日米、補助金の共通ルール 半導体など脱中国依存急ぐ

日米、補助金の共通ルール 半導体など脱中国依存急ぐ
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA01ACF0R00C24A4000000/

『2024年4月2日 18:01 (2024年4月2日 23:11更新)

日米両政府は半導体や蓄電池、永久磁石など戦略物資に関する新たなルールづくりで合意する。中国を念頭に特定国が供給する不当に安い製品への過度な依存を防ぐため、各国は国内産業に補助金を出している。その際の支給要件として脱炭素や部品の安定供給など共通の基準を定める。

欧州も含めた同志国の政策協調で国際ルールをつくり、戦略物資のサプライチェーン(供給網)を含めた経済安全保障の強化につなげる。

日米欧が中国…

この記事は有料会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』

『日米欧が中国とのデリスキング(リスク軽減)を名目に保護主義的な政策を競い合うような状況を避ける狙いもある。11月の米大統領選でトランプ前大統領が当選すれば保護主義が加速しかねないとの指摘はある。

岸田文雄首相とバイデン米大統領が10日にワシントンで会談し、共同声明にも盛り込む。脱炭素向け補助金の要件などのルールづくりに向けた閣僚級対話も創設する。

斎藤健経済産業相やレモンド米商務長官らが参加する。

日米で補助金や税優遇の支給基準を共通にすれば、日本企業が米国で、米企業が日本でそれぞれ恩恵を被る可能性も高まる。巨額の投資が必要な先端事業などで日米企業が協力しやすい環境にもつながる。

会談では在日米軍司令部の機能強化や両国の投資促進をはじめ、防衛・経済・科学技術といった幅広い分野での同盟深化を話し合う。日米が中国やロシアなど覇権主義国に対抗して国際秩序を維持する決意を示す。

補助金を巡るルールづくりは今回の首脳会談で主要議題とする「透明・強靱(きょうじん)・持続可能なサプライチェーン」の一環だ。

日米は中国に依存しない供給網づくりのため、ともに補助金や税優遇の政策を増やしている。

バイデン政権は2022年、北米で電池部品を半分以上組み立てる電気自動車(EV)に税優遇する措置を盛り込んだ「インフレ抑制法(IRA)」を成立させた。

日本も24年度の税制改正で国内での生産量に比例して税優遇する新たな制度を設けた。

こうした補助金や税優遇を巡る適用要件を日米で擦り合わせていく。①二酸化炭素(CO2)の排出②部品などの供給安定性③サイバーセキュリティー――といった項目がある。

たとえばサイバーセキュリティーの場合、通信の安全性や信頼性などをチェックする。供給安定性なら故障時に修理できたり部品を取り換えたりできるかを審査する。

日本が高速通信規格「5G」の通信網整備を促す税制支援策で国内勢を優遇した際もこうした要件を設けた。中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)を事実上排除した。

日米首脳会談にあわせてまとめる共同声明では補助金に関し、従来の生産投資支援に加え、調達時の控除など「需要創出」につながる補助策にも触れる。

生産側への補助より、調達・購入側を直接支援した方が効果的だとの見方はある。世界貿易機関(WTO)などのルールに抵触しない仕組みのあり方を探る。

日本はGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債で順次、省エネや脱炭素を促すために国費20兆円を投入する。風力発電の蓄電池や、軽くて曲がる「ペロブスカイト太陽電池」の調達への補助金の要件についても米国と歩調を合わせて設定する方針だ。

太陽光パネルなどは安価な中国製品に市場を奪われた経験がある。日米欧各国では世界で脱炭素を進める上で、自然エネルギーや省エネ関連で中国に過度に依存するのはリスクが高いとの認識が広がっている。

23年の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)では対中関係について「デリスキングが必要」との認識で一致した。オーストラリアや韓国、インドといった有志国を巻き込みながら国際社会のルールづくりを目指す。』