なかなかヤバイ、アメリカ経済
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『その国の経済を表す指標というのは、色々な測り方があります。共通して言えるのは、指標というのは、ある基準で切り取った経済の姿を数値化したものでしか過ぎないので、実態経済を正確に表わしているとは言えません。少なくても真逆の方向には進んでいない事を確証する為の数字ぐらいの感覚です。経済は複雑なので、単に数値の良し悪しが経済そのものを示すわけでなく、それによって波及した効果が、数値と逆の結果を出す事もあります。
例えば、アメリカの政策金利の急上昇ですが、商業施設と住宅のローンでは、真逆の結果を示しています。商業施設などの大型のローンでは、短期が普通であり、借り換えの時の金利の変化に対応できるオーナーが多く無い為、これから、どんどん投げ売りが出てくると思われています。つまり、捨て値で売られる物件が出てくるのは、これからだと、資金に余裕のある資産家は、手ぐすねを引いて待っています。それゆえ、すぐには売れず、更に市場価格が下落しています。これが、住宅のローンとなると、基本的に30年とかの長期ローンが普通ですので、固定金利で借りた場合、この高金利下では、死んでも手放しません。なので、出物の中古住宅の供給が減って、需要と供給のバランスが崩れて、値上がりしていたりします。一つの事象でも、適用する相手によって、真逆の効果が起きたりするのです。
消費者物価指数などの数値は、これらの相反する数々の商品の平均値に過ぎないので、それだけで単純に「暮らし」や「生活」を語る事はできないのです。我々、中産階級以下に関わってくるのは、結局は肌感覚での評価です。例えば、日本ではマクドナルドのセット価格は、700~800円台。ビックマックセットでも、950円です。これが、アメリカの場合、2700円からとなります。日本の3倍以上です。アメリカでも、「もはやファストフードとは言えない」という声が出ています。この物価で、時給で5000円もらって、「デフレの日本よりも、海外で稼いだほうが効率がいい」なんて言っても、それは額面価格での比較でしかありません。たった1食のマクドナルドで、この差で、生活に必要なインフラも、おしなべて高く、日本の時給の3倍の給料でも、その物価で暮らす事を考えると、やはり足りないのです。更に、チップ文化ですしね。生活が楽ではないのは、海外も同じです。余裕のある暮らしをしたいのであれば、人にできない特別な技能か能力を身につけるしかないのです。単純肉体作業で、時給の比較だけで海外に出ると、後悔する事になります。
借金の額や、延滞率というのは、その社会を測る一つの指標になります。中国の借金も凄いですが、アメリカも負けていません。アメリカ社会の必需品と言えば、自家用車です。住んでいる場所によっては、無いと生活が成立しません。つまり、それくらい、所有しているのが当たり前になってる必須の生活必需品という事です。この自家用車の自動車ローンの60日以上の延滞率が、史上最高になっています。9月の数値が、6.11%になり、これは1994年の最高数値を更新して、記録上の最高値です。特にサブ・プライムローンが悪化しています。ちなみに、サブ・プライムローンとは、低所得者向けの高金利なローンを指す言葉で、住宅ローンに限った名称ではありません。自動車ローンでも、安定した収入のある人と、余裕の無い収入の人では、最初に設定される金利に差があります。もちろん、貧乏人ほどリスクが高いので、高金利になります。収入が無い上に金利も高いのですから、当然ながらローンの延滞率も上がります。延滞が嵩むと、その自家用車は差し押さえされます。レッカーで強制没収ですね。一般的な住宅地でも、レッカーのドライバーに自家用車のオーナーが、「持っていかないでくれ」と懇願している場面を、海外生活をしていると一度は見かけるそうです。
当然ながら、この自家用車のサブ・プライムローンも、証券化して市場で売り出されているので、リーマンショック時の住宅ローンによるサブ・プライムローンと同じ構造が繰り返されています。やはり、あの時、罰金さえ払えば、誰も処罰されなかった事が、同じ事の繰り返しになっています。当時の戦犯も、涼しい顔をして現場復帰していますしね。この辺りを見ると、法律というのは正義を執行する為に存在するわけではないというのが良く判ります。金を積めば、何をしても許される対象があるのです。
最も信用が低いサブ・プライム層の平均的な自動車ローンの支払いは、10万円/月です。これに、ガソリン代、保険代、修理費、申請料などが所有し続ける費用として乗ってきます。時給が3倍程度高いくらいでは、さほど余裕のある暮らしができない事が判ります。当然ながら、ローンを払い切れず、差し押さえになる人も増加しています。8月の前年同月比で28%も増えています。クレジットカードの負債額も1兆ドルに達しています。アメリカは、生活ベースの細々とした支払いをクレジットカードで済ます事が多いので、これは家計債務の合計とみなす事ができます。もちろん、これとは別に銀行相手の住宅ローンなどもあり、負債の総額となると、17兆ドルを超えます。ちなみに、アメリカの国債の「金利」も1兆ドルを超えています。元本ではなく、金利だけで1兆ドルの債務が発生しています。
これが成立しているのは、一重にアメリカ・ドルが基軸通貨で、何の決済をするにも、世界中でドルが必要だからです。凄く乱暴な言い方をすれば、今の体制が続く限り、アメリカは足りなくなったらドルを刷れば、いくらでも資金を調達する事ができます。普通の国家で、これをやると、ハイパーインフレで、数年で潰れますが、アメリカは基軸通貨である事で、例外でいられるのです。とはいえ、このデタラメな負債は、確実にドルの価値を毀損しています。イギリスのポンドが凋落して、ドルに基軸通貨の地位を譲ったのは、2つの世界大戦でポンドを乱発して、価値が下がった上、国力の低下で、世界中の植民地を維持できなくなったからです。つまり、通貨というものが共同幻想上の概念でしかないので、信用が崩れた時点で価値が崩壊します。何をしてもドルの覇権が絶対ではなく、いずれ地位を譲る時がきます。
与太話にしても、ちょっと昔には出てこなかった、「ドル支配からの離脱」というテーマが、具体的に語られだしたのは、その先駆けとも言えます。今回のウクライナ侵攻、ガザ地区紛争で明らかになった事に、アメリカの工業の足腰が弱くなっている事が、あからさまになった事が上げられます。効率よく莫大な利益が出せる金融に注力する余り、確実にアメリカ国内の工業力は退化しています。それは、戦争が始まった時の砲弾・弾丸・ミサイルの供給力を見れば判ります。政治体制の違いもありますが、ロシアのローテクノロジーな武器生産能力は、明らかにアメリカより上です。自身がメインで参加すらしていないウクライナに対する支援で、備蓄していた武器が底払いしつつある事を見ても、「物量・量産」でアメリカが戦える国では無くなった事を示しています。これは、消耗戦になれば、人員と武器を何を犠牲にしてでも供給できる国と、そうでない国の差です。ドル覇権を支えている体制や環境は、永遠に同じではないのです。そして、膨張する負債というのは、確実に覇権を弱める大きな要因です。』





