世界で「バイデンへの失望」が広がっている…

世界で「バイデンへの失望」が広がっている…「新・対中包囲網」が離脱国続出で「崩壊の危機」へ
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※ 今日は、こんな所で…。

『2023.07.10

週刊現代
講談社
月曜・水曜発売
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米国のバイデン大統領が主導し、日米など14カ国が参加する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」をめぐり、「対中国」に向けた参加国間の結束が揺らぎかねない状況に直面している。東南アジアが狙う対米輸出拡大という恩恵がない上、厳しいルールを守らなくてはならないとされることが背景にある。

貿易自由化というメリットを提示できず、内向き志向に陥る米国の国力低下は著しい。このままではグローバルサウスと呼ばれる東南アジアなどが中国になびく可能性があり、IPEFは曲がり角を迎えることになる。
そもそも「IPEF」とは何か?

IPEFの狙いは、巨大市場を武器に相手国の製品輸入を制限するといった、経済的威圧を行う中国への包囲網を敷くことだ。2017年、自国第一主義を掲げたトランプ氏が大統領在任中に環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱して以降、米国不在の間隙を縫うかのごとく、中国はインフラ整備など経済支援を軸にインド太平洋地域での影響力を強めてきた。
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日本は「TPPの復帰が望ましい」(林芳正外相)として、米国に秋波を送り続けている。ただ、関税撤廃を伴うTPPは米国産品を安い輸入品との競争にさらし、米国内雇用の減少につながりかねない。支持率が低いバイデン政権には痛みの伴う自由貿易協定の推進は難しく、かつてのような「盟主」としての振る舞いはもはや目指していないだけに、「復帰することはない」(日本政府関係者)というのが国際社会の一般的な見方だ。』

『米国内の産業・雇用の保護という内向き志向と、台頭する中国を抑え込むことの両立を図るため、バイデン政権がTPPに変わる枠組みとして立ち上げたのがIPEFだ。IPEFには、日米韓豪印、タイ、インドネシアなど14の自由主義国家が参加。TPPと構成国は似通っているが、グローバルサウスの代表格として発言力を持つインドとインドネシアが加わっていることが最大の特徴と言える。

中国による経済的威圧のほか、ロシアのウクライナ侵略という要素も加わり、インド太平洋地域の自由経済の維持はかつてないほど危機的な状態に直面している。米国の基本戦略は、同国と中ロのどちらにも寄らないグローバルサウスを西側陣営に引き寄せることで、中ロの影響力を削ぐことだ。
ニュージーランドが早くも「離反」

22年5月に発足したIPEFは、「貿易」「サプライチェーン」「クリーン経済」「公正な経済」の4本柱で構成し、各国共通のルールを設ける。今年5月に米デトロイトで開いたIPEF閣僚会合では「サプライチェーン」について話し合われ、紛争や感染症といった有事に伴い、ある国で半導体や医療機器などの供給がストップした際には、参加国間で融通し合うことで合意した。

日本の担当閣僚として陣頭指揮を執る西村康稔経済産業相は、この合意について「大きな意義がある」と強調した。日米などは、アジア太平洋経済協力会議(APEC)サミットが開催される今年11月までに残りの3本柱の決着を急ぐ。

ただ、対中包囲網の形成に向けた足並みは、早くも乱れている。ニュージーランドは最近、中国との貿易関係の強化にかじを切った。ニュージーランドと同じく農産品の対外輸出を増やしたいオーストラリアも「中国にすり寄るかもしれない」(日本政府関係者)との懸念が常につきまとう。

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『「士気」が保てない

しかも、IPEF参加国は4本柱の全てに合意する必要はなく、どれに加わるかは参加国の自由意志で選べる。現にインドは「貿易」の柱について参加交渉を見送った。同国は自由なデータ流通の促進に後ろ向きとされるためだ。肝心要の「貿易」の柱に加わらない参加国が出てきたことで、早くも交渉関係者の間には失望感が広がっている。

IPEFにはグローバルサウスが要望してきた「関税撤廃」というメリットがない一方、参加国は厳しいルールの順守を求められるため、士気の維持が難しい。特にバイデン大統領が重視するのは、労働と環境の分野だ。

交渉過程では、米国が強制労働の根絶や温室効果ガスの削減など厳しい要求を突きつけてくる可能性が取り沙汰されている。外交筋は「貿易拡大という『アメ玉』がないにもかかわらず、米国が厳しい要求を突きつけてくるばかりなら、交渉自体が持たない。本格的に離脱する国が出てくるかもしれない」と焦りを隠さない。』

『日本がイニシアティブを握れるか

昨年8月のペロシ下院議長(当時)の電撃的な台湾訪問や半導体製造装置の事実上の対中輸出禁止など、米中関係はかつてなく緊張している。台湾への武力侵攻をちらつかせる中国は、南シナ海の領有権問題を抱える東南アジア諸国にとっても脅威となっているだけに、「米国の後ろ盾がほしい」(交渉関係者)というのが東南アジアの本音とされる。

ただ、これまで非同盟中立を貫いてきた東南アジアは、米国に付くのか中国を選ぶのか踏み絵を踏まされている状況だ。ある外交アナリストは「実利を示せないのに説教ばかりたれる米民主党政権の悪い癖が出ている。グローバルサウスもうんざりしている」と解説する。その間隙を突いて中国がグローバルサウスのニーズに沿った経済協力を行えば、米国の立場はますます厳しくなる。

「同床異夢」とも言える米国と東南アジアの間を取り持つ役割が期待されているのが、日本だ。「外交の岸田」を自負し、今年のG7議長を務める岸田文雄首相が秋に向けて軟着陸を図れるのか。経済支援のメニューが乏しく「意味がない」(外交筋)とされるIPEFを少しでも有益なものとできるかどうかは、米国ではなく日本のイニシアティブにかかっているようだ。』