米国自動車市場の成長性・多様性を考える
~CASE・MaaS・ZEV等の革新性と大型車嗜好の保守性が同居~
https://www.dbj.jp/topics/region/area/files/0000029853_file2.pdf






















米国自動車市場の成長性・多様性を考える
~CASE・MaaS・ZEV等の革新性と大型車嗜好の保守性が同居~
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米カリフォルニア州、2035年にハイブリッド車も販売禁止
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2509E0V20C22A8000000/
『【シリコンバレー=白石武志】米カリフォルニア州の環境当局は25日、2035年にガソリンのみで駆動する新車の販売を全面禁止する新たな規制案を決定した。26~35年にかけて段階的に電気自動車(EV)などの販売比率を高めるよう各自動車メーカーに義務付ける。州内の新車販売の10%強を占めるハイブリッド車(HV)も35年以降は販売禁止とする。HVを得意とする日本車メーカーは戦略変更を迫られる。
欧州連合(EU)が35年までに域内におけるガソリン車の新車販売を原則禁止する方針を打ち出すなど、輸送分野における石油依存を減らす動きが世界的に広がっている。米国の環境規制をリードするカリフォルニア州ではニューサム知事が20年9月にガソリン車の新車販売を35年までに全面禁止すると表明。同州の大気資源局(CARB)が約2年かけて規制案を検討してきた。
CARBはガソリン車の規制案について8月25日に2回目の公聴会を開いて州民らの意見を集約し、同日の会合で可決した。各自動車メーカーに州内の販売台数の一定割合を環境負荷の少ないゼロエミッション車(ZEV)とするよう義務付けるものだ。
規制値は26年式については35%、30年式は68%、35年式は100%に高まり、段階的にガソリン車の販売比率を引き下げる。規制値を満たさなかった車メーカーには、未達成分について1台あたり最大2万ドル(約270万円)の罰金を科すという。
新たな規制案ではEVのほか、燃料電池車(FCV)や電池だけで約80キロメートル以上走れるプラグインハイブリッド車(PHV)がZEVとして認められた。CARBは原則として排ガスを出さない車の普及を目指しており、PHVを算入する場合には規制が要求するZEV販売台数の20%以下に抑えるよう各車メーカーに求めている。
カリフォルニア州新車ディーラー協会(CNCDA)によると22年1~6月に州内で販売された約85万3000台の新車のうち、EVとPHVの比率は合計約18%だった。ただ、これはEV専業の米テスラによる押し上げ効果が大きい。約4年後の26年式について販売台数の35%をZEVとするよう義務付ける新たな規制案は、多くの車メーカーにとって高いハードルとなる。
カリフォルニア州はこれまでも車メーカーに販売台数の一定割合をZEVとするよう義務付ける規制を実施してきた。従来は規制値を満たせない車メーカーは超過して達成した他社からクレジット(排出枠)を購入することで罰金などを回避できていた。CARBは26年式から始まる新たな規制案ではクレジット売買などの仕組みは用意していないと説明している。
CARBが25日に可決した規制案はすでに州議会の支持を受けており、法令案を審査する州の部局の承認などを経た上で今秋にも正式決定する。同州におけるEVの平均単価は約6万ドルと高止まりしており、一部の団体は新たな規制について「現実的ではない」と反発している。施行までには曲折もありそうだ。
カリフォルニア州は米連邦政府に先駆けて車の排ガス規制を導入した歴史的な経緯から、独自の環境規制を定めることが認められている。他の州がカリフォルニア州の規制にならうことも許されており、CARBの担当者は「多くの州で新たな規制案を採用する動きがある」と話している。
【関連記事】
・米カリフォルニア州でガソリン車販売禁止へ 車産業に波紋
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ニューズレター
多様な観点からニュースを考える
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深尾三四郎のアバター
深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員
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ひとこと解説
カリフォルニア版欧州バッテリー規制の導入可能性にも要注目。
米国EVシフト政策は、従来は排ガス抑制を目的とした環境対策の一環だったが、昨今は再エネの調整力や分散共有機能を持つ車載電池の普及を狙ったエネルギー政策としての新しい意味が加わった。ウクライナ戦争勃発後は車載電池に含まれる重要鉱物を囲い込むため、欧州バッテリー規制のような電池部材のリサイクル強化を促すルール作成の議論もカリフォルニア州では加速している。かつてとは次元の違うスピードと深度でEVシフト政策が強化されており、日系メーカーのドル箱市場でのZEV規制は欧州のそれ以上に厳しい規制となる。
2022年8月26日 8:16 (2022年8月26日 8:31更新)
柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説
あと12年少々でEVしか販売できない。今の現実から推察すれば、2030年ごろから内燃エンジン車の駆け込み需要は想像できないほど爆増するだろう。要するに、それまでに電池の革命が飛躍的に進歩しなければ、EVが完全に内燃エンジン車を凌駕できない。こういう政治パフォーマンスは何をもたらすのだろうか
