[FT]仮想通貨業界、顧客の不安解消に懸命 FTX破綻で

[FT]仮想通貨業界、顧客の不安解消に懸命 FTX破綻で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB14BEI0U2A111C2000000/

 

※ 今日は、こんなところで…。

『サム・バンクマン・フリード氏が創業した暗号資産(仮想通貨)交換業大手FTXトレーディングの経営破綻の波紋が広がる中、業界各社は顧客の資産が安全であることを強調し、不安を鎮めることに努めている。

ロンドンの地下鉄の駅に掲げられた仮想通貨投資の広告(14日)=ロイター

世界最大の仮想通貨交換業者であるバイナンス、同社より規模の小さい競合相手であるクリプト・ドットコム、OKX、デリビット(Deribit)など各社は、顧客から預かっている資金に見合う十分な資産を保有していることを示す証拠を公表する考えを表明している。米市場に上場しているコインベースも、FTXに絡んだ危機から距離を置こうとしている。

かつて業界の雄とみられていたFTXと、バンクマン・フリード氏が個人所有する投資会社アラメダ・リサーチが11日に突然破綻したことで、デジタル資産の市場に対する信頼感が著しく損なわれた。フィナンシャル・タイムズ(FT)は12日、FTXが11日に連邦破産法の適用を申請する前に保有していた容易に売却できる資産が10億ドル(約1400億円)に満たず、90億ドルの負債を大幅に下回っていたと報じた。

ステーブルコインからも資金流出

情報サイトのコインマーケットキャップによると、米ドルに連動するように設計されたステーブルコインで最大のテザーから過去4日間に約30億ドルが流出し、トレーダーらがデジタル資産の市場から資金を引き揚げようと躍起になっている様子が浮き彫りになった。
一方、ブロックチェーン(分散型台帳)分析会社のナンセンのデータによると、テザーに次いで2番目に大きな仮想通貨であるイーサ(イーサリアム・ブロックチェーン上で発行される仮想通貨)の残高は過去2週間で7%減少し、FTXを含む主要仮想通貨交換業者における残高は2290万イーサとなった。

直近の相場で計算すれば、約20億ドル減少したことになり、一部の投資家が中央集権的な仕組みから資産を引き出し、独自のシステムを用いて保管していることを示唆している。
バイナンスのチャンポン・ジャオ最高経営責任者(CEO)は11日、FTXの破綻を受けて仮想通貨業界が「連鎖的」な危機に陥る恐れがあると警告し、2008年の世界金融危機と似た状況が起きかねないとの認識を示した。

FTX、スポーツ界で名売る

FTXは著名投資家からの資金調達で評価額が320億ドルに達したほか、マイアミ・ヒート・アリーナの命名権を確保するなどスポーツ界における一連のスポンサーシップを通じて知名度を高めつつあった。

米マイアミにあるプロバスケットボールチームの本拠地「FTXアリーナ」(12日)=AP

コインベースは11日、顧客充てメールの中で、顧客の口座と資産について「コインベースのビジネスがいかに異なり、しっかり保護しているか」について説明。また、同社の財務状況に触れたうえで、ブライアン・アームストロングCEOの下で顧客資産を1対1で管理していると明らかにした。FTはこのメールを確認した。コインベースはブログに投稿した内容以上のコメントは控えた。

FTXが異常な取引を調査していると明らかにしたことを受け、取引プラットフォーム運営各社はFTXで残った部分とも距離を置こうとしている。仮想通貨取引解析のエリプティックは12日、FTXから11日夜に4億7700万ドルの仮想通貨が持ち出された形跡があると明らかにした。

仮想通貨交換業大手のクラーケンは13日、法執行当局者との協議の上、FTXグループやその姉妹会社アラメダ・リサーチ、および両社の役員が保有するいくつかの口座を凍結した。同社はツイッターを通じ、「これらの口座は債権者を保護するために凍結された」と指摘するとともに、クラーケンの他の顧客に影響が及ぶことはないと付け加えた。

バハマ当局、調査乗り出す

FTXが本拠を置くカリブ海の島国、バハマ(編集注、租税回避地として知られる)の市場規制当局は「FTXデジタル・マーケッツに対してバハマの顧客による引き出しを優先するよう指示、認可、提案したことはない」と述べた。FTXは10日、顧客の引き出しを停止した後、「バハマ本社の規制や規制当局に従い」バハマ国民が保有する資金の引き出しを認める考えを示していた。

バハマの警察当局は12日、「FTXの世界的な破綻とFTXデジタル・マーケッツの仮清算を踏まえ、金融犯罪捜査局の捜査官チームがバハマ証券委員会と密接に協力し、何らかの犯罪行為があったかどうか調査している」との声明を発表した。

一方、バイナンスは利用者保護のため、FTXが発行したトークン(電子証票)であるFTTの預け入れを停止した。同社は13日、「我々は同トークンの仕組みをつくった人らによる大量のFTTの不審な動きを把握した」と指摘し、仮想通貨を安全に保有する方法について提案した。

By Nikou Asgari and Scott Chipolina

(2022年11月14日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

[FT]巧妙化する北朝鮮のサイバー犯罪 標的は暗号資産The Big Read(上)

[FT]巧妙化する北朝鮮のサイバー犯罪 標的は暗号資産
The Big Read(上)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB152HC0V11C22A1000000/

『ベトナムのゲーム制作会社が開発した「アクシー・インフィニティ」は「ポケモン」のようなアニメのモンスターを育てたり交換したりして戦わせるゲームだ。成績によって「スムース・ラブ・ポーション」と呼ぶゲーム内デジタルトークン(電子証票)を稼ぐことができ、アクティブプレーヤーは一時100万人を超えていた。
北朝鮮のハッカー集団は3月、人気ゲーム「アクシー・インフィニティ」のシステムに侵入し、約6億2000万ドル相当の仮想通貨イーサを盗み出した=ロイター

だが今年3月、このゲームの仮想世界を支えるブロックチェーン(分散型台帳)のネットワークが北朝鮮のハッカー集団に襲われ、約6億2000万ドル相当の暗号資産(仮想通貨)イーサが盗まれた。

暗号資産の窃盗では過去最大規模となった同事件を検証した米連邦捜査局(FBI)は「北朝鮮の収益源になっているサイバー犯罪や暗号資産の窃盗などの不法行為を今後も摘発していく」と決意を示した。

今回の暗号資産強盗の成功を見ると、北朝鮮のサイバー犯罪がますます巧妙化していることが分かる。欧米の治安当局やサイバーセキュリティー企業は北朝鮮を中国、ロシア、イランと並ぶ世界の4大サイバー脅威国とみている。
盗んだ資金でミサイル開発や核実験
ニューバーガー米大統領副補佐官(サイバー・先端技術担当)は7月、北朝鮮が「ミサイル開発資金の3分の1をサイバー犯罪で稼いでいる」と述べた=ロイター

国際的な制裁の履行状況を監視している国連の専門家パネルによると、北朝鮮はサイバー犯罪活動で得た資金を弾道ミサイル開発や核実験に充てている。米国のアン・ニューバーガー大統領副補佐官(サイバー・先端技術担当)は7月、北朝鮮が「ミサイル開発資金の3分の1をサイバー犯罪で稼いでいる」と述べた。

ブロックチェーン分析の米チェイナリシスの試算では、北朝鮮は今年1~9月に分散型の暗号資産交換業者から約10億ドルを窃取した。

暗号資産交換大手の米FTXトレーディングが11日に突如破綻し、不透明、場当たり的な規制、投機的な熱狂といったデジタル資産市場の特徴が浮き彫りになった。北朝鮮の暗号資産窃盗の増加はこの市場への国際規制が十分機能していないことを裏付けている。

アクシー・インフィニティに対するハッキング攻撃の規模の大きさや巧妙さを見ると、北朝鮮による暗号資産への大規模サイバー攻撃に対して米国や同盟国がいかに無力かを露呈しているとアナリストは話す。

略奪された暗号資産のうち、回収できたのはわずか約3000万ドル。それも各国の法執行機関や暗号資産分析会社が手を組み、仮想通貨の匿名性を高めるために複数の所有者データを混ぜ合わせる「クリプト・ミキサー」や分散型交換所を介して盗まれた資金を追跡した結果だ。

アクシー・インフィニティへのサイバー攻撃以降、対策を講じた法執行機関が数少ない中で、米国は8月、こうしたミキシングサービスを提供する大手業者トルネード・キャッシュを制裁対象に指定した。米財務省によると、ハッカーは同社を通じて4億5000万ドル相当を超す仮想通貨を洗浄していた。

米国はその後、トルネード・キャッシュを制裁対象に再指定した。同社が北朝鮮ハッカーのサイバー攻撃に加担し、そこで調達した資金が北朝鮮の大量破壊兵器開発に使われたという。
規制緩く、状況は悪化の一途

この事件は暗号資産への規制が緩いがゆえに、ならず者国家や世界中の犯罪集団には仮想通貨窃取の好機になっていることも浮き彫りにした。専門家は今後10年間、状況は悪化の一途をたどる公算が大きいと警鐘を鳴らす。交換所の分散化がさらに進み、合法か違法かにかかわらずより多くの製品やサービスが暗号資産で購入できるようになるからだ。

