鉱工業生産、車不正が重荷 2月は2カ月連続の低下
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA294QM0Z20C24A3000000/
『2024年3月30日 2:00
ダイハツ工業などの品質不正による生産停止の影響が長引いている。2月の鉱工業生産指数は車の減産が響き、2カ月連続のマイナスとなった。市場はプラス転換を予想していたが、不正問題に大雪の影響などが重なり停滞が続く。本格回復は4月以降になる公算が大きい。
経済産業省が29日公表した鉱工業生産指数(2020年=100、季節調整済み)の速報値によると、2月は97.9と前月比で0.1%低下した。ダイハツ工業や豊田自動織機などの不正問題を受けた車の生産・出荷停止が重荷となり、2カ月連続で下がった。
市場は2カ月ぶりのプラスを見込んでいた。QUICKが事前にまとめた民間エコノミスト予測の中央値は前月比1.3%の上昇だった。
2月は全15業種のうち、7業種が下がった。自動車工業は前月比7.9%のマイナスだった。市場はダイハツによる一部生産停止の継続は織り込んでいたものの、2月初旬の大雪で多くのメーカーが一時生産を止めた。能登半島地震で部品関連の生産も減った。
生産用機械工業も3.2%下げた。特に半導体製造装置が18.9%低下し、全体を下押しした。品目別の下げ幅としては普通乗用車の7.7%を上回った。中国の旧正月(春節)が23年の1月から24年は2月にずれ込み、対中輸出に響いた。
車不正の影響を払拭できるのは早くても4月となりそうだ。主要企業の生産計画を踏まえた経産省の試算では3月は前月比4.9%、4月は3.3%といずれもプラスとなった。4月の指数は106.1と、ダイハツ問題の影響が出る前の23年12月の105.0を上回る。
企業の生産計画は高めに出る傾向があり、実際は下振れする可能性が高い。それでも景気の先行きへの影響は限定的との見方が多い。
内閣府と財務省が3月公表した法人企業景気予測調査によると、大企業製造業の景況判断指数(BSI)は4〜6月は1.4と2四半期ぶりのプラスとなる見通しだ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「いまは販売価格が上昇し、生産計画の下振れによる業績の下押し効果はかつてほど大きくない」と指摘する。
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