日本産ホタテ、米国が輸出ルート転換支援 中国を迂回
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA21BV20R20C23A9000000/

『在日米国大使館は中国による日本産水産物の全面禁輸を受け、農林水産省と連携し、水産加工品について中国に依存しない新たな流通ルートづくりを支援する。日本の水産業者にタイやベトナム、台湾などにある米認定の加工施設の情報提供を始めた。
東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出から24日で1カ月がたった。これまでの海水のモニタリング検査などで異常は確認されていない。政府は漁業者向けの支援を金銭面だけでなく…
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『政府は漁業者向けの支援を金銭面だけでなく販路拡大の面からも進める。
特に日本産ホタテは大半が中国に輸出された後、殻むきなどの加工を経て米国に再輸出されてきた。中国が8月に処理水放出に反発して輸入を止めた後はこのルートが滞り、米側も中国を迂回する輸入ルートの確保を迫られていた。
米側には中国の不当な措置に日米が連携して対抗する姿勢を示す狙いがある。日米は経済安全保障の観点から半導体や重要鉱物のサプライチェーン(供給網)で中国依存からの脱却を進めており、水産物の流通網でも同様の動きを強める契機となる。
米政府は水産物や畜産物の輸出元の加工施設に、食品衛生管理に関する国際規格「HACCP(ハサップ)」の取得を求める。米大使館はタイなどの米食品医薬品局(FDA)認定施設を日本側に情報提供していく。
米国が中国経由で輸入した日本産ホタテは22年の1年間で1億ドル(およそ147億円)にのぼる。米国はホタテを含む日本産水産物の大部分に輸入関税を課しておらず、日本にとって重要な輸出先だ。
中国による禁輸措置後、主要産地である北海道の水産業者では在庫が積みあがっている。
函館税関によると、8月の北海道からのホタテやナマコを中心とする魚介類・同調製品の輸出額は48億円と前年同月比で39%減だった。国・地域別では中国向けが69%減の18億円に減った。
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