豪州の汎用フリゲート調達、ドイツ、スペイン、日本、韓国に情報提供を要請
https://grandfleet.info/indo-pacific-related/australia-requests-information-from-germany-spain-japan-and-south-korea-on-multipurpose-frigate-procurement/
※ 「円安」続いているから、「国際競争力」はあるものなのか…。
『2024.06.8
豪国防省は汎用フリゲートの調達について「ドイツ、スペイン、日本、韓国に情報提供の要望書を5月24日に送った」と明かし、Defense Newsは「各国の造船所はフリゲート艦を現地建造する方法について説明するよう求められている」と報じた。
参考:Australia fast-tracks its hunt for replacement frigates
少なくとも秋までには各造船所からの提案が出揃うはずだ
アルバニージー政権は海軍再編に関する分析結果を今年2月に発表、この報告書は政府に「水上艦戦力を2倍に増やせ」と求めており、具体的にはハンター級フリゲートの取得数を9隻→6隻、アラフラ級哨戒艦の取得数を12隻から6隻に削減し、有人運用も可能な大型無人艦(6隻)と汎用フリゲート(11隻)を取得するよう勧告。
出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Holly L. Herline
汎用フリゲートの取得はアンザック級フリゲートの後継艦を想定しており、報告書は検討候補にドイツのMEKO A-200、スペインのAlfa3000、日本のもがみ型、韓国の大邱級BatchIIもしくはBatchIIIを挙げていたが、アルバニージー政権が勧告に従うかどうか、仮に従った場合でも汎用フリゲートに対する要求要件や調達スケジュールなどは一切不明で、この報告書も汎用フリゲートの調達について「海外で3隻、西オーストラリアで8隻建造すべきだ」としか勧告していない。
この件について豪国防省はDefense Newsの取材に「政府はProject Sea 3000(汎用フリゲート調達のためのプロジェクト)のため、ドイツ、スペイン、日本、韓国の造船企業に情報提供の要望書を5月24日に送った」「公正な調達手続きに基づく評価が進められているため、これ以上の詳細は明かすことができない」と述べた。
出典:Navantia Alfa3000
Defense Newsは「要望書に対する回答期限として各造船所は4週間の猶予が与えられた」「オーストラリアでフリゲートを建造する方法を説明するのに3週間の追加猶予も与えられた」「Project Sea 3000の選定は2025年中に行われ、海外で建造される1番艦の就役は2030年を予定している」「オーストラリアで建造される4番艦から6番艦までは同一仕様になるが、7番艦以降の仕様をどうするかは決まって無い」と報じており、少なくとも秋までには各造船所からの提案が出揃うのだろう。
因みに読売新聞は先月7日「オーストラリアの汎用フリゲート導入には日本、スペイン、韓国、ドイツの艦艇が導入候補に列挙された。年内にも具体的な要求性能などを明らかにし、各国に共同開発を提案すると見られる。既に防衛省は三菱重工業などと非公式の協議を始めており、豪政府の対応を踏まえて検討作業を本格化させる方針だ」
「防衛省は豪政府が求めてくる装備や機能を追加したもがみ型ベースの艦艇開発を検討している」
「日豪で艦艇を共通化すれば相互運用性と抑止力の向上が図れる他、国内の防衛産業への経済的効果も期待できる」と報じた。
出典:海上自衛隊
さらに「日本はオーストラリアの次期潜水艦受注を逃した経験があり、汎用フリゲートの導入候補に列挙されたスペインと韓国には豪軍装備品の開発に関わった実績がある。受注競争は激しくなると見られ、日本政府はライバルとなる3ヶ国の動向や提案内容も注視する構えだ」とも指摘している。
ライバルとなる韓国のHanwhaは「米造船業界への投資」を兼ねてAustal買収に動いており、Austal側も「豪海軍や米海軍の元請け企業としての立場、防衛契約に関する所有権事項を考慮するとHanwhaの買収案は豪米当局から承認される可能性が低い」「Hanwhaが豪米当局の承認について追加の確実性を提示できれば当社はさらなる関与に前向きだ」と含みを持たせているため、もし買収が成立するとHanwhaは汎用フリゲートの受注戦で著しく有利になるだろう。
出典:HD Hyundai Heavy Industries FFX-III
現代重工業もGE Aerospaceと「輸出向け艦艇に最適化された推進システムの共同開発」で合意、現代重工業はグローバル市場向けの艦艇設計・建造を、GE Aerospaceは同艦艇向けのガスタービン供給を担当し、輸出向け艦艇のMRO事業やオーストラリアが調達を検討している汎用フリゲートなどでも協力する構えだ。
ドイツとスペインの動きは観測されていないものの、この手の入札で勝利を勝ち取るのは「突き抜けた艦艇の性能」ではなく「どの提案がオーストラリアのニーズを満たしているか」で、オーストラリアのニーズとは海軍の要求要件と産業界の雇用を意味し、提案内容の評価で差が出やすいのは現地建造を通じた豪産業界との協力やサプライチェーンの現地化など「海外建造に関するマネージメント能力」だろう。
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※アイキャッチ画像の出典:海上自衛隊
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投稿者: 航空万能論GF管理人 インド太平洋関連 コメント: 50 』