中国の先進国扱い要求、COP27で米仏など 排出量2位

中国の先進国扱い要求、COP27で米仏など 排出量2位
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA10BMR0Q2A111C2000000/

 

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ 下のグラフ、あくまで「累積」だからな…。

 ※ しかも、「1850年」からの計算だ…。

『【シャルムエルシェイク(エジプト北東部)=塙和也】エジプトで開催中の第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)は16日、閣僚級の交渉を続けた。気象災害の損失などで途上国が求める規模の支援で合意できるかが焦点だ。中国は温暖化ガスの累計排出量が米国に次いで多く、1人あたりの排出量も先進国に匹敵する。途上国の支援側に回るよう求める声が強まっている。

「われわれ欧州は既に多くの資金を出している。問題は米国と中国がさらに行動を起こすことだ」。フランスのマクロン大統領は7日、アフリカの途上国の参加者との会談でこう強調した。国連のグテレス事務総長も同日、途上国支援に触れ「米国と中国という世界の2つの経済大国が特別な責任を負う」と訴えた。

国連気候変動枠組み条約が採択された1992年以来、経済規模の観点で中国は途上国の扱いになっている。中国も自らを途上国の盟主と位置づけている。途上国は温暖化ガスを大量に排出しながら経済成長で先行した先進国の責任を指摘し、途上国の脱炭素支援を求めている。

ただ、急速に経済規模を拡大してきた中国は既に先進国をしのぐ排出量になっている。産業革命以降の温暖化ガスの累計排出量で中国は2位で、英国やドイツなど西欧諸国よりも大きい。

11日に世界の科学者で構成するグローバル・カーボン・プロジェクトが発表した報告書によると、日本の2021年の1人あたりの二酸化炭素(CO2)の排出量は年8.6トンで、中国は同8トンだった。一方でインドは同1.9トンにすぎない。統計上でも中国が既に先進国と肩を並べる排出水準になっている。

米国のケリー気候変動特使はCOP27に先立ち「米国は中国が支援を約束すれば動き出す」と述べた。一方で中国の解振華・気候変動特使は「先進国の実質的な成果を望む」とけん制。14日以降の閣僚級会合でも、途上国の被害に向けた基金の創設を後押ししている。

途上国から中国に支援拡大の声が相次ぐ背景には、途上国側が求める額が膨大になっているという事情もある。今回の最大の議題である気象災害の損失と被害への補償に加えて、「適応」と呼ばれる防災システムなどの構築にもエジプトは30年までに最大3000億ドル(約44兆円)の支援を求めている。

閣僚級会合では30年までの温暖化ガスの削減作業計画も議論中だ。グローバル・カーボン・プロジェクトの報告書によると、22年の温暖化ガス排出量は前年より1.0%の見通しだ。19年時点のペースで排出が続くと、9年後に温暖化が1.5度を超える確率が50%になると結論付けている。パリ協定の目標達成は危うくなっている。

既に世界の温暖化ガス排出の3分の2を途上国が占めるようになり、世界の脱炭素化には途上国の取り組みが欠かせない。中国が途上国の枠にとどまることなく、排出大国としての対応を取る姿勢を求める声がCOP27での合意に向けて大きくなっている。』

https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/climate-change-game/

トルコ大統領、ネタニヤフ氏と電話 イスラエルに接近

トルコ大統領、ネタニヤフ氏と電話 イスラエルに接近
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB17DTZ0X11C22A1000000/

『【イスタンブール=共同】トルコのエルドアン大統領は17日、イスラエルのネタニヤフ元首相と電話協議した。国会総選挙で勝利したネタニヤフ氏と良好な関係を築きたいとの意向を伝えた。トルコ大統領府が発表した。イスラエルメディアによると、両者の電話協議は2013年以来、約9年ぶり。

両国はパレスチナ問題を巡ってたびたび対立してきたが、外交関係の正常化が進んでいる。エルドアン氏は、首相返り咲きが確実視されるネタニヤフ氏とも協力を進める考えとみられる。

エルドアン氏は会談で、両国関係は「新しい時代の始まりにある」と伝えた。ネタニヤフ氏はウクライナ産穀物輸出を仲介するトルコの努力は「世界にとって重要」と述べた。

すべての記事が読み放題
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https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/I_HirQRPfoDxWG04GYtqVKyCb1JDUf12lzlpm_Y5ZYfuxi04enrkqqo1WbE6P_o_qObpzoRZgCGyj83GiAGwdFYOarIkgMqqiZ44-LG1gyO90L9AiKFiSUVvo0Fco6LqxNM4tYecm_LBSCOWxt_WiQoT3ujtdISITCo5O-fy1gy6_6CwvErIXZmaaf5ErUY9wJXsfgyQsyxm4zYTKpnj0KgZB7SXrvbzrWZAIBlzRMVazQUJwPqw0j3K_4kFNdmY9fhDxxSbBIEFYD7wBRqWsF9TYO5av3Lk2N6q34bsvCUvEEQoJ_J39VYPMvkZM7d6_GMzcoB6GV5Eixu6sV1U_X7QeOzrEFztsrYfmZ7olsnZTsmctFMqkHNKIaaQ_fBDp3V34Hrx0VJP_fg0rQTn5E8bq3RXK0poTcEG8K-uGs8AudhlUogM6uK5SE_lrVqw8359W7q8Ui11PuZxpT_g2JqVD-jkg0-RTSkQpKBShu9csa0HhEgUaN-235_D//117478/145693/https://school.nikkei.co.jp/special/lissn/?&n_cid=nbsx_ds_ban_non_non_2clsn_2

【解説動画 QAで詳しく】北朝鮮ミサイル 伊藤俊幸元海将が分析

【解説動画 QAで詳しく】北朝鮮ミサイル 伊藤俊幸元海将が分析
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221118/k10013895771000.html

『防衛省は、北朝鮮が午前10時14分ごろ朝鮮半島西岸付近からICBM=大陸間弾道ミサイル級1発を東方向に発射したと18日午前10時56分に発表しました。

海上自衛隊の元海将、伊藤俊幸さんの解説です。

(動画は11分58秒。データ放送ではご覧になれません)

北朝鮮のミサイル発射について、海上自衛隊の元海将で金沢工業大学虎ノ門大学院の伊藤俊幸教授に聞きました。

Q.ICBM級の可能性があるという情報があるが、分かることは?

A.2017年にICBM級の弾道ミサイルを発射した例や最近の例から考えると、今回はICBM級のいわゆる「火星17型」の可能性が十分ある。

Q.いわゆる「ロフテッド軌道」なのか?

A.「ロフテッド軌道」で真上に発射している。極めて高度が高いところからマッハ20ぐらいで落ちてくるので、大気圏への再突入でばらばらになると思う。落下が予想される地点の船舶は十分気をつける必要がある。

Q.ミサイルの発射が続いているが、一連のねらいは?

A.従来はアメリカを交渉の場に引っ張り出すためにいわゆる瀬戸際外交をしていたが今回は交渉のためのミサイル発射ではなく挑発行為だ。最近も米韓の訓練や日米韓の合同のコメントなどに反発するような形でミサイルを撃ってきている。これに対して米韓も挑発を繰り返す形になっていて、第三者の仲裁が入っていないことがいちばん気になっている。南北朝鮮間の挑発行為が繰り返されると朝鮮半島の有事にもつながりかねない。

Q.北朝鮮のミサイル開発はどの段階にあるのか。

A.おそらく長距離のミサイルに関しては、1段目のロケット、ブースターはある意味完成している。2段目の整合性が最近とれていないので、失敗を繰り返している。

Q.今後の動向は?

A.間違いなく7回目の核実験も行うと思う。北朝鮮としては「核保有国として認めろ」ということだ。核保有国と認められるまで、ずっとミサイルを撃ったり核実験を繰り返したりすることが続くだろう。』

北朝鮮ICBM級ミサイル発射 北海道の西 EEZ内落下か

北朝鮮ICBM級ミサイル発射 北海道の西 EEZ内落下か
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221118/k10013895661000.html

『防衛省は18日午前、北朝鮮から、ICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイル1発が発射されたと発表しました。

ミサイルは1時間あまり飛行したあと北海道渡島大島の西の日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられるということです。

北朝鮮のミサイルが日本のEEZ内に落下したのはことし3月以来で、弾頭の重さによっては射程は1万5000キロを超え、アメリカ全土に届くとみられるとしています。

弾道ミサイル1発 北海道の西 日本のEEZ内に落下か

防衛省によりますと18日午前10時14分ごろ、北朝鮮の首都ピョンヤン付近から、ICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイル1発が東の方向に向けて発射されました。

ミサイルはおよそ69分間飛行し、午前11時23分ごろ、北海道渡島大島の西、およそ200キロの日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられるということです。

これまでのところ日本の船舶や航空機への被害の情報は入っていないということです。

防衛省によりますと、ミサイルの最高高度はおよそ6000キロ、飛行距離はおよそ1000キロで通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射されたとみられるということです。

また、弾頭の重さによっては射程は1万5000キロを超え、アメリカ全土に届くとみられるとしています。

北朝鮮がICBM級の可能性がある弾道ミサイルを発射したのは、今月3日以来、10回目です。

また、北朝鮮の弾道ミサイルが日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したのはことし3月24日以来です。

防衛省によりますと、このときはICBM級のものがロフテッド軌道で発射され、およそ71分飛行して北海道の渡島半島西の日本のEEZの内側に落下したとみられていて、今回のミサイルは最高高度がほぼ同じで、飛行時間はこのときに次いで過去2番目だということです。

北朝鮮は17日も弾道ミサイル1発を発射し、北朝鮮による弾道ミサイル発射は今月だけで6回目で、防衛省が警戒を続けています。

12:00過ぎ 防衛相 米国本土射程となりえる1万5000キロ超可能性

浜田防衛大臣は18日正午すぎ、記者団に対し「北朝鮮が発射したミサイルは69分飛しょうしたと推定される。今回のICBM級ミサイルは軌道に基づいて計算すると、弾頭重量などによっては1万5000キロを超える射程となり得る。その場合、アメリカ本土が射程に含まれることになる」と述べました。

防衛相”海上に落下する場合はJアラートは出さず”

また、浜田防衛大臣は、今回の発射でJアラート=全国瞬時警報システムで情報発信を行わなかったことについて「Jアラートはわが国本土に落下する場合に出すことが基本で海上に落下する場合はJアラートは出さない。発射時点から計算して大体この辺に落下するということを常に考えており、海上については海上保安庁などが連絡している可能性がある」と述べました。

官房長官”飛行距離約1000キロ 最高高度約6000キロと推定”

松野官房長官は、臨時の記者会見で、きょう午前10時14分ごろ、朝鮮半島西岸付近からICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイル1発が発射され、午前11時23分ごろ、北海道渡島大島の西およそ200キロの日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられると発表しました。

ミサイルの飛行距離は、およそ1000キロ、最高高度は、およそ6000キロと推定されるとしています。

松野官房長官は「破壊措置については実施をしていない。現時点で被害の報告は受けていない」と述べました。また、通常より角度をつけて打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射された可能性があることを明らかにしました。

現時点で、船舶や航空機などへの被害報告はないとしています。

北海道 各地で情報収集 現時点で被害の情報なし

北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたことを受けて、北海道の危機対策課は、情報収集を進めています。現時点で被害の情報は寄せられていないということです。

北海道南部の松前町にある松前さくら漁業協同組合によりますと、北朝鮮のミサイルが落下したとされる海域に漁船は出ておらず、これまでのところ被害の情報は入っていないということです。

海上保安庁 ”日本関係する船舶の被害情報はない”

北朝鮮から弾道ミサイルの可能性がある飛しょう体が発射されたとみられることを受け、海上保安庁が日本周辺の海域で被害などの確認を進めていますが、これまでのところ日本に関係する船舶への被害の情報は入っていないということです。

11:30時点 水産庁”被害の情報なし”

北朝鮮から弾道ミサイルが発射され、北海道の西側の日本のEEZ=排他的経済水域の内側に着弾したとみられることを受けて、水産庁は日本の漁船に被害がないか確認を進めていますが、午前11時30分時点で、被害の情報は入っていないということです。

11:00過ぎ 岸田首相”被害報告は確認されず 厳重に抗議”

北朝鮮から弾道ミサイルが発射されたことを受け、岸田総理大臣は午前11時すぎ、訪問先のタイで記者団の取材に応じ、ミサイルは北海道西側の日本のEEZ=排他的経済水域の内側に着弾したという認識を明らかにしました。

航空機や船舶などの被害は報告されていないということです。

この中で、岸田総理大臣は「北朝鮮が弾道ミサイルを発射し北海道の西側、日本のEEZ=排他的経済水域の内側に着弾したものと思われる」と述べました。

そのうえで「今のところ、航空機や船舶などの被害は報告されていない」と述べました。
そして「北朝鮮は、これまでにない頻度で挑発行動を繰り返している。断じて容認することができないことを改めて強く申し上げる」と述べ北朝鮮に厳重に抗議したことを明らかにしました。

弾道ミサイル 11時20分頃 北海道渡島大島 西210キロ落下見込み

海上保安庁は防衛省からの情報として「弾道ミサイルの可能性があるものは、午前11時20分ごろ北海道渡島大島の西およそ210キロに落下する見込み」だと18日午前11時7分に発表しました。

航行中の船舶に対し、今後の情報に注意するよう呼びかけています。

北朝鮮発射ICBM級ミサイル1発 日本のEEZ内に落下する可能性

防衛省は、北朝鮮が午前10時14分ごろ朝鮮半島西岸付近からICBM=大陸間弾道ミサイル級1発を東方向に発射したと18日午前10時56分に発表しました。

発射されたミサイルは現在も飛行中で、日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下する可能性があるとしています。

防衛省・自衛隊は、引き続き、アメリカなどと緊密に連携し、情報収集と分析、それに警戒監視に全力をあげるとともに、今後追加の情報が確認できれば速やかに発表することにしています。

岸田首相 情報収集など指示

北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたことを受けて、岸田総理大臣は、▼情報の収集と分析に全力を挙げ、国民に対し、迅速・的確な情報提供を行うこと、▼航空機や船舶などの安全確認を徹底すること、それに▼不測の事態に備え、万全の態勢をとることを指示しました。

浜田防衛相「分析し、のちほど発表」

浜田防衛大臣は閣議のあと、午前10時すぎからの記者会見で「現在分析中だ。のちほど発表することになる」と述べました。

その上で「北朝鮮はことしに入ってから、かつてない高い頻度でのミサイル発射を繰り返し、朝鮮半島や地域の緊張を著しく高めている。北朝鮮が繰り返す弾道ミサイルの発射は断じて許されず、北朝鮮による核・ミサイル技術の著しい向上はわが国および地域の安全保障にとって看過できるものではない」と非難しました。

政府 緊急参集チームを招集

政府は、総理大臣官邸の危機管理センターに設置している官邸対策室に関係省庁の担当者をメンバーとする緊急参集チームを招集し、情報の収集と被害の確認などにあたっています。

弾道ミサイルなどを発射 ことしに入って34回目

防衛省などによりますと、北朝鮮が弾道ミサイルなどを発射したのはことしに入って34回目です。

これまでに、1月に7回、2月に1回、3月に3回、4月に1回、5月に4回、6月に1回、8月に1回、9月に3回、10月に7回、今月に5回、それぞれ弾道ミサイルなどの発射を繰り返しています。

特に9月下旬から今月にかけてはあわせて15回とこれまでにない頻度で相次いで発射しています。

北朝鮮 ミサイル発射 異例の頻度

北朝鮮は過去にない異例の頻度で発射を繰り返していて、10月に続いて今月も相次いで発射しています。

今月2日には、南北の分断後初めて、海上の境界線を越えた1発を含めて、20発あまりのミサイルを発射しました。

3日にはピョンヤン郊外のスナン付近からICBM=大陸間弾道ミサイルの可能性がある1発と、ピョンアン南道ケチョン付近から短距離弾道ミサイル2発を発射しました。

また、同じ日の夜には、内陸部のファンヘ北道コクサン付近から短距離弾道ミサイル3発を発射しました。

5日にも北西部のピョンアン北道トンリム付近から短距離弾道ミサイル4発を発射していました。

そして、9日に西部のピョンアン南道スクチョン付近から、17日は東部のウォンサン付近から短距離弾道ミサイルをそれぞれ1発ずつ発射していました。

※スナン(順安)、ピョンアン(平安)、ケチョン(价川)、ファンヘ(黄海)、コクサン(谷山)、トンリム(東林)、スクチョン(粛川)、ウォンサン(元山)

北朝鮮 ICBM級 発射繰り返す

北朝鮮はことしに入って、ICBM=大陸間弾道ミサイル級の弾道ミサイルを繰り返し発射しています。

このうち、ことし3月24日、首都ピョンヤン郊外のスナン付近から弾道ミサイル1発を通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射し、北海道沖の日本海、EEZ=排他的経済水域の内側に落下したと推定されました。

韓国軍は高度は6200キロ以上とこれまでで最も高くなり、防衛省は射程がアメリカ全土を含む、1万5000キロを超える可能性があると分析しています。

そして北朝鮮は翌日、新型のICBM級の「火星17型」の発射実験に初めて成功したと発表しました。また、5月25日には再びスナン付近から合わせて3発の弾道ミサイルを発射し、1発目について韓国大統領府の高官は「火星17型」とみていると明らかにしました。

さらに、今月3日にスナン付近から発射された弾道ミサイルについて、日本政府はICBM級の可能性があるとしたほか、韓国軍は「火星17型」が正常に飛行せず失敗したと分析していました。

