半導体への補助金、日米欧で情報共有 生産すみ分け狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2148Y0R20C23A6000000/

『日本と欧州連合(EU)は政府の半導体支援策の情報共有を始める。経済安全保障を強化する必要性から各国は巨額の補助金を投じて半導体の自国生産を進めている。過剰供給などに陥らないよう支援の規模や内容を情報交換し、生産品目のすみ分けを狙う。

西村康稔経済産業相とEUのブルトン欧州委員(域内市場担当)が7月上旬にも会談して合意する見通しだ。企業への補助金の支給要件、支給の理由や金額、誘致による域内の需給見…

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『日米欧が半導体産業への支援策の情報を共有するのは、同じ価値観を持つ国・地域間で生産を分散させ、安定供給につなげるためだ。新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻でサプライチェーン(供給網)が途絶したのを教訓として、有事に対応できる体制を整える。

1990年代の半導体の生産拠点は日米欧に集中していた。2000年代に入り、安価な労働力を背景に量産に力を入れた台湾、韓国、中国に中心が移った。

この状況で再び感染症の世界的大流行が起きたり、米中の対立激化で台湾で有事が発生したりすれば、多くの用途がある半導体の流通が止まる。コロナ禍の半導体不足で世界の自動車生産は滞った。

重要部品である半導体不足に危機感を持った日米欧は自国生産拡大に向け、巨額の補助金制度で誘致を進める。日本は23年度までの2年で2兆円ほどの予算を確保した。

米国は27年までの5年で7兆円程度を投じる。EUでは4月に欧州半導体法案に暫定合意し、30年までに官民で6兆円ほどを用意する。』