※ こういう「犯罪統計」から、冷静に見ると、とりたてて「治安が悪化している」という感じでもないな…。
※ ただ、今まででは、「聞いたこともない」ような事案が生じていることは、確かだ…。
※ それが、後述の「体感治安」の悪化につながっているものと、思われる…。
※ まあ、コロナ禍の最中は、みんな「家に籠って」、おとなしくしていたわけだ…。 ※ そのタガが外れて、みんな「出歩く」ようになり、人との接触の機会も増えたし、警戒心も緩んだんだろう…。
※ いっぽう、当然、経済的に「苦境」に陥るような人も、出たんだろう…。
※ そこにもって来て、SNSなんかで、「キラキラ人生」を見せびらかす機会・人も増加し、それを「家に籠っている間に」、長時間見たりする人も、増えたわけだ…。
※ そうすると、「欲望」や「剝奪感」が増幅されて、「何でオレだけが…。」と思う人も増加するんだろう…。
※ そういう「負の感情」を増大・肥大化させている人が、増加しているかもしれない…、ということは、警戒しておいた方がいい…。
令和6年2月 警察庁 令和5年の犯罪情勢https://www.npa.go.jp/publications/statistics/crime/situation/r5_report.pdf
1情勢
(1) 犯罪情勢の分析に当たっての考え方
令和5年の犯罪情勢の分析に当たっては、サイバー空間や先端技術の利用の拡大、 人口構造の変化等、目まぐるしく変化する国内外の情勢を踏まえて、以下のとおり指 標の選定を行った。
まず、犯罪の発生状況の大勢を把握するため、第一の指標として、刑法犯認知件数 並びにそのうち前年からの変動がみられるもの及び国民の体感治安に影響するとみら れるものを取り上げる。
次に、第二及び第三の指標として、科学技術の急速な発展により国民生活の利便性 が向上する裏側で、当該技術を悪用して敢行され、被害が拡大しているサイバー事案1 及び特殊詐欺を取り上げる。
さらに、第四の指標として、情報通信技術の進展等を背景としたコミュニケーショ ン手段の変化や対人関係の多様化等により、被害の実態がつかみづらく、潜在化しや すいー方で、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが大きい人身安全関連事案2 を取り上げる。
このほか、これらの指標からは捉えられない国民の治安に関する認識を把握するた めに、令和5年10月に警察庁において実施した「治安に関するアンケート調査」3の 実施結果について取り上げる。
(2) 犯罪類型ごとの分析
ア刑法犯
刑法犯認知件数については、令和5年は各地域における人流が新型コロナウィル ス感染症の感染拡大前の水準まで戻りつつあることから、令和元年との比較につい ても検討することとする。
刑法犯認知件数の総数については、平成15年から令和3年まで一貫して減少して 1サイバーセキュリティが害されることその他情報技術を用いた不正な行為により生ずる個人の生命、身体及び財産並 びに公共の安全と秩序を害し、又は害するおそれのある事案。 2ストーカー事案•配偶者からの暴力事案等の恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案や児童虐待事案等の人身の安 全を早急に確保する必要の認められる事案。 3全国の!5歳以上の男女5,000人を対象に、年代別•性別•都道府県別の回答者数の割合が令和2年国勢調査の結果に 準じたものとなるようインターネットを通じて実施したもの。 1 きたところ、令和5年は70万3, 351件4と、戦後最少となった令和3年から2年連 続して増加し(前年比!7.0%増加)、令和元年の水準に近づいており(令和元年比
0%減少)、今後の動向について注視すべき状況にある(図1)。 (万件)
図1刑法犯の認知件数の推移
また、人口千人当たりの刑法犯の認知件数についても5.6件と、刑法犯認知件数 の総数と同様に、戦後最少となった令和3年から2年連続で増加となり、令和元年の 水準に近づいている(図2)。
0 H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 R元 2 3 4 5 (年)
図2人口千人当たりの刑法犯の認知件数の推移5 41(2)アにおける令和5年の数値は確定値。以下同じ。 5人口は、総務省人口推計又は国勢調査人口による各年10月1日現在の総人口。ただし、令和5年は令和4年10月1 日現在の人口。 2
認知件数の内訳を見ると、総数に占める割合が大きい街頭犯罪6が、24万3,987件 (前年比21.0%増加)と、伸び率が大きく、令和元年の水準に近づいている(令和 元年比!0.6%減少)(図3)
