「6中全会」緊急リポート 習氏権力闘争の行方

「6中全会」緊急リポート 習氏権力闘争の行方
https://www.nikkei.com/live/event/EVT211027004/archive

 ※ これをキャプチャしてたら、時間を食った…。

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ 中国総局長、高橋哲史さんの後任の人(桃井裕理氏)のリポートだ…。

 ※ 動画(けっこう長い)なんで、オレがキャプチャして「ダイジェスト版」を作った…。

 ※ 非常に参考になった…。

 ※ 特に、習近平氏の考えていること(頭の中)の一端を、知る「手がかり」を得ることができる内容だ…。

 ※ さらには、「習近平氏の権力確立の方法論」が分析されていて、参考になる…。

 ※ 時間があったら、是非視聴することをオススメする…。

※ 今回のものは、「6中全会」だが、「〇中全会」というものを、「5年の任期中に原則7回」やるという”党則(?)”になっていて、それぞれ「1中全会」「2中全会」…「7中全会」と呼ばれるものらしい…。「〇中」とは、「中間の」くらいの意味なんだろう…。「全会」とは、「党中央委員会全体会議」の略称らしい…。「党の主だった幹部(233人と言ったかな…。)」が「勢ぞろい」するらしい…。中国全土から、集結するらしい…。

※ 第1次習近平政権は、2012年から始まっている…。

※ 2次は、2017年から…。

※ だから、今年2021年は、2期目の最後の方の年に当たっている…。計算上は、2022年中に退任のハズだった…。しかし、既に「憲法改正して」、3期目以降も可能な形になっているという話しもある…。

※ 鄧小平氏の「定めた規則(憲法?)」では、「2期まで」となっているので、それを「改変して」、「3期目も」やるつもりなのかが、世界の注目を集めているわけだ…。

※ 東大の川島教授…。第一人者の一人なんだろう…。

※ 「歴史決議」は、過去に2回出されている…。

※ 1回目は、毛沢東時代に…。右派(資本主義的な要素も、取り入れることを可という考え)と左派(それを否定し、共産主義・社会主義を堅持すべきとする考え)の対立・闘争に対して、左派を”是”とする形で決着をつけた…。

※ 2回目は、鄧小平時代に…。毛沢東の「大躍進政策」及び「文化大革命」、それに続く「四人組政治」なんかによる大混乱を「毛の誤り」をある程度は認める形で、収拾した…。

※ 今回の「歴史決議」は、3回目ということになる…。

※ 過去の「歴史決議」は、いずれも「放置しておくことができない対立・混乱」を収拾するために出されていた…。

※ しかし、今回は、そういう「混乱」は生じていないように見える…。

※ それでも「出した」のは、「党100年」の「節目」に当たり、もう一度「引き締める必要」があり、「次の100年に向かって、習近平氏が力強く、その体制を主導して行く」ということを「協調」したかったんだろう…、という見解だった…。

※ ここの話しが、一番参考になった…。

※ 習近平氏の「権力構造」とは、一体どういうものなのか…。彼は、それをどういう方法で構築して行ったのか…。その点の「考察」が、語られている…。

※ 中国共産党の「権力構造」だ…。

※ 第1次政権の頃の、セブンの面々だ…。

※ まだ、「江沢民派」の勢力が強い状況だった…。

※ 2次政権の頃の面々…。

※ 5年かけて、「江派」を一掃したことが分かる…。

※ その「やり方」は、「腐敗・汚職追及」「蠅も、虎も叩く!」を旗印にして、江派の主だった者を、次々と失脚させていく…、というものだった…。

※ 単に「失脚」させるだけでは無い…。

※ その者が「握っていた、利権」を、失わせて、「習近平派のコントロール下」に置いたんだろうな…。

※ その矛先は、「党の要職・政府の高官」だけでなく、「軍人」にも向けられた…。

※ というのは、「江沢民氏」「胡錦濤氏」は、「軍歴」が無かった…。

※ それで、「軍の甘心を買うには、軍を甘やかす」しか無かった…。

※ その結果、「軍は、酷い腐敗に陥った。」…。

※ それを是正するため、「軍高官」を次々と「粛清」して行った…。

※ 郭伯雄氏、徐才厚氏くらいは、オレも耳にしたぞ…。

※ 参謀長が「無期懲役」とか、前代未聞だな…。

※ ということで、習氏は、「既存の人材」を「当てる」ことができなかった…。

※ それで、「どういう人材を、登用したのか」…。

※ それは、彼が「地方回りしている時に、出会って、これはと見込んだ者」を、引き立て・育成して、「自分の勢力」を構築して行った…。上記では、「浙江省時代」「福建省時代」に出会った人材について、語っている…。

※ 上記は、そういう人材の中で、「セブン入り」が取り沙汰されている人たちだ…。

※ 習近平氏は、親父の習仲勲氏が失脚したことに伴って、15才の時から7年間「下放(へき地に、島流しみたいにされること)」された…。

※ 上記は、その「へき地の農村」の様子だ…。

※ その住居の様子…。

※ むろん、電気も無いから、夜は「お燈明」だ…。

※ それでも、彼は、「本ばっかり読んでいた。」そうだ…。

※ 右下の「柵で囲われたもの」は、彼が村人と一緒に掘った「井戸」だそうだ…。

※ 今は、もう「電動ポンプ」になっているそうだが、まだ水は汲めるらしい…。

※ 写真は、若かりし時の習氏か…。

※ やはり、最大の関心事は、「台湾問題」か…。

※ この先生のお話しによれば、中国政府から発表されている「文書」に書かれていることは、「穏健な」「無理のないもの」であるとのことだった…。

※ しかし、「実際に、やっている事」は、相当に手荒い「軍事的な脅迫」に近いものだ…。

※ そこの齟齬を、どう解釈すべきなのか…。どちらに、比重を置いて解するべきなのか、なかなか判断は難しい…、というようなことだった…。

※ Q 王岐山氏と習近平氏との間には、「権力闘争めいたもの」があるのか?

