G20、IMF資産6500億ドル増額 為替で「従来の考え明確化」

https://www.nippon.com/ja/news/reu20210408KBN2BU2BY/

『(検索コードを追加して再送します)

[東京/ローマ 8日 ロイター] – 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は7日、新型コロナウイルス禍で打撃を受けている国々を支援するため、国際通貨基金(IMF)の準備資産である特別引き出し権(SDR)を6500億ドル増額し、新たに配分する方向で合意した。

共同声明では「新型コロナの世界的大流行(パンデミック)に伴う課題に対処するため、脆弱な国々への支援をさらに強化する」とした上で、必要な限り財政や経済的な支援を維持すると改めて表明。IMFに対し「準備資産を補うという長期的な世界のニーズに応えるため、6500億ドルの新規SDRの一般割り当てについて包括的な提案を行う」よう求めた。

また、最貧国を対象とした債務支払猶予イニシアチブ(DSSI)の期限を年末まで半年間再び延長することでも一致。大手ハイテク企業など多国籍企業に対する法人税の世界的な最低税率導入については、経済協力開発機構(OECD)の取り組みを踏まえ、7月までの合意を目指すとした。声明では、トランプ前米政権時に削除された「保護主義との闘い」の文言も復活した。

為替については「強固なファンダメンタルズや健全な政策は、国際通貨システムの安定に不可⽋」とし、「為替レートは根底にある経済のファンダメンタルズを反映することに引き続きコミットし、為替レートの柔軟性は経済の調整を円滑化しうることに留意する」と明記した。

さらに「外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する。為替レートの過度な変動や無秩序な動きが、経済及び⾦融の安定に対して悪影響を与え得ることを認識する」との認識も盛り込んだ。引き続き「通貨の競争的切下げを回避し、競争⼒のために為替レートを⽬標としない」とした。

麻生太郎財務相はG20後、記者団に対し、共同声明に盛り込まれた為替に関する文言について、経済のファンダメンタルズを反映させるべきとする「従来の考え方を明確化した」と説明した。

DSSIの再延長に関しては「延長されたことを歓迎するとともに、(DSSI後の債務措置の)共通枠組みに中国国家開発銀行を含め、すべての債権者に参加してもらうことが必要」と述べた。国際開発協会(IDA)の前倒し増資検討では「12月までの合意を含め、G20が主導的役割を果たすべきと申し上げた」とした。

また、法人税の国際最低税率導入について、「法人税の引き下げ競争に歯止めかける観点から重要と申し上げた」と語った。』

米中全面対決、台湾有事はあり得るか:宮本雄二・元中国大使が読み解く「海警法」問題

https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00702/?cx_recs_click=true

『尖閣を中国が実効支配している現実を作り出す

中国は1992年に施行した「領海法」に、「釣魚島(中国表記で、尖閣諸島の魚釣島のこと)を含むその付属諸島」が領土だと規定した。一方、日本は1895年に尖閣諸島を沖縄県に編入し、領土としており、尖閣が日中対峙(たいじ)の海となっている。

2012年4月に東京都(石原慎太郎都知事)が魚釣島など尖閣3島の購入を表明し、その年の9月、日本政府が尖閣3島を国有化した頃から、事態が大きく動いていく。宮本氏はこう説明する。

「この年5月の人民日報ネット版は、『日本のコントロールに対応して、中国は早急に海洋安全戦略を制定する必要がある』と書いている。それまで中国には、海洋安全戦略がなかったということだ。中国の海の警察権は公安だけでなく、漁業、税関などがバラバラに行使していたが、国家海警局に一本化し、人民解放軍の系列下に入れた。こうした整備のまとめとして今年1月に制定したのが海警法。中国の立場からすると、海警法は海警局を管理するためのものだ。

