消耗を機能させる:ウクライナの勝利の有効な理論 国際問題戦略研究所(IISS)2024年2月
https://milterm.com/archives/3535
『2024年2月20日 / 最終更新日時 : 2024年2月20日 軍治
ロシア・ウクライナ戦争が3年目に入る。
先の投稿「ウクライナの消耗の戦略 国際問題戦略研究所(IISS)2023年4月」では、英国にある民間シンクタンクの国際問題戦略研究所(IISS)の2023年春時点の分析を紹介したところである。
ここで紹介するのは、同じ国際問題戦略研究所(IISS)のその1年後の分析である。ウクライナの軍事的勝利には何が必要なのかについて論じた内容であり、単に装備品・弾薬の支援だけが必要ではないとすることを述べており、是非一読されたい。(軍治)』
『消耗を機能させる:ウクライナの勝利の有効な理論
Making Attrition Work: A Viable Theory of Victory for Ukraine
9th February 2024
Franz-Stefan Gady and Michael Kofman
フランツ=ステファン・ガディ(Franz-Stefan Gady)はIISSコンサルティング・シニア・フェロー(サイバー・パワーと将来の紛争担当)、新米国安全保障センター非常勤シニア・フェロー。
マイケル・コフマン(Michael Kofman)はカーネギー国際平和財団のロシア・ユーラシア・プログラムのシニア・フェロー。
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ウクライナが優位性を回復する最も効果的な方法は、効果的な縦深の防御を行うことであり、これによりウクライナの損失と弾薬の必要量を減らすことになる。
ロシアとウクライナの戦争が3年目に入り、ウクライナは軍事的優位性をいかに回復するかという困難な課題に直面している。
秋まで長引いた2023年夏の攻勢は失敗に終わった。
この作戦はコスト高で困難であり、十分に準備された防御力に対して機動戦(manoeuvre warfare)が迅速な突破口を開く可能性は低いと多くの分析が警告していたにもかかわらず、攻勢の計画策定は過度に楽観的で、ウクライナ軍が実際にどのように闘うかとの関連性が薄かったようだ[1]。
2024年に再び大規模な地上攻勢を仕掛けるには、状況は不利だ。
ウクライナの最終的な勝利の可能性を最大化するためには、西側諸国はウクライナの有効性の原動力(driving engine)が破壊を中心としたアプローチ(destruction-centred approach)であり、その結果、高いレベルの消耗(attrition)、つまり、自軍の被害よりも多くの人員や物資の損失を与えることで敵の闘うための能力容量を低下させることであり、移動性(mobility)よりも火力を重視し、側面攻撃よりも直接攻撃や準備された防御を優先することであることを認識する必要がある。
特に決定的な戦力的優位性(decisive force advantage)がない場合、準備された防御に対する機動(manoeuvre)の試みは常に失敗に終わってきた。
機動(manoeuvre)は戦場ではまだ有効だが、実を結ぶには消耗(attrition)からの助けが必要だ。
西側諸国は、ウクライナが火力で決定的な優位性を確立する能力、つまり、通常、砲身砲やロケット砲、戦場打撃ドローン、長距離精密打撃システム、戦術航空による支援に資源を充てることに重点を置くべきである。
それに劣らず重要なのは、ウクライナが攻勢作戦(offensive operations)でその優位性を発揮できるよう、部隊の運用能力容量を拡大する手助けをすることである。
西側諸国はまた、ウクライナが消耗戦争(attritional war)で最大の優位性をもたらす能力の工業生産を増強するのを支援すべきである。
西側諸国は、ウクライナの兵力構成と軍事文化、そして動員されつつある軍隊がもたらす課題を理解する必要がある。
それは、ウクライナ軍をより西側の機動中心の闘いの方法(manoeuvre-centred way of fighting)に変えようとする誘惑を避けることを意味する。
消耗の戦争:A war of attrition
この戦争の歴史を知れば知るほど、どれだけのことが偶発的で、どれだけのことが実際には過大な決定であったかが明らかになる。
ロシアの最初の侵略は、ウクライナ政府に対する転覆の戦役(subversion campaign)と決定的な斬首打撃(decisive decapitation strike)を組み合わせることで、長期戦は避けられるという前提に立ったリスクの高い作戦だった[2]。
要するに、ロシアの作戦コンセプトは政治的な前提に基づくものであり、そのため、ロシア軍が大規模戦闘作戦(larger-scale combat operations)で闘うためにどのように訓練し、組織しているかを反映しない方法で部隊を使用していたのである。
その代わりに、ロシア軍はウクライナの意思決定を麻痺させ、ウクライナの武装組織を孤立させ、持続的な抵抗に会うことなく広大な国土を素早く前進できると想定していた。
また、その計画と目標は、最後の数日あるいは数時間までロシア軍には秘密にされ、主要戦役(major campaign)に対する物的・心理的準備が整わないままであった。
最初の数日間は、さまざまな出来事が重なった。
