元NATO事務総長のラスミュッセンが発言。
https://st2019.site/?p=21333
『※元NATO事務総長のラスミュッセンが発言。NATOメンバー国(複数)が、ちょくせつにウクライナ領土に入って、宇軍を助けるオプションもある、と。これが、最近のロシアとポーランドとの間の緊張亢進の背景か?』
元NATO事務総長のラスミュッセンが発言。
https://st2019.site/?p=21333
『※元NATO事務総長のラスミュッセンが発言。NATOメンバー国(複数)が、ちょくせつにウクライナ領土に入って、宇軍を助けるオプションもある、と。これが、最近のロシアとポーランドとの間の緊張亢進の背景か?』
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和五年(2023)7月26日(水曜日)弐
通巻第7837号
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中南海の奥の院で熾烈な権力闘争。「靴子落地」(政争解決の目途が立った)か?
秦剛外相が解任。習近平のボディガード主任が怪死
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オバマのシェフが事故死したが、溺死である。
オバマ元大統領が現職時代、ホワイトハウスの料理長だったタファリ・キャンが、オバマの豪邸が建つマサチューセッツ州のマーサズ・ビニヤード島で死亡していた。パドルボードを漕いでいて溺死した(7月23日)。暗殺? ただの事故死である。同じ料理長だったプリゴジンとは違う。
そのもっと前、4月26日に習近平のボディガードのトップだった王少軍(中央警衛局長)が病名不明のまま死亡していたことが、三ヶ月もあとの7月25日になって新華社が伝えた。この発表が秦剛解任ニュースと同時だったことに意味がないか?
ボディガード主任が死んでいたのは異常な事態、しかも病名が公開されない。宮廷内で何かが起きていたに違いない。朴正煕は警備局長に暗殺された。始皇帝も隋の煬帝も安禄山も最側近に殺された。
王少軍は2017年に前任の曹清を引き継いだ。曹は胡錦濤、温家宝政権時代の警備トップで江沢民派だった。習には煙たい存在だった。信頼できる部下に警備を任せるのは、古今東西、独裁者に共通である。その警備主任が不在となっていた。
さて西側メディアは秦剛外相の解任騒ぎで大きく揺れているが、香港と台湾メディアは盛んに女性関係のスキャンダルを報じた。あの独裁国家で女性がらみは誰もがやっていることで「不倫」で失脚した政治家はほとんどいない。クリントンも、このレベルの醜聞は乗り切った。
つまり女性問題がおもてにでるとき、何かを隠す陽動情報なのである。
秦剛は6月26日に北京でロシア、ベトナム、スリランカの訪中団と面会して以後、消息が絶え、APECもG20もBRICSも王毅政治局員(前外相)が代理を務めた。新外相は追って発表されるだろう。
謝峰・中国駐米大使は記者団に「等々看々」で臨むとした。待って、様子を観察する、という意味である。
秦剛失脚の舞台裏は、熾烈な権力闘争のうねり、共産党内には習近平独裁に不満を持つグループの存在が浮かび上がった。
秦剛失脚の個人的原因を挙げるとすれば、機密漏洩、外国への資産隠し、反中国運動との裏の繋がりなどだろう。習がもっとも信頼し、自ら秦剛を外相に指名したという経緯から、秦は習近平の子飼いと推測されてきた。その彼を庇えなかったというシナリオならば、習の独裁パワーが衰退傾向にあることを示す。
権力闘争は共産党に付きものの体質であり、秦剛はクーデターか宮廷革命の企てに参加していたとする推察もある。誰もが失脚、突然の拘束という闇と闘い、疑心暗鬼の状況を生き延びようとしている。そこへ行くと日本の永田町の権力闘争なんてお花畑ですね。
というわけで観測筋が結論したのは「靴子落地」である。「解決の目途が立った」ということだ。
◎☆□☆み□☆☆□や☆◎☆□ざ☆□△◎き☆□☆◎
『(読者の声1)ウクライナ戦争ですが、日本の報道は英米の転写に近く、どうも客観的な戦況が伝わらない。ウクライナは負けているのでは?
というのもウクライナ国防相は「大反転攻勢」は「失敗だった」と認めていますし、オデッサ市の幹部がつぎつぎと汚職で逮捕されています。
大反転攻勢をやるからというので西側はミサイルに戦車を提供したところ、ほぼ全部、ロシアによって破壊された。レオパルトなど最新鋭戦車は一日で35台ほど失った。つまり訓練不足です。ウクライナ正規軍は壊滅したのではありませんか?
そしてゴジンジェムや、ガニなど米国傀儡政権の腐敗した輩どもは負けが確定的になると、真っ先に亡命しました。ゼレンスキーは、どこに亡命するでしょうか?
(DJ生、神奈川)
(宮崎正弘のコメント)オデッサは美しい町で、郊外には豪華別荘郡が建ち並び、全欧の金持ちがヨット遊びなどをやります。オデッサは西側の都市と遜色がなく、洒落た雰囲気があり、レストランも結構おいしい。エカテリーナ女帝の銅像広場には日本人経営の日本料亭もありました。当該像は破壊されましたが。。。
観光名所の「ポチョムキンの階段」あたりは朝から人でごった返していました。
その歴史地区がことし突如世界遺産となった。ユネスコではロシアが断固反対でした。
大聖堂がミサイル攻撃で破壊され、ゼレンスキーは必ず報復すると豪語しています。
さて謎です。
ロシアは開戦から一年半となりますが、教会を破壊していません。例外は東部の教会でしたが、これはロシア正教からウクライナ正教へ改宗した教会だったため破壊に躊躇はなかった
オデッサの聖堂はウクライナ正教会ですが、もともとはエカテリーナ女帝が建てた。このあたりにロシアが、もし攻撃したとすれば文化的動機がありますし、あるいはウクライナが西側の同情を引くための自作自演だったとすれば、文化との決裂の象徴になる
謎は謎ですので、これ以上の詮索はやめますが、ウクライナの敗色が一段と濃厚になってきました。』
米国務省、ウクライナ「45%領土奪還」 ロシア占領地
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN250AG0V20C23A7000000/
『【ワシントン=坂口幸裕】米国務省のミラー報道官は24日の記者会見で、2022年2月に始まった侵攻後にウクライナがロシアに占領された領土の45%を奪還したと明らかにした。奪回する領土を拡大するため、同盟国などとともにウクライナへの武器供与を継続すると強調した。
ブリンケン米国務長官は23日放送の米CNNテレビのインタビューで「占領された領土の約50%を取り戻した。さらに多くの領土を奪還するため、厳…
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『反攻について「まだ比較的初期の段階で、ロシアは強力な防衛態勢を敷いている。1〜2週間でなく、数カ月はかかる」と述べた。
米戦争研究所は23日、領土奪還を巡る国務省の分析が同研究所と「ほぼ一致している」と説明した。測定方法や使用するデータなどが異なるため誤差が生じると指摘し、同研究所は53%の領土を奪回したとの評価を公表した。
ミラー氏は「ウクライナはすでに領土を回復している。自国領土の45%を取り戻した」と明言。「ウクライナはロシアが一時的に占領した領土を取り戻し、大きな成功を収めている」と訴えた。詳細については説明しなかった。』
中国、ロシアに無人機大量輸出 ウクライナ向けの30倍
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB250LU0V20C23A7000000/
『【キーウ=共同】米ニュースサイトのポリティコは24日、ウクライナに侵攻したロシアが今年、中国から1億ドル(約141億円)相当の無人機を輸入したと報じた。税関の記録から判明したとしている。ウクライナが中国から輸入した額の30倍に当たり、専門家は「中国が侵攻に中立の立場を主張しながら、実際にはロシアを支援しているのは明白だ」と指摘した。
米国務省のミラー報道官は24日の記者会見で、中国が殺傷力のある武器をロシアに支援することに米国は強く反対すると説明。「制裁を科すべき動きがあるかどうかを監視している」と述べた。
ポリティコによると、防弾チョッキの材料となるセラミックスの中国からの輸出額は、ロシア向けが2億2500万ドルだったのに対し、ウクライナ向けは500万ドルだった。
中国からロシアへの輸出は、ダミー会社を通じることが多い。軍需品ではなく、民生用として税関に申告している可能性もあるという。
中国のロシアへの防衛装備品提供を巡っては、米CNNテレビがフランス政府当局者の話として、軍民両面で利用可能な「デュアルユース」技術や防弾チョッキ、ヘルメットなどを提供している情報があると報じている。
【関連記事】
・ロシア軍、ウクライナ南部オデッサにドローン攻撃
・ロシア企業、中国から「特別軍事作戦用」ドローン輸入
・ロシアがドローン輸入、「特別軍事作戦用」明記の理由は 』
ロシア首都に無人機攻撃か 国防省「ウクライナのテロ」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR244UT0U3A720C2000000/
『【フランクフルト=林英樹】ロシアの首都モスクワの中心部で24日、ドローン(無人機)2機による攻撃で建物2棟に被害が出た。現地メディアなどが報じた。ロシア国防省は同日、ドローンを迎撃し破壊したと通信アプリ「テレグラム」に投稿し、「ウクライナによるテロ攻撃だ」と非難した。
タス通信によると、モスクワ南部にある国防省の建物から約2キロメートル離れたオフィス街でドローンの破片が見つかった。攻撃でビルの窓ガラスが割れるなどの被害が出たが、死傷者はいないという。米CNNなどは関係者の話として、ウクライナ国防省情報総局の特別作戦だったと報じた。
モスクワへのドローン攻撃では、4日にも5機が飛来し、近くの空港で離着陸が一時制限された。5月にはクレムリン(大統領府)に飛来している。
ロシアが一方的に併合したクリミア半島の北部ジャンコイでも24日、ドローン攻撃があった。ロシア国防省は同日、ウクライナのドローン17機が攻撃を試みたが、迎撃などで死傷者は出なかったと発表した。
ロシアが創設した「クリミア共和国」のアクショーノフ首長は同日、ドローン攻撃によって弾薬庫が被害を受けたと明らかにした。ジャンコイ近郊にはロシア軍の空軍基地がある。クリミアでは22日にもドローン攻撃があった。
ウクライナ側はいずれも自軍の攻撃だと認めていない。ただウクライナのゼレンスキー大統領はクリミアとロシア本土を結ぶ「クリミア橋」について「攻撃目標で無力化されなければならない」と主張。ロシア領土内での破壊工作を進める可能性を示唆していた。
一方、ロシア軍はウクライナ最大の穀物輸出拠点である南部オデッサへの攻勢を強めている。23日のミサイル攻撃ではユネスコが世界遺産に登録した大聖堂が破壊されたほか、1人が死亡、20人が負傷した。
24日には黒海の代替輸出ルートであるドナウ川沿いの町がドローン攻撃を受け、穀物倉庫3棟に被害が出た。地元知事は同日「ロシアはウクライナの穀物輸出を全面的に阻止し、世界を飢えさせようとしている」と地元テレビで語った。