※ A それは、無いだろう。王岐山氏は、前述の下放時代に知り合った仲で(なんでも、隣村に居た王岐山氏を、習近平氏が訪ねて行ったらしい…。遅くなって、一緒の布団で寝たこともあったそうだ)、「権力を争奪する」という関係性には無いだろう。

ただ、習近平氏の立場では、「そういう仲にある、年上の先輩である王岐山氏」と言えども、「党の立て直しのためには」「粛清のナタを振るう」必要があるのだ…、ということを示す必要があるのだろう…。

※ 習近平氏の原点は、やはり、「この下方」体験にあると思われる…。

※ 中国を「富国強兵」するためには、「何としても、中国共産党を立て直して、党の支配のもとに、全人民を集結させて行く他に道は無い!」と、思い定めているのではないのか…。

習近平「歴史決議」――鄧小平を否定矮小化した「からくり」

習近平「歴史決議」――鄧小平を否定矮小化した「からくり」
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20211114-00268048

『習近平の父・習仲勲は鄧小平の陰謀により失脚したのだから、「歴史決議」で鄧小平をどのように位置づけるかが焦点の一つだった。一見、平等に扱ったように見えるが、実は思いもかけぬ「からくり」が潜んでいた。
◆100年の歴史の中での各指導者の位置づけ

 11月11日に公表された第19回党大会六中全会公報によれば、習近平は「歴史決議」の採択に向けた講話の中で、中国共産党建党100年の歴史を、まずは大きく以下のように位置付けている。( )は筆者。

 ――中国共産党建党中央委員会(中共中央)政治局は、中国の特色ある社会主義の大旗を高く掲げ、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、三つの代表の重要な思想(江沢民政権)、科学的発展観(胡錦涛政権)、習近平新時代の中国特色ある社会主義思想を指導とすることを堅持しながら、第19回党大会と第19回党大会一中全会、二中全会、三中全会、四中全会、五中全会の精神を全面的に貫徹し、国内外の大局やコロナ感染防疫や経済社会発展および発展と安全などのバランスをうまく統制しながら統治してきた。そして安定の中でも進歩を遂げ、経済は比較的良好な発展を遂げ、科学技術の自立と自強(自らの力で強くなる)を積極的に推進し、改革開放を絶えず深化させ、貧困との戦いを計画通りに勝ち抜き、民生保障を効果的に改善し、社会の大局的安定を維持し、国防と軍隊の現在化を着実に進めてきた。

 さらに、中国の特色ある大国の外交を全面的に進め、党史に関する学習教育を堅実で効果的に行い、多くの深刻な自然災害を克服するなど、さまざまな事業で重要な新しい成果を上げた。 (引用ここまで)

 その上で、公報は以下のような解説を続けている。( )内は筆者。

 ――中国共産党創立100周年を記念する一連のイベントが成功裏に開催された。習近平中国共産党中央委員会総書記は(一連のイベントの中で)重要な講話を行い、小康社会の全面的な構築完成を正式に発表し、全党と各民族の人民が二つ目の100年の目標(=2049年の建国100周年記念)に向かって力強く雄々しく新征程(新たな遠征の道程)に踏み出すよう激励した。(引用ここまで)

 これがまず冒頭部分で、ここでは「毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦涛、習近平」が唱えた思想が、平等に評価されているかのように見える。

 しかし、この冒頭部分においてさえ、実は見落とせない言葉がちりばめられているのだ。引用文中の太字部分を見てみよう。

1.改革開放は実際上、習仲勲が当時の華国鋒(中共中央主席、中央軍事委員会出席、国務院総理)とともに広東省深圳市で「経済特区」を唱えて始まったものだが、それを鄧小平が思いついたように置き換えてしまったものだ。しかし鄧小平が改革開放を唱えたという概念は固定化されてしまっているので、それを覆すことなく、父・習仲勲が手を付けた改革開放を深化させ、鄧小平が先富論によって招いた貧富の格差(=鄧小平の負の遺産)を無くす方向に動いたことを暗示している。

2.国防と軍隊の現代化は、11月13日のコラム<習近平「歴史決議」の神髄「これまで解決できなかった難題」とは?>で書いたように、軍部における腐敗撲滅を実行しなければ実現不可能だったので、暗に腐敗撲滅に動くどころか、腐敗を招いた鄧小平を批判している。

3.最も明確なのは「党史に関する学習教育を堅実で効果的に行い」という部分だ。鄧小平は、拙著『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』で詳述したように、毛沢東が後継者にしようと位置付けていた(陝西省や甘粛省などを含む)西北革命根拠地における功労者・高崗(当時の国家計画委員会主席、人民政府副主席、人民革命軍事委員会副主席)を虚偽の事実を捏造して1954年に自殺に追い込み、1962年には同じく西北革命根拠地を築き上げ毛沢東の「長征」の終着点としての「延安」を用意していた習仲勲を同じく虚偽の事実を捏造して1962年に失脚させたために、「党史」を直視することを回避した。鄧小平時代、「長征」も「西北革命根拠地」もタブー視され、中華人民共和国が如何にして誕生したかということを含めて、語ってはならないことのように位置付けられてきた。

それを徹底的に覆そうとしている現象の一つが「党史に関する学習教育」なのである。

4.その意味で「長征」を正視することの意味合いは大きく、「習近平新時代の思想」を、「新たな長征」への試みであるとして「新征程」と位置付けている。これは即ち、「毛沢東の長征」と「習近平の新征程」を同等あるいはそれ以上に置いて、世界のトップを目指す決意を表している。

◆「難題を解決した」とすること自体が「最大の鄧小平批判」

 11月13日のコラム<習近平「歴史決議」の神髄「これまで解決できなかった難題」とは?>に書いたように、まだ公報段階ではあるが、そもそも「歴史決議」に、「長きにわたって解決したいと思ってきたが解決できなかった難題を解決した」ということが盛り込まれていること自体が、最大の鄧小平批判なのである。

 「毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦涛、習近平」の中で、「腐敗と闘わなかった」のは「鄧小平と江沢民」だけだ。

