バーレーンとも正常化期待 イラン
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031400022&g=int

『【テヘランAFP時事】イラン外務省のカナニ報道官は13日、サウジアラビアとの関係修復を踏まえ、バーレーンとも正常化したいと期待を表明した。「この前向きな動きを他の国とも共有できる。バーレーンともだ」と述べた。』
バーレーンとも正常化期待 イラン
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031400022&g=int

『【テヘランAFP時事】イラン外務省のカナニ報道官は13日、サウジアラビアとの関係修復を踏まえ、バーレーンとも正常化したいと期待を表明した。「この前向きな動きを他の国とも共有できる。バーレーンともだ」と述べた。』
新議会が発足 反対派は承認せず―チュニジア
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031400102&g=int

『【カイロ時事】サイード大統領の「独裁化」への懸念が高まるチュニジアで13日、新たな議会が発足した。AFP通信によれば、反大統領派は声明を出し「反乱者の憲法と圧倒的多数の有権者が棄権した選挙」の結果誕生した議会は承認しないと反発した。 』
過去最大の国防予算 112兆円、対中抑止強化―米
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031400101&g=int
『【ワシントン時事】バイデン米政権は13日、2024会計年度(23年10月~24年9月)の国防総省の予算として、前年度比3.2%増の8420億ドル(約112兆円)を議会に要求した。国防予算としては過去最大で、対中国の抑止力強化に重点的に配分した。
バイデン大統領は10日の予算教書で、国防予算の大枠を発表していた。今回の発表はその詳細となる。
ヒックス国防副長官は記者会見で「われわれの最大の成功は、中国指導部が毎朝起きるたびに『きょうは侵略するには良い日ではない』と結論付けるようにすることだ」と述べた。』
国軍、住民28人虐殺か 僧侶も犠牲―ミャンマー
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031400125&g=int


『【バンコク時事】ミャンマーでクーデターを起こし、権力を握った国軍に反発する民主派の武装組織は13日、国軍が北東部シャン州の村を攻撃し、少なくとも住民28人を殺害したと発表した。犠牲者の中には僧侶も含まれる。
ミャンマー国軍、非常事態宣言を6カ月延長 総選挙先送りか
武装勢力によると、国軍は11日夕、空爆や砲撃を加えた後、村に侵入し、僧院に避難した住民を殺害した。12日に村に入り、遺体を確認した武装勢力が公開した映像には、血を流して倒れている人たちや、壁に残された弾痕が映っている。』
台湾侵攻は「習氏の判断次第」 中国全人代―香田元自衛艦隊司令官
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031300666&g=int
『全国人民代表大会(全人代)を終え、3期目の体制を整えた中国の習近平指導部は、台湾侵攻も視野に軍備の増強を急いでいる。中国軍の実力をどう評価すべきなのか。香田洋二元自衛艦隊司令官に聞いた。
台湾有事はあるか、そしてその時日本は 兼原信克
―中国海軍をどう見るか。
中国軍は艦艇を急いで建造している。しかし、兵士の訓練はなかなか追いつかない。中国軍は「一番やってはいけないこと」をやっているなと思う。
―中国は作戦立案などで人工知能(AI)を活用しようとしている。
AIを使うためには、自分たちが今まで経験した戦争のデータが必要だ。しかし、1979年の中越戦争後、中国軍は本格的な実戦を経験していない。机上の「理論上100点に近いAI」を作ることはできるだろうが、実戦で米軍に対して機能するとは限らない。米国と中国のAIでは大差があるだろう。(中国軍は)「米軍とはまだ戦えない」と分かっているだろう。
―米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)報告書で、台湾侵攻が行われれば、中国だけでなく日米も大きな損害を受けると指摘された。
