中国 低迷する経済 弱い消費マインド 強まる貯蓄志向 若者「チャイナドリーム」消失への怒り

中国 低迷する経済 弱い消費マインド 強まる貯蓄志向 若者「チャイナドリーム」消失への怒り – 孤帆の遠影碧空に尽き
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『(1月の新規貯蓄は6兆2000億元(約120兆円)で、確認できる2005年以降で最高となった。【2月11日 日経】)

【不動産市場依然低迷 対中直接投資過去最低 続く物価下落】

不動産市場低迷に代表されるように、中国経済が悪化していることは周知のところですが、その不動産市場は未だ回復の動きは見られないようです。

****中国1月新築住宅価格、政策支援でも下落傾向続く****

中国の新築住宅価格は1月に前月比での下落ペースが鈍化し、主要都市で幾分の安定化が見られた。ただ、需要回復に向けた当局の取り組みにもかかわらず、全国的には下落傾向が続いた。

中国国家統計局が23日発表したデータに基づくロイターの算出によると、1月の新築住宅価格は前月比0.3%下落した。昨年12月は0.4%下落していた。

1級都市は前月比0.3%下落。頭金の引き下げなど支援策が奏功し、前月の0.4%から下落ペースが鈍化した。

前月から下落した都市の数も減少したが、購入意欲は依然として非常に弱く、市場全般の下落傾向は変わっていない。

前年同月比では0.7%下落し、過去10カ月で最も大幅な落ち込みとなった。昨年1月は新型コロナウイルス感染拡大による影響で1.5%下落し、比較対象ベースが低かったにもかかわらず、大きなマイナスを記録した。

不動産仲介センタラインのアナリスト、Zhang Dawei氏は「不動産セクターは依然として底を打ちつつある段階で、住宅購入者の所得と信頼感、需要全般が回復するにはまだ時間がかかる」と語った。【2月23日 ロイター】

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中国経済の先行き不透明感に加えて、「反スパイ法」改訂による企業活動への制約、アメリカの対中半導体輸出規制などもあって、外国の中国への直接投資は過去30年で最低に落ち込んでいます。

****対中直接投資、過去30年で最低に―独メディア****

2024年2月19日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、海外からの対中投資額が過去30年で最低となったことが中国政府の最新統計で明らかになったと報じた。

記事は、中国の外国為替管理局がこのほど発表したデータで、昨年の海外からの対中投資純額が330億ドル(約5兆円)で22年から約80%減少し、ピークだった21年の3440億ドル(約52兆円)から2年連続で減少したことがわかったと紹介。(中略)

中国政府が昨年4月に「反スパイ法」を改訂してからは外国企業が中国事業を縮小し続けていると指摘。中国当局により外国企業が調査を受けたり、外国企業の従業員が身柄を拘束されたりといった情報がしばしば流れるようになったほか、多くの市場調査会社が中国での作業計画を遅らせており、米国の調査会社ギャラップも中国からの撤退を決定したと紹介している。

さらに、米国が対中半導体輸出規制を発動したことで、半導体関連の外国企業が中国から撤退しているとし、2018年には48%を占めていた世界の半導体産業における中国の対外直接投資(FDI)シェアが22年には1%に激減する一方で、米国は0%から37%に、インド・シンガポール・マレーシアの合計シェアも10%から38%へと大きく増加したと伝えた。

記事は「中国は電気自動車や監視カメラ分野で技術的な優位性を獲得しているものの、ハイエンド半導体分野では外国企業との提携が不可欠。外国企業が中国からの撤退や事業縮小を続ければ、中国の生産力向上ペースは徐々に鈍化するだろう。さらに、国内の労働力減少も相まって、中長期的に見て中国の経済成長に影響を与える可能性がある」と論じている。【2月20日 レコードチャイナ】

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消費と生産が悪循環的に落ち込む、いわゆる「デフレスパイラル」の可能性も懸念されており、「爆買い」という言葉に象徴された旺盛な個人消費は影を潜め、、物価指数が5カ月連続で下落しています。

****物価下落が続く中国、デフレの影響も懸念―仏メディア****

2024年2月19日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、前年同期比の消費者物価指数(CPI)が5カ月連続で下落している中国にデフレの影響が懸念されると伝えた。