北朝鮮めぐる最近の動き

弾道ミサイルなどの発射を繰り返す北朝鮮に対し、日米韓3か国は連携して抑止力の強化を進めています。

アメリカは、ことし9月に続いて10月も、原子力空母を日本海に再び展開し、日本や韓国とともに共同訓練を行いました。

10月17日から28日にかけては、韓国軍の定例の野外機動訓練が一部アメリカ軍も参加して実施されたほか、今月5日までの6日間、最新鋭のステルス戦闘機やB1爆撃機などを投入して米韓空軍による5年ぶりの大規模訓練が行われました。

また、韓国軍は、今月10日までの4日間、北朝鮮の核・ミサイルなどの脅威を想定した定例の指揮所演習を行いました。

一方、北朝鮮は、10月9日までの15日間、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の立ち会いのもとで、「戦術核運用部隊」の訓練を実施し、弾道ミサイルを7回発射しました。

また今月2日に、南北の分断後初めて海上の境界線を越えて落下した地対空ミサイル1発を含む20発あまりのミサイルを発射しました。

その後も、ICBM=大陸間弾道ミサイル級の可能性がある1発を含む弾道ミサイルを相次いで発射し、北朝鮮軍は今月2日から5日にかけて、米韓空軍の大規模訓練に対応するための「軍事作戦」を行ったと発表していました。

加えて、チェ・ソニ外相が17日、今月13日の日米韓首脳会談を非難する談話を発表し「アメリカが同盟国への『拡大抑止の強化』に執着し、朝鮮半島や周辺地域で挑発的な軍事的活動を強化すればするほど、われわれの軍事的対応はさらに猛烈になる」として強くけん制していました。』

北海道沖に北朝鮮ICBMが着弾 日本海EEZ内、米本土が射程に

北海道沖に北朝鮮ICBMが着弾 日本海EEZ内、米本土が射程に
https://nordot.app/966148887253614592?ncmp=post_rltpost

『【ソウル共同】北朝鮮は18日午前10時14分ごろ、平壌近郊から日本海に向けてICBM級の弾道ミサイル1発を発射した。同11時23分ごろ、北海道渡島大島の西約200キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾したとみられる。最高高度約6千キロで、約千キロ飛行。通常軌道で発射すれば、射程は米本土を収める1万5千キロを超える可能性がある。被害情報はない。

 北朝鮮はICBMの技術向上を図るとともに、連携を強める日米韓3カ国に対抗する狙いがありそうだ。ミサイルは約69分飛行、意図的に高い角度で打ち上げるロフテッド軌道を使ったとみられる。韓国軍はICBMと断定した。

北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、記者の取材に応じる岸田首相=18日、バンコク(代表撮影・共同)

4月25日、平壌の金日成広場で行われた、朝鮮人民革命軍創建90年記念日の軍事パレードに登場した新型ICBM「火星17」
。4月26日付の北朝鮮の労働新聞が掲載した(コリアメディア提供・共同)

© 一般社団法人共同通信社 』

北朝鮮、ICBM発射=北海道西方沖EEZ内に着弾―69分間飛行、2日連続の挑発

北朝鮮、ICBM発射=北海道西方沖EEZ内に着弾―69分間飛行、2日連続の挑発
https://www.nippon.com/ja/news/yjj2022111800409/

『防衛省は、北朝鮮が18日午前10時14分(日本時間同)ごろ、平壌近郊から大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の弾道ミサイル1発を日本海に発射したと発表した。松野博一官房長官は記者会見で、ミサイルは同11時23分ごろ、北海道渡島大島の西方約200キロメートルの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したと推定されると明らかにした。浜田靖一防衛相によると、ミサイルは約69分間飛行した。

岸田文雄首相は滞在先のバンコクで、航空機や船舶の被害情報は確認されていないと述べた。松野官房長官によれば、ミサイルの飛行距離は約1000キロメートル、最高高度は6000キロメートル程度で、高角度のロフテッド軌道で発射されたとみられる。破壊措置は取らなかった。

浜田氏は記者団に「弾頭重量などによっては1万5000キロメートルを超える射程となり得るとみられ、その場合米国本土が射程に含まれる」と指摘した。北朝鮮の弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下するのは、ICBM級が発射された3月24日以来。当時は約71分間飛行し、北海道渡島半島西方150キロメートル沖に落下した。

北朝鮮の弾道ミサイル発射は2日連続。韓国軍も18日のミサイルについて、ICBMと判断しており、平壌の順安付近から発射されたと発表した。飛行距離は約1000キロメートル、高度約6100キロメートルで、速度はマッハ22程度だったとしている。

岸田首相は、情報収集と分析に全力を挙げるとともに、不測の事態に備えて万全の態勢を取るよう指示した。北朝鮮は3日にも新型ICBM「火星17」の可能性があるミサイルを発射したが、失敗したとみられている。

北朝鮮の軍事パレードで公開された大陸間弾道ミサイル(ICBM)=4月、平壌(AFP時事)北朝鮮の軍事パレードで公開された大陸間弾道ミサイル(ICBM)=4月、平壌(AFP時事)

[Copyright The Jiji Press, Ltd.] 』

マレーシア航空17便撃墜事件

マレーシア航空17便撃墜事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%A2%E8%88%AA%E7%A9%BA17%E4%BE%BF%E6%92%83%E5%A2%9C%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 ※ 下記にある通り、リンクを貼ったが、「再生できません。」になっている…。

『マレーシア航空17便撃墜事件(マレーシアこうくう17びんげきついじけん)は、2014年7月17日にマレーシア航空の定期旅客便がウクライナ東部上空を飛行中に撃墜され、乗客283人と乗組員15人の全員が死亡した事件である[3][4]。

アムステルダムからクアラルンプールへと向かっていたボーイング777-200ERは、ウクライナ?ロシア間の国境から約50km離れたところで消息を絶ち、同航空機の残骸が国境からウクライナ側へ40kmのドネツィク州グラボベ近郊に落下した[5]。2014年3月8日のマレーシア航空370便墜落事故に続いて、マレーシア航空で2度目の航空機損失事案となった[6]。

この撃墜事件は、ドンバス戦争において親ロシアの反政府勢力が支配下としていた地域で発生した[7]。当該航空機との通信が途絶えてから約1時間後、ドンバス地域で分離主義勢力を率いていたイーゴリ・ギルキンは自身のVKontakteアカウントにおいて、人民兵からの報告としてウクライナ軍のAn-26輸送機が撃墜されたと主張した[8][9]。グラボベ近郊に落ちたその残骸が民間旅客機だと明らかになるや、ギルキンはこの主張を撤回し、航空機撃墜への関与を否定した[10][11][12]。

親ロシアの反政府勢力に支配されていた地域(ピンク色で図示)で途絶える推定飛行ルート。ニューヨークタイムズ紙作成[13][注釈 2]

犠牲者の多くがオランダ人であったことから、事故調査はオランダ安全委員会(オランダ語版、英語版)(DSB)とオランダ主導の国際合同捜査チーム(英語版)(JIT)によって行われた。2015年10月の最終事故調査報告書では、東部ウクライナの親ロシア分離主義に支配された地域から発射された地対空ミサイル「ブーク」による撃墜と結論付けられた[2][15]。JITによると、使用されたブークは元々ロシア連邦の第53対空ミサイル旅団にあったもので[16][17][18]、撃墜当日にロシアから輸送され、反政府勢力の支配地域である場所から発射され、その後ロシアへと戻された[17][19][20]。

DSBとJITによる調査結果は、アメリカ合衆国やドイツの諜報機関が主張していた内容[21][22]およびウクライナ政府の主張と合致するものだった[23]。JITの結論に基づき、オランダ政府とオーストラリア政府はブークの設置配備に関してロシアに責任があるとして、2018年5月以降これを追及する法的手段を模索した[24]。2019年6月19日、JITは、イーゴリ・ギルキン(ロシア連邦保安局元大佐)、セルゲイ・ドゥビンスキー(Сергей Дубинский、ロシア参謀本部情報総局職員)、オレグ・プラトフ(Олег Пулатов、ロシア参謀本部情報総局特別部隊元兵士)、レオニド・ハルチェンコ(Леонид Харченко、ウクライナ人、反政府戦闘部隊指揮官)らを殺人罪で起訴すると発表した[25][26]。

ロシア政府は航空機撃墜への関与を否定した[18][27][28][29]。Bellingcatはロシアが航空機が撃墜された方法の説明をその時々で変えていたと主張している[30]。ロシアメディアの報道も他国の報道とは異なるものだった[31][32]。ロシアとしては、戦争空域において民間機の飛行を許可したウクライナ政府の落ち度である、との見解である[33]。

2019年6月20日、マレーシアのマハティール・モハマド首相はギルキンらの起訴の報を受け、JITの結論を「ばかげている」と非難し、「この件は最初から、いかにロシアの犯行として非難するかという政治問題になった」との考えを表明した。さらに「今のところ証拠はなく、伝聞情報しかない」とし、ロシア側の関与を示す証拠を求めた。ただしマレーシアはJITに参加しており、同国外務省は捜査結果を支持する声明を出した[34][35]。

機体

共同運航合意を通じてKLMオランダ航空のKL4103便としても市場に出ていた[36]MH17便は、ボーイング777-2H6ER[注釈 3](シリアル番号28411、機体記号9M-MRD)で運用されていた[2]:30。84番目に製造されたボーイング777で、事故のちょうど17年前となる1997年7月17日に初飛行し、同年7月29日にマレーシア航空へと新規納入された[37]。2つのロールス・ロイス製トレント892エンジンを動力に、280席(ビジネス33席とエコノミー247席)を運ぶこの航空機は、墜落前に76,300時間以上の飛行を記録していた[2]:30。航空機は出発時に安全飛行できる (Airworthy)[注釈 4] 状態だった[2]:31。

1995年6月に商業運行を始めたボーイング777は2014年3月時点で1,200機以上が運用されていた[39]。専門家によれば、同機種は民間航空機の中で最も優秀な安全記録を持っており、本事件発生時点の重大事故としては2008年のブリティッシュ・エアウェイズ38便事故、2013年のアシアナ航空214便着陸失敗事故、そして2014年3月のマレーシア航空370便墜落事故が知られているのみであった[39]。

乗客・乗員

国籍別の搭乗者[2]:27 国籍 人数

オーストラリア 27
ベルギー 4
カナダ[注釈 5] 1
ドイツ[注釈 6] 4
インドネシア 12
マレーシア[注釈 7] 43
オランダ[注釈 8] 193
ニュージーランド 1
フィリピン 3
イギリス[注釈 9] 10
合計 298

本事件では乗客283名と乗務員15名の全員が死亡し[42][2]:27、旅客機撃墜事件として最多の死者を出した事件となった[43]。7月19日までに、航空会社は298人の乗客と乗務員全員の国籍を断定した[6]。

乗客の3分の2以上(68%)はオランダ人だった。他の大部分の乗客はマレーシア人とオーストラリア人で、それ以外に7カ国の市民がいた[2]:27。

乗客の中には、メルボルンでの第20回国際エイズ会議に向かう代表団がおり、そこには国際エイズ学会(英語版)の元会長で会議を組織したユップ・ランゲも含まれていた[44][45]。初期報道の多くが会議代表団約100名が搭乗していたと誤って伝えていたものの、これは後に6人に修正された[46]。このほか、オランダの上院議員ウィレム・ウィッテフェーン(オランダ語版)、オーストラリアの作家リアム・デイヴィソン(英語版)、マレーシアの女優シュバ・ジェイ(英語版)も搭乗していた[47][48]。

家族グループが20組以上、12歳未満の子どもが少なくとも20名、未成年が80名いた[49][50]。

乗務員は全員マレーシア人で、機長ワン・アムラン・ワン・フッシン(Wan Amran Wan Hussin)と朱仁隆(Eugene Choo Jin Leong)、一等航空士アフマド・ハキミ・ハナピ(Ahmad Hakimi Hanapi)とムフド・フィルダス・アブドゥル・ラヒム(Muhamad Firdaus Abdul Rahim)らを含め15名全員が犠牲となった[51]。

背景

「ドンバス戦争」および「2014年ウクライナでの親ロシア派騒乱」も参照

2014年3月初旬に始まったウクライナ東部の武力紛争の影響で、安全上の懸念から、商用航空機はウクライナ東部領域の通過を避けるようになっていた[52][53]。撃墜事件に先立って、ウクライナ東部の反政府勢力が地対空ミサイル「ブーク(Бук)」を保有しているとの報道がメディアに出回っていた[54][55][56]。こうした防空システムは、民間航空機を確実に識別できるわけではなく、回避することもできない[57][58]。事件後のウクライナ保安庁の声明によると、本件航空機が撃墜された時点でブークミサイルシステム3基が反政府勢力の支配するウクライナ領土に置かれており、撃墜した夜のうちに、ブーク3基が指令車両と共にロシアに移された[59][60][61][62]

事件の数カ月前よりウクライナ空軍の航空機も攻撃を受けていた。事件の3日前にはAn-26が撃墜され[2]:183、事件前日にはSu-25が不時着を強いられた[63]。7月17日の事件当日には、AP通信の報道記者がドネツィク州のスニジネ(墜落現場の南東16km)でブークの発射台や戦車を目撃していた[64]。ブークが町に運び込まれるのを見た記者らに対して、見慣れない軍服を着用したロシア語訛りの言葉を話す男が撮影していないことを確認しに来たという[65]。この事件に前後して、今回の墜落現場に程近いサヴールモヒラで行われた戦闘(ウクライナ語版)では、分離主義者が洗練された対空兵器を配備しウクライナ軍のジェット機を複数撃墜していたことから、これらの対空兵器がマレーシア航空17便を撃墜したのではないかとも示唆された[66]。

国際民間航空機関は4月に、民間機がウクライナ南東部上空を通るのは危険だと各国政府に警告していた[2]:217。ただし、この警告にはマレーシア17便が墜落した地域が含まれていなかった[67][68]。ロシアの航空当局は、事件当日00:00に「ウクライナでの武力紛争」を理由として、民間旅客機による53,000フィート(16,000メートル)以下での飛行を禁じた[2]。長距離便の飛行高度は一般に高度10,000?13,000メートル辺りであり[69]、ロシア当局が高度16,000メートルまでの広い範囲での禁止を設けた理由は最終報告においても不明とされている[2]:180。

ドネツィク上空を管理するウクライナ当局は高度9,800m以下の飛行に制限を設けていたが、民間旅客機に対する完全な空域封鎖は検討していなかった[2]:10[70][71]。他の国々と同様、ウクライナは自国領土を通過する民間航空機の上空通過料(overflight fee)を受け取っており、これが要因となって紛争地域を通過する民間空輸経路を封鎖しなかった可能性が指摘された[72][73]。

航路と撃墜

スキポール空港から墜落地点までの当日の航路

規制空域を含むマレーシア航空17便 (MH17) とシンガポール航空351便 (SQ351) の航路

2014年7月17日、マレーシア航空17便 (MH17) はアムステルダム・スキポール空港のG3ゲートをCEST12:13に出発し、現地時間12:31に離陸した[2]:23。予定では約11時間45分のフライトを経てクアラルンプール国際空港に7月18日MYT06:10に到着する予定だった[74]。

当初の飛行計画によると、MH17便は高度33,000ft (10,060m) でウクライナ上空を飛行し、ウクライナのドニプロペトロウシク州辺りで35,000ft (10,670m) に高度を上げることになっていた。予定通りその空域へと現地時間15:53に到着すると、ドニプロペトロウシクの航空管制はMH17に計画通り高度を上げることが可能であるかを尋ね、同じ高度で飛行しているもう1機シンガポール航空351便 (SQ351) との間隔を維持するよう要請した。MH17操縦士が高度を維持したい旨を伝えると、航空管制はこの要求を承諾して別の1機に高度を上げさせた。現地時間16:00にMH17便の操縦士は気象条件のため航路を北に20海里 (37km) 寄せたいと伝え、この要求もドニプロ航空管制に承認された。MH17便の高度は10,060mのままであった。現地時間16:19にドニプロ管制はMH17が承認済みルートよりも北6.7kmを飛行していることを認識し、進路を戻すよう指示した。同時刻にドニプロ管制はロシアのロストフ・ナ・ドヌー (RND) 航空管制に電話連絡し、ロシア領空へと向かう航空許可を要請した。許可を貰った後、現地時間16:20に航空通信をRND管制に引き渡すべくドニプロ管制がMH17に連絡を試みたが、同航空機は応答しなかった。幾度の呼びかけにもMH17が応答しないため、ドニプロ管制は再びRND管制に連絡し、レーダーで機体を捕捉できているか確認を促した。RND管制は旅客機がレーダーから消えたことを確認した[3]。

オランダ安全委員会 (DSB) は、現地時間16:20の最終飛行記録データがグラボベ近郊にあって時速915kmで東南東に向かっていた、と報告した[3]。

現地時間16:20:03、航空機から東側の地域から発射された地対空ミサイルのブークが航空機の外コックピットすぐ上の左側で爆発した。爆発による減圧が生じ、コックピットと尾翼部の両区画が胴体中央部から千切れ飛んだ。3つに分かれた機体は地面へと墜落し、いずれも粉々になった。

残骸の大半は、ウクライナ東部ドネツィク州のグラボベ近郊50平方キロメートルの地域にわたって散らばった[2]:53。地上への衝突時の火球と考えられる映像が捉えられている[75]。墜落現場の写真には、壊れた胴体やエンジンの部品、遺体、パスポートが散らばっている様子が写っている[76]。残骸は家屋の近くに落下し[77]、数十体の遺体が作物畑や、一部は家屋にも落ちた[78]。

