カテゴリー: 思考法、関連
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[4-2.12]ギリシア文化②(哲学)
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『世界史の学びはここから!スタンダード世界史探究!
グシャの世界史探究授業もくじ
はじめに
MQ:ギリシア哲学はその後の世界にどんな影響を与えたか?
イオニア自然哲学SQ:なぜイオニア地方のミレトスで自然哲学が発展したのか?
イオニア自然哲学の代表的人物
タレス
ピタゴラス
その他ギリシア哲学
ソフィスト
SQ:なぜアテネでソフィストが出現したのか?プロタゴラス
ギリシア哲学の代表的人物
ソクラテス
プラトン
アリストテレスまとめ
はじめに
グシャケン
グシャケン
前回はこのような内容でした。グシャケン
グシャケン
今回はギリシア文化の「哲学」と「自然科学」です。文学とは打って変わってギリシア人たちの真理探究の経緯をみていきましょう!MQ:ギリシア哲学はその後の世界にどんな影響を与えたか?
今回も年表のほうは割愛させていただきます。広告
イオニア自然哲学
前6世紀頃、イオニア地方のミレトスを中心に、自然現象を神話ではなく科学によって合理的に解釈しようとするイオニア自然哲学が発展しました。
哲学・・・世界や人生に関して、存在、意義、真理を探求する学問。
グシャケン
グシャケンイオニア地方はギリシア本島ではなく、アナトリア沿岸地域の植民市でしたよね。
なぜそんな地域から自然哲学が発達したんでしょうか?
ちなみにイオニア地方はペルシア戦争の発端となった地域でもありましたね。
ペルシヤ戦争についてはこちら!
[4-2.6]ペルシア戦争はじめに
グシャケン前回はこのような内容でした。グシャケン今回はオリエント文明との戦いであるペルシア戦争についてみていきます。この戦争によってギリシアにどんな変化をもたらしたのか?それでは一緒にみていきましょう!MQ:ペルシア戦争でギリシアは…
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2024.04.13
SQ:なぜイオニア地方のミレトスで自然哲学が発展したのか?
イオニア地方
グシャケン
グシャケンこれはギリシア人の生活とミレトスの地政学的特徴がわかると理解できますよ。
まずは、ギリシア人は市民団の意識が強かったので、常日頃から広場(アゴラ)に集まっては政治や社会のことについて議論をする習慣がありましたよね。
ポリスの特徴についてはこちら!
[4-2.2]ポリスの特徴
はじめにグシャケン前回はこのような内容でした。グシャケン今回は以前に出てきた「ポリス」でギリシア人たちはどんな生活をしていたのか、についてやっていきます。それでは一緒にみていきましょう!MQ:ポリスでギリシア人はどんな生活をしていたのか?今…
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2024.03.13なので、その議論の中で出てくる疑問について考えるうちに自然哲学が出てきたのではないかと言われています。
自然哲学発展の理由①
ギリシア人は普段から議論をする習慣があった。
ギリシアは土地の特性上、農業に向かなかったので海上交易によって発展した文明でしたよね。
その関係で地中海周辺に移住する植民市活動がおこなわれました。
植民市についてはこちら!
[4-2.1]暗黒時代とポリスの誕生
はじめにグシャケン前回はこのような内容でした。今回から地中海の「ギリシア文明」に入っていきます。これまでのオリエントなどの文明とどのように異なっているんでしょうか。それでは一緒に見ていきましょう!MQ:ポリスは、オリエントの都市国家と何が違…
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2024.03.06
その初期に形成された植民市がミレトスだったんです。なので、ここには昔からギリシア人が多く住み、海上交易によって栄えていました。
自然哲学発展の理由②
古くから植民市として海上交易によって栄えていた。
そして、このイオニア地方の東側には当時、どんな文明が広がっていたか覚えていますか?[4-2.6]ペルシア戦争を読んでくれた方ならわかりますよね?
そうです、アケメネス朝ペルシア(ペルシア帝国)などのオリエント文明でしたね。
アケメネス朝ペルシアについてはこちら!
[4-1.1]アケメネス朝ペルシア
はじめにグシャケン前回はこのような内容でした。
グシャケン今回から西アジアと地中海世界をみていきます。今回は古代オリエント時代でも出てきた大帝国アケメネス朝についてです。なぜアケメネス朝は大帝国を築くことができたのでしょうか?それでは一緒にみ…
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2024.02.12ここでこの歴史法則。
歴史法則
2つの大きな文明(国家)に挟まれた地域は中継交易によって繁栄する。この法則によってミレトスはオリエント世界と地中海世界の中継地として栄えたんですね。
自然哲学発展の理由③
オリエント世界と地中海世界を繋ぐ中継地として発展していた。
以上のことから、ミレトスには様々な文化や知識の交流が盛んだったため、
SQ:なぜイオニア地方のミレトスで自然哲学が発展したのか?
議論を習慣とするギリシア人が、植民市ミレトスがオリエント世界との海上交易によって発展し、文化や知識の交流が盛んになったことから自然哲学が発展した。
イオニア自然哲学
広告イオニア自然哲学の代表的人物
タレス
タレスは紀元前6世紀のミレトスで、イオニア自然哲学の先駆者の一人とされています。タレス
「万物の根元は水」タレスは当時、「この世のもの」は何からできているのかを考え、その結果、
タレス
タレス
すべてのものは”水”からできている。という考えに至り、このような言葉を残しています。
みなさんご存じの通り、水は温度によってその形状を変化させます。水蒸気になったり、氷になったり。
そして水は常に流動的なので、タレスはそこから「水が形を変えてものになっている。」と考えたわけなんです。
グシャケン
グシャケン
現代では、ものは「原子」からできているのは当然の事実ですが、当時はわからないなりに一生懸命真理を追究していたんですね。タレスは「哲学の父」と呼ばれ、先駆者として評価されています。
タレス
ちなみにタレスはピラミッドの高さを測ったことでも有名です。人とピラミッドの影を比較して測ったそうですよ。詳しくはタレース (y-history.net)をご参照ください。ピタゴラス
ピタゴラスは前6世紀に活躍した哲学者で「ピタゴラスの定理」を発見した人物として有名ですね。ピタゴラス
ピタゴラスの定理 資料:ピタゴラスの定理を使った美しい数学的デザイン! | 大人のための数学教室「和」-Math Blog- (ameblo.jp)
「万物の根元は数」ピタゴラスは、
タレス
タレス
宇宙は数的な規則で整理されていて、すべてのものが数によって構成されているという考え方をしました。
ピタゴラスは幾何学だけでなく、音程の基準や医学についても研究していました。
数には神秘的な力があり、万物の調和は数によってできているという、数をあがめる宗教団をつくるほど、幾何学の探究にのめり込んでいました。
その過程でできたのが「ピタゴラスの定理」でした。
グシャケン
グシャケン
宗教団内のルールも厳しく、数を神聖化していたことから、ピタゴラスは哲学者というよりも宗教者の一面が強い人物でもありました。ちなみに世界で初めて地球球体説を唱えたのもピタゴラスといわれているんですよ。
詳しくは参照元のピタゴラス (y-history.net)をご覧ください。
ピタゴラス
その他
グシャケン
グシャケン
他にもたくさんの哲学者がいらっしゃり、詳しく紹介したのですが、文量の関係で紹介だけに留めておきます。気になる方は是非調べてみてください。
●ヘラクレイトス
「万物は流転(るてん)する」と説いた人物。
すべてのものは一定の物質ではなく、常に変化すると考え、その根源になるのは火であるという考えをした人物です。
●デモクリトス
原子論を唱えた人物。
デモクリトスは、物質の最小単位として、目に見えない、これ以上の分割が不可能な原子(アトム)が存在すると考えました。
ここまで来ると現代の物理学に近いところがありますね。この考えは後の物理学に影響を与えています。
●ヒッポクラテス
「西洋医学の祖」と呼ばれている人物。
歴史上もっとも古い医学者であり、環境が人間の健康と病気に大きな影響を与えると認識し、自然学を超えて「生理学・病理学」という分野を確立した人物でもあります。
ヘラクレイトス、デモクリトス、ヒッポクラテス
広告ギリシア哲学
ソフィスト
イオニア自然哲学の発展によって、ギリシアでは次第に「この自然現象とは?」から「人間とは?社会とは?」という関心に変化していきました。この頃からアテネでは、相手をいかに説得するかを教えるソフィストと呼ばれる職業が現れました。
SQ:なぜアテネでソフィストが出現したのか?
ソフィストとは「知識人」という意味で、もともとは市民に弁論術や自然科学などを教える家庭教師にような存在でした。弁論術・・・どんな問題でもそれぞれの可能な説得の方法を見つけ出す術。
しかし、前5世紀ごろからアテネで民主政が全盛期を向かえると、「いかに相手を説得できる」かが重要視されるようになりました。
グシャケン
グシャケン
これはなぜかわかりますか?アテネ民主政は民会で市民みんなで話し合って政治を決めていましたよね。
だから、みんなから賛同さえ得られれば自分の意見が国政となるわけです。
アテネ民主政についてはこちら!
[4-2.5]アテネ民主政(基礎固め編)
はじめにグシャケン前回はこのような内容でした。グシャケン今回はアテネで民主政の基礎が築かれていく流れを見ていきたいと思います。アテネではどのような経緯で民主政が出現したんでしょうか?それでは一緒にみていきましょう!MQ:アテネはどのような経…gusyakensekaishitankyu.com
2024.04.03[4-2.7]アテネ民主政(完成編)
はじめにグシャケン前回はこのような内容でした。グシャケン今回はペルシア戦争後にアテネ民主政が完成の時を向かえます。いったいアテネ民主政は現代民主政と何が違っていたんでしょうか?それでは一緒にみていきましょう!MQ:アテネ民主政は現代民主政と…gusyakensekaishitankyu.com
2024.04.19
だから「説得の仕方」次第で国政が動くかもしれないわけですから、「話し方(弁論術)」が重要になってくるわけです。なので、
ギリシア人
ギリシア人
話し方が上手になりたい!そうすれば民会で意見を通せるのに、、、ソフィスト
ソフィスト
この方法から相手を論破できますよ。という感じに、アテネ民主政の発展にともなって、「いかに説得できるか。」を教えるソフィストという職業が出現したわけなんです。
SQ:なぜアテネでソフィストが出現したのか?
アテネ民主政が発展したことで、民会を扇動するための弁論術を習得する需要が増えたため。しかし、このソフィストは次第に、
ソフィスト
ソフィスト
説得(論破)できればいいから、別に真実を伝えなくてもいいか。という考え方になっていき、真実よりも相手を論破することに力を注いでしまい、真実をねじ曲げて正当化する方法を取るようになってしまいました。
ソフィスト
プロタゴラス
プロタゴラスは代表的なソフィストとして知られ、「人間は万物の尺度である。」という言葉を残した人物です。簡単にいうと、
プロタゴラス
プロタゴラス
そのモノが存在するか、しないかは、人間それぞれの主観で変わってくるから、この世に絶対的な真理なんてないんだ。といった感じでしょうか。
ようは「この世は人間の主観次第、だから説得させたものが正義で正しいのだ。」ぐらいの物言いだったかもしれませんね。
グシャケン
グシャケン
ちなみにプロタゴラスは主観を大事にしていたので、「神の存在は知ることができない。」というギリシアの神々を否定する立場をとったので、アテネを追放されているんですよ。なんともプロタゴラスらしいですね。
プロタゴラス
広告ギリシア哲学の代表的人物
ソクラテス
プロタゴラスのようなソフィストに対して異を唱えたのがソクラテスという人物でした。ソクラテス
「無知の知」当時はペロポネソス戦争期でアテネ民主政の衰退期でした。
ペロポネソス戦争についてはこちら!