記事は初めに、中国国家統計局が8日に公表したデータを引用し、昨年12月の物価指数が前年同期比で0.3%の下落を記録し、今年1月の消費者物価指数も同0.8%下落したことで、5カ月連続の物価下落を記録したことに触れ、「09年下半期の世界的金融危機以来最大の下落幅を記録した」と紹介した上で、英国国家統計局(ONS)の見解として、下落の要因は「今年の春節は2月上旬だったが、昨年は1月下旬だった。そのため、旧暦の年末年始商戦による消費の活性化の時期にずれが生じ、比較対象の基礎値が高くなったため」と説明した。

次に中国のデフレについて言及し、「中国は23年7月からデフレに突入したことで物価の下落が続いている。8月にごくわずかな反発の期間があったものの、9月にはやはり下落へと傾いた。この状況はインフレの影響を受けている西側諸国やアジア各国の経済とは真逆になっている。 

23年通年では、フランスのインフレ率は4.9%を記録したが、中国は0.2%で、主要各国のインフレ率よりもはるかに低い」と説明した上で、専門家の見解として「インフレを抑制している要因は食品価格だ。1月分の食品価格は前年同期比で5.9%下落を記録し、過去最低水準となったが、昨年12月分と比較すると、1月の消費者物価指数は0.3%上昇している。よって中国がデフレスパイラルに突入したわけではない」と伝えた。

さらに、中国国家統計局のデータで1月分の生産者物価指数(PPI)が2.5%減を記録し、16カ月連続下落していることに触れ、「生産者価格指数が赤字を示しているということは、企業の利潤が減少していることを表しているとも言える。

価格下落は購買側にとっては良い事に思えるかもしれないが、デフレの影響で消費者は買い控えや価格下落を希望するようになる。需要不足で企業は生産量を減らしたり、売値を割り引いて在庫を処分する必要に迫られ、ひいては利益確保のためにリストラや採用控えで人件費も抑えられてしまう。経済学者の言うデフレスパイラルの悪影響とは、このような現象で消費が抑えられる圧力が続くからだ」と指摘した。

記事は続いて「消費の遅延以外に、中国経済は不動産危機の影響も受けている。若者の失業率の高止まりと世界的な景気の鈍化が中国製品の需要や工場の生産活動にも影響している。当局は何度も不動産業界の救済措置を打ち出したが、今のところ効力はわずかで株式市場も好転する様子はない。

そんな中で政府は中国証券監督管理委員会(証監会)の易会満(イー・フイマン)主席を更迭した。専門家からは迅速かつ有力な措置を取り、消費者のリスクを避けなければならないとの声もある」と述べた。

最後に「23年の国内総生産(GDP)成長率は30年以来最低の5.2%を記録した。国際通貨基金(IMF)は、今後数年は経済成長がより鈍化するため、GDP成長率は24年に4.6%、28年には3.5%になると予測している。中国の未来は明るくない」と論じた。【2月22日 レコードチャイナ】

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【消費マインドが冷え込むなかで、資金は貯蓄に 空前の金ブームも】

消費マインドが冷え込む一方で、家計の資金は貯蓄に向かい、低金利にもかかわらず今貯蓄残高が急激に増加しています。

****奇妙な現象、中国人の預金はなぜ増え続けているのか―中国メディア****

中国メディアの三聯生活週刊は27日、「金利がこんなに低いのに、なぜ中国人の預金は増え続けているのか」との記事を発表した。

記事は、「わが国の預金金利は過去1年以上にわたり下がり続けており、建国以来最低を記録しているが、ある奇妙な現象が起きている。金利がどれほど下がり続けていてもわが国の住民の預金はますます増えており、低金利は庶民の貯蓄意欲に少しも影響を与えていないのである」と述べた。

その上で、中国では2022年9月以降、相次いで利下げが行われていることに言及。「金利が下がると預金を別の場所に移したり、投資に回したりするのが普通であり、わが国が持続的な利下げを行っているのもそれが目的の一つだ。

しかし、金利を下げれば下げるほど庶民の預金への意識は積極性を増している」と指摘。18年までは毎年の新規預金額が4兆〜5兆元(1元=約20円)だったが、新型コロナの流行で急増し20年の新規預金額は11兆元、22年には18兆元に達したと説明した。

預金額が増えている背景について記事は「金利を下げているということは景気が後退していることを意味し、大幅な利下げで経済成長を刺激するのが狙いだ。庶民からすれば今後も景気の下振れが続くと考えれば、資産の安全確保が第一となる」とし、「中国人はかねてより預金を好む。主な目的は金利を得ることではなく一種の予防だ。わが国の社会保障水準が低いことを背景に、庶民の多くは将来的なリスクに備えて預金するのだ」と説明した。