〇その中でも、自転車盗、傷害及び暴行については、 新型コロナウィルス感染症の感染状況の変化等による人流の増加が一定程度影響し たとみられる。
また、侵入犯罪7の認知件数は5万5, 269件となり、前年比で19.1% 増加、令和元年比で22. 3%減少となった。
また、重要犯罪8の認知件数について、令和5年は1万2, 372件と、前年比で29. 8% 増加し、令和元年比でも25. 0%増加となった(図4)。
その内訳を見ると、不同意 性交等及び不同意わいせつ9並びに略取誘拐•人身売買がいずれも前年比及び令和元 年比で増加となった。
その背景には情勢の変化等、様々な要素があると考えられ、 単純な経年比較はできないものの、不同意性交等及び不同意わいせつについては、 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(令和5年法律第66号。以下「改正刑法」 という。)により、構成要件の一部が変更されたことや、政府として性犯罪の被害 申告・相談をしやすい環境の整備を強力に推進須してきたこともあいまって、認知件 6路上強盗、ひったくり、自動車盗、オートバイ盗、自転車盗、車上ねらい、部品ねらい及び自動販売機ねらいのほ か、不同意性交等、不同意わいせつ、略取誘拐•人身売買、暴行、傷害及び恐喝のうち街頭で行われたもの。 7侵入強盗、侵入盗、住居侵入。 8殺人、強盗、放火、不同意性交等、略取誘拐•人身売買及び不同意わいせつ。 9令和5年7月12日以前は強制性交等及び強制わいせつであり、単純に令和4年以前とその件数を比較できない点につ いては留意する必要がある。
10 「性犯罪•性暴力対策の強化の方針」(令和2年6月11日性犯罪•性暴力対策強化のための関係府省会議決定)及 び「性犯罪•性暴力対策の更なる強化の方針」(令和5年3月30日性犯罪•性暴力対策強化のための関係府省会議決 定)〇 3
数が増加したものと推認される。
略取誘拐・人身売買については、通話•通信アプ リを利用した手口による被害の増加が、前年からの認知件数増加の一因となってい る。
また、殺人及び強盗についても、前年比で増加となった。加えて、SNSで実行 犯を募集する手口が特殊詐欺のみならず強盗等まで拡大しているほか、岸田首相に 対する爆発物使用襲撃事件及び長野県中野市において、猟銃等を用いて警察官2人 を含む4人を殺害する事案も発生している。
図4重要犯罪の認知件数の推移
財産犯11の被害額の推移については、約2,519億円と前年比で56.7%増加してい る。
その内訳を見ると、詐欺による被害額が約1,626億円と増加している(前年比
4%増加)(図5) 〇
また、詐欺による被害の増加については、インターネットを 利用した詐欺の増加等が寄与している状況が認められた。 11強盗、恐喝、窃盗、詐欺、横領及び占有離脱物横領。 4
刑法犯の検挙状況については、検挙件数は26万9, 550件、検挙人員はI8万3, 269 人と、共に前年(25万350件、16万9,409人)を上回った(それぞれ前年比で7.7%、
2%増加)(図6) 〇少年の検挙人員は1万8, 949人で、検挙人員全体の10. 3%と なった。
90 (万件) 90 80 ______________________________________________________________________________________ 70 60 50 40 30 20 10 0 (万人)
口検挙人員うち少年 •検挙人員少年以外 —-80 •検挙件数 38.9 ヘ< ■ [ | ヽ94 279 26. 4 27 0 ml 1 iiihiiiiif H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 R元 2 3 4 5 (年)
図6刑法犯の検挙件数•人員の推移
一方で、刑法犯の検挙率は38. 3%、重要犯罪の検挙率は81.8%、重要窃盗犯の検 挙率は51.4%と、いずれも2年連続減少した(それぞれ前年比3. 3ポイント、5.8 ポイント、6. 8ポイント減少)(図7)。 10 0 H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 r元 2 3 4 5(お、
図7刑法犯•重要犯罪•重要窃盗犯の検挙率の推移 5
イサイバー事案
近年、サイバー空間は、地域や年齢、性別を問わず、全国民が参加し、重要な社 会経済活動が営まれる公共空間へと変貌を遂げた一方で、国内外で様々なサイバー 事案が発生するなど、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢が続いている。
