バイデン氏、同盟関係を対トランプ対抗軸に 日本も利用
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09D7S0Z00C24A4000000/
『2024年4月10日 11:00
【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領は再選をめざす11月の大統領選をにらみ、重視する日本を含む同盟・有志国との協力をトランプ前大統領との対立軸に位置づける。同盟関係が米国の経済や安全保障に寄与していると誇示する狙いがある。
「台湾海峡の平和と安定のためにインド、オーストラリア、日本、韓国など太平洋でのパートナーシップを活性化させた」。バイデン氏は日本を含む同盟・有志国との関係を深めたと胸を張…
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『バイデン氏は日本を含む同盟・有志国との関係を深めたと胸を張る。対中強硬姿勢をとりながら前大統領は「こうした素振りも見せなかった」と断じる。
主眼にあるのは中国。10日の日米首脳会談では自衛隊と在日米軍の統合運用強化を話し合う。台湾海峡の平和と安定を維持する重要性を確認し、対中抑止力を高める。
半導体など重要物資の安定したサプライチェーン(供給網)などで協力するのも中国依存の脱却が目的だ。
米情報機関は中国による台湾侵攻で台湾の半導体生産が停止すれば世界経済が数年間にわたり最大で年1兆ドル(約150兆円)の損失を被ると試算する。米国企業だけでなく韓国や台湾の工場を米国に誘致するため、半導体の生産・研究開発に補助金を投じる法律も2022年8月に成立させた。
冷戦後の経済統合の過程でできた依存関係をテコに、新型コロナウイルス禍やウクライナ侵攻で中国とロシアは医薬品やエネルギーなどの輸出規制をちらつかせながら西側諸国に圧力をかけた。半導体やエネルギー供給の不足に伴うインフレを招き、医療機器・重要鉱物の供給網のもろさを露呈した教訓が米国にはある。
米ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は「第一歩として国内に新たな基盤を築く」と話す。米単独でなく、同盟・有志国に協力を求める点でトランプ前政権との違いを出そうと意識する。
岸田文雄首相は首都ワシントンの後、トヨタ自動車が電気自動車(EV)向けの車載電池工場を建設する南部ノースカロライナ州を訪れる。25年稼働予定の工場では5000人超が勤務する見通しだ。
同盟国による米国への投資が雇用創出や環境対策につながっていると演出する思惑は明らかだ。バイデン政権はEV普及を後押ししている。
23年4月に韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領も国賓で米国に招いた。韓国のサムスン電子は米南部テキサス州に先端半導体の新工場を設ける。
米ハドソン研究所のパトリック・クローニン氏は「バイデン氏にとっては米国民の利益に沿った世界を構築するため、主要な同盟国との深い結びつきに成功していると米有権者に示す好機になる」と話す。
念頭にあるのは同盟国との関係を軽視する発言を繰り返す前大統領だ。北大西洋条約機構(NATO)加盟国への防衛義務を守らない可能性に言及する。
米国が事実上、NATOから脱退すれば「欧州の安全保障という観点で破滅的な過ちになる」(ボルトン元米大統領補佐官)と危機感が広がる。
米国と欧州連合(EU)の23年の貿易額は9400億ドルに達し、一国として最大のメキシコを上回る。
前大統領は現時点で日米の安保協力の見直しには触れていないものの、ボルトン氏らは日本の役割拡大を要求する可能性を提起する。
米ランド研究所の試算によると、米国が外国との安全保障協定を半減させた場合、米国のGDPは4900億ドル(21年の約2%)減少する。
米国の同盟・有志国が主要な貿易相手国と重なるためで、バイデン政権は経済的な打撃は計り知れないとあおる。
バイデン氏は7月に首都ワシントンにNATO首脳を一堂に招いた会合を開く。日本や韓国などインド太平洋の同盟国も招待する。日米を含む一連の首脳外交は、7カ月後に迫る大統領選を見すえた国内政治の延長線にほかならない。
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