 1989年6月4日に起きた天安門事件で若者が叫んだのは主として「民主」ではあるが、同時に党幹部の汚職、すなわち「腐敗」も批判の対象となっていた。しかし鄧小平は党や政府を糾弾する若者たちの叫びを武力によって鎮圧し、「腐敗」を黙認している。

 こうして鄧小平の独断で中共中央総書記に指名した江沢民は、「金(かね)」によってしか権力を高める道がないため、「金を仲介とした縁故関係」によって中国を底なしの「腐敗地獄」へと持って行った。

 その腐敗と闘おうとした胡錦涛を、江沢民はチャイナ・ナイン(中共中央政治局常務委員会委員9人。筆者命名)に送り込んだ刺客によって封じ込め、腐敗をさらに蔓延させてしまった。

 したがって習近平が「歴史決議」で「長きにわたって解決したいと思ってきたが解決できなかった難題を解決した」のは鄧小平に対する巨大な批判であり、鄧小平に対する「圧倒的な勝利」なのである。

 これが、父親を破滅に追い込んだ鄧小平に対する、習近平の「復習の形」なのである。

 少なからぬチャイナ・ウォッチャーは習近平の「歴史決議」には何も書いてないと評しているが、『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』の真相を知らない限り、習近平の「歴史決議」からは、何も読み取れないだろう。

 ということは、習近平の正体を正確に読み解くことは出来ないということだ。

 少なくとも『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』を書いた筆者の視点から見れば、六中全会の広報は、書ききれないほどの豊富な情報を含んでおり、興味深くてならない。

◆鄧小平を希薄化した、笑ってしまうような六中全会公報の「からくり」

 実は六中全会公報を読んで、思わず声を出して笑ってしまった「からくり」がある。

 というのも、11日に公報が初めて公表された時、筆者はナマで中央テレビ局CCTVの報道を見ていた。

 すると、「江沢民」と「胡錦涛」への賛辞に関して、間をおいてから、もう一度類似のことを言ったではないか。

 えっ?

 なにごと?

 聞き間違えたのか、それともCCTVが放送事故でも起こして、壊れたレコードのように同じ場所を2回繰り返してしまったのだろうか?

 ひどく慌てて文字版を読んでみたところ、なんと、本当に江沢民と胡錦涛に関しては2回も言っていたことが判明した。

 すなわち、「毛沢東→鄧小平→江沢民→胡錦涛→習近平」の順に建国後の指導者の業績を言った後に、もう一度「江沢民+胡錦涛」に関してだけは繰り返して業績を讃えたのである。

 毛沢東に関しては中国共産党建党から建国前までの業績があるので、当然誰よりも多くなるが、「鄧小平、江沢民、胡錦涛」を平等に扱ったままだと、鄧小平を特に希薄化したことにならない。

 そこで「江沢民+胡錦涛」をさらに、もう一度讃えれば、相対的に「鄧小平の部分」だけを「最小化」することができるわけだ。

 面白くなってしまって、文字数を数えてみた。すると以下のような結果が出てきた。

    毛沢東建国前:493

    毛沢東建国後:460

    毛沢東全体:953

    鄧小平:385

    江沢民:285、2回目の201を加えると全体で285+201=486

    胡錦濤:218、2回目の201を加えると全体で218+201=419

    習近平:124+514+216=854(3段階に分けて言及)

    (但し2回目の文字数は「江沢民+胡錦涛」402文字を2分した。)

 このように、結果として「鄧小平に関して論じた部分が最小になる」という、なんとも凄まじい「精緻な」計算をしていることに気づいたのだ。

 笑わずにはいられないではないか。

 それも「江沢民+胡錦涛」の部分は、この二人だけ2回繰り返して言ったことが目立たないように、二人を混然一体となる形で、つまり単独に繰り返したと分からないように工夫して論じている。

 知能犯というか、「涙ぐましい」とさえ思ってしまった。

 既に中国でも定着してしまっている鄧小平への評価を、真正面からは否定できないが、しかし実際上は否定するという工夫までしているところが興味深くてならない。

 もっとも、鄧小平を神格化することに最も貢献したのは日本である。

 そのことは拙著『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』の「まえがき」および「第七章の四」で詳述した。

 日本政府は、鄧小平神話を形成することによって中国の経済発展に貢献した自民党政権の責任を直視し、自公連立政権で、さらにそれを助長しようとしていることを認識すべきだろう。

遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史  習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。』

「宮崎正弘の国際情勢解題」令和三年(2021)11月16日(火曜日)

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)11月16日(火曜日)
通巻第7117号   <前日発行>
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 ※ こっちは、また「辛辣」だ…。

 ※ しかし、「ただ罵っている」だけでは、「分析」では無い…。

 ※ 「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず。」だ…。

 夢遊病者の悪質で幼稚な作文が習近平の六全中会報告
  マルクス・レーニン主義を構え直し、西側資本主義社会に挑戦を宣言
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 それにしても幼稚な作文としか言いようがない。
 「100年に亘る奮闘の重大な成果と歴史経験」なる決議文は、毛沢東、トウ小平と習近平を並べての自画自賛。思い上がりを周囲の誰も諫言できなかったのだ。

 曰く。
 「中央政治局は中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高く掲げ、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、トウ小平理論にくわえて『三個代表論』(江沢民)、『科学的発展観』(胡錦涛)、そして習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想を指針として堅持した」(すでに絶滅したマルクス・レーニンの亡霊が甦ったのかな。「偉大な」トカ「高く掲げて」トカの常套句は左翼特有のアジテーション語彙だ。

 また曰く。
 「科学技術の自立自強に向けた取り組みを積極的に進め、改革開放を不断に深化させた。貧困脱却の艱難攻略という戦いに予定どおり勝利した」(自立の技術なく、すべてを日米から盗み出し、貧困は深まり、一部の富裕層だけが肥ったことは『予定通り』だったけど)。

 「全党は唯物史観と正しい党史観を堅持し、過去に我々が何故勝利出来たかを見極め、初心を貫き使命を貫徹してゆく」(要するに嘘八百の党史観がただしい歴史観、つまり「正しい」という形容詞は、自己礼讃用語である)。