中国は尖閣を自分たちのものと主張しているので、日本の実効支配の現実を覆す、つまり日本と同じように、中国も実効支配しているような現実を作り出す、というのが中国の基本政策だ。だから、中国にとって自分たちの領海で日本漁船が操業していれば、海警船が取り締まることになる。

尖閣における現状は、中国に勢いがあり、日本は押され気味だ。中国が実力によって現状変更を行い、海警局をさらに強化し、変更された現状を日本に認めさせようとしている。そういう中での海警法の登場であり、日本が警戒するのも当然だ。力による現状変更は国際法違反であり、『いかなる紛争も平和的に解決を』と定めた国連憲章違反である」

海警法は国際法違反と言えるか
しかし、「海警法は国際的水準からすると問題がある法律ではあるが、国際法違反と断定するのは難しい」と宮本氏は指摘する。武器使用についても、「アメリカのコーストガード(沿岸警備隊)でも武器は持っている。だから、海警法が武器使用を定めたからといって、国際法違反とは言えない」と話す。

問題は、国連海洋法条約では領海内に限定されている外国軍艦等に対する強制措置を、管轄水域内でとることができる、としている点だ。

しかも海警法には、中国の管轄海域に関する具体的な定義が記載されてない。「当然、その点は批判されるべきだ。しかし、中国には中国の解釈があり、国際法違反をしているつもりはない。しかも、どちらが正しいか裁定する仕組みも弱い。国際政治の現場においては、実際の行動のせめぎ合いの中で、国際慣行法が出来上がるという側面もある」

「国際法の問題はデリケートで、日本の皆さんの意見と、国際政治の現場感覚が合わないこともある。しかし、主張し行動しないと日本に不利な慣行が出来上がってしまう。だから日本も発言し行動する必要がある」と宮本氏は指摘する。

「日本は中国の力に屈する」と思わせてはならない

尖閣問題の今後について、宮本氏はこう提案する。

「今すぐに中国と話し合いを始めると、中国内に『やっぱり力で日本を押したのは正しかった』と誤解する輩(やから)が出かねない。そうではなくて、日本は海上保安庁の力を強化し、海上保安庁と海上自衛隊の連携を強化し、いざという時には日米安保条約の発動があるとの前提で演習を行い、『尖閣は日本の領土であり、断固守り抜く』との決意を中国に示した後、話し合いに入るべきだ。軍事力による解決は、すべての国の望むところではない」

「中国の圧倒的な軍事力の前に、日本が黙らされるようなことがあってはいけない。しかし、中国が軍事力増強を続ける限り、日本は中国と口も利かない、というのもよくない。日本は中国と太いパイプを持って、ガンガン話し合いをすべきだ。経済関係も、日米の安全保障にマイナスの影響を及ぼさない範囲で強化すべきだ。日本経済の再活性化のため、中国市場を最大限に使うべし」

米中の全面対決は両国も望んでいない

だが、3月中旬の米アラスカでの米中外交トップ会談で見られたように、今、2大大国が激しく対立している。全面対決はあるのか。宮本氏はこう否定する。

「アメリカは同盟国の意向を聞きながら、そこを固めて、中国と対峙する姿勢を取っている。日本は尖閣問題で、日米の軍事安全保障の柱が大きくなった結果、アメリカに引っ張られる。一方、中国もあわてて走り回り、王毅外相が中東に行ったりして、自分たちを支持する人たちを固めようとしている。このまま行ってしまえば、米ソ冷戦時代の復活になってしまう。

米中の全面対決はアメリカも中国も全く望んでいない。これはバイデン大統領もよく分かっていると思う。アメリカ経済にも響いてくるので、中国との経済の全面的なデカップリング(分断)をやる気もありません」

中国の台湾侵攻の可能性は

ところが、最近、「台湾有事」が心配されるようになってきた。典型的な例は、デービッドソン米インド太平洋軍司令官が米上院軍事委員会の公聴会で行った「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」という証言だ。