ロシア連邦保安局(FSB)は24日、トルコから黒海を通りロシアに向かっていた穀物運搬船で「爆発物の痕跡が見つかった」と発表した。同船は5月にウクライナに寄港しており、爆発物の運搬に使われた可能性があると主張した。
ロシア国防省は19日、黒海経由でウクライナに入港する全船舶について「軍事物資の運搬船とみなす」と表明した。FSBの発表はその主張を正当化する狙いがある。
【関連記事】
・ロシア、穀物拠点を連日攻撃 ウクライナ南部オデッサ
・ロシア・ウクライナ双方クラスター弾使用か 記者ら死傷
ニュースレター登録 』
北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:露のウクライナ攻撃で中国への農産物6万トン失われる。
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5450637.html





『2023年07月21日
2023年7月7月18日から19日の夜、オデッサ州Odesa Oblastに対するロシアの(報復的)ミサイル攻撃で破壊された農産物6万トンは中国に引き渡される予定だった。
ヴォロディミル・ゼレンスキー氏は19日夜の演説で、「この攻撃は、彼らの標的がウクライナだけではなく、我が国国民の命だけではないことを証明しています。今日攻撃された港には約100万トンの食料が保管されている。これはずっと昔にアフリカやアジアの消費国に届けられるはずだった量だ。注:右図は、ロシア外務省からの図で、ウクライナ東部、クリミアはロシア領扱いとなっている。
157140c1FireShot Webpage Screenshot #516 – ‘ロシア
18日夜のロシアのテロで最も大きな被害を受けたオデッサ港ターミナルには、黒海穀物輸出合意の下、60日前に中国へ輸送する予定の農産物6万トンが保管されていたが空爆で失われた。
他に、ウクライナ最大のヒマワリ油生産・輸出業者のカーネルの施設などが大きな被害を受けた。「つまり、誰もがこのロシアのテロの影響を受けているのです。」と述べた。参照記事 参照記事 参照記事 過去ブログ:2023年7月ロシア軍はウクライナのクリミア橋攻撃で報復攻撃実施:
、、、、ロシアによる『黒海イニシアティブ(ウクライナからの穀物輸出等に関する4者(国連、トルコ共和国、ウクライナ及びロシア)合意)』の期間終了000307831_1920(2023年7月17日)に対するロシアの再延長拒否と海洋人道回廊廃止が、グローバルな食料安全保障を悪化させることから、英国からは仲介国トルコに対するロシアへの期間延長への努力を期待する声明が出ていると同時に、国連からもウクライナからの穀物輸出を政治的武器とするロシアへ非難が起きている。static.reuters.com
ロシアのプーチン大統領は7月19日、ロシアが延長に合意しなかった黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)について、西側諸国が自らの目的達成のために歪めていたと非難した。
同時に、ロシアが提示している条件の全てが満たされれば、ロシアは「直ちに」復帰すると改めて表明した。その上で、西側諸国がロシアが提示する5つの重要な要求を満たせば、同合意に直ちに復帰するとの見解を改めて表明した。
プーチン氏が挙げた要求は、1)ロシア農業銀行の国際銀行間通信協会(SWIFT )決済システムへの再加盟、2)ロシアへの農業機械とスペア部品の輸出再開、3)ロシアの船舶と貨物に対する保険と港湾施設へのアクセス制限の撤廃、4)ロシアのトリヤッチとウクライナのオデーサをつなぐアンモニア輸出パイプラインの復旧、5)ロシアの肥料会社の口座と財務活動の遮断解除。参照記事
712x-1.png、、、
5つのいづれも、ロシアの侵略に際し、西側が発動した経済制裁。
ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアが穀物合意離脱を発表した後で、輸出回廊を再び機能させるための選択肢を検討していると述べ、輸出船に護衛を付ける可能性などを挙げている。
ウクライナ穀物の収穫時期は目前で、小麦相場の高騰がすでに顕著になっている。参照記事 、、、
制裁は侵略に対するもので、穀物合意は人道的と言い分けても、被害妄想の超国家主義者ultranationalistプーチンには通じないだろう。過去ブログ:2023年7月ロシアが合意済み穀物輸出を停止.「食料を武器化」の非難も:
df3031e-moska-mina–enciklopediya-tehniki.ru-
米国家安全保障会議(NSC)は19日、ロシアが黒海で機雷を敷設した兆候があるとの分析を明らかにした。
穀物輸送などを担う民間船を攻撃対象に加えた可能性を指摘し、ウクライナによる攻撃と見せかける工作活動をしていると言及した。
ロシアは黒海に面するウクライナ南部のオデッサ港を相次いで攻撃。穀物輸出の妨害を狙っているとみられ、機雷敷設も同じ目的の可能性が高い。参照記事 過去ブログ:2022年10月ロシアは武力、経済戦争でEUへ圧力と強まるEUの反発:5月相次ぐロシア内部からのプーチン批判: 』
ゼレンスキーは駐英のウクライナ大使を罷免した。
https://st2019.site/?p=21327
※ さまざまな「不協和音」が、聞こえるようになって来たな…。
『Brendan Cole AND David Brennan 記者による2023-7-22記事「Not the President’s Men: Why Zelensky Keeps Shuffling His Ambassadors」。
ゼレンスキーは駐英のウクライナ大使を罷免した。
大統領ウェブサイトはその理由を一切説明していない。
ワディム・プリスタイコ大使は2000年からロンドンに駐在していた。それが金曜日に馘だと発表された。
同時にプリスタイコは、国際海洋機構のウクライナ代表の地位からも外された。
今月、リトアニアで開かれたNATOサミットにて、英国防相ベン・ウォレスは言った。《みんな、ウクライナから、西側諸国に対する感謝の意を、聞きたいものだと思っている。わたしはAmazonではないのだ》。
これは、会議直前までしきりに文句ばかり垂れていたゼレンスキーへのあてつけだ。
これについてジャーナリストから尋ねられたゼレンスキーは、いわずもがなのことを口走った。
《ウォレス氏が私に手紙を書いてくれると、とてもありがたい。私がどのように人々にお礼を述べるべきかを。》
さらにこれについてプリスタイコは英国テレビの「スカイニュース」で《このような皮肉は健全ではない》と、おのれのボスを批判した。これでは馘にされても仕方あるまい。
※小者役者揃い踏みかよ。
ゼレンスキーは2022-7-9に、それまで8年間、ベルリンに駐在していたウクライナ大使のアンドリィ・メルニクを解職した。
これはユーチューブ番組での失言の直後であった。
WWII中に「ウクライナ・ナショナリスト機構」という鷹派集団があり、その指導者をステパン・バンデラといった。この機構は占領者であるドイツ軍と結託して、ポーランド人と猶太人をたくさん殺している。
番組のインタビュアーが、バンデラは80万人のユダヤ人殺しに関係していた、と言ったのに、メルニクは「証拠は皆無だ」と返答した。
これにイスラエル政府とポーランド政府が抗議した。ウクライナ外務省は、これはメルニクの個人的見解であると声明した。
これでメルニクは本国召還となり、今はウクライナの外務副大臣である。
ベラルーシ駐在のウクライナ大使であったイホル・キジムは2023-6-22にポストを外された。彼は2017からミンスクに駐在していた。
ベラルーシを侵略国家に認定し、外交関係を断つという2023-6のウクライナ国会決議草案が関係しているだろう。
駐チェコ共和国大使も、メルニクと同時の2022-7に召還されて、外務副大臣になった。これは通常のローテーションだとゼレンスキーは説明している。
駐インド大使も交替。こちらは本人が、8年もやってきたからそろそろ帰国のときだよ、とマスコミに語っている。』
ウクライナメディア、犠牲ばかりで得られるものがなく兵士も士気が低下
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-media-say-soldiers-morale-plummets-with-no-gains-from-sacrifice/#comment_headline
※ こういう情報も、段々出てくるようになったな…。
『KYIV POST紙は22日「夏攻勢で達成した成果と支払った代償が釣り合っておらず、犠牲ばかり増えて得られるものがない状況が兵士の士気低下を招いている」と報じており、ウクライナ人も反攻作戦の進捗に不満があるのかもしれない。
参考:«Кожні 100 метрів коштують 4-5 піхотинців»: українські бійці на передовій розповідають про криваві бої та зниження морального духу
立場の違いが反攻作戦の見通しに反映されているいう点で非常に興味深い
KYIV POST紙の取材に応じた下士官は「予告された反攻作戦に備える時間を敵に与えすぎたんだ。攻勢方向の一つがザポリージャであるのは明白だったが、まさか全ての土地を地雷で埋め尽くしてくるとは予想もしていなかったため、我々は地雷原に頭をぶつけながらのろのろ進むしかなく本当に多くの工兵を失ってしまった。さらにブービートラップ、無人機と連携してくる砲撃、丘の向こうから発砲してくる戦車、航空攻撃によっても兵士が削られていく。仲間の犠牲ばかり増えて得られるものがない状況が兵士の士気を低下させている」と訴えた。
出典:GoogleMap ザポリージャ州オレホボ周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)
別の衛生兵も「1ヶ月間で1km半しか前進できておらず、費やした人的資源と物資に見合うとは思えない」と述べているが、戦闘経験が豊富な少佐は「航空支援もなく砲弾も使用量が限られ、上からは可能な限り兵士の命を守れと厳命されているため戦術的な選択肢が殆ど残されておらず、犠牲を承知でロシア軍の陣地に接近して近距離攻撃を仕掛けるしか手がない」と指摘。
この接近戦の意図について少佐は「負担を強いる戦闘を繰り返し仕掛け、敵が機能できなくなるまで疲弊させる。そうすれば三重の防衛ライン攻略は塹壕に座っている敵を相手にするだけで済む。これまでのところロシア軍を骨抜きする戦略は上手くいっており、我々の部隊は前進している」と説明し、立場の違いが反攻作戦の見通しに反映されているいう点で非常に興味深いが、別の兵士は「占領した陣地を守る方法を教えられていない」と主張した。
出典:Сухопутні війська ЗС України
ウクライナ軍は反攻作戦に向けて兵士に「陣地の占領方法」を熱心に教え込み、この兵士の部隊も成果を発揮してロシア軍陣地を次々と奪い「一定範囲の領土解放」に成功したものの、ロシア軍の逆襲が始まると「敵陣地を占領するということは自分達が敵砲兵部隊の標的になる」と初めて気づいたらしい。
