドゥアルド氏らはトランプ氏が暴徒が成功することに託していたのが失敗の原因だと結論付けた。権力の座を保つには公的組織、武装勢力の支援が必要だと考えている」と指摘した。
ボルソナロ氏は7月、各国の駐ブラジル大使との会合で電子投票制度を繰り返し攻撃した。これを受けてバイデン米政権はブラジルの投票制度への支持を表明した。
米国務省の高官は「ブラジルの次の選挙結果は有権者の意志が反映されると100%確信している」と強調した。
ボルソナロ氏は電子化された投票機は不正が起きやすいと主張し、軍の監視下で並行して集計するよう求めている。
銃の所持を強力に支持
エドゥアルド氏は投票制度が変更されず、父親が選挙で敗北した場合にはどうするかとの質問に対し「(投票制度は)改善されると思う」と答えをはぐらかした。「それ以外はすべて予測にすぎない。(支持者が)抗議デモを起こすかどうかは分からない」
当局は暴動が起こるのではないかと懸念している。だがエドゥアルド氏は、ボルソナロ政権下で銃の所持が4倍に増えたことで、ブラジルはより安全になったと考えている。同氏の事務所には銃器のレプリカや「安全な銃のルールその1:携帯すること」との標語を飾り、ルラ氏が大統領に選出されれば、銃を取り締まるのではないかと懸念している。
エドゥアルド氏は「独裁者は国民を脅威とみなして銃を取り上げる。私たちは逆に、自らの身と財産を守る可能性を国民に与える」と持論を展開した。
「03」にとっては、こうした自由を守っていることが父親の主な実績であり、再選される根拠になっている。「父は国民に自由をもたらすために私生活をささげている。自由の闘士だ」と強調した。
By Roula Khalaf, Michael Stott and Michael Pooler
(2022年7月31日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』