日韓通貨スワップ協定、再開で合意 融通枠100億ドル

日韓通貨スワップ協定、再開で合意 融通枠100億ドル
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『2023年6月29日 16:47 (2023年6月29日 18:05更新)

日本と韓国両政府は29日、金融危機の際に通貨を融通する通貨交換(スワップ)協定を再開することで合意した。融通枠は100億ドル(1兆4000億円程度)に設定した。元徴用工問題などで悪化していた両国関係は、経済・金融分野でも改善が進む。

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都内で開いた「財務対話」には、鈴木俊一財務相と韓国から秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相兼企画財政相が出席した。両国間の財務対話は2016年8月以来、7年ぶり。開催後、合意事項をまとめた共同文書を発表した。

通貨スワップ協定は金融危機などの際に、どちらかの国で外貨(主にドル)が足りなくなった際に供給することができる。供給を受けて自国の通貨を買い支えて過度な下落を防ぐ対応が取れる。

アジア通貨危機を受けて当初は韓国を支援する枠組みとして01年に運用を始め、日韓関係が悪化して15年に失効した。韓国側の説明によると今回結ぶ協定の期間は3年に設定した。融通枠は15年の失効時とほぼ同水準だ。

財務対話ではインド太平洋地域など第三国でのインフラ整備での協力でも合意した。国際協力銀行(JBIC)と韓国輸出入銀行が覚書(MOU)を結び、協力を進める。

主要7カ国(G7)主導の脱炭素分野のサプライチェーン(供給網)強化の取り組みでも連携する。途上国や新興国に、世界銀行などとも協力して資金供給する枠組みを速やかに立ち上げる方針で一致した。

財務当局の職員の短期の人事交流プログラムを始めることも確かめた。税関当局間の局長級の会議の開催も確認した。次回の財務対話は24年に韓国で開く。

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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

①通貨スワップの復活はかねて韓国側が求めていましたが、暗礁に乗り上げていた。最近の日韓関係改善の雰囲気のなか、あれよあれよという間に決まった印象です。
②緊急時にドルの融通を得られることで、メリットが大きいのは韓国側。日本が韓国からドルの融通を受ける事態は、まず考えられません。
③韓国は様々なスワップを結んでいるとはいえ、ドルの融通を得られるものは途絶えていました。それだけに、今回のスワップ復活にはえびす顔でしょう。
④そうしたお土産を贈る見返りに、日本側は何を得たのでしょう。スワップ復活に慎重だった麻生太郎前財務相には、ぜひご意見をうかがいたい。まさか「友好」の二文字だけではありますまい。
2023年6月29日 17:20 (2023年6月29日 17:30更新)
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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

韓国も日本もドルが不足するわけではないのであくまでも象徴的な動きではあるが日韓両国の経済強化の一環として歓迎されます。G7では昨年インフラが著しく不足するグローバルサウスに向けて6000億ドル相当の官民資金を動員する「グローバルインフラ投資パートナーシップ(PGII)」を掲げていますが、先進国では2020年から公約する1000億ドルの気候変動資金の供与でさえも未達成の中で、これだけの資金を動員するのはチャレンジングな状況です。そこでアジアでも豊かでかつ西側と同じ共通の価値観(民主制、資本主義)をもつ韓国も取り込み、西側の結束を図りつつ幅広い資金調達を進め途上国支援をする狙いがあると思われます
2023年6月29日 17:16』