小麦価格急騰 専門家「インド、輸入国に転じる可能性」
専門家の見方
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16D2V0W2A510C2000000/
『週明け16日のシカゴ市場で小麦の国際価格は急伸し、今年3月につけた過去最高値に迫った。ロシアのウクライナ侵攻により両国の輸出が大きく減るなか、インド政府が14日に国内供給を優先する輸出停止を発表し、供給不足の深刻化が警戒された。米農務省によると世界の期末在庫は6年ぶりの低水準にある。シカゴの穀物調査会社アグリソースのダン・バッシ社長に今後の見通しを聞いた。
シカゴの穀物調査会社アグリソースのダン・バッシ社長
――インドの輸出停止は世界的な品薄に拍車をかけるとみられます。
インドの輸出停止の影響は甚大だ。ロシアのウクライナ侵攻により世界輸出の3割を占めた両国からの供給が滞るなか、インドは不足分を補う「つなぎ」の役割を果たす。輸出停止は我々を食料危機の入り口へと追い込む。
今回の輸出停止については食料安全保障を考慮し必要と認めた場合の輸出は許可するとしているが、世界の需給の現状は逼迫した状況にある。インドは熱波に見舞われており、減産が深刻化すれば年間800万トンの輸出国から300万~500万トンの輸入国に転じる可能性もある。
――米国や欧州産地の干ばつも警戒されています。
注目しているのはフランスなど欧州だ。向こう3~4週間に生産を左右する重要な生育時期を迎えるが、産地では乾燥した状態が続いている。雨が降らなければ減産に見舞われ、供給不足に拍車をかける。
一方で需要の低下は見込めない。考えてみてほしい。例えば、パン1個に含まれる小麦の原料費は8セントにすぎない。小麦価格の上昇がパンの買い渋りにつながるとは思えない。食品会社の購入担当者も原料の手当てが先決であり、価格はどうあれ買うしかないだろう。
――今後の価格見通しはどうでしょう。
小麦価格は未踏の領域にある。現物価格はすでに過去最高値をつけており、先物も時間の問題だ。どこまで上がるか予想はつかないが、ウクライナ情勢が長引いており、供給不足の解消には数年かかる。高値は数年続くだろう。
(聞き手はシカゴ=野毛洋子)
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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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別の視点
日本の小麦輸入は政府によって一元的に行われ、政府が決めた売り渡し価格で国内メーカーに売り渡されます。
規定に基づいて、2022年4月の小麦売り渡し価格は17%程度の上昇となりましたが、仮に足元の小麦先物価格とドル円レートが横ばいで推移すると想定すれば、今年10月の価格改定時にはさらに4割以上の価格上昇となる可能性があります。
これは、直近ボトムの2020年度後半対比2倍以上の売渡価格になることを意味します。
このため、10月の価格改定時にどの程度政府が負担軽減に介入するかに注目でしょう。
2022年5月17日 8:16 』