日米欧の工作機械63件、中国の核開発に転用か

日米欧の工作機械63件、中国の核開発に転用か
輸出管理の限界露呈 本社調査
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75949260X01C23A1MM8000/

『中国の核兵器開発を担う国家機関が日米欧諸国から先端技術を得ていた可能性があることがわかった。ネット上の公開データを使って調べたところ、2022年以降に少なくとも140件を核開発などに転用していたおそれがある。なかでも工作機械は最多の63例に及んだ。厳しい輸出管理(総合2面きょうのことば)で規制しても、製品の流出を防ぐのは難しい実態が明らかになった。(関連記事総合1面に)

中国は20年前後から国営…

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『中国は20年前後から国営メディアを通じ、中国工程物理研究院(CAEP)の核開発に向けた研究活動を積極的に宣伝するようになった。日本経済新聞の調査で、そうした動画や画像の一部に日本企業の製品が映り込んでいるのが見つかった。

「形状や大きさ、ロゴなどから、DMG森精機製と認められる」。軍事情報サイトOryxのヤクブ・ヤノフスキ氏に分析を依頼し、DMG森精機がドイツ工場で生産した5軸工作機械だと判明した。

複雑な削り出しができる5軸加工機は部品や金型の製作に使う。日本やドイツが高い競争力を持ち、国際的な輸出規制の対象だ。中国はそうした先端技術を核開発に生かしている疑いがある。

DMG森精機の広報担当者は「ドイツ政府から許可を得て、CAEPとは別の企業に民生用途として輸出した」と説明する。許可があれば輸出できるが、用途外の利用はできない。輸出後の経緯は不明という。CAEPは取材に応じなかった。

米商務省は1997年に「エンティティーリスト(禁輸リスト)」を公表し、第1弾にCAEPを指定した。産政総合研究機構の風間武彦代表取締役は「軍とのつながりも深く、技術流出に注意が必要だ」と指摘する。

日本も外為法などで先端技術の軍事転用に網をかけている。機械の性能に基づいて輸出を管理する「リスト規制」といったルールがあるが、それでも不正な流通は完全には防げていない。

米国防総省は中国の核弾頭数が30年に1千発超と、現在の倍に急増するとみている。防衛研究所中国研究室の飯田将史室長は「台湾有事を想定し、質も量も核の実力を伸ばしている」と話す。2万人以上が研究に従事するCAEPはその中心的な役割を果たしている。

日経は専門家の協力を得て、CAEPが22年1月以降に結んだ900件超の入札契約を調べた。各国の輸出規制の対象となりうる調達例が140件見つかり、日米欧や台湾、韓国の企業108社の製品が渡っていた可能性が出てきた。

工作機械は63例に及んだ。多くは規制水準をわずかに下回る性能で、輸出時に最終用途を取り締まりづらい。核実験に使うタービンやモーター、ポンプなどの製造に生かしているとみられる。米科学者連盟(FAS)のハンス・クリステンセン氏は「中国は西側の機微技術を軍事に取り込むため、入念な取り組みを長年進めてきた」と言う。

22年4月に地場企業の広東今科机床と交わした入札契約が典型だ。「数値制御(CNC)装置、独ハイデンハイン」「直動部品、THK」「軸受け、日本精工」――。表向きは中国製の5軸工作機を買い取る内容だったが、仕様書には海外製品の詳細が載っていた。

転売目的で商材を仕入れた現地企業が「隠れみの」となり、技術を横流しするケースが多い。中国企業が2次、3次の取引先となり、流通を見えにくくさせている。

米国は22年10月に半導体の輸出規制強化に乗り出すなど、中国への包囲網を狭めている。しかし規制の穴をつくように関連製品の流出が続く。

TAKISAWAは22年12月、中国の販売代理店がCAEPへCNC旋盤を横流ししようとした情報を知り、直前で受注を取り消した。この企業とは台湾子会社を通じ、長い取引関係にあった。

拓殖大の佐藤丙午教授は「中国法に詳しい現地法人に事業を任せる間に最終用途などへの危機感が薄れていく」と進出企業の傾向を分析する。

法務リスクと隣り合わせの企業は遠隔監視など最新技術を用いて最終流通先に目を光らせ始めた。

だが内実は複雑だ。「輸出管理の重要性は理解している。でも中国市場も欲しい」。匿名を条件に答えた台湾メーカー社長の言葉はジレンマに悩むあまたの企業を代弁している。』

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