[4-2.8]ペロポネソス戦争
はじめにグシャケン前回はこのような内容でした。グシャケン今回はペルシア戦争に勝利したギリシア人同士でのペロポネソス戦争が起きてしまいます。この戦争は泥沼化していき、ポリスは変容を遂げていきました。なぜこの戦争は起きて、泥沼化していったのか?…gusyakensekaishitankyu.com
2024.04.23
ソクラテスはソフィストたちの扇動政治を助長するような活動を批判して、善きポリス市民のあり方を追求しようとしました。そこで彼がおこなったのが「対話」です。
誰それ構わず対話をいどみ、その対話によってこの世の真理を追究するという方法をとりました。
そしてソクラテスは対話をする中で、人がいかに真実について「無知」であることを自覚します。
ソクラテス
ソクラテス
人は知識に対して謙虚であるべきだ。なので私も教える立場ではなく、真理を追究する者なのだ。
このように知識に対して謙虚であるべき「無知の知」を説いたわけなんです。
しかし、ソクラテスは当時のアテネ民主政(扇動政治)を批判していたので、民衆を惑わす危険人物とみなされて、裁判にかけられて処刑されてしまいました。
グシャケン
グシャケン
有罪となった時も弟子たちと対話によって、自ら死を選んだそうです。彼の著書はありませんでしたが、弟子たちによってその言動が書き起されています。
当時、ソクラテスは民衆からソフィストの一人と思われていましたが、彼は「知恵を愛するもの」という意味の「フィロソフィア(哲学者)」を名乗りました。
ソクラテス
このようにソクラテスによってギリシア哲学が始まり、その意志は弟子たちに受け継がれて発展していくことになります。プラトン
ソクラテスの弟子として活躍した哲学者の代表的存在がプラトンという人物でした。アテネでは英雄ペリクレスが死んで、ポリスが衰退していく過渡期でした。
プラトン
イデア論プラトンはソクラテスの意志を継いで、この世の真理について考えました。
彼は最終的にイデア論という考えを導きます。
プラトン
プラトン
現実世界は不完全であり、完全なる真実の世界の影にすぎないのだ。これは現実の世界は、真実の世界(イデア)の影のようなものであると考え、それを探究・認識するには対話が必要であると説きました。
グシャケン
グシャケン
なんだか難しいですね。例を出すと、
みなさん「正三角形の置物」を置物を想像してみてください。みなさんの理想の中では、その置物は”三辺が均等な三角形”ですよね。しかし、現実世界には本当に正確な「正三角形」のものは存在しません。ナノメートル(nm)までみたらズレてるでしょう。(笑)
なので、現実世界には「正三角形」は存在でず、みなさんの中にある「イデア」にだけ存在している、ということをプラトンは言いたかったんです。
国家論
プラトンは対話を繰り返していくなかで、人気を集めていき、国家のあり方についても探究するようになりました。
そこで考え出されたのが少数の有識者が政治を担当する「哲人政治(てつじんせいじ)」でした。
プラトン
プラトン
徳がある人が政治、軍人は国防、市民は文化をそれぞれ分業したほうが理想的な国家がつくれる。と、いうように、その考えを記した『国家論』では、当時のアテネの政治を批判して分業による国家運営を説きました。
プラトンの国家論
政治・・・徳を持つ哲人が担当(哲人政治)国防・・・軍人が担当
文化・・・上記以外の市民が担当
労働・・・奴隷が担当 ※プラトンは分業社会の一員として奴隷を認めていた。
グシャケン
グシャケン
当時のアテネはデマゴークによる扇動政治がおこなわれていましたからね。それに不満を持っていたのでしょう。ちなみにプラトンはこの考えを実行しようとしましたが、周りの賛同が得られず失敗しています。
プラトン
アカデメイヤプラトンはアテネで理想的な国家に参加する人々を養成する目的でアカデメイヤと呼ばれる学園を創設しました。
この学園では、出身地、性別に関係なく、多くの人がギリシア哲学を学んで、プラトンの死後も哲学・数学・天文学などの学問を学ぶ場として約150年もの間、残り続けました。
グシャケン
グシャケン
このアカデメイヤ(Akademeia)が英語の「アカデミー(Academy)」 の語源になっているんですよ。アリストテレス
そしてこのギリシア哲学を大成させたといわれるのがアリストテレスという人物です。アリストテレス
アリストテレスはマケドニアの出身で、10代の頃からアカデメイヤでプラトンの弟子として20年に及んで学問を学んでいました。グシャケン
グシャケン
マケドニアでフィリッポス2世に招かれてアレクサンドロス大王の家庭教師をしていたエピソードが有名ですね。マケドニアやアレクサンドロス大王についてはこちら!
[4-2.9]ポリス社会の変化とマケドニア
はじめにグシャケン前回はこのような内容でした。グシャケン今回はペロポネソス戦争後のポリス社会の変化をみていきます。最終的に北方マケドニアがギリシアの覇権を握ることになります。なぜ諸ポリスはマケドニアに敗れてしまったのか?それでは一緒にみてい…gusyakensekaishitankyu.com
2024.04.28[4-2.10]アレクサンドロス大王とヘレニズム時代
はじめにグシャケン前回はこのような内容でした。グシャケン今回はフィリッポス2世の後を継いだアレクサンドロス大王が世界帝国を打ち建ててヘレニズム時代を築く過程をみていきます。ヘレニズム時代とは何でどんな意義があったのでしょうか?それでは一緒に…gusyakensekaishitankyu.com
2024.05.06
イデア論批判アリストテレスは哲学や学問を学ぶなかで、
アリストテレス
アリストテレス
プラトン師匠のイデア論のような真実は現実の影にあるのではなく、この世の真理は現実に存在する。それは経験と観察によって見つけることができるのだ。
というように、師匠であるプラトンのイデア論を批判して客観的な経験と観察によって、現実のものを理解しようとする経験論を説きました。
グシャケン
グシャケン
師匠を批判できるほど、アリストテレスは学問を学んで、それを自分の知識にしていたんですね。アリストテレスは自然科学、政治学、道徳など、あらゆる学問を研究し「万学(ばんがく)の祖」と呼ばれるほど、学問を体系化させました。
できすぎ君ですね。(笑)
グシャケン
グシャケン
アリストテレスはリュケイオンと呼ばれる学校を設立して、死後も学問の研究所としてローマ帝国まで残っていました。アリストテレスが研究した学問は、後にイスラームの学問や中世ヨーロッパのスコラ学などに大きな影響を与えました。
スコラ学・・・キリスト教神学をギリシア哲学によって理論化しようとした学問。修道院に付属した学校で研究されていたことから、「スコラ」は「スクール(学校)」の語源。
アリストテレス
広告まとめ
MQ:ギリシア哲学はその後の世界にどんな影響を与えたか?A:神話ではなく、研究によってこの世の真理を追究しようとしたギリシア哲学は、その後のイスラームの学問や中世ヨーロッパのスコラ学などに大きな影響を及ぼし、現在にいたる学問の基礎を築いた。
グシャケン
グシャケン
今回はこのような内容でした。次回はギリシア文化③の「歴史、建築」についてです。世界遺産などの文化遺産にも多く登録されているギリシア建築や彫刻はいったいどんな特徴があるのか?
それでは次回もお楽しみに!
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。」by ビスマルク
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[4-2.12]ギリシア文化②(哲学)|グシャケン
グシャケン
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認知的不協和とは|事例と対策
https://liffel.com/fallacies/cognitive-dissonance/


























『2024-11-07 2025-02-03
荘加 大祐(Daisuke Shoka)
認知的不協和とは
このエントリーでは、認知的不協和について説明します。認知的不協和とは、私たちが起こす認知の歪み(認知バイアス)の一種です。認知的不協和とはどのような現象かを理解し、対策として何ができるかを考えましょう。
認知的不協和とは
認知的不協和の例①:すっぱいブドウ
認知的不協和の例②:映画は面白かったのか
つらすぎるので、認知を歪めて対処する
認知的不協和が問題になるケース
その他、過剰な自己正当化の事例
認知的不協和への対策
認知的不協和への対策①:ストレス解消法
認知的不協和への対策②:現実を受け入れる方法ストレスを抑える方法①:認知を公開しない
ストレスを抑える方法②:いきなり大きく投資しない参考文献
認知的不協和とは
認知的不協和(cognitive dissonance)とは、人間が矛盾する認知・行動を抱えたときに感じる心理的ストレスのことです。ここでの「心理的ストレス」とは、不快感・不安などをひっくるめたものだと考えてください。
Keyword
認知的不協和:人間が矛盾する認知・行動を抱えたときに感じる心理的ストレスそして、このストレスを解消するために、人間は自分の認知を歪めることがあります。認知的不協和の本質的な問題はこの「認知の歪み」にあるので、こちらは「広義の認知的不協和」としておきましょう。
Keyword
認知的不協和(広義):人間が矛盾する認知・行動を抱えたときに起こる認知の歪み認知的不協和に関する理論は、アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱されました。
認知的不協和の例①:すっぱいブドウ
具体例を見ていきましょう。まずは、代表例である『すっぱいブドウ』からです。
知ってのとおり、『すっぱいブドウ』とは、空腹のキツネが高いところに実ったブドウを食べようとするも届かず、「あのブドウはすっぱくてまずいに違いない」と言って立ち去る物語です。
キツネの認知(以下、「認知」には行動を含む)を分析しましょう1。以下のとおりです。
認知A 認知B
お腹が空いていて、ブドウを食べたい。 ブドウに届かないので、食べられない。
このとき、認知AとBには対立があります。このような状況に置かれると、人間(この場合はキツネですが)はストレスを感じます。このストレスが「認知的不協和」ですね。
ここまでの状況を、以下に図解しました。
認知的不協和
なお、厳密には認知AとBは両立するし、それが現実です。
ただ、人間はそのような現実をスッキリ受け止められないということなのです。
そこで、一方の認知を歪めることで、人間は認知的不協和を解消しようとします。この例だと、キツネは認知Aを以下のように変えました。
認知C 認知B
あのブドウはすっぱくてまずいに違いないので、食べる必要はない。 ブドウに届かないので、食べられない。
以下の2点を確認してください。
認知AをCに変えることで、認知Bとの対立がなくなった → 認知的不協和が解消する
認知Cは歪んでいる(現実を正しく認識しているとは言えない)ブドウがすっぱいかは分からない
つまり、キツネは認知を変えることでストレスからは自由になったが、その認知は歪んでいるということです。
Point
人間は認知的不協和を抱えると、それを解消するために認知の歪みを起こすことがあるここまでを図解すると、以下になります。確認してください(便宜上、歪む認知はAではなくBにしてあります)。
認知的不協和
先述のとおり、厳密な意味での「認知的不協和」が意味するのは(認知の対立によって生じる)ストレスそのものですが、私たちが警戒すべきなのはこの認知の歪みのほうです。
というより、「認知が歪んでいる状況でないと、わざわざ『認知的不協和』という言葉を使う理由がない」と言ったほうが正しいでしょうか。現実を受け止めているなら、それで問題ありませんからね。ストレスはあるかもしれませんが、生きていれば少なからずストレスを感じるものです。
この例でも、キツネが「自分はブドウを食べたいけど、残念ながら届かない。それを受け入れて、ほかの食べ物を探そう」と考えていたら、それで問題ないですよね(寓話としてなんの面白味もありませんが笑)。
認知的不協和の例②:映画は面白かったのか
次は、私の実体験になります。
