GDP年率6.0%増 4〜6月、輸出復調も個人消費は弱含み
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA141P70U3A810C2000000/
※ オイオイ、マジか…。
※ NHKの報道は、「実質」での話しだったんだな…。
※ 「名目」だと、「年率換算で、12%の成長率!」って、話しだぞ…。
※ まあ、「外需頼み」ではあるがな…。



『2023年8月15日 8:51 (2023年8月15日 10:39更新)
内閣府が15日発表した4〜6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.5%増、年率換算で6.0%増だった。プラス成長は3四半期連続となる。個人消費が弱含む一方で、輸出の復調が全体を押し上げた。
GDP実額は560.7兆円、コロナ前も上回り過去最高
QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値は年率3.1%増で、大幅に上回った。前期比年率で内需がマイナス1.2ポイント、外需がプラス7.2ポイントの寄与度だった。
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年率の成長率が6.0%を超えるのは、新型コロナウイルス禍の落ち込みから一時的に回復していた20年10〜12月期(7.9%増)以来となる。GDPの実額は実質年換算で560.7兆円と、過去最高となった。コロナ前のピークの19年7〜9月期の557.4兆円を超えた。
輸出は前期比3.2%増で2四半期ぶりのプラスとなった。半導体の供給制約が緩和された自動車の増加がけん引した。インバウンド(訪日外国人)の回復もプラスに寄与した。インバウンド消費は計算上、輸出に分類される。
輸入は4.3%減で3四半期連続のマイナスだった。マイナス幅は1〜3月期の2.3%減から拡大した。原油など鉱物性燃料やコロナワクチンなどの医薬品、携帯電話の減少が全体を下押しした。輸入の減少はGDPの押し上げ要因となる。
個人消費は前期比0.5%減、3四半期ぶりマイナス
内需に関連する項目は落ち込みや鈍りが目立つ。GDPの過半を占める個人消費は前期比0.5%減と、3四半期ぶりのマイナスとなった。
コロナ禍からの正常化で外食や宿泊が伸び、自動車やゲームソフトの販売も増加した。一方で長引く物価高で食品や飲料が落ち込み、コロナ禍での巣ごもり需要が一巡した白物家電も下押し要因となった。
設備投資は0.0%増と、2四半期連続プラスを維持したものの、横ばいだった。ソフトウエアがプラスに寄与したが、企業の研究開発費などが落ち込んだ。住宅投資は1.9%増で3四半期連続のプラスだった。
公共投資は1.2%増で、5四半期連続のプラスだった。ワクチン接種などコロナ対策が落ち着き、政府消費は0.1%増と横ばいだった。
民間在庫変動の寄与度は0.2ポイントのマイナスだった。
名目GDPは年率換算で12%増、インフレが名目値を押し上げ
名目GDPは前期比2.9%増、年率換算で12.0%増だった。年換算の実額は590.7兆円と前期(574.2兆円)を上回り、過去最高を更新した。
国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比3.4%上昇し、3四半期連続のプラスとなった。輸入物価の上昇が一服し、食品や生活用品など国内での価格転嫁が広がっている。
雇用者報酬は名目で前年同期比2.6%増えた。実質では0.9%減で7四半期連続のマイナスとなった。物価の上昇に賃金が追いついていない。
世界をみると、米国は4〜6月期のGDPが前期比年率2.4%増と前の期から加速した。ユーロ圏も前期比年率1.1%増と3四半期ぶりにプラス成長となっていた。
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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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ひとこと解説
最大の牽引役はGDPの控除項目となる実質輸入の減少で、それだけでプラス成長の7割程度を説明できます。
実質輸入は一般的に国内需要によって左右されるとされますので、実質輸入の減少は実質的な国内需要の減少を意味します。
実際、実質GDPの民間需要は大幅マイナス寄与となっており、最大の押し下げ役が実質個人消費となっています。
ということで、今回のGDPはヘッドラインの割には実質的な国内経済がよくないことを示した結果といえるでしょう。
一方で、国内インフレ+輸入物価下落により名目GDPは大幅プラスですから、国内の実質的な経済はよくない割に国の税収は大幅に増えそうです。
2023年8月15日 9:03 (2023年8月15日 9:58更新)
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小黒一正
法政大学経済学部 教授
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分析・考察
見かけの数字と実態がかけ離れていますね。内閣府の資料によると、2023年4-6月期の実質GDP成長率(前期比)6%のうち、内需の寄与は▲1.2%、外需の寄与は7.2%です。内需はマイナスの寄与で、その象徴は実質個人消費でしょう。この原因は、物価高に賃金や年金が追い付かず、家計が財布の紐を引き締めていることが影響していると思います。インフレになれば経済が活性化するという議論が昔ありましたが、それとは真逆の現象です。また、外需の主な寄与は大幅な実質輸入の減少ですから、今後の生産や設備投資等に及ぼす影響が懸念されます。
2023年8月15日 17:53 (2023年8月15日 18:02更新)
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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説
4-6月成長率は前期比で予想を大きく超えるプラス成長となった。しかし家計消費はマイナスに転じており、企業の設備投資も緩慢なため、内需の弱さが目立つ内容となった。消費は家計調査からすでに弱さが確認されているが、価格高騰による食費などの節約が続いており、コストプッシュインフレの影響がうかがえる。これまで改善を示してきたサービス消費も減速感がある。大きなプラス成長の原因は、(自動車など半導体不足緩和による輸出拡大とインバウンド消費で)輸出がプラスに転じた一方で、輸入下落率が拡大したことによる外需要因だ。その外需要因も輸入下落によるものが大きく、輸入は設備投資との連関も高く日本の経済が強いとは言えない
2023年8月15日 9:08
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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説
①名目成長率が前期比年率12.0%と2桁成長に。4~6月期の国内総生産(GDP)で驚いたのはここです。しかも名目GDPの年換算額は590.7兆円に。600兆円にあと一歩に迫りました。
②安倍晋三首相が2015年に掲げた新3本の矢の第1目標である600兆円の名目GDPが、いま達成されつつあるわけです。注目したいのは名目GDPの拡大に伴う税収の増加です。
③7~9月期以降の名目GDPが横ばいにとどまった場合でも、23年度は前年度比5.1%の名目成長率が見込まれます。22年度の税収は71.1兆円でしたから、税収弾性値が1としても23年度は75兆円近い税収に。税の議論も経済実態を踏まえるべきでしょう。
2023年
8月15日 10:46 (2023年8月15日 11:25更新) 』