最高裁判決は、別に「最終判断」「最終の正しいご託宣」というものでも無い、という話し
※ 法律学は、「説得の学問」と言われる。
※ 説得とは、見解(説)が分かれて、収斂しないからこそ、必要となる…。
※ 人は、見解が分かれて、一致点が見いだせないからこそ、「争い」、「訴訟」となる…。
※ 一回の訴訟で、曲りなりにも「裁判所」の見解、「判決」が出たとしても、なお納得できない場合もあるので、もう一回「訴訟」して、「争う」ことを、制度的に認めている。
※ これが、「控訴」だ…。
※ 地方裁判所が「第一審」だった場合、「控訴裁判所」は、「高等裁判所」となる。
※ 地方裁判所は、全国に50か所ある。47都道府県より多いのは、北海道に4つあるからだ。

※ 高等裁判所は、全国に8つしか、設置されていない(ただし、「支部」が置かれている場合がある)。

※ その8つの高等裁判所での判決が分かれた場合、「統一見解」を出す必要があるので、「最高裁判所」への「上告」が、認められている(地方裁判所が、第一審だった場合)。
※ 最高裁判所は、日本国に1つしかない。

※ 15人の最高裁判所裁判官(最高裁判事)が所属している。
※ 重大な事件の場合は、大法廷判決が出される。

※ 通常は、5人づつ、3つの「小法廷」に所属し、それぞれ活動している。
※ 最高裁判決が、別に「最終的な、絶対的に”正しい”」判断というわけのものでも無い…、というエピソードを紹介しておく。
※ 最高裁には、「調査官」という役職の人がいる。
※ 『調査官の主な職務は、上告された裁判記録を読み、「大法廷回付」、「小法廷での評議」、「棄却相当」、「破棄相当」と事案に分類し、担当の最高裁判所裁判官に答申を行うことである。
調査官は、裁判官の人的資源を補う機能を発揮しており、上告要件を充たさない案件をスクリーニングして速やかに棄却することで、最高裁で審理する必要性が高い事件への労力を確保する効果も求められている。
また、受理された事件の判決文についても、基本的には調査官が判決文の草案を書く。最高裁判所裁判官の多くは高齢で体力が衰えている事情もあり、裁判官個人の意見を記す場合を除いては判決文の作成をほぼ完全に調査官に任せているとされる。 (wikiより)』…。
※ というような役職だ。
※ これは、ネットで見た話しなのだが、とある調査官が、上司の問いに対して、「請求認容で書きますか、請求棄却で書きますか。」というような発言を行ったというような話しだった…。
※ 見解(説)が分かれるから、訴訟になり、最高裁で「最終判断」を求められる…。
※ そして、「優秀な調査官」は、そのどちらの見解からでも、「判決文」を作成することができる…、ということだ…。
※ 「最高裁大法廷判決」と言えども、その程度のものだ…。
※ むろん、最終責任は、各「最高裁判事」(判決文に、名前が残る)にある…。
※ そして、「諸般の事情を、勘案して」判決が下される…。
※ その「諸般の事情」の中には、「時の政権のご意向」や、「時の国民世論」なども、当然に含まれる…。
※ それを、どの程度「汲み取る」のかも、各最高裁判事の「ご判断」次第だ…。
※ そして、これまた当然の話しだが、「時の政権のご意向」「時の国民世論」を「どの程度汲み取る」のかは、各国の「国柄」「国民性」に強く左右される性質のものであるということだ…。