この兵士は「砲撃の中を100mも進めば4~5人の犠牲者が出る。この数字は戦場における平均的な数値で1kmも進めば部隊の半数が失われるという意味だ。その場で踏みとどまる限り犠牲は発生しないが、少しでも動けば大きな犠牲を強いられるため、この1kmを保持し続けられるか分からない。前線で戦う兵士の間では生き残ること自体を諦めつつある」と述べたものの、この兵士自体は「戦場での死亡率は30%で負傷率は40%だ。だから生き残る確立はそこで悪くないし、普通に生活していても頭にレンガが落ちてくることもあるだろ」と付け加えている。
出典:Сухопутні війська ЗС України
因みにKYIV POST紙は「前線で戦う兵士の士気が低下している問題について国防省にコメントを求めたが、代わりに対応した参謀本部は『味方が前線で成功を収めつつある』『味方の大砲が敵の大砲を破壊した』と述べただけで、これまでの公式発表がそうであったように自軍の損失や前線部隊の士気について何も言及しなかった」と辛辣に批判しており、恐らく「前線から漏れ伝わってくる兵士の声」と「軍の公式発表」が一致しなくなっていることに不満が溜まっているのだろう。
追記:オデーサでは「力ずくで動員対象者を連れ去る違法動員」が多発して問題視されていたが、この動員を管轄する軍事委員会のボリソフ委員長(解任済み)に関する不正=申告された収入や資産を大幅に超える計1億5,100万フリヴニャ=約6億円で高級車やスペインの不動産の購入した容疑、動員免除のホワイトチケット販売容疑、戦時中にも関わらず嘘の申告で海外旅行(モルドバ、トルコ、セーシェル、スペイン)に出かけた容疑などが次々と明るみになり、容疑の通知を受けたボリソフ委員長は逃亡したため指名手配されたと報じられている。
関連記事:豪国営放送、ウクライナ人は外国人軍団を辞める人間を投獄すると脅す
関連記事:熱が冷めつつあるウクライナ人、力ずくで動員対象者を連れ去る行為が横行
関連記事:ウクライナ軍が動員対象者を力ずくで連行、追加動員が始まっている可能性
関連記事:ウクライナ軍、動員の必要性があるもの人々の熱意が冷めつつある
関連記事:兵士の逃亡に悩むウクライナ軍、原因は約束した交代が守られていないため
※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 51 』
NIDS 防衛研究所 National Institute for Defense Studies
人民解放軍はウクライナ航空戦から何を教訓としつつあるのか
地域研究部米欧ロシア研究室 相田 守輝
はじめに
本研究の目的は、「中国人民解放軍(People’s Liberation Army : PLA)がウクライナ航空戦から何を教
訓としつつあるのか」について考究することにある。2回にわたるコメンタリーの第1弾目として、本稿
では「①中国から見たロシア航空戦力の使い方」について解説していく。続く第2弾目のコメンタリー
では「②中国が想定する将来の航空戦」について解説する。
2022年2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が開始され、間もなく1年半を迎えつつある。この
ウクライナ戦争では大方の予想を裏切り、軍事大国のロシアがウクライナを攻めあぐねL戦況は消耗戦
の様相を呈し、未だに沈静化の兆しは見えない。
特に、ロシアの航空戦力は航空優勢を獲得できないまま
戦局全般に影響を及ぼしきれていないままである2。
開戦当初からロシア軍の作戦機は多く撃墜され、自らの事故によっても損失を計上し続けている3。
□
シアの空軍機が防空軍の対空ミサイルによって撃墜されるケースも続発し’ 更にはロシア空軍のSu-34
戦闘爆撃機がウクライナ国境付近にあるロシアの都市(ベルゴロド)までも誤爆してしまうなど、ロシア
軍の作戦遂行における調整や連携の悪さが浮き彫りになってきた七
これらの背景には、限られた軍事予
算、時代遅れの兵器技術、パイロットの少ない飛行時間、作戦機の低い可動率、調整されていない指揮、
精密誘導兵器の不足などの様々な要因が複雑に絡み合った結果とも言われている6。
西側諸国ではロシアの航空作戦がうまく進揚していないと評価されているが7、中国側からはどのよう
に捉えられているのだろうか? とりわけ中国の軍事関係者による評価や議論は、将来的なPLAの戦略
/戦術にも適用されていく可能性も考えられるため注目に値する。
しかしながらロシアがウクライナに
侵攻した直後から、PLA機関紙『解放軍報』や『国防報』などの公式報道では、ウクライナ戦争の教訓を
明示的に解説する記事を殆ど見つけることはできない。その反面、中国の一般的なメディアでは軍事関
係者による議論がしばしば見受けられるようになってきた。
-1-
NIDSコメンタリー第263号
本稿では、中国の軍事関係者がウクライナ航空戦におけるロシア軍をどのように見ているのかを紹介
した上で、その一端について議論していく。その際、少ないなかでも中国の議論を取り入れ、不足してい
る部分には欧米の議論をもって補いながら解説していくこととしたい。
元PLA少将によるロシア空軍への評価の一例
元PLA少将の金一南(Jin Yinan)は、2023年2月に中国メディア『上観新聞』を通じて、ウクライナ
航空戦におけるロシア軍について言及している。この報道が『解放軍報』などのPLA系メディアによる
報道でないことに加え、金一南がすでに退役した軍人でもあることから、必ずしもPLAの公式な見解と
は言えないが参考にする価値はあろう。
この元PLA少将は「ロシア航空作戦のレベルの低さは必然であ
った8」と次のとおり酷評する。
ウクライナ紛争は貧弱な航空戦力(原文:空中力量薄弱)を露呈させただけでなく、
ロシアの特別軍事作戦全体に悪影響を与えた。
仮にロシアがアントノフ空港の制圧に
成功し、70機以上の!1-76輸送機を順調に着陸させ(原文:70多架伊示ー76 J脈利降落)、
重火器をスムーズに空輸できていたのであれば、ロシアは速やかにキエフを占領し戦
局を決定的なものにできたであろう。
しかしなカヾら、アントノフ空港近くのウクライ
ナ軍重旅団が、滑走路を破壊してロシア空軍輸送機の着陸を妨げたため、ロシア軍の
当初の作戦計画は大幅に修正を強いられる結果となった。彼らは明らかに準備不足で
あり、航空戦力も十分ではなかったことは明白だ七
もし、米空軍がそのような任務をするならば、充分な敵防空網制圧(SEAD)と航空
阻止(AI)が行なわれたであろう。対照的にロシア空軍はヘリコプターを派遣するだ
けにとどまり、攻撃機を派遣せず(原文:没有出劫強缶机)、空港を占拠した空挺部隊
に必要な空中援護も行なわなかった(原文:也没有給占^机切的空降兵部(^提供有奴
的空中掩か)。
そのまま特別軍事作戦は継続され、ロシア空軍の作戦能力が低いレベル
にあることを世界に露呈した1°。
このような評価にはPLA強硬派として知られた金一南のパーソナリティーが前面に出ているものの”、
元PLA少将である人物がこれほどまでに公然とロシア空軍を酷評していることは珍しい。
-2 –
NIDSコメンタリー第263号
中国から見える問題点:旧態依然の戦法から抜け出せないロシア空軍
更に、ロシア空軍の作戦能力の低さが何に起因しているのかについて示唆する議論も現れ始めた。
そ
の中でも、中国の航空軍事誌『航空知識』(2023年3月)の論考「ロシア•ウクライナ戦争の1年」は、
新しい観点をもたらす評論として注目に値する立。この著者である上級編集者の老虎(E〇HU)は、これ
までもウクライナ航空戦について論考を掲載してきた人物でもあるが作、今回の論考ではロシアの作戦能
カの低さが何に起因しているのかを示唆している。
現在のウクライナ航空戦が「理念なきロシア空軍による『古い戦争』の実態だ勺 と断じる老虎は、口
シア空軍が開戦当初から戦略的な攻撃目標ではなく戦術的な攻撃目標に対して、ただでさえ不足してい
る精密誘導弾を分散しながら使用していた(原文:俄空写始^将本不充裕的精日角制身弾萄分散使用)と痛
烈に批判した我。
その原因として、ロシア空軍が第二次世界大戦からの「戦術」を踏襲しつづけ、地上戦を上空から支援
する作戦にのみ大半の作戦機を投入してしまい、航空戦力を集中するどころかむしろ分散させたままの
旧態依然の戦法(原文:作占戈祥式老套)に頼っているからだと指摘する如。
つまり、ロシア軍の組織体質
に問題があり、ロシアの軍事ドクトリンにも悪影響を与えていると示唆しているのである。
その一方で老虎は、米国発祥の空戦理論PFive Rings Model (原文:五壬不作占戈思想)17Jのような欧米
スタンダードとは一線を画すような「考え方」をロシア空軍は持っているはずであり、「ロシアにはロシ
アなりの戦い方があるのだ」とも擁護する七
ロシア人が考える航空戦力の使い方が欧米スタンダードとは必ずしも一致しないという観点は重要で
あり、対象国の軍事ドクトリンを深く研究していかねばならない必要性を改めて認識させられる。
この
老虎による指摘の妥当性は歴史的文脈からも裏付けることができる。
伝統的な志向から抜け出せないロシアの航空作戦
ロシア人が航空戦力をどのように使ってきたかを少しばかり遡ってみよう。
第二次世界大戦時、ソ連
軍は東部戦線でドイツ軍と死闘を繰り広げていた。一方の米英軍も反対側にある西部戦線でドイツ軍と
戦闘を行っていた。著名な航空専門家であるマーチン•クレフェルト(Martin van Creveld)は、西部戦
線における空戦の状況と東部戦線における空戦の状況は明らかに対照的であったと指摘していた。
-3 –
NIDSコメンタリー第263号
西部戦線での米英軍航空戦力による作戦では、ドイツ軍の補給線を破壊すべく航空阻止(Air
Interdiction : Al)が集中的に行われ、ドイツ軍車両による補給路の往来ができなくなるまで徹底された。
これに対し東部戦線におけるソ連軍航空戦力による作戦では、ソ連陸軍を上空から支援する近接航空支
援(Closed Air Support – CAS)が優先的に行われていた。
この結果、戦闘地域へ向かうドイツ軍や物資は
破壊されることなく補給活動は継続されていた也 ソ連空軍は他のどの飛行任務よりも「戦場支配(CAS
と同義)」を優先していたという点で、米英軍と異なっていたのである2°。
このような傾向はソ連崩壊後のロシアにおいても同様に見られた。1999年秋に始まった第二次チェチ
エン紛争においてもロシア空軍は今次ウクライナ戦争で見られるような振る舞いを見せていた。
チェチ
エン紛争に投入された航空戦力は、ロシア空軍第4航空軍の飛行部隊とモスクワ航空•防空軍管区
(Moscow Air and Air De能nse District)から派遣された防空軍で主に構成されていた”。これら航空戦力
は総じてCASに投入され、ロシア空軍のSU-24MフェンサーD戦闘爆撃機は携帯型防空システム
(MANPADS)の攻撃から防護するために高高度(3500m以上)を飛行し、精密誘導爆弾をしばしば投下
していた。一方、Su-25フロッグフット戦闘爆撃機をはじめとする大半の作戦機は低高度(1000〜3000
m)を飛行し、攻撃には非精密誘導兵器を使用することが常であった22。
これら航空戦力の運用を十分に調整しないまま作戦を継続したロシア軍は、たびたび味方同士による
