24年の経常黒字、最高の29兆2615億円 2年連続で拡大
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『2025年2月10日 8:53 (2025年2月10日 10:26更新)
財務省が10日発表した2024年の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は29兆2615億円の黒字だった。黒字幅は前年比で29.5%増と、2年連続で拡大した。比較可能な1985年以降で過去最大となった。貿易赤字が縮小し、投資収益や訪日客消費が押し上げた。
経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や外国との投資のやり取りを示す第1次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。
2024年の貿易収支の赤字幅は3兆8990億円で、23年から40.0%縮小した。輸出は4.5%増の104兆8698億円だった。円安が輸出額を押し上げたほか、半導体関連や自動車の輸出が好調だった。
輸入額は108兆7688億円と1.8%伸びた。パソコンなど電算機類や非鉄金属が増えた一方、資源高の一服によりエネルギー関連の輸入額は減少した。
為替相場は24年の平均は1ドル=151.48円で、23年の140.48円と比べると7.8%の円安だった。原油価格は1バレルあたり83ドル79セントと3.4%下がった。円建ては1キロリットルあたり7万9498円と4.0%上がった。
第1次所得収支は40兆2072億円の黒字と、11.3%増えた。黒字額は4年連続で過去最高を更新した。円安により外貨建てで入る収益の円換算額が膨らんだ。
海外子会社からの配当金など直接投資収益は10.9%増の24兆5518億円だった。証券投資収益は17.7%増の14兆2753億円となった。
サービス収支は赤字幅を10.3%縮小し、2兆6162億円となった。
24年の訪日客数は3686万9900人と過去最高に達している。旅行収支の黒字額が62.4%増の5兆8973億円と比較可能な1996年以降で過去最高を更新する一方、デジタルサービスの支払いに伴う「デジタル赤字」が押し下げ要因となった。
クラウドサービスなど「通信・コンピュータ・情報サービス」の収支は2兆4941億円の赤字だった。赤字幅は54.4%増で過去最大だった。
24年12月単月の経常黒字は前年同月比17.8%増の1兆773億円だった。貿易収支は623億円の黒字、第1次所得収支は1兆2755億円の黒字、サービス収支は205億円の赤字だった。サービス収支の赤字額は比較可能な1996年以降で12月として最も小さかった。
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