英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)金融犯罪・セキュリティー研究センターのリサーチアナリスト、アリソン・オーウェン氏は「暗号資産業界の規制について必要なことが全くできていない」と話す。「各国は適正な措置を講じようとしているが、北朝鮮も制裁をかいくぐって独創的な方法を見つけようとするだろう」

北朝鮮がかつて依存したものの、はるか昔に崩壊したソ連と同様、北朝鮮の世襲体制も外貨獲得手段として様々な犯罪活動に手を染めてきた。

1970年代には、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の祖父で当時最高指導者だった金日成(キム・イルソン)氏が後継者の息子、金正日(キム・ジョンイル)氏に対し、金一族による独裁体制を支えるための資金調達組織を朝鮮労働党内に立ち上げるよう命じた。

この組織は「39号室」と呼ばれ、偽造たばこや偽ドル札の製造・流通から違法薬物、鉱物、武器、希少動物の密売まで幅広い不法活動を通じて今や年間数十億ドルを稼ぎ出す。

政府関係者や外交官、スパイ、様々な工作員が自国の違法な地下経済を支えるために一人残らず動員されてきた。ダミー会社や金融機関、外国ブローカー、犯罪組織集団などが複雑なネットワークを形成し、国力を増強したり制裁を逃れたりするために今も活動を続けているのだ。

北朝鮮は80年代末から90年代初頭に核兵器開発に着手すると同時にサイバー技術を磨き始めたが、この数十年のサイバー能力の向上は驚異的だ。

脱北者らによれば、金正日氏はネットワークで結んだコンピューターの重要性に気づき、鎖国政策を維持しながら国外の政府幹部に指示を出すのに有効利用でき、核兵器や通常兵器開発を支えるプラットフォームにもなると考えた。
サイバー能力高めた金正恩氏
金正恩氏は2011年に権力を握ってから核兵器開発だけでなく、サイバー能力向上にも力を入れてきた=朝鮮中央通信・ロイター

北朝鮮軍が出版した書物には「インターネットが銃だとしたら、サイバー攻撃は原子爆弾のようなものだ」という金正日氏の言葉がある。だが、北朝鮮のサイバー能力に対する国際的な関心が高まったのは金正恩氏が2011年に権力を握ってからだ。

北朝鮮のインターネットは厳しく制限・監視されており、アクセスできるのは人口の1%未満なのに、ハッカー軍団の候補として約7000人の学生がリストアップされている。見込みのある学生はエリート政府機関で養成され、一部は中国など海外でも訓練を重ねる。

「若い時期にサイバー技術で頭角を現した学生を訓練して世界各地へ送り込み、現地の組織や社会、文化に根付かせている」。チェイナリシスの調査担当バイスプレジデント、エリン・プラント氏はこう話した。「アジア太平洋の全域にこうしたハッカー組織が存在し、地域のハイテク業界に浸透している」

14年、金正恩氏に対する架空の暗殺計画を描いたハリウッドのコメディー映画「ザ・インタビュー」の公開を目前に、北朝鮮のハッカー集団が米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントに攻撃を仕掛けた。同社のコンピューターネットワークが遮断され、その後、同社幹部には機密扱いの厄介な社内文書の公開をほのめかす脅迫文が送られた。

16年にはバングラデシュの中央銀行が攻撃を受けた。アクシー・インフィニティへの攻撃に関与した北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」のメンバーが中銀のコンピューターネットワークに侵入しシステム内に1年間とどまった後、中銀が米ニューヨーク連銀に保有する口座から準備金9億5100万ドルを不正に引き出した。

この資金はフィリピンの銀行に送金されたが、送金を指示する文書の1つに制裁対象のイラン船の船名と同じ言葉が含まれていたことを米当局が突き止め、事件が発覚した。結局、ハッカー集団が手に入れたのは略奪した資金の10%以下にとどまった。
DDoS攻撃からランサムウエア攻撃へ
14年12月、金正恩氏に対する架空の暗殺計画を描いたハリウッドのコメディー映画「ザ・インタビュー」の公開を目前に、北朝鮮のハッカー集団は米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントに攻撃を仕掛けた=ロイター

北朝鮮ハッカーは「ランサムウエア」(身代金要求型ウイルス)攻撃で各地に混乱を引き起こすなど、攻撃力の高さも見せつけてきた。17年にはラザルスが「WannaCry(ワナクライ)」を使って世界中の病院、石油会社、銀行などが保有するサーバーに攻撃を仕掛け、少なくとも20万台のコンピューターに感染を広げた。

アクシー・インフィニティのゲーム上の暗号資産取引は「ローニンネットワーク」によってサポートされていた。様々なブロックチェーンを結びつける「クロスチェーンブリッジ」と呼ばれるプラットフォームを使っており、セキュリティーレベルは高いはずだった。だが、ハッカーは重要情報が保管されている9つの「秘密鍵」のうち5つを手に入れて過半数のコンセンサスを得た後、自ら望む取引を承認し、資金を流出させた。

ソウルの情報サービス会社NKプロのサイバーセキュリティー専門家、ニルス・バイゼンジー氏によると、アクシー・インフィニティへのハッキング成功によって北朝鮮ハッカーは「最新のブロックチェーン技術が登場するのとほぼ同時に、新たな脆弱性を見つけて攻撃できる」ことを見せつけた。

「北朝鮮ハッカーはほんの数年前まで、被害者のサーバーに大量のデータを送りつけて通信障害を引き起こす『DDoS』攻撃という比較的単純な手法を多用していた」と同氏は話す。「だが、DDoS攻撃が誰かを野球のバットで殴るという単純な振る舞いだったとすれば、ローニンやホライゾンといったクロスチェーンブリッジに対する攻撃の成功は身につけている本人さえ気付かないポケットの穴から財布を盗めるようになったことを示している」

(下に続く)

By Christian Davies and Scott Chipolina

(2022年11月14日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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北朝鮮、日本通過ミサイルで記念切手 論評では対日威嚇

北朝鮮、日本通過ミサイルで記念切手 論評では対日威嚇
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1632X0W2A111C2000000/

 ※ 「明白に」、威嚇してきたようだな…。

 ※ 韓国の次期大統領選挙(2027年)まで、ユン・ソンニョル政権の親日米路線は、変わることは無いと見定めたんだろう…。

 ※ 2027年に、また「逆転」するまでは、こういう「揺さぶり」が続いていくことになる…。

 ※ そして、そういう「揺さぶり」が、再び左派が政権を奪取することの、「側面支援」となる…。

 ※ むろん、日本政界及びマスコミに対しても、親北朝鮮勢力への「側面支援」となる…。

『【ソウル=甲原潤之介】北朝鮮が日本列島を通過した中距離弾道ミサイルの発射を記念する切手を発行することが16日、わかった。北朝鮮の朝鮮切手社がホームページ上でデザインを公開した。日米韓に対抗する核戦力が備わっていると市民向けに宣伝する狙いがありそうだ。

切手シートには金正恩(キム・ジョンウン)総書記が訓練を指揮する様子やミサイル発射の瞬間を撮影した写真が並ぶ。「国家核戦闘武力の現実性と効果、実戦能力を誇示」とのタイトルが入っている。

説明書きで日本上空を通過した10月4日の弾道ミサイル発射について紹介した。「日本列島を横切り4500キロメートルの太平洋上の目標水域を打撃した」と記されている。

北朝鮮の朝鮮中央通信は11月16日の論評で、日本が米韓の軍事演習に加担していると非難した。9月の日本海上での米韓演習に自衛隊が加わったと批判した。

さらに11月の米韓空軍の大規模訓練で「列島の一部を出撃基地として提供」したと触れた。米軍岩国基地(山口県)所属の最新鋭戦闘機「F35B」が訓練に参加したことを指すとみられる。日本の朝鮮学校の生徒らに対する暴行や暴言などが12件起きたとも指摘した。

日本上空を通過した弾道ミサイルは「敵に送る警告」だったと主張し「この警告が実際の結果につながるかどうかは日本をはじめとする敵対勢力の態度次第だ」と威嚇した。』

ミャンマー情勢「長引く危機に懸念」 ASEAN議長声明

ミャンマー情勢「長引く危機に懸念」 ASEAN議長声明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1634F0W2A111C2000000/

『【ヤンゴン=新田裕一】東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のカンボジアは16日、同国の首都プノンペンで11日に開いた首脳会議の議長声明を発表した。クーデターで国軍が全権を掌握したミャンマー情勢を巡り、民主派活動家の死刑執行や暴力の深刻化など「長引く政治危機に懸念を表明する」と記した。

ASEANは2021年4月、ミャンマー国軍に対して、暴力の停止や全ての関係者間の対話などを求める「5項目の合意」をまとめたが、「(国軍は)履行する意志を欠いており、深く失望した」と明記した。

ASEANや国連のほか「外部パートナーの果たす役割が重要だ」とも記載し、国際社会の積極的な関与を求めた。

5項目合意に関しては11日、議長声明とは別の文書で、期限を明確にした実行計画をつくる方針を示した。実行計画の具体的な内容は加盟国の外相による検討に委ねている。

ロシアが侵攻中のウクライナに関しては、ロシアを名指しして非難することは避けつつ「国家主権や政治的独立、領土保全を尊重することを再確認する」と言及した。「敵対行為を即時停止し、平和的な解決に向けた環境をつくり出すことが重要だ」とも指摘した。