マレーシア旅客機が墜落した時、ほか3機の民間航空機が同じ空域にいた。エア・インディア113便 (AI113)、エバー航空88便 (BR88)、そして最も近い航空機のシンガポール航空351便 (SQ351) は33km離れた所にいた[2]:41。

遺体の回収

最初の遺体が到着したアイントホーフェン空港

ウクライナ外務省によると、墜落現場で発見された遺体は身元確認のためハルキウ(北に約270km)に搬送されることとなった。墜落の翌日までに、298人のうち181遺体が発見された[79]。

報道メディアは(犠牲者の)クレジットカードやデビットカードが略奪されていると報じた[80]。墜落現場の証拠が破壊されたとの告発もあった[81][82]。オランダのマルク・ルッテ首相は当初、遺体からの私物略奪や不用意な扱い方に苦言を呈していたが、遺体は当初の情報よりも注意を払って扱われていたと後に語った[83][84][85]。ウクライナ当局によると、7月21日時点で272遺体が回収された[86]。同日、マレーシアのナジブ・ラザク首相は墜落事故で死亡したマレーシア人の遺体を法医学作業後に回収する政府間の暫定合意に達したと発表した[87]。

他の交通を停めてヒルフェルスムへと向かう霊柩車40台の車列

7月21日、282の遺体と87の遺体片が発見されたが依然として16人(の遺体)が行方不明になっていると報じられた[88]。オランダが判別作業を調整することになり、同月下旬にはロンドン警視庁が遺体回収や身元確認、送致を支援するため専門家をウクライナに派遣した[89]。7月23日、最初の遺体がオランダのアイントホーフェンへと空輸され[90][91]、翌日にはさらに74遺体が到着した[92]。遺体の検分および身元確認はヒルフェルスムのオランダ陸軍医療施設にて、オランダの法医学チームによって実施された[93]。

8月1日、オランダとマレーシアとオーストラリアの約80人による行方不明遺体の捜索回収作戦が、ドローン、災害救助犬、衛星地図画像を用いて実施された[94][95]。まだ百名近い遺体が残っていると思っていた参加者もいたが[96]、数日間の捜索を経て彼らが発見した「遺骨はごく少数」であり、「現地当局が墜落直後に実施した回収作業は当初考えられていたよりも徹底していた」と結論づけた[85]。8月6日、墜落現場周辺での戦闘が激化したため回収作業は一時中止となり、捜索を行う全部隊が(少数の通信部隊を残して)国外へ退去することになった[97]。

8月22日、本件で死亡したマレーシア人43名のうち20名の遺体がマレーシアに到着した[98]。同政府は国葬の日を発表し、その式典はラジオやテレビで生中継された[99]。

2014年12月5日までに、オランダ主導の法医学チームは墜落事故の犠牲者298人のうち292人の遺体を特定した[100]。2015年2月と4月に現場で新たな遺骨が発見されるも[101][102]、2人の犠牲者(いずれもオランダ市民)だけは認識できなかった[102]。

事後の影響

事件の約90分後、ウクライナは国内東部領空のあらゆる航路を全高度で封鎖した[2]:101。この事件の時点でも、東部ウクライナは戦闘地域に当たるとしていくつかの国際機関から警告がなされていたが、西欧と東南アジアを結ぶ最短航路であり、この事故が起こるまで毎日300機の民間航空機がウクライナ東部空域を飛行していた[103]。というのも33,000フィートの高度では対空兵器の心配はないと考えられていたからである。しかしこの事件でその神話は崩れ去り、旅客機撃墜に対する懸念が劇的に高まった[104]。欧州の航空管制調整機関「ユーロコントロール」が現場周辺空域の飛行を当面の間認めないと発表したほか[105] 幾つかの航空会社も紛争地域の飛行を回避すると発表した[106][107]。

墜落直後にマレーシア航空はMH17の便名を欠番とし、2014年7月25日からアムステルダム?クアラルンプール線をMH19便に変更した[108][109]。マレーシア航空からのボーイング777航空機撤退に伴いマレーシア航空はアムステルダムへの運航を終了し、2016年1月25日以降の同運航についてはKLMオランダ航空とのコードシェア便となった[110]。事故の翌日、マレーシア航空の株価は16%近く下落した[111]。

2014年7月23日、MH17墜落事故現場すぐ近くでウクライナ軍のジェット機2機が高度5,200mでミサイルに衝突した。ウクライナ保安庁によると、第一報ではそのミサイルがロシアから飛来したことが示された[112]。

2015年7月、マレーシアは、航空機墜落の責任者を起訴する国際裁判所を国連安全保障理事会が設置することを提案した。マレーシアの提案決議は安保理15カ国のうち賛成11、棄権3だったが、ロシアにより拒否権が行使された[113]。ロシアは、裁判所を設置しない代替案を提案した[114][115][116][117][118]。

調査

墜落の技術的原因と犯罪捜査という2つの調査が同時に実施された[119]。このマレーシア機にはオランダ国籍の市民193人が搭乗していて最も人数が多いことから、オランダ主導で調査を実施することになった[120]。技術報告書は2015年10月13日に[121]、犯罪捜査結果の一部は2016年9月に公表された[20][122]。国際民間航空条約によると航空事故の起きた国が調査責任を負うが、その調査を他の国に委託しても構わない。ウクライナは、各調査の主導権をオランダに委ねた[123][124][125][126]。

現地調査

墜落の数時間後、ウクライナ、ロシア、欧州安全保障協力機構(OSCE)による三者連絡グループ会談が招集された。航空機が墜落した地域を支配しているドネツク人民共和国 (DPR) に所属する反政府勢力の代表者とビデオ会議を開いた後、反政府勢力はウクライナ当局およびOSCE監視団と協力して「国家調査委員会」に「安全な往来と安全保証を提供する」と約束した[127][128]。調査最初の2日間、人民兵はOSCEおよびウクライナ緊急事態省(ウクライナ語版)の作業者が墜落現場で自由に作業するのを妨害していた。DPRの指導者アンドレイ・パーギン(ウクライナ語版)は、後になって「ウクライナ政府が停戦合意を締結すれば直ちに現場の国際的専門家の安全を保証する」と宣言した[129]。

墜落現場のオランダ警察とオーストラリア警察。2014年8月3日

事故翌日の7月18日までに、フライトデータレコーダーとコックピットボイスレコーダーは分離主義者によって回収されており[130]、3日後にドネツィクでマレーシア当局に引き渡された[2]:44[131][132]。ボイスレコーダーは破損していたが、データが改竄された証拠はなかった[2]:45。

事故翌日に現場内外の調査を主導したウクライナの国家航空事故調査局は、アムステルダム発の飛行でオランダ人乗客数が多かったため、2014年8月までに調査をオランダ安全委員会 (DSB) に移譲した[2]:14[133][134]。

2014年7月22日、133人からなるマレーシアの公務員、捜索回収要員、法医学、技術、医療専門家のチームがウクライナに到着した[135]。またオーストラリアは、以前MH370便墜落事故の捜索を監督したアンガス・ヒューストン率いる学識者45人を派遣したほか[136]、合同調査団 (JIT) を支援する約200人の特殊部隊を動員した[137]。イギリスは航空事故調査局 (AAIB) から調査官6人を派遣したほか、同国外務省が追加の領事館員をウクライナに派遣した[89]。オランダ国防省の指揮下で、完全な国際チームが墜落現場で作業を開始するのに7月下旬までかかった[138][139]。

2014年7月30日、ウクライナの代表者は親ロシア反政府勢力が墜落現場周辺に重砲を配置したと語った[140]。

2014年8月6日、専門家たちは(現地ドンバス地区の戦闘激化による)自分達の安全性懸念から墜落現場を離れた[141]。9月中旬、彼らは現場への経路再確保を試みるも上手くいかなかった[142][143]。10月13日、オランダとウクライナのチームが犠牲者の私物回収を再開した[144]。11月中旬、墜落現場から残骸の一部を撤去する作業が行われた。MH17の残骸を引き揚げる以前の回収チーム作業は、地元の反政府勢力との同意が取れず満足にできないままだった[145][146]。1週間かけて回収された残骸はオランダに搬送され、事故調査の一環として墜落機の再建に用いられた[147]。

2015年8月、墜落現場でブーク発射台の可能性がある部品がオランダ主導の国際合同捜査チームによって発見された[148][149]。

墜落原因

事件で使われたのと同じブーク地対空ミサイルの移動式発射台

音楽・音声外部リンク

Pro-Russian rebels discuss the shooting down of an aircraft – YouTube、国家安全保障局により音声認識が保証された電話傍受で[150]、民間航空機だったという第一報が入り、どのグループが航空機を撃墜したのか反政府勢力間で議論している様子。ウクライナ保安庁が英語字幕付きで、ロシア語音声を公表した[151][152]

墜落直後に米国とウクライナの当局者は、9M38シリーズの地対空ミサイル攻撃が原因だった可能性が最も高いと語った[153]。その場合、ミサイルはソ連が設計した移動式ミサイルシステムのブークから発射されたことになる。というのも、10,000メートルの高度を飛行する航空機を攻撃できる移動式地対空ミサイルシステムはブークのみであった[154][155][156][157][158]。専門家の分析によると、航空機破片の塗装に見られる熱変成がミサイル攻撃特有のもので[159]、また恐らくエンジンの熱源追尾型ではなくレーダー誘導でコックピットを狙った、ブークのような近接信管の弾頭を持つミサイルだとされた[160]。

墜落直後、ドンバス分離主義勢力を率いるイーゴリ・ギルキンは、自身のVKontakteアカウントにおいて、人民兵からの報告としてウクライナのAn-26輸送機を撃墜したと投稿した[8][161][162]。ロシアのタス通信やRIAノーボスチも初報ではAn-26の撃墜として報じたが[163][164]、撃墜されたのが旅客機であると判明してからは、ロシアメディアは分離主義勢力の関与を示す報道を控えるようになった[165]。ギルキンもフコンタクテの投稿を取り消し、関与を否定した[166][167]。DPRの首領であったアレクサンドル・ボロダイ(ウクライナ語版)が墜落の40分後に、民間航空機を撃墜してしまったようだとモスクワのメディア上層部に電話していたとの報道もみられた[162]。

事件当日、トレス(ウクライナ語: Торез、現・チスチャコヴェ(ウクライナ語版))やスニジネ(いずれもグラボベ近郊)でブークと思しき目撃情報がAP通信などで報じられていた[65][168]。その目撃報告は、ネット上に投稿された反政府勢力領土内のブーク発射台の写真や動画でも裏付けられた[168]。

7月19日、ウクライナ保安庁 (SBU) の諜報局長が「我々はこのテロ行為がロシア連邦の支援と共に実施されたという説得力ある証拠を掴んでいる」と記者会見で語り[169][170][171]、分離主義者の会話記録(航空機撃墜に至ったことでロシア諜報機関に感謝を表明している)と呼ばれるものを提示した[172][173]。分離主義者の一人はこの会話がなされたことを認めたが、自分達のMH17墜落関与については否定し、ウクライナ政府がそれを撃墜したと非難した[74][174][175][176]。SBUは、MH17が撃墜される2分前に親ロシア分離主義の指導者イゴール・ベズラー(ウクライナ語版)が航空機の接近について語っているという別の録音も公表した。ベズラーは、この録音は本物だが別の事案に言及したものだと語った[177]。SBU長官のバレンティン・ナリバイチェンコ(ウクライナ語版)は後に、反政府勢力はロシアにウクライナ侵攻の口実を与えるため偽旗作戦でロシアの旅客機を撃墜するつもりだったが、誤ってMH17を撃墜したと主張した[178][179][180]。

ウクライナのスニジネにいたAP通信の記者は、ブークが「独特のロシア語訛り」で話す男に操縦されて撃墜が起きた方向に移動した様子を伝えている。またウクライナのテロ対策責任者ヴィタリー・ナイダによると、分離主義者の指示のもと旅客機を墜落させた後でロシア人の発射台操縦者は急いで国境を越えロシアへと戻っていった[65]。

7月22日、反政府軍の戦闘員は仲間の分離主義者が自分の部隊に語ったこととして、航空機が撃墜されたのはそれがウクライナのものという仮定のもと墜落現場で「パイロット」を逮捕するように命じられたためだと主張した[181][182]。ミサイル経路の追跡感知、残骸に残った榴弾痕、自分達が命中させたと語る分離主義者の会話分析、ソーシャルメディアにある写真その他のデータ、その全てがロシアの支援を受けた分離主義者がミサイルを発射したことを示している、と米国の情報当局者は主張した[22]。米国の当局者は、赤外線センサーによる衛星データがMH17便の爆発を検知しており、発射軌道の分析からミサイルがトレスやスニジネ近郊から発射されたことを示唆していると語った[155][183]。

デイリー・テレグラフ紙は発射地点を恐らく墜落現場の南約19kmのトウモロコシ畑だと報じ[156]、他の情報筋では分離独立主義の支配するChernukhinoという町からだと示唆された[184]。ガーディアン、ワシントン・ポスト、シドニー・モーニング・ヘラルドほか複数のメディアが、反政府勢力のミサイルによって墜落したと報じた[96][22][185]。

米国の情報当局者はマレーシア航空MH17便が親ロシア分離主義者により誤って撃墜された可能性があるとの見解を示し[186]、分離主義者がブーク地対空ミサイルを発射したという証拠を挙げた。この当局者は、その反政府勢力が親ロシア分離主義に寝返った元ウクライナ軍の隊員だった可能性があると主張したほか[21]、MH17が回避行動を取ったというロシア側の主張を否定し、ウクライナ政府には反乱軍の支配する地域にこうしたミサイルシステムがないため、ウクライナ政府がMH17を撃墜したとの主張は現実的ではないと主張した[157]。イギリス外務省は、ロシアの支援を受けた分離主義者によって支配された地域からミサイルが発射された可能性が「非常に高い」と主張した[187]。

ロシア軍は、上述のようにロシアに責任を負わせる意見を「ロシア陰謀説」と呼び、MH17は地対空ミサイルか戦闘機のいずれかによってウクライナ側の手によって撃墜されたとしている[188][189]。

7月18日、ロシア国防省は、事故当日のウクライナ側のブークに搭載された9S18レーダーの作動状況がロシア軍によって記録され、その記録からブークが配備された場所を計算したところ、MH17の通過ルートと墜落現場はウクライナ側が運用していた2つの長距離対空ミサイルシステムと3つのブークの射程範囲にあることが明らかになったと述べた。

また、事件当日にドネツクの南30kmに位置するスタイラ(Стыла)の集落に配置されたブークのレーダーの動作が確認されたが、ブークは同じ機種同士で空中標的の情報を共有することが可能なので、実際に発射された可能性のある地点として、ドネツクの北8kmのアウディーイウカ(Авдеевка)、ドネツクの東25kmのクルスコ・ゾリャンスコエ(Грузско-Зорянское)も含まれると主張した[190]。

7月21日には衛星画像を公開し、事件当日にドネツクの東50kmのザロシチェンスコエ(Зарощенское)にウクライナのブークが移動され、翌18日までに撤去されたと主張した[191][192]。

この時にロシア側から公開された衛星画像は、後述する様に調査報道組織ベリングキャットから捏造だと批判され、批判への反論と再反論がなされ真偽を巡った議論になった。

さらにロシア国防省は、ウクライナ空軍のSu-25を検知しており、この地上攻撃機がマレーシア旅客機の残骸から3?5km以内に接近したと主張した[189]。

Su-25の首席設計士ウラジーミル・ババク(ロシア語版)はSu-25が空対空ミサイルでボーイング777を墜落させたかもしれないとのロシア側の主張を否定した[193]。

オランダ安全委員会の発表した報告書で、空対空ミサイル攻撃は事故原因から除外された。

他にもロシアのRIAノーボスチは、ロシア軍により7月17日の午後にウクライナ陣地でブークに搭載された対空レーダー9S18の活動増加が記録されたこと、米国の偵察衛星がMH17墜落時にウクライナ上空を通過していたことから、ロシアは米国に対して衛星データの公開を提案したが無視されていること[194]、西側メディアが主張するような反政府軍支配地でのブークの活動は地元住人からは目撃されなかったという証言[195]、事件当日にウクライナの第156対空ミサイル連隊がブークを使った空中標的の追跡と破壊の戦闘訓練するよう命じられていたとのウクライナ政府関係者とされる人物からの証言、過去にウクライナ軍が引き起こしたとされるシベリア航空機撃墜事件への忌避から黒海近辺での実戦演習が行われず、ウクライナ兵の練度が不足していたとの見方[196]、ロシア連邦航空局による「ウクライナ側の航空管制があったにも関わらずMH17が規定ルートを大きく外れ戦闘地帯に侵入していた」との批判など[197]を根拠にウクライナ軍が事件の犯人だとの主張を行った。

7月23日、親ロシア派ボストーク大隊の司令官アレクサンドル・ホダコフスキー(ウクライナ語版、英語版)は分離主義者が航空機を撃墜するのに使ったと米国が指摘した種類の対空ミサイルを持っていることを認め、その存在の証拠を消すためロシアに送り返された可能性があると述べた[198][199][200]。

後に彼は間違って引用されたと自身のコメントを撤回し、反政府勢力は決してブークを所持していないと主張した[199]。

2014年11月、彼はあらためて分離主義者が当時ブークを所持していたと語るも、ルハーンシク出身の戦闘員の指揮下にあるその車両はMH17が墜落した時にドネツィクに向かう途上だったと主張した。その後、非難されることを避けるため撤回された[201]。