ウクライナの部隊は急遽展開し、圧縮された時間計画に間に合わせようとするロシア軍部隊の列と遭遇した。
これらの会戦の多くで決定的だったのは、西側が提供した兵器ではなく、むしろ砲兵だった。ロシア軍は分散し、ばらばらのルートで急速に進撃しようとしたため、まとまることができず、射撃では全体的に優越していたにもかかわらず、火力では不利(disadvantage)だった[3]。
ロシア軍の侵略部隊は15万人程度で、その3分の1はルハンスク、ドネツク両共和国の動員人員とロシア国家警備隊ロスグバルディアの補助要員で構成されていた。
一連の敗北の後、ロシア軍は再編成し、ドンバスで作戦を展開し、人員不足を12対1の砲兵火力(artillery fire)の優位性で相殺した。
この間、ロシア軍は1日平均20,000発の砲弾を発射し、2022年を通して平均15,000発を発射したと思われる[4]。
ウクライナ軍は劣勢に立たされ、弾薬が不足したため、ウクライナの死傷者は増加した。
この段階で、西側の支援が不可欠となった。
様々な種類の砲身砲(tube artillery)と長距離精密打撃システムが参戦した。
最も重要なことは、西側の弾薬のおかげで、ウクライナはドンバスでのロシアの攻勢を消耗させるために防御火力を維持し、圧力を維持するために局地的な反攻を行うことができたことである。
マリウポルとセベロドネツクの包囲は最終的に成功したが、ロシア軍は大きな代償を払った。
ロシア軍の戦役の決定的な要因は砲兵火力(artillery firepower)であり、これによってロシア軍は、全体としては人員面で不利だったにもかかわらず、兵力の相関関係において局地的な優位性を確立することができた。
その後、ウクライナは主導性を取り戻し、2022年の夏の終わりと秋に2度にわたって主要な攻勢を開始した。
消耗(attrition)が有利に働いた。
ロシアが平時の戦力で闘おうとしていたのに対し、ウクライナは兵力を動員し、規模を大幅に拡大していた。ロシアは1,600キロ以上に及ぶ戦線を安定させる戦力を欠いていた。
ハリコフでは、ロシアは混成部隊による手薄な有人の陣地しか持たなかった。
これらの部隊の大部分は西部集団軍の残党で、脱走により士気が低下し、25%の兵力しかないところもあった[5]。
ウクライナ軍はハリコフで突破口を開き、ロシア軍の敗走を招いた。しかし、決定的な要因は消耗(attrition)であり、ロシア軍はヘルソンを守るかハリコフを強化するかの選択を迫られた。
ロシア軍はヘルソンに空挺部隊を配備し、比較的防御態勢の整った同地域を優先した。
最初のウクライナ軍の攻勢は失敗に終わり、作戦担当の指揮官が交代することになった。
地雷原が張り巡らされた複数の戦線の後方に塹壕を掘り、ロシア軍部隊は9月に保持したが入ってもほとんど領土を得ることはなかった。
戦場の形状はウクライナに非常に有利で、ロシア軍部隊はドニプロ川によって後方支援ネットワークから切り離されていた。
高移動性砲ロケットシステム(HIMARS)の数カ月にわたる攻撃により、ロシアの補給線はカホフカ・ダムに架かる橋1本とフェリー網にさらに縮小された。
ロシア軍は10月にウクライナの再攻勢を食い止めたが、消耗の会戦(attritional battle)がウクライナに有利だったため、モスクワは戦力を温存するために撤退を余儀なくされた。
ヘルソンは、2023年のウクライナ反攻の前触れだった。
ウクライナは準備された防御線を突破するのに苦労した[6]。
数カ月にわたるHIMARS打撃はロシアの兵站を制約したが、突破口を開くことはできず、ロシア軍は最終的に撤退することができた。
冬の間、ウクライナ軍は最も弱かったが、ウクライナ軍も優位性に立てる状態ではなかった。
ルハンスクとドネツクの動員人員を使い果たしたモスクワは、さらに30万人の動員を余儀なくされ、戦線を安定させた。
一方、ワグネル・グループが主導したバフムートでの会戦は、血なまぐさい、政治的に象徴的な闘いとなった。
ワグネルが5月にバフムートを制圧したのは、3つの要因があった。
それは、ロシア軍の空挺部隊が反撃を防ぐために側面を固めたこと、ロシア軍の指揮官が突撃歩兵として使用するためにロシアの囚人システムから大量の囚人を調達できたこと、そして最も重要なことは、ロシア軍が会戦の大半において5:1の火力の優位性(fires advantage)を享受していたことである。両軍とも消耗(attrition)が有利だと考えていた。
我々の調査によれば、ウクライナは9ヶ月間の会戦で、ロシアに対して最大1:4の死傷者数という有利な損害比率を享受していたが、ワグネルの一員として闘っていたロシア軍はおそらく70%が囚人であった。
バフムートはこうしてウクライナの部隊を、消耗比(attrition ratio)ではウクライナが優位性を保持していたが、経験豊富で貴重な兵士と比較的消耗しやすいロシアの兵士を戦わせる戦いに投入した。
都市そのものに戦略的価値はほとんどなかった。
ワグネルは、消耗品である突撃歩兵を無慈悲に投入したため、市街地では特に効果的だった。
会戦(battle)が長引くにつれて、ロシア軍の他の部隊は、南と北の前線の大部分に塹壕を築き、地雷原を敷設して、時間を使って掘り進んだ。動員に後押しされたロシア軍は、1月下旬、広範な戦線にわたる一連の局地的攻撃によって、独自の冬季攻勢を開始した。
この取組みは失敗に終わった。ロシア軍は突破するのに十分な優位性を達成することができず、戦力の質が低すぎて大規模な編隊を組んで攻撃することができなかったからである。