 「中華民族の復興を図ることは自らの初心、使命として、つねに共産主義の理想と社会主義の信念を堅持し、全国各民族を団結させ率いて、民族の独立と人民の解放を達成し、国家の富強と人民の幸福を実現するために」(団結とはほど遠い少数民族問題は看過した)。
 
 そして獅子吼した。
「過去の奮闘は『歴史における最も壮大な叙事詩』が書き上げられた」(もっとも悲惨な歴史記録を壮大な叙事詩とすり替えるのはアジテーションの芸術とも言える)。

 またまた曰く。
「旧中国の半植民地半分封建社会の歴史に完全に終止符を打ち、ごく少数の搾取者が広範な勤労人民を支配する歴史を完全に終わらせた」(この文言に行き当たると、えっと声をあげる。「極少数の搾取者」とは中国共産党幹部であり、「広範な勤労人民を支配」しているも中国共産党であるという実態を、こういう風に表現するんだ)。

 ▼香港とマカオは「愛国者の統治」とか

 そうやって「持続可能な発展」に取り組むそうだが、香港とマカオから自治を取り上げ、一国両制度の約束を踏みにじったことは「愛国者による香港統治」「愛国者によるマカオ統治」と置き換えられる。都合の悪いことはすべて「愛国」で誤魔化すわけだ。
 
 そして今後の計画は「四つの意識」「四つの自信」「二つの擁護」「五位一体」「四つの全面」という漢詩的語彙をきらびやかに並べて、まるで中味のない報告を派手な飾りをもって誤魔化した。
 ちなみに「四つの意識」とは政治、大局、核心、一致の意識だそうな。
ただし注目は「二つの擁護」であり、習近平の党中央と全党の核心としての地位を守ること。党中央の権威と集中的の徹底も擁護するとは、言葉を換えて言えば全体主義の独裁をますます強めるということである。

 結語は「中華民族の偉大な復興と中国の夢の実現であり、勝利の栄光を勝ち取った中国共産党と中国人民は、必ずや新時代の新たな道のりで勝利することが可能と確信している」となる。

 「中華民族」なる創造上の概念は存在しない。文化人類学的にも存在しないし、まともな神経の持ち主なら「中国の夢」とは悪夢であることくらい、党指導部は了解しているのではないか。
 もっとも、台湾侵略に触れていないが、この「中華民族の偉大なる復興」には、台湾を含めているから、わざわざの表記を避けたということだろう。

    ○△□◇ミ◎○△□ヤ○△□◇ザ◎○△□キ△□◇◎  

習氏を待つ「独裁のワナ」 狭まる世界の予見性

習氏を待つ「独裁のワナ」 狭まる世界の予見性
中国共産党、6中全会で第3の「歴史決議」採択
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM062DG0W1A101C2000000/

『「歴史は勝者がつくる」というが、11日に中国で新たな歴史が紡がれた。中国共産党は毛沢東、鄧小平の時代に続く第3の歴史決議を採択し、習近平(シー・ジンピン)党総書記(国家主席)は新時代をも担い続ける唯一無二の指導者になろうとしている。

100年分の歴史決議の概要でほぼ半分を占めた習氏に関する記述は輝かしい賛美であふれていた。これが中国にとって未来も変わらぬ真実の歴史となるかはわからないが、習氏の権力闘争のリアルな軌跡を表しているのは間違いない。

2012年の政権発足時、習氏の政権基盤は決して強くなかった。前任の江沢民(ジアン・ズォーミン)、胡錦濤(フー・ジンタオ)両氏のように「鄧の指名」という大義名分もなく、集団指導体制を支える党中央政治局常務委員会を始め、あらゆる方面に江氏の影響力が及んでいた。

それでも習氏が今日の力を勝ち得た背景には、歴史決議にも記された反腐敗運動や人民解放軍改革を通じた利権集団との闘争がある。

政敵の扱いは苛烈だった。周永康元中央政治局常務委員や薄熙来元重慶市党書記・中央政治局委員、軍の制服組ツートップなど何人もの幹部が刑に服した。

鄧小平の親族で江氏に近い保険会社董事長、呉小暉氏は懲役18年と857億元(約1兆5000億円)の財産没収となった。江氏一派の資金洗浄役とされた投資家の肖建華氏は香港で連行されて行方不明、同じく頼小民氏は判決から3週間後に死刑となった。

今回の歴史決議は「社会主義現代化国家の全面建設」や「共同富裕」など習氏が掲げる政策を未来への道筋と定め、習氏の長期政権を可能とする権威と論理を確立した。

では、習氏の闘争は終わりを迎え、党は安定期に向かうのか。現実には、習氏自らが傾倒する党の本質がそれを阻む可能性が高い。

「我々は革命者だ。社会革命を継続しなければならない」。習氏は17年党大会後の勉強会で党の精神を改めて定義づけた。一時盛り上がっていた「革命党」から「執政党」への脱却論を打ち消した形だ。

習氏の言い回しは毛が唱えた継続革命論と似通う。人は絶えず旧体制や資本主義への逆行を謀るため革命は継続されねばならない――。毛はこんな主張を借りて反右派闘争や文化大革命を仕掛けては自身の権威を高めた。

一方、鄧による1981年の歴史決議は闘争論を否定し、個人崇拝を禁じた。鄧が敷いた集団指導体制は今、習氏のもとで次第に形骸化し、共産党は執政党から遠ざかりつつある。そして今回の歴史決議は改めて権力一極集中へのパラダイムシフトを決定づけた。

習氏が毛の継続革命を継承するならば習氏の闘争に終わりはない。その先に待つのは「独裁のワナ」だ。粛清をすればするほど潜在的な敵は増え、恐怖政治を先鋭化せざるを得なくなる。

6中全会に向けて党系メディアが習氏の礼賛記事を量産していた10月中旬、「解放軍報」の片隅に奇妙な記事が載った。内容は中国人なら誰でも知る明時代の史実のみ。意図は不明だが、要約すると「退位した皇帝が帝位を奪還した時、臣下は反対せずに受け入れた」。習氏は軍を掌握したが、その過程で多くの人が闘争に巻き込まれた。深層にひそむ人々の心を見極めるのは容易ではない。

