日米フィリピン、初の合同演習 海洋警備の結束強調
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM314JD0R30C23A5000000/
『【マニラ=志賀優一】フィリピン沿岸警備隊(PCG)は1日、海上保安庁と米沿岸警備隊との合同海洋演習を始めた。3カ国による海洋演習は今回が初めて。領有権を巡って対立する中国が南シナ海で海洋進出を続けており、海洋警備での結束を強調して連携を深めている。
マニラ湾には同日、海保の巡視船「あきつしま」と米沿岸警備隊の「USCGCストラットン」が到着した。PCGのロランド・リゾー・プンザラン中将は到着式典…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』
『PCGのロランド・リゾー・プンザラン中将は到着式典で「3カ国の沿岸警備隊で海洋協力を向上させ理解を深めることが今回の目的だ」と語った。
海洋演習は同日から7日まで、南シナ海を臨むフィリピン北部ルソン島のバターン州で実施する。日米の船のほかPCGの巡視船「メルチョラ・アキノ」も活用する。演習では操縦や海上での法執行、捜索・救難などの訓練を通じて相互運用性を強化する。
1日、マニラ湾に到着した海上保安庁の巡視船「あきつしま」
在フィリピン日本大使館の松田賢一臨時代理大使は「日本の海洋安全を守る活動はフィリピン・米国と歩調を合わせる」と語った。PCGは「3カ国による演習は連携と相互運用性を高めることを目指したマルコス大統領のビジョンだ」と説明した。南シナ海で海洋進出を続ける中国を念頭に、3カ国の結束の強さを強調した。
南シナ海では、フィリピン船が再三にわたり中国船から妨害を受けている。2月にはPCGの巡視船が中国海警局の艦船からレーザー照射を受け、乗組員が一時視力を失った。マルコス氏が駐比中国大使に直接抗議する異例の事態に至った。
これまでも海保や国際協力機構(JICA)、米沿岸警備隊はPCGの海洋警備能力を向上させるため、巡視船の整備能力を高める訓練や船をけん引するえい航訓練を支援してきた。PCGは「米国とフィリピン、他の国の沿岸警備隊の間で定例の演習が実施できることを望む」とし、海洋演習の継続に期待を込めた。』