多くの攻撃は小隊規模で行われたが、すぐにウクライナの火力を受け、敗北した。2022年にロシア軍が享受していた火力の優位性(fires advantage)も悪化し始めた。
これは、ロシアの兵站システムの再編成を余儀なくされたHIMARSによる攻撃が主な原因ではなく、むしろロシアが2022年に達した射撃量を維持するための弾薬備蓄を欠いていたことによる。
このような赤字は、ロシア軍にドクトリン上の適応を迫り始め、打撃ドローンやより精密なタイプの弾薬をより重視するようになった。
この簡潔で限定された記述では、航空戦や海上作戦については掘り下げていないが、戦力管理、地形、火力の優位性(fires advantage)の確立の重要性、そして攻勢作戦(offensive operations)で効果的に戦力を投入するための両軍の苦闘が浮き彫りになっている。
コンセプト的・政治的な理由で失敗した最初の機動と打撃段階(manoeuvre-and-strike phase)を除けば、この戦争は消耗的闘い(attritional fighting)と綿密に計画された会戦(set-piece battles)によって特徴づけられてきた。
2022年、ウクライナは効果的な消耗(attrition)の使用と、ロシアの戦争の取組み上の構造的な問題を利用することができた。2023年、ウクライナは2022年の成功を繰り返すことはできなかった。しかし、ロシアもまた、地上で大きな成果を上げることができなかった。
ウクライナの2023年攻勢:Ukraine’s 2023 offensive
ウクライナの攻勢には非現実的な期待が込められていたが、2023年夏がロシアに戦略的敗北をもたらす絶好の機会であったことに変わりはない。
ロシア軍は弾薬が乏しく、攻撃力に欠けていた。ウクライナは砲兵火力(artillery fire)で優位性を確立できると考えるのが妥当で、ロシアの反攻のリスクは低かった。
ウクライナの戦争取組みに不可欠だった西側諸国の支援も、2023年夏にピークを迎えそうだった。
米国は備蓄弾薬を使い果たし、欧州諸国は2022年の軍需生産増強に失敗し、必要な投資を始めたばかりで、成果は乏しかった。
2024年には選挙が控えており、西側諸国の政治的逆風も、この作戦後のウクライナ支援資金の減少を示唆していた。
米国は韓国から弾薬を借用し、他の西側諸国もウクライナ軍への訓練・装備プログラムの一環として貢献しようと取組んだ。
合計で、西側諸国は攻勢用に9個旅団を訓練・装備した。ウクライナは、軍隊と国家警備隊からさらに数個旅団を編成し、2個軍団と予備タスク部隊を編成する。
ウクライナにはリスクのない選択肢はなかったが、その戦略にはいくつかの選択肢とトレードオフがあり、そのうちのいくつかはリスクを増幅させるものだった。
わずか数カ月の訓練しか受けていない新参の旅団が突撃の指揮を執る一方、より経験のある部隊はバフムートで闘い(fighting)を維持し続けた。
ウクライナはまた、バフムート、ヴェリカ・ノヴォシルカ、トクマクの3つの軸に沿って兵力と砲兵を分割し、ロシア軍を釘付けにすることを狙った。基本的には、3つの攻勢があり、ロシア軍に圧力をかけ、別の戦線を弱体化させることなく、1つの戦線に兵力を再配置できないようにした。
振り返ってみると、準備された防御の価値は過小評価され、ウクライナ軍は選択された作戦方向のいずれにおいても、突破に必要な優位性を得ることができなかった。西側諸国は作戦に先立ち、長距離の航空発射巡航ミサイルを提供したが、この能力は決定的なものではなかった。
ウクライナが十分な突破装備(breaching equipment)、地雷除去装置、防空設備を備えていたかどうかは、まだ議論の余地がある。
しかし、より重大な事実は、動員によってロシア軍内の人員補充が行われ、70以上の自動車化ライフル連隊(motor-rifle regiments)などが追加されたことである[7]。
その結果、ロシアの兵力密度は保有地形に比べてはるかに高くなった。
さらに、ロシアの工兵旅団は、掘削機とセメントを使って、掩蔽壕と町を強点として防御を整えた。南部では、オリヒウ-トクマク軸に沿って、ロシア軍は複数の防御線を確立し、高地を保持した。
ロシア軍部隊は第一線の防御に集中し、ウクライナ軍が勢いを増すのを防ぐために反撃を行った。
確立された防御線、高い兵力密度対地形比、不利な地形など、ウクライナにとっての難題は、ヘルソンのときよりもはるかに大きかった。ロシア軍の状況は、2022年9月にウクライナがハリコフを突破したときとは正反対だった。
6月のウクライナ軍の最初の突破の取組み(breaching effort)は失敗した。
新しい部隊は、計画策定、砲兵火力(artillery fire)と突撃の連携、夜間の方向付け、突破装備(breaching equipment)の採用に関してよくある間違いを犯し、攻撃初期に不運な味方の誤射に遭遇したケースもあった。
さらに、ウクライナの旅団は、砲兵の援護を受けて、せいぜい数個中隊の増援部隊を編成することができた。つまり、旅団レベルの攻撃は、実際には2個強化中隊が前進し、おそらく1個が予備ということになる。ウクライナは戦闘力を小分けにして戦場に投入しており、大規模な編隊を調整することはできなかった。
西側の装備は人命救助に役立ち、ロシアの同程度の装備よりもはるかに残存性が高いことが証明されたが、それだけではゲーム・チェンジャーにはなり得なかった。