7月28日、航空機が「大規模な爆発での減圧」を引き起こした榴散弾によって墜落したことがブラックボックス録音の分析で明らかになったと[202]、ウクライナ保安職員が記者会見で発表した。オランダ当局は「時期尚早の発表」として、自分達はこの情報を提供していないと述べた[203]。

9月8日、反政府勢力の支配地域でMH17墜落の当日にブーク発射台を見たというドンバスの民間人3名の証言を引用した新資料を英国放送協会 (BBC) が公表した。

2人の目撃者は、発射台の操縦士と護衛車両の搭乗者がモスクワ訛りで話していたと語った[204]。

同日、ロシア人記者がMH17墜落事故の前後数日間にロシアとウクライナとを移動するブークの写真および動画の分析を公表した。彼は、MH17撃墜に使用したと疑われる発射台の記章は、それを運んだ大型物資運搬車のナンバープレートも含めてロシア陸軍の防空部隊第53対空ミサイル旅団(ロシア語版)の所属であることが示唆されたと主張した[205][206]。

10月8日、シュピーゲル紙によれば、ドイツ連邦情報局 (BND) 長官ゲルハルト・シンドラー(Gerhard Schindler)がMH17に関する証拠をドイツ議会委員会メンバーへの講演で提出したとされる。

提出された証拠には親ロシア分離主義者が鹵獲したウクライナのブークシステムを使ってMH17便を撃墜したと結論付けた詳細分析が掲載されていたとされ、シュピーゲル紙によればシンドラー長官は、「詳細を見ればウクライナ側の記録が偽造されたと分かる」「ミサイルがウクライナ兵によって発射され、ウクライナの戦闘機が旅客機近くを飛行していたとのロシア側の主張も誤りである」「ミサイルは親ロシア派によって発射された」と述べたとされている[207][208]。

ロシアのRIAノーボスチによれば、シンドラー長官は講演の中で「いくつかのデータはウクライナ側から提供されたものであり、改ざんされている」と述べたとされている[194]。

12月22日、オランダのRTL Nieuwsは反政府勢力の領土から発射されたミサイルによってMH17が撃墜されたを目撃したと語る匿名現地住民の声明を発表した。

彼は撮影した写真をSBUに手渡した[209][210]。12月24日、RIAノーボスチは、自称DPRの指導者アレクサンドル・ザハルチェンコがウクライナのジェット機2機によってMH17が空から撃墜されたのを見たとの発言を引用した[211][212]。

2015年1月、ドイツの非営利組織CORRECTIV(ドイツ語版)によって制作された報告書は、第53対空ミサイル旅団によって操縦されたブーク地対空ミサイルがMH17を撃墜したと結論付けた[213]。CORRECTIVは他の状況証拠が個別の発射台車両、操縦者名、それを輸送するトラック、ロシアとウクライナを通るとされるルートを特定し、その説を裏付ける様々な当事者によって別々に提示されたと主張した[214]。

2015年3月、ロイターはスニジネ近郊にいる目撃者の声明を発表し、約1.5km離れた畑から発射された時にブークロケットが村の上空を通過するのを見たと述べた。また、ウクライナの空爆を防ぐためにボーイング墜落事故当日に発射台がその地域に置かれたことを確認した分離主義戦闘員と称される目撃者からの証言を公表した[215]。

2015年3月30日、RTはロイター通信が取材内容を改竄したと主張する地元住人のインタビューを掲載した。

記事によれば、チェルヴォニー・ゾフテン (Chervonniy Zhovten) 村に住む58歳のピョートル・フェドートフ (Pyotr Fedotov) は3月12日にロイターの記者アントン・ズベレフ (Anton Zverev) から事件についてインタビューされた。

フェドートフはミサイルがウクライナ政府軍の支配地域から発射されたと答えたが、ロイターに実際に掲載された記事ではフェドートフがオフレコで、「反政府軍からの報復が怖いので本当のことを言わなかったが、実はミサイルは反政府軍の支配地域から発射された」と語ったことにされていたとされる。

フェドートフは後にRTから取材を受けた際、「私達がボーイングについて話したとき、私は全てをそのまま説明した」「私がオフレコで言ったとされることは、ジャーナリストによって捏造されたもので、全て嘘だ。オフレコではボーイングについて何も話さなかった」「ロイターの記事の草稿は一度も見せられなかった」「私は本当に驚いた」などと語った。

RTは、この事件についてロイターに電子メールでコメントを求めたが、「本記事公開時点ではロイターからの返答は得られなかった」としている[216]。

RTは、ロイターの記事はフェドートフ以外に他の3人の目撃証言を引用したが、ミサイルがどこから発射されたか場所を指し示したのはフェドートフだけであり、ロイターの記事は反政府軍からのミサイルがMH17便を撃墜したと証明していないと強く主張した[217]。

2015年7月、ニューズ・コープ・オーストラリアは、墜落直後に現場で録画された17分間の動画コピーを公開し、ロシアの支援を受けた反政府勢力が軍用機の残骸とパラシュートで降下した乗組員を発見することを期待して墜落現場に到着した様子が映っていたと主張した[218]。

2016年5月、ストラトフォーは墜落の5時間前に撮影された衛星画像を公開し、そこにはロシアのブークシステムがトラックの荷台でマキイフカを通っていく様子が映っていた。このシンクタンクは、2014年7月15日にブークシステムがロシア国境からドネツィクに向かって移動し、MH17便が撃墜される数時間前の2014年7月17日午後に戻ったと主張した[219]。

2014年11月、英国の調査集団ベリングキャットはSNSやネット等で公開された情報を分析し、航空機を撃墜するために使われた発射台はクルスクに拠点を置くロシアの第53対空ミサイル旅団のブークで、ドネツクからスニジネに輸送され攻撃当日にウクライナの分離主義者によって操縦されたものであると主張した[220][221]。

ベリングキャットは2015年6月に、ロシア国防相が証拠画像として使用していた画像は日付が改竄されたり、画像編集ソフトで雲が追加されたり、ウクライナ側のブーク発射台が攻撃後に取り除かれたかのように見せるなど、数々の改竄が行われたことが強力な証拠によって明確に証明されたと主張した[222][223]。

しかしこれに対し、ドイツの画像科学捜査の専門家であるイェンス・クリーゼは、メタデータの変更は必ずしも画像改竄を意味しないこと、エラーレベル分析(英語版)(ELA)の際の判断にミスがあること、画像分析は個人の主観によってどうとでも評価が変わることなどを根拠に、ロシアが画像を改竄したかどうかを確実に言うことは不可能だと主張した[224]。

また、ジャーナリストのステファン・ニッゲマイヤー(ドイツ語版)も同様の批判を行いつつ、Google Earthの衛星画像は日付が不正確で最大で数か月離れている可能性があることを指摘し、ベリングキャットのメンバーは複数のレポートで「専門家」として扱われているが、彼らの様な市民ジャーナリストの専門知識がどこから来ているのかは完全に不明で、実際は興味を持った献身的な素人であり、ベリングキャットのメンバーの中で「法医学分析」の責任者とされる人物も専門的な経歴は不明であり、ベリングキャットのアプローチには重大な欠陥があると主張した[225]。

また、ベリングキャットはfotoforensics.comを利用してELA分析を行ったが、fotoforensicsのサイト運営者であるニール・クラウェッツはベリングキャットの分析を批判し、「間違った画像分析手法の典型だ」[226]「私は彼らの誤った分析とは何の関係も無い」[227]とツイートした。

ベリングキャットの分析を根拠にロシアの改竄行為が発覚したとの記事を掲載したシュピーゲル紙は、自分達の報道が報道の原則に忠実ではなく間違いがあったことを認める記事を掲載した[228]。

ベリングキャットは批判された後にGoogle Earthに加えてDigitalGlobeの画像を用いて再び画像分析を行い、車両の位置や草木の伸び具合を根拠にロシアの画像改竄を証明したと主張した[229]。

ベリングキャットはまた、2015年6月にニューズウィークで[230]、2016年1月にドイチェ・ヴェレにおいても、ブークがロシアから来たのものであると主張し[231]、2016年5月には新たな調査によって、攻撃に使用されたブークの車両シリアル番号は332だと主張した[232]。

オランダ安全委員会の報告書

暫定報告

2014年9月9日、オランダ安全委員会 (DSB) が暫定報告書を公表した[3][233]。この暫定報告書は、ブラックボックスの録音終了 (13.20:03 UTC) 以前に、航空機や操縦士から技術的または運用上の障害の証拠が一切ないと結論付けた。また「航空機の前方胴体とコックピット部分に見られる損傷は、航空機外部から大量の高エネルギー物体の影響があったことを示しているようだ」とも書かれていた。調査官によると、この損傷は恐らく構造的完全性の喪失をもたらし、これが最初に航空機の前方部分の飛行中の崩壊を引き起こし、続いて航空機の部品が各地に散らばる残りの部分の崩壊につながったという。

DSB委員長のティッベ・ヨーストラは、調査はこれまでのところ「MH17墜落の外部原因について」指摘したが、正確な原因を特定するには更なる調査を要すると説明し、墜落から1年以内に最終報告書を公表することを目指すと語った[234]。

最終報告

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オランダ安全委員会により制作されたミサイル爆発の再構成映像

オランダ安全委員会 (DSB) は、2015年10月13日にこの墜落事故に関する最終報告書を出した。同報告書は、この墜落が9N314M弾頭を搭載したロシア製のブーク9K38シリーズ地対空ミサイルによって引き起こされたと結論づけた[235]。

弾頭は、コックピットの外側左上で爆発した。衝撃でコックピット内にいた3人が死亡し、旅客機に構造体破損が起こって飛行中に分裂してしまい、結果として50平方kmの地域に残骸が散らばり、乗員298名全員の命が失われた[2]。調査団は証拠に基づき、墜落の原因として隕石の衝突、航空機にある技術的欠陥、爆弾、空対空攻撃を除外した。DSBはミサイルの軌道を計算し、トレスの南東320平方kmの領域内で発射されたことが判明した(発射場特定はDSBの義務ではなかった)[2]:147。

この調査結果は、ブークミサイルを発射したのが誰なのかを明かさなかったが、アルジャジーラによると墜落当時、DSBにより特定された地域は分離主義者によって支配されていた[236]。

技術調査に加えて、飛行ルートの選択もDSBによって調査された[237]。一部の航空会社はMH17事件前からウクライナ東部の空域を避けていたが、32カ国62事業者を含むそれ以外はこのルートを継続使用していた[2]:224[238]。DSBは、ウクライナ当局が現在進行中の紛争および軍用機が以前撃墜されたことから事件前にウクライナ東部上空を封鎖すべきだったと指摘した[2]:10[239]。武力紛争に巻き込まれたこうした国の領空を評価する際には一層注意を払い、紛争地域を越えるルートを選択する際には、事業者がリスクをより徹底的に評価することが推奨された[239][240]。

犯罪捜査

MH17の墜落に関する犯罪捜査はオランダ法務省の検察庁主導で、数十人の検察官と200人の捜査官というオランダ史上最大規模になった[241]。調査官は目撃者に聞き取りを行い、法医学サンプル、衛星データ、傍受された通信、およびネット上の情報を調べた[242]。オランダと共に調査を行った合同調査団 (JIT) の4カ国は、ベルギー、ウクライナ、オーストラリア、マレーシアで、2014年11月に参加した[243][244]。調査の早い段階で、JITは墜落原因として事故や内部テロ攻撃や別の航空機からの空対空攻撃を排除した[19]。

2014年12月、オランダの国連代表は安保理に宛てた書簡で「オランダ政府はMH17の墜落に対する法的責任に関して、いかなる憶測や非難も意図的に控えている」と書いた[245]。また同月、米国国務省の欧州・ユーラシア問題担当補佐官は、アメリカはオランダの調査官やICAOに機密情報を含むすべての情報を提供したと述べた[246]。

2015年3月30日、JITはブークミサイルを見た可能性があるドネツィクやルハーンシク地域の目撃者を呼びかけるロシア語ビデオを公開した。そのビデオには、反政府勢力の戦闘員間で行われたブークに関する会話の傍受された電話の未公開録音が含まれていた[247][248]。

公開の翌週、JITは300 以上の返答を受け取り、数十人におよぶ「重大な証人」の情報を得た[249][250]。2016年、旅客機墜落の数時間前に撮影された地域の衛星写真でブークミサイルと色が一致する運搬車の存在が確認され、デジタルグローブ社のアーカイブでこの写真を見つけたストラトフォーによって「他の証拠と関連がある」と説明された[219][251]。2015年4月9日、オランダ当局は撃墜に関する569件の文書を公開した。個人情報と公式の事情聴収は検閲済みで、また147の文書は非公開だった[252]。

合同調査団 (JIT) の結論

2016年9月28日にJITは記者会見を開き、スニジネの南6kmにある町ペルヴォマイスキー (Первомайський) 近郊の反政府勢力の支配する草原から発射された9K38ブークミサイルで航空機が撃墜されたと結論付けた[122]。また、使用されたブークミサイルシステムは、墜落当日にロシアからウクライナに運び込まれ、墜落後にロシアに戻ったことが判明した[19][20]。

JITはブーク発射台の動向に関与した目撃者および容疑者を100人特定しており、まだ有罪と評定できる明確な指揮系統を掴んでいないが捜査は目下進行中であると述べた。オランダの検事総長は「証拠は法廷の前に立つ必要があり」それで最終判決を下すことになると語った[19]。この捜査でJITは50億ページに及ぶウェブページを記録して評価し、証言者200人に聞き取りを行い、50万枚の写真とビデオを収集し、15万件の電話傍受を分析した[122][253]。JITのフレッド検察長によると、犯罪捜査はブーク発射台を見た人の生証言、一次レーダー情報、オリジナル写真やビデオを含む「巨大な証拠の集合体」に基づいている[254]。

第53対空ミサイル旅団が使用した種類のブーク

2018年5月24日、JITは航空機を撃墜したブークがクルスクにあるロシア第53対空ミサイル旅団から来たと結論付けた[255]。オランダ警察の国家捜査局長は2014年7月17日に、ブーク操縦者の身元、指示、関与したブークの運用責任者に関する情報共有を目撃者や内部関係者に求めた[255]。オランダ検察庁によると「ロシア連邦の当局者は、[中略]第53旅団のブークがウクライナ東部に配備され、このブークがMH17便を撃墜したことをJITに報告していない」という[255]。これに応じてロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアはJITの結論を分析するが、調査する当事者になった場合にのみ(情報共有を)認めるつもりだと述べた[256]。ロシア国防省は、ウクライナとの国境を越えたロシアのブークは存在しないと主張した[256]。

2018年5月25日、オランダとオーストラリアの政府は共同声明を発表し、この墜落事故ではロシアに責任の「一端」があるとした[24]。

両国の外相は旅客機撃墜についてロシアが法的責任をに負うことになるだろうと述べた。
オランダのステフ・ブロック(オランダ語版、英語版)外相は「政府は現在、ロシアの説明責任を正式に負わせることで次の一歩を踏み出している」「オランダとオーストラリアは本日、MH17墜落によって引き起こされた途方もない苦しみと損害に正義を尽くす解決策を見つけることを目的とした協議に入るようロシアに要請した。次にありうる段階は、その判決を求めて国際裁判所や組織に提示することだ」と述べた[257]。

イギリス[258]、ドイツ[259]、米国[260]などの国々ならびに欧州連合(EU)[261]や北大西洋条約機構(NATO)[262]といった国際機関が、JITの結論とオランダ・オーストラリアの共同声明に支持を表明し、ロシアに撃墜の責任を負うよう求めた[263]。

この日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムに出席したロシアのプーチン大統領は、JITの結論に対して「ロシアは調査に参加することを許されておらず、したがってその結論を信用することはできない」とし、撃墜したのはロシアのミサイルかとの質問には「もちろん違う」と述べた[264]。

提案された国際裁判

2015年6月、オランダは他のJIT加盟国の支持を受け、犯罪捜査の終了後に事件を取り上げてマレーシア旅客機を墜落させた疑いのある人々を起訴する国際裁判所を立ち上げようとした。オランダは、国際裁判がロシアの協力を引き出せるのではという希望を持っていた[265]。2015年6月下旬、ロシア政府は調査委員会5カ国による航空機撃墜の責任者を裁く国際裁判所を結成する要請を「その時期ではなく逆効果」だとして却下した[266]。2015年7月8日、マレーシアは国際連合安全保障理事会において、JIT加盟5カ国を代表して国際法廷設置の決議案を提出した[267]。ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は「私はこの決議に将来が見えない。残念ながら、これは有罪の当事者を見つける努力を損なうだけの大袈裟な政治ショーを組織しようとしているように思える」と返答した[113]。後にロシアは、国際捜査の「透明性」欠如を批判して、この捜査責任者を裁判にかけることを要求するライバル決議を提示したが、裁判所を要求しなかった[268]。7月29日に行われた決議では、マレーシアが代表提案した決議案は国連安保理15か国中11か国の賛成を得たが、ロシアが拒否権を行使した[117]。

刑事訴追

2017年7月5日、オランダのバート・コエンダース(オランダ語版、英語版)外務大臣は声明の中で、JIT諸国はオランダの法律に基づきMH17便の墜落で特定された容疑者を起訴すると発表した[269]。オランダとウクライナとの間で条約が締結され、国籍に関係なく犠牲者298名全員についてオランダでの起訴が可能となった(この条約は2017年7月7日に署名、2018年8月28日に発効)[270][271]。2018年3月21日、オランダ議会で法案が可決され、事件に関与した者がオランダの法律に基づきオランダで起訴されることが可能となった[272][273]。