インターネットバンキングに係る不正送金事犯については、令和5年は発生件数 が5, 528件粉、被害総額は約86億円と急増し、いずれも過去最多となった(それぞ れ前年比で386.6%、465. 7%増加)(図8) 〇
被害の大部分は個人であり、そのう ち40代から60代の被害者が60. 0%を占めている。
インターネットバンキングに係 る不正送金事犯の手口は様々であり、また、情勢や対策等に合わせて手口が変化す ることがあるが也、令和5年においては、その被害の多くがフィッシングによるもの とみられており、金融機関を装ったフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ 図8インターネットバンキングに係る不正送金事犯 121⑵イにおける令和5年の数値は暫定値。以下同じ。 13携帯電話機販売店において、偽造した本人確認書類を使い、他人になりすましてMNP (携帯電話番号ポータビリテ ィ)やS IMカードの再発行の手続を行い、携帯電話番号を乗つ取る手口(以下「S IMスワップ」という。)を用いた インターネットバンキングに係る不正送金事犯については、令和4年9月、総務省と連携し、携帯電話事業者に対して 携帯電話機販売店における本人確認の強化を要請し、令和5年2月までに、大手携帯電話事業者において要請に基づい て本人確認を強化した結果、令和5年におけるS I Mスワップによる不正送金の被害が減少した。 6
また、ランサムウェアと呼ばれる不正プログラムによる被害は全世界で深刻化し ており、国内においては、令和5年中に警察庁に報告された企業・団体等における ランサムウェアによる被害件数が197件と、前年比で!4. 3%減少したものの、依然 として高い水準で推移している(図9)。
加えて、データを暗号化する(ランサムウ エアを用いる)ことなくデータを窃取し対価を要求する手口(「ノーウェアランサ ム」)が新たに30件確認されるなど、手口が巧妙化・多様化している実態がある。
さらに、サイバー攻撃については、DDoS攻撃による被害とみられるウェブサイト の閲覧障害が複数発生し、一部の事案に関しSNS上でハクティビストや親ロシア 派ハッカー集団からの犯行をほのめかす投稿が確認された。
また、中国を背景とす るサイバー攻撃グループFBlackTechJ (ブラックテック)による情報窃取を目的と したサイバー攻撃も確認された。 7
令和5年中に警察庁が検知したサイバー空間における探索行為等とみられるアク セスの件数14は、1日•IIPアドレス当たり9,144. 6件と過去最多(前年比18. 6% 増加)に上っており、その多くがI o T機器に対するサイバー攻撃やぜい弱性を有 するI o T機器の探索行為であるとみられる(図10、図11)。
図ioサイバー空間におけるぜい弱性探索行為等とみられるアクセス件数
図11サイバー空間におけるぜい弱性探索行為等とみられるアクセス件数(宛先ポート別)15 サイバー事案の検挙件数については、令和5年中は2,851件を検挙しており、そ の内訳を見ると電子計算機使用詐欺及び不正アクセス禁止法違反で全体の51.6%を 占めている(図12)。 14
警察庁では、インターネット上にセンサーを設置し、当該センサーに対して送られてくる通信パケットを収集してい る。このセンサーは、外部に対して何らサービスを提供していないため、本来であれば外部から通信パケットが送られ てくることはないことから、攻撃者が攻撃対象を探索する場合等に不特定多数のIPアドレスに対して無差別に送信さ れる、通信パケットを観測することができる。
この通信パケットを分析することで、インターネットに接続された各種 機器のぜい弱性の探索行為、当該ぜい弱性を悪用した攻撃、不正プログラムに感染したコンピュータの動向等、インタ ーネット上で発生している各種事象を把握することができる。 15
ポート番号1024番以上は、主としてI 〇T機器が標準設定で使用するもの。 8 なお、令和5年4月から12月までのサイバー事案の検挙件数は2, 202件であり、 前年同期比19. 4%増加となっている。16 詐欺 394 件(13.8%) その他171件(6.0%) 不正作出私電磁的記録供用 250 件(8.8%) 犯罪収益移転防止法違反 37I件(13.0%) 窃盗 194 件(6.8%) 不正アクセス禁止法違反 52I件(18.3%) 電子計算機使用詐欺 950 件(33. 3%) 2,851件 図12サイバー事案の検挙状況
また、令和5年における不正アクセス禁止法違反及びコンピュータ・電磁的記録 対象犯罪の検挙件数は、それぞれ521件、997件であった(それぞれ前年比0. 2%減 少、5.2%増加)(図13)。
