北朝鮮「偵察衛星打ち上げ失敗」 10月に3回目発射表明

北朝鮮「偵察衛星打ち上げ失敗」 10月に3回目発射表明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM23DAN0T20C23A8000000/

『【ソウル=甲原潤之介】北朝鮮の朝鮮中央通信は24日、北朝鮮の国家宇宙開発局が「軍事偵察衛星」の打ち上げに失敗したと報じた。衛星運搬ロケットの1段目と2段目は正常飛行したが、3段目の飛行中に事故が発生したとしている。10月に3回目の発射を断行すると表明した。

中国遼寧省東港から撮影した、北朝鮮・東倉里の西海衛星発射場の方向から上昇する飛翔体(円の中央)=24日未明(共同)

同通信によると、24日未明に北西部の平安北道にある西海衛星発射場から偵察衛星「万里鏡1号」を新型運搬ロケット「千里馬1」型に搭載して発射した。国家宇宙開発局は「事故の原因がシステム上大きな問題でなく、原因を徹底的に究明する」と説明した。

北朝鮮は8月24日午前0時〜31日午前0時に人工衛星を打ち上げると事前通告していた。

5月31日に「万里鏡1号」を搭載したロケットを発射し、1段目を分離後に推進力を失い黄海に落下した。エンジンの問題などを修正し、3カ月たらずでの再発射に踏み切った。

【関連記事】

・北朝鮮が弾道ミサイル発射か 政府、沖縄にJアラート
・沖縄県、Jアラート発令受け対応 「現時点で被害なし」
・北朝鮮「偵察衛星」の再発射を通告 狙いと日本の備えは

ニュースレター登録
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

峯岸博のアバター
峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
コメントメニュー

ひとこと解説

2度の失敗は絶対に許されないなかで確かな自信があるはずだ――。発射前には日本政府内でもこうみられていたなかでの再失敗。しかも「原因を徹底的に究明する」としながら早くも3回目の発射を予告し、猶予期間は1回目と2回目の間の3カ月より短いわずか2カ月。よほど成果を急いでいるとみえ、体制を守る自前での情報収集への執念を感じます。金正恩総書記は、ミサイルに関しては失敗しても担当者を粛清したりせず、何度でも改善・実験を重ね、結果的に驚くべき短期間で性能を高めてきました。実際の軍事偵察衛星の技術水準は極めてハードルが高く道のりは遠いとはいえ、北朝鮮の軍事開発のスピードはけっして侮れません。
2023年8月24日 8:17

小玉祥司のアバター
小玉祥司
日本経済新聞社 編集委員
コメントメニュー

分析・考察

失敗してもそのデータを元に改良して短期間に開発を進める手法はイーロン・マスク氏が設立したスペースXも採用している開発手法です。2度目の打ちあげも失敗とはいえ、前回の失敗の原因だった2段目は正常に飛行したようです。北朝鮮は2段目で飛行方向を変える特殊な打ちあげ方をしていて、1番難しいはずの2段目をクリアしたことはかなりの進歩ではないでしょうか。
2023年8月24日 8:38 』