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・ASEAN、ミャンマー問題足踏み 首脳会議、成果示せず
・国連事務総長、ミャンマー情勢は「地域全体の脅威」
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習近平氏、豪首相と6年ぶり会談、関係立て直しに意欲

習近平氏、豪首相と6年ぶり会談、関係立て直しに意欲
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM094HG0Z01C22A1000000/

『【バリ島=羽田野主、シドニー=松本史】20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席している中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とオーストラリアのアルバニージー首相は15日、インドネシア・バリ島で会談した。習指導部は豪州の政権交代に注目し、悪化した関係の立て直しに動きだした。

習氏と豪首相の対面での正式な会談は2016年9月の中国・杭州G20サミット以来、約6年ぶりだ。両国は通商や人権問題などについて協議し、今後も対話を継続する方針で一致した。アルバニージー氏は会談後「建設的な議論だった」と述べた。

【関連記事】G20サミット開幕、ジョコ氏「戦争を終わらせるべき」

中国外務省によると、習氏は会談で「過去数年間、中豪関係は困難にぶつかった。これは我々が見たくないものだった」としたうえで、「お互いの経済・貿易協力の潜在力は巨大だ。豪州が中国企業の投資・経営のために良好なビジネス環境を提供するように望んでいる」と述べた。

中国側は豪州の労働党政権の誕生を重視している。22年5月の豪総選挙を受けて誕生したアルバニージー政権は、前政権と違い、中国との対話を重視する姿勢を示してきたからだ。6月と7月に両国の国防相と外相が相次いで会談し、中国は6年ぶりの首脳会談へ布石を打ってきた。

中国政府系の英字紙チャイナ・デイリーは9日付の論評で「中国は豪州を重視し、対話と協力のパートナーとみなしている」と秋波を送った。そのうえで「両国が歩み寄れば、信頼を再構築し中豪関係の健全な発展に向けた道は開ける」と関係改善に積極的な姿勢をみせた。

実際に習氏はバリ島でバイデン米大統領やフランスのマクロン大統領に続く会談相手としてアルバニージー氏を選んだ。19年の大阪G20サミットではモリソン豪首相(当時)と正式な会談を見送り、「短時間の会話」(モリソン氏)で済ませたのとは対照的だ。

先行しそうなのが経済面での緊張緩和だ。アルバニージー氏は中国がとっている豪産品への輸入規制を解除するよう習氏に求めたとみられる。

豪州にとって中国は全輸出額の36%(21年)を占める最大の貿易相手国だ。中国にとっても豪州は鉄鉱石や液化天然ガス(LNG)など資源・エネルギーの重要な供給国の一つとなっている。中国は緊張緩和に向けたカードとみているフシがある。

中豪関係は20年4月にモリソン氏が新型コロナウイルスの発生源を巡り独立した調査を求めたことに中国が猛反発して悪化の一途をたどった。中国は同年5月以降、大麦やワインといった豪農産品に高関税を課したほか、豪産石炭の輸入を制限した。

中国では豪州が対中包囲網に加わったことへの危機感も強まっている。21年9月に米英豪の新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に基づく豪州への原子力潜水艦の導入が決まった。米軍が豪州に核兵器が搭載可能なB52戦略爆撃機の配備を計画していることも明らかになっている。台湾統一や南シナ海での支配権確立をにらむ習指導部には脅威だ。
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イスラエルで右派政権発足へ 周辺アラブ諸国も警戒

イスラエルで右派政権発足へ 周辺アラブ諸国も警戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR133HG0T11C22A1000000/

『【カイロ=久門武史】イスラエルのネタニヤフ元首相は13日、ヘルツォグ大統領の組閣指示を受け、連立協議を始めた。すでに国会(一院制、定数120)の過半数を固めており、近くネタニヤフ氏を首相とする政権が発足する見通しだ。人口の2割を占めるアラブ系(パレスチナ人)の「追放」を訴える極右の宗教(ユダヤ教)政党が発言力を強めるとみられる。周辺のアラブ諸国も警戒する。

最近の約3年半で5度目となった1日投開票の総選挙は、ネタニヤフ氏が率いる右派リクードが第1党となった。右派・宗教政党を合わせて64議席を確保。このうち第3党に急浮上した極右の「宗教シオニズム」は、対パレスチナ強硬策を唱える。中心人物のイタマル・ベングビール議員の入閣が有力視される。

ベングビール氏はアラブ系住民について「イスラエル国家に忠誠を誓わなければ追放すべきだ」と主張。警察を統括する公共治安相への就任を求めているとされる。実現すれば、イスラエル国内のユダヤ系とアラブ系の対立が強まるだけでなく、隣接するパレスチナ自治区(自治政府)との摩擦も激しくなる可能性がある。

イスラエルとパレスチナの2国家共存で中東和平を目指すバイデン米政権との関係はぎくしゃくするとみられている。

ヘルツォグ氏は1日の総選挙で議席を得た各党から聴取し、ネタニヤフ氏による組閣の可能性が最も高いと判断した。原則として4週間以内の組閣が求められるが、2週間の延長が可能だ。ネタニヤフ氏は13日「すべてのイスラエル人のために仕事をする政府をつくる」と述べ、極右の影響を受けているとの印象の払拭に努めた。

パレスチナ自治政府を支援する周辺のアラブ諸国は警戒する。

イスラエルのメディアによると、総選挙の前にアラブ首長国連邦(UAE)のアブドラ外相がネタニヤフ氏と会い、極右勢力との連携に懸念を伝えた。ネタニヤフ氏は首相在任中の2020年にUAEと国交を結んだ。新政権の樹立後もアラブ諸国との融和を探るとみられ、連立与党内の極右の主張との調整が課題になる。

ネタニヤフ氏は21年6月の8党連立政権の発足で下野するまで通算15年間、首相を務めた。在任期間は同国最長だが、収賄などの罪で19年に起訴された。ヘルツォグ氏は組閣指示に際し、ネタニヤフ氏の裁判が進行中だとの事実を「矮小(わいしょう)化はしない」とクギを刺したが、同氏の首相就任に問題はないとの認識を示した。

総選挙ではラピド首相が党首を務める中道政党イェシュアティドを軸とする反ネタニヤフ勢力は計51議席にとどまった。ラピド氏の8党連立政権は、左右両派にアラブ系政党も加わる「寄り合い所帯」だった。1年ほどで行き詰まり、国会の解散と総選挙につながった。』

イランの抗議デモで死刑判決 「政府施設へ放火」

イランの抗議デモで死刑判決 「政府施設へ放火」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR149YF0U2A111C2000000/

『【テヘラン=福冨隼太郎】イラン司法府系メディアは13日、イスラム教徒の女性の頭髪を隠すスカーフの着用を巡る市民らの抗議デモについて、首都テヘランの革命裁判所が参加者1人に死刑判決を言い渡したと伝えた。風紀警察に拘束された女性が死亡した9月に始まったデモで死刑判決は初めて。罪状は政府施設への放火。デモに参加したほかの5人には5~10年の禁錮刑を言い渡した。いずれも上訴できる。』

https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/C-cWf-DkGt1U_i9y682W0gVu2QI86mchzeRaypV1qR3B08MTNbaXHMMKgRzsGljrJidZOxQ5grnA6CbD339hiHOgrtaskrHUPGjddJZdxYK4QUQ8MKabJ12tTYa71dpLqP3GVxqIIMefN39Epk6hgrpBfA8TNqP_Hq0Hvk7k2w_Jg7lV6I8cVIUBC1vnkarceLIZoF39hPDmM6ZIC_zTMouIUBIJLrOCDxMHFrY7djLbhHFMw5rorMUwzLmtjK1w7Q88saCiUYRNvZ8o5PrItiS3SyLp75v3ANMJWxQb4hKJR8O9KTtU6m_nwAojHAhJXa0LZZ_-hJ7WGiLNeazVYIq4n_mgjeXSHEYkaWpBEfXUfIkffzhxiYVIw4jRrwRwwBg2Q4UqXgS0oqUGavpmvw1LGQAVQ8X4LrhGf9hTZrs1sT1BgkvSIKxY8SvBrkHFoGow2uTQjXmBrsBP9I7m6FW8PdU7u3w1W7uvm0NQzBPIksFX4oPmG_CcCjJnBQ//113417/151711/https://www.nikkei.com/promotion/campaign/line_friend/?n_cid=DSPRM1DP01_2022linea

トルコの爆発は「テロ」 北欧2カ国NATO加盟に逆風

トルコの爆発は「テロ」 北欧2カ国NATO加盟に逆風
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR146BL0U2A111C2000000/

 ※ なるほど…。そういう「要素」も、あるな…。

『【イスタンブール=木寺もも子】トルコ最大都市イスタンブールで13日に起こり、少なくとも6人が死亡した爆発で、同国政府は14日、隣国シリアなどで活動するクルド系武装勢力のテロだと断定した。複数の容疑者を拘束した。北大西洋条約機構(NATO)の一員のトルコは、テロリストの保護を理由にフィンランド、スウェーデンの新規加盟に難色を示しており、テロが新たな逆風になる可能性がある。

警察は14日、爆弾を置いて現場を離れたとみられる女のほか、関係する46人を拘束したと発表した。シリア国籍の女はトルコで非合法とされるクルド労働者党(PKK)の工作員で、シリア北部に拠点を持つPKK系勢力の指示を受けて犯行に及んだと自供したという。PKK系の軍事組織は14日、ウェブサイトで犯行を否定した。