(中国軍の兵器の性能などを)米国と同じ程度の条件で計算しているのだろう。能力評価は目に見えないところも含めないといけない。過小評価は禁物だが、過大評価もいけない。実戦経験の不足は補えない。
―ロシアによるウクライナ侵攻は中国軍の動向に影響しているか。
とても大きく影響していると思う。実戦経験のない中国軍にとっては、新しい教材を得たようなものだ。ロシアが短期間での首都キーウ(キエフ)の攻略に失敗したことを見れば、中国軍は「台北を電撃作戦で掌握することは極めて難しい」と判断しているのではないか。自分たちに足りないところをどのように補うべきか考えていると思う。近い将来に中国が台湾を侵攻する可能性が小さくなったのではなく、(ロシア軍の苦戦を)教訓として、台湾侵攻を成功させるために努力すると考えるべきだ。(台湾を侵攻するかどうかは)習国家主席の判断次第だ。「中国の方が失うものが大きいから侵攻しないだろう」という考えは浅はかだ。 』
日英伊防衛相が16日に会談へ、次期戦闘機開発で協議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA141900U3A310C2000000/
『防衛省は14日、日本と英国、イタリアの防衛相会談を16日に開くと発表した。3カ国は2022年末に35年の配備を目指す次期戦闘機の共同開発で合意した。機体を開発する体制などを協議する。
記者会見する浜田靖一防衛相(14日、防衛省)
英国のウォレス国防相とイタリアのクロゼット国防相が来日し、防衛省で浜田靖一防衛相と会う。浜田氏は14日の記者会見で「初めて3カ国の防衛相が対面する重要な機会だ。結束と強い意志を確認する」と述べた。
次期戦闘機の計画は「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」と呼ぶ。三菱重工業と英航空・防衛大手のBAEシステムズ、イタリアの防衛大手レオナルドの3社が機体の開発を統括する。』
ロシア外務次官「穀物合意の延長に反対せず」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR13C850T10C23A3000000/
『インタファクス通信によると、ロシアのベルシニン外務次官は13日、黒海を通じたウクライナ産穀物の輸出を可能にしている同国とロシア、国連、トルコの4者合意の延長について、反対しない考えを示した。スイス・ジュネーブでの国連との協議終了後にコメントした。
穀物合意は今月18日に期限切れとなる。ベルシニン次官は合意の延長に反対しないとしながらも、有効期間を現在の120日ではなく半分の60日にするよう求めた。「それ以降の立場は実際にどうなるかで決まる」と述べ、ロシア産農産物の輸出に対する障害が欧米によって取り除かれるかどうかにかかっていると指摘した。
ベルシニン次官の発言は、欧米による対ロシア制裁でロシア産の農産物と肥料の輸出が妨げられているとの不満を反映している。「表明されたロシア産農産物と肥料に対する制裁の除外は実際のところ機能していない」と主張した。』
「グローバルサウス」に初言及 2022年版開発協力白書
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA13B750T10C23A3000000/
『林芳正外相は14日の閣議で、政府開発援助(ODA)の実績をまとめた2022年版開発協力白書を報告した。南半球を中心とした途上国を意味する「グローバルサウス」という言葉を初めて盛り込んだ。ロシアのウクライナ侵攻で経済・社会が打撃を受けていると言及し、日本の支援の取り組みを紹介した。
第1部はウクライナ侵攻を特集で取り上げた。20、21年版は新型コロナウイルスを扱っていた。
ウクライナ侵攻は「日本にとって決して対岸の火事ではない」と指摘した。日本国民の生活や日本企業のビジネスにも深刻な影響を及ぼしていると強調し、日本が支援する必要性を訴えた。
21年のODA実績額は前年比8.4%増の176億ドルだった。経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)の加盟国の中で米国、ドイツに次ぎ3番目に多い。国際開発金融機関への拠出が増えた。20年は米国、ドイツ、英国に次ぐ4番目だった。
21年の実績を対国民総所得(GNI)比でみると0.34%で加盟国中12番目だった。国連は各国のODA供与の目標に関して「GNI比0.7%」を示す。』