政治体制の脆弱化も避けられない。為政者を喜ばすために情報の美化は加速し、いつしか指導者自身も何が真実かわからなくなる。ブレーンも後継者も育たない。

「2020年末までに貧困人口をゼロにする」。15年に習氏が掲げたこの目標を死守するため、地方政府は躍起になって資金をつぎ込んだ。いま多くの寒村には真新しいアパートや各種インフラが立ち並ぶ。

10月上旬、貴州省畢節市は同市幹部が国家安全省から表彰されたと発表した。脱貧困を取材していた海外メディアを通報したためだ。脱貧困が「人類の奇跡」(人民日報)なら、なぜ外の目を恐れる必要があるのか。

米中対立や台湾有事、中国景気や不動産バブル――。中国は今や世界の命運をいくつも握る。その行方を揺るがす習氏が「オルタナティブファクト(もう一つの真実)」の世界に生きていればどうなるか。世界の予見性は狭まるばかりだ。

年内に習氏はバイデン米大統領とオンライン会談を予定する。習氏の耳に言葉を届けられるのはもはやトップの孤独を共有できる為政者同士しかいないかもしれない。習氏をいかに世界につなぎとめるか。それが新たな世界の課題になろうとしている。

(中国総局長 桃井裕理)』

コロナ対策、岸田首相は脱「厚労省」試す 財務省を軸に

コロナ対策、岸田首相は脱「厚労省」試す 財務省を軸に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA023F10S1A101C2000000/

 ※ 非常に興味深い内容だ…。

 ※ 安部さんの時に、コロナ対策でもたついたのは、厚労省中心で行ったからなのか…。
 ※ それを、菅さんが財務省中心で行って、バンバン、ワクチンを打ちまくったのか…。
 ※ 岸田さんになっても、引き続き財務省が重きをなしていると言うわけか…。

 ※ 当初、相当に「強毒ウイルス」という認識で、厚労省の言うことに重きを置いたが、「それほどでもない…。むしろ、弱毒ウイルスだ…。」という認識となった話しも、興味深い…。

 ※ いずれ、各省庁は、「自省の勢力を伸長しようとして」、陰に陽に「政権中枢に働きかける」ものであることは、確かのようだ…。

『岸田文雄首相は「第6波」対策の全体像のとりまとめ作業で厚生労働省に依存しない手法を試行した。実務で財務省出身の官僚が主軸となった。政策決定で「岸田官邸」が機能するかは来年夏の参院選に向けた政権運営を左右する。

首相は12日、全体像を決めた新型コロナウイルスの対策本部で「まず重要なのは最悪の事態を想定し、次の感染拡大への備えを固めることだ」と語った。

全体像は10月15日に示した「骨格」を基礎に作成した。デルタ型より感染力が2倍程度のウイルスが広がると想定し、入院患者の受け入れを3割増強する内容だ。従来は医療界に配慮して踏み込んでこなかった施策を含む。

「感染力2倍という前提はいいかげんな話だ。専門家の意見を聞いてほしい」。10月26日、厚労省の専門家組織「アドバイザリーボード」(座長・脇田隆字国立感染症研究所所長)で骨格に批判が相次いだ。

感染症の専門家には意見を聞かれずに作られたとの不満がある。骨格作りに厚労省はほとんど関与していない。医療界や専門家の意見に沿って主張しがちな同省が主導していないため、関係者に不満が募る内容となっている。

実務の中心を担ったのは財務省出身の首相秘書官、宇波弘貴氏だった。厚労予算を査定する主計局次長や主計官を長年務め、首相が要望してこのポストに置いた。

財務省がもともと推薦した中山光輝氏と合わせ同省出身の秘書官は2人体制になる。菅政権で置いた厚労省出身の秘書官は採用しなかった。

安倍、菅両政権では首相補佐官だった国土交通省出身の和泉洋人氏が厚労省や同省出身者が室長を務める内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室を指揮してきた。和泉氏は岸田政権発足に合わせて退任した。

政府の新型コロナ感染症対策分科会(尾身茂会長)も積極的に提言した。経済財政・再生相だった西村康稔氏が政府で専門家の意見を反映させるように動いた。

「厚労省は言うことを聞かないんだろ」。首相は就任前から、同省が首相官邸の意向に沿って動かない印象を抱いていた。

前政権は菅義偉前首相自らが主導したワクチン接種で1日100万回を超えるペースを実現する一方、医療体制の整備は「厚労省の壁」に阻まれた。首相が政権発足時に財務官僚に実務を担わす体制を選んだ背景にある。

首相は11日、首相官邸で菅氏と会い、ワクチンで感染状況が抑えられていると謝意を伝えた。菅氏からは「総理が自分で直接指示しないと役所は動きませんよ」と助言を受けた。首相の頭には菅前政権の教訓がある。

首相が掲げる「新しい資本主義」は分配政策が特徴で、厚労省の所管になる分野が多い。目玉である看護師や介護士、保育士の賃上げは同省だけに任せず、官邸に「公的価格評価検討委員会」を立ち上げた。宇波氏ら「財務官僚」が調整の中核を担う。

政権の看板政策は首相が20年や今年9月の党総裁選で掲げてきた公約が基本になる。公約をつくってきた首相側近の木原誠二官房副長官が政権発足後も政策全般に目配りする。各省庁は木原氏への説明を徹底している。

(秋山裕之)』

『多様な観点からニュースを考える

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

感染症対策は当初より、医療の目的である感染拡大防止、最終的にはゼロコロナを目指すことと、緊急事態宣言などの行動制限による経済への負担をどう減らすかということのバランスの中で検討されてきた。

当初は未知のウイルスであり、致死性の高い感染症としての認識が強かったため、医療(厚労省)が優勢に立ったが、第一波の後は政治が優勢となり、経済回復を優先した。

しかし、それが結果的に後手に回り、五輪開催という政治資源をマックスに使ったイベントがあったため、医療(厚労省)が優勢な状況にあった。

岸田政権になり、ワクチン接種も進んだことで、今度は景気回復がアジェンダとなった、ということなのだろう。

2021年11月15日 11:21

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峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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ひとこと解説