実際、最初の攻撃が失敗した後に投入された、西側装備のない経験豊富な部隊の方が、攻撃・防御の両面で好成績を収めており、能力は重要だが、経験とリーダーシップも方程式に大きく影響することを示している。
3対2から2対1という砲兵火力(artillery fire)の優位性は、全体としては互角程度に過ぎず、ウクライナ軍の進撃の主軸を予測し防御していたロシア軍に衝撃を与えたり、制圧したりするには不十分だった。
その後、ウクライナ軍は戦術を変更し、下車歩兵による攻撃を強調し、ロシア軍の砲列を制圧するのに十分な砲兵火力(artillery fire)の優位性を獲得しようとした。
戦闘の多くは個々の戦列に移り、通常は小隊レベル、時には強化された中隊レベルで行われた。このアプローチは損害を減らし、装備を温存したが、突破口にはつながらなかった。
ウクライナは南方でロシア軍の最初の防御線を突破することはできたが、トクマクという最低限の目標に到達することなく、10月までに攻撃の能力容量(offensive capacity)を使い果たしてしまった。
ウクライナはまた、戦力を3方向に分散させるという全体的な戦略に固執し、一部の優秀な部隊をバフムートでの持続的な反撃にとどめたが、ほとんど収穫はなかった[8]。
ロシアは9月までに空挺連隊を投入するのに十分な予備兵力を確保し、10月にはアウディーイウカで独自の攻勢を開始するのに十分な戦闘力を追加した。
アウディーイウカでの攻勢も同様に突破口には至らなかったが、ロシアが主導性を奪回しようとするのに十分な戦闘力を回復し、その年のウクライナの突破口を阻止するのに十分な予備兵力を備えていたことを示した。
ウクライナの夏の攻勢が目標を下回ったとしても、大惨事にはならなかった。
ウクライナはロシア軍に大きな損害を与えながら、割り当てられた装備の多くを維持した。戦術的には引き分けに近かった。
最初の攻撃が失敗したのは、計画策定の選択、部隊運用の問題、支援部隊の不足、そして最も重要なことだが、十分に準備された防御と比較して明確な火力の優位性(fires advantage)がなかったことが原因である。
西側諸国は、ロシアのヘリコプター基地に対する長距離打撃など、ロシアの優位性を否定しうる有効な対抗手段を提供できなかった。
しかし、西側諸国がウクライナに十分な装備を提供できなかったことだけが攻勢失敗の原因だという説は、説明力に欠ける。
特に、ウクライナは攻勢中に装備を使い果たしたわけではなく、最初から大規模な装備を使用できたわけではない。
振り返ってみると、この攻勢で特筆すべきは、いかに従来型の計画であったかということである。
攻撃は比較的迅速にロシアの戦線を突破し、予備部隊で攻略することを想定していた[9]。
このような考え方は、ロシアのレイヤー化した防御、ドローンによる持続的な監視、そして機動を拒否する可能性のある多様な能力の存在を軽視していた。
ウクライナは全体的な戦力の相関関係において決定的な優位性を欠いていたことから、この誤った想定はおそらく、西側の機動戦学派(manoeuvrist school)の過度の影響から生じたものであろう。
この学派では、諸兵科連合による突撃の認知的な衝撃とショックによってロシア軍部隊を第一線から撤退させ、迅速な突破を可能にし、成功の条件を整えるために高レベルの消耗を与える必要性をなくすと考えられていた。
実際、戦争の経過を見ると、ウクライナとその西側の支援者たちは、機動(manoeuvre)を可能にするものとしての消耗(attrition)の重要性、そして、火力による優位性が諸兵科連合の統合(一体化)よりも重要であることを十分に理解していなかったことがわかる。
機動からの強力な認知的効果を予測した機動戦学派の信条(manoeuvrist tenets)は、ウクライナの攻勢では証明されなかったし、実際、ロシア・ウクライナ戦争の2年間を通じて検証されることはなかった。
航空優越と火力統制:Air superiority and fire control
この戦争は、大部分が航空拒否の環境、あるいは航空競合の環境で展開された。
とはいえ、ロシアの航空宇宙部隊はウクライナの部隊よりも行動の自由を享受し、スタンドオフ攻撃で一定の効果を上げている。
戦術航空、すなわち米国製のF-16や、はるかに大規模な長距離打撃能力は重要な要因だが、それだけでは決定的な違いを生むことはなかっただろう。
ウクライナの戦力構成とドクトリンは、航空優越や実質的な航空からの配分火力の必要性を中心にデザインされておらず、ロシアの防御によってもたらされた課題のいくつかは、明白な航空戦力による解決策を持っていなかった。
航空戦力をお守りのように扱う傾向がある。
しかし、航空戦力や長距離打撃に関する明言されていない仮定は、それが何を達成するかもしれないという期待にしばしば組み込まれている。
ウクライナはF16戦闘機を着実に獲得し、それを使用するための訓練を行っているが、この移行は数年にわたるプロセスである。
この戦闘機は、最終的にはウクライナがより多くの西側諸国の打撃能力を採用し、ロシアの航空戦力に対抗するのに役立つだろうが、西側諸国の航空機を保有したからといって、航空拒否の環境において航空優越を獲得・維持する能力を確保できるわけではない。
航空作戦と陸上作戦を効果的に統合(一体化)し、米国の業績に最も関連する航空戦力の利点を実現するためには、航空戦力の使用方法、組織的能力容量、作戦計画の立て方に関して、軍が調整しなければならないことがたくさんある。
ロシアのように、広範な統合(一体型)防空網と戦術機の大規模な艦隊を持つ軍隊に対して、十分なキットがそのレベルの作戦能力に容易に変換されると仮定するのは、特に問題がある。
