世界の成長率2.4%に、3年連続で減速へ 世銀24年予測

世界の成長率2.4%に、3年連続で減速へ 世銀24年予測
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『【ワシントン=高見浩輔】世界銀行は9日、世界経済の成長率見通しを公表した。2024年は2.4%と23年の2.6%から低下し、3年連続で減速する。根強い高インフレ率に対応して引き上げられた金利水準が需要を押し下げる。世銀は貧困国に対する国際支援が必要だと指摘している。

23年は米国経済が想定を超える強さとなったため、世界経済の成長率を23年6月の前回見通しから0.5ポイント引き上げた。24年は据え置いたため減速見通しになった。21年に新型コロナウイルス禍から急回復した後は低迷が続いている。

米国は23年から24年にかけて2.5%から1.6%に減速する。23年は前回見通しから1.4ポイント、24年も0.8ポイントの上方修正となった。景気後退を回避する経済の軟着陸(ソフトランディング)を見込む専門家が増えている。

23年に0.4%まで落ち込んだユーロ圏は回復するものの、24年も0.7%の低成長にとどまる。23年に訪日外国人(インバウンド)需要などで1.8%となった日本は24年には外需の落ち込みを反映して0.9%に減速する。

中国の成長率は23年の5.2%から、24年に4.5%まで減速する見通しになった。不動産市況の落ち込みなどを反映して23、24年とも下方修正した。

中国の落ち込みを主要因として、世界の貿易の伸びは24年も2.3%と低調になる見通しだ。20年のコロナ禍を起点とした21?24年の世界貿易の回復ペースは過去半世紀のグローバルな景気後退期と比べても最低水準となる。

世銀でチーフエコノミストを務めるインダーミット・ギル氏は世界経済が20年代を通して低迷するリスクがあると指摘した。「途上国、特に最貧国はまひするレベルの債務を抱え、3人に1人が食糧へのアクセスも危ういというワナにはまったままとなる」と警鐘を鳴らしている。

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

世界経済の中心軸である米国でFRB(連邦準備制度理事会)が大幅に金利を引き上げた影響などが時間差を伴って浸透してくる中で、24年の世界経済は前年よりも成長率が減速するというのが、主要国際機関の一致した見方になっている。

世界銀行の最新見通しは記事にある通り。IMF(国際通貨基金)の24年の世界経済見通しは、昨年10月公表のもので2.9%(23年の3.0%から若干減速)。OECD(経済協力開発機構)の24年世界経済見通しは、昨年11月公表のもので2.7%(23年の2.9%から減速)となっている。

2024年1月10日 7:29 』