1990年代半ばに財務省(当時は大蔵省)主計局を取材しました。

かつては長く「官庁の中の官庁」と呼ばれ、内部で外交・内政から野党の審議拒否、調整期間まですべての要素を織りこんで法案など重要案件のスケジュールを組み立てる「国会カレンダー」をつくり、時の自民党政権と連携しながら陰の実力者の地位を不動のものにしていました。財務省出身の首相秘書官も他省庁に比べ実質「格上」でした。

近年は財務省の相対的地位が低下し、安倍政権では経済産業省が力を強めました。

旧大蔵・財務省と縁の深い宏池会政権の久しぶりの誕生によって、コロナ対策に限らず政権内や霞が関の力学に変化が生じる兆しが見えます。

2021年11月15日 9:19』

大手銀5行、コロナ禍でも最高益へ 倒産が歴史的低水準

大手銀5行、コロナ禍でも最高益へ 倒産が歴史的低水準
5グループの4~9月期純利益 大幅増益に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD125R10S1A111C2000000/

 ※ ちょっと意外な話しだ…。

 ※ 『最大の増益要因は与信費用の少なさだ。融資が焦げ付く危険性があると見て、あらかじめ費用として積み増していた貸倒引当金を使わずに済んだ。三井住友と三井住友トラストは引当金を取り崩し、傘下銀行が「戻り益」を計上した。4グループ合計の与信費用(傘下銀行合算)は8割強減少の332億円で、前年同期と比べ2000億円近く利益を押し上げた。』ということなんだが…。

 ※ 飲食、宿泊、航空業界なんかは、「需要の消失」で大打撃なのは確かのハズだ…。
 ※ 政府の「手厚い保護策」が奏功した…、ということなんだろうか…。

『大手銀行5グループの連結純利益が新型コロナウイルス禍で不透明感が漂う中、最高益を更新する勢いだ。4グループの4~9月期の合計額は前年同期比66%の大幅増益。コロナ禍に伴い経済活動が停滞したものの、倒産件数が歴史的な低水準だった結果、損失計上を回避した。海外や個人分野で事業が復調し始め、15日に発表する三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)も最高益を更新する見通しだ。

【関連記事】

・三井住友FGの4~9月、純利益69%増 与信費用が減少
・みずほ、純利益8割増も障害重荷 新サービス投入できず

三井住友FG、みずほFG、三井住友トラスト・ホールディングス(HD)、りそなHDの決算が12日に出そろった。4グループ合計の4~9月期の純利益は前年同期比66%増の1兆335億円で、コロナ禍前の19年4~9月期(9026億円)を上回った。

MUFGの4~9月期決算も前年同期(4008億円)を大きく上回る見込み。与信費用が減り、持ち分法適用会社の米モルガン・スタンレーの業績好調が寄与したもよう。上半期で過去最高だったのは米モルガン出資に伴う負ののれんが生じた11年4~9月期(6960億円)。負ののれんをのぞいた実質ベースでは18年4~9月期(6507億円)。今中間期はいずれも超えそうで、通期で最高だった15年3月期(1兆337億円)を超えるかが注目点になりそうだ。

5グループ合計で上半期に過去最高だったのは18年4~9月期(1兆6964億円)。三井住友トラストが発足し11年3月期に今の5グループ体制になったが、メガバンク体制が整った03年3月期までさかのぼっても最高だった。今回、MUFGが最高益を更新すれば、リーマン・ショック前の最高値(06年4~9月期の1兆6712億円)を再び超えることになる。

最大の増益要因は与信費用の少なさだ。融資が焦げ付く危険性があると見て、あらかじめ費用として積み増していた貸倒引当金を使わずに済んだ。三井住友と三井住友トラストは引当金を取り崩し、傘下銀行が「戻り益」を計上した。4グループ合計の与信費用(傘下銀行合算)は8割強減少の332億円で、前年同期と比べ2000億円近く利益を押し上げた。

東京商工リサーチによると、4~9月の倒産件数は57年ぶりの少なさ。歴史的な低水準が銀行業績を押し上げる構図だ。

一方、成長を見込める分野で事業が回復し始めていることも大きい。その象徴が海外の投資銀行部門だ。

増益率が4グループ中、最高だったみずほは米国でのM&A(合併・買収)の助言や株式・債券の引き受け業務が好調だった。関連部門の業務純益は2割増えた。

各国中央銀行の積極的な金融緩和策を背景にカネあまりの様相が強まっている。ファンドによるM&A(合併・買収)や新規株式公開(IPO)、株式や社債の調達が活発になっており、追い風が吹いた。

米国勢も大幅増益基調で、7~9月期の最終増益率はゴールドマン・サックスが6割、モルガン・スタンレーが約4割に上った。

もう一つが国内における個人や中小企業向けリテール事業だ。

資産運用や不動産仲介が好調で、本業のもうけを示す業務純益が2割超増えた三井住友トラストの高倉透社長は「かなり手応えのある決算だった」と語る。

三井住友は中小企業の再編や不動産売買に伴う収入が増加。株高を背景に金融商品の販売も好調で、りそなも個人向けの投信販売やファンドラップが伸びた。「ずっと種をまいてきたストック型の収益が実ってきた」(りそなHDの南昌宏社長)という。

4グループ合計の連結業務純益は6%増の1兆3159億円。純利益と比べ伸び率が低調なのは、本業の稼ぐ力に課題が残っているからだ。

みずほは顧客部門で大幅に伸びたが市場部門の反動減で連結の業務純益はほぼ横ばいだった。みずほの場合、店舗統廃合などを進め採算確保を目指しているものの、国内の銀行単体の総資金利ざやはマイナスのまま。度重なるシステム障害の対策投資枠として通期で130億円も計上した。