友軍相撃を経験することになった23。
チェチェン紛争のような敵の航空戦力が殆ど存在しない相手に対し
ても、ロシアは航空作戦を済々と遂行できた訳ではなかったのである。作戦機を運用する「空軍」、対空
ミサイルを運用する「防空軍」、その他の部隊との間で十分な作戦上の調整が行なわれなかったことは2ゝ
のちにロシア軍の教訓にもなっていた。
このような歴史的文脈を踏まえれば、ロシア人が考える航空戦力の使い方が、米国人が考える航空戦
カの使い方とは必ずしも一致しないことは明らかであろう。
他の軍種/兵種との調整がとれないまま発
動される航空作戦は、「ロシア軍が旧態依然の戦法をとっていた」と評価されるに足りる理由を残してい
る。
ロシア軍が伝統的に「地上戦」を中心に設計された軍隊であり25、その伝統的な志向から抜け出せて
いない姿を現しているとも言える。
強大な戦車・砲兵戦力をもって敵の防御線を突破し、敵を包囲殲滅す
るといった軍事ドクトリンに基づいて陸軍が建設されたように、空軍においても陸軍を上空から支援す
べく建設されてきたのである。
おわりに
本稿では、「PLAがウクライナ戦争から何を教訓としつつあるのか」を考究する一環として「①中国か
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NIDSコメンタリー第263号
ら見たロシア航空戦力の使い方」について解説した。
ロシアが航空作戦を済々と行えていない背景には、限られた軍事予算、時代遅れの兵器技術、パイロッ
卜の少ない飛行時間、作戦機の低い可動率などの諸問題が影響していたことは言うまでも無い。
しかし
ながら更に批判的に検討していくならば、「旧態依然の戦法から抜け出せないロシア空軍」の組織体質こ
そが、根本的な問題だと理解すべきであろう。
一方で「ロシアにはロシアなりの戦い方がある」という中国の指摘も、柔軟な思考をもっためには必要
な観点であろう。
つまり、欧米スタンダードの基準のみで「ウクライナ戦争」を見ていくことは厳に戒め
るべきなのである。チェチェン紛争の例からもわかるように、航空優勢獲得の主担当が作戦機を運用す
る「ロシア空軍」ではなく、対空ミサイルを運用する「ロシア防空軍」であった事実を踏まえれば、「ロ
シアにはロシアなりの戦い方がある」という中国の指摘に耳を傾ける価値もあろう。
これら「気づき」に基づいて更に考えてみれば、ロシア軍が航空優勢を獲得できていない現状を、ロシ
アがさほど問題視していない可能性さえある。むしろ、ロシア軍がこれまでの作戦強度を数年間も持続
させながらウクライナ戦争を継続していくことの方が、ロシア軍にとって優先度が高いのかもしれない。
改めて、諸外国に対する多角的な研究や幅広い知見に基づいた柔軟な思考が求められると言えるのでは
ないだろうか。
続く第2弾目のコメンタリーでは、ウクライナ航空戦におけるロシア、ウクライナ双方の「航空優勢」
をめぐる攻防を踏まえながら、「②中国が想定する将来の航空戦」について解説していくこととしたい。
1相田守輝「中国空軍をめぐるデジタル・トランスフォーメーション:新しい整備管理システム導入から見える取り組み」『安全保障戦略研究』
第3巻第2号、2023年3月。
2 Justin Bronk, and Reynolds, Nick, Watling, Jack, “The Russian Air War and Ukrainian Requirements for Air Defence/1 2 3 4 5 6 7 The Royal United Services
Institute for Defence and Security Studies, November 7, 2022, https://rusi.org/explore-our-research/publications/special-resources/russian-air-
war-and-ukrainian-requirements-air-defence, accessed on June 7, 2023.
3 Phil Stewart, “What happened to Russia’s Air Force? U.S. officials, experts stumped/’ Reuter, March 2, 2022,
https://www.reuters.com/world/europe/what-happened-russias-air-force-us-officials-experts-stumped-2022-03-01/, accessed on June 7, 2023.
4 “Downed Russianjets ‘almost air taken out by Kremlin’s own air defence,z/ The Telegraph, December 30,2022, https://www.telegraph.co.uk/world-
news/2022/12/30/russian-jets-shot-sky-almost-downed-moscow-air-defence-systems/,accessed on June 7, 2023 ; “Friendly Fire: russian Air
Defense Strikes Own Helicopters Down,” Defense Express, May 13, 2023, https://en.defence-
ua.com/news/friendly_fire_russian_air_defense_strikes_own_helicopters_down-6697.html, accessed on June 7, 2023.
5 “Russia bombed its own city, Defense Ministry says,” The Washington Post, April 21, 2023,
https://www.washingtonpost.com/world/2023/04/21/belgorod-russia-bombed-own-city/, accessed on June 7, 2023.
6 Mykola Oleshchuk, nAir Power in the Russian-Ukrainian War: Myths and Lessons Learned,/z The Journal of the Joint Air Power Competence Centre,
Edition 35, February 2023, https://www.japcc.org/articles/air-power-in-the-russian-ukrainian-war-myths-and-lessons-learned/, accessed on June
7, 2023.
7 “One year on Russia Shocked/’ AIRFORCES, N〇.420, Seymour Distribution, London, March 2023, pp.30-43.
-5 –
NIDSコメンタリー第263号
8「俄M中突一周年,暴露了(1 那些1可題?金一南解^」『上双新i司』2023年2月24日、https://www.jfdaily.com/wx/detail.do?id = 586010, accessed
on June 7, 2023.
9 「俄与)中突一周年,暴露了「那些「可題?金一南解^」2023年2月24日。
10同上。
11歴史的にロシアから格下と見られながらもロシアの軍事技術依存に甘んじてきた「一世代前の将校」の心境が表れているようにも感じる。
12老虎「俄与占戈争一年祭」『航空知識』No.623, 2023年3月、20-21頁。
13老虎「瓜来兄弟下手黑?払一払俄4雨国的空中写カ」『航空知識』No.613, 2022年6月、参照。
14 「俄4占戈争一年祭」、20 —21頁。
15 「俄4占戈争一年祭」、20 —21頁。
16同上。
0湾岸戦争では、John Warden米空軍大佐の理論PFive Rings ModelJが実践され、第一波の空爆はイラク人指導者の住居、作戦指揮所、防空
早期警戒システム、C4ISRシステムに対するSEAD制圧が行われ、敵の「中枢」を破壊した。米軍の航空優勢を迅速に獲得するための要訣。
18 「俄与占戈争一年祭」、22頁。
19 Creveld, Martin van; Canby, Steven L,; Brower, Kenneth S., Air Power and Maneuver Warfare, CreateSpace Independent Publishing Platform,
August 1,2012, p.141.
2〇マーチン・ファン・クレフェルト『エア・パワーの時代』芙蓉書房出版、2013年、188—189頁。
21 Marcel de Haas, “The use of Russian Air Power in the Second Chechen War,” Airpower Review, Volume 6, No.1, Spring 2003, pp. 7-11.
22 Marcel, p. 6; Anatoly Kornukov, “Kontrterroristicheskaya operatsiya na Severnom Kavkaze: osnovnyye uroki i vyvody ¢Counter-terrorist
operation in the North Caucasus: basic lessons and outcomes] Voyennaya Mysl ¢Military Thought] , No. 4, July 2000, pp. 6.
23 Marcel, p. 7,14.
24 Charles Blandy, Chechnya: two Federal interventions: An interim comparison and assessment, Camberley: CSRC, January, 2000, pp. 34-35.
25小泉悠「軍事・安全保障研究から見るロシア・ウクライナ戦争」『東京大学FEATURES] 2023年2月22日、https://www.u-
tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0405_00006.html, accessed on June 7, 2023.
-6 –
防衛研究所 National Institute for Defense Studies
NIDSコメンタリー
NIDS
Tokyo Japan
第263号 2023年6月22日
PROFILE
守輝
地域研究部米欧ロシア研究室所員
専門分野:中国をめぐる安全保障
本欄における見解は、防衛研究所を代表するものではありません。
NIDSコメンタリーに関する御意見、御質問等は下記へお寄せ下さい。
ただし記事の無断転載•複製はお断りします。
防衛研究所企画部企画調整課
直通:03-3260-3011
代表:03-3268-3111(内線 29177)