宮本氏は「中国が軽々に軍を発動することはない。もし台湾を攻撃したら、中国の評判は世界中で落ちてしまう」と、次のように解説する。

「この地域の米中の軍事バランスは中国有利に展開している。この地域では、米海軍の第7艦隊(西太平洋とインド洋が担当海域)が重要な役割を果たしてきた。だが、中国が軍備増強を続けた結果、台湾有事の際に第7艦隊は台湾に近づけなくなった。つまり現時点では、第7艦隊がぽっくり空いた形で米中の軍事バランスが考慮されなければならないようになった。

アメリカはトランプ政権時代から、台湾との関係を強化しようと、次々と手を打ってくる。それを中国が座視すれば、アメリカの行動を認めたことになる。ゆえに対抗策として中国は、人民解放軍による台湾への威嚇を行い、台湾と中国の中間線を越えたり、どんどん軍事演習をエスカレートさせたりしている。それを見た米軍人が『中国が出てくるかもしれない』と思い、今回の議会証言となった。

2020年8月10日、台北市内の総統府で会談した台湾の蔡英文総統(写真右)と米国のアレックス・アザー厚生長官。アザー氏は1979年の米台断交以降、訪台した最高位の米閣僚。=台湾[総統府提供] 時事

習近平国家主席が歴史に名を残すために、台湾の統一をやるのではないか、という声がある。しかし、中国の立場になって考えたら、現状における軍の発動は国民に説明ができない。台湾が、今攻撃しないと独立してしまう、という切迫した情勢になって、初めて台湾攻撃は可能になるのだ。でも、台湾の蔡英文総統もよく分かっているから、一定の線を超えることはない。

台湾は、世界の半導体の主要生産国の一つであり、もし中国が台湾を攻撃したら、世界の株価が暴落し世界経済は大混乱となる。その結果、中国経済の足も引っ張られ、中国国民が『なんで台湾を攻撃したのか』と習政権を批判するだろう。中国の一般国民にとって、生活が何にもまして重要であり、台湾問題はそれほどの重要性を持っていない。

米太平洋司令官が、これからの6年間で、台湾で戦争が始まる可能性が高いと言った。この6年間というのは意味深長だ。アメリカは6年間使えば、台湾海峡の軍事バランスを、少なくともイーブン(互角)に持ってこられると思っているのだろう。これからアメリカは、日本に対する軍事的要求を強める可能性は高い」

世界は中国と共存できるか

新疆ウイグル自治区の人権問題を理由に、米欧が中国に制裁措置へ踏み切るなど、中国包囲網が広がっている。世界は中国と共存できるのか。

「習主席は再三再四、『自分たちは現行の国際秩序の破壊者ではなく、擁護者だ』と言っている。国連憲章の精神と原則に代表される国際法を順守する、とも言っている。数千年の時代が流れてきた中国で、歴代王朝の統治システムを抜本的に改めたのが中華人民共和国で、指導者はどうガバナンス(統治のプロセス)を整備していくか、悪戦苦闘している。世界が中国を我々と一緒になって国際秩序を作る方向に、いかに誘導していくかだ。そのために、現在の国際秩序の中で、中国がその力に見合った待遇を受けることを認める必要がある。

『中国は異質で、我々との併存は不可能だから、中国と対抗し、中国共産党を打倒しなければならない』という意見がある。しかし、このロジックでやる限り、中国は必死になって対抗してくる。中国は既存の国際社会に対する憎悪を、今の何倍にも増大させるだろう。そういう中国と、我々の孫たちが直面しなければならないという事態は避けたい。

中国を既存の秩序に入れて、それから我々は中国と真っ向から論戦を挑んでいく。そういう中で、新しい落ち着き先ができるという方向で努力すべきだと思う。中国を我々の方向に誘導していくことは、日本にとって非常に重要な役割になる」