22年3月期の通期の純利益見通しは、4グループ合計で1兆5000億円。18年3月期以来、4年ぶりの高水準を予想するものの、通期業績見通しを上方修正した三井住友とみずほの4~9月期の進捗率は約7割におよぶ。「足元の業績に比べて上方修正幅が慎重と言わざるをえない」(国内証券アナリスト)

慎重姿勢で構えているのはなお漂う不透明材料だ。

「半導体をはじめ供給網の寸断やエネルギー価格の高騰など不確定要素があるので十分注意しなければならない」。三井住友FGの太田純社長は警戒する。

「このまま回復に向かっていくとみるのは時期尚早」。みずほFGの坂井辰史社長は世界的な供給制約による取引先企業の業績悪化に備え、与信コストを積み増している。コロナ禍が一本調子で終息するか、なお半信半疑で見ている。

コロナ禍で支援した企業が再生できるか見極めるには時間がかかる。倒産が歴史的な水準で推移しているのは銀行が資金繰りを支援している成果だが、損失リスクがなくなったわけではない。』

COP26、立ちはだかった中印 土壇場で文書修正

COP26、立ちはだかった中印 土壇場で文書修正
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR134J40T11C21A1000000/

『【英北部グラスゴー=竹内康雄】13日夜に閉幕した第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)。最大の焦点だった石炭火力の利用に関する合意文書の表現は「段階的廃止」から「段階的削減」に最終局面で書き換えられた。土壇場で表現を弱めざるを得なかったのは、10月31日に開幕して以降、先進国ペースで交渉が進んできたことへの新興国の強い反発があったからだ。

【関連記事】「気温1.5度内追求」COP26閉幕、石炭火力は段階的削減

もともと新興国に不満はくすぶっていた。そこで議長国の英国は12日までの予定だった会議を延長し、13日朝に合意文書の再改訂案を各国に提示した。「誰かが引っ張れば、合意は簡単に壊れてしまう」。全体会合でシャーマ議長は文書は微妙なバランスの上につくられたと説明し、合意を促した。

「満足はしていないが、妥協の精神を持ちたい」(カリブ海の島しょ国アンティグア・バーブーダ)。「完璧ではないが、受け入れられるものだ」(コスタリカ)。多くの途上国は不満をあらわにしつつ、受け入れると表明した。

ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)は「力強い文書だ」と評価し、欧州連合(EU)のティメルマンス上級副委員長が「緊急性を持って行動するよう背中を押す内容だ」と語ったのとは対照的だった。ここまでは先進国ペースで会議で進んでいたことを示す。

シャーマ議長が示した再改訂案に途上国は2つの点で不満があった。

一つは先進国から途上国への排出削減に向けた資金支援だ。先進国は2009年、20年までに年1000億ドルを支援すると約束したはずだった。その達成は22~23年にずれ込む。途上国は「約束を破った」と非難した。文書は「深い遺憾」を表明し、できるだけ早く達成するとの努力目標を示しただけだった。

もう一つは温暖化に伴う異常気象など「損失と被害」に関する対応だ。途上国は温暖化で受けた被害を相殺するため、先進国に具体的な資金支援計画をつくるよう求めていた。しかし気候変動論議のけん引役であるべき米国とEUが最後まで首を縦に振らず、新たな対話の場を設けるにとどまった。

強い政治力と資金力を持つにもかかわらず、自らに有利なように交渉を進める先進国。ボリビア代表からは「我々は炭素(カーボン)植民地主義にとらわれるのを拒否する」との声が漏れた。

それでも合意案(再改訂案)は採択されるとみられていた。会場の空気が変わったのは13日夕。中国とインドが立ちはだかった。「経済発展と貧困の撲滅を追求する途上国が、石炭を段階的に廃止するなどと約束できるだろうか」。インドのヤダフ環境相が反対論をぶち上げると、会場がざわついた。

土壇場での予期せぬ異議申し立てに会議(全体会合)は急きょ中断された。実質的に途上国の後ろ盾となっている中国もインドに同調。ケリー氏ら米中印EUの代表が別室に移動して協議に入った。数十分後に4人が出てきた後もシャーマ氏が手にノートを持ちながら最終的な文言調整に奔走した。

シャーマ氏が全体会合を再開すると、ヤダフ氏が「段階的廃止」から「段階的削減」に変更するよう逆提案。押し戻された先進国と、温暖化の影響をうけやすい島しょ国などは相次いで「最後の最後での表現変更には失望した」(マーシャル諸島)と発言したが、合意の採択自体は容認した。

最終局面で中印に譲歩したCOP26。先進国に気候変動対策の主導権は握らせないという新興国の意思表明にみえた。石炭廃止に力を注いでいた英国にとって、この変更は小さくない。「深い失望を理解する。全体の合意を守ることも重要だ」。英出身のシャーマ氏はうつむきながら語った。

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森幹晴
弁護士・東京国際法律事務所 代表パートナー
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別の視点

気候変動枠組み条約の脱石炭火力は、単なる気候温暖化防止の視点だけでなく、欧米主導による脱炭素ベースの世界経済へのゲームチェンジの取り組みと捉える必要がある。

産業革命以来、化石燃料で先進国が築いてきた経済モデルを後から猛追する途上国を封じ込め、欧米が主導権を握る世界経済構造を構築する意図がある。

その中心領域がエネルギー業界と自動車産業だ。中国、インドが反対の声を上げたが、石炭火力に頼る日本が封じ込められる側に回るのは標準化競争に後手を踏むことになり、将来の世代と日本経済にとって得策でない。こうしたゲームチェンジの意図を理解し、政府、産業界を挙げて産業構造を変えていく戦略と覚悟が求められるだろう。

2021年11月15日 10:29 (2021年11月15日 10:30更新)

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高村ゆかり
東京大学未来ビジョン研究センター 教授
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ひとこと解説