そして、庶民の預金ブームについて「コロナとそれ以降の経済動向により多くの人の将来に対する不確実性が高まり、より強い預金意欲につながった」と分析。

また、「リスクへの備えだけでなく、良い投資先がないことも確かだ」と指摘し、「株式市場も不動産市場も基本的に庶民の富は増えず、大幅に目減りしている。ここ数年は預金を選んだ庶民が、実は勝ち組になっている。資産運用を行っている人の多くは荒波に巻き込まれた状態で、むしろ保守的な預金こそが最も安定したリターンを得ている」と述べた。

記事は、「庶民の預金が爆発的に増加していることについて、どこからそのお金が出てきているのかという疑問がある。経済は下降しており、預金が増加したのは収入の増加によるものであるはずがない。多くはやはり、消費を減らして節約したお金を預金しているのである」とし、「株も家も買わない人が増え、日々の消費を減らし、それによる連鎖反応として市場の低迷が続き、物価まで下落し始めている」と説明した。

その上で、「現在の経済情勢は、デフレの悪循環を形成している」とし、これを断ち切るためには政府による社会保障システムの拡充が必要と主張。「庶民が社会保障システムを頼り、将来の介護、病気などへの不安がなくなり、過剰貯蓄の必要がなくなれば、より多くの資金が放出されて経済を刺激することができる」とし、「そうした安心感がない限り、パニック的貯蓄は止まることはないだろう」と論じた。【2月28日 レコードチャイナ】
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消費者のデフレマインドを断ち切るためには政府による社会保障システムの拡充が必要・・・正論です。
逆に言えば、これまでのような高成長も期待できず、少子高齢化が進行することが予測されるなかで、社会保障システムが不十分なところが中国経済・社会の大きな問題です。

消費マインドが低下し、将来に対する不確実性が高まるなかで、家計の資金が向かっているのが預貯金と、もうひとつは金(きん)。

****中国で空前の金ブーム 若者の購入が増加****

中国で空前の金ブーム
いま中国では、空前の金ブームが訪れている。かつて金の購入者の中心は中高年だったが、最近は若者が増えているという。

中国の広東省で行われた結婚式では、新婦がお祝いとして送られた大量の金の装飾品を首にかけていた。  こちらの新婦は全身が金で覆われ、顔を見ることもできない。生まれたばかりの赤ちゃんにも金のネックレスや金の指輪が付けられている。  

春節には、金を求めて宝飾店に大勢の人が殺到。  ジュエリーショップのスタッフたちは、「以前は40代や50代の女性が金のアクセサリーを買っていたが、今は30代前半、さらに20代の若い人たちが買いに来ることが多い」「春節の期間中、毎日1万人以上が来店している。家族連れや若いお客様が中心だ」「若者は小さくてデザインがかわいいものや、伝統的な中国スタイルのものを好む」と話す。  中でも人気は、今年の干支、龍をデザインしたものだ。

なぜ中国の若者が金を買うようになったのか。中国人のインフルエンサーはこう言う。 「今の中国不動産に不安だし、物件を買えるほどのお金がない。今の株式市場だと手が出せない。銀行預金は金利が低いし、噂のこれから来る金融危機には耐えられない」

「国も大量に金を買っているので、若者たちには、私も買えば間違いないという気持ちもあると思います。投資にもなるし、ストレス解消にもなるし、いいことじゃないですか。要するに、金は若者が買える唯一の希望の光かもしれません」【2月23日 ABEMA TIMES】

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【「鉄飯碗」公務員が狭き門 「現代の科挙」】

経済悪化で若者は就職難に喘いでいることは報じられていますが、こういう時期には安定性がある公務員希望が増えるのは日本も「科挙の国」中国も同じ。日本では「親方日の丸」、中国では「鉄飯碗」

****中国、就職難で公務員人気が過熱 「現代の科挙」に出願303万人****

若者の就職難が深刻な中国で公務員人気が過熱している。2024年採用の国家公務員試験は、約3万9600人の採用枠に過去最多の303万人が出願し、この3年でほぼ倍増。平均倍率77倍の狭き門で、清朝時代まで続いた高級官僚登用試験制度になぞらえ「現代の科挙」と呼ばれる。

「国家公務員は社会的地位が高くて良い職業だが、競争はとてつもなく激しい」。かつて商務省の試験に挑戦した北京市の出版社勤務の男性(30)は話す。言語や速算、資料分析などの能力試験に加え、一般常識では中国医学や昆虫の知識まで問われたという。

