日本製鉄のUSスチール買収、米議会で反発の声 与野党で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN200470Q3A221C2000000/
『【ワシントン=飛田臨太郎】米連邦議会で日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収に反対の声がでている。野党・共和党の上院議員3人は19日、買収阻止を米政府に要求した。与党・民主党にも米国内の産業基盤に悪影響がでるとの懸念が浮上している。
同盟国である日本の企業による買収は、米議会の理解を得られるとの楽観論もある。一方、2024年の大統領選を前に、与野党ともに米製造業者や労働者の支持拡大を重視する側面もあり、今後、反対論が強まる可能性もある。
共和のマルコ・ルビオ議員らはイエレン財務長官に書簡を送り、省庁横断組織の対米外国投資委員会(CFIUS)による審査を求めた。「外国に忠誠を誓い、米国での実績に深い欠陥のある買収案件を阻止すべきである」と強調した。
与党・民主党ではUSスチール本社のある東部ペンシルベニア州選出のジョン・フェッターマン上院議員が買収発表後に「阻止のためなら、なんでもする」と反発した。
19日には他の民主議員らとともに日本製鉄に対し、ペンシルベニア州とUSスチールの労働者への影響を明確にするよう促した。
10月の米石油メジャーによる大型買収には上院の民主が競争環境に弊害があると反発し、実際に米連邦取引委員会(FTC)が調査に乗り出した経緯がある。米議会で慎重論が広がると、日本製鉄の買収にも米当局が動き出す可能性がある。
USスチールの従業員らが加盟する全米鉄鋼労働組合(USW)は買収反対を鮮明にしている。バイデン大統領は「史上最も労組寄りの大統領」を自任しており、労組による米政府への働きかけも今後の焦点になる。
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ロッシェル・カップ
ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング 社長
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分析・考察 この記事に引用されている政治家たちがみな、この買収が自動的にUSスチールの労働者たちに悪影響を及ぼすと思い込んでいるのは非常に興味深いですね。
というのも、米国で企業買収を行う日本企業のコンサルタントとしての私の経験に基づけば、日鉄がUSスチールに多くの資金と人材を投入し、改善を図る可能性の方が高いと思われるからです。
残念なことに、選挙の前年に海外企業がアメリカの象徴的な企業を買収するというのは、政治家にとって政治的ポーズの対象としてはあまりにも魅力的だと思います。
2023年12月20日 8:13 (2023年12月20日 8:16更新) 』