私は子供のころから、ある映画シリーズが大好きでした。キャラクターのセリフを英語でモノマネするくらい好きで、新作が封切りされるたびにチケットを買って、必ず映画館で見ていました。
ある年、シリーズの新作が公開されることになりました。当然、私はこれまでと同じく、チケットを予約します。この認知をAとしましょう。
公開日になり、私は新作を見にいきました。驚いたことに、新作はこれまでのシリーズを全否定するような内容で、とても楽しめるものではありませんでした。この認知をBとしましょう。私の認知は以下のとおりです。
認知A 認知B
大好きな映画シリーズの新作が公開されるので、チケットを予約した。
新作はこれまでのシリーズを否定する内容で、見るに耐えないものだった。
このとき、私はなんとも言えない不安に襲われました。この感情は、単につまらない映画を見るのとはまったく異なるものです。なんというか、自分の足元の大事な部分が崩れていくような感覚でした。
このときに私が感じていたのが認知的不協和です(当時は知りませんでしたが)。
つらすぎるので、認知を歪めて対処する
実は、認知Bは現在の正直な感想であり、映画を見た直後の感想ではありません。
当時、私は自分の大好きなシリーズが別物になってしまった事実を受け止められず、キツネと同じように、以下の認知Cをひねり出したのです。
認知A 認知C
大好きな映画シリーズの新作が公開されるので、チケットを予約した。
気になるところはあったが、新作は面白かった。
この認知Cは、当時の私の本心とすら言えるかもしれません。実際、友人に新作の感想を聞かれて「面白かった」と答えたからです。嘘をつく理由はどこにもなかったので、そう思っていた(思いたかった)のでしょう。
ただ、時間が経っても2回目を見たいとまったく思わなかったことから(シリーズのほかの作品は何度も見ている)、私は現実を受け入れて認知Bに至りました。そうなるまでに、1ヶ月くらいかかったと思います。
ここから分かるのは、認知的不協和による認知の歪みは無意識レベルで起こるということです。
言い換えると、認知が歪んでいることに本人は気づきません。それも当然で、認知の歪みを自覚しているなら、普通の人はそれを修正しますからね。
私もこの経験を通じて、「自分の認知なんて、意外とアテにならないな」と思い知らされました。
Point
認知的不協和による認知の歪みは、無意識レベルで起こる認知的不協和が問題になるケース
さて、ここまでの2つの事例は「たいした問題ではない」と言えなくもありません。負け惜しみを言って気が晴れるならそれでいいのかもしれないし(情けないですが)、映画の良し悪しは好みの世界です。誰かに迷惑がかかるわけではありません。
認知的不協和が問題になるのは、歪んだ認知があまりにも現実・事実から乖離しているケース(過剰な自己正当化)です。
結局のところ私たちは現実・事実の中で生きるので、そこから乖離した認知をしても不幸にしかなりません。有名な例を見てみましょう。
認知A 認知B
自分はタバコを吸っている。 タバコは健康に悪い。
本人は健康でいたいとすると、これでは認知が対立しています。対立を解消するには以下のどちらかしかありません。
認知Aを変える(=禁煙する)
認知Bを変える
禁煙するのは大変そうなので、認知Bを変える(歪める)ことにしましょう。以下のようになりました。認知A 認知C
自分はタバコを吸っている。 タバコによるストレス解消効果は、自分の健康に良い。
これくらい歪んだ認知は、さすがに問題だと言わざるを得ません。
現代科学の知見は「ストレス解消効果などをトータルで考慮しても、タバコは健康に悪い」というものです。この事実は動かないので、認知Cのように考えたところで何も前進しません。潔く「健康に悪くてもタバコを吸う人生を選ぶ」と腹をくくるか、禁煙するかのどちらかでしょう。
その他、過剰な自己正当化の事例
ほかには、以下のようなケースも現実から乖離した認知の例として知られています。
明らかなブラック企業で働いているが、一定期間働いてしまったので、良い点を探してホワイト企業だと思い込む
どれだけホワイトだと思い込んだところで、現実はブラック企業なら、どこかで体調を崩すことになる
ダメ人間と付き合っているが、長いこと付き合ってしまったので、「自分はダメな人が好きだ」ということにする
進化生物学的には、ダメ人間を好む個体は存在しないと考えられる(「ダメ」の定義にもよるが)
このように、あまりにも現実・事実から乖離した認知をしても、いいことはありません。これが認知的不協和の問題です。
認知的不協和への対策
最後に、認知的不協和への対策を考えましょう。これは「対策」という言葉をどう考えるかで、以下の2通りに解釈できます。
認知的不協和によるストレスを解消する方法
ストレスを感じながらも現実を受け入れる方法
これらは別物なので、分けて考えましょう。
認知的不協和への対策①:ストレス解消法
まず、対策を「認知的不協和によるストレスを解消する方法」と考えるなら、認知を歪めることがストレス解消法になっています。スライドを確認してください。
認知的不協和
この反応は無意識レベルで起こるので、特に何かをする必要はありません。この意味では、私たちはオートで認知的不協和に対処できます。
さらに発展させて、意図的に認知を歪める手もあるかもしれません。たとえば、欲しいのにどうしても手に入らないものがある場合に、「そんなものは欲しくない」と自分に言い聞かせるのです。すっぱいブドウ戦法ですね。やりすぎは禁物だと思いますが、有用なケースもあるでしょう。
認知的不協和への対策②:現実を受け入れる方法
次は、「ストレスを感じながらも現実を受け止める方法」としての対策を考えましょう。
認知を歪めてばかりいても仕方ない以上、本質的に重要なのはこちらです。シンプルに考えると、答えは「現実を受け入れよう」ということになりそうです。
しかし、これが簡単にできるなら苦労はありません。繰り返しになりますが、認知の歪みは無意識レベルで起きます。つまり、私たちは自分が現実を受け入れていないことに気づけないのです。
ということで、ここは気の利いた対策はないのですが、ひとつのアイデアとして、認知的不協和によるストレスを小さく抑える(大きくならないようにする)という方法はあるでしょう。ストレスが小さいほど、現実を受け入れやすいのは明らかです。
『社会心理学 補訂版』によると、認知的不協和によるストレスの大きさ・認知の歪みを決める要因は以下の3つです。
対立する認知の不一致度
認知の公然性
認知への投資量
このうち、「認知の不一致度」は事前にコントロールできませんが、残りの2つはコントロールできます。これを対策として考えてみましょう。
ストレスを抑える方法①:認知を公開しない
まず、認知の公然性が大きいほど、ストレスの大きさ・認知の歪みは大きくなります。分かりやすく言うと、大っぴらにしてしまったことは、引っ込みがつかなくなるわけですね。
裏を返せば、なんでもかんでも大っぴらにしなければ、引っ込みもつきやすいということです。具体的には、以下のことを意識しましょう。
言わなくていいことは言わない
なんでも写真や動画にしない
ネットに投稿する前に、「本当にそれを世界に公開する意味があるか?」と考える
特に重要なのは、太字にした最後のポイントでしょう。自分の認知をネットに公開するほど、それに縛られることになります。本当にそれが自分の望むことなのか、よく考えてください。
ストレスを抑える方法②:いきなり大きく投資しない
次に、認知への投資量が大きいほど、ストレスの大きさ・認知の歪みは大きくなります。
これも分かりやすく言うと、大きく賭けてしまうと後に引けなくなるわけですね。これは「サンクコスト効果」という名前でも知られています。ということは、いきなり大きく投資しないほうがいいということです。まずは小さく投資して様子を見るのが「認知的不協和への対策」という意味では正しいです2。
以上、認知的不協和について説明しました。次は、最後にチラッと触れた「サンクコスト効果」について説明します。
サンクコスト効果とは
サンクコスト効果(サンクコストバイアス)とはLiffel(リッフェル)
また、誤型(誤謬や認知バイアス)の一覧を以下のエントリーにまとめています。こちらも参考にしてください。
誤型(誤謬)のリスト
誤型(誤謬・認知バイアス)のリストLiffel(リッフェル)参考文献
ウェブサイト認知的不協和 – Wikipedia
書籍社会心理学 補訂版 (New Liberal Arts Selection)
Footnotes認知的不協和を理解するうえでは「認知」と「行動」を分ける意味はないので、本エントリーでは行動も含めてすべて「認知」と記述しています。 ↩
ただし、一般に早く投資するほどリターンも大きいので、純粋な投資という観点ではこの態度が正しいとは言い切れません。 ↩』
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アドラー心理学『嫌われる勇気』の内容を13枚の図解にまとめました!
https://www.diagram-wolf.com/kirawareruyuuki/



















『お会いできて光栄です!
図解師★ウルフ(@diagram-wolf)です!
今回は200万部超えの大ベストセラー本『嫌われる勇気』を図解化しました。
以前よりこの本を図解化してほしいというご要望を頂いておりましたが、ついに完成しました!
今では幸福になるための哲学として認知度の高い「アドラー心理学」…、これを世の中に知らしめたのがこの本です!
わたし自身、この本を最初に読んだのは10年以上前になりますが、一度読んだだけでは全く理解できなかったことを覚えています。
その後何度も読み直しましたが、やはり自分自身の年齢とともに理解度が増していきました。そして読み直すたびに心に刺さるポイントに変化があるのも、この本の内容の深さゆえです。
すでに読んだことがある方もまだの方も、本図解で「アドラー心理学」に触れて頂き、少しでもご興味を持っていただけると幸いです。
それでは説明はこれくらいにして…
図解『嫌われる勇気』スタートです!!
アドラー心理学の名著『嫌われる勇気』この機会にぜひ読んでみよう!
嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え
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続編『幸せになる勇気』はコチラ!幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII
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目次 [非表示]
『嫌われる勇気』の内容を図解!人はだれでもいますぐ幸せになれる!
『嫌われる勇気』図解後記
『嫌われる勇気』の内容を図解!人はだれでもいますぐ幸せになれる!誰もが自分の人生に「自由と幸せ」を求めています。
ではどうすれば自由で幸せな人生を送ることができるのか…
その一つのアプローチとして、知っておくべきなのが、この「アドラー心理学」です!
100%理解することは難しいかもしれませんが、あなたの考えに近い内容や心に刺さるポイントが必ずあります。
ぜひこの図解で理解を深めていただければ幸いです。
アドラー曰く、人は誰でも、今すぐ幸せになれるそうです。
「そんなに簡単に幸せになれるなら、こんなに悩んだりしないよ!」と思われるかもしれませんが、少し考えてみましょう。
■世界というのはシンプルなものでしょうか?複雑なものでしょうか?
■あなたにとって周囲にいる人は敵でしょうか?仲間でしょうか?
当然のことですが…どちらの問いにも絶対的な唯一の答えなんてありません。
あなたがどう感じているか、あなたがどう決めるかでどちらも正解になります。
そうです。幸せも同じことなんです。
あなたが今、幸せと感じられるかどうか…これがいちばん重要です。
そしてアドラー心理学では、そう考えていくための思考法を教えてくれています。
さあ!勇気を持って幸せになるための思考法を身につけていきましょう!
アドラー心理学の重要なポイントは「課題の分離」と「目的論」。
それぞれ聞き慣れない言葉かもしれませんが、今は覚える必要はありません。
上の図をご覧いただきながら、2つの共通点を考えてみて下さい。
気付きましたか?