2022年8月26日 7:55
福井健策のアバター
福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
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分析・考察
柯隆さんのおっしゃる通り、EVは電池問題を解決できていませんので、もっとも適した用途は短・中距離の移動であり、あらゆる用途に向く移動手段ではありません。またこうした規制は新たな買い替え需要や廃棄物を生み、それ自体が別な環境問題を生じさせるリスクもあります。
何度も書きますが環境問題にそんなに便利な打ち出の小槌はありませんので、公共交通やロード・プライシングも活用したモーダル・シフト全体の中で、位置づけるべきものでしょう。
2022年8月26日 8:43
村上芽のアバター
村上芽
日本総合研究所創発戦略センター シニアスペシャリスト
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ひとこと解説
カリフォルニア州が独自の環境規制を認められているという末尾の段落の点、トランプ政権下では取り下げられ、バイデン政権になって戻り、その後も「平等」を巡って訴訟になっていました。そうした経緯からも一筋縄ではいかない話であるとはいえ、現地で生活する人たちの山火事や熱波への恐怖を想像すると、足並みをそろえないことに現実味があります。
2022年8月26日 8:32
蛯原健のアバター
蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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分析・考察
今回除外対象外の50マイル/80キロ以上電気走行可能PEVは現行でも結構ある故、ハイブリッドが禁止というのはミスリーディングだろう。ただし日本勢は現行エネルギーミクスを前提にした最適化を考慮し電気走行距離は抑えており80キロには至っていない。が大きな戦略シフトとまで行かずとも対応は可能な範囲ではなかろうか。先月ベイエリアをテスラで走り回ったがハイウェイは当たり前だがまだまだガソリン車、古いピックアップトラックだらけであった。サンフランシスコ市内はホームレスだらけ、その超格差地域においてこの方向に突き進む事は、就労形態の変化や中国製EVの台頭など良きにつけ悪きにつけ大きな社会変容を産むだろう。
2022年8月26日 8:30
高橋徹のアバター
高橋徹
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
コメントメニュー
ひとこと解説
米国の人口の1割を占めるカリフォルニア州は「全米のトレンド・セッティング・ステート」と呼ばれてきました。1990年に最初にZEV販売義務付け規制を出したときも世界に衝撃を与えました。当時は「技術革新を法律で縛る」と批判もされましたが、いまにつながるEVの開発競争の揺り籠となったのは間違いありません。今回の決定は面目躍如といえるでしょう。ただ、かつてのZEV規制も、達成年限の先送りやHVの算入、他社からのクレジット購入など現実に即した「規制緩和」を取り入れてきました。今回はどうでしょうか。
2022年8月26日 7:18 』
ジャクソンホール会議開幕 「経済・政策の制約」を議論
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN25DWY0V20C22A8000000/
『【ジャクソンホール(米ワイオミング州)=斉藤雄太】世界の中央銀行関係者や経済学者らが集う経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が25日夜に開幕した。会議全体のテーマは「経済と政策の制約の再評価」。新型コロナウイルス禍を経て変容した経済・物価環境に政策当局がどのように対処すべきかを討議する。
開催期間は25~27日の3日間。昨年までコロナの感染対策でオンライン形式だったが、今年は3年ぶりに対面型の開催になる。会場はロッキー山脈の麓の山荘だ。
会議を主催する米カンザスシティー連銀が公表したプログラムによると、25日夜の開幕レセプションを経て、26日午前8時(日本時間午後11時)に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が講演する。今後の利上げペースなど金融政策の先行きにどこまで踏み込んだ発言をするかが最大の注目点になる。
26日はパウエル議長講演に続き、独ゲーテ大のニコラ・フクス・シュンデルン教授が「最大雇用」、仏ビジネススクールINSEAD(欧州経営大学院)のジョン・フェルナルド教授が「潜在国内総生産(GDP)」に関する論文を公表し、対談者と議論する。
国際通貨基金(IMF)のギータ・ゴピナート筆頭副専務理事やオバマ政権で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたジェイソン・ファーマン米ハーバード大教授らは「コロナ禍以前のトレンドは終わったか、あるいは一時的な中断にすぎないのか」についてパネル討論会に臨む。国際決済銀行(BIS)のカルステンス総支配人も講演する。
27日は米ジョンズ・ホプキンス大のフランチェスコ・ビアンチ教授が「財政制約」、ニューヨーク大のヴィラル・アチャリャ教授が「中銀のバランスシート」について論文を公表する。欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事や韓国銀行(中銀)の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁らによる「コロナ後の政策見通し」の議論などを経て、閉幕する。