2019年6月19日、オランダ検察庁は航空機の撃墜に関連して、イーゴリ・ギルキン、セルゲイ・デュビンスキー、オレグ・プラトフ(この3人はロシア人)、レオニード・ハルチェンコ(ウクライナ人)の4人を殺人罪で起訴し、国際逮捕状が各被告人に発行された[274]。2020年1月末、被告人のうちの一人が裁判に出廷する意向を示したと報じられた[275]。しかし2020年3月9日に始まった裁判には、被告人は誰も出廷しなかった[276]。ギルキンは英国人記者とのインタビューで、裁判の管轄に問題があったとその欠席理由を述べると共に、自分は撃墜に関与していないと語った。また彼は「敵意剥き出しの空域に旅客機を送りだすのは低能者か犯罪者だけだ」との理由から、人命損失の責任はウクライナ政府にあると考えている、と主張した[277]。

2019年7月、ウクライナ保安庁 (SBU) はMH17便への攻撃中にドネツク人民共和国が支配していたスニジネの防空隊長ウラジーミル・ツェマクを逮捕した。ベリングキャットによれば、ツェマクはMH17便撃墜の重要な目撃者で、「2014年7月17日に使用されたブーク発射台の隠匿に関与していたと認められる」ものがビデオに写っていると主張した[278]。2019年9月7日、以前に合意されたロシアとウクライナとの捕虜交換でツェマクは釈放された[279][280][281]。マルク・ルッテ首相ほかオランダの法務大臣、外務大臣や合同調査団 (JIT) は、ロシアからのウクライナへの圧力で「重要参考人」のツェマクが交換に含まれていることを悔やんでいるとコメントした[280][281][282][283][284]。犠牲者遺族の団体「Stichting Vliegramp MH17」は、ツェマクの釈放を「受け入れ難い」と述べ、オランダ検察庁はロシア国籍でないツェマクをロシアからオランダに引き渡すよう要請した[283]。

2019年11月14日、JITは新たな目撃証言を公表し、同時に反政府側指導者の録音された会話も多数公表した。JITは特に「指揮構造とロシア政府当局者が果たした役割」に関心を持っていた[285][286]。特にDPR軍から得られた多くの目撃証言は、ロシアからの報復を案じて匿名で提示された[287]。

2020年3月9日、初公判がオランダで始まった。先述のとおり同国検察は撃墜に関与したとして元ロシア大佐ら4人を殺人罪で起訴したが、ロシア政府は被告らを引き渡さない構えで、9日は欠席した[288]。

2020年7月10日、オランダ政府はMH17便の「墜落におけるその役割」を理由にロシアを欧州人権裁判所にかけることを決定したと宣言した。そうすることが、既に被害者遺族によって裁判所に持ち込まれた個々の事件に対する「最大限の支援」になると述べた[289][290]。

2022年3月14日、オーストラリア政府とオランダ政府は、ロシアに対し共同でICAOにおける投票権停止や賠償を求める訴訟を開始すると発表した(これは先述したオランダにおける元ロシア大佐ら4人を殺人罪に問う訴訟とは別)[291]。

イギリスのISC報告書

2017年12月20日、英国議会の情報安全保障委員会 (ISC) が年次報告書を発表した。そこには「英国および同盟国の利益に反するロシアの目的と活動 (Russian objectives and activity against UK and allied interests)」と題する短い章があり、引用すると「ロシアは大規模に情報戦を実施している。[中略]初期の例では、ロシアはMH-17の撃墜に責任がないことを世界に説得するための非常に集中的な多方面のプロパガンダ活動があった(内容は明らかにデタラメで、我々はロシア軍がミサイル発射台を供給してその後回収したことを合理的な疑いの余地もなく知っている)」とMI6は主張している[292]。

司令人物の特定

ベリングキャットは、ロシアの調査系サイトジ・インサイダーおよび米国の新聞社マクラッチー(英語版)の協力を得て、JITによる電話傍受に頻出する人物「ウラジーミル・イワノビッチ」の特定に乗り出した。この人物はドンバス地域分離主義勢力の監督および同地域へのの武器搬入に深くかかわっているとみられていた。2020年4月28日、調査結果を公表し、この人物がロシア連邦保安庁の高官アンドレイ・イワノビッチ・ブラカ(ロシア語版)大将であると特定した[293]。BBCロシアも同様の結論に達している。ブラカは国境警備軍の副責任者の地位にあり、撃墜事件のあった2014年には4月と6月に計3回ロストフ・ナ・ドヌを訪れていた[294]。

民事訴訟

2015年7月、分離独立主義の指導者イーゴリ・ギルキンが「撃墜を指揮」し、ロシア政府がこの行為に加担したとして、犠牲者遺族18人によりアメリカの裁判所に総額9億ドルを求める訴えが提出された。これは1991年の拷問被害者保護法?(Torture Victim Protection Act of 1991)?に基づく運用であった[295]。

2016年5月には犠牲者遺族33人が欧州人権裁判所においてロシアおよびウラジーミル・プーチン大統領に対し請求権を申し立て、ロシアの行動は乗客の生存権を侵害したと主張した[296][297]。JITがロシアの関与を結論付けた後、2018年5月にオランダの犠牲者遺族団270人がこの請求に加わった[298]。2020年7月、オランダ政府は、ロシアを欧州人権裁判所にかけることでこの請求を支持した[289][290]。2016年7月、マレーシアでは乗客遺族15人によってマレーシア航空が二つの訴状で提訴され、いずれもモントリオール条約を根拠に同航空会社はそのルートを選択すべきではなかったと訴えるものだった[299]。その1カ月前に、航空会社による過失と契約違反を訴えた乗組員6人の遺族 によって別の訴訟が起こされていた[300]。

反応

詳細は「en:International reactions to the Malaysia Airlines Flight 17 shootdown」を参照

各国

ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領はこの墜落事故をテロ行為の結果と呼び、国際的な調査を要請した[301]。

マレーシアの外務副大臣ハムザ・ザイヌディンは、この事件に関して外務省はロシア政府およびウクライナ政府と協力すると述べた[302]。マレーシア首相のナジブ・ラザクは、マレーシアはまだ墜落の原因を確認できていないが、もし旅客機が撃墜されたのなら加害者は速やかに処罰されるべきだと発言した[303]。マレーシア政府は7月18日から7月21日まで国旗を半旗に掲げた[304]。

国家哀悼日として7月23日、ホールン市役所で半旗に掲げられたオランダ国旗

マレーシア航空17便に150名を超えるオランダ人が搭乗していたことが報道され[305]、オランダのマルク・ルッテ首相とウィレム=アレクサンダー国王がこの墜落事故にショックを表明した[306]。外務大臣のフランス・ティマーマンス(英語版)がウクライナへ派遣されたオランダの調査団に加わった[307]。オランダ政府庁舎では7月18日に旗が半旗に掲げられた[308]。7月21日にオランダは航空機墜落に関する戦争犯罪の捜査を開始し、この捜査の一環として同国検察官がウクライナに向かった。ルッテは、捜査を支援しないならロシアに対して厳しい行動を起こすと制裁の構えを見せ[309]、同日ティマーマンス外相は、国連安保理において、ウクライナで救助隊員が仕事にとりかかれずにいる状況、人の死が政治的なゲームに利用されていることを強く非難した[310]。MH17墜落事故から最初の4日間、オランダ国民に否定的感情と身体的不調の増加が観察された[311]。

オーストラリアのトニー・アボット首相は議会演説で、航空機はロシアの支援を受けた反政府勢力によって発射されたと思われるミサイルによって墜落したと述べた[312]。アボットはこの撃墜とロシアを公に結び付けた最初の世界の指導者の一人だったが、ロシア政府はアボットの発言は受け入れられないとした[313]。アボットは後に回収作業を「乱雑」で「法医学捜査よりも庭のお手入れみたいなもの」と批判した。外務大臣のジュリー・ビショップ(英語版)は、犠牲者の遺体を人質として扱わないよう分離主義勢力に公然と警告した[314]。アボットはまた、2014年10月13日のインタビューで、2014年11月中旬にオーストラリアのブリスベンで開催予定の20か国・地域首脳会合にロシアのプーチン大統領が出席することを見越して「オーストラリア人が殺されました。彼らはロシアの支援を受けた反政府勢力によってロシアが提供した装備で殺されたのです。我々はこのことを非常に不幸に感じています」とも発言した[315]。

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナには自国領土で起こった事件の責任があると発言し、ウクライナ南東部で敵対行為が再開されなければ(この事故は)起こらなかっただろうと述べた[5][316][317]。彼はまた、調査終了前に性急な結論や政治的な声明を控えることが重要であるとも述べた。それから、ロシアは国際民間航空機関主導の国際的調査を支持するとも語った[318]。7月末にロシア連邦下院議員のイリヤ・ポノマリョフは、分離主義者が誤って旅客機を撃墜したとの見解を述べ、「間違った人々」に武器を供給したことにプーチンは気づき始めているとディ・ヴェルト紙のインタビューで語った[319]。デンマーク国際問題研究所は、1983年にソビエト連邦が最初に一切の関与を否定した1983年の大韓航空機撃墜事件に対するロシア側の反応との類似点を指摘した[320]。

アメリカ合衆国のバラク・オバマ大統領は、我が国が原因を特定するのに役立つだろうと述べた[5]。ホワイトハウスの報道官ジョシュ・アーネスト(英語版)は声明の中で、完全な調査ができるようウクライナでの即時停戦を求めた[321]。副大統領のジョー・バイデンは航空機が故意に撃墜されたようだと発言し、墜落事故調査のためアメリカの支援を申し出た[317]。米国国連大使のサマンサ・パワーは戦争を終わらせるようロシアに要請した[14]。イギリス政府は事件を受けて国連安全保障理事会の緊急会合を要請し、緊急内閣府ブリーフィングルーム会議を招集した[322]。アメリカ統合参謀本部議長のマーティン・デンプシーは、この墜落事故を受けてプーチンが反政府勢力の支援から後退するどころか「過激にする決定を下した」と述べた[323]。

オランダのフェイフハイゼンにあるMH17便犠牲者の慰霊碑

墜落からちょうど3年後の2017年7月17日、オランダのフェイフハイゼン(オランダ語版)で犠牲者を追悼する慰霊碑が公開された。スキポール空港のすぐ外にある慰霊碑の除幕式には、2000人以上の犠牲者遺族、ウィレム=アレクサンダー国王夫妻、マルク・ルッテ首相、法務大臣、オランダ上下院の議長が出席した。敷地内には、犠牲者になぞらえた298本の樹木がある[324]。

日本

日本政府は日本時間7月18日、国家安全保障会議の関係閣僚会議を開き、情報の分析や今後の対応を協議した。安倍晋三首相は「国際社会においても原因を究明していく必要がある。日本としてできることがあれば、国際社会とともに行っていきたい」と述べた[325]。

菅義偉内閣官房長官は「撃墜されたとしたら、国際社会は強く批判すべきだ。真相を究明することが国際社会の責任だ。墜落の現場にすべての関係者がアクセスすることが大事だ」と述べた[325]。

2014年7月25日、安倍首相はオーストラリアのアボット首相とメキシコに向かう政府専用機内で電話会談を行い、そこで両首脳は今回のことについて、真相究明のため緊密に連携していくことで合意した[326][327][328]。会談の中でアボット首相は、オーストラリアが参加している墜落の調査状況を説明。安倍首相は「(報道などによると)武装勢力によるアクセス妨害や残骸などの持ち去りが調査を阻害している」と懸念を示し、事故調査には、現地を支配する親ロシア派武装勢力の協力が不可欠との認識で一致した[326]。また安倍首相は、オーストラリアから20人以上の犠牲者が出たことに弔意を示し「真相究明を最大限重視している」と強調し、アボット首相も「真の友情の表れだ」と謝意を示した[327]。

2014年7月28日午前、菅官房長官はカナダのベアード外相と首相官邸で会談を行い、今回の事件でカナダ人乗客が亡くなったことに対して「亡くなられたカナダの犠牲者に哀悼の意を表する」と弔意を表し、真相解明に向けて先進7か国で連携することを確認した[329][330]。

岸田文雄外務大臣は、日本時間の2014年7月29日夕方にオランダのティマーマンス外相と電話で会談し、今回の撃墜事件で多くのオランダ人が亡くなったことについて哀悼の意を示したうえで、「日本は一刻も早い真相究明を重視しており、最大限支援していきたい」と述べ日本としても調査などに協力していく考えを伝えた[331]。また、ウクライナ情勢を巡って、クリミア産の製品の輸入制限を含んだロシアに対する追加の制裁措置を28日発表したことを説明した。これに対しオランダのティマーマンス外相は、「墜落現場周辺の治安が悪く、オランダの調査団が現場に入れない状況」を説明し、「日本からの協力の提案に感謝したい。大変苦しい状況だが、事件を実行した者の責任を追及するため決して手を緩めない決意だ」と述べるとともに、事件の迅速な真相究明やウクライナ情勢の安定に向けて、引き続き緊密に連携していくことについて互いに確認した[331]。

7月30日、岸田外相は15時からおよそ15分間にわたって、ウクライナのキエフを訪問中のオーストラリアのビショップ外相と電話で会談を行い、「ウクライナ情勢の安定に向けて連携する方針」を確認した[332][333]。

国際機関

7月17日、欧州連合(EU)のジョゼ・マヌエル・ドゥラン・バローゾ代表とヘルマン・ファン・ロンパウ代表は、直ちに徹底的な調査を要請する共同声明を発表した[334]。潘基文国際連合事務総長は原因究明に向けた「徹底的かつ透明性が確保された国際調査」を要請し、ウクライナ側の要求に応じて7月18日に国際連合安全保障理事会がマレーシア航空機の墜落事件について討議する緊急協議を行った[335]。国連安保理は緊急会合に先立って、関係当事者に対して国際的な独立調査の受け入れを求め墜落現場への即時立ち入りを許可するように要請する声明を発表した。この声明は撃墜の起きた7月17日中の発表を目指していたが、ロシア側が「内容の適否を最終確認したい」と要求して声明の発表を1日遅らせた[336]。

国連安保理は7月21日に「マレーシア航空17便の撃墜を非難し、墜落現場への全面的な立ち入りを求める決議」を全会一致で採択した[337]。決議案は「298人の命が失われたマレーシア航空17便の撃墜を最も強い表現で非難」した上で[336]、親ロシア派に対し、機体の残骸を破壊したり遺品を持ち去ったりしないよう要求し、欧州安保協力機構などの国際的な調査活動に制限を加えないよう求めたもので、また遺体の収容も「尊厳と敬意」を持って当たるべきだと主張。現場地域における「全ての国と関係者に国際的な調査への協力」を求めた[336]。決議の中では責任の所在には言及せず、ロシアも賛成に回った[337]。なおEU当局者は、航空機のブラックボックスについてウクライナが第一請求権を持っている(もしも分離主義側が持っているならウクライナ政府に渡すべきだ)と述べた[338]。

7月18日、国際民間航空機関 (ICAO) はウクライナ側の要請に応える形で、国際民間航空条約26条に基づきウクライナ国家航空事故調査局を支援する専門家チームを派遣すると発表した[339]。7月21日、国連安全保障理事会は事件の公式犯罪捜査に関連する決議2166を採択した[340]。7月24日、ICAOは加盟に対して、紛争の影響を受けた空域で運行する民間航空機の安全や安全保障への責務を改めて通知した[341]。

MH17便犠牲者のためスキポール空港に仮設された献花台

墜落事故の後、オーストラリア[342] とオランダで追悼式が行われ、オランダでは最初の犠牲者が到着した日を国家哀悼日とした(1962年以来初めてのこと)[343][344]。7月20日、代表団がMH17便に数人搭乗していたエイズ2014会議の開会式は墜落犠牲者への弔辞から始まった[345]。マレーシアでは、首都クアラルンプールに仮設の献花台が作られた[346]。

ロシアメディアの報道

ベリングキャットは、ロシアメディアによる報道が他の大半の国における報道とは異なり[31]、時間の経過とともに大幅に変化していると主張している[32][347]。ベリングキャットによると、これらの変更は通常DSBや調査団によって公開された新しい証拠に対応して行われている[347]。2014年7月18日から24日にかけてレバダセンター(ロシア語版、英語版)(ロシアの独立系調査機関)が実施した世論調査によると、調査対象であるロシア人の80%がMH17の墜落はウクライナ軍によるものと考えていた。ウクライナ東部にいる親ロシア分離主義者の人災だと非難した回答者はわずか3%だった[348][349][350]。研究者は、この見解がテレビ視聴による情報領域 (televisual infosphere) の影響を受けたものだと述べた[351]。事件後の3日間で、ロシアのネット調査会社「トロールファーム」が偽アカウントから11万件超のツイートを投稿していた。主にロシア語で投稿されたツイートは当初、反政府勢力がウクライナの飛行機を撃墜したと言っていたが、急にウクライナが攻撃を実行したと非難することに切り替わった[352]。

対照的に、ロシア革新系野党の新聞ノーヴァヤ・ガゼータは墜落事故直後にオランダ語で「Vergeef ons, Nederland(我々を許してくれ、オランダよ)」という見出しを掲載した[293][353][354]。

当初の反応

7月17日の夕方、ロシアのポータルサイトLifeNews(現・Life.ru(ロシア語版、英語版))は、ドネツィク州トレス付近で現地時間17時半ごろにウクライナ空軍のAn-26輸送機がミサイルにより撃墜されたとする分離主義者からの声明を配信した[355][164]。イタルタス通信とRIAノーボスチもまたAn-26が現地時間16:00頃にトレス近郊の分離主義民兵によって撃墜されたと報道した[163][164]。同時刻にDPRを通じてブーク発射台護送団を担当したレオニード・ハルチェンコは、彼の司令官セルゲイ・デュビンスキーに発射台が「その場にあり」、ウクライナの地上攻撃機「一機を既に撃墜させた」と報告した[287]。

