メキシコ最高裁、中絶禁止に違憲判決 全州に適用拡大

メキシコ最高裁、中絶禁止に違憲判決 全州に適用拡大
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『【メキシコシティ=清水孝輔】メキシコの最高裁判所は6日、中絶の禁止を違憲とする判決を下した。2021年に同様の判決を下したが、一部の州だけが対象となっていた。今回下した判決は全32州に適用する。米連邦最高裁は中絶を憲法上の権利として認める判断を覆しており、中絶をめぐり米国とメキシコの立場が逆転している。

メキシコ最高裁は21年9月、北部コアウイラ州に対して中絶の禁止を違憲とする判決を下した。現在…

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『メキシコ最高裁は21年9月、北部コアウイラ州に対して中絶の禁止を違憲とする判決を下した。現在は12州で中絶が合法になっている。最高裁は6日、中絶の禁止について「女性の人権侵害だ」とコメントを出した。

メキシコはカトリック教徒が多く、歴史的には中絶に対して厳しい政策をとってきた。多くの州が中絶を禁止していたが、国内で女性の権利保護を求める声が高まっていた。一部の州は自主的に中絶の合法化に動いていた。

米連邦最高裁は22年6月、中絶の憲法上の権利を認めた1973年の「ロー対ウェード」判決を覆した。テキサス州など一部の州はその前から州法で条件付きで中絶を禁止してきた。米国での厳格化を受け、メキシコに越境して中絶する動きが広がっている。

中南米では中絶を合法化する動きが相次いでいる。南米コロンビアは22年、憲法裁が妊娠24週目までの中絶を合法化した。南米アルゼンチンや南米ウルグアイも中絶規制の緩和に動いてきた。

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前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説 カトリック教徒の数ではブラジルの次の世界2位の宗教文化的には保守のメキシコの大きな変化。

州による中絶禁止をほぼ半世紀ぶりに昨年最高裁が認めた隣国アメリカとの差が、アメリカ国内での報道の大きさにつながっています。

メキシコの動きは女性の権利伸張が背景にあります。来年のメキシコの大統領選挙では与党の候補者が女性、最大野党の候補者も女性と女性が大統領になることがほぼ確実。

2023年9月8日 4:09』