赤川編集委員のコメントに賛同。

COP26の最後で石炭火力に関する文言が争点となった。合意文書の文言は「段階的廃止」から「段階的削減」に変わり、弱いものとなったとはいえ、エネルギーの選択は国の主権の問題であるとして、これまでの合意文書では「石炭火力」が言及されてこなかったことから考えると、「削減」の文言は石炭火力からのエネルギー転換の大きな潮流を感じる。
英国、イタリア作成の「石炭からクリーン電力への移行」声明は、主要経済国は遅くとも2030年代、世界で遅くとも2040年代の石炭火力廃止を盛りこむが、韓国、インドネシア、ベトナムも含む約50カ国が参加。こうした動きをしっかり見据える必要がある

2021年11月15日 5:18

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松尾博文
日本経済新聞社 編集委員・論説委員

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別の視点

欧州の失望はいかばかりでしょう。

これで石炭火力は延命したと考えるのも早計でしょう。

ただ、インドの立場で考えてみるとどうでしょうか。13億の民の代表としてCOPに臨んだ環境相はあの場であの一言を言わなければ国に不利益をもたらしたと責めを受けるでしょう。

パリ協定を維持・前進させるには、先進国が途上国に「気候正義」を押し付けるのではなく、排出削減に共に取り組み、利益も負担も分け合う環境の醸成が必要ではないでしょうか。

そうでなければ遠からずパリ協定は崩壊する、そんな気がします。

2021年11月15日 8:45 (2021年11月15日 8:50更新)

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赤川省吾
日本経済新聞社 欧州総局編集委員

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今後の展望

石炭火力の継続が容認された、と思って日本は安心すべきではありません。確かに石炭火力についての合意文書の表現は「段階的廃止」から「段階的削減」に弱められました。だからと言って欧米諸国が石炭火力の廃止を撤回するわけではありません。

日本の試練は来年のG7。議長国ドイツは温暖化対策を議題に据えるつもりです。

先日、次期首相ショルツ氏と夜半過ぎまで飲む機会がありました。長時間にわたる議論からは「環境問題を牽引しなくては」という使命感が感じられました。年内にも発足するドイツ新政権には環境政党の緑の党が与党として加わります。

G7で孤立しないためにも日本は石炭火力廃止に向かうべきだと私は考えます。

2021年11月14日 22:57 』

7~9月の実質GDP、年率3.0%減 2期ぶりマイナス

7~9月の実質GDP、年率3.0%減 2期ぶりマイナス
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA129QR0S1A111C2000000/

『内閣府が15日発表した2021年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.8%減、年率換算で3.0%減だった。マイナス成長は2四半期ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言などで個人消費が落ち込み、自動車の減産で輸出も伸び悩んだ。

年率換算のマイナス幅はQUICKがまとめた7~9月期の民間エコノミスト予測の中心値(年率0.7%減)を大きく上回った。前期比で0.8%減った要因をみると、内需が0.9ポイント分押し下げ、外需が0.1ポイント分押し上げた。

GDPの半分以上を占める個人消費は前期比1.1%減と、2四半期ぶりに減少した。自動車の販売減が響いたほか、パソコン需要が一服するなど家電も落ち込み、耐久財は13.1%減で2四半期ぶりに減少した。衣服などの半耐久財も5.0%減だった。サービス消費は0.1%増とほぼ横ばいだった。外出自粛や飲食店での時短営業による消費抑制が続いた。

内需のもう一つの柱である設備投資は3.8%減で、2四半期ぶりのマイナスだった。企業の投資意欲は底堅いものの、自動車や生産用機械などが振るわなかった。半導体不足も影響した。住宅投資は2.6%減、公共投資は1.5%減だった。

政府消費(政府支出)は1.1%増で2四半期連続のプラスだった。新型コロナのワクチン接種が進み、ワクチンの購入や接種にかかる費用が増えたのが要因だ。

外需では輸出が2.1%減り、5四半期ぶりにマイナスに転落した。東南アジアでのコロナ感染拡大による部品供給の遅れや半導体不足を受けた自動車の減産が響いた。輸入も2.7%減で4四半期ぶりに減少した。携帯電話や衣服などが減った。

収入の動きを示す雇用者報酬は名目で前年同期比1.8%増となった。

10月以降は緊急事態宣言が解除されて人出が戻っている。飲食店でも時短営業の制限がなくなり酒類提供が再開したため、10~12月期は個人消費を中心に持ち直す想定で、プラス成長に転じる見通しだ。

21年の日本のGDPは1~3月期は東京などへの緊急事態宣言の発令で個人消費が落ち込んだのを背景に3四半期ぶりのマイナスになった。4~6月期は企業による設備投資の再開を受けて1.5%増のプラスに転じた。7~9月期は東京五輪・パラリンピックが開催される一方、緊急事態宣言が東京や大阪などに拡大・延長した時期と重なる。

【関連記事】

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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ひとこと解説

ヘッドラインでは前期比年率▲3.0%ですが、売れ残りを示す民間在庫増で+1.2ポイント押し上げられてますから、より景気実感に近い実質最終需要ベースでは前期比年率▲4.2%となります。

他の主要国でも7-9月期は感染拡大や部品不足などで成長率は減速しましたが、ここまで大幅マイナス成長なのは日本だけです。

これによって、10-12月期は年率+9.5%以上成長しないとコロナショック前の水準に実質GDPが戻りませんから、政府の当初目論みだった2021年中にコロナショック前の水準に実質GDPを戻すことは絶望的になったと言えるでしょう。

2021年11月15日 12:28 (2021年11月15日 13:50更新)

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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実質GDPは4-6月期統計が発表されたときは予想以上に強い結果となったが、今回は逆に予想以上に悪い結果となった。

オリンピックもあったが感染者数が増加し緊急事態宣言による飲食店の営業時間の短縮などの影響が消費の下落に影響した。

半導体不足やアジアでのデルタ株の感染者数の増加で中間財部品の生産が停滞したことも製造業の生産に打撃を与えた。

輸出は自動車が大きく下落しているが、中間財やIT関連製品など幅広く低迷した。中国向けの輸出コロナ危機前の状態を大きく超え製造業を支えていたが足元では低迷しており、中国経済減速が日本の輸出に長期的影響がでるか注視したい。成長率は10-12月は大きくプラスに転じるだろう。

2021年11月15日 12:08 』