防衛研究所Webサイト:www.nids.mod.go.jp
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領域横断作戦の観点からのロシア・ウクライナ戦争の教訓
https://www.mod.go.jp/gsdf/tercom/img/file1976.pdf
高木耕一郎
ロシア・ウクライナ戦争は、将来の領域横断作戦を考察する上で重要な教訓
を生み出している。その戦況は未だ流動的であり、教訓も暫定的なものであ
る。しかし、将来への洞察を得る上で、戦況に応じて逐次分析行うことは価値
がある。
ロシア・ウクライナ戦争においては、宇宙、サイバー、電磁波という新領域
に関する技術や無人兵器など、最新の科学技術が用いられている。その一方
で、ロシア軍の精密誘導兵器は枯渇し、5月から7月上旬まで、ウクライナ東
部における大規模かつ組織的火力戦という、伝統的な陸上戦闘主体の戦闘様相
となった。
ロシア・ウクライナ戦争は、ロシア軍のウクライナへの3方向からの侵攻
(2022年2月24日〜3月上旬)、ウクライナ軍の反撃とロシア軍の戦線縮小
(2022年3月下旬〜4月頃)、ロシア軍のウクライナ東部ドンバス地方への戦
カ集中(2022年5月〜7月頃)、ウクライナ軍の反撃(2022年8月以降)と、
戦況が逐次推移している。特に、2022年9月以降、ウクライナ軍による反撃
の大きな進展が見られる。
本稿は、こうした戦況推移のうち、2022年5月〜7月頃に行われたウクライ
ナ東部ドンバス地方における戦闘に関する分析を主体とする。この時期の戦闘
においては、ウクライナ軍の劣勢が伝えられ、ウクライナに対する欧米諸国か
らの支援の必要性に注目が集まった。また、米国においては、陸海空、宇宙、
サイバー、電磁波というそれぞれの領域に関して活発な議論がなされた。本稿
は、これらの各領域の能力を有機的に融合した領域横断作戦の視点から、同年
9月頃までに米国において発表されている分析等を踏まえ、その教訓を考察す
るものである。
1 陸上領域:機動戦から火力戦への移行と野戦砲の火力差
2022年2月24日のロシア・ウクライナ戦争開戦当初、ロシア軍は3方向か
らの機動戦によりウクライナへ侵攻したが、その作戦は不調に終わり、ロシア
軍は多くの欠陥を露呈した。しかし、同年5月以降、ロシア軍は再編成を行
い、ウクライナ東部に戦力を集中した。そして野戦砲を主体とした大規模な火
力戦を行い、7月3日頃にはルハンスク州の占領に成功した1。
1 Institute for the Study of War. (July 3, 2022). Russian Offensive Campaign Assessment.
(https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-ofifensive-campaign-assessment-july-3)
この間、ロシア軍の作戦には、大きな改善が見られた。それは、野戦砲を重
視した戦闘要領への転換であり、ロシア軍は圧倒的な野戦砲火力を狭い作戦範
囲に集中させることにより、局地的な攻撃前進に成功した2。6月の戦闘におい
てロシア軍が使用した砲弾数は、1日あたり約50,000発3とも、T0,000発4と
も言われている。ウクライナ軍の砲弾数はその約10分の1でしかなく、ロシ
ア軍は火力戦においてウクライナ軍を圧倒した5。この火力差により、ウクライ
ナ軍には1日あたり約200人の死者、約500人の負傷者が発生し、ウクライナ
は東部の自国領土を徐々に失っていった。
ウクライナの外務大臣のドミトロ ・クレーバは、6月17日に『フォーリン・
アフェアーズ』誌に寄稿した論考において、「ウクライナには重火器がさらに
必要」と訴えた。「ロシア軍の火砲は、前線の重要な部分において、1対15で
ウクライナ軍を圧倒」しており、欧米諸国からの火力装備品の提供は「まだ少
なすぎる。」そして、「ウクライナが最も緊急で必要しているのは、何百もの多
連装ロケットシステムと155ミリ榴弾砲」であると訴えたのであるし
こうした圧倒的な火力差を埋めるため、欧米諸国によるウクライナ軍に対す
る火力装備品の支援が行われてきた。7月初めまでに、155mm榴弾砲126門
の支援が発表されるとともに8、合計8基のHIMARSがウクライナ軍の手に渡
った七 ウクライナ軍はHIMARSを用い、6月にはロシア軍の14の弾薬庫を
破壊し2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12.さらに7月下旬までに約50のロシア軍司令部と弾薬庫を破壊したと
いうろ ウクライナ軍は7月下旬には、HIMARSやMLRSなどの欧米から供
与された火力システムを効果的に活用し、ウクライナ南部港町ケルソンの奪回
に成功したん
2 Stalano-Danlels, L. (June 19, 2022). Why Russia Keeps Turning to Mass Fire Power. Russian
artillery is an old tradition with brutal uses. Foreign Policy.
(https://fdreignpolicy.com/2022/06/19/why-russia-keeps-turning-to-mass-firepower/)
3 Ibid.
4 Gabbard, T. (June 27, 2022). Biden’s Endgame Shouldn’t Be Victory for Ukraine. Foreign Policy.
(https://fbreignpolicy.com/2022/06/27/us-ukraine-russia-war-endgame-victory-settlement-
negotiation-biden-putin-zelensky/)
5 Ibid.
6 Ibid.
7 Kuleba, D. (June 17, 2022). How Ukraine Will Win. Kyiv’s Theory of Victory. Foreign Policy.
(https://www.fdreignaffairs.com/articles/ukraine/2022-06-17/how-ukraine-will-win)
8 U.S. Department of Defense. (July 8, 2022). Fact Sheet on U.S. Security Assistance to Ukraine.
(https://www.defense.gov/News/Releases/Release/Article/3088006/fact-sheet-on-us-security-
assistance-to-ukraine/)
9 Detsch, J. (July 13, 2022). Ukraine Is Bringing a Big Gun to a Knife Fight. Foreign Policy.
(https://fdreignpolicy.com/2022/07/13/ukraine-himars-ammunition-russia-us/)
10 Ibid.
11 Klain, D. (August 2, 2022). Ukraine’s Battle for Kherson Could Be a Key Victory. Foreign Policy.
(https://foreignpolicy.com/2022/08/02/ukraines-battle-for-kherson-could-be-a-key-victory/)
12 Ibid.
ロシア軍が野戦砲を主体とした火力戦を行っているのに対し、ウクライナ軍
に火力装備品を提供することは、対称的なアプローチであり、激しい消耗戦を
助長するという批判もあった、第二次世界大戦の開戦当初、強力なマジノ線
を構築して陣地戦を準備していたフランスに対し、ドイツは戦車を主体とした
機動戦により短期間でパリを陥落させた。こうした非対称的なアプローチの有
効性は、多くの戦例により示されている。
しかしながら、機甲戦闘力を用いて機動戦を行うためには、十分な訓練と準
備が必要である。2014年以降、ウクライナ軍はドンバス地方の防衛のため、火
力を中心とした陣地戦を行うための防衛力整備に力を注いでおり、機甲戦闘力
を育成してこなかったという指摘もあった%このため、ウクライナ軍は機動
戦に優れておらず、当面の火力差を埋めるために、火力装備品を優先して要求
せざるを得なかったという見方である。
こうした見方がある一方で、ウクライナ軍は、提供されたHIMARSを前線に
おける攻撃前進の支援に用いるのではなく、 ロシア軍の弾薬庫や司令部に対す
る攻撃に用いており、必ずしも対称的なアプローチを行ってはいない。ウクライ
ナ軍は、7月以降、ロシア軍の弾薬庫、司令部、兵站拠点、防空システムなどを
攻撃し、こうした攻撃によりロシア軍の継戦能力を徐々に削いでいった%これ
が、9月以降のウクライナ軍による主導権の奪回につながり、ロシア軍は無秩序
な退却を余儀なくされたのである。
さらに、5月〜7月に行われたロシア軍による火力戦も、ロシア軍兵士の士
気の低下により、ロシア軍がやむを得ず行った戦い方であるという指摘もある
桂。すなわち、ロシア軍は、歩兵の士気が低いため、近接的な戦闘を避けて大
量の砲弾を用いるという戦い方をせざるを得なかったのである。
このように、陸上領域においては、2月24日の開戦当初の機動戦から、5月
以降の野戦砲を主体とした火力戦に至るまで、ロシア軍の作戦に大きな変化が
見られた。ロシア軍は野戦砲を主体とした攻撃を行い、狭い範囲に大量の砲弾
を集中させ、局地的な攻撃前進に成功した。圧倒的な火力差を埋めるため、ウ
クライナは火力装備品を国際社会に対して要求し、それらは逐次ウクライナに
13 Clark, B., & Rough, P. (July 6, 2022). How to Equip Ukraine to Break the Black Sea Blockade.
Foreign Policy, (https://fbreignpolicy.com/2022/07/06/ukraine-war-russia-blockade-grain-exports-
black-sea-odesa-shipping-uav-gray-eagle-mq-1/)
14 Posen, B. (July 8, 2022). Ukraine’s Implausible Theories of Victory. Foreign Affairs.
https://www.foreignaffairs.com/articles/ukraine/2022-07-08/ukraines-implausible-theories-victory)
15 Detsch, J. (October 4, 2022). Russia’s Army Keeps Collapsing After Falling Back in Kherson.
Foreign Policy, (https://foreignpolicy.com/2022/10/04/russia-army-retreating-kherson-ukraine/);
Freedman, L. (September 23, 2022). All the Tsar’s Men. Why Mobilization Can’t Save Putin5s War.
War on the Rocks, (https://www.foreignaffairs.com/ukraine/all-tsars-men)
16 Detsch, J. (September 12, 2022). Ukraine’s Lightning Counteroffensive Approaches the Russian
Border. Foreign Policy, (https://foreignpolicy.com/2022/09/12/ukraine-advance-russia-border-war-
counteroffensive/)
提供された。
こうした戦況を踏まえ、2022年5月〜7月頃の米国における分析は、ロシア
軍による火力戦の成果を強調し、ウクライナ軍の劣勢を懸念するものが多かつ
た。その中には、ウクライナ軍に対する火力装備品の提供に批判的な論調もあ
った。
そうした中で、ウクライナ軍は、供与されたHIMARSなどの火力を用
いて、ロシア軍の弾薬庫などを根気強く攻撃し、ロシア軍の継戦能力を削いで
いった。そして、2022年9月、ウクライナ軍は大規模な反撃に成功したので
ある。
ウクライナ軍の反撃が成功してからは、米国における論調も一転した。
ウクライナ軍の火力運用の巧みさを指摘するとともに、ロシア軍が行った火力
戦はロシア軍の歩兵の士気が低いためにやむを得ず行われたものという分析も
出現したのである。
2 航空領域:「航空戦力のパラダイムシフト」
今般のロシア・ウクライナ戦争において、「航空戦力のパラダイムシフト」
が起きていると指摘されている七 これまでの戦闘において、ウクライナ軍、
ロシア軍の両陣営とも、一般的な意味での航空優勢を獲得できていない。20世
紀初めに航空戦力が戦争に使用されて以降、航空優勢の獲得は、陸上作戦、海
上作戦を行うにあたっての重要な要件であった。しかし、ロシア・ウクライナ
戦争においては、これまで両陣営とも航空優勢を獲得していない状態での戦闘
が続いている。
ロシア軍の航空戦力は、これまでの戦闘において重要な役割を果たしていな
い。開戦から6月頃までに、ロシア軍機は96機撃墜されたお。ロシア軍の戦闘
機や爆撃機がウクライナ領空を飛行することはほとんどなく、飛行するとして
もレーダーの探知を避けるために低空を飛行している。しかし、低空を飛行す
れば、ウクライナ軍の対空砲やスティンガー携帯対空ミサイルの射程内とな
る。このため、これまでの作戦においてロシア軍が戦闘機、爆撃機を用いるこ
とは稀であると言われている。
ロシア軍の航空作戦の失敗の原因として、ロシア航空宇宙軍の練度不足、精
密弾と照準センサーの不足、ロシア航空宇宙軍のリスク回避の傾向、統合交戦
区域の管理能力の不足などが指摘されている杓。また、NATO軍が近隣諸国上
17 Bremer, M. K., & Grieco, K.A. (June 15, 2022). In Denial About Denial: Why Ukraine’s Air
Success Should Worry the West. War on the Rocks, (https://warontherocks.com/2022/06/in-denial-
about-denial-why-ukraines-air-success-should-worry-the-west/)
18 Ibid,公刊情報に基づき6月!5日に発表された記事による。両陣営とも損害数は秘匿し
ており、この撃墜数は衛星画像又はソーシャルメディアへの投稿画像等から破壊を確認で
きた航空機(無人航空機を除く。)をカウントしたもの。
19 Pietrucha, M. (August 11,2022). Amateur Hour Partll: Failing the Air Campaign. War on the
Rocks, (https://warontherocks.com/2022/08/amateur-hour-part-ii-failing-the-air-campaign/)
