USスチール大株主「日鉄の買収案支持」 雇用創出を評価
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1503S0V10C24A3000000/
『【ニューヨーク=竹内弘文】日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収提案に関し、バイデン米大統領が慎重な姿勢を示した問題で、USスチールの大株主が日鉄による買収案を支持していることが14日わかった。日鉄の買収計画が米国での雇用創出に資するものだと評価している。』
『米運用会社ペントウォーター・キャピタル・マネジメントのデービッド・ザイリン最高執行責任者(COO)が日本経済新聞の問い合わせに対して「USスチール大株主として、我々は日本製鉄のUSスチール買収提案を支持する」とする声明を出した。
米証券取引委員会(SEC)への報告によるとペントウォーターは2023年末時点でUSスチール株を発行済み株式数の5%弱保有している。QUICK・ファクトセット集計の株主データによると、USスチールの第4位の株主となる。
声明は「日鉄はUSスチールの高炉インフラを改善するために大規模な設備を約束しており、米国の雇用創出に資する。買収はUSスチールのすべてのステークホルダーにとって有益だ」と説明した。
雇用が脅かされるとみて買収に反対する全米鉄鋼労働組合(USW)と異なる意見だ。バイデン大統領が懸念を示した背景にはUSWの反対があるとみられている。』
『USスチール買収に対するバイデン大統領の懸念が表面化して以来、USスチール株は急落している。14日の終値は38ドル26セントと、13日に英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報道する前の水準と比べて2割程度安い。
同盟国の企業による買収は安全保障上の懸念が小さいとみられ、大統領自らの懸念表明は異例だ。ペントウォーターの日鉄案支持は、異例の政治介入が企業価値を毀損している点に対し、大株主の間で募る不満を代弁している。』