新局面の中ロ連携に潜む影 ウクライナ和平に波乱も
上級論説委員 坂井 光
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD08C9P0Y3A300C2000000/
『2月23日、モスクワ・シェレメチェボ空港の到着ロビーで民族衣装を着たロシア人による歓迎式典が行われた。出迎えられたのは中国からの一団。同国政府がコロナ禍で中断していた団体渡航を解禁して最初のツアー客だ。
2022年2月のウクライナ侵攻以降、孤立感を深めるロシア。その中国への接近ぶりが市民レベルで強まっていることを印象づける出来事だが、経済統計は両国関係の変化をより鮮明に映している。
タス通信など…
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『タス通信などによると、22年の中国との貿易額は1903億ドル(約25兆4千億円)と前年比29%増えた。特に輸出は制裁で西側向け石油・ガスが減少するなか、一部を代替する形で43%も増加した。
輸入では、家電や日用品などのほか、自動車、機械など中心に13%増えた。ロシア経済に詳しいイワン・ツェリッシェフ新潟経営大教授によると、並行輸入の経由地の一つとして中国の機能が確立。ロシアが直接輸入できない電子部品や機械類などを代わりに第三国から調達しているという。侵攻前から中国は輸出入ともに最大の相手国だが、もはや代替できない存在だ。
ロシア中銀によると、輸出決済通貨における人民元の割合は22年1月の0.4%から9月に14%へ上昇。逆にドルは52%から34%に低下した。
モスクワの外為市場における通貨取引の割合は人民元・ルーブルは22年1月にはほとんどなかったが、11月には25%となり、ドル・ルーブルの43%に近づいてきた。これが23年は通年で逆転する見通しだ。財務省は外為市場への介入を今年から人民元で実施することを決めた。
人民元経済に取り込まれるロシア。その事実は政治面でも中国依存を招いている。
「われわれは国家主席がロシアを訪れるのを待っています」。2月22日、王毅(ワン・イー)共産党政治局員とクレムリンで会談したプーチン大統領は習近平氏との早期会談に期待を表明した。ここから透けて見えるのは、いつ会うかを決めるのは中国側という現実だ。習政権に忖度(そんたく)せざるを得ない厳しいロシアの立場がうかがえる。
一方の中国はどうか。対米関係上、ロシアへの影響力が強まるのは歓迎だ。戦争の長期化は中国経済にとってマイナスだが、割安なエネルギー調達は可能となった。それらの功罪を冷静に見極めながら優位な立場を利用するしたたかさがうかがえる。
侵攻は中ロ連携を新たな局面に変えた。問題はその影響が両国関係にとどまらないことだ。この1年で世界では、法の支配など理念を重視する西側と、経済を優先するグローバルサウスといった新興国との溝が浮き彫りとなった。
中ロはその立場の違いを利用し、新興国を取り込んでいる。中国がサウジアラビアとイランの外交正常化を仲介したのはその一環だ。
アフリカなどでも中ロの強権的手法をまねる政権が増え、経済面でも国家統制色が強まっている。折しも、フランスのマクロン大統領は3月2日、「フランサフリック(アフリカの仏影響圏)の時代は終わった」と発言した。
プーチン大統領(前列中央)はアフリカ諸国に接近している(2019年10月、ロシア南部ソチで開いたアフリカ諸国との首脳会議)=ロイター
さらに中国はウクライナ危機の解決を目指す「和平案」を2月に発表した。西側とは異なる独自の方針を明らかにすることで新興国の中国接近を促す戦術といえる。ロシアに配慮したその内容は将来の和平実現に向け波乱要因になる懸念さえある。
ただ、中ロ連携が同盟にまで進展するかといえば、可能性はほとんどないだろう。相互依存とはいえ、経済的にも政治的にも対等でない非対称な関係にロシアでは不安と不満が広がっているからだ。
中国もロシアに肩入れすることで米欧の制裁対象になることは避けたい。エネルギー調達でサウジアラビアなど中東勢との関係を強化しているのは、ロシアからの輸入に支障が出ることも想定した冷淡な判断からかもしれない。
さまざまな要素が複雑に絡み合う中ロ連携はどこに向かうのか――。習氏の訪ロはその重要なヒントを与えてくれるはずだ。ただ、いまから確実にいえることもある。西側にとってより難敵で不確実な存在になるということだ。』
米国陣営に戻るフィリピン、墓穴を掘った中国
編集委員 高橋徹