「(中国が何かした時)日本は中国に対して、日本の立場をきちんと表明する必要がある。ただ、それを中国に押し付けてはいけない。日本としては、その実現を希望するだけであって、中国がどうするかは中国国民が決めるべき問題だからだ。中国国民の感情を傷つける行動を日本がとると、中国が猛反発してくることもあるので、慎重さが必要になってくる」

バナー写真:乾杯をするバイデン米副大統領(当時)と習近平・中国国家主席(アメリカ・ワシントンで2015年9月25日撮影) AFP=時事 』

中国で「48万円のEV」が大ヒット、裏にある納得の理由。

中国で「48万円のEV」が大ヒット、裏にある納得の理由。なぜ“突然”売れ始めたのか
https://www.sbbit.jp/article/cont1/56804

『2020年後半から、中国で突如として電気自動車(EV)が売れ始めている。その背景には、コロナ禍を契機にした意識とライフスタイルの変化がある。市場をリードしているのは、「代歩車」と呼ばれる小型で低価格のEV。ただ、テスラなどの400万円前後の高級車も売れている。代歩車では「クルマの玩具化」、高級車では「クルマのデバイス化」が売れる鍵になっている。中国政府が掲げる「2025年にEV化率20%前後」までには、まだまだ乗り越えなければならない課題はあるが、目標達成への道筋が確実に見え始めている。

ITジャーナリスト 牧野武文

画像

中国のEVの好調ぶりをリードする「宏光MINI EV(ホングワンミニ EV)」。「約48万円」という驚きの価格で、生産が追いつかないほど大ヒット商品になっている
(出典:上汽通用五菱)

<目次>

中国で「突如として」売れ始めたEV
「EVを買って後悔」、消費者の心は離れていたのになぜ?
EVの欠点を打ち消せたワケ
約48万円のEVが大ヒット、「クルマの玩具化」が進行中
テスラなど400万前後でも売れるEV、カギは「デバイス化」
「2025年に20%前後」達成も見えてきた

中国で「突如として」売れ始めたEV

 中国で2020年7月から電気自動車(EV)を中心にした新エネルギー車が売れている。その事実を多くの中国メディアが「突如として」という形容詞を使って報道している。

 自動車産業の業界団体である乗用車市場信息聯席会(CPCA)の統計によると、2020年2月から6月まではコロナ禍の影響により、新エネルギー車の販売台数は前年割れとなっていたが、7月から売れ始め、中国政府が事実上の新型コロナ終息宣言を行った9月以降、記録を更新し続けている。

画像

2020年の前半は、コロナ禍の影響で、前年割れが続いたが、7月から前年超えとなり、9月以降は販売記録を更新し続けている
(出典:乗用車市場信息聯席会(CPCA)の統計より作成)

 新エネルギー車とは、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)、その他の新エネルギー車の総称だが、85%程度がEV、15%程度がPHEVでほとんどを占める。

関連記事

4割弱が高齢者、「高蔵寺ニュータウン」が挑む“本気”の交通改革の詳細
静かにアツい「自動運転シャトル」とは? トヨタも無印も注力する理由
▼ すべて表示

 コロナ前、中国の自動車市場、新エネルギー車市場の前途は明るいものではなかった。自動車全体は、2017年の2887.9万台をピークに減少傾向が続いている。一方、これに入れ替わるようにして増えるはずだった新エネルギー車も2019年は前年割れとなり、EVシフトに黄色信号がともった。それが2020年後半の需要急増で、2020年は136.7万台と記録を更新することになった。

画像

ガソリン車を含めた自動車販売全体は、2017年をピークに下降の一途をたどっている。新エネルギー車(乗用車)の販売台数も2019年に前年割れとなり、EVシフトに黄色信号がともった
(出典:自動車は、中国汽車工業協会(CAAM)の統計より作成。新エネルギー車は、乗用車市場信息聯席会(CPCA)の統計より作成)

「EVを買って後悔」、消費者の心は離れていたのになぜ?