【関連記事】
・25日からジャクソンホール会議 「タカ派」発言に注目
・FRB議長が講演へ 市場、インフレ退治の強硬姿勢見極め 』
ロシア制裁のブーメラン直撃 ドイツ、脱原発を延期か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC244980U2A820C2000000/
『欧州ではウクライナ戦争への関心が薄れ始め、急速に自らの生活への懸念が高まっている。欧州最大の経済大国ドイツで今、国民の関心を最も集めるのはインフレだ。
コンサルティング大手の米マッキンゼー・アンド・カンパニーが6月、1000人以上のドイツ国民を対象に「最も懸念すること」を聞いたところ、48%が「急激なインフレ」と回答。73%は節約のためにすでに消費行動を変えているという。4月には34%が「ウクライナ侵攻」と答えたが、6月にはその割合は24%にとどまった。「新型コロナウイルス」と答えたのは4%程度だ。
実際、インフレが生活に大きなダメージを与えている。7月のエネルギーインフレ率は35.7%に達する。比較ポータルサイトCheck24によると、ガス料金はすでに過去最高水準にあり、エネルギー消費量2万キロワット時のモデル世帯では年間平均3415ユーロ(約47万円)と、1年前の1301ユーロと比べ2.6倍となっている。電気代も上昇しており、生活に不可欠なエネルギーが家計を圧迫している。
食料のインフレも深刻だ。エネルギーのインフレで輸送費などがかさみ、7月のインフレ率は14.7%になった。1年前に比べ、バターが48%、チーズが23.1%、全乳が24.2%、卵が23.9%、肉および肉製品は18.3%の値上がりとなっている。2016年にバター250グラムを買えていた価格で、今は半分以下の118グラムしか買えない。
巨額赤字のガス会社を救済するためにガス値上げを容認
もちろん、主な原因はウクライナ戦争だ。西側諸国は国際送金システムである国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアを締め出し、ロシアの中央銀行の海外資産を凍結するなど、ロシアに様々な経済制裁を科している。ドイツはロシアとの間を結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」を建設したものの、稼働を凍結した。
こうした制裁がブーメランのようにドイツに返ってきている。ロシア国営ガスプロムがドイツと結ぶ主要パイプライン 「ノルドストリーム」の供給量を6月中旬、従来計画比で6割減らした。そのため、8月中旬には、欧州天然ガスの指標価格であるオランダTTF(9月物)が1メガワット時当たり250ユーロと、1年前の5倍以上の価格になっている。
独エネルギー大手のユニパーは、天然ガスの不足から割高なスポット市場でガスを調達しており、22年1~6月期の最終損益が120億ユーロ(約1兆6500億円)の赤字だった。同社を救済するために、10月以降スポット価格分の9割を顧客に転嫁できるようになるため、ガス価格の上昇は不可避で、インフレの懸念が強まっている。
ドイツはロシアに経済制裁を課したが、実質的には逆にドイツがロシアから経済制裁を受けているような状況だ。
こうした状況の中で、ドイツ政府はなりふり構わぬ対策を打ち出している。8月18日、10月以降にガスの付加価値税(VAT)を現行の19%から7%に引き下げると発表した。ドイツ政府は上述したように10月からガス供給業者に大幅な価格転嫁を認めるため、消費者の負担が急増する。その負担を軽減するためにVATの軽減を決めた。
また、専門家からも様々な批判がある。冬場に向けてガスの貯蔵量を増やす計画があるが、ガス価格の下落で消費が伸びる恐れがあるほか、使用量の多い高所得者層も減税の恩恵を受ける可能性があるためだ。それでもドイツ政府は、国民の不満に応えるためVATの引き下げに踏み切る。
1200円で公共交通機関乗り放題の成果は?
月額9ユーロで公共交通機関が乗り放題になるチケット
ユニークなインフレ対策が、「9ユーロチケット」の導入だ。ドイツ政府は月額9ユーロ(約1200円)で、電車やバスなど公共交通機関が乗り放題になるチケットを発売した。高速鉄道は除外されているが、ほとんどの公共交通機関を月9ユーロで乗り放題というのは破格の安さだ。
ドイツ居住者以外も購入できたので、筆者も出張時に利用してみたが、非常にお得感がある。特に都市内での移動の度にトラムやバスのチケットを購入するのは煩雑だったが、9ユーロチケットで乗り放題になるのは移動のストレスを大幅に減らした。
これも賛否があった。プラスの効果としては、破格チケットを多くの人が利用したため、インフレを若干抑制する効果があったようだ。インフレ率は5月が7.9%だったのに対し、9ユーロチケットが導入された6月以降、インフレ率は同月が7.6%、7月が7.5%と若干下がった。
自動車から電車に乗り換えてもらうことで、自動車燃料の需要を抑えるという目的もあった。だが、ドイツ交通会社協会(VDV)の調査やミュンヘン都市圏の調査では、自動車の利用抑制にはつながらず、二酸化炭素(CO2)排出量の削減に対する効果は疑問だと評価している。
連邦統計局による移動データの分析によると、22年6月における全国の鉄道交通の移動量は、新型コロナ感染拡大前の19年6月に比べて平均で42%増加した。多くの電車などで乗客が急増し、その対応などで遅延も多発した。
だがVDVは、「公共交通機関の利用の約4分の1は、チケットがなければそもそも利用していなかった、あるいはできなかった層である」と分析している。つまり、これらの移動は追加的な移動であり、自動車で移動した場合の代替移動ではなく、道路から公共交通機関へのシフト効果は2~3%程度しか確認できないという。