撃墜されたのが民間航空機だと明らかになった直後、分離主義のメディアは一切の責任を否定し、商業輸送の巡航高度に到達しうる対空ミサイルの所持を否定した[10][11][12]。
ウクライナ空軍による撃墜との主張

墜落事故から最初の1年間、ロシア国営メディアはウクライナ空軍のSu-25ジェット機が17便を撃墜したと主張していた[347]。ロシアの将官の証言では、ウクライナ軍のジェット機がMH17の近くにいたことがロシア航空管制からのレーダー情報で示されたという[356]。後からウクライナ空軍の脱走兵が、墜落当時MH17の近くを飛行することについてパイロット達が議論しているのを聞いたと主張した[357]。11月15日、恐らくウクライナのSu-25戦闘機によって後方から撃たれた旅客機の写っている漏洩したスパイ衛星写真をチャンネル1が報道し[358]、他のロシアメディアも追随して転載したが、ヘタな合成写真で航空機の大きさが合っていないとして即座に否定された[359]。後に、その写真は自称航空専門家によって電子メールで送信されたことが明らかとなり、彼は情報の扱いが不適切だったとして謝罪した[360]。雑誌『ザ・ニューヨーカー』による後のインタビューで、チャンネル1の最高経営責任者コンスタンティン・エルンスト(ロシア語版、英語版)は、衛星写真の報道が「単純な誤報」であるとし、意図しなかったヒューマンエラーだと述べた[361]。

この供述は後に、MH17便がウクライナ軍の操縦するブークによって撃墜されたというものに置き換わった[347]。その後のロシア軍による2016年のレーダーデータの提示では、もはやこの地域に軍用機の存在は映っていなかった[347]。

ウクライナのブークによる撃墜との主張

2015年5月、ノーヴァヤ・ガゼータ紙はロシア軍事技術者グループの名義入り報告書を発表し、航空機の機体破片と損傷パターンの分析に基づいて、旅客機が9M38M1ミサイルのブーク発射台によって撃墜されたと結論付けた。その中で、ミサイルがスニジネからではなくザロシチェンスケ(ウクライナ語版、英語版)から発射されたもので、その当時ウクライナの対空部隊がそこにいたと主張した[362]。ウクライナ保安庁は、ノーヴァヤ・ガゼータの説明には不正確さがあると述べ、報告書の一部を偽物と称した[363]。ロシアの軍事専門家は、爆発の瞬間時におけるロケットの空間的指向は報告書が主張したようなスニジネからの発射可能性を排除していない、とTV Rain(ロシア語版、英語版)で論じた。また、報告書は墜落の原因としてブークミサイルを認めており、ロシアメディアで流布された墜落に関する以前の理論(Su-25など)を信用できないとしていることを指摘した[364]。ウクライナ・プラウダ(ウクライナ語版、英語版)紙はウクライナの対空部隊に関する主張に疑問を呈し、撃墜当日にザロシチェンスケは親ロシア勢力の支配下にあったと述べた[365]。

2015年6月、モスクワに本社がある軍需企業アルマズ・アンテイ(ロシア語版、英語版)は、MH17がブークミサイルによって撃墜されたとする見解を示した。技術部長ミハイル・マリセフスキーは、機体の損傷の態様から使用されたミサイルが限定できると述べた。その上で、ミサイルはウクライナの支配する領域から発射されたもので、分離主義勢力の支配領域ではないと主張した[366]。ノーヴァヤ・ガゼータ紙は分析を公表し、アルマズ・アンテイの見解を否定したほか、当時村にはウクライナ軍もブーク発射台も無かったというザロシチェンスケ住民へのインタビューも掲載した[367][368]。

2014年7月21日、ロシアは衛星画像を根拠としてウクライナ軍によるブークミサイルの配備を指摘した。2015年5月31日、ベリングキャットは衛星画像の分析結果を公表し、画像が編集された痕跡を指摘した[369][370]。独紙ビルトはロシアの衛星画像を「偽物」と表現した[371]。

2018年9月17日、ロシア国防省は記者会見を開き、オランダの調査官がミサイルの一部とそのシリアル番号を表示した後に自分達はブークミサイルを生産した研究センターの記録を調査して機密解除した、とミサイル砲兵総局長官のニコライ・パルシン将軍が語った。パルシンは、ロシアの記録ではこれら部品から作られたミサイルが1986年にウクライナ西部の軍事部隊に輸送されたことを示しており、ロシアの認識ではウクライナを離れたことがないと発言した。当局はまた、旅客機を撃墜したとされるミサイルがロシアからウクライナに移動したことが映っているという合同調査団 (JIT) の提示したビデオ証拠は捏造されたものだと主張した[372]。

2018年9月、JITは、回収されたミサイル部品に関して、同年5月にロシアに詳細な情報を要求したにも関わらず返答を得ていないと述べた。JITはロシアが提供する情報を常に慎重に分析しており、一般公開された情報はいくつかの点で不正確であった。というのも、ロシアはどうやってMH17が撃墜されたかについて、時間経過と共に異なる説明をつけていたからである。例えば、ウクライナの戦闘機が空対空ミサイルをMH17に発射した証拠(レーダー画像)を持っているとの主張も行っていた[373][374]。

ウクライナ国家安全保障・国防会議の書記オレクサンドル・トゥルチノフは2018年9月、ロシアの主張が「犯罪を隠蔽するためロシア政府が捏造したもう一つの失敗した虚偽報告であることが、公式調査および独立した専門機関によって証明された」と述べた[375]。
陰謀論

7月18日、ドンバス人民兵の司令官イーゴリ・ギルキンが「かなりの数の遺体が新鮮ではなかった」と語ったことが報じられた。彼は続けて「ウクライナ当局はどんなごまかしもやってのける」と述べ、残骸の中に大量に血清と薬が見つかったと主張した[376]。ギルキンはまた、乗客の一部が墜落の数日前に死亡していたとも述べた[377]。

当初、ロシア政府が支援するテレビ局RTは[378]、本事件がウクライナの「西側支持者」が組織した陰謀であり、ウラジーミル・プーチン大統領暗殺の企みに失敗してウクライナによって撃墜された可能性があると報じていたが、プーチンの飛行ルートはウクライナの北側数百kmだったので、これはすぐに否定された[379][380]。

ロシア政府支持メディアによって広められた他の陰謀説には、ウクライナ側が誤って旅客機を撃墜したという主張が含まれており、2001年のシベリア航空機撃墜事件と酷似した手法(2014年12月の報道)であった[381]。具体的には、ウクライナの航空管制が戦争地域の上空を飛ぶためにフライトの行き先を意図的に変更したとか、ウクライナ政府が親ロシアの反政府勢力の信用を落とすために攻撃を組織したとの説があった[382]。ロシアのマスメディアで流布された異説の数は、DSBとJITの調査が分離主義者だと指摘するにつれて増えていった[383]。

過去5年間RTの特派員として働いていたサラ・ファースは、墜落事故の局報道を「嘘」と表現して抗議し、2014年7月18日に辞職した[384][385]。同社はファースが他企業からのオファーを受けて退職したと述べた[386]。

2017年5月、MH17墜落事故に関する公開討論において、墜落事故の「目撃者」として一人のウクライナ人男性が証言した。11月、この件に関して、オランダの新聞NRCハンデルスブラット(オランダ語版、英語版)は、キリスト教民主アピール党の政治家ピーター・オムツィクト(オランダ語版、英語版)が公開討論に先立ってその人物と接触し、話す内容を指示していたと報じた[387]。その男性はウクライナからの亡命希望者で、墜落を目撃していないにも関わらず、事件が発生した時刻に他の航空機を目撃したと述べ、ウクライナによる撃墜を示唆したという[388]。

2018年、ロシア国防省はウクライナの兵士が旅客機を撃墜したと言及する音声記録を保有していると主張した[389]。 』

9K37(※ ブーク)

9K37(※ ブーク)
https://ja.wikipedia.org/wiki/9K37

『9K37 ブーク(ロシア語: 9К37 «Бук» ヂェーヴィャチ・カー・トリーッツァチ・スィェーミ・ブーク)は、ソビエト連邦で開発された中・低高度防空ミサイル・システムである。

評価の高かった2K12 クープの後継種として計画されたもので、開発はNIIPとヴィーンペルが担当した。愛称はロシア語で「ブナの木」の意味。NATOコードネームでは、SA-11 ガドフライ(Gadfly:牛虻)と呼ばれる。このシステムの輸出型はガーンク(«Ганг» ガーンク、ガンジス川の意)として知られている。 』

『概要

ブーク防空システム(Buk-M1-2)。2010年の軍事展示会での模様。左から、指揮統制車9C470M1-2、輸送車兼用起立式レーダ装備発射機(TELAR)9A310M1-2、輸送起立発射機(TEL)9A39M1-2。これらが相互にリンクし、探索レーダーが敵を探索し、射撃統制レーダーが敵に照準を合わせ、指揮車が照準や発射などを管理し、発射機が実際にミサイルを打ち上げるという防空システムを形成している

本システムは、9M38 ミサイルと、9A310M1自走発射機によって構成されている。

開発

ミサイルは中高度・中射程のセミアクティブ・レーダー誘導方式を採用しており、固体燃料ロケットエンジンを搭載している。

前任の2K12よりTELへの搭載数・射距離・高度・速度・誘導精度・弾頭重量のすべての面において強化されている。また、2K12では1目標しか迎撃できなかったが、9K37では同時に6目標を迎撃可能になった。9K37はジェット機やヘリコプターのような機動力に富む航空機や巡航ミサイルを迎撃するために設計された。

レーダー

9K37は9S18 チューブアームT / 9S18M1 スノードリフト(ロシア語:СОЦ 9C18 «Купол»)監視レーダーと9S470 / 9S470M1 ファイアードームH/I-band追跡迎撃レーダーを組み合わせて使用する。9S18M1監視レーダーは目標の高度・方位・目標からの距離などの情報を収集し、最大85kmの探知距離を持っている、100mの高度で低空飛行をする目標を35kmの範囲内で探知でき、それよりさらに低空飛行をする目標をも10-20kmの範囲内で探知できる。

9S470M1は単パルス式レーダーで、32km範囲以内のミサイル、高度15,000-22,000メートル以内の航空機を追跡でき、最大3基のミサイルを目標まで誘導する能力を持つ。また、9K37システムは結果的に2K12よりかなり強化されたECCM能力(対ECM / ジャミング能力)を持っている。そのほかに、レーザーを利用した光学追跡システムを追加装備することもできるが、標準ではない。

艦船発射型であるSA-N-7は300kmの探知距離を持つMR-750 トップスティーア D/E-band監視レーダーと追跡距離30kmを持つ3R90 フロストドーム H/I-band追跡迎撃レーダーを組み合わせて使用する。

派生型

3K90 M-22 ウラガーン(ロシア語: «Ураган»
「疾風」の意)、NATOコードネーム:SA-N-7、9K37の艦船発射型。輸出型はシュチーリ(ロシア語: «Штиль»:「凪」の意)として知られている。

9K37M1-2 ブークM1-2、NATOコードネーム
SA-17 グリズリー、SA-N-12、9K37の強化型。

使用国

青がBUKの現保有国。赤が旧保有国。

Buk-M1-2。アルメニア陸軍。
9K37 Buk。アゼルバイジャン。

現役

アルジェリアの旗 アルジェリア[1] 48セットのBuk-M2。
アルメニアの旗 アルメニア[2]
アゼルバイジャンの旗 アゼルバイジャン[3]
ベラルーシの旗 ベラルーシ[4] – 2016年に12セットが配備。

ウクライナの9K37 Buk。キエフ独立記念日パレード(英語版) (2008年)

キプロスの旗 キプロス [5]
エジプトの旗 エジプト – Buk-M1 と Buk-M2 派生型[6]
ジョージア (国)の旗 ジョージア[7]
インドの旗 インド[8]
カザフスタンの旗 カザフスタン – 1セットのBuk-M2Eを2018年に発注し、2021年に到着[9]
イランの旗 イラン
朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国[10]
パキスタンの旗 パキスタン[11][12][13]
中華人民共和国の旗 中国[14] – 艦載用にVLS化された派生型HQ-16。これは中国とロシアの合同プロジェクトで、海軍用9K37M1-2'Shtil' (SA-N-12)の改良型

ロシアの旗 ロシア – 440セット以上の9К37と9К317が2016年時点で存在 (内訳は陸軍350、空軍80)[15][16][17][18]。 9К37は新型の9К317 Buk M2に置き換える計画で、2020年時点では70%以上が完了[19][20]。2016年に1個大隊のBuk-M3が配備[要出典]。66セットのBuk-M-1-2と36セットのM2と36セットのM3が2012年~2017年に配備[21]。2017年12月に3個ミサイル旅団が完全にBuk-M3化[要出典]。 2020年の早期に7個旅団分のBuk-M3が発注された[22]。 (参照:List of equipment of the Russian Ground Forces)

シリアの旗 シリア[23] 2011年にロシアから8セットの9К317E Buk-M2Eが到着して陸軍に配備(ストックホルム国際平和研究所の武器移転データベースによる)。さらに10/8[24] Buk-M2Eが防空軍に[25]。さらに20セットのBuk-M1-2[26]。

ウクライナの旗 ウクライナ[27] – 72セットの9K37M1が2016年に存在[28]。手持ちの標準型Buk M1-2 standard planned.[29]
ベネズエラの旗 ベネズエラ (20セット発注).[30]

旧運用者

フィンランドの旗 フィンランド – 1996年からフィンランドはこのミサイルをロシアから(債務と引き替えに)受領して運用していた[31]。電子戦に対する懸念から、フィンランドはこのミサイルをNASAMS 2に置き換えることにした[32][33][34]。フィンランドは依然として配備してはいるが、大部分は貯蔵状態にある。戦時に備えて全機が稼働可能な状態を維持しているとしている[35]。

導入検討

アルゼンチンの旗 アルゼンチン: ロシアはBuk-M2Eの導入をアルゼンチン空軍に対して働きかけている[36]。
キャンセル

ブルガリアの旗 ブルガリア
チェコスロバキアの旗 チェコスロバキア
東ドイツの旗 東ドイツ
ハンガリーの旗 ハンガリー 
ポーランドの旗 ポーランド
ルーマニアの旗 ルーマニア

1990年以前、9K37M1E “Gang” はワルシャワ条約機構の構成国への導入が予定されていたが、実現する前に機構が消滅(ソ連崩壊)した[37]。

関連項目

地対空ミサイル
2K12 クープ
マレーシア航空17便撃墜事件 - 2014年7月17日、ウクライナ上空でマレーシア航空のボーイング777型機が9K37によって撃墜された。』

マレーシア機撃墜、元ロシア軍大佐ら3人に終身刑

マレーシア機撃墜、元ロシア軍大佐ら3人に終身刑 オランダの裁判所
https://news.yahoo.co.jp/articles/bb5e81d5c6cb01d96815548e3b0e2337d05622d0

『ウクライナ東部で2014年7月にマレーシア航空機が撃墜された事件の公判で、オランダの裁判所は17日、殺人罪などに問われた親ロシア派勢力元幹部で露軍元大佐のイーゴリ・ギルキン(別名イーゴリ・ストレルコフ)被告ら、ロシア、ウクライナ国籍の4人のうち3人に求刑通り終身刑を言い渡した。1人は無罪とした。ロシア側は引き渡しに応じず、被告不在のまま公判が続いていた。

【写真】現場に散らばる犠牲者の旅の荷物

 アムステルダムからマレーシアのクアラルンプールへ向かっていた旅客機は、ウクライナ東部の親露派勢力が実効支配する地域の上空で撃ち落とされ、乗員乗客全298人が死亡した。犠牲者が最も多かったオランダの検察が5カ国による合同捜査を主導し、衛星画像や傍受した通信記録などから撃墜に使われたロシア軍の地対空ミサイル「ブク」の輸送や配備などにかかわったとして4人を起訴した。

 ギルキン被告は14年に一方的に独立を宣言したウクライナの親露派「ドネツク人民共和国」の「国防相」を務めていた。その他、有罪判決を受けたのは、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の元幹部、セルゲイ・ドゥビンスキー▽ウクライナ国籍で親露派の現場指揮官、レオニード・ハルチェンコの2被告。元GRUのオレグ・プラトフ被告は主導的な役割が認められないとして無罪を言い渡された。ロシア側は事件当初から関与を否定し続けている。【八田浩輔】』

人類の到達した頂点・民主主義も原理は雨乞いと変わらない。

人類の到達した頂点・民主主義も原理は雨乞いと変わらない。
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/30158520.html

 ※ この文脈で行くと、「不正があった!」と主張して、「降りることを、ゴネている」某元大統領とかは、どう位置付けられるんだろう…。

『先日、娘がテロに見舞われて爆死した、ロシア極右愛国主義の思想家のドゥーギン氏が、ロシア軍のヘルソンからの無抵抗撤退について、プーチン氏を激しく非難しています。ヘルソン付近には、ほぼ軍事訓練を受けていない動員兵が、弾除けとして前線に配置され、短期間に死体の山を築いていたのですが、その間に正規軍はドニエプル川を渡って、東岸に到達し、大部分の撤退に成功した模様です。