したがって、ウクライナで現在行われている議論の中心が、従来の航空優越(air superiority)よりも、戦術的レベルや長距離打撃作戦の一環としてドローンを使用することで得られる優位性に置かれているのは、当然のことであり、適切なことである[10]。
これは、ドローンが果たすことのできる打撃支援の役割や、他の能力における欠陥を相殺する能力について考えるための生産的な方法である。
ウクライナがロシアの地上の後方連絡線(lines of communication)の射程内に進入できていれば、火力統制、つまり、ロシアの戦線のはるか後方にある重要なターゲットを打撃し、突破口を開くことができたかもしれないという、一部で提唱されている「縦深の会戦(deep battle)」という概念(notion)も説得力に欠ける。
この技術中心の成功理論はほとんど意味をなさない。
長距離打撃能力を活用することで縦深の会戦効果(deep-battle effects)を達成することが可能であれば、そもそも攻撃は必要なかったはずだ。
結局のところ、長距離精密打撃(long-range precision strike)による火力統制は現実的ではなかったし、長距離でそれを確立するために必要な持続的なインテリジェンス、監視、偵察能力、弾倉の深さ(magazine depth)※、その他の要件も達成できなかった。
※ 弾倉の深さ(magazine depth)とは、1つのプラットフォームでどれだけの射撃量を確保できるかということである。https://cimsec.org/fighting-dmo-pt-6-platform-roles-attributes-and-tactics/
さらに、長距離精密打撃(long-range precision strike)は前線に沿った攻撃との連携が不十分で、戦術的影響力をさらに低下させた。
ウクライナ軍が優れていたのは、HIMARSシステムを前線に近いロシア軍の砲兵や高価値のターゲットと交戦させることだった。これは火力の質的優越を活用し、ある程度の優位性を確立した。
しかし、ウクライナのほとんどの会戦では、各陣営が相手の地上の後方連絡線(lines of communication)、指揮・統制、前方兵站を射程に収めることができた。
ごくまれな例外を除いて、戦闘員は銃撃戦による交戦を統制できず、その結果、数週間から数カ月に及ぶ消耗戦(attritional warfare)となった。
ウクライナが局地的な航空優越を追求し、ロシアの航空戦力に対抗することは理にかなっているが、そのような取組みがどれほど早く有意義な結果をもたらすかについての期待は低くあるべきである。
長期的な戦略にはこうした取組みも盛り込むべきだが、決定的な効果を期待したり、アプローチの中心に据えたりすべきではない。
火力統制は非現実的に見えるが、ウクライナはその代わりに、戦術的な縦深をはるかに超えてロシアの戦争取組みの主要な支援要素をターゲッティングするための拡張長距離打撃能力を培うことができる。
特に、低コストのドローンを大量に使用することで、ロシアの航空優越を直接的に争うよりも低下させる方が有効であることが判明するかもしれず、2024年を通じて持続的なウクライナの打撃戦役(strike campaign)を支えることができるだろう。
しかし、長距離打撃は近接会戦(close battle)の代用と見なすべきではない。
長距離打撃能力がいかに豊富であっても、もう一つの地上攻撃なしにロシア軍の陣地を崩壊させることはできないだろう。
要するに、長距離打撃能力は必要ではあるが十分ではなく、このような手段だけに基づいて勝利の理論とすべきではない。
消耗を機能させる:Making attrition work
直近の攻勢は、西側諸国が諸兵科連合(combined-arms)や機動に基づくアプローチ(manoeuvre-based approach)を重視すべきか、それとも破壊に基づくアプローチ(destruction-based approach)でウクライナが優位性に立てるよう支援することに重点を置くべきか、特に消耗的段階が長期化しそうなことを考えると、疑問を投げかけるものだ。
ウクライナの戦争の行方を見る限り、機動(manoeuvre)を勝ち取らなければならないこと、そして、基本的に諸兵科連合作戦(combined-arms operations)の重要な美徳である統合(一体化)と同時性は、達成が困難であるだけでなく、ウクライナで優勢な状況下で突破口を生み出す可能性が低いことを示している。
むしろ、近接会戦(close battle)と縦深の会戦(deep battle)の両方で火力を駆使してロシア軍部隊を消耗的に破壊(attritional destruction)し、機動の方法(way for manoeuvre)への道を開くことに何よりもまず重点を置く必要がある。
つまり、ウクライナは次の段階として、破壊を中心としたアプローチ(destruction-centred approach)を採用する必要がある。
消耗はより信頼性の高いアプローチだが、その理由のひとつは、大規模な諸兵科連合作戦(combined-arms operations)を遂行するために必要な兵力の質は、従来型の戦争では維持・再建が困難な場合が多いからである。
ウクライナの軍隊は、経験豊富な兵士や指導者を消耗(attrition)で失った後、編成の再編成と再構築を繰り返さなければならなかった。
