処理水放出に反対する中国 知られざる環境保護派の台頭
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFE2203J0S3A820C2000000/
※ 全く、メーワクな話しだ…。
『習近平(シー・ジンピン)共産党総書記兼国家主席が主導する現在の中国は、なぜここまで強く東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出に反対しているのか。そこには、これまで見落とされている習政権独特の内政構造が絡んでいる。
確かに中国には安全保障上、米国と連携を強める日本にとにかく圧力をかけたいという政治・外交上の思惑がある。だが、そればかりではない。2022年秋にあった中国共産党大会の人事で明確になっ…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』
『2022年秋にあった中国共産党大会の人事で明確になった習政権内での「環境保護派」の急激な台頭という内政上の構造が大きく影響しているのだ。』
『これは習氏自身が一貫して環境問題の重要性を指摘してきた経緯と関係する。経済の高度成長を最優先し、環境保全など全く顧みなかった江沢民(ジアン・ズォーミン)氏、胡錦濤(フー・ジンタオ)氏という2人の共産党トップの向こうを張っているのである。いわば前時代のアンチテーゼとしての「グリーン政策」ともいえる。
この「習イニシアチブ」は、一般国民からもおおむね歓迎されていた。習氏は、先に終了したいわゆる夏の「北戴河会議」に先立ち、中西部にある陝西省の小都市を視察。ここでも環境保護を大々的に訴えている。』
『「習一強」が固まった中国共産党内では、トップから重要指示が出た場合、担当者は、習発言を金科玉条のように扱う傾向が強い。そして時には必要以上といえる措置をとるよう部下に命令してしまう。いわば、政策執行上の「やりすぎ」が目立つのだ。
中国の学術界に詳しい識者は「(福島での処理水排出という)この問題の扱い、対処にも同じような構造がある。環境保護を名目にした『やりすぎ』が目立っている」と指摘する。』
『この政治構造は人事をみれば明らかだ。現在の中国指導部を形づくるのは、24人の中央政治局の委員である。昨年秋の党大会で新たに習氏が抜てきした委員の中に、少なくても3人の環境保護派が存在する。過去に例のない人事である。
政策決定上、重要な役割を担う政治局会議メンバーで環境保護派の中心は、共産党の組織運営を仕切る中央組織部長の李幹傑氏だ。習氏の出身大学である清華大で原子物理学などを学び、国家核安全局の要職、環境保護や生態環境を担当する閣僚を経験している。
中国第一の商都、上海市のトップに抜てきされたのも、清華大で環境を学び、同大校長と環境保護相を経験した陳吉寧氏である。このほか、中国政治の中心地、北京市のトップも、衛生省や国家食品薬品監督管理総局で要職にあった尹力氏が登用された。
理系出身の環境保護派には、いま「日の出の勢い」があり、習政権の中枢を占めている。中国の政界では若手エリートといえる彼らは、科学的知識を持っているはずなのに、習氏への忖度(そんたく)もあって、非科学的とさえいえる中国の主張を側面支援しているとみられる。』