日米韓、異例の連続首脳会談 東アジア安保の基盤構築

日米韓、異例の連続首脳会談 東アジア安保の基盤構築
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『【プノンペン=重田俊介】岸田文雄首相が3年ぶりの日韓首脳会談に踏み切ったのは日米韓の協調が東アジアの安全保障の基盤になるとみるためだ。東アジアには北大西洋条約機構(NATO)のような集団安全保障の枠組みはない。関係悪化が続いた日韓の傷の修復が急務となる。

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プノンペンで催した13日の日米韓首脳の会談は異例の開催形式だった。まず日米、米韓の2カ国間の会談、日米韓3カ国の首脳会談を連続して開いた。そのうえで最後に岸田首相と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が顔を合わせた。

日本と韓国はそれぞれ米国の同盟国で、ともに米軍が基地を置く。今回の会談の流れからは米国が自国を起点に日韓とつながり、3カ国の安保上の結びつきを描く三角形の構図が浮かぶ。

背景には安保枠組みの特徴がある。米欧30カ国で構成するNATOは加盟国のどこかが武力攻撃を受ければ、すべての締約国への攻撃とみなしてともに反撃する。ウクライナが加盟を求める理由もここにある。

一方で東アジアには同様の仕組みがない。地域の抑止力を高めるには普段からそれぞれの国が密接な関係を築いておく必要がある。

その構図にも関わらず日米韓の枠組みは日韓関係の悪化を理由に2017年9月から22年6月まで5年ほど途絶えた。韓国海軍が18年に自衛隊機に火器管制レーダーを照射する事件が起き、自衛隊と韓国軍の部隊間の関係も冷え込んだ。

日本はオーストラリアなどと「準同盟」と位置付ける関係を構築する。それと比べて日韓の安保協力は周回遅れだ。

外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)もなく、演習時に燃料や弾薬を融通しあう「物品役務相互提供協定(ACSA)」も結んでいない。

韓国には長期滞在と永住者で4万人規模の日本人がいる。有事となった際、帰国を支援する自衛隊派遣を韓国側が受け入れるかの調整もついていない。

かろうじて締結しているのは韓国が一時、破棄を決定した軍事情報包括保護協定(GSOMIA)くらいだ。日米韓の枠組みを土台にして安保面の協力水準を引き上げる必要がある。

日米が韓国の抱き込みを急ぐのは他の狙いもある。

軍備を拡張する中国に向き合うのに韓国が必要だとみるためだ。バイデン氏は13日の日米韓首脳会談の冒頭で「台湾海峡の平和と安定を維持するための方策も議論する」と言及した。

会談後に発表した共同声明で海洋進出を強める中国を念頭に「一方的な現状変更の試みに強く反対する」と指摘した。これまで対北朝鮮の色彩が色濃かった日米韓の枠組みに対中の性格が帯びてきた。

10月の中国共産党大会で総書記として3期目に入った習近平(シー・ジンピン)国家主席は台湾統一に重ねて意欲を示した。

27年と言われた台湾有事には早期シナリオがささやかれる。日韓にとってアジアの安保基盤をともに担う態勢づくりの時間は限られている。

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峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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ひとこと解説

日韓関係にとって前進なのは確かです。ただ、まだ米国の力を借りている点が大きく、本格的な関係修復には徴用工問題の解決をはじめ首脳間の相互往来やシャトル外交の復活が待たれます。尹錫悦大統領の対日重視は一貫して揺らいでいませんが、心配なのは国内の逆風で、人事への批判に物価高や梨泰院事故などが重なって不人気から脱せないでいます。外交成果が切実な局面です。
2022年11月14日 8:55 (2022年11月14日 8:58更新) 』