トルコのソイル内相は事件後、対過激派組織「イスラム国」(IS)の戦いでシリアのクルド系武装勢力と協力する米国を強い言葉で非難した。米国が示したおくやみのメッセージに対して「犯行現場に(やじ馬に紛れて)戻ってきた殺人犯のようだ」と言い切った。

北欧2カ国が目指すNATOの早期加盟には逆風になりそうだ。トルコはPKK系の活動家らが資金集めの拠点として北欧を活用していると主張し、両国の加盟を認めていない。NATOに新規加盟するにはトルコを含む30カ国のメンバー全ての批准が必要になる。

トルコ大統領府のアルトゥン通信庁長官は14日、ツイッターを通じ「我が国に対するテロ攻撃は、テロ組織を直接・間接的に支援する国々が存在するため起きている」と非難した。「トルコの友情を期待したいのならば、いますぐにやめなければいけない」と述べた。北欧2カ国や加盟を後押しする米国を念頭に置いているのは明らかだ。

スウェーデン、フィンランドはトルコに対しPKKを支援しないと約束し、これまでのシリアへの越境軍事作戦を巡る制裁を解除した。だが、トルコがテロリストだと決めつける活動家らの引き渡しには同意していない。

トルコは2016年以降、クルド系武装勢力の掃討を目的にシリアへの越境軍事作戦を繰り返してきた。エルドアン大統領は21年秋にも新たな軍事作戦を実施する考えを表明したが、クルド系武装勢力を支援する米国や、シリアのアサド政権の後ろ盾であるロシアの反対で踏みとどまっている。

トルコでは15~17年を中心にISやPKKによるテロが頻発した。しかし、大きな都市では近年、治安が安定していた。13日に爆発が起こった場所はイスタンブール随一の繁華街だ。エルドアン政権が新たな越境軍事作戦を検討した場合、世論が後押しすることも考えられる。

クルド人はトルコのほかシリア、イラク、イランなどに居住する少数民族だ。トルコでは主に東部で暮らし、同国人口の2割を占めるといわれる。トルコ語とは異なるクルド語が母語で、かつては公の場所での使用を禁じられていた。

1980年代からは、分離・独立を求めるPKKと政府の激しい衝突が相次ぎ、死者は計4万人を超えたとされる。エルドアン氏は一時、PKKとの和平を探ったが、支持基盤の保守層の反発を受け、姿勢を強硬に転じた。』

オランダASML、韓国に技術拠点 半導体装置の性能向上

オランダASML、韓国に技術拠点 半導体装置の性能向上
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM156W60V11C22A1000000/

『【ソウル=細川幸太郎】オランダの半導体製造装置大手ASMLは15日、韓国に技術拠点を設けると発表した。製造装置の性能を高める「再製造」と呼ぶ工程を担い、顧客企業への技術支援も施す。米中の技術覇権を巡る対立で半導体の先端分野が焦点となるなか、ASMLは台湾や韓国などに技術拠点を設けて顧客企業と綿密な協業体制を敷く。

ソウル郊外の華城(ファソン)市に計2400億ウォン(約250億円)を投じ、敷地面積1万6千平方メートル規模の技術拠点を建設する。16日に起工式を開き、ASMLの最高経営責任者(CEO)も出席する。2024年下半期の稼働を目指す。製造装置の修繕・改良のため顧客企業のほか、韓国のサプライヤーとの協力も進めるという。

ASMLにとってサムスン電子とSKハイニックスという大手メーカーを抱える韓国は足元の売上高で3割超を占める重要市場だ。台湾積体電路製造(TSMC)が生産拠点を持つ台湾(4割超)に次ぐ規模だ。ASMLは今後10年間で韓国で1400人を追加雇用する方針を示しており、研究開発拠点の新設も検討するという。

ASMLはシリコンウエハーに半導体の回路パターンを形成する「露光」と呼ぶ重要工程を担う製造装置の世界最大手。キヤノンやニコンなど日本勢との技術競争に打ち勝ち、先端半導体の製造工程に不可欠な装置を一手に手掛ける。

米アプライドマテリアルズや米ラムリサーチ、日本の東京エレクトロンなど半導体製造装置の世界大手も次々と韓国に研究開発拠点を設けている。サムスンやSKなどの生産技術の開発部隊と共同で先端技術の開発プロジェクトに取り組む。

これら半導体装置メーカーが持つ先端技術について、米政府は中国への流出に目を光らせている。日米欧の装置メーカーとしては中国への輸出が難しくなる中で、中国以外の顧客との関係を深めて中国向けの減収分を補う狙いもある。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Tech/Semiconductors/ASML-plans-new-chip-equipment-hub-in-South-Korea2?n_cid=DSBNNAR 』

https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/jzzK0w_5tKYcXx9cmlxElaUFI2dpkV4_wYHMK7RX23joPVV-2w57U9YOqoUKyzBsfuMx57aQAF9J49i4nkR7e2c_3ZlSL9l1VRCKAvCcFNFYlu-5IQwEnCNKAvRNp58Lz0CaN7XNFelD_4JL65a-23mF21gKBOIe4qG0DLSMLGgc-RMVk2Y_lZSJwDSlZZ6Si4h0MIQaRNPMko1Ttx2AeTrkmAwA8wRRpMfVZ_0jcSy8jPcGYJFAsy3PHvE3_L_SzR4pWAa9kbykGIIGFFdQrE6f-wowI1zqxzQfa-9-vhJv40yaslPhP2IylaToWgffUO569FkaKh0Hj2pK8VLMJYQtAPGBqrA-8cPOEZ-0_HObgBX3oFf_Tp2roRlTP0Jd4WLast4jaCiAe8A3ZeuUCw1dDgUlTNF_AxZ6TUS-yrqWcxQWesyKaM3HrWan5vKzkKK0f_VmtykcXQgkSqwdOKt419Lbum1m3PE_JIiGy7ZFEthdLc3lEABsFt0//117478/146499/https://www.nikkei4946.com/studyum/?waad=KhIY4Ffy 

ロシア外相、G20サミットから帰国 開催中に異例

ロシア外相、G20サミットから帰国 開催中に異例
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR15DGZ0V11C22A1000000/

『ロシアのラブロフ外相は15日夜、同日開幕した20カ国・地域首脳会議(G20サミット)会場のインドネシア・バリ島を出発し帰国した。ロシア通信が伝えた。開催期間中に出席者が帰国するのは異例だ。ラブロフ氏を巡っては一部メディアがバリ島で病院に搬送されたと伝えており、帰国理由を巡って臆測を呼びそうだ。

ロシア通信によると、ラブロフ氏は15日にG20サミットの会議出席のほか、中国やフランス、ドイツなど複数国の首脳や閣僚と会談するなどの日程をこなし、同日夜にバリ島をたって帰国した。

G20での首脳宣言案について、ラブロフ氏は15日にロシアメディアに対し「異なる意見があることを盛り込むよう主張した」と述べた。記者団に対して16日の会議はシルアノフ財務相が出席すると説明していた。

ロシア側はラブロフ氏が病院搬送されたとの報道について「偽情報」と述べている。』

米中貿易摩擦の勝者はアジア(The Economist)

米中貿易摩擦の勝者はアジア(The Economist)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB118UH0R11C22A1000000/

『感染症の流行とそれに伴う景気の低迷、米中関係の悪化など、世界の貿易システムは絶え間なく打撃を受けてきた。最新の脅威は世界が再び不況に陥る可能性があることだ。新型コロナウイルスの感染拡大によって世界経済が停滞してからわずか2年、海運業界の企業幹部らは国際貿易の先行きが暗転すると警鐘を鳴らしている。

ベトナム最大の複合企業、ビングループは2019年に自動車生産を開始した(ベトナム・ハイフォン市にある同グループのビンファストの工場)=ロイター

景気循環の波を超えたより深い部分でも世界の貿易に変化が生じている。企業は生産体制を見直し、各国政府もそれを後押ししている。こうした変化は2018年に当時のトランプ米大統領が最初に中国製品に高い関税を課した頃には考えられなかったかもしれない。

しかし、その後新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が発生し、今のバイデン米大統領は半導体の先端技術の中国への輸出規制を大幅に強化したうえ、米国内の製造業への投資に対し数千億ドル規模の補助金を出す計画だ。以前は想像だにしなかった世界貿易体制の再編が今や避けられない現実となり、その新しい地理的勢力図の概要が明らかになりつつある。

世界のモノの貿易はコロナ禍による20年の低迷から見事な回復を遂げた。その貿易が世界の国内総生産(GDP)に占める割合は昨年、14年以来最高の水準に達した。だが、すべての貿易ルートで取引が活発化したわけではない。

トランプ氏が保護主義的な措置を打ち出した当時、それまで中国との間でなされていた取引の一部がアフリカや中南米諸国に流れるとの観測があった。だが、実際には世界貿易の構図の変化から最も恩恵を受けたのは東南・南アジアの国・地域だった。

世界全体の貿易データが出そろうのには時間がかかる。従って、最新の状況を把握するには先進経済大国の輸入データを見るのがよい。

11月3日に発表された9月の米貿易統計によると、22年1~9月の同国の輸入は18年の同時期に比べ33%程度増えた。だが、相手国によって状況は異なる。中国からの輸入は4年前に比べ6%の増加にとどまった。トランプ氏が中国に貿易戦争を仕掛けてから米国の輸入に中国製品が占める割合が大幅に低下したことがわかる。