ヴィッシング運輸相は、9ユーロチケットは大成功だと自画自賛している。しかしリントナー財務相は「財源がない」「近くに駅がなく車に依存している地方の人々に不公平」などの理由から9ユーロチケットの延長に反対しており、8月末には同チケットの販売を終了する予定だ。
脱原発を支持した世論の今
ロシアによるウクライナ侵攻後、ドイツの混迷は深まり、「石炭も原発も」という状況になっている。まずエネルギー価格を抑制するために石炭火力の稼働を拡大する体制を整えている。電力の安定供給確保のため、22年、23年に廃止予定だった石炭火力発電所の稼働を認める政令を施行している。
そして、堅持してきた脱原発の政策も揺らいでいる。11年3月の東日本大震災による東京電力福島第一原発の事故を受け、ドイツは脱原発に舵(かじ)を切った。現在は3基が稼働しており、今年末までに稼働を停止する計画だった。
脱原発を支持していたドイツの世論は、脱原発の先延ばしに大きく傾いている。約5000人を対象にした経済誌「シュピーゲル」のオンライン調査では、78%が原発3基の23年夏までの稼働継続を支持した。また、67%は5年間の延長にも賛成しており、原発の新設に賛成する回答者は41%に上った。
ただ稼働延長には様々な意見がある。まず原料の濃縮ウランはロシアが世界生産量のシェアの5割近くを握るため、ロシア依存は変わらない恐れがある。また、原発は発電コストがそれほど低くないうえ、電源構成に占める割合が大きくないため、インフレ緩和への効果は小さいという見方がある。一方、原発の稼働で発電用ガスを暖房用に振り分けられるため、一定のメリットがあるという見方もある。
ショルツ政権はまだ稼働延長か否かの結論を出していない。8月中をメドに延長の是非を決める際の判断材料にするストレステストの結果をまとめる予定だ。脱原発に向けて10年以上準備してきただけに、ショルツ政権は苦渋の決断を迫られている。
欧州がインフレに苦しんでいる。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーの需給が逼迫し、物価上昇が加速している。
例えばドイツでは脱原子力発電と脱石炭火力という難しいチャレンジを進めるがために、再生可能エネルギーと天然ガスへの依存度が高まり、エネルギー価格上昇への対抗手段が手詰まりになっている。気候変動や環境問題の解決に向けて野心的なエネルギー政策を実行した結果、エネルギー価格の上昇に直面。自らの選んだ政策によってインフレを加速させている面があり、自縄自縛のインフレともいえる。
それでは実際、欧州のインフレはどのような状況なのか。家計にはどのような負担が生じているのか。エネルギー資源を海外に頼る日本にとって、欧州の窮状は対岸の火事ではない。
(日経BPロンドン支局長 大西孝弘)
[日経ビジネス電子版 2022年8月23日の記事を再構成]』
[FT]ロシアの極右思想、世界へ プーチン氏の侵攻を支持
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB240Z00U2A820C2000000/
『長いひげと過激な発言をもってすれば、簡単に注目を集められることにロシアの極右の思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏は気づいた。彼を「プーチン大統領の頭脳」、あるいはロシア帝政末期の怪僧になぞらえ「ラスプーチン」と呼ぶ人までいる。だが、2014年にモスクワ国立大学教授の職を失った事実から、ロシア政府に対し、特に影響力を持つわけではないとする向きもある。
イラスト James Ferguson/Financial Times
それでも今月20日、ドゥーギン氏の娘で国家主義的なジャーナリスト、ダリア氏がモスクワ郊外で運転していた自動車が爆発して死亡した事件から、ドゥーギン氏を重要人物とみる人がいるのは明らかだ。爆発したのが彼の車だったため、ドゥーギン氏を狙った犯行との見方が優勢だ。
ウクライナ侵攻を1990年代から提唱
プーチン氏とドゥーギン氏の個人的な関係がどうであろうと、プーチン氏がウクライナ侵攻を決断したことは、ドゥーギン氏が1990年代初頭から主張してきた考え方が実行に移されたことを意味する。ドゥーギン氏は97年の著書でロシア士官学校の必読書にもなった「地政学の基礎」で「ウクライナは地政学的には存在する理由がない」と主張した。
2018年に中国・上海の復旦大学で講演した際、プーチン氏への影響力について質問されたドゥーギン氏はあまり多くを語らなかったが、ロシアがクリミアを併合すべきだとの考えは「プーチン氏が行動を起こすはるか前」の1990年代に自分は主張していたと指摘した。
ドゥーギン氏は中国で存在感を発揮した。彼はプーチン氏に近いらしいという噂と、高い言語能力(英語とフランス語を流ちょうに話す)を生かし、自ら国際的にその存在感を高めていった。
そして今や中国やイラン、トルコでは、米国の覇権を打破したいとする勢力のスポークスマンおよび調整役となっている。一方、欧州や米国では各国の極右勢力と通じ、自らを「グローバリズム」との闘いにおける同盟者と位置付けている。
ドゥーギン氏は復旦大学での一連の講演でロシアと中国は連帯して「多極的な世界秩序」を構築し、米国による覇権を終わらせなければならないと論じた。3月に中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相とロシアのラブロフ外相が会談した際、両者はこの考え方を支持し、ラブロフ氏は王氏に両国が「ともに(中略)多極的で公正で民主的な世界秩序へと向かう」べきだと呼びかけた。
イラン、トルコの政府や西側の極右に接触
