日産、自力再建の道険し リストラ5000億円にためらい
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG05EUS0V00C25A2000000/
『2025年2月7日 5:00 [会員限定記事]
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多様な観点からニュースを考える
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田中道昭湯 進
日産自動車は6日、ホンダに統合協議を打ち切る方針を伝えて自力再建に再びシフトした。日産のリストラ策を巡り、より具体的な中身を求めるホンダとの間で溝が浮き彫りになった。リストラの遂行には「5000億円以上の損失が必要」との試算もある。経営陣には痛みを伴う覚悟が問われている。
「ターンアラウンド(再生計画)を1日も早く形にする」。2024年12月末の統合協議の会見で、日産の内田誠社長は言い切った。同…
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田中道昭
立教大学ビジネススクール 教授
ひとこと解説日産が提示したターンアラウンド計画を見ると、問題として、コスト競争力とブランド力、販売目標と実績の乖離等が指摘されている。一方で同計画自体は、一転してリストラ策が中核を占めている。日産の課題は、販売と収益性が低迷していることであるが、その原因は自らが問題とするブランド力の低下にあるのではないかと分析される。トップラインとしての売上やそれを創造するブランドの再構築なしに、日産の再生は困難だと思うが、リストラ策という利益対策中心では、それは期待できないのではないだろうか。加えて、ソフト、AI、自動運転等、業界での新たな競争の条件への対応も不十分と思われる。ここがまさにパートナーが必須の部分だろう。』
『日産は主戦場の米国や中国で競争力が低下し、24年4〜9月期の自動車事業の純現金収支が4483億円のマイナスに陥った。手元資金は急減し、9月末時点で約1兆4000億円と半年で3割も減った。26年3月期には約5800億円の社債償還も控える。』
『日産の25年3月期の最終損益は大幅な赤字になる可能性がある。会社予想の「未定」に対し、市場予想の平均(QUICKコンセンサス)は2258億円の赤字だ。SBIの遠藤氏は3300億円の赤字とみる。平均値がそれより低いのは、日産の経営陣が今期中の大幅な損失計上にためらいがあるとみられているからとも読み取れる。』
『一方で構造改革の手を緩めると将来の傷は広がる。英調査会社グローバルデータによると、日産は工場の稼働率が競合に大きく劣る。例えば米国は58%で、ホンダの96%やトヨタ自動車の81%を下回る。価格競争が激しい中国は45%にとどまる。』