 突如としてEVが売れ始めた理由は、何よりもコロナ禍による消費者の意識とライフスタイルが変化したことが大きい。他人と接触することなく移動できるマイカーという移動手段が再評価されている。

 コロナ禍以前、消費者の自動車に対する関心は薄れていた。特に若者の車離れが進んでいた。中国の若い世代は1日に7.5時間もスマートフォンを使うとも言われる。運転をする時は、スマホが使えないというのが最大の問題だった。

関連記事

中国でも?「若者のクルマ離れ」が示す、14億人の国で「若者が4割減る」恐怖とは…

 一方で、公共交通はQRコードやNFC(非接触通信)を使ってスマホで乗れるようになり、シェアリング自転車やタクシー配車、ライドシェアもスマホから利用でき、簡易的なMaaS(マース)環境が実現できている。

 さらに、大都市では、曜日によってナンバー末尾による乗り入れ規制、深刻な駐車場難などの問題もあり、多くの若者が公共交通を使って、スマホを使う時間にあてたいと考えるようになっていた。

photo

連載「中国イノベーション事情」の記事一覧はこちらからご覧いただけます

画像をクリックすると特集ページに移動します

 また、EVは航続距離の問題、バッテリー発火事故に対する不安などもあり、ガソリン車もEVも売れないというのが、コロナ前の中国における車市場だった。

 中国の自動車関係メディアは、「EVを買って後悔している」というオーナーの声を頻繁に取り上げている。最大の理由は、自動車特有の自由さが失われることだ。

 ガソリン車であれば、「今日は天気がいいから山の方に行ってみよう」という気ままなドライブが楽しめる。しかし、EVではそうはいかない。事前に、充電ステーションの場所を調べておき、ドライブルートをある程度決めておかないと、バッテリー切れで立ち往生することになる。多くのオーナーが「遠出をする回数が減った」と言う。

【次ページ】EVの欠点を打ち消せたワケ
1
EVの欠点を打ち消せたワケ

 これがコロナ以降、変わった。中国では新型コロナは終息したものの、長距離移動は制限がかけられ続けている。多くの都市で、省外などの長距離移動に関しては、出発7日以内に検査を受けて陰性証明を取得することや、帰ってきてからは7~14日間の自己隔離を、接触頻度の高い公務員や教員に課している。

 このような状況により「内循環」と呼ばれる現象が起きている。本来は、貿易の外循環と国内経済の内循環の二本立てで経済を回復させていくという意味だが、移動制限のない同一省内、市内でのレジャーで地元経済を回す意味でも使われる。旅行アプリ「飛猪(フリギー)」の春節休みの間の観光地情報検索ランキングを見ると、「上海ディズニーランド」「霊隠寺(杭州市)」「広州長隆野生動物世界」など、大都市を抱えている観光地が上位にきている。

 この他、フィールドアスレチック施設やスポーツアクティビティ施設なども人気で、多くの人が近隣の観光施設を訪ねるようになっている。当初は仕方なくだったのかもしれないが、それが、近隣スポットを再発見することにつながっている。

 このような近距離移動であれば、EVの航続距離の問題はあまり考える必要がなくなり、EVの欠点が打ち消される。アフターコロナの意識変化とライフスタイルの変化が、EVの特性とうまく噛み合うようになったのだ。

 EVとガソリン車は、見た目は似ているが、本質的には異なるツールで、使い方も異なったものになるはずだが、私たち消費者はそうは考えない。ガソリン車でできることで、EVではできない点を見つけては、それをEVの欠点として考えがちだ。それは、スマートフォンをPCと比較して、「画面は小さいし、キーボードもついていない」と嘆くようなものだ。

 多くの自動車関係メディアが、EVメーカーの企業努力も評価している。コロナ以前は、どのメーカーもセダン1車種というパターンが多かった。これでは、消費者はEVと同クラスのガソリン車を比較検討することになる。どうしても、EVの欠点が目立ってしまう。