ドゥーギン氏の世界観では、ユーラシア大陸の国々はロシアを中心とした「大陸国家」であり、米国(その前は英国)が主導した「海洋国家」中心の世界とは必然的に対立する。同氏はナチスにも加担したドイツの哲学者カール・シュミットが「欧州とロシア、アジアが直面する『敵』とは、米国とその島国の同盟国イングランドであることを明確に理解していた」として彼を称賛してきた。
こうしたドゥーギン氏の反西欧的、反自由主義的な考え方はイランでもすぐ歓迎された。同氏はイランを何度も訪れており、体制内の強硬派に特に人気がある。2015年には自分を招いたイランの人々に、イランを「近代化(西洋化)に抵抗する闘いの主要拠点だ」と持ち上げた(これは褒め言葉らしい)。
同氏はトルコも定期的に訪問しており、与党・公正発展党(AKP)のゲストに招かれることもある。そうした中で、現政権内の反米勢力と共通認識を築いてきた。
一方、欧州ではドゥーギン氏は自らの資金提供者であるロシアの銀行家コンスタンチン・マロフェーエフ氏とオーストリアの自由党やイタリアの同盟、フランスの国民連合など極右政党と関係を築き、ロシアや西欧各国で会議や講演、会合を催すことで連携を維持している。
米国のドゥーギン氏支持者も当然、極右勢力だ。トランプ氏が大統領に就任して間もない17年2月に、ドゥーギン氏は極右の陰謀論者アレックス・ジョーンズ氏のインタビューを受け、「私が心から支持するトランプ氏」への期待を表明した。そして、トランプ氏支持派とプーチン氏支持派は「共通の敵であるグローバリスト」に対抗するため団結すべきだと語った。
トランプ氏が16年の大統領選に勝利した直後、右手を斜め上に掲げ「ハイル・トランプ」と叫ぶ姿がカメラに捉えられた極右のリチャード・スペンサー氏(編集注、白人至上主義者として知られる)もドゥーギン氏とつながっている。スペンサー氏の妻はドゥーギン氏の著作を英訳したこともある。
ロシア政府の政策、今後過激さ増すのか
ドゥーギン氏は最近、中国やパキスタンの学者を集めた講演で、ロシアはウクライナでの敗北を認めるぐらいなら核兵器を使うだろうと断言した。今の問題は、20日のダリア氏殺害事件を受け、ロシア政府がウクライナでの戦争や国内政治で一層過激な政策に向かうのかだ。
ロシア連邦保安局(FSB)は既に事件を解決したと主張している。ウクライナが暗殺を依頼したと断定し、実行犯は既にロシアから国境を越えてエストニアに逃亡したと発表した。この主張はロシアが今後、ウクライナ政府の主要な建物や要人を標的とした攻撃を含む首都キーウ(キエフ)空爆を正当化するのに利用される可能性がある。
さらにロシア政府がエストニアに実行犯とする容疑者の引き渡しを要求するだけでなく、引き渡さなければ軍事措置も辞さないと脅せば、ロシアは北大西洋条約機構(NATO)加盟国と紛争に発展しかねない事態に突入することを意味する。
ウクライナ政府は事件への一切の関与をすぐに否定した。しかし、だからといってロシア政府の多くの人の考え方が変わるわけではない。ドゥーギン氏に代表される極端な国家主義を信奉する面々は、以前からロシアはもっと容赦ない戦術に出るべきだと主張してきた。
ドゥーギン氏は暴力的で扇動的な弁舌を得意とするが、それは講堂やテレビ局のスタジオなど戦場から離れた安全な場所からだった。しかし、20日の事件で、モスクワも戦いの最前線となった。
14年にロシアが一方的にクリミアを併合した際、ドゥーギン氏はロシア人にウクライナ人を「殺して殺して殺しまくれ」と呼びかけた。ロシア侵攻による悲惨な事態を耐え忍んでいる多くのウクライナ人に、ドゥーギン氏のために涙を流す人はほぼいないだろう。ロシアとウクライナの紛争から距離のある人は、どんな人であっても自分の子どもを目の前で爆破されるようなことは許されないと思うのかもしれない。
By Gideon Rachman
(2022年8月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
ギデオン・ラックマン
Gideon Rachman 英国生まれ。英BBCや英エコノミストなどを経て2006年FTに入社。同年、現在の外交関係の論評責任者に。2016年政治分野のジャーナリストとして英オーウェル賞を受賞。著書に「Easternization」(2016年)などがある。
[FT]ロシアの極右思想、世界へ プーチン氏の侵攻を支持(0:00)
[FT]トルコ、NATOに不可欠 黒海掌握で価値証明(7月8日) 』
自宅の修繕費、築30年で900万円超 計画的な貯蓄不可欠
人生100年の羅針盤
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD077PY0X00C22A7000000/
※ ヒトもモノも、古びて補修が必要になってくるのが、「自然の摂理」だ…。
※ 「こんなに費用がかかるのかと驚いた」…。
※ イラストが添えられているが、秀逸だ…。
※ ここに描かれている通りの話しだ…。
※ さりとて、「賃貸」借りようとしても、年寄りにはいろいろと「条件」があって、スンナリとはいかんしな…。
※ そうこうしているうちに、「要支援」「要介護」状態になって、「老人ホーム」にご入居コースへと、真っしぐらだ…。
※ 着々と、そういう「コース」を辿っています…。

『持ち家があり、住宅ローンの返済も終わったシニア世代は「老後は住居費の負担は軽くなる」と考えがちだ。しかし、意外に重くのしかかるのが家の修繕費用。戸建てでもマンションでも、築年数が古くなると、雨漏り対策など基礎的な工事だけでも費用がかさんでくる。長寿化で必要な工事回数が増える一方、工事単価は上昇傾向だ。「終(つい)の棲家(すみか)」を確保・維持するお金にも目配りが必要になる。