2つの共通点は、”考え方の中心が自分である”という哲学です。
最初に書いたとおり、世界のことを決めるのも”自分”、周囲の人のことを決めるのも”自分”、幸せかどうかを決めるのも”自分”です。
だからこそ、まず「課題の分離」で他者との距離を明確にし、「目的論」で自分の目的が行動になっていることを認識しましょう!
アドラー曰く、「悩みの全ては対人関係」なんです。
確かに、退職の理由で一番多いのも「人間関係」ですし、周囲の人との関係が良好であれば、悩みごとが軽減されるのは間違いありません。
もしあなたが無人島で一人で生きていたらどうでしょうか?
誰もいない以上、対人関係で悩むこともありません。
おそらく孤独を感じることもないでしょう。
孤独とは、あなたが一人だから感じるものではなく、あなたが自分を取り巻く社会から疎外されていると思うことで感じてしまうものなんです。
われわれは孤独を感じるにも他者が必要になるということです。
個人だけで完結するような内面の悩みなど存在せず、どんな種類の悩みであれ、そこには他者の影が存在するのです。
またアドラーは劣等感についても論じています。
劣等感とは「何か」と今の自分の姿とを比較して劣っていると感じること…。劣等感を持つこと自体は悪いことではありません。
問題は、比較するものが何であるかです。
「周囲の他者」と比較して劣等感を持つと誤ったコントロールになりやすく、”劣等コンプレックス”や”優越コンプレックス”など良くない状況を生み出しやすくなります。
逆に比較対象が「目標となる自分」であれば劣等感を正しくコントロールし、自分を成長させることが出来ます。
あるべき自分を見据え、正しい劣等感をもち、それをバネにして自分を成長させる…
これが劣等感の正しいコントロールになります。
劣等感を感じたときは、比較対象がなにであるかを自分に問いかけてみてください。
周囲の人が敵に見えるか、仲間に見えるかはあなたのライフスタイル次第です。
自分より上か下かで判断する”縦の人間関係”で見てしまうと、あなたの世界は敵だらけになります。
逆に、つねに自分と対等だと考える”横の人間関係”で見ることができれば、あなたの世界は仲間ばかりになるでしょう。
このライフスタイルは、相手によって変化させるものではありません。
あなたがAさんに対して”縦の人間関係”を築いているのであれば、BさんやCさんといった、ほかの全員に対して”縦の人間関係”で接していることになります。
だからこそあなたのライフスタイルを変化させることができるのはあなたのみ。
あなたの周囲の誰か一人でも”横の関係”にすることができれば、あなたの世界全体を変えることができます!
人から認められたい…。これが「承認欲求」です。
でもアドラー心理学ではこの承認欲求を否定しています。それはなぜでしょうか?
上の図の左側をご覧ください。
あなたが毎日ゴミ拾いをしていたとします。
昨日は町内の人から「いつもありがとう!」と笑顔でほめられました。でも今日はみんな知らん顔。こんな状態だとあなたはどう思いますか?
他者から認められるのは、あなたにとって非常にうれしいことです。
行為だけでなく存在を認められたと感じ、自分の居場所が出来た気になるでしょう。
でも逆にいいことをしても認められなかったら…、存在まで否定された気になり明日以降いいことを行わなくなるかもしれません。もしくは誰かが見ているときだけ、行動するかもしれません。
でもこの考え方は、
「人が見ているからいいことをする=誰も見ていないところでは悪いことをしても構わない」
という考えにつながってしまい、NGなんです。
「あなたの存在はもともと認められているもの」であることをしっかり自覚しましょう。その自覚があれば、必要以上に他者を気にしなくなります。
自分の行動を認めてもらおうとする「承認欲求」は、安易に他者の目を気にして不自由に生きてしまう…という危険性をはらんでいるのです。
あなたは部下を育てるとき、ほめて育てますか?叱って育てますか?
会社員なら誰でも悩むこの質問ですが、アドラー心理学では、実はどちらも否定しています。
”叱る”を否定するのはわかる気がするのですが、なぜ”ほめる”もダメなのでしょうか?
”ほめる”も”叱る”もどちらも人を評価しているからです。
評価とは、能力が上の人が下の人にする行為、それを行うということは相手を下に見ているということです。
ではどう接したらいいのでしょうか?
アドラーは「横の関係を構築すること」を勧めています。
”ほめる”でもなく”叱る”でもなく、”感謝する”。
「頑張ったね」でもなく「もっと頑張れ」でもなく、「ありがとう」と感謝する。
あなたは人と接するとき、感謝の心で接していますか?
この本の題名である『嫌われる勇気』。
ここまで読まれたあなたは、この題名の意味がわかってきたのではないでしょうか。
誰でも人から嫌われたくはありません。
「みんなから好かれたい」と考えるのは人として当然の心理なんです。
でもその欲求のままに行動するとどうなるか?
人の評価ばかりを気にしてしまい、不自由な生き方を選ぶことになります。
だからアドラーは言っています!「不自由に生きるくらいなら他者から嫌われる勇気を持て!」と。
もう一つ大事なことがあります。
人との関係は”すべてあなた主導だ”ということです。
例えばあなたが特定の友達から好かれたい…と思っているとします。でも、いくらあなたが願っても、その友達があなたのことを好きになってくれるかどうか、わかりません。
いくら願っても、あなたに相手の気持を変えることはできないんです。
だから「好きになってほしい」と願うのは誤りです。
あなたにできることは…
”あなたがその人を好きになる”ということだけなんです。
たとえ昔、どんなにケンカをしていたとしても、今関係が悪い理由にはなりません。
あなたに「関係を改善したくない」という思いがあるからこそ、そんな過去の話を持ち出して改善しようとしないだけです。
すべてはあなたが主導で決定すればいい。
相手の気持ちではなく、すべてはあなたの気持ち次第です!
対人関係を重視するアドラーが示している道筋がコチラ、最終目的地は「共同体感覚」になります。
共同体感覚とは…
「あなたの周囲のあらゆるもの(世界)に対し所属感をもつこと」「ここに居ていいんだと思えること」
を言います。
「自分の存在が世界に認められている!」とあなたが自分で認めること…。この感覚を目指して人は生きていきます。
「共同体感覚」に導くための最初のステップが「課題の分離」です。
上の図を見て下さい。
親が子供に勉強を強いる…。これは”課題の分離が出来ていない例”です。
あなたが行くら怒っても、勉強するかしないかは子供が決めること。それは、勉強しなかったという結果を享受するのが子供だからです。
「では何もせずに放っておくことが正解か?」といえばそうではありません。強制はしないが、手助けできる準備を常に整えておき、それを相手に伝える…。この”勇気づけ”という行動が親のなすべきことなんです。
「課題の分離」とは、相手との距離をしっかり見極め、近づきすぎず遠ざかりすぎず、その距離を保ちながら相手を見続けることなんです。
ちょっと難しいかもしれませんが、少しでもイメージできれば十分です!更に先に進みましょう。
”課題の分離ができず、周囲の評価ばかりを気にしてしまう…”。実はこれは自分のことが気になって仕方がない…という証拠です。
周囲の評価とは、”自分がどう思われているか”です。
そればかりが気になるということは、”相手のことより自分のことに興味がある”=自己中心的な考えであるといえます。
その感覚では、いつまでたっても目的地の「共同体感覚」にはたどりつけません。
それではどうすればいいか。
まず…あなたが自分自身の存在を認めてあげましょう。
「あなたは素晴らしい存在で、そこにいるだけで価値のある存在…」、そんなあなただから、周囲の評価を必要以上に気にする必要はありません。
あなたの存在自体に価値があるのですから、評価されようと行動する必要はありません。まずはこの「自己受容」を認識しましょう。
次に他者を無条件に信頼するようにします。
裏切られることを恐れず、仲間を信じましょう。
言葉だけみると宗教っぽいですが、必ずしもそうではありません。この「他者信頼」は人のためではなく、あなたのためです。
前述したように、相手の気持はあなたにコントロールできないもの。相手があなたを信じてくれるか裏切ろうとしてくるは、あなたにはどうすることもできません。
だからあなたにできることは相手を信頼することしかありません。
信じることで世界は敵から仲間になります。
最後に、仲間に対してあなた自身が援助する。これを「他者貢献」といいます。
ただしこれは相手に評価されることが重要なのではありません。
あなたが「みんなに貢献した」と思えることが重要です。
「自己受容」⇒「他者信頼」⇒「他者貢献」…
この3つのサイクルを何度も回し続けることで、自己から他者へ関心が移り「共同体感覚」を得ることができるのです。
「自分を認め、相手(世界)を信頼し、相手(世界)に貢献する」
ぜひ頭の片隅に置いてみてください。
あなたは「いま」を生きていますか?
これが本著『嫌われる勇気』からの最重要メッセージです。
目的を持ち、それを遂行するために邁進する…このことを否定しているわけではありません。
でも、目的達成だけが人生でしょうか?
これは明確に”No!”です。
精一杯努力した結果、目的が達成できないこともあるでしょう。その場合、やってきた努力はムダになりますか?
いえ、目標達成のために努力した一秒一秒があなたの人生です。
人は目的を達成するためだけに生きているのではありません。
「”いま、ここ”を自分の意志で生きる」
過去や未来にとらわれず、力の限り”いま”を生きましょう!
誰でも一度は考える”人生の意味”について、アドラーはこう答えています。
「人生に一般論で語れる意味なんてない。それはあなたが、あなた自身に与えるものだ」
今まで深く人生を語ってきたにもかかわらず、この言葉を聞くと突きはなされた感じがするかもしれません。ただアドラーがここで語っているのは、あくまで”一般論としての人生の意味”で、「一人一人がちがう人生を生きているのだから、誰にでも通用するような”人生の意味”なんて存在しない」と言っているにすぎません。
そして「人生の意味は誰でもないあなた自身が決めるもの」という今までの考え方に沿った意見を提示しています。
合わせてアドラーは「”人生の導きの星”は他者貢献である」とも説いています。
「他者(世界)に対して貢献しようと自らが動くこと」
これが人生の目指すべき方向性であるとアドラーは教えてくれています。
さてついに最終ページになりました。
最後に大事なことをもう一つ。
「幸福とは貢献感」です。
貢献感とは、あくまであなたが「自分は誰かの役に立っている」と考える主観的感覚です。
役に立っているかどうかが問題ではありません。
「自分が世界の役に立とう」と動くことがあなたの幸せにつながるということなんです。
ここでもあなたが主体的に動くことを求められます。”他者ではなく自分”…これがアドラー心理学の一貫した考えです。
さてここまでアドラー心理学を学んできたあなたなら、「わたししかこの世界を変えることができない」という意味がわかりつつあるのではないでしょうか。
最初のページでお伝えした「人は誰でも、今すぐ幸せになれる…」。この意味が少しご理解頂けたのではないでしょうか。
あなたがもしそう感じたなら、かなりアドラー心理学をイメージを掴んで頂けた結果です。
ぜひ『嫌われる勇気』と続編『幸せになる勇気』を読んで見て下さい。さらにアドラー心理学を深く知ることができると思います。
最後に…
「あなたは、いま、この瞬間から幸せになれる」
いまを楽しみながら、あなたの人生を生きてみましょう!
『嫌われる勇気』図解後記
最後までご覧頂きありがとうございます!
