円急騰、一時153円台 FOMC後に4円超上昇

円急騰、一時153円台 FOMC後に4円超上昇
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01D7K0R00C24A5000000/

『2024年5月2日 5:40 (2024年5月2日 6:13更新)

【ニューヨーク=斉藤雄太】1日のニューヨーク外国為替市場では同日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に急な円高・ドル安が進み、円相場は一時1ドル=153円台まで上昇した。1時間程度で4円超の円高になった。

対ドルの円相場は米東部時間午後2時のFOMCの結果公表前に157円台後半で推移していた。その後は一進一退となったが、午後4時過ぎに急な円高が進み、153円00銭程度まで急上昇する場面があった。市場では日本政府・日銀による為替介入への警戒感が高まっていた。
FRBは同日のFOMC後の声明文で「この数カ月間は2%の物価目標に向けた進展が見られなかった」という文言を追加した。パウエル議長はFOMC後の記者会見で、利下げ開始の条件に挙げているインフレ抑制への自信を得るまで「まだ時間がかかりそうだ」と語った。

一方、パウエル議長は「次の政策金利の動きが引き上げになる可能性は低い」と強調した。金融政策は十分に引き締め的だとの考えを繰り返し述べ、引き続き利下げ時期を探る考えを示唆した。

米運用会社クリアブリッジ・インベストメンツのジョシュ・ジャムナー氏は「多くの投資家はよりタカ派的な姿勢を示すのではないかと懸念していたが、パウエル議長は明らかにハト派的なトーンをみせた」と指摘した。

米債券市場では政策金利の動きに敏感な2年物国債利回りが一時4.9%台前半と前日から0.1%ほど低下(価格は上昇)した。米金利低下が円高・ドル安を誘う下地になった。

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

一時153円ちょうどをつけた今回の動きが日本の当局によるドル売り円買い介入だったとすれば、良いタイミングを選んだと考える。

記事にある通り、パウエルFRB議長の記者会見における発言内容は、事前に警戒されたタカ派的なものではなく、ハト派寄り。追加利上げの可能性は低いとしており、次の一手はインフレ沈静にらみの利下げという基本線は不変。追加利上げの可能性増大にベットして米国債売りやドル買いのポジションを作っていた向きがそれを閉じることを余儀なくされる状況だった。

為替介入は、それを実施する際に何らかの追い風が吹いていれば、効果が増幅される。もっとも、日米金利差の大きさは不変で、介入の効果には限界がある。
2024年5月2日 7:13

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滝田洋一
日本経済新聞社 客員編集委員
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ひとこと解説

①FOMCのQT減速→米長期金利の低下という背景があるにせよ、急速な円買い戻しが。よもや追加介入か、いやそれとも積み上がった円売りポジションの自壊作用でしょうかか。

②ともあれ、ドル高シナリオを諳んじていた市場参加者が、QT減速による米長期金利の低下にあれれと当惑していたのは確か。その矢先に追加介入の奇襲を仕掛けたとすれば、神田財務官は何回もは打てない弾を有効に使ったことになります。

③市場は意地悪。一瞬一瞬の動きを虚心坦懐に追うよりほかありません。

2024年5月2日 6:01 (2024年5月2日 6:36更新)』