新しい部隊は、動員された要員、他の編隊から来た将校、昇級した将校で構成されることが多いが、そのほとんどは専門的な軍事教育を受けていない。
したがって、大隊や旅団の参謀の中に計画策定能力を構築するための基礎に重点を置かなければならない。
これは、より高いレベルの調整が可能になる前に必要であり、伝統的に火力中心の軍隊に主要なドクトリン上の進化を浸透させることは可能となる。
さらに、2023年攻勢におけるウクライナの主な問題は、諸兵科連合の機動(combined-arms manoeuvre)を実施できないことではなかった。
西側諸国によって訓練された新しい旅団が戦闘部隊(combat arms)の連携に苦労したのは事実だが、これは攻勢の失敗の中心的なものではなく付随的なものだった。
従って、ウクライナ軍が成功できなかったのは西側軍のように闘えなかったからだ、あるいは西側軍のように闘うにはドクトリン上航空優越が必要であり、それがなければ成功は不可能だ、という結論は正しくない。
実際、ウクライナは、より良い陣地を確保しようとし、相対的な火力の優位性(fires advantage)を確保することで全体的な損害を減らし、ロシアに地形を守るために高い代償を払わせることで前進した。
西側諸国の軍隊のように闘うことが、必ずしもこの戦争で成功する秘訣ではない。
多くのウクライナ軍兵士が示唆しているように、作戦環境は西側の戦術や技法が不適当あるいは時代遅れに見えるようなものだ。
ウクライナの優位性を取り戻す:Restoring Ukraine’s advantage
2022年の戦争の行方を論じた以前の記事で、我々は、来るべき攻勢で消耗(attrition)を免れるには、諸兵科連合訓練と精密打撃システムでは不十分だと評価した[11]。
ウクライナも西側諸国も、長期戦は避けられないことを受け入れたとして、ロシアの攻勢作戦を効果的に防御し、ウクライナ軍を再編成し、ウクライナ軍に戦場での優位性を回復させることを到達目標にロシア軍への圧力を維持するための長期戦略に落ち着く必要がある。
この戦略では、2024年を極めて重要な年と位置づけ、2025年に攻勢を成功させる能力を回復させることを視野に入れるべきである。
現時点では、ロシアにはいくつかの物質的優位性がある。
年内はもちろん、それ以降も戦端の砲兵火力で優位性を保てる可能性が高い。
ロシアはまた、毎月1万人以上の兵力を採用し、戦闘力を再生し続けるだろう。
おそらく1,000kmに及ぶ前線の大部分で戦略的主導性を握り、ドローンや巡航ミサイルの増産により、ウクライナに対する打撃戦役(strike campaign)を拡大するだろう。
さらにモスクワは現在、GDPの6%を国防費に充てるとしており、これは大幅な増加であり、実際の数字は8%に近い可能性がある[12]。
その明らかな意図は、防御産業の動員や戦闘部隊の持続的な再生を通じてウクライナを圧倒することにある。
ウクライナが優位性を回復するための最も効果的な方法は、ウクライナの損失と必要弾薬を減らす効果的な縦深の防御を行うことである。
現在、ロシアが防御面で優位に立っているのは、専用の工兵旅団、機械設備、迅速に強化する能力容量、広範囲に及ぶ地雷原、遠隔採掘が可能なものを含む高度な地雷敷設システムのおかげである。
防御力が向上すれば、ウクライナは部隊配置を再編成し、旅団を交代させ、軍の一部を再編成のために解放することも可能になる。
ウクライナはまた、兵力を補充しなければならない。我々の現地調査によると、ウクライナの平均的な兵士は40代で、特定の戦闘タスクには不向きである。
ウクライナの指導部は、徴兵される兵士の年齢に関する政策を見直す必要がある。
西側諸国は、2023年の攻撃で学んだ教訓とウクライナのこの戦争での経験に基づいて調整する必要がある訓練プログラムを拡大することによって支援することができる。
ウクライナ国内では、部隊を前線から離脱させたり、前線に投入したりするために、施設や訓練場の拡充が必要となる。さらに、開戦以来最前線にいる部隊、特にバフムートの部隊は、休息と回復を必要としている。
より広い意味で、ウクライナの軍事力には資本増強が必要である。ウクライナと西側の支援国は、ウクライナが必要な火力の優位性(fires advantage)を確保するために、主要システムの生産能力と生産量を増やす必要がある。支援国にとっては、砲弾と防空迎撃ミサイルの大幅な増産が課題である。
我々の現地調査によれば、ウクライナが防御的に戦争を維持するためには、月に約7万5000発から9万発の砲弾が必要であり、大規模な攻撃にはその倍以上の20万発から25万発が必要である。
現段階では、西側連合はこの数字の下限を維持するために、そのほとんどを米国の在庫に依存しており、来年の大規模な攻勢を支える弾薬を持っていない。
ウクライナは、近接戦闘用の一人称視点ドローンやロシアの重要インフラをターゲットとする長距離打撃ドローンなど、攻撃ドローンの生産を大幅に増やすことで、砲兵弾薬の必要量を減らすことができる。
そのためには、ウクライナはいくつかの資金調達、契約、産業能力容量の問題を解決しなければならない。
西側諸国としては、他の供給源からの弾薬が不足しているため、ドローンで使用する弾薬の調達や開発でウクライナを支援する必要がある。
ウクライナは、西側諸国の装甲戦闘車両や砲兵の整備・修理能力を自国内で高めており、西側諸国は、整備、部品交換、打撃システムの製造の現地化を進めるべきである。
