ウォール街が中国に三くだり半、インドを厚遇-歴史的転換が進行中
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-06/S8ESZHT1UM0W00



『Srinivasan Sivabalan、Chiranjivi Chakraborty、Subhadip Sircar
2024年2月6日 13:34 JST
伝統的に保守的な日本の個人投資家もインド投資に前向き
ゴールドマンやモルガンS、最も重要な投資先としてインド支持
世界最大の成長ストーリーとして中国がもてはやされてから20年経過し、世界市場に重大な変化が起きている。経済が失速しつつある中国から投資家が大量の資金を引き揚げているのだ。
そうした資金の多くはインドに向かっている。ゴールドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレーといったウォール街の大手投資銀行が今後10年間の最も重要な投資先としてインドを支持している。
この勢いが投資ブームを引き起こしている。620億ドル(約9兆2000億円)規模のヘッジファンド、マーシャル・ウェイスは旗艦ファンドでインドを米国に次ぐ最大のネットロング(買い越し)対象と位置づけている。チューリヒに本社を置くフォントベル・ホールディングの傘下部門は、新興国の投資配分でインドをトップに据え、ジャナス・ヘンダーソン・グループはファンド会社買収を検討している。
伝統的に保守的な日本の個人投資家でさえ、インドを受け入れ、中国へのエクスポージャーを縮小している。
ネクストチャイナはインド株か、新NISAで日本からの資金流入加速
投資家は、アジアの2大国である中国とインドが歩む対照的な道筋に注目している。世界で最も急成長している主要経済国であるインドはモディ首相の下、グローバル資本と供給ラインを中国からシフトさせるため、インフラを大幅に拡充している。一方、中国は慢性的な経済的苦境と欧米主導の世界秩序との溝の拡大に苦しんでいる。
M&Gインベストメンツのアジア株式ポートフォリオマネジャー、ビカス・パーシャド氏(シンガポール在勤)は「人々がインドに関心を持つ理由はいくつかあるが、一つは単純に中国ではないということだ」と指摘。インドには「本物の長期成長ストーリーがある」と述べた。
Asian Giants Diverge
Indian stocks leave their Chinese peers far behind
Source: Bloomberg
Note: Normalized as of Jan. 31, 2023
インドに対する強気なセンチメントは新しいことではないが、投資家は今、広大でダイナミックな経済が斬新な方法でグローバルマネーに開放されつつある、かつての中国に似た市場としてインドを捉えているもようだ。この国の人口の大部分はまだ貧しく、株式市場は割高で債券市場は閉鎖的だ。しかし、大半の投資家は、インドに賭けないことに伴うリスクの方が大きいと判断し、投資を行っている。
歴史を振り返れば、インドの経済成長と株式市場の価値は密接に結びついている。7%の経済成長を続ければ、市場規模も平均で少なくともそれ以上の成長が期待できる。過去20年間、国内総生産(GDP)と時価総額は歩調を合わせるように5000億ドルから3兆5000億ドルに膨らんだ。
ジェフリーズ・グループのESG(環境・社会・企業統治)担当グローバルヘッド、アニケット・シャー氏は、同社主催の会議で最も出席者が多かった集まりの一つは、インドに関する最近の投資家向け電話会議だったと説明。「人々はインドで何が起こっているのかを理解しようとしている」と語った。
Modi Inauguarates Gujarat Bourse to Rival Singapore
インドのモディ首相
Photographer: Dhiraj Singh/Bloomberg
マネーを追え
資金フローは投資意欲を反映している。米国の上場投資信託(ETF)市場で、インド株に投資する主要ファンドへの2023年10-12月(第4四半期)の資金流入は過去最高となった。一方、上位4本の中国ファンドは計約8億ドルの資金流出となった。EPFRのデータによると、アクティブ型債券ファンドは22年以降、中国から1ドル引き揚げるごとに50セントをインドに投入している。
1月中旬、インド株式市場は一時、香港を抜いて世界第4位となった。一部の投資家は、インド株がさらに上昇するとみている。モルガン・スタンレーは、インド株式市場が30年までに世界3位になると予測。MSCIエマージングマーケット指数におけるインドのウエートが18%と過去最大となっているのに対し、中国のウエートは過去最低の24.8%に縮小した。
「インデックスのウエートという点では中国が下がり、インドが大きくなるだろう。その方向にある」と、バンク・ジュリアス・ベアのアジア調査責任者、マーク・マシューズ氏(シンガポール在勤)は予想する。同行は昨年、初のインドファンドを立ち上げた。
Global Asset Allocations Rotate
Leading India ETF’s total assets overtake China counterpart
Source: Bloomberg
新しい投資家
伝統的に米国を投資先として好んできた日本の個人投資家も、インドを肯定的に捉えている。現在、インドに特化した投資信託のうち5本が資金流入額上位20本の中に入っている。その中で最大の「野村インド株投資」の資産は4年ぶりの高水準だ。
マーシャル・ウェイスを含むヘッジファンドは、たとえ市場全体のバリュエーションがまだ割高でも、楽観し続ける理由としてインドの力強い成長と相対的な政治的安定を挙げている。
ノルウェー銀行など機関投資家の委託でインドで資金運用しているカルマ・キャピタルによると、米投資家の参入意欲が特に強く、市場についてもっと知りたがっているという。同ファンドのチーフエグゼクティブであるラジニシュ・ギルダール氏は、ある顧客から幾つかのインドに関する問い合わせに異例のスピードで返答があったと振り返る。「金曜日に何かを送ると、われわれが月曜の朝に戻る前に返事が来ていた。この担当者が週末に働いていたことを意味する」と述べた。
India’s Government Bond Market Has Doubled in 7 Years
Source: Clearing Corp of India
2023 data is Oct. end
割高感も
こうしたユーフォリア(陶酔感)によってインド株は世界で最も割高な市場の一つとなっているる。S&P BSEセンセックス指数が20年3月の安値からほぼ3倍になったのに対し、企業利益は約2倍になったのに過ぎない。予想株価収益率は20倍余りと、10年から20年までの平均より27%割高だ。
サマーセット・キャピタル・マネジメントのファンドマネジャー、マーク・ウィリアムズ氏は、「インド市場には非常に大きな成功が織り込まれている。しかし、問題はそのうちのどれだけがまだ織り込まれていないかだ。インド市場が何年か横ばいに推移するリスクがあることは確かだ」と語った。
Indian Benchmark Sensex Tops 50,000 Mark for the First Time Ever
S&P BSEセンセックス指数が2020年3月の安値からほぼ3倍になったのに対し、企業利益は約2倍になったに過ぎない
Photographer: Dhiraj Singh/Bloomberg
関連記事
インド株式市場、香港を抜き世界4位に躍進-時価総額約641兆円
活況を呈する日本とインドの株式市場、アジアのIPO回復を主導か
インドの投信急成長、日米中を上回るペース-投資の民主化が原動力
原題:Wall Street Pivots to India as It Searches for China Alternative(抜粋)
最新の情報は 』