空を飛行するAWACSから得た情報をウクライナ軍に提供するなど、警戒監
視、情報収集の面においてウクライナ軍を支援しているという側面も大きい。
ウクライナ軍は、こうした情報を活用しつつ、長射程のS-300ミサイルと短射
程のスティンガー携帯対空ミサイルを組み合わせることにより、効果的な防空
作戦を行っている。
このように、ロシア・ウクライナ戦争においては、航空機による航空優勢の
獲得よりも、陸上に設置された対空火器により相手方の航空機の領空への侵入
を阻止する「航空拒否」が主体となっている。これが「航空戦力のパラダイム
シフト」という指摘の理由である2°。
1911年のイタリアートルコ戦争において
はじめて航空機が戦争に用いられて以来、航空戦力は重要な役割を一貫して果
たしてきた。そして、この100年間、航空機万能論が何度も出現してきた。こ
うした歴史を考えれば、ロシア・ウクライナ戦争における有人航空機の活動の
低調さは、時代を画する事象となる可能性もある。
このように、有人航空機の活動が低調である一方、開戦当初においてウクラ
イナ軍の無人航空機の活躍が注目を集めた。しかし、5月以降ドンバス地方に
おける火力戦に移行してからは、ウクライナ軍の無人航空機の活躍が報じられ
なくなった。
開戦当初に活躍したウクライナ軍の無人航空機は、トルコ製のバイラクタル
TB-2である。低速で飛行し、独特のレーダー断面形状を持つバイラクタル
TB-2は、通常の戦闘機を想定したロシア軍の防空システムのレーダーに探知
されず蜀、大きな戦果を挙げた。ただし、バイラクタルは、機体と地上管制装
置が通視線上のデータリンクにより接続されている必要がある。マニュアル上
の航続距離は約200マイルとされているものの22、地形上の障害物を考慮すれ
ば、地上管制装置と操縦士を前線近くに配置する必要があり、5月以降に行わ
れたような組織的な火力戦においては脆弱であった23。
また、ロシア軍の電子戦部隊がウクライナ軍の無人航空機を効果的に妨害し
ているという指摘もある之%さらに、5月〜7月頃のロシア軍による大規模な火
力戦において、ロシア軍の砲兵部隊を妨害するにあたり、ウクライナ軍の無人
20 Ibid.
21 Ritter, J. (June 20, 2022). Getting Drones Ready for Conventional War. War on the Rocks.
(https://warontherocks.com/2022/06/getting-drones-ready-fbr-conventional-war/)
22兵器の諸元は米国において発表されている記事等の記述による。(これ以下の記述につ
いても同じ。)ただし、記事により記述されている諸元が異なる場合もあり、あくまでもそ
の中の一つを引用しているに過ぎない。また、ウクライナで実際に運用されている実際の
兵器の諸元は、公表されておらず不明である場合が多い。
23 Ritter, Getting Drones Ready fbr Conventional War.
24 Clark, B. (July 30, 2022). The Fall and Rise of Russian Electronic Warfare. IEEE Spectrum.
(https://spectrum.ieee.org/the-fall-and-rise-of-russian-electronic-warfare)
航空機は、数量の観点から限界があった可能性もある。
戦争初期に活躍したウクライナ軍のバイラクタルTB-2の性能上の限界が指
摘されたため、より航続距離の長い米国製の無人攻撃機、MQ-1グレイイーグ
ルに注目する意見もあった之七米国の支援策の一環としての供与が発表された
グレイイーグルは、バイラクタルの2倍の大きさで、強力なヘルファイヤミサ
イルを搭載し、人工衛星を介して遠隔地から操縦され、約25時間飛行する。
しかし、ウクライナ東部ドンバス地方は、ロシア本国に隣接しており、ロシ
ア領内に高密度に配置されたS-300及びS-400対空ミサイルの射程内にある。
このため、MQ-1グレイイーグルがロシア軍の対空ミサイルにより撃墜される
危険性が指摘された26。
特に、グレイイーグルの価格は約1,000万ドルであ
り、安価なバイラクタルTB-2に比べ、撃墜される危険性の高い空域での運用
は、費用対効果が低いとされている。
このように、今般のロシア・ウクライナ戦争においては、「航空戦力のパラ
ダイムシフト」が起きており、対空火器による航空拒否が主体となり、航空戦
カの活動が限定的となっている。
ロシア軍の有人航空戦力の被害が大きく、そ
の活動は低調である。
ウクライナ軍の無人航空機についても、開戦当初はその
活躍が注目されたが、ドンバス地方における組織的な火力戦に移行してから
は、活躍が報じられなくなった。そして、対空兵器の効果が大きく、双方の対
空兵器と電子戦兵器が、有人•無人の航空戦力の戦場への接近を阻止する状況
となっている。
3 海上領域:ウクライナ軍の地対艦戦闘とロシア軍による海上封鎖
海上領域も、航空領域と同様に決定的な役割を果たしておらず、ウクライナ
軍とロシア軍の双方は膠着状態にある之,。これは、ウクライナが面している海
域が、閉鎖された内海に限定されているという、地理的特性によるところも大
きい。
海上領域に関しては、ロシア軍によるウクライナの黒海航路封鎖が注目され
た。7月末には外交的な解決が図られたが、7月上旬までに約2,500万トンの
穀物がウクライナ国内に閉じ込められ、世界経済への影響と発展途上国におけ
25 Clark & Rough, How to Equip Ukraine to Break the Black Sea Blockade.
26 Detsch, J. (June 21,2022). ‘It’s Not Afghanistan5: Ukrainian Pilots Push Back on U.S.-Provided
Drones. Both the Biden administration and Ukraine are worried that American strike drones would
get shot down quickly. Foreign Policy, (https://fbreignpolicy.com/2022/06/21/ukraine-us-drones-
pushback/)
27 Johnson, D. (June 14, 2022). The Army Risks Reasoning Backwards In Analyzing Ukraine. War
on the Rocks, (https://warontherocks.com/2022/06/the-army-risks-reasoning-backwards-in-
analyzing-ukraine/)
る食糧危機が懸念された28。
これらの穀物は、従来は低コストかつ大量輸送可
能な海上経路で輸出されており、鉄道などによる陸上輸送では代替困難であっ
た。
このことは、大陸内部に位置し、黒海という内海にしか面していない国家
であっても、海上領域における優勢が極めて重要であることを示している。
ウクライナ軍はこれまで、海上領域において戦果を挙げてきた。ロシア黒海
艦隊の旗艦「モスクワ」を始めとして、ウクライナ軍はいくつかのロシア艦船
を撃沈した。こうした地対艦攻撃は、商業衛星画像、スターリンク衛星ネット
ワーク、無人航空機バイラクタルTB-2、そしてウクライナ製の地対艦ミサイ
ルであるネプチューンによって行われた之%
こうした地対艦攻撃の成功の結果、ロシア軍の海上戦力はウクライナの沿岸
に近づくことができない状態となった。しかしながら、ウクライナ軍の地上発
射型の地対艦ミサイルは、黒海全体を射程内に収めることができない。このた
め、海軍戦力をほとんど持たないウクライナ軍は、ロシア軍の黒海経路封鎖を
排除するができなかった。
このように、海上優勢を獲得することは引き続き重要であるものの、ロシア
軍とウクライナ軍の双方ともそれを獲得できず、膠着状態が続いた。海上戦力
をほとんど持たないウクライナ軍は、地上発射型の地対艦ミサイルにより効果
的な戦闘を行い、ロシア海軍の沿岸への接近の拒否に成功した。しかし、その
射程には限界があり、ウクライナ軍は黒海全域を支配することができなかっ
た。
4新領域(宇宙・サイバー•電磁波)
宇宙、サイバー、電磁波という新領域も、陸上戦闘の支援という側面におい
て重要な役割を果たしているものの、航空領域や海上領域と同様、ロシア・ウ
クライナ戦争において支配的な役割を果たしていないと言われている3〇。
(1)宇宙領域
宇宙領域は、戦闘のない「聖域」であった冷戦時代、陸海空領域での戦いに
対する情報支援が盛んになった湾岸戦争以降の時代を経て、近年は戦闘そのも
のが行われる領域へと変化したと言われてきた31。すなわち、湾岸戦争以降、
宇宙領域による情報支援があまりにも効果的になったからこそ、敵の人工衛星
28 Clark & Rough, How to Equip Ukraine to Break the Black Sea Blockade.
29 Ibid.
30 Johnson, The Army Risks Reasoning Backwards in Analyzing Ukraine.
31福島康仁『宇宙と安全保障一軍事利用の潮流とガバナンスの模索』(千倉書房、2020
年)。
を破壊又は機能不全とし、戦闘において有利な態勢を獲得する必要性が高まっ
たのである。
特に、2007年に中国が老朽化した自国の人工衛星に対するミサ
イルによる破壊実験を行って以降、その可能性が強く指摘されてきた。
実際、今般のロシア・ウクライナ戦争においては、開戦当初にウクライナが
利用していたKA-SAT衛星がサイバー攻撃を受け、機能停止した。これは、初
めての宇宙領域に対するサイバー攻撃であるとして、注目を集めた。
しかし、
ウクライナ政府の要請に対し、テスラ社のCEOイーロン・マスク氏が直ちに
支援を表明し、ウクライナにスターリンクが提供された。このため、結果とし
て、KA-SAT衛星への攻撃の影響は小さくなった。
また、KA-SAT衛星へのサイバー攻撃のほか、宇宙領域における戦闘は発生
しなかった。ロシア軍は、人工衛星の物理的な破壊を行う能力を持っているに
もかかわらず、宇宙領域への物理的な攻撃を実施していない。
すなわち、宇宙
領域そのものが戦闘空間となるというこれまでの予想に反し、宇宙領域そのも
のにおける戦闘はほとんど生起しなかった。ロシア軍がそうした攻撃を行わな
かった理由として、多量のデブリ発生に伴う自国の宇宙活動への影響と国際的
非難を考慮した可能性もある。また、スターリンクのような多数の人工衛星に
より構成されるシステムに対しては、物理的な攻撃が困難であるという側面も
ある。
このように、ロシア軍が宇宙領域への大規模な攻撃を行わなかった結果、宇
宙領域は、ウクライナ軍の陸上及び海上領域の戦闘のための情報収集活動にお
いて、重要な役割を果たしている。
特に、こうした情報収集活動にあたって
は、商業衛星が有用であることが示された’んウクライナ軍は、自国の宇宙戦
力がないにもかかわらず、欧米の商業衛星を活用した情報収集活動により効果
的な戦闘を行ってきた’七そして、商業衛星を用いた情報収集活動は、無人航
空機の普及と相まって、戦場を「透明」なものにしているのである。
(2)サイバー領域
本年のロシア・ウクライナ戦争以前、多くの専門家が、戦争開始に伴いロシ
アが大規模なサイバー攻撃を送電網に対して行い、大規模な停電が起こる可能
性を指摘していた,んこうした「戦略的サイバー攻撃」は、ウクライナ人の士
気を低下させ、また陸海空、宇宙という物理的な領域の戦闘力を機能不全に陥
32 Johnson, The Army Risks Reasoning Backwards in Analyzing Ukraine.
33 Ibid.
34 Alperovitch, D. (January 28, 2022). How Russia Has Turned Ukraine Into a Cyber-Battlefield.
The Kremlin’s Hackers Are Already Targeting Kyiv. Foreign Afiairs.