当然ながら、防御と復興だけでは十分ではなく、ウクライナはバフムートのようなコストのかかる会戦に巻き込まれないよう注意しなければならない。このような戦闘は政治的には象徴的かもしれないが、短期的な利益と引き換えに戦略的なコストが発生し、復興の妨げになる。
戦争の現段階では、西側諸国は支援の継続のために、つかの間の、あるいは孤立した戦場での勝利を期待しているわけでも、望んでいるわけでもない。
その代わり、ウクライナは打撃の戦役を計画し、実行に移すべきだ。たとえば、ロシアの黒海艦隊やクリミアのロシア空軍基地、重要な支援インフラに対する攻撃である。
2024年に向けて、最適な戦略とは、コストのかかる膠着状態を回避すること、あるいは最悪の場合、ロシアの優位性が高まってウクライナが敗北することを回避することであることは明らかだ。
ウクライナも関係する西側諸国も良い選択肢を残しているが、成功には戦略面でのより良い連携が必要である。
我々は、我々の分析の多くが軍事史の不完全な初稿であることを認識している。
他のアナリストや歴史家が、この戦争に関する我々の理解を間違いなく修正し、改善してくれるだろう。
しかし、この戦争が、認知的効果や諸兵科連合の効果的な使用によってではなく、広範な消耗(attrition)と敵の能力容量の破壊(destruction)によって主に機動する能力(ability to manoeuvre)を獲得してきた局面が長く続いてきたことは、かなり明らかであるように思われる。
現代的な長距離精密打撃(long-range precision strike)は、ウクライナがロシアの後方支援拠点を阻止・制圧するのに役立っているが、戦術的な範囲を超えた火力統制を確立したり、近接の会戦(close battle)の必要性を回避したりしたわけではない。
このような結果は、この戦争という特殊な状況によるものである可能性があり、ロシア・ウクライナ戦争という特殊な戦争に関する観察結果を、現代の戦争全般の特徴に関する教訓に結びつけようとする分析者には注意が必要である。
西側諸国は、ウクライナ軍の全体的な質の向上と諸兵科連合作戦(combined-arms operations)の規模拡大を引き続き支援すべきだが、ウクライナの現状は依然として、機動戦(manoeuvre warfare)に適したアプローチよりもむしろ、消耗的アプローチ(attritional approaches)や陣地的アプローチ(positional approaches)に有利である[13]。
その決定的な要因は消耗(attrition)であり、主に砲兵と打撃ドローンによって与えられる。
したがって西側諸国は、ウクライナの火力中心のアプローチ(fires-centred approach)に資金を提供し、ウクライナが火力の優位性(fires advantage)に立ったときにそれを活用できるよう、攻勢作戦(offensive operations)の規模を拡大できるよう支援することに注力するのが最善である。
これは量的には不可能かもしれないが、攻勢を支援する上で優位に立つためには、さまざまな手段を組み合わせる必要がある。
これら2つの要因によって、砲兵弾薬の不足を補うためのドローンへの投資、より安価な精密打撃能力、そして前線に移動性(mobility)を回復させ、ドローン・システムにおける現在のロシアの優位性を低下させるための電子戦が推進されるはずだ。
ウクライナの軍事指導部は、技術革新と戦術的適応を受け入れ、部隊の戦闘能力(combat potential)を再構築することに熱心なようだ。
これらの目標を達成するには時間がかかるだろうが、ウクライナ軍が課題の規模を認識しており、2024年にできるだけ早く撤退する必要性を認識していることは明らかだ。
この戦争は、長期的な展望に立った戦略だけでなく、タイムリーな意思決定を必要とする長期戦になるだろう。
大きな賭けにもかかわらず、ワシントンと欧州の首都がウクライナをこの戦争を通して導こうとする政治的意志を奮い立たせることができるかどうかは、もはや明らかではない。
ウクライナと西側諸国が資源面で総合的に優位に立ち、消耗(attrition)が彼らの勝利の理論(theory of victory)の重要な一部となる可能性があることに変わりはない。
ノート
[1] See Franz-Stefan Gady and Michael Kofman, ‘Ukraine’s Strategy of Attrition’, Survival, vol. 65, no. 2, April?May 2023, pp. 7?22; Michael Kofman and Rob Lee, ‘Beyond Ukraine’s Offensive’, Foreign Affairs, 10 May 2023, https://www.foreignaffairs.com/ukraine/russia-war-beyondukraines-offensive; and Rob Lee and Michael Kofman, ‘How the Battle for the Donbas Shaped Ukraine’s Success’, Foreign Policy Research Institute, 23 December 2022, https://www.fpri.org/article/2022/12/how-the-battle-for-thedonbas-shaped-ukraines-success/.
