[FT]仮想通貨業界、顧客の不安解消に懸命 FTX破綻で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB14BEI0U2A111C2000000/
※ 今日は、こんなところで…。
『サム・バンクマン・フリード氏が創業した暗号資産(仮想通貨)交換業大手FTXトレーディングの経営破綻の波紋が広がる中、業界各社は顧客の資産が安全であることを強調し、不安を鎮めることに努めている。
ロンドンの地下鉄の駅に掲げられた仮想通貨投資の広告(14日)=ロイター
世界最大の仮想通貨交換業者であるバイナンス、同社より規模の小さい競合相手であるクリプト・ドットコム、OKX、デリビット(Deribit)など各社は、顧客から預かっている資金に見合う十分な資産を保有していることを示す証拠を公表する考えを表明している。米市場に上場しているコインベースも、FTXに絡んだ危機から距離を置こうとしている。
かつて業界の雄とみられていたFTXと、バンクマン・フリード氏が個人所有する投資会社アラメダ・リサーチが11日に突然破綻したことで、デジタル資産の市場に対する信頼感が著しく損なわれた。フィナンシャル・タイムズ(FT)は12日、FTXが11日に連邦破産法の適用を申請する前に保有していた容易に売却できる資産が10億ドル(約1400億円)に満たず、90億ドルの負債を大幅に下回っていたと報じた。
ステーブルコインからも資金流出
情報サイトのコインマーケットキャップによると、米ドルに連動するように設計されたステーブルコインで最大のテザーから過去4日間に約30億ドルが流出し、トレーダーらがデジタル資産の市場から資金を引き揚げようと躍起になっている様子が浮き彫りになった。
一方、ブロックチェーン(分散型台帳)分析会社のナンセンのデータによると、テザーに次いで2番目に大きな仮想通貨であるイーサ(イーサリアム・ブロックチェーン上で発行される仮想通貨)の残高は過去2週間で7%減少し、FTXを含む主要仮想通貨交換業者における残高は2290万イーサとなった。
直近の相場で計算すれば、約20億ドル減少したことになり、一部の投資家が中央集権的な仕組みから資産を引き出し、独自のシステムを用いて保管していることを示唆している。
バイナンスのチャンポン・ジャオ最高経営責任者(CEO)は11日、FTXの破綻を受けて仮想通貨業界が「連鎖的」な危機に陥る恐れがあると警告し、2008年の世界金融危機と似た状況が起きかねないとの認識を示した。
FTX、スポーツ界で名売る
FTXは著名投資家からの資金調達で評価額が320億ドルに達したほか、マイアミ・ヒート・アリーナの命名権を確保するなどスポーツ界における一連のスポンサーシップを通じて知名度を高めつつあった。
米マイアミにあるプロバスケットボールチームの本拠地「FTXアリーナ」(12日)=AP
コインベースは11日、顧客充てメールの中で、顧客の口座と資産について「コインベースのビジネスがいかに異なり、しっかり保護しているか」について説明。また、同社の財務状況に触れたうえで、ブライアン・アームストロングCEOの下で顧客資産を1対1で管理していると明らかにした。FTはこのメールを確認した。コインベースはブログに投稿した内容以上のコメントは控えた。
FTXが異常な取引を調査していると明らかにしたことを受け、取引プラットフォーム運営各社はFTXで残った部分とも距離を置こうとしている。仮想通貨取引解析のエリプティックは12日、FTXから11日夜に4億7700万ドルの仮想通貨が持ち出された形跡があると明らかにした。
仮想通貨交換業大手のクラーケンは13日、法執行当局者との協議の上、FTXグループやその姉妹会社アラメダ・リサーチ、および両社の役員が保有するいくつかの口座を凍結した。同社はツイッターを通じ、「これらの口座は債権者を保護するために凍結された」と指摘するとともに、クラーケンの他の顧客に影響が及ぶことはないと付け加えた。
バハマ当局、調査乗り出す
FTXが本拠を置くカリブ海の島国、バハマ(編集注、租税回避地として知られる)の市場規制当局は「FTXデジタル・マーケッツに対してバハマの顧客による引き出しを優先するよう指示、認可、提案したことはない」と述べた。FTXは10日、顧客の引き出しを停止した後、「バハマ本社の規制や規制当局に従い」バハマ国民が保有する資金の引き出しを認める考えを示していた。
バハマの警察当局は12日、「FTXの世界的な破綻とFTXデジタル・マーケッツの仮清算を踏まえ、金融犯罪捜査局の捜査官チームがバハマ証券委員会と密接に協力し、何らかの犯罪行為があったかどうか調査している」との声明を発表した。
一方、バイナンスは利用者保護のため、FTXが発行したトークン(電子証票)であるFTTの預け入れを停止した。同社は13日、「我々は同トークンの仕組みをつくった人らによる大量のFTTの不審な動きを把握した」と指摘し、仮想通貨を安全に保有する方法について提案した。
By Nikou Asgari and Scott Chipolina
(2022年11月14日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
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