今回は「アドラー心理学」の名著である『嫌われる勇気』を13枚の図解で要約しました。
この本は「哲人と青年」の対話形式の物語を読み進めていくことで「アドラー心理学」について理解を深めていく…という内容になっています。今回、その対話の内容を抽象化し図解化したことで、逆に分かりづらくなっている部分もあるかもしれません。
今回の図解でアドラー心理学に少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひ本書を実際に手にとっていただけたらと思います。
僭越ですが…この図解が一人でも多くの方にとって、本書を読み始めるきっかけになって頂ければ…ウルフにとってこれ以上ない幸せです!
図解師★ウルフでした!!
アドラー心理学の名著『嫌われる勇気』この機会にぜひ読んでみよう!
嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え
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続編『幸せになる勇気』はコチラ!幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII
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今は本を聴く時代!audibleなら『嫌われる勇気』を無料で聴ける!』
(以下、省略)
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完璧主義のメリット/デメリットと3つのデメリット対処法
https://kaikaku-komiya.com/productivity325-strengths-and-weaknesses-of-a-perfectionist/





『2023/06/08
投稿者紹介
小宮幸久写真
小宮幸久(こみや ゆきひさ)
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社にて勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上および運営。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。現在は、気ままな「おっさん」。日本経営士会会員。(経営士会)趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。』
『完璧主義のメリット/デメリットと3つのデメリット対処法
「無失点で抑えていたのに、1点取られた途端ボロボロになるプロ野球の投手」
「満点の資料を作ろうとして、締め切りに遅れてしまう社員」「完封勝利」を目指して頑張っていたのに失点した途端、緊張の糸か切れて、その後に四球連発したり、安打を許してしまったりするパターンを繰り返す投手。「完璧な資料」を目指して、いつも時間を使い過ぎてしまう社員。
こんな人々のことを本人が自覚してようが、いまいが、周囲は「完璧主義者」と呼ぶことがあります。完璧主義とは、自分に高い基準も設け、結果のみならず、その過程も含めて、完璧にやろうとすることです。
完璧主義は、常に最高の品質、生産性を追求しようとし、細部にまで注意を払い、優れた結果を生み出すことができるメリットがあります。物事を徹底的に検証する傾向があり、ミスやエラーを最小限に抑えることができ、お客様や他の社員から高い信頼性を得ることができます。また、プロフェッショナルな態度で、仕事に真摯に取り組み、他の人から尊敬されます。
その一方で、完璧主義には、少なからずデメリットがあります。
自分自身に非常に厳しい要求を課す傾向があり、常に完璧な結果を求めるため、ストレスやプレッシャーがかかります。自分自身に対して非常に高い目標を掲げ、そのため自己評価が厳しく、自信を失ったり、行動を躊躇したりすることがあります。
また、細部にこだわりすぎる傾向があり、仕事が遅れて納期に間に合わないといったことが起きます。時には、最後の結果が出る前に、途中結果に落胆し、その後のパフォーマンスを低下させてしまうことがあります。
以上のように「完璧主義」は、大きな成果を上げる可能性がある反面、うまく行かなかったときに精神的ダメージを受け、本来できることまでできなくなるリスクを含んでいます。
完璧主義の弊害を出さずに、高い目標を掲げて行動するためのポイントがあります。1)目標をプラス思考で捉える
2)ミスを受け入れる
3)全体最適を意識する
完璧主義は、本人が自覚していなくても、「うまくやろう」とする気持ちが強いと陥り易い精神状態です。上記3つのポイントを考慮して、完璧主義の弊害を避けて、高い目標を達成することを期待します。
『脱』完璧主義! ~ラクに生きるための処方箋~: 疲れたココロとカラダを解放する がんばらない戦略 キンドルカウンセリングシリーズ
目標をプラス思考で捉える
完璧主義の大きな弊害は、目標達成を目指す過程で、大きなプレシャーを受け続けることです。完璧主義では、「何もかも、うまくやろう」という意識が強く働いています。だから、成果が上がります。
問題なのは、
「うまくやりたい」
と前向きに考えるのではなく、「失敗したくない」
とマイナス面から考えてしまうことです。失敗に対する、不安や恐怖心から、「絶対に失敗してはいけない」という気持ちが生まれ、更に「失敗したときの批判を避けたい」という不安や恐怖心が増幅します。完璧な結果を追求する過程で、マイナス思考は、精神的な負担を限りなく大きくします。
野球のバッターが、
「アウトになりたくない」
「併殺は避けたい」
と思って打席に立つのと、
「ここで打てば、俺がヒーローだ」
と思って打つのとでは、どれだけ気持ちが違うか想像できます。完璧主義の弊害である精神的プレシャーや不安を軽減するには、目標をプラス思考で持つことです。
ミスを受け入れる
完璧主義の弊害の一つが、「ゼロイチ思考」です。完璧を目指すあまり、「完璧でなければ失敗」と、結果を両極端でしかとらえられなくなる思考です。特にその原因が、自分のミスだと、自分で自分を追い込むことになります。少し足りない点があっても、求められている基準以上の結果を出せればOK、問題があれば後で改善すればいいと「ミスを受け入れる」ことが大切です。
また、完璧主義の人は、自分の思った通りにいかないことが一度でもあると、それだけで続ける気をなくしてしまう傾向があります。
「思っていた方法とは別のやり方もある」
「これまで、やってきたことが無駄になってもいい」
「失敗だって意味がある」
とミスや失敗を受け入れる気持ちを持つことです。
注意が必要なのは、完璧主義の人は、自分に厳しいと同時に他人にも厳しくなりがちになることです。完璧主義では、「他人も自分と同じように完璧を目指すのが当然」という考え方をする傾向があります。自分のミスも他者のミスや失敗も受け入れて、「その後にどうするか」に完璧を求める気持ちが重要です。
全体最適を意識する
完璧主義の弊害として、ちょっとしたつまずきで、全てを失ったように感じてしまうことがあります。これは、部分にこだわっているからです。全体を見ることを忘れているからです。
例えば入学試験で、高得点を目指して1問目から問題を解答していき、何問目かの問題でつまずくと、その問題にこだわり時間が足りなくなることがあります。
受験指導では、「試験問題全体にまず目を通し、できる問題からかたづけなさい」と言われますが、その問題ができないばっかりに冷静さを失い、アタフタする人がいます。入試の合否は、総合点で決まるという「全体最適」を見失わないことが大切です。
完璧主義の人は、細部まで完璧を求めるあまり、時として本質から外れた枝葉末節にばかり目が向き、全体を俯瞰するという視点を忘れることがあります。
その結果、
「重箱の隅をつつく」
状況に陥ります。
また、すべての物事を完璧に仕上げたいという思いから、持っているすべての課題が気になってしまいがちです。それほど重点を置かなくていいことにまで力を入れすぎ、余計な時間をかけてしまうと、心身ともに疲れてしまいます。
仕事や生活において、全体最適を意識し、優先順を考えて行動することが重要です。
参考記事:いちいち注意されることは、「重箱の隅をつつく」なのか?「氷山の一角」なのか?
まとめ
「完璧主義」は、大きな成果を上げる可能性がある反面、うまく行かなかったときに精神的ダメージを受け、本来できることまでできなくなるリスクを含んでいます。完璧主義の弊害を出さずに、高い目標を掲げて行動する際の3つのポイントがあります。
1)目標をプラス思考で捉える
2)ミスを受け入れる
3)全体最適を意識する
完璧主義は、本人が自覚していなくても、「うまくやろう」とする気持ちが強いと陥り易い精神状態です。完璧主義の弊害を避けて、高い目標を達成することを期待します。
参考記事:必ず「努力は報われる」のではなく、「正しい努力だけが報われる」
会社の業務や生活で、有効な「時間の使い方」を実現するための4つのステップ』
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地方DXを成功させるエレメントは「6+1のNO」–計画や実行フェーズでポイントになる考え方
https://japan.cnet.com/article/35198403/



『根岸やすゆき (ランサーズ)2023年01月12日 10時00分
前回、「全国行脚で実感した、地方が求める真のDX–「効率よりも売上」の本音に向き合う」と題して、地域が求める真のDXについて寄稿させていただいた。さまざまな地域に足を運び、中小企業の経営者、自治体の方々と対話するだけでなく、実際に行動に移してきた。まだごく一部の企業や地域だけではあるものの、実行したプロジェクトはすべて成功している。もちろん筆者だけで実現したわけではない。自治体の方、地域企業の経営者、一緒にプロジェクトを推進したフリーランスたちの力の賜物である。
一方で、上手くいかなかった地域や企業もある。正しくお伝えするならば、上手くいかなかった以前に、実行に発展さえしていない。成功も失敗もできていない。その差は何か。地域、業種、課題、企業など、毎回違いはあるものの、成功するプロジェクトには共通の要素がある。今回はそのエレメントをまとめてみた。
なお、予めお伝えしておきたいのは、一般的なマーケティング論や新規事業の立ち上げスキルといった内容ではなく、成功しているケースとそうでないケースの差分に関するTIPSである、ということを踏まえて説明していく。
※出典元:筆者作成
※出典元:筆者作成結論から先に説明すると、上記の図のとおりになる。改革の計画を立てるフェーズと、それを実行するフェーズに分かれて、それぞれ3つずつ要素がある。このうちどれかひとつでも当てはまると、成功確率がぐんと下がる。というよりも、話が進まないので、成功も失敗もできないケースが多い。逆に、すべてクリアすればどんな状況でも打破できるだろう。
以下にひとつひとつ解説していきたい。
地方DX成功のエレメント -計画フェーズ-
まずは、計画フェーズのエレメントから紹介する。※出典元:筆者作成
※出典元:筆者作成◆NO先入観
どこに言っても一定以上耳にする声がある。「いや、うちには魅力なんてないよ」。ハッキリ言ってそんなことはほとんどない。ただ、人には慣れがある。日常的なことは特別感がないから、本当は魅力的でもそれを感じづらいこともあるだろう。
解決するには、先入観のない人の目を入れることだ。一番手っ取り早いのが外部の目。特に、その地域をあまり知らない人だ。思い入れが予めあったり、足を運ぶ前にいろいろ詳しく知ってしまうと素直な視点に欠ける可能性がある。だからこそ筆者は、手がけてきたプロジェクトについて、交通手段以外の下調べは一切しなかった。無責任・不真面目と思われることもあるのだが、先入観のなくす意図があってのことである。
【POINT】
魅力がない地域や企業なんてない。気づけていないだけ
予備知識のない外部の目を入れよう
◆NOバズワード
「DXをせねば」「デジタルトランスフォーメーションしなければ」といったバズワードは廃れるもの。いちいちそんな言葉に右往左往する必要はない。ただ、そのワードがバズるには何か理由がある。本質は何だろうか。バズワードを辞書で引いて意味を調べたまま理解するのではなく、その単語がなぜ広まっているのかを考えることは大切だと考えている。
ちなみに、DXは、デジタル化はあくまで手段であり、時代の変化にあわせた大胆な構造改革が必要な状況になっているということだと筆者は理解している。だからこそ勝手に、「大胆(Daitan)トランスフォーメーション」だと伝え続けている。
【POINT】
流行はすぐ廃れる。でも流行する背景をしっかり考えることは大切
大胆に事業の構造改革を実行することが求められている
◆NO前例表面模倣