•不正アクセス禁止法違反 ー&コンピュータ・電磁的記録対象犯罪 △- H26 H27 H28 H29 H30 R 元 R2 R3 R4 R5
図!3不正アクセス禁止法違反等の検挙状況の推移 16法令上の用語としての「サイバー事案」は、令和4年4月1日に施行された警察法の一部を改正する法律による改正 後の警察法において新たに定義されたものであることから、令和4年4月から12月までの検挙件数(1,844件)と比較 した。 9
このほか、SNSに起因する事犯17の被害児童お数は1,663人(前年比4.0%減少) と、令和2年以降減少傾向にあるものの、依然として高い水準で推移している(図 14)。 1,000 500 0 H26 H27 H28 H29 H30 R元 R2 R3 R4 R5 (年)
図14 SNSに起因する事犯の被害児童数 17改正刑法及び性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去 等に関する法律(令和5年法律第67号。以下「性的姿態撮影等処罰法」という。)の一部が令和5年7月に施行された ことから、対象犯罪に刑法第182条及び性的姿態撮影等処罰法第2条から第6条までに規定する罪を新たに計上してい る。 18 「児童」とは、18歳に満たない者をいう。 10
ウ特殊詐欺
特殊詐欺については、事件の背後にいる暴力団や準暴力団を含む匿名•流動型犯 罪グループが、資金の供給、実行犯の周旋、犯行ツールの提供等を行い、犯行の分 業化と匿名化を図った上で、組織的に敢行している実態にあり、令和5年の認知件 数は1万9, 033件也、被害総額は約441.2億円と昨年に続き増加となり、深刻な情勢 が続いている(それぞれ前年比で8.3%、19. 0%増加)(図15)。
認知件数を犯行手口別に見ると、令和3年に急増した還付金詐欺の占める割合が 減少した一方で、架空料金請求詐欺の占める割合が27.0%と大きく増加している(図 16)。この架空料金請求詐欺について、被害者を欺岡する手段として犯行の最初に 用いられたツールは、ポップアップ表示2°の割合が43.8%となっており、性別•年代 を問わず被害が発生している。一方で、架空料金請求詐欺以外の特殊詐欺について は、被害者は高齢女性が多くを占め、被害の大半は犯人からの電話を受けることに 端を発している。
191(2)ウにおける令和5年の数値は暫定値。以下同じ。 20パソコン、スマートフォン等を使用してウェブサイトを閲覧中、突如表示されるポップアップウィンドウをいう。 11
図16特殊詐欺認知件数の手口別構成比の推移
(注)令和2年以前は オレオレ詐欺の内数。 •その他特殊詐欺 〇キャッシュカード詐欺盗 •融資保証金詐欺 ・還付金詐欺 口架空料金請求詐欺 目預貯金詐欺(注) 因オレオレ詐欺 令和5年における特殊詐欺の検挙件数は7,219件(前年比8. 7%増加)、 検挙人 員は2,499人(前年比1.7%増加)と、いずれも前年を上回った(図17)。 H ノ 9, 000
000 ^77424
000 口斐熟員 7.219 (件) 9, 000、什ノ
図17特殊詐欺の検挙件数及び検挙人員の推移
こうした特殊詐欺事件の背後においては、SNSで特殊詐欺の実行犯を募集する 者や、犯罪グループや特殊詐欺の実行犯に対して、預貯金口座や携帯電話を不正に 譲渡する者、電話転送サービス等の提供を行ったり、電子マネー利用番号等の転売、 買取等を行ったりしている悪質な事業者の存在が依然として認められる。 12
工人身安全関連事案
人身安全関連事案のうち、ストーカー事案の相談等件数は1万9, 843件21(前年比 3.7%増加)と、依然として高い水準で推移している(図18) 〇
また、ストーカー事案の検挙件数については、ストーカー規制法違反検挙、刑法 犯等検挙はそれぞれ1,081件、1,708件であり(それぞれ前年比5. 2%、3. 5%増加)、 依然として高い水準で推移している(図19) 〇
図18ストーカー事案の相談等件数
(件) 2, 500 2,000 1,500 926 .4- 870……….. 769 677 60 __ ts—- 物ー性一…鬼一一一蝉ー…” 1.000 500 H26 H27 H28 H29 H30 R2 R3 R4 R5 (年) 0 R元
図19ストーカー事案の検挙件数 211⑵工における令和5年の数値は暫定値。以下同じ。 13
また、配偶者からの暴力事案等の相談等件数は増加傾向にあり、令和5年は8万 8,619件と、前年比で4.9%増加し、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に 関する法律(平成宣年法律第31号)の施行以降で最多となった(図20)。