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD098HE0Z00C23A3000000/
『超多忙な国家指導者にとって異例の長さの滞在は、しっかり成果を伴った。2月8〜12日に就任後初めて日本を訪問した、フィリピンのマルコス大統領である。
240人もの企業関係者を同行し、日本の官民から130億ドル(約1兆7500億円)規模の投資や援助を引き出した。岸田文雄首相との首脳会談では、人道支援や災害援助で自衛隊をフィリピンへ派遣する際の手続きを簡素化する取り決めを交わした。
マルコス氏は1月、…
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『マルコス氏は1月、先に中国を訪れて習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談し、228億ドルの対内投資や、南シナ海の領有権争いの「平和的解決」に向けたホットライン開設の約束を取り付けていた。訪問の順番、経済や安全保障の合意内容で日本は見劣りするようにみえる。
ところがフィリピンの有力紙インクワイアラーは「日本からの授かり物」と題した社説でこう論評した。
「何十億ドルもの投資を約束しながら、狭いパシグ川にかかる2〜4車線の橋しか実行せず、さらに悪いことに、我が国の排他的経済水域と国際的に認められている海域で沿岸警備隊員を一時失明させる軍事レーザーを使用した他の国とは違っている」
日本より一足早く訪問した中国で、マルコス氏㊨は228億㌦の巨額投資の約束を取り付けたが…(1月4日、北京)=ロイター
「他の国」は言うまでもなく中国への当てこすりだ。そしてレーザーの使用とは2月6日、フィリピンが実効支配する南沙(英語名スプラトリー)諸島のアユンギン礁付近で起きた事件を指す。
フィリピンはそこに艦船を座礁させ、海軍部隊を駐留させている。この日、補給物資を輸送中の巡視船が中国海警局の艦船から緑色のレーザーを照射され、乗組員が視力を一時的に失った。
前後の脈絡を整理すれば、事件の意味合いが浮き彫りになる。
4日前の2月2日、フィリピンはオースティン米国防長官を首都マニラに迎え、米軍が自国内で巡回駐留できる拠点を新たに4カ所追加し、9カ所に増強する安保協力拡大に合意した。2日後の同8日からは大統領の訪日を控えていた。重要な外交日程の谷間を狙ったレーザー照射は、日米への接近に対する威圧の意図が明らかだった。
1月の大統領の訪中時に発表した共同声明には「意見の相違を適切に管理していく」と明記してあった。その舌の根も乾かぬうちの出来事である。フィリピン外務省が「首脳会談での合意を乱し、失望させる行為」と非難したのは当然だ。
フィリピン側が事件を公表したのは2月13日。発生から1週間もすぎてからだったのは、12日のマルコス氏の訪日終了を待っていたのだろう。中国に反発しつつも、無用に刺激するのは避ける配慮がうかがえる。それでもマルコス外交は、2022年6月に就任する前の見立てからは大きく異なっている。
マルコス氏は大統領選で、ドゥテルテ前大統領の長女で副大統領選に出馬したサラ・ドゥテルテ氏と共闘し、異例の高支持率を誇った前大統領の路線継承を掲げた。
その前のアキノ政権が南シナ海を巡る中国の主張には根拠がないと国際的な仲裁裁判所に提訴し、全面勝利をもぎ取ったにもかかわらず、ドゥテルテ氏は判決を「紙切れ」と呼んで棚上げにした。長年の同盟国でありながら、人権無視の麻薬犯罪捜査を批判した米国に激しい敵意を示し、経済支援を目当てに中国へ急接近した。
ドゥテルテ前大統領㊧は中国の習近平国家主席と何度も会談し、巨額の経済支援を取り付けたが、実現した案件は少ない(2018年11月、マニラ)=ロイター
そんな外交姿勢をマルコス氏は「我が国の唯一の選択肢」と持ち上げた。21年10月、大統領選への出馬申請の直後にわざわざマニラの中国大使館へ足を運び、大使と会談してみせた。ところが大統領就任が決まると「我々の領有権が1インチたりとも踏みにじられることを許さない」と発言し、対中姿勢を一変させた。
「変心」はなぜか。2つの要因が挙げられる。
第1に、ドゥテルテ氏の親中路線は、お手本というより「反面教師」の側面が強かったことだ。
同氏は19年に日本経済新聞社が主催する国際交流会議「アジアの未来」に登壇した際、「ある国が海全体を自分たちのものだと主張するのは正しいことなのか」と中国に不満を述べつつも「フィリピンは中国の友好国。どこの国とも戦争をする余裕はない」と近隣の大国と付き合う〝処世術〟を披露した。
