イスラエル、「司法改革」法を可決 デモ激化も採決強行
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR245EZ0U3A720C2000000/
※ ぶつかっている「価値」は、「民主主義」vs.「法の支配(≒司法権の独立的な判断)」だ。
※ 「民主主義」を重視すれば、「違憲立法審査権(国会が制定した法律であっても、裁判所が憲法に照らして違憲と判断できる)」を狭める方向に振れる。
※ 逆に、「法の支配」を重視すれば、「違憲立法審査権」を広げる方向に振れる。
※ そもそもが、「法の支配」とは、「民主主義」の修正に立脚する。「国民」の意向・判断と言えども、時には「間違う」ことがある。その時は、「憲法の番人」たる「最高裁(=司法権)」が正すことを認める制度が、「違憲立法審査権」だ…。
※ どの程度の「修正」を認めるのか、それは、「国会」と「裁判所」のどちらに、より「信頼」を寄せるのかの問題でもある…。
※ そもそもが、「裁判所(最高裁)」という組織は、「民主的な」組織ではない…。
※ むしろ、「憲法の番人」という「最後の砦」として、国民の意向・判断に立脚する「立法行為」において、「憲法の理念」に反するような「法律を制定」するというような事態が起きた場合に、それを「正して」、「本来の道筋に戻す」という役割が期待されている…。
『【テルアビブ=久門武史】イスラエル国会は24日、裁判所の権限を弱める「司法制度改革」関連法を与党の賛成多数で可決した。ネタニヤフ政権が推進し、反対する市民の抗議デモが激化するなか採決を強行した。自制を求めてきたバイデン米政権の反発は必至だ。
可決したのは、最高裁が「合理性」を基準に、政府の決定を無効にする権限をなくす内容だ。野党は投票をボイコットした。
国内では三権分立を脅かし、民主主義が後退するとして反発が広がっていた。地元メディアによると、数万人が国会があるエルサレムまで抗議の行進を実施。軍の予備役1万人以上が任務を拒むと表明した。主要企業の一部は24日にストライキを実行した。
国会周辺では同日、採決強行に反対する市民が抗議デモを実施した。警察は放水で鎮圧を試み、約20人が逮捕されたと報じられた。
同法の可決は、政権が狙う司法「改革」の第一歩となる。ネタニヤフ首相は2022年12月の政権復帰後、国会が最高裁の判断を覆せるようにする案を提起した。
裁判官の任命でも政府の関与拡大を目指した。3月に抗議活動の激化でいったん停止したが、今後こうした司法の力をそぐ立法手続きが段階的に進むと反対派は警戒している。
米欧もかねて懸念を示していた。イスラエル紙ハーレツによると、バイデン米大統領は23日、改革が「いっそう対立を招いている」としてネタニヤフ政権に自制を求めた。バイデン氏は3月に改革の「撤回を望んでいる」と明言した経緯がある。
一方、ネタニヤフ氏は23日、心臓にペースメーカーを付ける手術を終え、24日の国会採決に加わった。15日に軽い目まいを訴えて一時入院した後、22日に一時的に不整脈の症状が出ていた。28日に予定していたトルコ訪問は延期する。
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