配偶者からの暴力事案等の検挙件数については8, 636件(前年比1.2%増加)と、 依然として高い水準で推移している(図21)。
(件) 100, 000 90.000 80.000 70.000 60.000 63.141 59,072 77, 482 69, 908 72, 455 88,619 82 207 82,643 83,042 50.000 40.000 30.000 20.000 10.000 H26 H27 H28 H29 H30 R2 R3 R4 R5 (年) 0 R元
図20配偶者からの暴力事案等の相談等件数 (件) 10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 9,090 8, 702 8, 634 8, 535 8, 636 -占保護命令違反 •刑法犯等 4,000 3,000 2,000 1.000 120 106 104 80 71 71 76 69 46 49 0 △ も H26 H27 H28 H29 H30 暁 R2 R3 R4 R5 (年)
図21配偶者からの暴力事案等の検挙件数 14 児童虐待については、児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に 通告した児童数は年々増加しており、令和5年は12万2,806人と、前年比で6.1% 増加し、過去最多となった。その態様別では、心理的虐待が9万761人と全体の 73.9%を占めている(図22)。 (人) 120,000 115.762 106,991 108,059 100,000 W22. 80,252 8〇, 〇〇〇 ———————————————————–アrb [上———–壬 —————-« ——–“— 122,806 65,431 H26 H27 H28 H29 H30 祝 R2 R3 R4 R5 ロ心理的虐待 17,158 24,159 37,183 46,439 57,434 70, 721 78,385 80, 304 84, 973 90,761 ぬ怠慢・拒否 3, 898 4,431 5,628 6, 398 7, 722 8, 958 8, 859 8, 271 9, 805 10,205 •性的虐待 177 171 251 251 260 264 295 296 322 320 81身体的虐待 7, 690 8, 259 11,165 12.343 14,836 18,279 19,452 19,188 20, 662 21,520
図22児童虐待の通告児童数 また、児童虐待事件の検挙件数については、2,385件と、前年比9.4%増加し、過 図23児童虐待事件の検挙件数 これらを踏まえると、人身安全関連事案については、引き続き注視すべき情勢に ある。 15
オ体感治安
前項までに述べたような指標からは捉えられない国民の治安に関する認識を把握 するため、令和5年10月、警察庁において「治安に関するアンケート調査」を実施 したところ、日本の治安について「よいと思う」旨回答した方は、全体の64. 7%を 占めた(図24) 〇
その一方で、ここio年間での日本の治安に関し、「悪くなったと思う」旨回答し た方は全体の71.9%を占めた。22
設問②「ここ10年で、日本の治安はよくなったと思いますか。それとも悪くなったと思いますか。」(回答数:5,000) 令和5年調査 (参考値) 令和3年調査 (参考値) 令和4年調査 •よくなっていると思う•どちらかといえばよくなったと思うロどちらかといえば悪くなったと思う口悪くなったと思う区わからない
図24治安に関するアンケート調査結果
(3)犯罪情勢の総括
戦後最少となった令和3年以降、刑法犯認知件数が2年連続で前年比増加となり、 新型コロナウィルス感染症の感染拡大前の令和元年の水準に近づきつつある。
また、 重要犯罪の認知件数が既に令和元年を上回る数値となったほか、令和5年中には、国 民に不安を与えるような事件等も発生した。
加えて、インターネットを利用した詐欺 の増加等を背景として、財産犯の被害額が増加するなど、今後の動向について注視す べき状況にある。
サイバー事案については、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の被害が 過去最多となったほか、国家を背景に持つ集団によるサイバー攻撃も確認されている など、極めて深刻な情勢が続いている。
