WTO閣僚会議、会期を延長 紛争解決など協議難航

WTO閣僚会議、会期を延長 紛争解決など協議難航
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR29D430Z20C24A2000000/

『【アブダビ=福冨隼太郎】世界貿易機関(WTO)は29日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催中の閣僚会議の会期を1日延長して3月1日に閉幕すると発表した。紛争解決機能の回復などの主要な議題の協議が難航しているもようだ。

閣僚会議は26日にUAEの首都アブダビで開幕し、29日を最終日としていた。会期を延長して閣僚宣言の採択に向けた詰めの調整を続けるとみられる。

今回の閣僚級会議は米国の反発で機能不全に…

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『今回の閣僚級会議は米国の反発で機能不全に陥っているWTOの紛争解決機能の回復や、デジタルコンテンツへの課税、漁業補助金問題などが主な議題となっている。

WTOの紛争解決機能は、国家間の通商問題を二審制の裁判のような仕組みでルールに基づいて客観的に判断する仕組み。このうち二審の「上級委員会」について、米国が裁判員にあたる委員補充に反対し、2019年末から機能不全となっている。

米国は上級委員会が「ルールに基づく判断を越えて、新たなルール作りに踏み込んでいる」などと批判する。11月に米大統領選を控えており、今回の閣僚会議では具体的な進展が見込みにくい状況だ。』

『映画や音楽など国境を越えて配信されるデジタルコンテンツへの課税については、加盟国が1998年から関税を課さない慣行を続けてきた。インドなどが関税収入を得られないなどとしてこの慣行を継続することに反対している。

乱獲につながる漁業への補助金の禁止についても議論されている。対象とする領海の範囲などをめぐって加盟国間の意見が一致していない。』

『WTOの意思決定には加盟する全166カ国・地域の同意が必要だ。閣僚会議は最高意思決定機関に位置づけられる。近年は先進国と新興国などの間で意見対立が目立ち、17年の閣僚会議では宣言をまとめることができなかった。』