[2] See Jack Watling, Oleksandr V. Danylyuk and Nick Reynolds, ‘Preliminary Lessons from Russia’s Unconventional Operations During the Russo-Ukrainian War, February 2022?2023’, RUSI, 29 March 2023, https://rusi.org/explore-our-research/publications/special-resources/preliminary-lessons-russiasunconventional-operations-duringrusso-ukrainian-war-february-2022.
[3] See ibid.; and Mykhaylo Zabrodskyi et al., ‘Preliminary Lessons in Conventional Warfighting from Russia’s Invasion of Ukraine: February?July 2022’, RUSI, 30 November 2022, https://rusi.org/explore-our-research/publications/special-resources/preliminary-lessonsconventional-warfighting-russiasinvasion-ukraine-february-july-2022.
[4] See Jack Watling and Nick Reynolds, ‘Ukraine at War: Paving the Road from Survival to Victory’, RUSI, 4 July 2022, https://www.rusi.org/explore-our-research/publications/special-resources/ukraine-war-pavingroad-survival-victory.
[5] See Mari Saito, Maria Tsvetkova and Anton Zverev, ‘Abandoned Russian Base Holds Secrets of Retreat in Ukraine’, Reuters, 26 October 2022, https://www.reuters.com/investigates/special-report/ukraine-crisis-russia-base/.
[6] See Isabelle Khurshudyan et al., ‘Inside the Ukrainian Counteroffensive that Shocked Putin and Reshaped the War’, Washington Post, 29 December 2022, https://www.washingtonpost.com/world/2022/12/29/ukraine-offensivekharkiv-kherson-donetsk/.
[7] 紛争インテリジェンス・チームによると、77の自動車化ライフル連隊と18の独立した自動車化ライフル大隊を含む、合計123の軍事部隊が設立された。参照 「総動員の一環として、ロシアで120以上の新しい軍隊が創設された。招集された者の3分の1が人員部隊に送られた-戦闘による損失を補うために」Meduza, 5 October 2023、https://meduza.io/feature/2023/10/05/vramkah-mobilizatsii-v-rossii-sozdalibolee-120-novyh-voinskih-chasteytret-prizvannyh-otpravili-v-kadrovyechasti-vospolnyat-boevye-poteri.
[8] See Michael Kofman and Rob Lee, ‘Perseverance and Adaptation: Ukraine’s Counteroffensive at Three Months’, War on the Rocks, 4 September 2023, https://warontherocks.com/2023/09/perseverance-andadaptation-ukraines-counteroffensiveat-three-months/.
[9] See ‘Miscalculations, Divisions Marked Offensive Planning by U.S., Ukraine’, Washington Post, 4 December 2023, https://www.washingtonpost.com/world/2023/12/04/ukraine-counteroffensive-us-planningrussia-war/.
[10] See Valery Zaluzhny, ‘The Commander-in-Chief of Ukraine’s Armed Forces on How to Win the War’, The Economist, 1 November 2023, https://www.economist.com/by-invitation/2023/11/01/the-commander-in-chief-of-ukrainesarmed-forces-on-how-to-win-the-war.
[11] Gady and Kofman, ‘Ukraine’s Strategy of Attrition’.
[12] See Alexandra Prokopenko, ‘Putin’s Unsustainable Spending Spree’, Foreign Affairs, 8 January 2024, https://www.foreignaffairs.com/russian-federation/putins-unsustainable-spending-spree.
[13] 我々は、戦争の戦術的レベルにおける機動作戦(manoeuvre operations)または機動戦(manoeuvre warfare)を、迅速な移動と火力の組み合わせと定義している。エイモス・C・フォックス(Amos C. Fox)が説明するように、「現代の機動戦(maneuver warfare)には2つの到達目標-(1)敵対者に心理的影響を達成すること、つまりパニックや認知麻痺を引き起こし、敵の抵抗する意志を崩壊させること。(2) 交戦国との関係で相対的な優位性の立場を獲得し、維持すること-がある。混乱(認知的効果)と組織解体(物理的効果)を引き起こすことは、機動戦の下位の到達目標であり、このコンセプトの包括的な狙いに貢献する。最も経済的な武力行使によって敵を撃破するという考え方は、この2つの到達目標と密接に結びついている」。陣地戦(positional warfare)とは、戦術、火力、移動を通じて、更に成果を活用するため相手をある陣地から別の陣地へ移動させること、あるいは更に成果を活用するため地域への接近を拒否するための武力の行使と定義できる。一方、消耗戦(attrition warfare)とは、交戦国の装備、人員、資源を、交戦国が損失を補充する以上のペースで侵食または破壊するために、会戦または形成作戦を系統的に使用することである。エイモス・C・フォックス著「問題を探す解決策:機動戦ドクトリンにおける誤解の解明」US Army Maneuver Center of Excellence, Fall 2017, https://www.moore.army.mil/armor/earmor/content/issues/2017/Fall/4Fox17.pdf.
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