22「悪くなったと思う」旨回答した方が、その要因として想起する犯罪については、「オレオレ詐欺などの詐欺」、「無差 別殺傷事件」、「サイバー犯罪」及び「児童虐待」が多く挙げられていた。
特に、「オレオレ詐欺などの詐欺」について は、全体の71.1%が回答しており、その内訳を見ると、男女ともに10代• 20代を除いた全ての年代で「オレオレ詐欺 などの詐欺」を回答した人の割合が高く(いずれの区分においても60%以上)、幅広い属性の国民が不安を感じている 状況がうかがわれた。
また、「悪くなったと思う」旨回答した方のうち82.3%が、その理由として「テレビや新聞、イ ンターネットニュースで犯罪についての報道を見ることが増えたから」を挙げていた。 16
特殊詐欺については、認知件数が3年連続、被害額が2年連続で増加したほか、全 年代を対象とした架空料金請求詐欺の手口での被害が昨年比で大幅に増加するなど、 深刻な情勢が続いている。
人身安全関連事案については、ストーカー事案の相談等件数及び配偶者からの暴力 事案等の相談等件数がいずれも前年より増加したほか、児童虐待又はその疑いがある として警察から児童相談所に通告した児童数が過去最多に上るなど、注視すべき状況 にある。
また、前述のように複数の指標において、サイバー空間における技術・サービスを いわば犯罪のインフラとして悪用した事案の増加が認められた。
以上を踏まえれば、我が国の犯罪情勢は、厳しい状況にあると認められる。
2 今後の取組
国民の安全•安心を確保するため、警察としては、我が国の社会情勢等が大きく変化 している中、警戒の空白が生じることを防ぎ、直面する様々な課題に的確に対処するた め、総合的な対策を、これまで以上に強力に推進する。
特に、匿名•流動型犯罪グルー プに対し、部門や都道府県警察の垣根を超えて、戦略的な取締りを更に強化する。
街頭犯罪をはじめとする国民に不安を与える身近な犯罪の抑止に向け、それぞれの地 域における治安情勢等に応じ、地域社会や関係機関・団体等との連携の下、各種取組を 推進するとともに、性犯罪に関しては、令和5年6月に公布された改正刑法及び性的姿 態撮影等処罰法の内容、趣旨等を踏まえ、被害申告•相談しやすい環境の整備や、被害 者の心情に配意した適切な捜査をより一層推進する。
また、SNSで実行犯を募集する 手口等による強盗等については、犯罪グループの実態解明に向けた捜査を含む効果的な 取締りを推進するとともに、A Iシステムを活用したサイバーパトロールを行うなど、 インターネット上の違法・有害情報の排除に向けた取組等を推進する。
サイバー事案については、国家を背景に持つサイバー攻撃や被害が高水準で推移する ランサムウェア事案等の脅威に対して、関東管区警察局サイバー特別捜査隊と都道府県 警察とが一体となった捜査、実態解明等に取り組み、外国捜査機関等と連携した対処等 を推進するとともに、脅威の深刻化に対応するための捜査•解析能力の高度化や事業者 等と連携した被害防止対策を強力に推進する。特に、過去最多の被害を記録したインタ ーネットバンキングに係る不正送金事犯については、最先端技術等の活用等によるフィ ッシング対策の高度化•効率化等、キャッシュレス社会の安全・安心の確保に向けた各 種取組を推進する。
特殊詐欺については、関係事業者等と連携し、高齢者宅の固定電話へのナンバー ・デ イスプレイ、ナンバー・リクエストや留守番電話設定の普及、国際電話番号を悪用した 詐欺の増加に伴う国際通話ブロックの推進等、犯人からの電話を直接受けないための対 17 策のほか、令和5年に急増した架空料金請求詐欺について高額の電子マネーを購入しょ うとする客への声掛け等、被害防止対策を強力に推進する。
また、令和6年度から、発 生地警察から依頼を受けた首都圏等の警察が自らの管轄区域内の捜査を責任を持って行 う「特殊詐欺連合捜査班(TAIT23) jを各都道府県警察に構築することにより広域的 な捜査連携を強化する。さらに、電話転送サービスに係る悪質な電気通信事業者等、犯 行ツールに係る悪質な事業者について、情報収集を強化し、あらゆる法令を駆使してそ の取締りを推進する。
人身安全関連事案については、被害が潜在化しやすく、事態が急展開するおそれが大 きいという特徴を踏まえ、関係機関と緊密に連携しつつ、被害者等の安全の確保を最優 先に、関係法令を駆使した加害者の検挙等による加害行為の防止や被害者等の保護措置 等の取組を推進する。
これらの取組を実効的に推進する上でも、所属・部門を超えたリソースの重点化や能 率的でメリハリのある組織運営を一層図り、警察機能を最大限に発揮し、国民の期待と 信頼に応えていく。
23 Telecom scam Allianced Investigation Team 18