(https://www.foreignaffairs.com/articles/russia-fsu/2022-01-28/how-russia-has-turned-ukraine-
cyber-battlefield)
らせるものであり、この10年間、その危険性が強く指摘されてきた。
しか
し、前述のKA-SAT衛星へのサイバー攻撃以外、陸海空、宇宙という物理的な
領域に影響を及ぼすようなサイバー攻撃は成功しなかった。
このような攻撃が成功しなかった理由として、米軍サイバー部隊や米八イテ
ク企業が重要な役割を果たし、ロシアのサイバー攻撃に対する防御に成功して
いたことが指摘されている35。
4月6日に『フォーリン・アフェアーズ』誌に
掲載されたNATOのインテリジェンス及びセキュリティ担当事務次長補のディ
ヴィッド・カトラー氏の論考36によれば、「ロシアのウクライナに対するサイバ
ー攻撃の規模は大規模なものであったものの、米国のサイバー防御作戦により
それを防御することができた」という。
また、マイクロソフト社のロシア・ウクライナ戦争に関する報告書によれ
ば、ロシアの活動のほとんどは、情報の窃取と世論への影響工作を目的とした
ものであり、情報システムを不能にしたり、物理的な影響を与えたりするもの
ではなかった37。
このため、ロシアのサイバー領域における活動が、ウクライ
ナ軍の戦闘能力に影響を与えたという証拠は、公刊情報上において確認するこ
とができない。こうした点を踏まえ、「サイバー領域は、この戦争において重
要な役割を担っていない」という見方もある38。
こうした指摘は、サイバー領域の重要性を損なうものではない。むしろ、ロ
シア・ウクライナ戦争は、サイバー領域の重要性の高まりを示している。
ウク
ライナは、欧米諸国の政府とハイテク企業の支援を得て、開戦前からサイバー
領域の戦闘に関して多大な準備をしてきた。そして、開戦以降もロシアの大規
模なサイバー攻撃に対して、欧米諸国の支援を受けて的確な防御を行ってい
る。その結果として、ロシアのサイバー攻撃は、物理的な領域に対して大きな
影響を与えるような成果を得るに至っていないのである。
(3)電磁波領域
電磁波領域については、ロシア軍の通信内容の盗聴や、ロシア軍幹部及び司
令部の位置を探知するにあたって、有益な役割を果たしている。ロシア軍の通
35 Detsch, J., & Yang, M. (March 30, 2022). Russia Prepares Destructive Cyberattacks. Foreign
Policy, (https://fbreignpolicy.com/2022/03/30/russia-cyber-attacks-us-ukraine-biden/)
36 Cattier, D., & Black, D. (April 6, 2022). The Myth of the Missing Cyberwar. Russia’s Hacking
Succeeded in Ukraine 一 And Poses a Threat Elsewhere, Too. Foreign Affairs.
(https://www.fbreignaffairs.com/articles/ukraine/2022-04-06/myth-missing-cyberwar)
37 Microsoft. (June 22, 2022). Defending Ukraine: Early Lessons from the Cyber War.
(https://query.prod.cms.rt.microsoft.com/cms/api/am/binary/RE50KOK)
38 Rovner, J. (July 19, 2022). Sabotage and War in Cyberspace. War on the Rocks.
(https://warontherocks.com/2022/07/sabotage-and-war-in-cyberspace/)
信インフラは性能が低く、特に最新の暗号通信機が不調であった39。
このた
め、ロシア軍は民間の携帯電話などに依存し如、米国の諜報機関に通信内容を
傍受された。
こうした情報収集活動により、ロシア軍の動きや位置、作戦計画
の内容などが米国を経由し、ウクライナ軍に提供された。
米国は、こうした情
報を得てから30分から1時間以内にウクライナ軍に提供しているという41。
こ
うした情報提供により、ウクライナ軍は多くのロシア軍将官の殺害に成功した。
電磁波領域に関しては、ロシア軍は世界で最も経験豊富で、最も設備の整っ
た電子戦部隊を持っているとされてきた。
実際、ロシア軍の電子戦部隊は、ウ
クライナ軍の砲兵の位置を特定するとともに、砲弾やロケット弾の誘導を行っ
ているという42。
また、ウクライナ軍の無人兵器のレーダーと通信回線を妨害
し、ウクライナ軍がロシア軍の砲兵陣地を特定するのを妨げた。
これに対し、
ウクライナ軍も、米国から提供された対ドローンシステムを使って、ロシア軍
のドローンのGPS信号を妨害し、また高出力マイクロ波により電子機器を損
傷させたりして、数百機を撃墜したという43。
このように、現代戦においては、電磁波領域における戦闘の優劣は、戦局全
体に影響を及ぼすほど重要なものとなっている。
しかし、ロシア・ウクライナ
戦争において、電磁波領域が十分な役割を果たしていないという見方もある
44〇
それは、前述のように、ウクライナ軍とロシア軍双方の航空領域における
活動が低調であることと関連がある。
すなわち、航空機を用いて電子戦を行う
ことに比べれば、地上型の電子戦兵器は、水平線以遠に電磁波を発射すること
が難しく 45、その影響範囲に限界があるという指摘がされているのである。
以上のように、ロシア・ウクライナ戦争においては、ウクライナ軍とロシア
軍の双方が電磁波領域においても激しい戦闘を行っている。こうした戦闘の優
劣は戦局に大きな影響を及ぼし得る。
ただし、ロシア・ウクライナ戦争におけ
る電磁波領域での作戦は、通信の傍受、砲兵の位置の特定、砲弾などの誘導、
無人兵器の妨害など、基本的には陸上における戦闘の支援が主体となってい
る。
39 Abdalla, N. S, et al. (May 19, 2022). Intelligence and the War in Ukraine: Part2. War on the
Rocks, (https://warontherocks.com/2022/05/intelligence-and-the-war-in-ukraine-part-2/)
40 Detsch, J. (March 22, 2022). The Ukrainians Are Listening: Russia’s Military Redlines Are
Getting Owned. Foreign Policy, (https://fdreignpolicy.com/2022/03/22/ukraine-russia-military-
radio/)
41 Abdalla, Intelligence and the War in Ukraine: Part2.
42 Clark.rFhe Fall and Rise of Russian Electronic Warfare.
43 Ibid.
44 Ibid.
45ただし、電波伝搬特性は、周波数やその他の条件などにより異なる。
5 ロシア・ウクライナ戦争の教訓事項
これまで述べてきたロシア・ウクライナ戦争における陸海空、宇宙、サイバ
ー、電磁波領域それぞれの状況を踏まえ、教訓を考察する。各領域の状況を踏
まえて得られる教訓としては、航空戦力の役割と戦力設計の再検討の必要性、
継戦能力の保持とハイテク兵器への依存の危険性、「透明化」する戦場への対
応の3つが考えられる。
(1)航空戦力の役割と戦力設計の再検討の必要性
前述のように、ロシア・ウクライナ戦争においては「航空戦力のパラダイム
シフト」が起きていると言われているく&。すなわち、航空機による航空優勢の
獲得よりも、対空火器により相手方の航空機の領空への侵入を阻止する「航空
拒否」が主体となっている。
こうした状況をもたらした原因の一つとして指摘されているのは、航空戦力
の高価格化である。例えば、歴代の米軍の戦闘機は、後継機が登場するたびに、
性能が向上しているものの、そのコストが平均約2.5倍以上になっているく,。
F22ラプターは1機約2億5,000万ドルであり、約6,500万ドルのF15イーグ
ルの約4倍である。40年前、ある米陸軍次官は皮肉を込めて言った48。「この
価格上昇が続けば、2054年には国防総省全体で年に1機しか購入できないだ
ろう。この航空機は空軍と海軍が週3.5日ずつ共有し、閏年にだけ海兵隊が使
うことができる。」
これに対し、スティンガー対空ミサイルなど、対空兵器は比較的安価であ
る。この価格面の非対称性の結果、対空兵器の脅威下において、高価な最新鋭
戦闘機を運用することの費用対効果は、近年著しく低下している。
この問題点は、航空戦力を無人化することによって解決されるものではな
い。航空戦力の無人化は、パイロットの人命を救うことにはなるが、高価な装
備品を安価な対空兵器によって撃墜されるリスクを低減するものではない。
実
際、ロシア軍の対空兵器の脅威下において、米軍から供与される高価なMQ-1
グレイイーグルを運用することの危険性が指摘された49。
一方で、バイラクタ
ルTB-2などの安価な無人航空機は、5月〜7月頃に野戦砲を主体とした組織的
な火力戦において、開戦当初のような活躍が報じられなくなった。
こうした問題点は、回転翼機から成る陸上航空にも当てはまる。ロシア軍は
6月末までに170機以上の回転翼機を失ったとされており、両陣営とも回転翼
46 Ibid.
47 Bremer & Grieco. In Denial About Denial.
48 Ibid.
49 Detsch. cIfs Not Afghanistan\
機に関して甚大な損害を被っている5°。
このため、米国においても、回転翼機
は「危機に瀕している」と言われている。
例えば、米陸軍退役中将のデビッ
ド・バー ノは、ロシア・ウクライナ戦争の教訓を踏まえ、「将来の戦場におい
てヘリコプターが生存できない可能性を受け入れること」が必要であると指摘
している%
ロシア・ウクライナ戦争の教訓に関する米軍の議論も暫定的なも
のであるが、今後米軍がどのような教訓を導き出し、どのように将来の戦力設
計につなげているかについても、注視することが必要であろう。
(2 )継戦能力の保持とハイテク兵器への依存の危険性
ロシア・ウクライナ戦争は、「将来の戦争は短時間で決着がつく」という、
近年信じられてきた定説に疑問を投げかけるものである飛。2月24日の開戦以
来、半年以上が経過した9月末の時点においても、終結に至る兆しは見えてい
ない。
開戦当初、ロシア軍は精密誘導兵器などの多くのハイテク兵器を用いたが、
既にその多くが枯渇していると言われている。
また、ロシアは、経済制裁によ
り半導体の輸入を絶たれ、ハイテク兵器を補充する能力はない。
このため、ロ
シアは、冷蔵庫や食器洗い機用の半導体を兵器に転用するなど、苦しい補給活
動を続けている53。
継戦能力については、欧米諸国の支援を受けるウクライナ
側に分がある。欧米諸国の支援を円滑に受けるにあたっては、ウクライナ軍が
開戦前からNATO標準化を進めてきたという要因も大きい。
ただし、ハイテク兵器の枯渇は、経済制裁を受けているロシア軍だけの問題
ではない。米国においても、ロシア・ウクライナ戦争のような消耗戦が生起し
た場合に、自国の継戦能力がそれに耐えられるかという点について、盛んに議
論が行われている。
例えば、米国はウクライナに多くのジャベリン対戦車ミサ
イルとスティンガー対空ミサイルを供与したが、それを補充するのにジャべリ
ンは3〜4年、スティンガーは5年かかると言われているうんロッキード・マー
50 Barno, D., & Bensahel,N. (June 27, 2022). The Other Big Lessons That the U.S. Army Should
Learn from Ukraine. War on the Rocks, (https://warontherocks.com/2022/06/the-other-big-lessons-
that-the-u-s-army-should-learn-from-ukraine/)
51 Ibid.
52 Johnson, D. (July 5, 2022). A Modern Day Frederick the Great? The End of Short, Sharp Wars.
War on the Rocks, (https://warontherocks.com/2022/07/a-modern-day-frederick-the-great-the-end-
of-short-sharp-wars/)
53 Jentleson, B. W. (August 18, 2022). Who’s Winning the Sanctions War? The West has inflicted
damage on the Russian economy, but Putin has so far contained those costs. Foreign Policy.
