都区部物価3.2%上昇 6月、電気代上げで伸び拡大

都区部物価3.2%上昇 6月、電気代上げで伸び拡大
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA298J40Z20C23A6000000/

 ※ 『全体としてコストプッシュインフレなのは明らかですので、需要拡大や賃金上昇にもとづく好ましい物価上昇の環境になるのを判断するのは現段階では難しいように思います』…。

 ※ ということで、この程度・質の「物価上昇」では、日銀の「緩和基調」の「修正・方針転換」に影響を与える度合いは、小さいだろう…、というのが大方の判断のようだ…。

 ※ それもあって、「ドル高・円安」方向に振れたようだ…。

『総務省が30日発表した6月の東京都区部の消費者物価指数(中旬速報値、2020年=100)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が104.8と前年同月比で3.2%上昇した。伸びは5月の3.1%から拡大した。値上げした電気代が下落幅を縮めて全体を押し上げた。食品は高止まりしている。

QUICKが事前にまとめた市場予想の中央値の3.4%を下回った。上昇は22カ月連続で、伸び率は2カ月ぶりに拡大した。日銀の物価目標である2%を上回る状況が続く。

生鮮食品を含む総合指数は3.1%上昇した。伸びは5月の3.2%から縮んだ。生鮮食品とエネルギーを除いた総合指数は3.8%上昇と5月の3.9%から縮小した。

品目別で見ると、電気代が前年同月比で10.9%低下と5月の16.1%マイナスから下落幅が縮んだ。東京電力ホールディングスなど電力大手7社が6月1日に家庭用料金を値上げしている。政府の電気・ガス料金の抑制策の影響でマイナスでの推移が続く。

生鮮食品を除く食料は8.9%上昇した。上昇率は5月から横ばいだった。鳥インフルエンザの影響が残る鶏卵が33.2%、食用油が21.5%それぞれ上がるなど幅広い品目で上昇している。

教養娯楽は3.5%プラスだった。5月の3.8%から伸びが縮小した。宿泊料は4.8%上昇。5月は9.2%のプラスだった。政府の観光促進策「全国旅行支援」の受け付けを6月に再開した都道府県があり、押し下げにつながった。

家具・家事用品も7.1%上昇と5月の9.0%から伸びが減速した。家庭用耐久財ではルームエアコンが3.5%マイナスだった。家事用消耗品は9.5%上がった。トイレットペーパーは15.5%プラスだった。

都区部の中旬速報値は全国の数値の先行指標とされる。23日発表した全国の5月の生鮮食品を除く総合指数は前年同月比で3.2%上昇だった。前月比で0.2ポイント縮小している。6月は都区部と同様に、伸びが再拡大する可能性がある。

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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別の視点

消費者物価の先行きを占う上で何よりも気になるのが、政府の電気代やガス代の負担軽減策が延長されるかどうかでしょう。
というのも、現時点での負担軽減策は9月に補助金が半減し、10月には終了する予定となっているからです。
このため、これが延長されないと、今後の輸入化石燃料価格次第では年度後半以降に家計のエネルギー負担が大幅に増加する可能性があります。
そして、消費者物価のインフレ率が年度後半以降も目標の2%を割り込まない可能性が出てくれば、日銀が金融政策を修正する可能性もあることには注意が必要でしょう。
2023年6月30日 8:45

白井さゆりのアバター
白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

生鮮食品を除くインフレ率は予想より幾分低かったですが、5月よりは上昇。生鮮食品・エネルギーを除くインフレ率は幾分低下したがそれでも3.8%と上昇圧力はまだ高い。総合インフレ全体でみるとやはり食料の上昇率が高く、インフレ全体の66%を占めています。他のモノやサービスも上昇していますが食料中心のインフレの状態は続いており消費者の生活を直撃する形になっています。宿泊料のように海外からのインバウンド需要が旺盛な業界では比較的値上げがしやすいですが、全体としてコストプッシュインフレなのは明らかですので、需要拡大や賃金上昇にもとづく好ましい物価上昇の環境になるのを判断するのは現段階では難しいように思います
2023年6月30日 9:04』