米国の欧州連合(EU)からの輸入も伸び悩んでおり、18年に比べ12%増にとどまった。米国を中心に友好国と供給網を再構築する「フレンドショアリング」は始まっているかもしれないが、大々的に進んでいるわけではない。カナダとメキシコからの輸入の伸び率はそれぞれ39%と34%だった。

過去4年間に米国への輸出を最も増やしたのは東南・南アジアだ。バングラデシュとタイから米国への輸出は18年に比べ80%以上増えた。ベトナムに至っては170%を超える伸び率を記録した(グラフ参照)。インドとインドネシアからの輸出も60%以上拡大した。

その結果、米国の輸入全体に中国からの輸入が占める割合は18年の21%から22年には17%となり、4ポイント低下した。中国は以前はアジアの対米輸出の半分近くを占めていたが、今ではそのシェアは3分の1強程度にすぎない。

中国でも東南・南アジアからの輸入が増加

中国以外のアジア各国から積極的に輸入しているのは米国だけではない。中国でも東南・南アジアからの輸入が増えている。22年1~9月の中国の輸入に占める米国の割合は18年の同時期に比べ2ポイント低下した。EUのシェアも同程度下がっている。一方で東南アジア地域の10カ国で構成する東南アジア諸国連合(ASEAN)からの輸入が占める割合は2ポイント上昇した。

EUの貿易データは米中の統計よりタイムラグが大きいが、EUでも輸入に占める東南・南アジアの存在感が増している。中国からの輸入がEUの輸入全体に占める割合は21年に上昇したが、東南・南アジアからの輸入も同様に増えている。中国とEUの輸入元シェアのデータをみても、東南・南アジアからの輸入の伸びに比肩するような伸びがみられた地域は他にない。

製品や部品の新たな調達先を開拓するには時間と投資が必要だ。このため直近のデータで明らかになった貿易パターンの変化の多くは今年の地政学的な緊張の高まりよりも前に企業が取った選択を反映していると考えられる。

経済状況が平穏だったとしてもある程度の貿易の構図の変化は起きていたと考えられる。例えば、中国における人件費の高騰は、繊維やアパレルといった利幅の薄い製造業がバングラデシュなどに生産拠点を移す要因になっていただろう。

トランプ氏の対中関税の影響はやはり大きかったようだ。米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所のチャド・バウン氏による最近の分析によると、対中関税の対象外の品目に限ってみると、中国からの輸入が米国の輸入全体に占める割合は関税導入時の36%から今年は39%に上昇した。

その一方で、関税率7.5%の品目については中国からの輸入の比率は24%から18%に低下し、さらに25%という非常に高い関税が課されている多数のIT(情報技術)関連装置などのシェアは16%から10%に下がった。家具から半導体まで、米国の中国製品への依存度は全般的に大幅に下がる傾向にある。

アジア新興国が中国と先進国の貿易を仲介

この変化を詳細に分析すると複雑な要因が潜んでいることがみえてくる。インドやベトナムで作られる製品に使用されている部品の多くは中国製である可能性が高いのだ。確証を得るために必要なサプライチェーン(供給網)の詳しいデータが明らかになるのは数年先のことになるが、中国のこれまでの輸出統計がそれを示唆している。18年から22年までの期間をみると、中国の輸出全体に対米輸出が占める割合が2ポイント低下しているが、これと同じ分だけ、ASEAN諸国への輸出の割合が増加している。

このようにデータを分析すると、アジアの新興経済国が中国と世界の富裕国との貿易を仲介する役割を担うようになってきたというストーリーが浮かび上がる。中南米とアフリカに広がるサプライチェーンが世界経済の構図を書き換えられるという見立ては、まだ夢物語にすぎない。

こうした貿易の構図の変化はインドからフィリピンまで弧を描くように並ぶ国々にまさしく恩恵をもたらす。今後、昨今の地政学的な諸問題の影響が積み重なるにつれ、アジアのサプライチェーンの価値は中国以外の国・地域にこれまで以上に集中していくことになりそうだ。

(c) 2022 The Economist Newspaper Limited. November 12, 2022 All rights reserved.

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多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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青山瑠妙
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授
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ひとこと解説

「米中貿易摩擦の勝者はアジア」ーーまさにその通り。岸田首相の東南アジア訪問は日本では大きなニュースとなっているが、現地では日本のほか、中国の高官も相次いで東南アジアを訪問しており、さらに米・ASEANの包括的戦略的パートナーシップの調印、ドイツのショルツ首相の東南アジア訪問なども連日、報道されている。

多くのASEANは”be a friend to all, but an enemy of none”を「小国」外交の知恵と心得ている。

結局のところ、大国がこうした競争に勝ち残るには、東南アジアの経済成長に寄与できる政策をとれるかかどうかにかかっている。

2022年11月15日 9:14 (2022年11月15日 9:15更新)

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桃井裕理
日本経済新聞社 中国総局長
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ひとこと解説

中国の輸出産業に決定的な打撃を与えるのは米国のサプライチェーン政策や対中制裁以上に中国自身のゼロコロナ政策になる可能性があります。

上海市のロックダウンのようにわかりやすくないために報道には出にくいですが、現在の中国は今春以上に人々の移動に制限がかかり社会や経済が混乱しています。出張や旅行で北京を1度離れると次にいつ北京に帰ってこられるかわからないーー、そのような状態でまともな経済活動ができるはずがありません。

一方、ゼロコロナが来春までに撤廃されるとの観測も根強いです。そうすれば景気は回復します。「米国に勝ちたければ何より経済が重要」との事実を習近平氏がどれほど認識しているかにかかっています。

2022年11月15日 21:11

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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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分析・考察

今の「アジア」には勝者の自覚はないのでは。

現在、バンコクでAPEC関連の国際会議に出席しています。参加エコノミーはAPECの連携を強める必要では認識を共有しつつ、強まる米国と中国の対立に他のエコノミーは懸念を深めています。特にASEAN諸国からは、米中両国に対立の抑制を促す影響力がなく様子見しかないという諦観さえ感じます。

米中の覇権争いが強まり、半導体などデカップリングの対象が広がっていくようなら、ASEANが米国、中国と個別に連携を深めても得られる効果は限られるでしょう。

アジアのサプライチェーンの価値を保つには、米中への働きかけが必要であり、日本の果たすべき役割は大きいと思います。

2022年11月15日 12:53 』

米、アジア安保に関与強化 日韓修復・対中衝突回避狙う

米、アジア安保に関与強化 日韓修復・対中衝突回避狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN142940U2A111C2000000/

『2022年11月15日 2:00 (2022年11月15日 5:09更新)

米国は東南アジアを舞台とする一連の外交機会を利用し、アジアの安全保障への関与強化に動いた。バイデン米大統領は日米韓の異例の連続首脳会談を演出したうえで、14日の中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との直接会談に臨んだ。米中間選挙で議会上院の多数派を保った追い風を受け、同盟国の連携をテコに中国抑止をめざす。

【関連記事】米中首脳、衝突回避へ対話継続 台湾問題では応酬

「違いを管理し、競争が衝突になるのを防ぐ」。バイデン氏は習氏との会談冒頭、こう発言した。互いに譲れない一線の再確認が出発点となる。バイデン氏は会談後の記者会見で、中国本土と台湾は不可分という中国側の立場に異を唱えない一方、台湾の安全保障に関与する「一つの中国」政策に変化はないと説明したと述べた。

米国は中国を「国際秩序を再構築する意図を持つ唯一の競争相手」とみなし、今後10年を決定的に重要な期間と位置づけている。だが紛争は望まない。トップ会談を突破口に、妥協のない競争が不測の事態を生まぬよう対話継続の道を探った。

中国に優位に立つため「会談の細かな進め方も周到に準備した」(米政府高官)。

外交ショーは前日に幕を開けた。バイデン氏は習氏と会談するインドネシアのバリ島に向かう直前の13日、カンボジアのプノンペンで岸田文雄首相、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領、オーストラリアのアルバニージー首相と会談した。

「米中首脳会談の後ではなく前に、立ち話ではなく写真撮影機会のある会談に」。米国や日本の外交当局はこだわった。米国が中国に勝る強みの一つは同盟国の存在だ。習氏の盟友であるロシアのプーチン大統領はバリ島での20カ国・地域(G20)首脳会議を欠席する。米国は日韓豪との連携を中国にみせつけることを重視した。

特に日米韓首脳の会談は異例の開催形式をとった。まず日米、米韓の2カ国間の会談、日米韓3カ国の首脳会談を連続して開き、最後に岸田首相と韓国の尹大統領が会った。

日本と韓国はそれぞれ米国の同盟国でともに米軍が基地を置く。米国が自国を起点に日韓とつながり、3カ国の安保上の結びつきを描く三角形の構図を際立たせた。

米欧30カ国でつくる北大西洋条約機構(NATO)は加盟国のどこかが武力攻撃を受ければすべての締約国への攻撃とみなし、ともに反撃する。東アジアには同様の仕組みがなく、地域の抑止力を高めるには米国を中心に各国が密接に連携する必要がある。

「弱い鎖」は悪化した日韓関係だ。日米韓の枠組みは日韓関係の悪化を理由に2017年9月から22年6月まで5年ほど途絶えた。米国は急速に軍備を増強する中国に向き合うためには韓国が欠かせないとみて、日韓の関係改善へ橋渡しを進めてきた。