 しかし、2020年になると、どのメーカーも、セダン、SUVなど数車種をそろえるようになった。すると、消費者はEVの車種、EVメーカー間で比較検討をすることになる。EVというカテゴリーの中で、車種やグレードを選んでいけるようになった。

約48万円のEVが大ヒット、「クルマの玩具化」が進行中

画像

五菱新能源鄭州体験センターでは、中国版Tik Tok「抖音」(ドウイン)などでライブコマースをしている。購入予約ができ、優待クーポンも配信されている。他の販売店も、それぞれにドウインや快手(クワイショウ)などのショートムービー、SNSでの配信を積極的に行っている
 EVの好調ぶりをリードしているのは、A00級と呼ばれる小型車と、中型車以上の2つのカテゴリーだ。

 A00級は、ホイールベースが2.0~2.2mという小型車で、日本の軽自動車(ホイールベースは1.8~2.5m程度)とよく似たクラスのEVだ。

 このクラスでは、上汽通用五菱の「宏光MINI EV(ホングワンミニ EV)」が、生産が追いつかないほどの大ヒット商品になっている。カタログ航続距離は約120kmと短いが、2.88万元(約48万円)という価格が歓迎されている。販売店のサイトでは、頭金0.86万元(約14万円)、月々602元(約1万円)の36回払いのプランも用意されている。

 エントリーモデルでは、暖房のみで冷房がついていないなど、いろいろ割り切ってはいるが、上汽通用五菱は米ゼネラルモーターズ(GM)、上海汽車、五菱の合弁会社であるため、品質に関してもGMの技術が活かされている。

 外装、内装はシンプルだが、デザインレベルは高い。それが若者に受け入れられ、大胆な改造がちょっとしたブームになっている。アニメキャラクターをあしらったいわゆる「痛車」や、六輪車に改造した宏光MINI EVが、SNSやTikTokに大量に公開されている。まさに、ミニカーの改造と同じで、それを実車で行っている感覚だ。いうなれば、「クルマの玩具化」が起きている。

画像

五菱新能源鄭州体験センターでは、中国版TikTokを通じて、宏光MINI EVの改造車のムービーを盛んに配信している。改造が一種のブームになっており、各地で改造車オーナーの集会や、SNSへのアップロードが行われている

 このような小型車は、「代歩車」と呼ばれている。「歩く代わりに使う車」という意味だ。宏光MINI EV以外にも、長城汽車の「欧拉黒猫」(猫をモチーフにした外観デザイン)、長安汽車の「奔奔EV」、合衆汽車の「哪吒V」(SUVスタイルの小型車)なども人気になっている。このような小型EVが、公共交通の発達していない地方都市では通勤、買い物用に、大都市では改造アイテムとして売れている。

テスラなど400万前後でも売れるEV、カギは「デバイス化」

 新エネルギー車市場を台数ベースでリードしているのは代歩車だが、販売額ベースでけん引をしているのが、中級車から高級車のカテゴリーのEVだ。このクラスでは、テスラのモデル3を筆頭に、テスラ、BYD、ニーオの3社に人気が集中している。テスラは25万元(約410万円)から、BYDは22.98万元(約380万円)から、ニーオは35万元(約580万円)からと決して安くない。だが、それが売れている。その鍵になっているのが「クルマのデバイス化」だ。

画像

大ヒット商品となっている宏光MINI EVを筆頭に、黒猫、奔奔などの代歩車が健闘している一方、テスラ、BYD、ニーオなどの中型車から高級車のクラスのEVも売れている
(出典:乗用車市場信息聯席会(CPCA)の統計より作成)

 人気の的になっているのが、3社ともに「オートパイロット機能」だ。テスラのモデル3にオートパイロットオプションをつけると6万元(約100万円)の追加出費となるが、多くの人がこのオプションを選択する。BYDもDiPilot、ニーオもNIO Pilotというオートパイロット機能を搭載し、一定条件下でのオートステアリングなどが可能になっている。