やむを得ない戦略的な撤退なのですが、国粋主義者というのは、結果で物事を判断して批判しますので、殆ど無抵抗でウクライナにヘルソンを明け渡した事自体が気に食わないらしく、かなり厳しい言葉で非難しています。その非難の中で、面白い表現が使われていたので、抜き出したいと思います。

「専制とは何か? 為政者に全ての権力を与える事である。為政者は危機的な状況において、人々を救ってくれること。その為には、不愉快な事も我慢してきた。しかし、もしも救ってくれないとしたら、『雨を
降らせなかった王のように犠牲になる運命だ』専制には、2つの面がある。成功に際しての、あらゆる権利。失敗に際してのあらゆる責任。そして、撤退の責任は、軍ではなくプーチン大統領にある。プロパガンダで覆い隠す事はできない。ヘルソンの無抵抗撤退は、ソ連邦崩壊以来の敗北である。欧米との全面戦争と認識し、イデオロギー的にも国家への統制を強化して、総動員体制へ移行すべきである」

以上は、ドゥーギン氏が自身のブログに掲載した檄文です。ここで、注目して欲しいのは、二重括弧にしてある一文です。つまり、独裁国家においては、結果に対する全ての栄光と責任が、独裁者個人に属するので、成功すれば英雄として称賛され、失敗すれば全ての責任を取らされるという事です。そして、雨乞いで雨を降らすのに失敗した王という例えは、昔の原始的な集落で、呪術師が干魃に際して、雨乞いの儀式をして、雨が振らなかった場合に、村人から処刑されていた事を暗喩しています。

ここに独裁国家の制度的な欠陥を見る事ができます。頂いた独裁者の采配次第で、国民全体が利益も損出も被り、それは、時には自分の命を国家に差し出す犠牲を要求するという事です。以前の投稿でも述べたように、独裁者の健康・気力が、国家の衰退とリンクするのが独裁国家です。その為、プーチン氏は、上半身裸で馬に跨って乗馬する姿や、黒いレザージャケットを着て大型バイクに跨る姿や、柔道で巨漢を投げ飛ばす姿を国民に見せなくてはならないのです。あれは、ナルシズムで、やっているわけではありません。国民が安心する為に、その姿を見る事を望み、国の治安を安定させる為に、「強い指導者」であり続けなければ、ロシアという国が綻びるので、やっているのです。

これを例えるならば、村にたった一人しか存在しない「カリスマ呪術師」に、命運を託して雨乞いの儀式をする部落と言えます。そして、雨を降らす事ができなければ、呪術師は処刑され、代わりに儀式を続ける者がいないので、天候の気まぐれで、その部落は飢餓で全滅する事になります。

では、人類が到達した最高点の政治制度と言われる民主主義とは、独裁専制と較べて、どれだけマシなのでしょうか。実は、余計なフィルターを外して見ると、独裁国家で失敗すると呪術師が殺されるのに対して、呪術師が地位から降ろされて、別の人間に交代するのが保証されている点が違うだけです。干魃が起きた時に、雨を降らせる能力があると信じられている呪術師が、雨乞いの儀式を行いますが、失敗しても、彼は殺されません。必ず次点の要員が用意されていて、交代し、今度は控えの呪術師が儀式を続行します。それが、制度として保証されているのが民主主義です。

投票で問題に対処するリーダーを決めたとしても、その人物が必ず有効に対処できるとは、限りません。うまくいかないと判断されたら、そのリーダーを降ろして、別のリーダーを頂きます。部落の将来は、特定の人物ではなく、部落で選んだ、「問題が解決できそうな」人物に、次々と交代し、そのうちの誰かが問題を解決すればよしで、できなければ、やはり全滅するのは独裁国家と同じなのです。その解決の方法は、何も祈祷を続けるだけでなく、「この地を捨てて、他所の土地へ移り住もう」でも、「用水路を築いて川から水を引いてこよう」でも、よいのです。部落が干魃で絶滅しそうという状況に対して、問題解決の方法を提示できた人物が、次のリーダーになります。

未来が誰にも確実に予想できず、どんな問題が発生するか判らない以上、特定の誰かの能力に全面依存するではなく、スペアーとも言うべき人材をストックしておいて、問題が解決するまで、トライ・アンド・エラーを繰り返す。民主主義と言っても、客観的に評価すれば、確率で生き残る精度を高めただけのシステムです。干魃が何年も続けば、どんな制度を持つ部落でも、餓死して全滅しますし、何かしらの解決策を絞り出して、犠牲者は出しても部落の一部は生き延びるかも知れません。それは、制度の優劣で決まるというよりは、制度によって、生存確率を可能な限り上げたのが、民主主義です。

その制度の特色上、選挙などに手間と費用がかかりますし、議会で論議をするので、意思決定が遅く、それは、しばしば民主政治の問題として話題になります。しかし、それでも、「オール・オア・ナッシング」の個人の資質に国家の命運を全てベットする独裁政治より、マシであると一般的に考えられています。独裁政治の最大の害悪は、呪術者が屈強なボディーガードで身辺を固めた場合、村人が打ち殺そうとしても、それが不可能になる場合がある事です。つまり、まったく問題の解決にならない祈祷を、その人物個人が諦めるまで、部落民の全てを巻き込んで続ける事が可能です。

そして、ドゥーギン氏がプーチン大統領を批判する例えとして出してきたのが、まさに『雨を
降らせなかった王のように犠牲になる運命だ』という言葉です。つまり、雨乞いに失敗した呪術師は、部落民によって誅殺されるべきだと言っているのです。雨を降らせる云々の言葉が、突然出てくるので、何事かと思いますが、ロシア正教的発想だと、国の指導者の立場は、神に選ばれた人物に下賜された権利であると考えるので、神の恩寵を失った呪術師に用は無いのです。

一見、高度に発達したかのように見える現代の政治制度ですが、原理から言うと、部落の生命を脅かす問題に対して、どう向き合うかという事に対して、確率で生存率を高めたものでしかありません。しかも、比較する対象は、原始時代の集落です。そして、恐らくは、これ以上、政治の原理的なシステムが進化する事はありません。ここで、打ち止めです。それゆえに、予測が不可能な問題に対して、特定の価値観に基づく「思想や宗教」で、政治を行ってはいけないのです。問題の解決は、是々非々の議論を経て、最も良いと思われる対処を選択するしか、やりようがありません。ここに、「神様がこう言っているから、こうするのが正しい」とか「思想的に、これが正しいから、こうするべきだ」という、根拠の無い方向性を持った硬直した考え方が、意思決定に入ってくると、部落が全滅する確率が上がります。』

鮮明になる中露と日米欧対立と分野ごとの立ち位置

鮮明になる中露と日米欧対立と分野ごとの立ち位置
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/28470

『岡崎研究所

10月24日付の英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)で、同紙外交コメンテーターのギデオン・ラックマンは、「習近平の中国とグローバル・ウエスト(GW)の台頭」との論説を掲載し、米国は中国との競争に勝つためにGWを頼りにしている、と論じている。
dikobraziy / iStock / Getty Images Plus

 胡錦涛が中国共産党大会から強制的に連れ出される様は、今後の中国を象徴する。今や習近平は全てを掌握し、党の上位は全て彼の忠誠者が占める。バイデン政権の新国家安保戦略が中国を唯一の必然的地政学的挑戦と位置付けたのは正しい。

 中国との競争に勝つため、米国は「グローバル・ウエスト(GW)」に頼っている。メンバーは裕福な自由民主主義で米国と強い安全保障上の紐帯を持つ、欧州・北米の伝統的同盟国と日豪等のインド太平洋諸国だ。対露制裁に参加するのもGW諸国である。米国は中国との新冷戦に際し、GWの協働も期待している。

 中露の最大の挑戦は軍事的・領土的で、ウクライナと台湾がその最たるものだが、GWは経済的威嚇に対しても一層重要になっている。例えばロシアの対欧州ガス供給停止であり、韓国やリトアニア等中国を怒らせた国への貿易制裁だ。GWは中国が技術をコントロールし世界的に「恐怖監視権威主義」を作り出すことも懸念している。

 GW結集の例は多い。先の北大西洋条約機構(NATO)首脳会合には豪州、日本、ニュージーランド、韓国が初めて招待され、戦略文書では初めて中国を脅威と呼んだ。米英豪の安全保障枠組みAUKUS(オーカス)もそうだ。

 経済安全保障については、今や主要7カ国(G7)が主導的存在だ。G7はアジアからは日本のみがメンバーだが、GWのインド太平洋諸国は公式・非公式にG7の重要なパートナーだ。

 GWでは、友好的民主主義国を中心とした供給網構築で中国の経済的威嚇への脆弱性を下げる必要性が議論されている。イエレン財務長官はこれをフレンド・ショアリングと呼ぶ。インフラや技術での中国の世界的拡大を押し返す動きもある。

 6月のG7サミットは、世界的インフラ投資喚起のために6000億ドル規模の基金創設を打ち出した。しかし、これは10年遅く全く規模が足りない。中国の一帯一路は 2013年に始まり、既に4000兆のインフラ投資を行っている。 

 GWという新たな同盟を維持するのなら、米国はパートナーに対して、中露への最悪の懸念は正当であることを説得する必要がある。中国共産党大会での出来事は、正にこの説得に資するものである。

  • * * * * *  ラックマンらしいタイムリーな「造語」だ。グローバル・ウエスト(GW)というのは、初めて聞いた言葉だが、言い得て妙である。』

『グローバル・サウス(GS)というのが、地域的な概念ではなく、発展段階や国家理念に基づく国々の括りだとすると、ラックマンが言うように、欧米のみならずインド太平洋の有志国を含むGWも、同じように、理念に基づく集まりと言えるだろう。しかし、このように中露が主導するGSと米国が主導するGWという2つの陣営の対峙という形で国際情勢を説明するのが、米国の同盟国である日本にとって良いかどうかについては、別の問題である。
注目すべきはインドとインドネシア

 まず、将来を考えても、世界のトップクラスの国の間では、一方に日米欧の極が、もう一方には中露の極が存在するのは事実だ。しかし、この構図は既成事実で、問題はその間に位置する重要国が個別の懸案に際してどちらの陣営に「比較的」相対的に近い立ち位置を取るかであり、それによって世界の多数派の流れが決まってくるのであって、それこそが重要な問題なのではないだろうか。

 それでは、それらの国は何処かと言えば、インドとインドネシアである。この2カ国は、将来的に日本を含むグローバス・ウエストの国内総生産(GDP)を超える潜在力を持つ限られた国である。この点はラックマンも認識しており、だからこそ、インド太平洋諸国の重要性を指摘しながらもインドに具体的に触れてず、NATO首脳会議やAUKUSでの協調を指摘する一方でクアッドには触れていないのだろう。

 そして、中露に対抗する上で日本がやるべきことは、この多数派形成に不可欠な国々に対して如何にアピールするかに焦点を当てた対応をすることだろう。それこそ、選択を迫るのではなく、より良いオプションを提示すると言うことである。

 なお、最近、ウクライナ戦争を巡る国連総会での投票行動等を元に、これら諸国をまとめて「第三極」と呼ぶ向きもある。が、去就を明らかにしないこれらの国々は「極」というには、余りにばらばらである。それ以上に、世界の動向を決めるうえで重要な影響を持つ国は限られているのであり、その限られた国にアピールする上でも、十把一絡げにせず、テーラーメード的な対応をすべきである。これこそが、柔軟な「ネットワーク」構築の目指すところであり、だからこそ、インドも乗ってこられるのである。

 今後の課題は、残るインドネシアをどのようなネットワークに巻き込んで行くかであり、その具体化が待たれるところである。』

「Rapidus(ラピダス)」設立 日の丸半導体、復活なるか

「Rapidus(ラピダス)」設立 日の丸半導体、復活なるか
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/28544

『玉村 治 (スポーツ科学ジャーナリスト、科学ジャーナリスト)

トヨタ自動車やNTTなど国内企業主要8社が11月、人工知能(AI)、スパコンなどに使う次世代半導体の国産化を目指す新会社を設立した。かつて世界のトップを走った日本の半導体産業は、「失われた30年」と軌を一にするように凋落した。世界の冠たる技術力を誇りながら国際競争力で大きく取り残された日本。日本のモノづくり再興のけん引となるのか。過去の失敗を教訓とできるのか、今後を考える。
(Ismed Syahrul/gettyimages)

今や日本の半導体のシェアが6%となった背景

 新たな半導体製造会社は、ラテン語で「速い」を意味する「Rapidus(ラピダス)」。2社のほかにソニーグループ、NEC、ソフトバンク、キオクシアホールディングスに加え三菱UFJ銀行が参加する。

 現在、半導体の多くは、世界最大の生産拠点である台湾に依存している。有事があれば、多くの企業に甚大なる被害を与える可能性があるという、経済安全保障の観点が設立の背景にある。政府も補助金を出すなど官民一体となって支援し、さらに日米政府が連携を強化しながら、研究開発と量産を図っていく。

 果たして半導体産業の復興はなるのか。今後の日本のモノづくりの試金石となるのか、過去を振り返りながら展望したい。

 1980年代後半、バブルに沸いていた日本のモノづくりは、我が世の春のように世界を席巻した。その代表が、「産業のねじ釘」と言われた半導体だ。正式には集積回路(IC)という。

 半導体産業は、当時、世界トップを走っていた。1988年ごろの、半導体生産額世界トップ10社を見ると、NECを含め日本メーカーが名を連ね、日本のシェアは50%を超えていた。ところが、2020年時点の日本のシェアは10%にも満たない。現在は6%まで落ち込んだ。

 この間、半導体市場は4兆円(1998年)から60兆円(2020年)を超える巨大市場へと急成長した。ネット社会、デジタル社会の到来で、通信分野だけでなく、車をはじめ多くの製品に使われ、半導体需要が大きく膨らんだためだ。半導体不足が、車、電気製品の生産に影響しているように、今後も半導体市場は拡大することは間違いない。』

『しかし、日本は、この成長に大きく取り残された形だ。産業構造の変化に対応できなかった。市場が大きく変貌している様を見ずに、目先の価格競争やサプライチェーンの拡大ばかりに目を向けた。既存の製品のマイナーチェンジ、改良ばかりに目を奪われ、メモリからロジック(CPU)へと切り替わる時代の潮流をとらえることができなかったというわけだ。バブル崩壊の影響を受けて設備投資はほとんどなく、リストラなどが相次いだ。

 こうした凋落の背景を分析すると、いくつかの要因が考えられる。

凋落の教訓 日米半導体協定の足かせ

 一つ目は、米国の影響だ。1980年代半ば以降、車など日本製品が米国内でよく売れ、日米貿易摩擦が取りざたされた。日本車をハンマーで壊す映像が記憶に残る「ジャパン・バッシング」だ。

 半導体分野にも波及し、この摩擦を解消しようと1986年に締結されたのが、日米半導体協定だ。その前年には、プラザ合意で、日本からの輸入に不利な円高ドル安への為替介入が行われたが、日米半導体協定によって、日本は米製品の購入を迫られ、一方で日本製品に高い輸入関税などが課せられた。

 こうした逆境にもめげず日本は、DRAM(半導体メモリ)の製造力増強で対抗したが、90年代に入ると、米国メーカーは知的財産権への侵害を理由に、日本メーカーにジャブ攻撃を与えてきた。日本メーカーは、数千億円ともいわれる特許料を支払ったとされ、ただでさえ、バブル崩壊で屋台骨が揺らいだ日本メーカーには大きな痛手となった。

水平分業の失敗

 二つ目は、水平分業の失敗だ。日本メーカーは、半導体製品の設計から製造までを一貫して自社で行う「垂直統合」に固執した。米国では、コスト削減の観点から80年代後半、設計から製造までを一貫して行う「IDM」(Integrated Device Manufacturer)を脱皮し、工場を持たずICの設計・販売を行う「ファブレス」と、製造に特化する「ファウンドリ」という業態(水平分業)にシフトする構造改革が起きていた。

 一方、日本企業は、「せっかく工場があるのだからもったいない」というスタンスで、垂直統合を維持するため、目まぐるしく変化する半導体に合わせて設備を準備することに追われた。

 これに対し、米国で起こった構造改革の流れに乗ったのが、台湾だ。70年代から国策として半導体産業育成を目指していた台湾に87年、世界初のファウンドリとして創立されたのがTSMC(台湾積体電路製造)だ。

 テキサス・インスツルメンツ副社長だったモリス・チャン(張忠謀)が設立した。当初は、下請け的な存在だったが、アップルやグーグルと手を組むことで、今日世界をリードする世界最大のファウンドリの地位を不動のものにした。』

『部品屋脱出できず

 三つ目は、個々の部品の技術力はすごいが、それを統合して魅力的な商品(最終製品)を世に送り出せなかったことだ。端的な例がアップル社のiPhoneだ。最大iPhoneの6割近くが、日本のメーカーが作った部品なのに、それを集めてiPhoneのようなスマホを作れなかった。

 日本メーカーの状況を端的に示すのが次のエピソードだ。84年に、当時東芝の技術者だった舛岡富士夫氏は、世界で初めてNAND型フラッシュメモリを開発した。しかし、その重要性は正当に評価されず、舛岡氏は、東芝を辞し、東北大学教授に転身した。

 フラッシュメモリは、一瞬にしてデータを消すことができるところからそのように名付けられたが、舛岡氏が発明して以来、デジタルカメラや携帯電話や携帯音楽プレーヤーの主要部品となって今日に至っている。用途を見出したのも海外企業である。

 東芝でフラッシュメモリ開発に携わった元技術者の竹内健氏(現在、東京大学大学院教授)は、著書『世界で勝負する仕事術』の中で、開発したフラッシュメモリを、どう活用していくか、日米の技術者の発想、姿勢の差を以下のような趣旨で指摘している。