経済協力という実利の追求は、同時に軍事・外交上の緊張の緩衝材にもなり得るとの計算は働いただろう。しかし任期中に足しげく訪中し、数百億ドルの投資の合意文書を交わしたにもかかわらず、実現した案件は半分もないといわれる。他方で海上での威嚇や人工島の軍事化、領有権を争う島々での一方的な行政区の設置といった中国の不穏な動きが止まることはなかった。
「ドゥテルテ氏の経験は、中国が信頼できないパートナーであることを証明した」とオーストラリア国立大の太平洋エンゲージメントマネジャー、マッコイ・ポピオコ氏は指摘する。
第2に、米国との同盟関係を基軸とする外交・安保の実務を担ってきた外務省や国防省が、「親中嫌米」のドゥテルテ氏とつかず離れずの距離をとり続けたことだ。
たとえば外務省は、20年9月の国連総会でのドゥテルテ氏の演説に、南シナ海の問題解決は国連海洋法条約や仲裁裁判決に基づくとの主張を盛り込ませた。また同氏が側近の元国家警察長官が米国から入国ビザ発給を拒まれたことに腹を立て、20年2月に米軍の寄港や合同演習の根拠になる「訪問軍地位協定(VFA)」の破棄を一方的に通告した際には、国防省や国軍が懸命に取りなし、最終的には破棄を撤回させた。
南シナ海への中国の進出は歯止めがかからない(フィリピンが実効支配を続けるパグアサ島)=ロイター
「ドゥテルテ政権の6年間は、伝統的な外交・安保戦略に対する『ストレステスト』だったが、何とか乗り切った」と政策研究大学院大の高木佑輔准教授は評する。
1月にマルコス氏を北京に迎えた習近平氏は、父のフェルディナンド・マルコス元大統領時代の1975年に両国が国交を樹立した史実に触れて「この友情はかけがえのないものだ」と語りかけた。だがマルコス氏は、独裁者だった父が86年の民衆蜂起「ピープルパワー革命」で失脚したのは、国軍の離反が決定的だったことを熟知している。米国を重視する国軍の意向を無視し、親中路線を続ける選択はなかった。
マルコス外交は単に先祖返りしただけではない。比シンクタンク、ストラトベースのビクター・マンヒット社長は「マルコス氏は米国との関係をリセットした以上に、他の友人や同盟国に目を向ける必要性を認識している」と話す。
日本と合意した自衛隊派遣の手続き簡素化は、その先により広範囲な合同軍事演習を可能とするVFAの締結が視野に入る。訪日後の2月22日、今度はオーストラリアのマールズ副首相兼国防相をマニラに招いて国防相会議を開き、防衛閣僚会議の定例化に合意した。フィリピンは豪州ともVFAを締結済み。日本が加われば、南シナ海での4カ国演習や共同パトロールが可能になり、対中抑止力は一段と増すだろう。
対する中国は、不思議に思えるほどの失策続きだ。中国の公船は20年4月にもフィリピン海軍の船にレーザーを照射する事件を起こした。先に触れたように、同年2月にドゥテルテ前政権が米国にVFA破棄を通告しており、そのままなら半年後の8月に自動的に失効するはずだった。そうなれば米軍はフィリピンに入れず、年300回を超す演習や訓練ができなくなる。中国には願ってもない展開だった。
ドゥテルテ氏は時間切れ前に、破棄通告の効力を保留し、最終的には実行を思いとどまった。国防省や国軍からの説得が奏功した理由のひとつに、レーザー照射事件があったとされる。
米国が日本、韓国、豪州、フィリピン、タイという5つの同盟国と個別に連携する従来の構図は、自転車の車輪になぞらえ「ハブ・アンド・スポーク」と呼ばれる。フィリピンが米豪日との連携強化に動くことで、今後は「スポーク・トゥー・スポーク」の図式も加わる。アジアの安保枠組みは重大な転換点に差し掛かっている。
それを後押ししたのは、タイミングをわきまえない「力の誇示」や、振りかざすだけの空手形で、一時は立ち位置が揺らいだフィリピンを米国側へと押し戻した中国であろう。より強固になる対中包囲網は、自らが掘った墓穴と評さざるを得ない。
=随時掲載
高橋徹(たかはし・とおる) 1992年日本経済新聞社入社。自動車や通信、ゼネコン・不動産、エネルギー、商社、電機などの産業取材を担当した後、2010年から15年はバンコク支局長、19年から22年3月まではアジア総局長としてタイに計8年間駐在した。論説委員を兼務している。著書「タイ 混迷からの脱出」で16年度の大平正芳記念特別賞受賞。
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