(https://fbreignpolicy.com/2022/08/18/russia-ukraine-war-economy-sanctions-putin/)
54 Crane, C. (May 9, 2022) Too Fragile to Fight: Could the U.S. Military Withstand a War of
Attrition. War on the Rocks, (https://warontherocks.com/2022/05/too-fragile-to-fight-could-the-u-s-
military-withstand-a-war-ol-attrition/)
ティン社は5月にジャベリンの年間生産量を2倍にすると公表したが、レイセ
オン社は部品不足のため2023年までスティンガーを増産できないという%
誘導兵器などのハイテク兵器が枯渇した結果、ロシア軍は5月以降、野戦砲
を中心とした火力戦へと戦闘要領を変換した。
しかし、1日あたり約50,000
発以上の砲弾を狭い正面に集中させることにより、局地的な攻撃前進に成功し
た56。
ただし、欧米の制裁措置によりロシア軍は野戦砲弾の補充も困難であ
る。このため、こうした戦い方の継続も、野戦砲弾の保有数に依存する。
実
際、7月以降、ウクライナ軍が米国から供与されたHIMARSを活用してロシ
ア軍の弾薬庫を継続的に攻撃した結果、ロシア軍は火力戦を続けることができ
なくなった。
このように、ロシア・ウクライナ戦争は、継戦能力を保持することの重要性
を示すものである。一度戦争が始まってしまえば、それが短期間で終結すると
いう保証はない。このため、十分な弾薬、装備品、整備用の補給品などを保有
することが重要である。
ただし、高価な誘導弾などのハイテク兵器を、長期間の戦争に堪えられるだ
けの量を備蓄し、さらにその補充のための生産ラインを維持するためには、莫
大な予算が必要となる。
実際、米国のような軍事大国ですら、ウクライナ軍が
大量に消費するジャベリンとスティンガーを十分に備蓄しておらず、増産もで
きていない。このため、高価な誘導弾のみに頼ることなく、野戦砲などを含め
た総合的、複合的な装備品と弾薬の保持が必要であろう。また、弾薬などの備
蓄や生産にあたっては、同盟国、パートナー国などとの提携や互換性の保持も
重要であろう。
(3)「透明化」する戦場への対応
ロシア・ウクライナ戦争において、ウクライナ軍は、無人航空機と商業衛星
を活用した情報収集活動により、効果的な戦闘を行ってきた吃ロシア軍の侵
攻の数日後、ゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍に高解像度の画像をリアル
タイムで提供するよう、欧米の大手民間通信会社に訴えた。
商業衛星画像は、
ウクライナに対する国際社会の支持を集め、ウクライナ軍の作戦に情報を提供
し、ロシアの偽情報に対抗するのにも役立っている58。
55 Brathwaite, K. J. H., & Konaev, M. (June 29, 2022). The Real Key to Victory in Ukraine. Foreign
Affairs, (https://www.fdreignaffairs.com/articles/ukraine/2022-06-29/real-key-victory-ukraine)
56 Ibid.
57 Ibid.
58 Lin-Greenberg, E., & Milonopoulos, T. (May 30, 2022). Boots on the Ground, Eyes in the Sky.
Foreign Affairs, (https://www.fbreignaffairs.com/articles/ukraine/2022-05-30/boots-ground-eyes-
sky)
ロシア・ウクライナ戦争は、オープンソースの情報により、戦場が「透明
化」している。
例えば、開戦直前の2月中旬、ロシア軍がウクライナ国境から
部隊を引き揚げ始めたと発表すると、NATO事務総長はオープンソースの衛星
画像を引用してそれを強く否定した。
また、ロシア軍の侵攻が始まったことを
示す最も早い兆候は、インターネット上において確認できるベラルーシの交通
渋滞の情報であった。
さらに、ロシア軍のブチャにおける残虐行為に関し、欧
米の報道各社は商業衛星画像を分析し、ロシア軍の撤退前に人体が路上にあ
り、集団墓地が存在していたことを立証した易。
このように、ロシア・ウクライナ戦争においては、安価な商業衛星画像、ソ
ーシャルメディアへの膨大な投稿、スマートフォンの写真、商用ドローンの動
画など、オープンソースの情報が爆発的に増え、それらが活用されている。
こ
うして、戦争史上前例のない方法で、ロシア軍の活動やその正確な位置が明ら
かになったと言われている%
このような状況を踏まえ、米陸軍退役中将のデ
ビッド・バーノは、「将来の戦場においては、身を隠せない可能性があること
を認識すること」が必要であると指摘している用。
商業用衛星の大規模な活用による上空からの監視に対処するため、デコイを
活用し、監視の目を欺くことも考えられる。しかし、現在の世界人口は増加の
一途をたどっており、その多くがスマートフォンを持ち、撮影された画像が直
ちにソーシャルメディアにおいて共有されている。こうした状況を考えれば、
将来の戦争において、兵器の偽装やデコイの活用により敵の目を欺くことにも
限界がある可能性がある。
この状況を踏まえれば、古くから存在する「奇襲」の原則に関し、その実行
の可能性について精査する必要があるも?。
戦術原則は、決して不変のものでは
ない。例えば、1866年の普填戦争において電信技術が広く用いられるまで、
国民軍のような大規模兵力を指揮する方策として、「内線」が戦術原則の一つ
であった。
これは、伝令を使って状況を掌握するとともに、款下部隊に命令を
下すには、指揮官を中心として部隊を配置し、内線的な作戦を行うことが有利
であったためである。
一方で、電信技術が用いられるようになると、人類史上
はじめて、外線作戦を実施しても命令の伝達と状況の掌握をできるようにな
り、敵を包囲できる外線作戦の本質的な有利さが生きてくる時代となったので
あるもん
59 Ibid.
60 Barno & Bensahel, The Other Big Lessons That the U.S. Army Should Learn from Ukraine.
61 Ibid.
62 Johnson, The Army Risks Reasoning Backwards In Analyzing Ukraine.
63例えば、陸自教範「野外令」は、内線作戦と外線作戦の存在のみ記述しており、どちら
が有利であるといった記述はない。このように、19世紀初めには「原則」の一つであっ
このように、新技術の導入に伴い、これまでの歴史において戦術原則は変化
してきた。商業人工衛星、スマートフォン、商用ドローンの動画など、オープ
ンソースの情報の爆発的増加は、戦場の「透明化」をもたらしている。この変
化は、「透明化」した戦場に対応するための戦力設計、戦い方の開発に加え
て、戦術原則まで変化させ得るものである。
ただし、奇襲の概念自体がなくなるわけではないだろう。兵器や部隊の物理
的な動作を伴う奇襲が困難になったとしても、非物理的な領域における奇襲、
技術的な奇襲は存在し続けるであろう。戦争の本質的な複雑性を考えれば、敵
の行動の全てを完全に予測することはできないのである。
おわりに
ロシア・ウクライナ戦争は、新技術の実験場と化していると言われている
64〇
ウクライナ軍は、無人航空機、徘徊型兵器、商業衛星などを効果的に活用
し、従来型戦力に優るロシア軍に対して互角以上の戦闘を繰り広げている。
た
だし、ウクライナ軍が活用している新技術は、必ずしも最先端の高度な技術で
はなく、むしろ安価で導入しやすい、成熟した技術である%
ウクライナ軍が優れているのは、技術そのものではなく、その運用要領であ
る。バイラクタルTB2は、安価であるものの、速度が遅いなど、必ずしも性
能の良い無人航空機ではない。しかし、ウクライナ軍はこれを火砲や装甲車な
どの速度が遅い目標、静止目標、海上目標への攻撃に際しての「目くらまし」
に用いるなどして、大きな戦果を挙げた&七
技術そのものの優越ではなく、その運用要領が戦闘の勝敗を決することは、
歴史が証明している。
1940年にドイツ陸軍が行った電撃戦の中心的技術は、
当時の最新兵器の戦車であった。
しかし、戦車の保有数とその性能において
は、敗戦側のフランスが優れていた。同じく1870年〜71年の普仏戦争におい
て、当時の最新技術であった鉄道を用いて効果的に戦力を輸送したことが、プ
ロイセンの勝因の一つとされている。
しかし、鉄道の性能と国内の線路の数に
関しては、敗戦側のフランスが優れていた。最新技術を開発し、それを取り入
れることは重要である。しかし、さらに重要なのは、如何にそれを運用するか
という、新たな用兵思想の開発なのである。
た「内線」は、2 0世紀には原則ではなくなっている。
64 Kahn, L. (August 29, 2022). How Ukraine Is Remaking War: Technological Advancements Are
Helping Kyiv Succeed. Foreign Affairs, (https://www.fdreignaffairs.com/ukraine/how-ukraine-
remaking-war)
65 Ibid.
66 Ibid.
また、ロシア・ウクライナ戦争は、ここ数十年で初めての陸上戦闘が主体の
戦争であると言われている67。
ウクライナ軍は、ロシア軍が行った火力戦に対
し、宇宙、サイバー、電磁波などの新領域おいて効果的な戦闘を行うととも
に、米国から供与されたHIMARSを用いてロシア軍の弾薬庫を攻撃するな
ど、非対称的な戦闘を効果的に行った。
しかし、ウクライナ軍は、ロシア軍に
奪われた領土を取り戻すため、最終的には陸上部隊を進軍させる必要があっ
た。如何に最新技術が発達したとしても、人々が生活する土地を守り、後世の
ために残すためには、従来型の陸上戦闘を行う能力は必要不可欠なのである。
筆者紹介
高木 耕一郎(たかぎ こういちろう) 1等陸佐 教育訓練研究本部付(ノ、
ドソン研究所客員研究員)
陸上幕僚監部防衛部防衛課防衛班、統合幕僚監部運用部運用第1課防衛警備班
等を経て、現職。
67 Barno & Bensahel. The Other Big Lessons That the U.S. Army Should Learn from Ukraine.