中国ではもともと公務員や国有企業社員は「鉄飯碗(食いはぐれのない職業)」として人気がある。新型コロナ流行に加え、当局がIT大手や教育産業への規制を強化したことで公務員試験に希望者が殺到。不動産不況による経済の先行き不透明感から若者の安定志向が強まった。

北京市政府系機関で働く公務員(49)によると、年収は20万元(約410万円)程度。民間大手に比べると少ないが、福利厚生は手厚い。【2月13日 共同】

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【消えた「チャイナドリーム」 若者の怒り】

「チャイナドリーム」が色褪せた今、若者の怒りは習近平政権へ。

****中国の若者たちの「習近平への怒り」が爆発寸前…!海外投資家の「中国離れ」も加速する「深刻な実態」****

習近平がぶち壊した「チャイナドリーム」
習近平への怨嗟の声が、中国のZ世代で高まっているようだ。
1995年〜2005年の生まれで、高度経済成長を謳歌し、ITに慣れ親しんだこの世代はいま、中国版「大就職氷河期」のただなかで自信を喪失しようとしているという。

2028年にはアメリカのGDPを抜くとさえ言われた、中国の「チャイナドリーム」。Z世代は、自分たちが社会人になっても続いていくと信じて疑わなかった。

しかし、彼らはいつ終わるとも知れない長期停滞期に社会人生活を送りかねない厳しい環境に置かれている。

ない袖は振れない…
春節(旧正月)明けの中国経済は相変わらず芳しくない。
大型連休(2月10~17日)の国内観光収入は前年比47.3%増の6327億元(約1.3兆円)とコロナ前の水準を上回ったようだが、中身が悪い。

ロイターの試算によれば、1人当たりの観光支出額の平均は1335元にとどまり、2019年の1475元を9.5%下回っており、中国人の節約志向が続いている。

不動産市場も絶不調のままだ。
不動産関連指標を扱う中国指数研究院は18日、「春節期間中の新築住宅販売(成約面積ベース)が昨年に比べて約27%減少した」と発表した。

中国政府は不動産市場の立て直しに躍起になっている。
中国人民銀行(中央銀行)は20日、住宅ローン金利の目安となる期間5年超の金利を年3.95%と過去最低水準にまで引き下げた。5日に1兆元(約21兆円)の長期資金を市場に放出したことに続く緩和策となる。

人民銀行が支援の先頭に立っている背景には、これまで景気対策を牽引してきた地方政府の苦境がある。地方政府全体が発行した債券の残高は2023年末時点で40兆元(約820兆円)を突破し、年間の支払い利息が1兆2000億元(約25兆円)を超えている。
「ない袖は振れない」状態なのだ。

とどめを刺した「反スパイ法」

にもかかわらず、中央政府は大規模な財政出動をためらっていることから、中央銀行による支援頼みの構図は強まるばかりだ。

海外金融機関の間では、「中国で進行中の景気の落ち込みは春から夏にかけて悪化する」との見方が広まっていることが災いして、春節明けの株式市場も依然として低調だ。

悪い話題はまだ続く。 昨年の中国への直接投資額が前年比82%減の330億ドル(約5兆円)にとどまり、30年ぶりの低水準になったことが明らかになっている。その要因として、昨年7月に施行された改正反スパイ法など中国での事業環境の悪化が指摘されている。

中国では、さらにスパイ摘発などを担当する国家安全部がネット上に流れる中国経済に関するネガテイブな言動を厳しく取り締まるようになっており、これを嫌気した海外投資家の「中国離れ」が加速することは間違いないだろう。

絶頂から「どん底」へと落ちる若者たち

思い起こせば、英国のシンクタンクは2020年末に「中国は2028年に米国経済を追い抜く」との予測を発表した。中国の2012年の経済規模は米国の約半分だったが、2021年には米国の76%に急接近した。今から振り返れば、このときが中国経済のピークだった。

その後は2年連続で米中の格差は再び広がり、昨年の中国経済の規模は米国の64%にまで縮小した。

足元では「不動産バブルが崩壊した中国では日本のようにデフレが数十年続く可能性が高く、中国が米国を追い抜くことは永遠にない」との声がコンセンサスになりつつある。

習近平国家主席は2013年、中国民族の復興という「中国の夢」というビジョンを掲げたが、米国を抜いて中華帝国の過去の名声を取り戻す前に、中国の夢が悪夢と化してしまうという危機に直面している。

このことに最もショックを受けているのが、Z世代なのだ。(後略)【2月28日 藤和彦氏 現代ビジネス】

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