「こんなに費用がかかるのかと驚いた」。東京都で十数年前に新築一戸建てを構えた会社員は、家の外壁塗り替えに100万円以上がかかったことを振り返る。戸建ての場合、この男性の家のように、外壁や屋根の塗装・補修などがおよそ15年程度で発生し、費用は数十万円から100万円程度かかる例も多い。
トータルの費用はどれくらいになるのか。不動産コンサルティングのさくら事務所(東京・渋谷)の試算だと、標準的な戸建て住宅(木造2階建て、延べ床面積116平方メートル)では築後30年の修繕費用は基本的な項目だけで900万円を超す。シロアリ対策、給排水管や給湯器の交換など様々な工事が積み上がると、負担は徐々に重くなる。
30年超の時期はどうか。さくら事務所の田村啓ホームインスペクターは「期間を延ばすと流動的要素が多くなるが、仮に60年の総費用を考えると、2500万円程度になり得る」と話す。60年間、建て替えずに修繕を続けた場合の試算で、建て替えた場合の総費用はさらに膨らむ可能性が高い。実際の費用は個人差が大きいものの、「長寿化で生涯を通じて必要な工事回数も増えている」(田村氏)。
慢性的な人手不足を背景に、工事費用も上昇。消費者物価指数(2020年=100、全国)で住居の外壁塗装や水道工事など「工事その他のサービス」をみると、21年までの約10年でおよそ2割上がった。これは主に戸建ての工事費の上昇を反映する。
住宅修繕の市場に詳しい彩ホームプランニング(神奈川県大和市)の豊田憲明代表は「新築は木材を事前に工場で加工するプレカットなど一定の効率化策があるが、修繕は職人の技術・経験に依存する部分が多く、人手不足の影響が特に大きい」と話す。多額の費用を敬遠するシニアは多いが、「雨漏りなどは本来、予防的修繕が効果的。『お金はかけたくない』と工事会社などに本音で話してみるのも一つの方法だ」(豊田氏)。コスト削減のアイデアが出てくる例もあるという。
修繕費の負担が重いのはマンションも同じだ。戸建てと異なり、毎月積立金を払っているのが普通だが、それだけで安心はできない。18年度の国土交通省のマンション総合調査によれば、3割以上のマンションが計画に対して積立金が不足している。「余剰か不足か不明」という回答も約3割に上る。
資金不足で安易にすべての修繕を見送るのは危険だが、状況によっては優先度の高い工事に絞り込む選択肢もある。ベンチャーのスマート修繕(東京・渋谷)は建築士事務所などと協力、マンションの劣化診断を手掛ける。「『工事ありき』ではなく、必要な工事を洗い出す」(同社)
老後の快適な暮らしのためには、省エネ性の向上やバリアフリー化などの工事も追加で必要になる可能性がある。一般的に積立金制度がない戸建てはもちろんだが、マンションの場合も自分で将来の修繕費は老後資金計画などの中に組み込んで、計画的に貯蓄しておく姿勢が欠かせない。
賃貸、シニア向けサービスも
国交省の20年度の調査では、賃貸住宅のオーナーの約7割が高齢者の入居に拒否感を示す。入居中の孤独死で、その後の賃貸が難しくなることなどを警戒するが、解決に取り組む動きも増えている。不動産業のMARKS(横浜市)はシニア夫婦のうち1人が亡くなった世帯に接触し、住み替えなどのコンサルを展開。シニアの入居に抵抗感がない貸主を見つけるが、通常契約が難しいなら同社が借り上げ、転貸する。同業のフラット・エージェンシー(京都市)はシニアと若い学生や子育て世代が暮らすシェアハウスの企画・開発を進める。
(住宅問題エディター 堀大介)』
米中間選挙 ポイントを読む⑥
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN03DMN0T00C22A8000000/
※ 『上院は大統領が指名した政府高官や裁判所判事の人事を認めるかどうかの重要な権限を持つ。人事は単純過半数で通る。共和党が多数派に返り咲けば、政権に対して強力な交渉カードを握るようになる。』ここが、ポイントか…。
※ 上院≒参議院、下院≒衆議院…、というアナロジーで捉えていたが、そう単純なものでもなさそうだ…。
※ これだから、他国の「政治制度」を理解するのは難しい…。
※ 「アメリカ政治学」なる学問分野が、成立しているのも宜(むべ)なるかなだ…。

『11月の米中間選挙では米連邦議会の上院(定数100)の3分の1、下院(同435)の全議席を争う。上院と下院それぞれの過半数を与野党がどう押さえるかで、バイデン政権の今後を大きく左右する。政府高官や裁判所判事の人事を承認する上院の主導権を失えば、政権運営は苦しくなる。
上院は現在、50対50と与野党が同数で拮抗する。上院議長を兼ねる副大統領が1票を投じることができるため、与党・民主党が多数派と呼ばれる。野党・共和党は中間選挙で1議席でも上積みすれば多数派を奪還できる。
上院は大統領が指名した政府高官や裁判所判事の人事を認めるかどうかの重要な権限を持つ。人事は単純過半数で通る。共和党が多数派に返り咲けば、政権に対して強力な交渉カードを握るようになる。
上院で法案を通すためには投票規則の関係から60票が要る。どちらの党が多数派を握っても60議席を上回らない限り、他党の協力が必要なのは変わらない。
民主党はバイデン政権の気候変動対策を通すため、特定の条件を満たした予算法案に限って単純過半数でも可決できる措置を使った。民主党が過半数を失えばこの「奥の手」も使えなくなる。
下院は各州を細かく分けた選挙区から2年ごとに議員を選ぶ。建国時に細かく素早く民意をつかめるように設計した。バイデン大統領や与野党議員のこの2年間の仕事ぶりはどうか。有権者の評価は下院の議席数に分かりやすく反映される。
(ワシントン=鳳山太成)』
欧米銀のロシア事業縮小、停滞気味 シティ個人向け撤退
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN25E890V20C22A8000000/