 テスラのモデル3では、ドライバーポジションを10人まで記憶する機能がある。ワンタップで、その人のシート位置、ミラー位置などに設定してくれる。乗り降りするときは、シートを下げ、ハンドルを引っ込め、乗り降りしやすくしてくれる。さらに、話題になっているのが、スマートサモン機能(召喚機能)だ。駐車場などで、スマホから呼び出せば、自動運転で車の方が自分の目の前にきてくれるというものだ。

 今、EVを購入している消費者は、本革シートや天然木ステアリングではなく、排気量や空力特性でもなく、こういう「機能」に高級感を感じている。

 また、大型タッチディスプレイを搭載し、5G通信、車内Wi-Fi、音声操作によるSNS、音楽、映像サブスク、ARナビ(カメラ撮影した実風景にナビルートをオーバーラップ表示する)も常識になっている。機能を割り切って、価格を抑えている代歩車ですら、専用スマホアプリからバッテリー残量を見られたり、上位モデルでは音声操作可能なタッチディスプレイが装備されている。

 Z世代(中国では95年以降生まれの20代前半)に対して行った、自動車に関するアンケート調査「中国Z世代自動車購入傾向調査」(OPPO他)には、面白い設問がある(調査時期は2020年10月)。それは「あなたにとっての自動車を表すのに適している言葉を選んでください」という質問で、「移動ツール」という言葉が最も多くなった。

 しかし、他の世代の回答よりもZ世代の回答が多い順に並べると、1位が「テクノロジーデバイスのひとつ」、2位が「スマート機能のある移動空間」になる。つまり、Z世代は、自動車を自動車ではなく、スマホの延長線上にあるデバイスとして見ている。「走るスマホ」だという認識なのだ。

画像

「あなたにとっての自動車を表すのにふさわしい言葉は?」を選択肢から選ぶ設問の答えで、Z世代の回答割合が他世代に比較して大きいものから並べた
(出典:「中国Z世代自動車購入傾向調査」(OPPO他)より作成)

「2025年に20%前後」達成も見えてきた

 EVが「突如として」売れたのは、コロナ後の消費者の意識の変化と、EVの特性がうまくシンクロをしたことも大きいが、EVメーカーが車種を増やし選択肢を広げ、デバイス化を進めるなどの努力をした面も大きい。各EVメーカーは、ガソリン車とEVは似て非なるものと位置付け、EVを商品として成熟させようとしている。

 2020年11月、国務院は「新エネルギー車産業発展規則の配布について(2021-2035)」を発表し、その中で新エネルギー車販売割合目標を「2025年に20%前後」としている。

 新エネルギー車(乗用車)を自動車販売台数で割ったものを仮に「EV化率」(注1)として計算してみると、現在のEV化率は5.40%となる。あと5年で、20%に乗せるためには、さらにEVシフトを加速させていく必要がある。

注1:商用EVの販売台数の統計がないため、ここで算出した「EV化率」は公式なものではなく、あくまでも目安となる。

画像

分子に「新エネルギー車乗用車販売台数」、分母に「自動車販売台数」として計算した「EV化率」の推移。2018年から自動車販売台数が減少し始めたため、EV化率があがり、2020年後半の販売増により、さらにEV化率があがった
(出典:中国汽車工業協会(CAAM)、乗用車市場信息聯席会(CPCA)の統計より作成)

 EVが売れていると言っても、それは20台に1台程度のこと。まだまだ、新しい物好きな人が代歩車を買い、経済的に余裕のある人がテスラなどのEVを購入している状態にすぎない。これを5台に1台がEVの状態にするには、一般の消費者にEVをいかに普及させるかにかかっている。それにはまだまだいくつものハードルを越えなければならない。とは言え、中国で本格的なEVシフトが始まる起点になる可能性は十二分にある。