前例を参考にすることは悪くない。ただ、得てして前例の事象をそのままマネしがちだ。場所も時間も内容も手がける人も、何もかも違うのに、なぞるように実行しても上手くいかない。きっと、誰もがそんなことは分かっていると思う。
なぜそのままマネしようとするのか。それは、意思決定者やステークホルダーに説明しやすいから。だが、本当に大切なのは説明よりも実現することにあるはず。いろんなことが曖昧になっている現代ではなおさらだ。だからこそPDCAからOODAループと言われたりもする。前例そのものを模倣するのではなく、その前例が成功した背景をじっくり観察し、決断していく。そのための参考材料として扱おう。
【POINT】
成功事例は参考にしたい。でもそのままマネしても上手くいかない
模倣すべきは、成功要因の背景。それを自分たちに置き換えて活用する
地方DX成功のエレメント -実行フェーズ-
続いて、実行フェーズのエレメントについて。
※出典元:筆者作成
※出典元:筆者作成◆NO自前主義
自分では出来ないし、出来る社員もいない。できる人も知らない。だから仕方ない……。これは本当によく聞く意見だ。それに対して、筆者は「絶対いますよ、ただその人とまだ出会ってないだけですよ」と答えている。インターネットが普及しただけでなく、テレワーク・リモートワークが浸透した現在においては、いくらでも適任の人材を探す方法はある。
【POINT】
自分たちが出来ないことがあってもいい。誰でも得意不得意はある。
自分たちで出来ないこと、すなわち不可能、ではない。
◆NO全体主義
あの人の意見も聞かねば。この人の主張も受け入れなければ……。これもよく聞く話だ。もちろんその人の声をないがしろにしていいわけではない。ただ、筋を通すことと、全部を闇雲に取り入れることは全く別の話。あれもこれもと取り入れると、何の特徴もない実行策になりがちで、すべてが中途半端になる。当然、結果も伴わない。
優先順位をつけることと、誰かや何かを優遇することは全く別。特に改革のスタート時は、断腸の思いで潔くフォーカスすることが大切だ。
【POINT】
ターゲットと領域をセグメントしよう。
改革には順番がある。最終目標から逆引きで決断しよう。
◆NO完璧主義
完成度を高めようとする意識は大切なこと。でも、最初から完璧はあり得ない。ましてや自分たちの考えていることがパーフェクトだなんて、確率論的にはゼロに近いはず。お試しでもいいから積極的にアウトプットし、その反応をみて改良し続けるやり方のほうが時代にもフィットしている。思考だけで100点満点を最初から狙うのではなく、70点かもしれないけど世に出してみる。仮にそれが50点という評価だったとしても、事実をもとにしたほうが改善がしやすいもの。完璧主義のスタンスでいたり、さらに一度や二度上手くいかないからといって止めてしまうよりも、続けて取り組めばちゃんと目標にたどり着ける。
【POINT】
プロトタイプ状態でもアウトプットしよう。
やってみる、やってみる、やって見続ける。
計画フェーズでも実行フェーズでも重要な要素
最後に、計画フェーズでも実行フェーズでも重要な要素について。
※出典元:筆者作成
※出典元:筆者作成◆NO他人事
筆者が何よりも大切な要素と考えているのは「NO他人事」。本気度が問われると言ってもいい。少しエモーショナルに聞こえるかもしれないが、地域の人も何か施策を実行する人も行政も、このプロジェクトに関わる人すべてが本気で取り組むことが欠かせない。少しでも自分事でない人がいたら、たちまちそこから崩れていく。
余談だが、だからこそ筆者は、プロジェクトに関わる人のコミットメントやコミュニケーションを重視した体制をつくってきた。どんなプロジェクトでも困難は必ず迎えるもの。それを乗り越えようと共創するか、やっぱり難しいと断念するかの分かれ道はそこでしかないと痛感している。
以上が、地方DXを成功に導くエレメント。あくまで筆者の見解ではあるが、2年で全国7万kmを移動し、様々な立場の人と対話し、議論だけではなく実行してきて実感したことや、カッコよく整理された理論ではないが、愚直に実行をしたからこそ得られた手触り感に基づいたものとなっている。地域一体でも、その地域のひとつの企業でも、この要素は活用できると考えているので、もしよかったらぜひ参考にしていただきたい。
2月1日に「福岡実証実験フルサポート事業「離島DXプロジェクト」事例・結果・ノウハウ共有セミナー」と題し、2022年に筆者が手がけた離島DXプロジェクトの成果・ノウハウ発表会を開催する。オンライン・オフラインのハイブリッドで開催するが、オフラインの現地会場では、DXプロジェクトのリーダー陣へ実際に苦戦していることなどを相談し、成功の第一歩となる課題整理を体験できるワークショップも予定している。もっと詳細を知りたい方は是非ご参加いただきたい。
今回は、地方DXにおける地域やローカル企業の成功ポイントを紹介した。エレメントの一部にあるように、外部の仲間を集めることもキーポイントとなるなかで、関わる外部の人はどういう姿勢・視点で取り組めば本当に貢献できるのか。次回は、地方DXに関わる個人側の成功エレメントを紹介したい。
根岸やすゆき
ランサーズCEvO(チーフエバンジェリストオフィサー)
1978年 東京都生まれ。フリーライターとしてキャリアをスタート。2003年、人材総合サービスを展開するエン・ジャパン株式会社に入社。制作部門長、プロ-モーション本部長を歴任。2013年、ランサーズに参画し、取締役CMOを経て、現職。「地方×DXプロジェクト」などのプロジェクト責任者を務め、新しい働き方、新しい組織の育て方、新しい事業の作り方を全国に普及させる活動をしている。働き方系・マーケティング系セミナー登壇実績多数。』
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ロジカルシンキングの通用しない課題を普通の人でも解けるようになる熟断思考とは?
https://diamond.jp/articles/-/82123

『2015.11.26 5:03
ロジカルシンキングは、ビジネススキルとして不可欠です。
しかし、それだけでは解決できない場面にぶち当たった経験はありませんか。
ビジネスには、ロジカルシンキングで解決できない課題が確かに存在します。そうした課題をどう見極めて、どのように解決に当たればよいのか。130社、1万3000人に意思決定の技法を授けてきたディシジョン・アドバイザーの籠屋邦夫さんに聞きました。
ロジカルシンキングには限界がある
みなさんの周りに、ビジネスに関連する問題や課題は山積していると思います。
籠屋邦夫(こもりや・くにお)
1978年東京大学大学院化学工学科修了、84年スタンフォード大学大学院エンジニアリング・エコノミック・システムズ学科修了。スタンフォード大学にてロナルド・A・ハワード教授より意思決定理論の手ほどきを受ける。三菱化学を経てマッキンゼー東京事務所にて、エンゲージメント・マネジャー/ディレクター・オブ・リサーチとして企業ビジョンの策定・全社組織改革などのコンサルティングに携わる。90年渡米し、ハワード教授らが創立したストラテジック・ディシジョンズ・グループ(SDG)に参画。SDGにてパートナー/日本企業グループ代表。2000年に帰国し、A.T.カーニーでヴァイスプレジデントとして経営課題に対するコンサルティングに取り組む。現在は、企業やビジネスパーソンの戦略スキルや意思決定力向上を支援するエデュサルティング活動に力を入れている。著書に『意思決定の理論と技法』(ダイヤモンド社)、『スタンフォード・マッキンゼーで学んできた 熟断思考』(クロスメディア・パブリッシング)など。解決するにあたって、SWOT分析や3C分析といったロジカルシンキングのフレームワークは大変有効です。様々なフレームで情報を集めて、仮説をつくり、さらに情報を集めて、検証する…。混沌とした考えを整理する道具として非常に便利だし、思考のヌケをつぶすときに役にたちます。
この方法で解決策が出てくるのは、これがベストだ!とか、理想だ!という“あるべき姿”があって、それと現状との間にギャップがある「問題」の場合でしょう。
たとえば、ある事業部門の赤字を黒字化するとか、あるサービスへのクレーム急増に対してサービス内容やクレーム対応体制を見直すといった場合です。どれも、解決方法が複数考えられるとしても、割とストレートに皆の納得がえられるかたちで正解が見つかります。
一方、ロジカルシンキングで検討してみても、解決策が見えないときがありませんか。それは、みなが共有できる唯一解としての“あるべき姿”がなく、選択肢や不確実要因、価値判断尺度で悩むような「課題」の場合です。
あるべき姿といっても、抽象的なレベルでよければ周囲の理解も得られます。たとえば、中期目標として「時代の変化を先取りし、顧客を満足させ、競合に継続的に打ち勝つようなスキルを持って、事業を成長させましょう」…どうですか。むろん、漠とした方向性に反論の余地はありません。しかし、それを検証可能なかたちで具体化していくとなると途端に混迷するはずです。
こうした課題については、いくつか考えられる解の中から、自分が“こうありたい”と思う理想の姿を選びだして、実現するための具体策を講じることになります。
たとえば出版社の未来について考えてみましょう。
雑誌や書籍の販売減やインターネットの台頭により苦しむなか、今後成長していくには、どのような事業体を目指せばよいのでしょう。
“なりたい姿”と得意分野は出版社によってさまざまですから、当然にして講談社と文藝春秋とダイヤモンド社では“解”が異なるはずです。
そこには「こうなりたい」という各社の意思、パッションが強く反映されるはずだからです。
前段としてロジカルシンキングによる現状認識や世の中のトレンド分析は不可欠であり、その時点で各社の見方に大きな差はでないでしょうが、それだけで解は導き出されないのです。
単にロジカルシンキングを使いこなせていない場合も散見されますが、ロジカルシンキングにこうした「限界」があることも知っておくべきでしょう。』
『唯一解がない課題を解くための熟断思考法
ロジカルシンキングだけで最終結論が出ないのは、別の見方をすれば「PDCAの高速回転アプローチ」が効かないケースです。
PDCAというのは、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)をサイクルしていく事業管理手法ですよね。
これが有効でないというのは、次のような「課題」の場合といえます。
(1)PDCAの1サイクルの実行に時間がかかる
(2)多額の経営資源が必要
(3)うまくいかなかったときの影響が甚大
(4)解を作り上げ実行するのに様々な人たちの知恵とスキルが必要逆にこれらの要素のどれもあてはまらない場合は、ロジカルシンキングで「うん、これなら行けそうだ」という取りあえずの解が見つかったら、号令一下、直ちにPDCAの実行と軌道修正モードに入れば良いのです。
では、ロジカルシンキングで解けない課題を解く場合は、どうすればよいのでしょうか。
繰り返しになりますが、唯一の正しい解はありませんから、自分がこうありたい、と思う姿を心に定める作業が必要です。それも、自分たちの組織の遂行力で実現できる姿でなければ意味がありません。それも、単にえいやっと勢いで決めるのではなく、様々な可能性を検討したうえで意思をもって決めるという意思決定が必要です。
私は、そうした意思決定を造語で「熟断思考」と呼んでいます。
熟断というのは熟慮断行の略です。
天才ではない普通の人たち(チーム)が知恵を結集して、あっちかこっちか賢く迷い、意思決定するまでの思考を指します。
近年、ビジネスにおける意思決定のスピードや即断即決の重要性が強調されてきましたが、「スピードがすべて」「速ければ速いほどいい」というのは明らかに行き過ぎだと私は思っています。その風潮に一石を投じたく、熟断思考を提唱してきました。
こうした課題については、明快に理由を説明し「こうする!」と力強く意思決定できる、カリスマ的リーダーでなければ解けないのではないか、と不安を感じる方もいると思います。
しかし、それは大いなる誤解です。私の師の一人でもある有名コンサルタントの大前研一さんのように、パッと一足飛びに課題設定から素晴らしい解決策までひねり出せる人はごく稀ですし、常人には真似のできない芸当です。
でも、普通の人でも、ある程度方法論を学んで訓練を通じて身につけ、パッションを持って考えれば、そこそこの天才ぐらいは越えられるというのが私の持論です。』
『ここで熟断思考の具体的なステップを紹介していきます。
■第1ステップ:タイムリミットの設定
まず、決断のタイムリミットを設定すること。熟慮といってもダラダラ考えていていいということではない。期限の決め方には大きくふたつある。ひとつは、「この期限を過ぎると、いま俎上に乗せられる選択肢の価値が大きく下がってしまう」というぎりぎりの時間まで考える。もうひとつは、思考の質がこれ以上は上がる余地がないと判断されるところまで考える。
