BRICSが共通通貨を発行。ドル覇権が崩れる?

BRICSが共通通貨を発行。ドル覇権が崩れる?
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/31977117.html

 ※ 「金本位制」には、発行する通貨の価値が、「金の価値」によって担保されるという長所がある。

 ※ しかし、最大の欠点は、通貨発行量の上限が、「保有する金の総量」によって限定されるという点だ…。

 ※ 経済が発展して、経済活動(≒売買取引)が活発になってくると、当然のことながら、「通貨の総量(発行量)」もそれに見合うだけの量が必要になってくる。

 ※ その「上限」が、保有する金の量で、制限されると、到底必要量を賄えなくなってくる…。

 ※ それで、先進国(≒経済取引が非常に活発な国)は、次々と「金本位制」から離脱した…。

 ※ それに、「金」はいくら保有していても、一切「金利」は付かんしな…。

 ※ それどころか、「保管」はどうするのか、「運搬」はどうするのか、次から次へと難問は発生するしな…。

『最近、話を聞かなくなってきたBRICSですが、これらの国で共通通貨を発行する構想が出てきています。この構成国の中では、実質的に中国が中心になって、新しい貨幣経済圏を作るという話ですね。目指しているところが、ドル決済からの脱却というのは間違いないでしょう。わざわざ、新通貨を作って広めようという目的は、世界経済を支配しているドルという通貨に依存しない経済圏を作ろうという事に他なりません。

例によって、こういう話が出ると、すぐに「ドル覇権崩壊」とか、威勢の良い話が出てくるのですが、今のところ、BRICSが束になっても、ドル覇権を崩すのは無理です。この話も、構想が出たという段階で、具体的な話にはなっていません。BRICSは、ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカと、一時期経済の勢いの良かった国家で、いろいろと協力していきましょうという組織ですが、そもそも、この構成国が必ずしも一枚岩ではないです。

そして、これは予想されていた事ですが、通貨の信用を裏付ける為、今の時代に金本位制を導入するという話になっています。BRICSの構成国は、そこそこの経済国ですが、新通貨を発行したからと言って、簡単に国際決済に使われる程の信用を得る事は不可能です。なので、金を価値の担保として用いる、金本位制を取る事で、通貨の流通を促そうとしています。しかし、金というのは、希少金属だから価値があるわけで、金を価値の裏付けにするという事は、通貨の発行上限が自動的に決まるという事です。所有している金の価値以上の通貨を発行する事ができません。

これで、自前の経済圏のみならず、ドル覇権を脅かす程の規模まで通貨が流通する事は、構造的にあり得ません。そもそも、この中で中心にいるであろう中国自体が、自国の通貨である元を、管理していて、市場に開放していません。どういう事かと言うと、ドルとの価値が乖離しないように、国家が通貨為替に介入して、許容できる範囲での変動を認めるという通貨管理をしています。なぜなら、完全に市場開放をしてしまうと、元の価値が暴落したり、国の資産が海外へ流出したりするからです。

自前で通貨を発行していても、その価値の担保をアメリカのドルを基準にしている通貨は多いです。ドル・ペッグ通貨と言われているのですが、その理由は、その国単独の通貨では、世界経済で必要な信用を得る事ができないからです。なので、アメリカ・ドルにコバンザメのように、相乗りする事で、通貨の信用を担保しているわけです。中国の経済が凄いと言っても、その数字の中には、中国国内で生産している外資の製品も含まれています。中国単独で産業を興しているわけではないので、元の世界から見た信用というのは、正直無いと言って良いです。経済的に支配している国に対して、支払いを元で行う事を強要して、流通額自体は増えていますが、そういうのは流通しているとは言いません。数字を作る為に、政治力で作ったものです。

この所、このブログでも投稿している、ドルの不分別な大量発行の影響で、ドルの価値が急落しているのは確かです。アメリカのインフレも、当然の結果とも言えます。ドルという通貨が、疲労しつつあるのは確かなのですが、では覇権が崩れる程に柔いかと言えば、それを言える通貨は存在していません。新しく作ろうとすると、通貨の価値の根源である「信用」をどこに求めるのかという話になります。今回のように、金本位制にしたり、時代錯誤な方法に頼らないと、取引相手を納得させる事ができないのが、実情です。今の時代に金本位制で覇権通貨になれたら、それこそ驚異です。それが起きる時点で、何らかの事件で、世界経済が破壊された後の話になるでしょう。漫画の「北斗の拳」のように、世界が崩壊して、通貨が何の役にも立たない紙切れになった後なら、可能性があります。

ならば、なぜ新通貨を発行するかと言うと、「ドルで決済したくない」用途に使う為でしょう。新通貨で決済した分については、アメリカに知られる事が無く、身内で処理する事が可能です。そもそも、国際通貨にするつもりは、当人達には最初からなく、用途や規模を隠したい決済に使う、ローカル通貨として、使用する意図があると思われます。反米という事ではないのですが、色々とうるさく言ってくるアメリカのドル経済を、疎ましく思う政治指導者は、少なくありません。こういう意図ならば、構成しているメンツを見て納得できます。必ずしも仲が良くなくても、反ドル決済で手を結ぶ事は、十分に可能です。そして、そうする事で得る政治的な利益も大きいです。

そもそも、成立するかも判らない新通貨ですが、奥歯を噛み締めてまで、アメリカに追随したくない国というが増えているのは事実です。特に、最近は、アメリカは色々と要求してくる割には、何かしらの恩恵を与えるという事が出来なくなってきています。つまり、言う事を聞くのは、ドルの後ろ盾になっている軍事力と経済力が怖いからですね。この段階が一歩進むと、「ドルに支配されたくない」と考え始めるまで、そう遠く無いです。少なくても、ドルが持っていた万能通貨感は、無くなりつつあります。』