海上自衛隊ヘリ2機墜落、衝突の可能性 隊員1人死亡確認
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA210H20R20C24A4000000/




『2024年4月21日 9:31 (2024年4月21日 19:05更新)
木原稔防衛相は21日、海上自衛隊のヘリコプター2機が20日夜に墜落し、搭乗していた隊員1人の死亡を確認したと発表した。ヘリコプターには計8人が搭乗していた。残り7人の捜索を続けるとともに原因究明を急ぐ。
2機はそれぞれ護衛艦が搭載する哨戒ヘリコプター「SH60K」。墜落したのは伊豆諸島・鳥島の東方海域で、潜水艦との戦闘を念頭において訓練中だった。SH60Kは潜水艦を探知する装備を持つほか、対潜水艦爆弾やミサイルを搭載することができる。
木原氏はヘリコプター2機のフライトレコーダーを発見、回収したとも明らかにした。「非常に近接した場所にあったことから衝突した可能性が高いと判断している」と述べた。自衛隊は事故を受け同型機の訓練を中止した。
木原氏は21日中にも、陸海空全ての自衛隊に対し、航空機の飛行前後の点検や操縦者の安全管理を徹底するよう指示する方針を発表した。
海自トップの酒井良海上幕僚長は21日午後、臨時の記者会見を開き、「ご心配をかけていることを心よりおわびする」と陳謝した。事故調査委員会を設けたことも明らかにした。
2機は大村航空基地(長崎県)と小松島航空基地(徳島県)に所属している。防衛省は付近の船舶の状況などから「他国の関与はないと考えている」と説明した。現場周辺は天候による視界不良はなかった。
1機は20日午後10時38分ごろ、もう1機は午後11時4分ごろに連絡が取れなくなっていることが判明した。最初に通信が途絶えた1機からは緊急信号を受信した。海上で機体や回転翼のブレードの一部、乗員のものとみられるヘルメットが見つかった。
記者団の質問に答える木原防衛相(21日、防衛省)
海自によると、SH60Kは全長約20メートル、幅が約16メートルで、エンジンは2基。乗員は4人となっている。
海上保安庁によると、20日午後11時15分ごろ、海自の護衛艦「いせ」から「訓練中の海自所属航空機2機が墜落したもよう」との118番通報があった。
気象庁によると、伊豆諸島南部や小笠原諸島で注意報や警報は発表されていなかった。
伊豆諸島の鳥島は東京都心から南方へ約600キロに位置する火山島。直径約2キロのほぼ円形をしており、特別天然記念物のアホウドリが生息することで知られ、島全体が国の天然記念物に指定されている。現在は無人島になっている。』