■第2ステップ:課題のフレーミング(枠組み設定)
次に、課題をフレーミングする。個人であれ組織であれ「いつ頃、どうなったらうれしいか」を考えて、それに向けた打ち手や懸念事項をリストアップし整理することで、課題の全体像をつかむ。この時「うれしい姿」は複数あって構わないし、実際そういうケースが多い。
■第3ステップ:検討要素の抽出
さらに、「そうなったらうれしい、という姿を実現するために何をすればいいか」という具体的な選択肢を洗いだす。
さらに、「その選択肢を選んだ場合、どのぐらいの確率でそうなるか」という不確実性を考える。
さらに、「自分にとってそれは本当にうれしいことなのか」という価値判断尺度をはっきりさせていき、選択肢と不確実性のシナリオごとに、相対的なうれしさを価値判断尺度に照らして測定していく。
それらを全て鑑みて、最終的な決断を下す。検討はここまでで、最後は自分の心にしたがって選ぶしかない。
熟断思考で新国立競技場の建設問題を考えてみよう
たとえば、この方法論にしたがって、今年の6月から7月にかけて世論が沸騰していた新国立競技場の建設問題を考えてみました。論点が多いので、それをまず整理します(図1)。
意思決定の基本的な3要素(意思決定事項、不確実要素、価値判断基準)について、政策レベル、戦略レベル、戦術レベルに分けて考えていきます(図1)。
すると、4つの意思決定事項(デザイン、屋根のタイプ、目標完成時期、建設費用メド)のオプションの組み合わせとして、次の3つの選択肢を検討すればよいことがわかります。
・豪華な「ザハ現行案」
・予算を押さえつつもイベントにも使える質素な「マルチユース型」
・マルチユース型よりさらに予算を押さえた「スポーツ特化型」上記3案を検討する際に、ひとつの重要な価値判断尺度としてトータルライフサイクルコスト(TLC)があります。
これは建設を始めてから30年間使用した際にかかる費用と収益の合算です。TLCを計算する際のメンテナンス費用やイベント収益などは、スプレッドシートモデルを作っていくらでも詳細に分析できるのですが、大まかに検討して出た結論が図2です。
収支面と初期投資の面ではスポーツ特化型が優勢
まず、お金に関する価値判断尺度においては、不確実要因の振れがあっても、ザハ現行案が最適戦略となることはない、というのが分かります。
したがって「デザインに対する国民の夢」や「ラグビーW杯での利用」といった定性的価値判断尺度をよほど重視するのでない限り、ザハ案は白紙撤回すべし、という結論になります。
それ以外の2つの案で比較すると、ほとんどの不確実シナリオでスポーツ特化型が最適選択肢となります。この表からは読み取りにくいのですが、唯一、年間イベント収益が上振れする場合にはマルチユース型が優位となり悩ましい、ということになります。
これらから導き出される結論は次のとおりです。』
『「マルチユースで設定した1500億円を上限として、マルチユースかスポーツ特化かは限定せず、提案者に委ねる。メンテナンス費用低減とイベント収益増大策もワンセットにした、2020年2月までに完成する案を再度募集する」。
国家予算で作りますから、最終判断を下すのは首相です。国民の意思をできるだけ汲みとったうえで、国家百年の計でみて良いと思える結論を下してもらうことになります。政府の実際の検討がどのようになされたかわかりませんが、本来は決断に向けてこうした意思決定プロセスを踏まえてほしいものです。
なお、上記は熟断思考による結論部分を簡単にご紹介しましたが、実際の検討では、様々なツールを活用しましたので、一例を挙げておきます。
〇フォースフィールド・ダイアグラム:議論の対象となっている構想(今回の場合だと、ザハ現行案でこのまま進むべきか否か)について、推進の論点と反対の論点を洗い出すツール
〇ストラテジー・テーブル:将来の嬉しさに大きな影響を与える重要意思決定事項(この場合だと、デザイン/屋根のタイプ/目標完成時期/建設費用メドの4項目)を横に並べ、その下に各意思決定事項における複数オプションをリストアップした上で、各意思決定事項のオプションを横に整合性をもって繋げていくことで、複数の包括的な選択肢を作り上げるツール
〇トルネード・チャート:将来の嬉しさに大きな影響を与えそうな不確実要因(この場合だと、TLCに影響を与える年間メンテナンス費用、年間イベント収益、実際の建設費用、ザハ氏への補償金額など)について、上振れ・下振れした場合のインパクトを感度分析し、それをチャート化したツール。チャートが竜巻の形に見えるので、トルネード・チャート(=竜巻図)と呼ぶ)
意思決定の質を左右する6つの要素とは?
さて、熟断思考の3ステップを紹介してきたので、意思決定の質を左右する6つの要素にも触れておきます。(詳しくは拙著『意思決定の理論と技法』をご覧になってみてください。)
・的確な考え方の枠組み
・創造的かつ実行可能な戦略代替案
・有用かつ信頼性の高い情報
・明確な価値判断基準
・明快かつ正しいロジック
・実行への関係者全体のコミットメント(やる気・覚悟・決意)これら6つの要素のうち、もっとも弱い部分が意思決定の質を左右します。どれも欠けてはならず、バランスが重要です。上記の熟断思考の3ステップと合わせて、質の高い意思決定をするのに役立てて下さい。(続きは後編へ。11/27公開) 』
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KKDD(=勘と経験と度胸とど根性)
https://www.huffingtonpost.jp/kunio-komoriya/inteligent_b_7740694.html『インテリジェントエイヤ!とKKDD(=勘と経験と度胸とど根性)と
不確実性を、統計確率でも客観確率でもなく人間の主観で読むことで一向に構わないのです。
籠屋邦夫籠屋邦夫
ディシジョンマインド社代表
2015年08月02日 0時38分 JST
|更新 2016年08月01日 JST
Office workers walk on a pedestrian crossing during a lunch break in Tokyo Monday, June 8, 2015. Japan’s economy grew at a faster pace than initially estimated in the January-March quarter on stronger consumer and corporate spending, though economists anticipate slower growth in April-June. The 3.9 percent annualized growth rate announced Monday by the Cabinet Office was sharply higher than the 2.4 percent pace initially reported. (AP Photo/Shizuo Kambayashi)
Office workers walk on a pedestrian crossing during a lunch break in Tokyo Monday, June 8, 2015. Japan’s economy grew at a faster pace than initially estimated in the January-March quarter on stronger consumer and corporate spending, though economists anticipate slower growth in April-June. The 3.9 percent annualized growth rate announced Monday by the Cabinet Office was sharply higher than the 2.4 percent pace initially reported. (AP Photo/Shizuo Kambayashi)ASSOCIATED PRESS第3回【スタンフォード流、インテリジェントエイヤ!で日本企業とビジネスマンを強くする!】
「インテリジェントエイヤ!」とは、「KKDD(=勘と経験と度胸とど根性)」の単なるエイヤ!ではなく、極めて知的レベルの高いエイヤ!のことです。
過去の記事(第1回:その判断、単なる「エイヤ!」で決めていいんですか?)でも問題提起をしてきたところですが、日本中の企業がインテリジェントに意思決定をして、やりきる力として思いっきり「エイヤ!」をすれば、ビジネスの成功確率は格段に上がっていくでしょう。
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不確実性の読みの「インテリジェントえいやー」:主観的確率
これから詳しくご説明しますが、「インテリジェントエイヤ!」は、これも私の造語である「インテリジェントえいやー」と「パッショネットエイヤ!」の合成語です。
まず、「インテリジェントえいやー」について説明します。もう感じておられると思いますが、「えいやー」がひらがなでかつ「やー」とのばすという、少し気の抜けたような表記になっています。
どんなによく調べ考えても、神ならぬ身としては、将来のことについて「必ずこうなる」といえる唯一つのシナリオを正確に読むことはできませんし、そもそもそんなシナリオが読めるはずだと考えるのは、大いなる勘違いかつ大変危険です。
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一方、「皆目見当がつかないので、不確実性の読みをするのを諦めてしまう」ことはできませんし、その必要もありません。
そこで、過去や現在の状況をしっかり調べ考え尽くした上での、その項目についての専門家による極めて知的な読みを、複数のシナリオとその発生確率という形で捉えるのが、私がスタンフォード大学で学んだ「主観的確率」という考え方です。
不確実性を、統計確率でも客観確率でもなく人間の主観で読むことで一向に構わないのです。
学術的には「主観的確率」と呼ばれていますが、つまるところそれは、いろいろ調べ考え尽くしたうえでの知的レベルの高い(=インテリジェントな)、しかし最後は「うーん、およそこんなもんじゃないかな。。。」という「えいやー」でしょう、ということで、「インテリジェントえいやー」と名づけたわけです。
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価値判断のトレードオフの「パッショネットエイヤ!」
個人でも企業でも、大ていは複数の価値判断尺度に照らして各選択肢を測定・評価します。
どの価値判断尺度でみてもこの案がベスト、という選択肢が見つかればよいのですが、そうでない場合は、各判断尺度のトレードオフを考慮して意思決定を行うことになります。
その際、トレードオフ判断は、要は複数の価値判断尺度に照らして自分はどの選択肢/シナリオがトータルとして一番嬉しいんだろう、選択肢の実行に必要な経営資源を差し引いた正味の全体的な嬉しさ、すなわち「トータル嬉しさ総額:Net Pleasure Value (NPV)」がどれくらいだろうか、・・・
そのようなことを自分に問うたうえで、ある種、自分のパッション・情熱ないし魂のありどころがどのへんにあるのか、エイヤ!と判断することになります。
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そこで、これを「パッショネットエイヤ!」と名づけました。
(ちなみに既にお分かりの方もおられるかもしれませんが、「Net Pleasure Value (NPV)」は、「キャッシュフローの正味現在価値(NPV: Net Present Value)=お金の持つ時間的価値を考慮に入れた、差し引き儲かり総額)」をもじった、やはり私の造語です。)
いよいよ「インテリジェントエイヤ!」
私は、「インテリジェントえいやー」+「パッショネットエイヤ!」⇒「インテリジェントエイヤ!」が、最後の決め方としてベストだと考えています。
巷でいわれる「KKDD(=勘と経験と度胸とど根性)」の単なるエイヤ!の対極にある、きわめて知的レベルの高いエイヤ!になります。
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ここでいう「インテリジェント」は、「インテリジェントえいやー」という言葉のもとになった不確実性の取り扱いのみならず、そもそも選択肢と不確実要因と価値判断尺度という基本3要素に分けて考え、それらをディシジョンツリーを使って構造化して行くプロセス全体についての「知性」を含めてのものです。
熟断思考は悩みの本質を浮き彫りにする!