 「アップル社は、箱屋(部品を集めて仕上げ。セットベンダー)と呼ばれるが、技術者自らが商品の打ち合わせに参加した。『アップルに技術はない』は誤解。半導体技術を深くまで理解し、どう部品を組み合わせて活用していけば、新しい製品が作れるかを常に考えていた。メーカーに注文を出すくらい開発をリードした」という。

 一方で、「日本の顧客であるソニー、松下電器、富士写真フィルム社は、技術者でなく、部品調達の部門の人しか現れない。どんな製品を作るより、安く買うしか頭になかった」と振り返った。

 デジタルカメラからiPodの登場で、フラッシュメモリの需要は飛躍的に伸びたという。
内向き志向のままだった日の丸企業

 四つ目は、国内にばかり目を向け、海外企業と連携がなかったことだ。韓国も80年代半ばから政府の支援を受けてサムスンなどの財閥が半導体製造に乗り出した。日本と異なるのは、国内市場だけでは生き残れないと早い時期からシリコンバレーなどの海外ベンチャー企業と連携を深めていたことにある。

 その結果、サムスンは91年に世界初の「16M DRAM」を発売、翌年には「64M DRAM」の開発に成功。92年にはDRAM市場では東芝を抜いて、世界一に躍り出た。日本は、バブル崩壊で多くの技術者がリストラされ、トップ企業にいた70数人の技術者が高給待遇の技術顧問としてサムスンに移籍したのは、よく知られている。

 94年から95年にかけて、日本のNEC、東芝などはサムスンとの共同開発・製品情報の供与契約を締結。さらに96年には、通産省(当時)が「日の丸半導体」の優位性維持を狙い、コンソーシアム「半導体先端テクノロジーズ」を創設。日本メーカー以外に、サムスンの加盟を認めた。

 しかし、日本企業の動き、通産省の施策は、皮肉にもその後のサムソンの躍進の礎となった。経済安全保障の観点からは外れた施策といっても過言ではない。

 サムスンは、97年にアジアを襲った通貨危機で、巨大企業へと変貌を遂げる足がかりを得た。韓国政府は、世界通貨基金(IMF)支援の下、多くの財閥系企業を整理するとともに、倒産寸前だったサムスンらに公的資金を投入した。海外に目を向ける改革を行う一方で、サムスンは2000年代に入ると液晶ディスプレイ(LCD)事業や携帯電話事業へ本格的に投資した。

 一方、日本は迷走した。国内大手企業は、半導体事業を切り離して連携し、エルピーダメモリ、ルネサンスエレクトロニクスなどを設立した。それら〝日の丸企業体〟は度重なる経済危機によって、撤退(倒産)やリストラに見舞われた。価格と開発スピードに勝る、韓国、台湾企業との競争に敗れた形で、再び、多くの技術者が転職を余儀なくされ、海を渡った人も少なくなかった。

 サムスンは2009年薄型テレビ、半導体メモリで世界トップとなり、世界最大のIT・家電メーカーとなった。携帯電話も2位のシェアを誇り、白物家電も上位を占め、日本のお株を奪った。

 この間、日本政府は、明確な施策を打ち出せなかった。韓国、台湾だけでなく中国も大規模な補助金、減税を実施、国内産業を育成した。日本企業も、バブル崩壊による、デフレマインドが長引き、新たな投資に資金を回せなかった。』

『日本政府は本気か?

 日本凋落の背景をみると、負けるべくして負けたといえる。後出しじゃんけんで言い訳は可能だが、その時は、状況を読めなかったということだ。こうした反省を踏まえ、復興に生かすのか。

 政府は21年6月に今後のデジタル、半導体の方針をまとめた「半導体戦略」を策定した。半導体はあらゆる産業に関連し、デジタル社会を支える重要基盤であり、安全保障にも直結する死活的に重要な戦略技術と位置づけ、政府として積極的に関わっていくことを強調した。米中技術対立が深刻化し、経済安全保障の観点から半導体の国産化への宣言である。

 政府は5月に成立した経済安全保障推進法を受け、日本の経済・社会の戦略的な「特定重要物資」に半導体を盛り込んだ。その流れの中で、経済産業省は6月、TSMCとソニーグループなどが熊本県に作る工場に、最大4760億円の補助金を出すことを決めた。さらに、政府はキオクシアや米マイクロン・テクノロジーの国内工場への投資計画にも支援を表明している。

 国内生産回帰は、半導体製造能力で、米国、韓国、台湾に大きく差をつけられる中、国内で半導体を自給的に安定確保できる体制作りをする狙いがある。

 7月には、米国と半導体分野で共同研究を進めることで合意した。産業技術総合研究所、理化学研究所、東京大学などと研究開発組織を創設する。米企業はIBMなどが参画する。

 政府は、11月初旬に発表した22年度の2次補正予算案で、この日米連携を後押しする意味で、研究拠点整備に約3500億円を計上した。今回設立されたラピダスは、AI、スパコンなどに使われる、回路の線幅2ナノメートルの最先端の半導体(ロジック半導体と呼ばれる)開発を目指す。

 まだ世界でどこも成功していないもので、再び世界の主導権を握る考えだ。政府は700億円を出資する。

 日本の半導体生産は、世界からみて遅れているが、日本の技術が決して世界に劣っているわけではない。生産体制のアップデート、部品を良質な最終製品につなげる橋渡し、国際連携など失われた30年時代の〝失敗〟をどう生かすか。世界の潮流を見極める洞察力も問われている。

 米国との連携を図りながら、内向きだった過去の轍は踏んではならない。ただ、米国も半導体産業の国内回帰を目指しており、これにつられ、日本の強みである半導体製造装置、材料部品工場が拠点を移すことも否定できない。懸念も山積するが、状況を見極めることも大事だろう。
モノづくり再興になるか

 省エネに貢献した日本の技術は、SDGs、GX(グリーントランスフォーメイション)の技術でも貢献できる、強い分野である。そういう意味で、モノづくりにこだわらない、モノづくりなど発想の転換、パラダイムシフトが必要なのかもしれない。

 先ほども触れたが、ラピダスは、「速い」を意味する。名前の意味するところを解すれば、かつて「速さ」を売りに世界市場にでていたのが、韓国、台湾。その速さを見習うと同時に、世界最速の小型の半導体を開発しようという意欲の表れでもある。

 大事なのは、政府を含め官民一体となって、日本のモノづくりを見直し、再考する絶好の契機をものにし、将来につなげることだろう。』

豪州でテスラ車約1000台リコール 中国では暴走事故

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:豪州でテスラ車約1000台リコール 中国では暴走事故
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5388501.html

『2022年11月15日、オーストラリアの運輸省が「電動アシストステアリング(EPAS)が意図した通りに動作しない可能性があり、事故のリスクが高い」として、2017年から2020年の間に販売されたテスラ車2種、計1012台を対象にリコールを発行した。運輸省によると、最近更新されたソフトウェアキャリブレーション(ソフトウェアの調整)の問題により、EPASが意図した通り動作せず、ステアリングのアシスト(ハンドル操作の補助機能)が弱まる可能性があるとのこと。アシストの機能低下はドライバーや通行人を巻き込む重大な人身事故を引き起こす可能性がある。テスラは、約2年前にもパワステが原因の15000台のリコールを起こしている。映像

The Guardianは「このリコールはオーストラリア史上2番目に大きいもの」とし、リコールの数日前に中国で死亡事故が発生していたという情報を併記した。More than 1,000 Teslas recalled in Australia
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2022年11月5日、中国広東省でテスラ「モデルY」による死亡事故が発生していた。事故を記録した動画には、モデルYが暴走し、自転車や自動車と衝突する様子が記録されている。

事故を起こしたドライバーの親戚と名乗る人物によると、当時ドライバーは停車体勢に入ろうとしたものの、ブレーキペダルが非常に固く、パーキングギアに入れても車が止まらなかったとのこと。ハンドルを切って車道に出たところ、車が突然加速し、そのまま2.6kmにわたり暴走し続け、この事故によりバイクの運転手と自転車に乗っていた高校生が死亡し、3輪バイクの運転手が重傷を負った。参照記事、、、、

中国での暴走は原因が別とは思うが、2.6キロの暴走とは信じられない事故だ。従来の車で欠陥が在れば、まずは車両が止まる事がほとんどだが、自動制御やコンピュータ化した車両は、予期しない勝手な動作や、高圧電源を持つEVでは、炎上、爆発を起こす。ある意味、車がより危険なものになったとも言える。

また、実際筆者が経験した事だが、車検整備は止まった車のエンジンを回してエンジンデータを特殊な計測器で計測し、同時に目視で欠陥を調べるが、これでは、走行して起きる不具合は発見できない。

前回のディーラー車検後、運転中の微細な音の変化が気になったが、ディーラの再検査でも、別な整備工場へ持ち込んでも異常なしだった。

それでも納得できず、仕方なく、近くのガソリンスタンドで車体をリフトアップし、全タイヤを外してチェックを頼んだところ、外す前に、すぐに後輪左だけが走行中も軽くサイドブレーキが効いた状態なのが見つかった。これがディスクローターの異常な減りを起こしていたが、止まった状態ではセンサーはそれを感知していなかった。車検時やタイヤ交換時には車体をリフトアップし、浮いた状態で手で軽くタイヤを回し、4輪均等な速さで回るかどうかのチェックはした方がいい。

過去に、原因不明のまま、後輪左のローターの減りがひどいと交換した事が在り、それ以前から問題は起きていたようだが、整備士の誰も異常まで気づかなかったようだ。

各タイヤのブレーキの効きを調整するボルトの締め方一つで解決する。ディーラーなら安心と思わない方がいい。』

市街戦に特化したイスラエルの対人向け徘徊型爆弾

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:市街戦に特化したイスラエルの対人向け徘徊型爆弾
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5388464.html

『イスラエルのElbit Systemsが市街戦に特化した徘徊型爆弾「LANIUS/ラニアス」のPV:プロモーションビデオを公開、米ディフェンス・メディアは「LANIUSが市街戦に投入されれば敵にとっては悪夢だ」と指摘するほど致命的だ。

Elbit Systemsが発表したLANIUS(最大離陸重量1.25kg)の飛行時間は7分しかないが、レーシングドローンをベースに開発されたためマルチコプタータイプのドローンとしては飛行速度(最大72km/h)が速い部類に属し、複数のセンサーと慣性計測装置を搭載したカメラユニット、SLAMアルゴリズム、NVIDIA Jetson TX2で作動するAI技術で未知の屋内でも効果的に移動でき、遭遇した物体や人間の識別を自動的に処理してオペレーターに提供することが出来るらしい。記録映像

要するにLANIUSはマッピングデータがない未知の屋内を徘徊して敵兵士を探し出し、自爆攻撃を仕掛けるという悪魔のようなドローンで、扉が閉まっている部屋の前で床に着陸して扉が開く瞬間を待ち伏せしたり、オペレーターの介入なしで自律的に攻撃を仕掛けることもでき、PVでは大型の商用ドローンによってLANIUSを空中からばら撒く様子も表現されている。

LANIUSは市街戦や屋内戦を想定した対人向けの徘徊型爆弾だが、敵が立てこもる塹壕や防御陣地の上空でLANIUSをばら撒いても同様の効果が得られるので、将来の拠点制圧は対人向け徘徊型爆弾の大量投入も選択肢に入ってくるのかもしれない。、、

対無人機対策の切り札と目されているマイクロ波兵器についても米空軍は「これだけで無人機の脅威を解消できない」と主張している。参照記事』

露軍、メリトポリを巨大な軍事基地化

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:露軍、メリトポリを巨大な軍事基地化
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5388215.html

『2022年11月16日:ウクライナ南部ザポリージャ州メリトポリMelitopolのフェドロフ市長は2022年11月13日、ロシア軍が同市を占領中に「巨大な軍事基地」に変えたと述べた。
メリトポリ市はロシアによるウクライナ侵攻が始まった初期からロシア軍の支配下にある。 フェドロフ氏はテレグラムへの投稿で、「ロシア軍は占領したメリトポリとメリトポリ地区を巨大な軍事施設に変えた」と述べた。ヘルソンKhersonやザポリージャ州トクマクTokmok,Zaporizhzhya regionsからロシア軍がメリトポリに到着しているという。
FeoE1oRWAAIYWNO

フェドロフ氏は「メリトポリ市の周辺に要塞(ようさい)が建設されている」と述べた。ロシア軍は接収した地元の住宅や学校などで暮らし、住宅地に軍装備品が配備されているという。 フェドロフ氏によれば、民間人はメリトポリの飛行場周辺への接近を禁じられている。

左の道路図で見ると、メリトポリはロシアからヘルソン方面へのハイウェイの途中に在り、ここから南北への幹線道路もある。これが拠点とした要因の一つだろう。 参照記事 過去ブログ:2022年11月クリミアとの州境に露軍が新たな塹壕構築と州都移転 』

台湾も国産兵器エキシビションを開催してマスメディアを集めている

台湾も国産兵器エキシビションを開催してマスメディアを集めている
https://st2019.site/?p=20632

『Emma Helfrich, Tyler Rogoway 記者による2022-11-16記事「Taiwan Shows Off Its Radar-Killing Kamikaze Drones」。

   台湾も国産兵器エキシビションを開催してマスメディアを集めている。
 2つの無人機が注目された。

 ひとつは〔ハーピィにそっくりな〕ロイタリングミュニション「Chien Hsiang」。※おそらく漢字表記は「剣翔」。またロイタリングミュニションのことを台湾語では「游蕩弾薬」というようだ。

 もうひとつは「MQ-9 リーパー」に類似した「Teng Yun」。

 主催したのは、中山科学技術研究所。国立の兵器開発機関である。

 「Chien Hsiang」は敵が出すレーダー派に向ってホーミングし、自爆する特攻機。
 トラックの荷台からつるべ射ちに打ち出す。

 5時間滞空でき、レンジは1000kmに達するという。
 この機体はすでに2019から存在が一般公開されていた。

 ※シャヘド136がハーピィの模倣から出発していることは歴然としていたので、タンカー攻撃に使われたバージョンは、特定のタンカーの船舶レーダーにホーミングするようなセンサーを装置できたのではないかと、私は疑う。

 碇泊中のタンカーなら、この方式でも、よもや外れることはないだろう。』

2020年6月にAAV7の沈没死亡事故を起こした揚陸艦『サマセット』の艦長ジョン・クルツ大佐。このたび栄進…。

2020年6月にAAV7の沈没死亡事故を起こした揚陸艦『サマセット』の艦長ジョン・クルツ大佐。このたび栄進…。
https://st2019.site/?p=20632

『Andrew Dyer 記者による2022-11-16記事「Navy captain censured over deadly AAV sinking tapped for aircraft carrier command」。

    2020年6月にAAV7の沈没死亡事故を起こした揚陸艦『サマセット』の艦長ジョン・クルツ大佐。このたび栄進し、空母の艦長を拝命することになった。

 新年度の2024会計年度は、2023-10-1からスタートするので、転任もその日だろう。』

10-29の無人特攻艇によるセバストポリ襲撃だが、発進地は200km離れた海岸からだろう。

10-29の無人特攻艇によるセバストポリ襲撃だが、発進地は200km離れた海岸からだろう。
https://st2019.site/?p=20632

『ストラテジーペイジ の2022-11-17記事。

 10-29の無人特攻艇によるセバストポリ襲撃だが、発進地は200km離れた海岸からだろう。

 途中の通信はスターリンクを使ったのだろう。※これは怪しい。地域制限があるからだ。他の特別な衛星回線だろう。

 ともあれ露軍は、このスウォームが港のすぐ前にやってくるまで、まったく探知することができなかった。

 10-29奇襲の偉業は、空海同時弾着を狙ったというところにある。スピードの違う無人艇と無人機が同時に敵軍港に到達するようにコーディネートできたのだから、すごい。』

ヴァディム・ボイコ大佐は、ウラジオストックのマカロフ高等海軍学校〔海軍大学校?〕のオフィス内で射殺体となって発見された。

ヴァディム・ボイコ大佐は、ウラジオストックのマカロフ高等海軍学校〔海軍大学校?〕のオフィス内で射殺体となって発見された。
https://st2019.site/?p=20632

『Allison Quinn 記者による2022-11-16記事「Russian Colonel Who Helped Putin’s Mobilization Mysteriously Shot Dead」。

   ヴァディム・ボイコ大佐は、プー之介の動員令に協力していたが、ウラジオストックのマカロフ高等海軍学校〔海軍大学校?〕のオフィス内で射殺体となって発見された。
 地元メディアは自殺だと報じている。こめかみに弾丸を撃ち込んだとするメディアあり。

 かたや「テレグラム」のチャンネルである「Baza」は、銃声が複数聞こえたと言っている。

 下士官が室内に飛び込むとボイコは胸に5発の弾丸を受けて死んでいたと。

 そして、遺書は無かった。室内には5発の空薬莢と、4梃のマカロフ拳銃があった、という。

 1ヵ月前には、プリモリスキー管区の動員を担任していた軍事政治委員が死体で発見されている。死因は心臓停止であった由。』

火曜の夜にオマーン沖でイスラエルのタンカーがイランの「シャヘド136」の特攻攻撃を受けて小破。

火曜の夜にオマーン沖でイスラエルのタンカーがイランの「シャヘド136」の特攻攻撃を受けて小破。
https://st2019.site/?p=20632

『火曜の夜にオマーン沖でイスラエルのタンカーがイランの「シャヘド136」の特攻攻撃を受けて小破。

どうやって誘導したんだ?』