米鉄鋼労組会長、日鉄のUSスチール買収巡り反対姿勢強調

米鉄鋼労組会長、日鉄のUSスチール買収巡り反対姿勢強調
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1901T0Z10C24A3000000/

『2024年3月19日 7:08 (2024年3月19日 8:50更新)

【ニューヨーク=吉田圭織】日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収を巡り、全米鉄鋼労働組合(USW)のデービッド・マッコール会長は18日「どの点からみても、受け入れられない」と反対する姿勢を改めて主張した。労働協約の署名者や雇用の保証などについて不満があるという。米CNBCとのインタビューで話した。

買収を受け入れられない理由についてマッコール氏は「問題なのは取引主体だ。(組合との間で結ぶ)労働協約の署名者となるのは日鉄ではなく、同社の米子会社となるため(グループの)財務状況が報告されない」との懸念を示した。労働者への利益分配が適切に実施されているか検証しにくくなる恐れがあると話した。

日鉄は3月上旬にUSW幹部との会談で雇用や設備投資、技術導入などを含む「約束事項」を提示したほか、15日には一時解雇(レイオフ)や工場閉鎖はしないとする声明を出している。これについて、マッコール氏は「レイオフや工場閉鎖はビジネス計画に変更がなかった場合に限って実施しないと話し合いでは言っている。不誠実な声明だと思っている」と批判した。

同氏は「日本は同盟国であるのは確かだが、経済面ではそうではない。日本は(鉄鋼製品で)ダンピング(不当廉売)をしてきた」との認識を示し、日本は鉄鋼分野で過剰生産能力を抱えているとの懸念も明らかにした。日鉄も含め、日本と中国の製鉄会社が共同企業体(JV)を設けていることを問題視しているとも述べた。

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