機密資格を米欧並みに厳しく、情報漏洩に罰則

機密資格を米欧並みに厳しく、情報漏洩に罰則 政府原案
民間企業「機密の範囲明確に」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA161NV0W3A910C2000000/

『安全保障の機密情報を扱う人を認定する政府の制度案が判明した。機密情報を重要度に応じて2段階に分け、情報漏洩に罰則を設ける。米欧主要国と基準をそろえ、先端技術を扱う日本企業が国際競争力をつけられる環境を整える。

新設する「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」は政府職員や民間人らに情報へのアクセス資格を付与する制度。政府が個人の身辺や民間企業の情報管理体制などを審査し適格性を評価する。…

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『【関連記事】セキュリティー・クリアランスとは 機密扱う人審査・認定

政府は経済安全保障推進法の改正案を2024年の通常国会に提出する。経済界や法律の専門家らでつくる政府の有識者会議を近く再開させ、制度の詳細な設計に入る。

主要7カ国(G7)では日本だけが未整備だ。制度導入により企業は海外企業と人工知能(AI)など機密を含む次世代技術の共同開発に参加しやすくなるほか、資格保持を条件にした公共調達の入札に参加できるなどの利点がある。

防衛産業や先端技術を扱う企業には追い風だ。NECの森田隆之社長はかねて「米国との協調には同水準の制度が求められるが、個々の企業では不可能。国として整えることで、国際的な共同開発を進めるベースができる」と問題提起していた。

改正案の原案によると、安保に関する機密情報の範囲は「我が国の安全保障に著しい支障を与える情報」と「我が国の安保に支障を及ぼす情報」の2種類に分ける。保全すべき対象として経済制裁に関する分析情報や、宇宙・サイバー分野の重要技術などを想定する。
米国は機密情報の重要度をトップシークレット(機密)、シークレット(極秘)、コンフィデンシャル(秘)の3つにランク分けする。それぞれにアクセスできる人を審査し資格を与える。

日本政府は米国の3つのランクに対応できるよう、情報を区分する仕組みづくりを進める。他の主要国とも情報共有が可能になるよう調整する。

民間の情報を幅広く規制対象にすると、ビジネスに支障が出るとの懸念もある。

丸紅経済研究所の今村卓所長は「政府には何が対象となるのか複数の階層できちんと分けてほしい」と指摘する。防衛事業を扱う企業幹部は「重要情報の幅が焦点になる」と話す。

資格の認定には対象者の身辺調査が必要になる。政府案は身辺調査について「本人が同意した場合のみ実施する」と定め、審査を断った場合に仕事の上で不利な扱いを受けないよう担保すると記した。特定秘密保護法の規定に準じた。

特定秘密の適性評価はスパイ活動との関連や犯罪歴のほか配偶者の国籍なども調査対象となり、プライバシーの侵害を懸念する声がある。連合は8月にまとめたセキュリティー・クリアランス導入に関する基本的な考え方で「本人の真の同意と調査に同意しない権利の担保を大前提」とするよう求めていた。

一つの機関が調査を一元的に実施できる仕組みを構築する。高市早苗経済安全保障相は「民間人を幅広く対象にするので、重要な個人情報を責任を持って管理できる組織が必要だ」との認識を示している。

情報の漏洩や不正に取得した場合の罰則に関しては「10年以下の懲役」を軸に検討する。特定秘密保護法や不正競争防止法の規定を参考にした。

制度が整う米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国は機密情報を共有する枠組み「ファイブ・アイズ」を構成する。日本政府は制度導入によって、これらの国とサイバーセキュリティーなどで連携を深められると期待する。

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