バイデン氏は日米韓首脳会談の冒頭で「台湾海峡の平和と安定をいかに維持するかを議論する」と発言。共同声明に「インド太平洋での一方的な現状変更の試みに強く反対する」と明記し、対北朝鮮に傾いていた日米韓の協働に対中の色彩を強く加えた。

「いい気分だ」。13日、8日投開票の中間選挙で与党・民主党が議会上院の多数派を維持する結果が伝わり、バイデン氏はこう語った。民主党惨敗の事前予想を覆し、大統領として死に体になることが避けられたこともアジア外交の追い風になった。

中国共産党の総書記として異例の3期目に入った習氏は自由民主主義陣営と一線を画し、習氏一人に権力を集中する。その中国との対峙に「最も重要」(サリバン米大統領補佐官)となる首脳同士の関係は、自国での政治基盤の強さを色濃く反映する。

8月のペロシ下院議長の台湾訪問以降、反発する中国は軍当局の対話や気候変動対策などの協議を停止し、対話の窓口がほぼ閉ざされてきた。「新冷戦」の様相を強める米中の競争の暴走を防ぐことができるか。演出から実行へと局面は移る。

(ワシントン支局長=大越匡洋)

米中Round Trip

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木村幹
神戸大学大学院国際協力研究科 教授
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別の視点

政権発足後、当初は見せていた中国への強硬な姿勢が次第に緩むようにも見えた中、今回、尹錫悦政権は、アメリカの要求に応じて再びその強硬姿勢へと波長を合わせた形になっています。

背景にあるのは、この所、低いながらも支持率が下げ止まっている事。世論が左右に大きく分裂する中、保守世論はそれなりの固さで尹錫悦政権を支えており、この状況下、尹錫悦は中道的な施策を取って追加的な支持層を狙うよりも、まず足元の保守層の支持を固めようとしている様に見えます。

であれば、その期待に応えて、対中強硬路線へと回帰した方が合理的。国内政治と外交の複雑な関係を見る思いです。

2022年11月15日 19:01

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

国際政治のパワーゲームの典型例といえる。

欧州では、米欧連携、アジアでは、日米韓連携、主な相手はそれぞれロシア、中国。見方によっては、新冷戦ともみることができる。

問題は日韓はどこまで連携を強化できるかにある。アジアの不幸は戦後から抜け出せていないことである。過去をきちんと清算できないまま、未来志向を目指すといわれても、不安定な展開になる。選挙あるたびに、韓国は揺れる。

日韓の相互信頼を醸成できなければ、このゲームはプレーできない。同時に、中国との対話も続けなければならない。追い込んで孤立させると、逆効果になる

2022年11月15日 7:37

高橋徹のアバター
高橋徹
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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ひとこと解説

トランプ前大統領が在任中に参加したASEANとの首脳会議は、2017年のマニラでの米ASEANサミットが最後でした。

同じ日の東アジアサミットには出席せずにマニラを後にし、ASEAN側の不信を買いました。

前任者との違いを強調するバイデン大統領にとって最悪のシナリオは、アジア歴訪の直前の中間選挙で大敗してインド太平洋戦略への求心力を失うこと、特に来月から本格的に始まるインド太平洋経済枠組み(IPEF)交渉が早々に形骸化することでした。

予想外(?)の上院での民主党勝利、下院での善戦で、少なくとも次期大統領選までの2年間はアジア新興国の関心をつなぎ留めておけそうです。

2022年11月15日 7:27』

「集団的自衛権」反撃を明記 ポーランド巡りNATO緊張

「集団的自衛権」反撃を明記 ポーランド巡りNATO緊張
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB161HH0W2A111C2000000/

 ※ 『発動には加盟30カ国すべての支持が必要とされ、集団的自衛権を行使するハードルは高い。第5条がこれまで発動されたのは、2001年9月の米国での同時テロの後だけだ。加盟国である米国が攻撃を受けたことで、アフガニスタンでテロとの戦いを開始した。』…。

 ※ 『何をもって「武力攻撃」となるかもNATO加盟国に委ねられている。本当にロシアによる攻撃だったかに加え、攻撃が意図的だったかも判断基準になる可能性がある。米国務省のパテル副報道官は15日、攻撃が偶発的か意図的かの重要性を聞かれ「もちろんそれは重要なことだ」と答えた。』…。

 ※ ということなんで、直ちに「ドンパチ」、「三次大戦に突入!」とは、ならないようだ…。

 ※ ただ、米国・NATO及びロシアが絡んでる「紛争」は、「偶発的な事件」から「世界大戦」にエスカレートする危険が常にあるんで、神経尖らせて、よくよく注意して見ていかないと…。

『ロシア製ミサイルがポーランドに着弾し2人が死亡したとの情報を受け、同国が加盟する北大西洋条約機構(NATO)で緊張が高まっている。北大西洋条約の第5条には、加盟国が攻撃を受けたとき全加盟国に対する攻撃とみなして反撃する集団的自衛権が明記されているためだ。

NATOは1949年に設立された北米や欧州の30カ国が加盟する軍事同盟だ。ロイター通信によると、NATOはポーランドの要請を受け、北大西洋条約の第4条に基づく協議を16日に開く。第4条は加盟国の安全保障が脅威にさらされた場合、いつでもNATOに協議を要請できると定めている。

ロシアは今回の攻撃への関与を否定しているが、焦点となるのが集団的自衛権の行使を定める第5条が適用されるかだ。NATOの根幹である第5条は「締約国への武力攻撃を全締約国への攻撃とみなすことに同意する」と明記している。

発動には加盟30カ国すべての支持が必要とされ、集団的自衛権を行使するハードルは高い。第5条がこれまで発動されたのは、2001年9月の米国での同時テロの後だけだ。加盟国である米国が攻撃を受けたことで、アフガニスタンでテロとの戦いを開始した。

何をもって「武力攻撃」となるかもNATO加盟国に委ねられている。本当にロシアによる攻撃だったかに加え、攻撃が意図的だったかも判断基準になる可能性がある。米国務省のパテル副報道官は15日、攻撃が偶発的か意図的かの重要性を聞かれ「もちろんそれは重要なことだ」と答えた。

バイデン米大統領は16日、ポーランドのドゥダ大統領と電話協議し、米国のNATOへの関与を確認したうえで、ポーランドへの防衛義務を果たすと強調した。アフガニスタンでの戦争が長引き、米国内ではウクライナへの米軍派遣について慎重な見方が多い。

バイデン氏は16日、主要7カ国(G7)とNATOの緊急首脳会合後、記者団に対し「軌道から考えるとロシアから発射された可能性は低い」と述べた。集団的自衛権の行使には正確な情報の把握が不可欠となる。』

台湾、軍用ドローンの自主開発を強化 最新鋭機を初公開

台湾、軍用ドローンの自主開発を強化 最新鋭機を初公開
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM147OL0U2A111C2000000/

『【台中=龍元秀明】台湾の国防部(国防省)は15日、開発中の大型軍事用ドローン(無人機)を一部メディアに初めて公開した。台湾への軍事圧力を強める中国がドローンの開発・配備を進めている。台湾は中国への対抗を念頭に、蔡英文(ツァイ・インウェン)政権が進める自主開発の進展をアピールした。

公開したのは、空軍向けに開発中の大型ドローン。半径最大約1100キロメートルの範囲で操縦でき、20時間の滞空が可能で、長距離の偵察や電子情報の収集といった任務を想定している。2023年中に機体の評価作業を終えた後、量産に移る見通しだ。

国防部はさらに、陸軍向けに量産段階に入った小型ドローンの飛行訓練もあわせて公開した。操縦範囲は半径最大約30キロ、滞空時間は1時間で、市街地や沿岸の監視に用いる。

ドローンは戦闘機などに比べ低コストで、危険な任務に対応できる利点があり、相手とは異なる戦い方で優位に立つ「非対称戦」の鍵となる。ロシアのウクライナ侵攻でも双方が活用し、改めて注目が高まっている。

台湾がドローン開発を急ぐのは、軍事圧力を強める中国への対抗が念頭にある。中国は8~13日、広東省珠海市で開いた中国国際航空宇宙博覧会(珠海航空ショー)で最新鋭のドローンを多数展示した。

8月初旬のペロシ米下院議長の訪台以降、中国軍は戦闘機に加え、ドローンも用いて台湾海峡の事実上の停戦ライン「中間線」越えを続けている。将来の軍事侵攻を見据えた訓練との見方もある。

台湾国防部のシンクタンク、国防安全研究院の蘇紫雲所長は「ドローンは非対称戦のツールとして重要で、自主開発にあたっては台湾に集積する電子産業を生かせる」と指摘する。

台湾は8月、自主開発に向けた産業基盤の強化を狙い、台湾南部・嘉義県で官民によるドローンの研究開発拠点も開設した。蔡氏は開設式典で「台湾の防衛力を高める上でドローン産業の育成が重要になる」と指摘した。国防部も同月に米国製の軍事用ドローン4機を総額約168億台湾ドル(約760億円)で購入すると発表。米国から導入する高性能のドローンと自主開発ドローンを組み合わせて配備を進める。』

大型機関砲を載せた中国海警船、尖閣周辺に 首脳会談前

大型機関砲を載せた中国海警船、尖閣周辺に 首脳会談前
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM156610V11C22A1000000/