 特に注目をしておく必要があるのは、2019年までの中国のEVシフトは補助金やEV製造割合の義務付けなど政策誘導による部分が大きかったが、アフターコロナのEVシフトは、消費者が自らの意思で選び始めているということだ。あるメディアは、このEV需要の急増は「突如として」ではなく、EVメーカーの企業努力が実り始めたもので、必然なのだと論評している。

連載一覧

TikTokのバイトダンス vs 王者テンセント、激化する“国民的インフラ”の座をかけた戦い
「無人店舗」が再燃、“離職率128%”企業も目を付ける「人がいらない」世界
コロナ克服後も、ショッピングモールに“人が戻らない”悲惨な敗因
業界揺るがす「わりかん保険」、加入者“1億人超え”でアリババらが直面した難題
止まらない還元ポイントの悪用、それでもEC企業が大型還元策をやめられないワケ
市民からは好評、「デジタル人民元」ってどんな仕組み?
ECすら終焉か、「独身の日」バイトダンスの成功は小売業の“一大事”だ
テンセントの人工都市「ネットシティ」とは? BATH始め注目企業が深センに集まるワケ
「高度AI人材」の最大勢力はどこの国? AI研究者“上位20%”の経歴から見えたこと 』

過去は参考にならず…大どんでん返しのバブル崩壊が到来?

過去は参考にならず…大どんでん返しのバブル崩壊が到来? 富を拡大するインテリジェンス2.0(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/21/hasan135/msg/261.html

『今、世界はバブルだと言う人と、バブルではないと言う人に分かれますが、現在は今までのバブルとは違うバブルだと判断しています。

 過去のバブル期には経済の熱狂と株式や不動産の相場の熱狂がありました。

 景気が過熱し、株式は適正価格から離れて価格上昇しましたが、今回のバブルは熱狂のないバブルです。

 経済的にも株式市場にも熱狂はなく、中央銀行の無制限の金融緩和(量的緩和)で熱狂的に株価と景気を支えています。

 株価が割高か割安かを判断するのは株価収益率(PER)です。

 昨年の春以降、コロナ騒動で各社の業績が落ちている中、株価が上昇してコロナ以前より高値になっているので日経平均のPERは23倍程度まで上昇しバブル水準になっています。

 そして株のバブルより、債券バブルの方が顕著です。

 破綻の可能性がある信用度の低いジャンク債まで買われています。10年ギリシャ国債は破綻懸念時の金利は40%を超えていましたが、現在の金利は0・87%で10年米国債より金利が低いです。

 危険度が高い債券がリスク度外視で買われているのです。

株式は管理相場

 今回の株のバブルは中央銀行が無制限の金融緩和(量的緩和)で株を買っていることが原因ですが、これは株価が管理相場になったといえます。

 景気も過熱感がないし、株価が下落しそうになったら国が買い支える管理相場なのでバブルに見えないのかもしれません。

 国(中央銀行)が支えることができなくなったらバブル崩壊で破壊的です。

 インフレになったら金融緩和ができず、株価を支えることもできなくなりますがインフレ傾向にあります。

 今回のバブルの崩壊の処理は普通ではできないので、ダボス会議ではグレートリセットという表現をして、金融や国と国の関係を大変革しようとしているのだと思います。

 常識が大きく変わる時です。

 グレートリセット時の立ち回り方を誤ると、今までのバブル崩壊の被害の比では済みません。

 今までは株や不動産を現金化しておけば何も問題なかったのですが、今回のグレートリセットという名のバブル崩壊は現金でも危険です。

 今の相場は過去の経験が参考にならずにプロが確信を持って間違えると思います。

 同時に今の相場は今の延長線上に未来はなく、大どんでん返しなども想定されるため、最近12年間に投資の世界に入って今の相場に乗っている人たちも足をすくわれ、大きなダメージを受ける可能性が高いと思います。

 知識を得て準備した人に富が移動する時なので、今後の相場を見ていき富の拡大を狙っていきましょう。』