※ 『ロシアのプーチン大統領は8月5日、「非友好国」の企業がロシアのエネルギーや金融部門の株式を売却することを年末まで禁じる大統領令に署名した。』…。
※ そういうことが、「できる」し、「やる」国なわけだ…。
※ 「カントリー・リスク」の一つだな…。
『【ニューヨーク=大島有美子、ロンドン=篠崎健太】米シティグループが7~9月期にロシアの個人向け(リテール)金融業務から撤退を始める。事業売却を模索してきたが、売却先探しに時間がかかり、店舗閉鎖も含む事業縮小に自ら動く。ロシアのウクライナ侵攻で地政学リスクが高まるなか欧米銀は相次ぎロシア業務の縮小を表明したが、取り組みは停滞している。
シティはロシアの15支店の閉鎖を決めた。同国で25年以上業務を手がけており、約50万人の個人顧客がいるが、個人向けの預金、投資商品、融資やカード業務をやめる。多国籍の法人向けビジネスは維持する。
【関連記事】米シティ、ロシアの個人向け金融撤退 費用230億円
シティは米銀で最もロシア関連のエクスポージャー(投融資残高)が大きい。2021年末時点で98億ドル(約1兆3400億円)あった。地政学リスクを考慮し減らす方針を明らかにしていた。6月末時点では84億ドルに減った。撤退を決めたリテール関連では約10億ドルあるといい、削減を進める。
シティはウクライナ侵攻前から海外リテール事業見直しの一環で、ロシアのリテール事業の売却を模索していた。ロシアのVTBバンクが候補として名前が挙がったが、米国の制裁対象となり、不透明感が強まっていた。シティ幹部は「過去数カ月間、事業売却のために複数の選択肢を検討した。環境を考慮すれば、事業縮小が理にかなっている」と述べ、自ら撤退する道を選んだ。
欧米の大手銀でロシア事業の処分をいち早く済ませたのが仏ソシエテ・ジェネラルだ。ロシアの銀行子会社ロスバンクと保険事業を5月、現地の富豪ウラジーミル・ポターニン氏率いる投資会社に売り、22年4~6月期決算で33億ユーロ(約4500億円)の関連損失を計上した。ウクライナ侵攻や欧米の経済制裁の影響を考慮してロシアからの撤退を決めた。
事業売却や閉鎖のような大規模な動きはまだ一部に限られ、多くが停滞しているのが現状だ。ロシア事業の規模が比較的大きいオーストリアのライファイゼンは撤退も視野に検討を続けているが、ウクライナ侵攻開始から半年が過ぎても目立った進捗はない。イタリアのウニクレディトも現時点では投融資規模の圧縮にとどまる。
シティも機関投資家向けのビジネスは維持するとしており、顧客との契約上放棄できない業務もある。米銀JPモルガン・チェースもロシアで機関投資家の株式や債券を保管する業務を手がけている。目立った動きはなく、4月時点でロシアの銀行免許を維持する方針を示している。
ロシアのプーチン大統領は8月5日、「非友好国」の企業がロシアのエネルギーや金融部門の株式を売却することを年末まで禁じる大統領令に署名した。資本の引き揚げを伴うロシア撤退はさらに難しくなりそうだ。ハンガリーのOTP銀行の幹部は11日の決算説明会で、検討中のロシア事業売却はこの影響で遅れる可能性があるとの認識を示した。』
「最後の市場」アフリカ、成長の条件を探る
TICAD27日開幕(日経・FT共同特集)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD03AW40T00C22A8000000/


『第8回アフリカ開発会議(TICAD8)が27日、チュニジアで開幕する。将来性が期待されてきたアフリカに今、新型コロナウイルス禍や食料危機、地球温暖化など新たな難題が襲う。テクノロジーも活用しながら、経済・社会両面で世界と日本は「最後の市場」にどう向き合うべきか展望した。
人口爆発、活力か重荷か
2075年、世界最大級のメガシティーになるのは東京でもニューヨークでもない。トロント大学の推計によるとキンシャサやラゴス、ダルエスサラームとアフリカの都市が並ぶ。
人口は世界で曲がり角にある。多くの地域で少子高齢化が進み、都市の人口の多さでも75年に東京は13位、ニューヨークは15位に順位を落とす。中国の上海や北京はトップ20から姿を消し、代わりにアフリカ7都市が入ってくる。
世界が人口減に向かうなかでもアフリカは右肩上がりの人口爆発を続ける。国連の最新の推計に基づけば50年時点で人口は現在の1.7倍の24億8500万人、75年に2.4倍の33億6200万人に達する。
人口の多さだけでなく若さもアフリカの特徴といえる。年上と年下の世代が同数となる中央年齢は日本は49歳、英国は40歳。これに対しアフリカは19歳だ。消費への意欲が大きく豊富な労働力にもつながる若年層の厚みは「老いる世界」のなかで存在感を放つ。
日本をはじめアジアのかつての高成長を支えたのは生産年齢人口(15~64歳)の爆発的な増加だ。製造業を中心に経済が活発になり、その世代の貯蓄が投資を通じ需要をさらに拡大させる。こんな好循環があった。
アフリカの潜在力の高さは誰もが認めるところでもアジア型の成長軌道をたどるかどうか。懐疑的な見方は根強い。
例えば南アフリカには、通学・就業せず職業訓練も受けていないニートが15~24歳で380万人いる。この世代の37%を占める。
海上輸送を含め物流が非効率なアフリカでは製造業などの立地が進まず、教育にも課題を抱える。人口増のペースに雇用が追いつかなければ、失業や貧困、教育などの問題は深刻さが増し、成長の重荷にもなり得る。
「話題になるのは不法移民だが、成長にとって深刻なのは合法的な移民のほうだ」。チュニジアのベンアベス元国務長官(米国・アジア担当)は語る。IT(情報技術)エンジニアや医師らが高い給与や処遇を求め、欧米に移住するケースが後を絶たない。
新興国には世帯あたりの年間可処分所得が5000ドル(約67万円)を超えると、冷蔵庫や洗濯機などの保有率が一気に上がる法則がある。