『【バリ島=羽田野主】中国海警局が15日、沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域に大型の機関砲を搭載した船を進入させた。日本政府関係者によると推定76ミリ砲とこれまでで最も大きい。17日の日中首脳会談を前に日本側を威嚇する狙いだとの見方がある。

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尖閣周辺の日本の領海の外側にある接続水域で、すでに航行していた海警局の船4隻が新たな4隻と交代した。そのうちの1隻が推定76ミリ砲を載せているのを海上保安庁が確認した。これまでは同37ミリ砲が最大で76ミリ砲は初めてとみられる。

76ミリ砲は中国海軍のフリゲート艦に装備されることが多い。中国海軍は2022年に入って海警局に20隻のフリゲート艦を引き渡した。中国メディアによると76ミリ砲を装備したまま譲渡した。

岸田文雄首相は13日の東アジア首脳会議(EAS)で東シナ海を巡り「中国による日本の主権を侵害する活動が継続・強化されている」と中国を名指しで批判した。この発言への反発の可能性がある。

中国外務省は尖閣諸島を中国固有の領土と主張し「周辺海域での海洋活動は正当な主権的権利の行使だ」と繰り返している。

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習近平氏、韓国の日米傾斜けん制 中韓首脳3年ぶり会談

習近平氏、韓国の日米傾斜けん制 中韓首脳3年ぶり会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM155YL0V11C22A1000000/

『【バリ島=恩地洋介、羽田野主】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は15日、訪問中のインドネシア・バリ島で会談した。中国側は日米との連携を強める尹政権をけん制し、韓国側は核実験の準備を進める北朝鮮への関与を求めた。

中韓首脳の会談は2019年12月以来、約3年ぶり。今年5月に尹政権が発足してからは初めてだ。

中国外務省によると、習氏は「世界のサプライチェーン(供給網)を安定させるべきで、経済協力の政治問題化に反対する。真の多国間主義を共に実践し、地域の平和と安定の大局を守りたい」と述べた。真の多国間主義とは、米国が主導する国際秩序に反対する立場を意味するとみられる。

韓国大統領府によると、習氏は新型コロナウイルスの流行が落ち着き次第、訪韓の招請に応じる用意があると語った。

尹氏は「韓国政府は国際社会の自由と平和、繁栄を追求する。その方法は普遍的価値と国際規範に基づいている」との認識を示した。

保守系の尹政権は、中国と距離を置く言動が目立っている。尹氏は11日にプノンペンで開いた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳との会議で、海洋進出を強める中国を念頭に「力による一方的な現状変更は決して容認できない」と発言した。

半導体のサプライチェーンで米国が主導する枠組みへの参画にも積極的だ。13日の日米韓首脳会談では、バイデン米政権が提唱する経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の推進や、3カ国による「経済安保対話」の新設を盛り込んだ共同声明に賛同した。

中国からみると、尹政権は日米への傾斜を深めており、その動向を警戒せざるを得ない。文在寅(ムン・ジェイン)前政権は、経済関係への悪影響を懸念し、習政権を刺激する言動を控えていた。

これまでも尹政権にはクギを刺してきた。王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は8月、訪中した韓国の朴振(パク・ジン)外相に「互いの内政に干渉してはならない」と伝えた。ただ、北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返すなか、尹政権にとっては日米韓の安全保障協力の重みは増している。

中国は在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を、韓国との「最も敏感な問題」と位置づける。尹氏は暫定配備にとどめてきたTHAADの正式配備を探っている。

中国側は最近、THAADの運用制限にも言及している。9月にソウルで尹氏と会談した栗戦書(リー・ジャンシュー)全国人民代表大会常務委員長(国会議長)はTHAADに関し「緊密に疎通し中韓関係の障害にならないようにしなければならない」と言及し、慎重な対応を求めた。

首脳会談で、尹氏は北朝鮮問題に関し「中国がより積極的で建設的な役割を果たしてくれることを期待している」と習氏に伝えた。韓国政府は北朝鮮がいつでも7回目の核実験を強行できる状況にあると判断している。

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元米高官「米中は対立緩和の局面に」 習氏は姿勢転換

元米高官「米中は対立緩和の局面に」 習氏は姿勢転換
ダニエル・ラッセル元国務次官補
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14CUQ0U2A111C2000000/

『米中首脳が3年5カ月ぶりに対面で会談し、衝突回避へ対話を継続する方針で一致した。台湾問題など対立する課題が多い両国はどう関係を築いていくのか。バイデン米大統領が副大統領だったオバマ政権で東アジア政策を担当したダニエル・ラッセル元米国務次官補に聞いた。

――今回の米中首脳会談をどう評価しますか。

「2点の重要な成果があった。まずはバイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の間で戦略的ビジョンに焦点を当てた幅広い議論がなされた点だ。

もうひとつは双方の高官に2国間の相違点を管理し、グローバルな協力分野を進展させる継続的な取り組みの権限を与えると合意したことだ」

「両首脳が会って優先順位と意図を明確にすることは2人にとってまさに必要な会話だった。強固な個人的関係を築いており、直接話を聞くことで安心感をもてる。

お互いが聞いた話はどんなに厳しい内容であっても、両国の組織内から日々報告される最悪のケースの分析に比べると憂慮すべきものでない」

――8月のペロシ米下院議長の台湾訪問で停止していた対話の再開で合意しました。

「米中の各チームに課された仕事は2つある。

ひとつは摩擦が生じやすい分野を管理するための原則、実質的な『ガードレール』の策定だ。

次に気候変動や食料安全保障といったグローバルな問題での協力だ。(両首脳が合意した)ブリンケン米国務長官の訪中は意見が異なる分野での対立解消に向けた取り組みを強化するだろう」

「習氏は自身に忠実な人物で構成する新指導部づくりに成功し、国際社会に強さと開放性を兼ね備えたメッセージを発信する姿勢に転じたようだ。

長い間の孤立と挑発を経て対話に前向きになったが、問題の進展につながるかわからない」

――台湾問題などで激しく対立する米中がどう関係をコントロールしますか。

「両首脳がいわゆる『核心的利益』で双方に配慮する理由はないが、少しでも合意した部分があったことは望みが持てる。

首脳の直接対話と組織的な関与は戦略的競争の悪循環を食い止めるために必要な条件だが、十分条件といえない」

「核・ミサイル開発を続ける北朝鮮について、米国がいくら説得しても中国は影響力を行使しない。(日韓など)同盟国を守るために米国の軍事態勢を強化するというバイデン氏の発言は外交でなく抑止のシグナルだ。北朝鮮を抑えるように中国を駆り立てるかもしれない」

――2024年に大統領選も控え、米国は与野党とも対中強硬姿勢で足並みをそろえています。

「米国政治が対中外交を複雑にするのは確かで、野党・共和党下院はバイデン政権と中国の双方に困難をもたらす可能性がある。しかし、当面は米中とも危機につながるような対立や誤算を避けることに集中しているようだ」

(聞き手はワシントン=坂口幸裕)』

佐々木防衛大教授、台湾問題で「習氏はバイデン氏評価」

佐々木防衛大教授、台湾問題で「習氏はバイデン氏評価」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM151X70V11C22A1000000/

『佐々木 智弘(ささき のりひろ)

1967年 兵庫県生まれ(香川県出身)
1990年 筑波大学第三学群国際関係学類卒業
1994年 慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了
2017年 南山大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了、博士(総合政策)取得
1994年~2014年 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員
2014年~2021年 防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授
現 在 防衛大学校人文社会科学群国際関係学科教授

主要著書
(単著)『北京からの「熱点追踪」―現代中国政治の見方』日本貿易振興機構アジア経済研究所、
2001年
(編著)『現代中国の政治変容―構造的変化とアクターの多様化』日本貿易振興機構アジア経済研
究所、2005年
(共著)『21世紀中国政治史研究』放送大学教育振興会、2011年』

『米国のバイデン大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が14日、インドネシアのバリ島で会談した。中国の政治に詳しい防衛大学校の佐々木智弘教授に3年5カ月ぶりとなった米中首脳会談の評価を聞いた。

――米中間の最大の懸案である台湾問題では議論が平行線となりました。

「バイデン氏は『ひとつの中国政策を遂行する』『台湾独立を支持しない』と述べ、習氏は『米国に言行一致を希望する』と返事した。これは習氏がバイデン氏の発言を評価した形だ」

「今後、米国が言行一致を維持する限り、中国は(当面は)派手な軍事演習や武力行使はしないだろう。ペロシ米下院議長が訪台して緊迫感が高まった8月以前の水準に戻った感じだ。ただし台湾問題で意見が一致したわけではなく、関係が劇的に改善するわけではない」

――ロシアのウクライナ侵攻も議題の1つでした。

「習氏はウクライナでの核兵器の使用に反対姿勢を表明し、ロシアのエスカレートぶりへの懸念をバイデン氏と共有した。ロシアとの直接交渉へと米国の背中を後押しした印象だ。ロシアへのメッセージにもなる。ただし中国自身は仲介する気はなく、この点は従来と同じだ」

――気候変動や食料安全保障など幅広い分野で対話や協力を進めることでも合意しました。

「共同作業グループを設置し、具体的な交渉を高官レベルで進めることで合意した。従来も対話の枠組みはあったが、習氏が3期目に入り、中国側の高官も交代になる。顔ぶれが変わることで仕切り直しだ」