「インテリジェントエイヤ!」のインテリジェントには、さらに別の意味合いもあります。
最近あった事例ですが、前回紹介したケースとは違って、熟断思考によって、当初本人が悩みだと認識していたことが、実はそれほど重要な問題でなく、むしろ全く別のことに頭と心を振り向けるべきだ、ということが見えてきたことがあります。
消費税率が5%から8%に上がる少し前のこと、あるビジネスマンの方が、消費税が上がる前に住宅を購入すべきかどうかについて悩んでいました。
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・税率アップの前に購入すれば余分な税金を払わずにすむ。
・一方、半年以内に海外転勤の可能性があり、せっかく税率アップの前に住宅購入をしても、転勤になると買ったばかりの新居に住めなくなってしまう。
ちなみに海外転勤自体は、この方にとっては、グローバルなキャリアを積むために前から希望していたことであり望ましいことだ、という当初の認識だったのですが、その後の熟断思考を使ったやり取りの中で、海外転勤の不確実性に加えて、海外赴任になっ た際に家族が一緒についてきてくれるかどうかの不確実要因も(この方の場合、ついてきてくれる方が嬉しいのですが)、重要だということが明らかになってき ました。
そしてディシジョンツリー分析の結果、消費税率アップ前に住宅購入するか否かの選択肢の違いよりも、海外転勤になった際に家族がついてきてくれるか否かの不確実要因のシナリオの違いの方が、『トータル嬉しさ総額』に対する影響は格段に大きい、ということが判明しました。
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結論としては、
・「消費税率アップの前に住宅購入するか否か」という課題で悩むより、「海外転勤になった場合に家族が一緒についてきてくれるようにするにはどうしたらよいか」という課題に頭を使った方が良い、
・したがって、直ちに後者の課題に関する情報を収集したり打ち手を考えて行きたい
ということになりました。
このように、熟断思考には、悩みを解決するという役立ちに加えて、真の悩みや問題の発見につながる、という効能もあるのです。
以上、熟断思考の本質である「インテリジェントエイヤ!」について論じてみました。
次回の第4回目のブログでは、「『スピーディ』な意思決定は間違い!?」と題して、意思決定のスピードと質について、世の中に流布している勘違いについて、皆さんに注意喚起させて頂きたいと思います。
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なお、これまでの記事と次回以降のテーマは以下の通りです。
第1回:その判断、単なる「エイヤ!」で決めていいんですか?(7/25公開)
第2回:ロジカル人生相談で悩みに取り組もう!(7/29公開)
第3回:KKDD(=勘と経験と度胸とど根性)と『インテリジェントエイヤ!』(←本稿)
第4回:「スピーディ」な意思決定は間違い!?
第5回:「スローガン経営とチアリーディング」の限界と弊害
第6回:「英断」を期待するのではなく、「意思決定の質」を上げよう! 誰にでもできる6つのコツ
』
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一葉落ちて天下の秋を知るの意味と語源や得られる教訓
https://tokainokenso.com/2024/09/09/4337/『2024年9月9日 / 最終更新日時 : 2024年9月9日 tokainokenzo
【ことわざ解説】一葉落ちて天下の秋を知るの意味と語源や得られる教訓目次
はじめに
一葉落ちて天下の秋を知るの意味
一葉落ちて天下の秋を知るの語源
一葉落ちて天下の秋を知るの実生活での例
一葉落ちて天下の秋を知るから学ぶべき教訓
まとめはじめに
「一葉(※ ひとは)落ちて天下の秋を知る」ということわざは、一つの小さな変化や兆しから、大きな変化を予測できるという意味を持つ表現です。季節が秋に移り変わることを、木の葉一枚が落ちることで知るように、わずかな変化がやがて来る大きな出来事を暗示しているという教訓を含んでいます。本記事では、このことわざの意味や語源、現代生活における具体例を通して、どのような教訓を得られるのかを解説していきます。
一葉落ちて天下の秋を知るの意味
「一葉落ちて天下の秋を知る」とは、一つの小さな出来事や兆候から、やがて起こる大きな変化を予測するという意味です。秋が近づくと、最初に一枚の葉が木から落ちることがあります。この一葉が落ちることは、やがて本格的な秋が訪れることを示しています。このことわざは、日常生活やビジネスにおいても、小さなサインに気づき、先を見通す力が重要であることを教えてくれます。
一葉落ちて天下の秋を知るの語源
このことわざの語源は、中国の古典に由来します。『淮南子(えなんじ)』という書物に登場し、秋が近づくことを一枚の葉が落ちることで感じ取るというエピソードから生まれました。「天下の秋」という表現は、単に季節の移り変わりを指すのではなく、広い範囲にわたる変化や、時代の大きな転換を示唆しています。このように、歴史的な視点からも、一つの小さな兆しがやがて大きな変化を予兆することを指摘しているのです。
一葉落ちて天下の秋を知るの実生活での例
現代社会においても、このことわざの意味は非常に有効です。たとえば、ビジネスの分野では、顧客からのわずかな不満や問い合わせが、後々大きな問題に発展する可能性を示すサインであることがあります。また、テクノロジー業界でも、ある小さな技術革新やトレンドがやがて市場全体に大きな影響を及ぼすケースは少なくありません。一つの変化や異変を見逃さずに、先を見通すことが、成功や問題回避のカギとなることを教えてくれます。
一葉落ちて天下の秋を知るから学ぶべき教訓
このことわざから学ぶべき教訓は、小さな兆しや変化に敏感であることの重要性です。私たちは日常生活の中で、何気ない変化や出来事を見逃してしまいがちですが、実際にはそれらが将来の大きな出来事の前触れであることも少なくありません。たとえば、健康面でも、体調のわずかな異変が後に大きな病気を引き起こすことがあります。日々の小さなサインに気づき、適切に対処することが、より良い未来を築くための鍵となります。
まとめ
「一葉落ちて天下の秋を知る」ということわざは、一つの小さな出来事から大きな変化を予測する力を養うことの重要性を教えてくれます。人生やビジネスにおいて、わずかな変化を見逃さず、先を見通すことが成功への道を開くことになります。日々の変化に敏感であることが、やがて訪れる大きな変化や挑戦に対処するための準備となるのです。 』
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社会進化論
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E9%80%B2%E5%8C%96%E8%AB%96『出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
社会進化論(しゃかいしんかろん、英: Social Darwinism)または社会ダーウィン主義(しゃかいダーウィンしゅぎ)、ヘーゲルやコントなどの社会の進歩についての議論をベースに、生物学において広まりつつあったさまざまな進化論をとりこんでつくられた社会理論の一種である。
その理論は多様であり、目的論的自然観に基づく方向性のあるものから、チャールズ・ダーウィンの進化論にヒントを得て、方向性の定まっていないものまで含まれる。
19世紀
政治体制が封建制、絶対王政、共和制へとかわり、一方で産業革命による産業構造の変化によって不安定な立場に置かれた労働者階級とブルジョア階級という新しい階級構造が誕生し、一方では科学の発達によりニーチェのように無神論的な考え、個人主義・自由主義的な思想もまた誕生していた。
そういった社会状況において、種は不変の存在ではなく進化する存在であるという生物学的な考えと、政治体制は変わっていくという歴史哲学的な考えが同時代に現れた。
その二つの思潮が合流したものが社会進化論である[1]。
コント
オーギュスト・コントは著書『実証哲学講義』で、上述の社会状況を研究するために、当時大きな発展を遂げていた生物学(生理学)を根拠にした、社会動学と社会静学という二つの社会学を構想した。
ダーウィンの『種の起源』自体は発表されていなかったが、ラマルクなどの進化論が知られており、進化についてのアイデアを取り込み、社会静学は有機体としての社会を研究し、社会動学は三段階の法則に従って発展してきた社会発展を研究する学問と位置づけた。
こうした考えはジョン・スチュアート・ミルを通じてイギリスにも伝えられることとなった。スペンサー
社会進化論は19世紀のハーバート・スペンサーに帰せられる。
思想史的に見れば、目的論的自然観そのものは古代ギリシア以来近代に至るまでヨーロッパには古くから見られる。
しかし、人間社会が進化する、あるいは自然が変化するという発想はなかった。
しかしラマルクやダーウィンが進化論を唱え、スペンサーの時代にはそれまでの自然観が変わり始めていた。
スペンサーは進化を自然(宇宙、生物)のみならず、人間の社会、文化、宗教をも貫く第一原理であると考えた。
スペンサーは進化を一から多への単純から複雑への変化と考えた。
自然は一定した気温でなく寒冷と温暖を作り、平坦な地面でなく山や谷を作り、一つの季節でなく四季を作る。
社会も単純な家内工業から複雑化して行き機械工業へと変化する。
イギリス帝国が分裂してアメリカが出来る。
芸術作品も宗教の形態も何もかもすべて単純から複雑への変化として捉えるのだが、単に雑多になるのではなくより大きなレベルでは秩序をなすと考えるのである。
未開から文明への変化は単純から複雑への変化の一つである。
その複雑さ、多様性の極致こそが人類社会の到達点であり目指すべき理想の社会である、と考えられた(ホイッグ史観)。
従って、こうした社会観に立つあるべき国家像は、自由主義的国家である。このような考え方が当時の啓蒙主義的な気風のなかで広く受け入れられた。
スペンサー以後
社会進化論はスペンサーの自由主義的なものから変質し、適者生存・優勝劣敗という発想から強者の論理となり、白色人種のキリスト教徒に都合の良い解釈が行われて、帝国主義国による侵略や植民地化を正当化する論理になったとされる。
その一方で、共産主義もまた社会進化論のパラダイムに則っていた。
現にカール・マルクスは、進化論が唯物史観の着想に寄与したとしてダーウィンに資本論の第一巻を献本している。
マルクスは、あくまで社会進化論が資本主義の存続を唱う点と一線を画し、資本主義自体が淘汰されると説いた。
エルンスト・ヘッケルは国家間の競争により、社会が発達していくという内容の社会進化論を唱えた。
ゴルトンは、人為選択(人為淘汰)によって民族の退化を防ぐために劣った遺伝子を持つものを減らし、優れた遺伝子を持つものを増やそうという優生学を提唱した。
これは、人種差別・障害者差別の正当化に使われた。
日本においては明治時代に加藤弘之・穂積陳重らによって社会進化論が紹介され、優勝劣敗を説く論理として社会思想に大きな影響を与えた。
またその自由主義的な性格から、「進歩的思想」として受け止められ、自由民権運動にも影響を与えた。
また本来社会進化論的観点から言及されたものではなかったが、ニーチェ思想が与えた影響も無視できない。
ルサンチマン、超人、力への意志といった概念であるが、遺稿『権力への意志』は妹エリーザベトの反ユダヤ主義による恣意的な編纂の面が大きい。
これらは後世のナチズムによって原義とは違った解釈がなされ、優生学的政策の他、ドイツの「生存圏」を拡げ維持する理論として展開された。
関連項目
優生学
進歩史観
進化論
ダーウィン主義
帝国主義
人種差別
ハーバート・スペンサー
社会文化的進化
外部リンク
杉山あかし、「ダーウィニズムと社会進化論」『理論と方法』 1989年 4巻 2号 p.2_77-2_92, doi:10.11218/ojjams.4.2_77, 数理社会学会
木戸美幸、「アメリカ社会進化論で読む『お国の慣習』」『京都光華女子大学研究紀要』 2008年 46巻 p.55-76, NAID 110006977011
脚注
^ 北垣徹「社会ダーウィニズムという思想 (総特集 ダーウィン–『種の起源』の系統樹)」『現代思想』第37巻第5号、青土社、2009年4月、175-189頁。
典拠管理データベース ウィキデータを編集
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カテゴリ: 社会文化的進化歴史理論差別社会思想帝国主義科学史社会倫理学社会理論政治理論保守主義自由主義オーギュスト・コントハーバート・スペンサー
最終更新 2024年11月2日 (土) 22:23 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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