それでもサブサハラ(サハラ砂漠以南)では人口の4割が1日1.9ドル以下で暮らす貧困層だ。「頭脳」の流出を止めながら所得底上げの道も同時に探らなければ、成長のけん引役となる中間層は育ちにくい。
亜細亜大学の大泉啓一郎教授は「都市の競争力が成長のカギを握る」と話す。人口増を見込んだ都市開発がアフリカ各地で進み、付加価値の高いデジタルサービスも広がりつつある。IT産業に従事する中間層の存在は新たな好循環の担い手として期待される。
日本は「人づくり」をアフリカ支援の柱に掲げてきた。留学生の受け入れや職業訓練を通じて人材を育て、日本企業による投資拡大の環境を整える狙いからだ。食料危機など課題の克服とあわせ、人口増を成長につなげる息の長い取り組みが一層欠かせない。
(編集委員 下田敏)
複合危機のアフリカ、日本外交の好機に JICA理事長
国際協力機構(JICA)の田中明彦理事長は、食料危機や気候変動などに直面するアフリカに強い連帯を示すことが「将来の日本外交の視野を広げることになる」と強調した。チュニジアで開催される第8回アフリカ開発会議(TICAD8)にあわせ日本経済新聞社とのインタビューに答えた。
JICAの田中明彦理事長
新型コロナウイルスの感染拡大や干ばつなどの気候変動、ウクライナ紛争に伴う食料不安が重なり、脆弱なアフリカ経済に深刻な影響が及んでいる。
田中氏は「少子高齢化で高成長が見込めない日本にとってはできるだけ多くの国と友好関係を築くのが外交上の課題だ。これらの複合危機に見舞われるアフリカにどう対処するのかを示すTICADは重要な機会になると考える」と語った。
アフリカ経済のレジリエンス(強じん性)を高めるためには人材育成や技術支援、民間企業の投資拡大が求められるとした。「複合危機を乗り越えれば、アフリカ54カ国のうち20カ国ほどはかなりの成長を見込めるだろう。次の危機に備え、オーナーシップ(自主性)を持つアフリカの自助努力を日本が支える必要がある」と述べた。
1993年から始まったTICADプロセスは30年目の節目を迎える。当初は政府開発援助(ODA)によるインフラ開発が中心だったが、最近は技術支援や人材育成などのソフト面が拡大していると指摘。整理・整頓の徹底や作業のムダを排除するカイゼン運動や、農業の生産性向上で成果が出ていると強調した。
ODAについては「役割がなくなったわけではない。紛争などで成長が遅れている国もあり、民間企業が進出できるところばかりではない。ODAで経済発展を担保する必要がある」と述べた。
【関連記事】
・課題の宝庫アフリカ 医療や脱炭素、新技術で挑む
・分断の世界、岐路に立つアフリカ支援
ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』
ザポロジエ原発、電力網から遮断 火災の影響か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR25E8Q0V20C22A8000000/
『【イスタンブール=木寺もも子】ロシアが占拠するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所が25日、ウクライナ国内の電力網から切り離された。運営するウクライナ国営エネルゴアトムがSNS(交流サイト)上で明らかにした。詳しい原因は不明だが、火災の影響としている。
エネルゴアトムなどによると、隣接する火力発電所で起きた火災が原因となり、発電ユニットの電力系統が2度にわたって途切れた。この結果、ザポロジエ原発が国内の電力網から切り離され、非常システムが働いたという。その後すぐに代替のディーゼル発電機が電力供給を再開した。
エネルゴアトムは火災の詳細な原因には触れていないが、「侵略者の行為」が引き起こしたことだとしてロシア側を非難した。ほかの3本の電力系統はこれまでのロシアの砲撃で損傷したとしている。
ゼレンスキー大統領はビデオ演説で、ディーゼル発電機など安全システムが正常に機能しなかった場合、放射線漏れが起きていたと指摘した。そのうえで「ロシアはウクライナや欧州を放射線災害すれすれのところに追い込んだ」と訴えた。
欧州最大級の原発であるザポロジエ原発はロシアが占拠した後も、エネルゴアトムのウクライナ人職員による運転が続いている。今月に入って砲撃が相次ぎ、原子力災害への懸念が強まっていた。ロシアとウクライナは互いに砲撃は相手方の仕業だと主張している。
国際原子力機関(IAEA)は現場の状況を確認するため、専門家の派遣に向けて調整を進めている。ロイター通信によると、ウクライナのハルシチェンコ・エネルギー相は25日、派遣は9月上旬までの「近日中」に実現するとの見通しを示した。
ロシアもIAEAの専門家受け入れには前向きな姿勢を示している。一方、ウクライナや国連が求めている原発の非武装地帯化は拒否した。
米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は25日、「ロシアは原発周辺の非武装化を受け入れるべきだ」と発言した。
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分析・考察
原発の軍事目標化。恐ろしい悪夢ですが、もうそのパンドラの箱は開いたと考えるべきでしょう。
軍事・テロのリスクに加えて、特に日本では大きい地震・津波のリスク、人的ミスのリスク。これら全てが原発のコストですが、その最大の問題は、今回のように、コストの大きさを事前予測できないことです。これに対して、再生エネルギーや省エネルギーは、(ある程度は)コストを予測できます。
リスク管理の世界では、予測不能かつ取りかえしのつかないコストは忌避するのが基本ですが、さて原子力リスクの恐ろしさを一番知っているはずの日本は、どんな選択をするのでしょう。ニュースを見ながら、そんなことを考えました。
2022年8月26日 7:50』