ロシア軍司令官が妻や母親を脅迫、もし黙らないなら夫や息子を特攻隊に送る
https://grandfleet.info/russia-related/russian-military-commander-threatens-wives-and-mothers-saying-he-will-send-their-husbands-and-sons-to-suicide-squads-if-they-dont-shut-up/
『2024.07.11
Moscow Timesは「部分的動員(強制動員)で駆り出された人々の復員を求める運動」を報じていた独立系メディアの1つだが、ロシア当局は10日「Moscow Timesを望ましくないメディアリストに指定(非合法化)した」と発表した。
参考:Russia Outlaws The Moscow Times as ‘Undesirable’ Organization
参考:Branded ‘Foreign Agents,’ Wives and Mothers of Mobilized Russian Soldiers Face Uncertain Future
ウクライナでも戦争報道は事実上の検閲状態で批判的な意見が抑圧されていると指摘されているが、ロシアでは検閲と抑圧が厳しすぎて声すら上げられない
プーチン大統領は2022年9月21日に部分的動員を発表し、ショイグ国防相は10月28日「計画された30万人の動員が完了した」と発表したが、プーチン大統領は動員終了に関する関連法令に署名しておらず、部分的動員に関する関連法令には「動員解除」に関する具体的な期限が定められておらず、グルリョフ下院副議長は2023年9月「部分的動員で招集された人々の復員は新たな動員が必要になるため実施しない」と、カルタポロフ国防委員長も「部分的動員で招集された人々は特別軍事作戦が完了すれば帰国できる」「彼らの動員解除は想定していない」と言及。
出典:Путь Домой
部分的動員で夫や息子を招集された妻や母親は無期限動員に反対する嘆願書を発表し「国は戦争に動員された人々と家族に背を向けている」と訴えたが、ロシア当局は訴えを無視して各地の集会を潰し、この問題をネットで議論していた関係者を取り締まったものの、この活動は複数のグループに拡大して組織と参加者が地下に潜り、活動や抗議も巧妙化し、これを独立系メディアが報じ始めたためロシア当局は火消しに失敗した格好だ。
Moscow Timesも同問題を報じていた独立系メディアの1つだが、検察庁は10日「Moscow Timesは外交政策と国内政策の両面で連邦指導部の信頼を損なおうとしたため望ましくないメディアリストに指定した」「Moscow Timesは特別軍事作戦における政府活動の信頼を失墜させることを目的にしたメディアだ」と発表、Moscow Timesは「今回の決定によって国内活動が禁止され、スタッフは投獄されるリスクに晒され、我々との接触は犯罪扱いになる」「リスト入りしたメディアの記事やリンクを投稿しただけでも罰金刑を課せられる」と報じている。
出典:Минобороны России
勿論、Moscow Timesのリスト入りは「部分的動員で招集された人々の記事」だけが原因ではないものの、ロシア当局は夫や息子の動員解除を訴える妻や母親らも「外国のエージェント」に指定しており、この活動で最も有名なグループ=Put Domoiのマリア・アンドリーヴァ氏もその1人だ。
彼女はMoscow Timesの取材に「我々は2023年秋に動員された人々の親族を支援する下院の特別チームに招待され、動員された夫や息子を別の人間と交代させるよう要請した」「当局者は代わりの人間が見つからない限り動員された人々の帰国はないと述べ、この交代が実現しないことは直ぐに分かった」「当局者の空約束にはうんざりだったので特別チームから離脱して完全な動員解除を要求した」「私は外国のパスポートも所有しておらず、海外から資金を受け取っていないことも銀行口座を調べれば分かるはずなのに外国のエージェントにされた」と述べている。
出典:Весна
さらにロシア軍部隊の司令官はPut Domoiの妻や母親に「もし黙らないなら夫や息子を特攻隊に送る」と脅しており、この運動が反戦運動の再燃になることをロシア当局は恐れているのだろう。
因みにPut Domoiは「動員された夫や息子を取り戻すことだけを希望するグループ」と「ウクライナとの戦争自体に反対するグループ」に分かれ始めており、Put Domoiから離脱した参加者(国防省の前で復員を要求したグループ)は「ロシアにおける反戦運動はどれも失敗する運命にある。私は大統領令によって動員を取り消せるならそれに従う。どうしても国が特別軍事作戦を継続したいなら契約軍人だけでやってほしい」と述べているのが興味深い。
要するに「家族を巻き込まず契約軍人だけで戦争をするなら好きにすればいい」という意味で、逆に強制動員された30万人の多くが200や300で帰国すれば妻や母親の不満が爆発する可能性を秘めている。
一つだけ言えるのはウクライナもロシアも同じ問題に直面しているものの、両者の差は問題が表面化して公の場で議論されるかどうか、ウクライナでも主要メディアが「戦争報道は事実上の検閲状態で批判的な意見が抑圧されている」と指摘しているが、ロシアでは検閲と抑圧が厳しすぎて「声すら上げられない」という所で、この状態を問題視する諦めるかは他の国の人間が決めることではない。
出典:ASTRA
露独立系メディアのASTRAは10日「ノヴォロシースクの病院で障害と傷を負った兵士が前線に送られる」と報じており、この契約軍人は戦場での負傷が原因で戦闘任務に適さないカテゴリー(後方勤務のみ)に分類されたが「助けて下さい。私は負傷してウクライナから避難してきたのに治療を受けられていない。それなのに部隊は私を前線に送りたがっている。ここには治療や手術が必要な人々が沢山いるんだ」と訴えている。
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※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ロシア関連 コメント: 39 』