「高官対話の対象は気候変動や食料問題に加えて、公共衛生も含まれた。これは新型コロナウイルスを指すと思われる。従来、コロナの起源調査などで米中は対立してきたが、ワクチンや治療などで協力が生まれるかもしれない。一方、習氏は対中経済制裁の緩和を要求した。だが、米国側が緩和に乗り出すのかは不明だ」

――両首脳はなぜこのタイミングで会談をしたのですか。

「10月の共産党大会では習氏の3期目がかかっており、緊張感があった。党大会後に新政権が発足した安心感から、習氏はバイデン氏と会う余裕が生まれたのだろう。会談の映像を見ても、2人が握手をし、表情も和らいでいる。直接対話した意義があったのでないか」

(聞き手は大連=渡辺伸)

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中国新築住宅、値下がり都市83%に拡大 政策効果限定的

中国新築住宅、値下がり都市83%に拡大 政策効果限定的
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM146MM0U2A111C2000000/

『【北京=川手伊織】中国国家統計局が16日発表した2022年10月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落したのは全体の83%にあたる58都市で、9月から4都市増えた。景気停滞で先行き不安が根強く、大都市を含めて住宅購入の需要が伸び悩んでいる。住宅ローン金利の引き下げなど政策効果は限定的だ。

前月比で上昇したのは10都市で、9月から5都市減った。横ばいは2都市だった。

都市の規模別で見ると、「1級都市」のマンション価格は平均で前月を0.1%下回った。省都クラスの「2級都市」は前月より0.3%低く、それ以下の「3級都市」も0.4%低下した。いずれも下落するのは2カ月連続だ。

取引価格が比較的自由で市場の需給を反映しやすい中古物件では、全体の89%に相当する62都市で価格が下落した。9月より1都市多かった。値上がりは5都市だった。

中国では新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策などで景気停滞が長引き、将来所得への不安が強まっている。昨年から続く不動産市場の調整も出口が見えないままで、マンションの値上がり期待がはげ落ちている。富裕層が資産形成を目的に住宅を購入する動きも弱まっているとみられる。

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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世界各国の住宅市場をみますと、住宅価格の上昇率は減速しはじめており、インフレもあって実質住宅価格が下落している国は世界で増えています。

しかし、名目でみた住宅価格も低下しているところは中国本土と香港を除くとほとんどみられません。中国の住宅市場がかなり冷え込んでいることがわかります。

不動産開発業者の投資も前年比で下落していますし、住宅価格も中規模都市で低下していますし、住宅ローン需要は低迷しています。

中国人民銀行と銀行監督監督当局が銀行に不動産開発業者への融資を促しましたが、中国の抱える住宅問題の根本的な解決につながるのか注視しています。

2022年11月16日 12:09 』

世界経済失速 中国成長3%台、米欧は後退予測広がる

世界経済失速 中国成長3%台、米欧は後退予測広がる
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM152HQ0V11C22A1000000/

『世界経済の失速が鮮明だ。中国は新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策などの影響で2022年の成長率見通しが年初の予測を2ポイント近く下回り、3%台に沈む。直近10月は消費が減少に転じた。米欧は歴史的な物価高で急速な利上げを迫られ、22~23年に景気後退に入るとの予測が広がる。日本は7~9月期に4四半期ぶりのマイナス成長に陥った。けん引役不在の世界は先行きの不透明感も強い。

QUICK・ファクトセットがまとめた民間予測で、22年の中国の実質成長率は3.3%だ。年初の予測から1.8ポイント下がった。上海市の封鎖などで春に景気が急激に悪化した後、夏場に出てきた持ち直しの兆しが足元で再びしぼむ。

中国国家統計局が15日発表した10月の小売売上高は前年同月比0.5%減った。マイナスは5月以来だ。全体の1割を占める飲食店収入が8%減ったほか、家電、衣類などが軒並み落ち込んだ。

消費は11月に入っても鈍い。象徴的なのは、11日に最終日を迎えた年間最大のインターネット通販セール「独身の日」だ。1~11日の全国宅配便取扱量は前年同期比11%減少した。最大手のアリババ集団などは期間中の売上高を公表しない異例の対応をとっている。

政府の規制強化で住宅不況も出口が見えない。10月の住宅販売面積は前年同月を2割超下回った。国内総生産(GDP)の3割を占める不動産関連の低迷で家電や家具の販売が伸びず、建材などの生産も勢いづかない。

世界銀行によると、世界の実質GDP(購買力平価ベース)は中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した01年から21年までに1.9倍に増えた。この間の中国の伸びは5.3倍で世界の経済成長の31%を占める計算になる。寄与度は米国の10%を大きく上回る。

成長エンジンの変調は世界経済に暗い影を落とす。日本工作機械工業会が集計する工作機械受注は10月に前年同月比5.4%減と、2年ぶりにマイナスとなった。ゼロコロナ政策下の中国の停滞が響いている。ファナックは中国での受注が7~9月期に前年同期比7%減った。23年3月期の連結で前期比8%の営業増益を見込んでいたのを10月末に一転、1%の減益見通しに下方修正した。

影響は生活用品にも及ぶ。中国の10月の化粧品輸入量は24%減と9年8カ月ぶりの減少率となった。資生堂は1~9月期の中国売上高が前年同期比11%の大幅減。横田貴之最高財務責任者(CFO)は「中国の競争環境は厳しい」と吐露する。

「世界の市場」の需要減は資源価格にも表れる。シンガポール取引所(SGX)で鉄鉱石の期近先物は1日、一時1トン80ドルを下回り、20年2月以来の安値をつけた。鉄鉱石価格は世界の貿易量の約7割を占める中国の景況を敏感に映す。

一時急騰が目立ったエネルギー相場も足元の値動きは低調だ。米国のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は1バレル85ドル前後と、ロシアのウクライナ侵攻直後のピーク比で4割弱安い。中国の原油輸入量は、WTIが下落基調となった6月から4カ月連続で前年の水準を下回った。

アジア向け液化天然ガス(LNG)のスポット価格も、足元は8月のピークより6割ほど安い。やはり中国の調達減が下押し圧力になっている。

中国は08年のリーマン危機後は巨額の経済対策を打って成長を続け、世界経済を下支えした。その役割を果たす存在が見当たらない状況になっている。米S&Pグローバルがまとめた総合購買担当者景気指数(PMI)は中国が9月から2カ月連続、米欧は7月から4カ月連続で、好不況の境目の50を下回る。

米欧は物価高でコロナ後の回復シナリオの見直しを迫られる。日本経済新聞が民間エコノミスト10人に聞いたところ米国は6人、ユーロ圏は10人全員が23年までに景気後退局面に入ると答えた。

ユーロ圏は2人が「すでに後退」とみる。後退局面入りは時間の問題で7人は22年中、1人は23年前半と予測する。米国も3人が22年内、2人が23年前半、1人が同年後半と答えた。

物価高を鎮めるための急ピッチの利上げの軟着陸は難しい。景気後退の確率の予測平均値は、米国では23年前半が濃厚で1~3月期が48%、4~6月期が46%となった。ユーロ圏は22年10~12月期が61%、23年1~3月期が67%、4~6月期が55%となっている。

日本は7~9月期のGDPが前期比年率で実質1.2%減り、4四半期ぶりに落ち込んだ。内需の柱である個人消費や設備投資の伸びが鈍化し、広告関連で海外への支払いが急増したマイナス要因が上回った。回復基調の設備投資もコロナ前の水準にはなお届いていない。外需が停滞すれば、腰折れしかねない弱さを抱える。

米欧中がそろって変調を来すのはコロナ禍当初の20年春以来。世界経済が再び反発力を発揮できるかは見通せない。

(北京=川手伊織、マクロ経済エディター 松尾洋平、コモディティーエディター 浜美佐、柘植康文、増田由貴、松本桃香)

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田中道昭
立教大学ビジネススクール 教授
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先週発表された米国CPIが市場予想を下回り、利上げが鈍化するとの予測から株価は上昇、為替も円高に進みました。

インフレはピークアウトの期待が高まっていますが、インフレの景気や企業業績への影響はこれから本格化するところ。

足元ではビックテック企業の業績や人員削減が注目されていますが、他の業種の業績悪化や人員削減はこれからより本格化すると予想されます。

昨晩発表されたウォルマート決算は良好で同社株価は上昇しました。電話会議で経営陣はインフレ・景気鈍化予想の中で高所得者層が同社での購買を増やしたことを強調しました。小売で値引き競争も始まっている中、ミクロで同社決算が良好であったことはマクロでは要注意です。

2022年11月16日 6:32

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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世界の景気が悪化しているのは最初から見通せたはずである。

FRBは利上げを急ぎすぎた。

中国はゼロコロナ政策の転換が遅れている。

ウクライナ戦争はまだ終わらない。

エネルギー価格が高止まりしている。サプライチェーンが修復されていない。景気を悪化させる原因は多岐にわたっている。簡単には対処できない。

こうしたなかで、岸田政権は企業に賃上げを求めているが、それに応じられる企業は何社ぐらいだろう。賃上げが遅れれば、インフレ率が上昇し、実質賃金がマイナスになり、個人消費が大きく落ち込む。大不況の入り口がみえてくるのでは。

2022年11月16日 8:26』