日米首脳、同盟「最重要の刷新」 対中国抑止に重点
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN10EJP0Q4A410C2000000/
『2024年4月11日 5:54
【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領は10日、日米首脳会談後の共同記者会見で日米同盟について「防衛的なものだ」と述べた。軍事力を増強する中国などへの抑止に軸足を置く姿勢を明確にした。防衛協力の体制は日米同盟が発足以来、最重要の刷新になると打ち出した。
岸田文雄首相とバイデン氏は10日、首都ワシントンのホワイトハウスでおよそ1時間半会談し、共同声明を発表した。日米を軸にほかの同盟国の抑止力も統…
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『日米を軸にほかの同盟国の抑止力も統合し、中国やロシアなど覇権主義国家によって揺らぐ国際秩序を守る決意を示した。
米国はオーストラリアや韓国、フィリピンといった同盟・同志国と抑止力を向上させる「統合抑止」の増強につなげる。米英豪3カ国の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」への技術面での日本の協力のほか、11日に開く日米比による初の首脳会談など連携の枠組みを広げる。
岸田氏は首脳会談後にそろって臨んだ記者会見で、中ロなどを念頭に「私たちは力や威圧による一方的な現状変更の試みは世界のいかなる場所であれ断じて許容できない」と断言。「同盟・同志国と連携し、毅然として対応していくと確認した」と話した。
バイデン氏は「日米は(米軍と自衛隊の)指揮統制の近代化を進めてシームレスで効果的に連携できるよう相互運用性を高めている。同盟発足以来、最も重要なアップグレードだ」と強調した。「特定の国を狙ったものでも地域の脅威でもない」とも言及した。
沖縄県・尖閣諸島をめぐり日米安全保障条約第5条に基づく核対日防衛義務の適用対象だと改めて言明した。「これは揺るぎない決意だ」と唱えた。
安保分野では日本が22年末に決めた国家安保戦略など安保関連3文書を踏まえた新たな日米の防衛協力が議題になった。自衛隊と在日米軍が部隊運用を一体的にできるようにする仕組みには台湾や朝鮮半島での有事に備え、危機に迅速に対処する狙いがある。
自衛隊が24年度末につくる陸海空の部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」もその一環になる。米側には横田基地(東京都)の在日米軍司令部に指揮統制権の一部を与え、カウンターパートを明確にする案がある。
日本が反撃能力として米巡航ミサイル「トマホーク」を保有するために米国は訓練で協力する。極超音速兵器対策のほか、防衛装備品の共同開発でも民間企業を含め防衛省と米国防総省で協議するよう促した。
一方、日米首脳は中国との対話を重視する意向も示した。岸田氏は「あらゆるレベルで中国と緊密に意思疎通を図っていく」と発言。「同盟国である米国と強固な信頼関係のもと、中国に大国としての責任を果たしていくよう働きかけていく」と説いた。
バイデン氏も「双方の意思疎通ラインを改善し続けている」と説明した。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と「話し合いたいことがあればいつでも個人的に連絡を取り合うと合意している」と語った。
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渡部恒雄のアバター
渡部恒雄
笹川平和財団 上席フェロー
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ひとこと解説 今回の日米合意で最も意義深かったのは、有事を睨んだ米軍と自衛隊の相互の指揮・統制の調整メカニズムの強化です。
これはどちらかといえば、日本側が米国側に求めてきたものです。
実際には米軍側の指揮・統制の制度を改編することを要求するものなので、米軍の最高指揮官である米大統領の意志が重要であり、首脳会談の合意が必要でした。
近く行われる日米2プラス2(外交・防衛担当閣僚会合)で具体的な内容が協議されることになりました。
2024年4月11日 7:25いいね
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川島真のアバター
川島真
東京大学大学院総合文化研究科 教授
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分析・考察 今回の日米首脳会談における日米同盟の再強化は言うまでもないが、日米同盟の位置付けには二つの大きな特徴があったと言えるだろう。
それは、時間軸と空間軸に関わるものだ。
時間軸では、日米同盟の永続性、長期性を強調している。これは11月の大統領選挙を睨んで、トランプ大統領が選出されても日米同盟の重要性は変わらないというアピールとも取れる。
空間軸では、日米同盟がグローバルになったことを強調している。
これはクワッド、オーカス、あるいはNATOなど、さまざまな枠組みとの関わりを意識したものだろう。
他方、ロシアと中国とを色分けし、中国との間では抑止とともに対話も強調している点が特徴だ。
2024年4月11日 7:12いいね
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神保謙
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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分析・考察 日米同盟の制度化(特に指揮・統制の向上・防衛産業間協力・ネットワーク化された三か国協力)の深化は、米大統領選挙の結果如何に関わらず「事実上の標準化」を目指すものだ。
日米同盟が同盟国側からの強いコミットメント(防衛費増大・反撃能力の導入)とともに秩序形成に寄与するという構図こそが、今回の日米首脳会談の主要なメッセージといえる。
日本の政策サイドにはトランプ2.0を見据えた論理も当然含まれている。
2024年4月11日 6:29 (2024年4月11日 7:12更新)
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前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説 事前の日米の調整が入念に行われ、その上に立った首脳会談と共同声明。
最後はトップがひっくり返す可能性があったトランプ政権時代とは改めて考えても大きな変化。
2024年4月11日 6:08』